JP2000228302A - 酸化亜鉛系磁器積層物とその製造方法および酸化亜鉛バリスタ - Google Patents

酸化亜鉛系磁器積層物とその製造方法および酸化亜鉛バリスタ

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JP2000228302A
JP2000228302A JP11027501A JP2750199A JP2000228302A JP 2000228302 A JP2000228302 A JP 2000228302A JP 11027501 A JP11027501 A JP 11027501A JP 2750199 A JP2750199 A JP 2750199A JP 2000228302 A JP2000228302 A JP 2000228302A
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篤志 伊賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低い静電容量をもち、酸化亜鉛系バリスタのす
ぐれたサ−ジ吸収特性をもった低電圧用の酸化亜鉛系バ
リスタとその製造方法を提供する。 【解決手段】MnO、CoO、Fe2O3、NiO、MgO、Al2O3、BeO
のうちの少なくとも1つの酸化物を含有する酸化亜鉛主
成分の焼結体よりなる酸化亜鉛系磁器を作成し、二個の
酸化亜鉛系磁器間に、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、Pb
O、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3
Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物より
なる混合物に400℃〜700℃の範囲の熱処理を施し
た合成酸化物を含有する酸化物膜を形成し、700℃〜100
0℃の温度で熱処理を施して酸化亜鉛系磁器積層物を作
成し、これに電極を形成し、電極にリ−ド線を付け、低
い静電容量をもつ低電圧用酸化亜鉛バリスタを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は電気回路中に発生
するサ−ジの吸収などに用いられる酸化亜鉛バリスタ用
酸化亜鉛系磁器積層物とその製造方法および酸化亜鉛バ
リスタに関する。
【0002】
【従来の技術】酸化亜鉛バリスタには大きく分けて粒界
バリア型と表面バリア型の二種類があり、前者の粒界バ
リア型酸化亜鉛バリスタは酸化亜鉛主体の焼結体を構成
する酸化亜鉛粒子と酸化亜鉛粒子の間のいわゆる粒界に
電流の流れを調整するバリアを形成してバリスタ特性を
生ぜしめたものであり、後者の表面バリア型酸化亜鉛バ
リスタは酸化亜鉛主体の焼結体の表面に金属を接触し焼
結体の表面にショットキ−型のバリアを形成せしめたも
のである。
【0003】前者の粒界バリア型酸化亜鉛バリスタは、
ZnOと基本添加物である Bi2O3、MnO および CoOと、さ
らに性能向上のために添加される各種の酸化物とを含む
酸化亜鉛原料粉末を成型し焼成することによって得られ
る酸化亜鉛系磁器を用いて製造される.かくして製造さ
れた酸化亜鉛系磁器の焼結体では、構成する酸化亜鉛粒
子の粒界に沿って両側のそれぞれの酸化亜鉛粒子の内部
に空乏層が形成され、電流を阻止するショットキ−型の
バリアが粒界に形成される.この場合粒界の両側にショ
ットキ−型のバリアが形成されるのでダブルショットキ
−型のバリアが形成されるともいわれている. このバ
リアが存在するため、酸化亜鉛系磁器に電極を形成し電
圧を印可してもはじめは電流が流れず、電圧がバリスタ
電圧と称される立ち上がり電圧に達すると急激に電流が
流れ始め、いわゆるバリスタ特性が現れる.
【0004】粒界バリア型酸化亜鉛バリスタの立ち上が
り電圧は、素子の電極間に存在する粒界の数にほぼ比例
して上昇することが知られている.厚さ1mmあたり30
0Vくらいの高電圧用の酸化亜鉛バリスタを製造するた
めには、平均粒径10μm程度の粒径の小さいZnO粒子を
有する焼結体を製造することが必要である.そこで従来
は、高電圧用の酸化亜鉛バリスタを製造するためにはSb
2O3などのZnO粒子の粒成長抑制剤を添加することによっ
て、ZnO粒子の成長を抑制する方法が用いられてきた.S
b2O3は、酸化亜鉛バリスタの非直線抵抗特性を安定化さ
せるという重要な働きも行う。 粒界バリア型酸化亜鉛
バリスタでは 厚さ1mmあたり20Vくらいの立ち上がり
電圧の低電圧用酸化亜鉛バリスタを製造するためには、
平均粒径150μm程度の粒径の大きいZnO粒子を有する
焼結体を製造することが必要である.そこで従来は、低
電圧用の酸化亜鉛バリスタを製造するためにはTiO2など
のZnO粒子の粒成長促進剤を添加することによって、ZnO
粒子の成長を図る方法が用いられてきた.
【0005】なお、立ち上がり電圧とは、通常バリスタ
に1mAの電流を流した時の両端子間の電圧をいい、V1mA
で表わされる.前者の粒界バリア型酸化亜鉛バリスタで
は厚みが1mmの試料に1mAの電流を流した時の両端子間
の電圧はこの材料の定数の一つとし、V1mA/mmで表わさ
れることがある.これは試料1mmの厚み当たりの立ち上
がり電圧ということになる.酸化亜鉛バリスタの電気特
性は、しばしば先の立ち上がり電圧と非直線抵抗指数
αを用い、次式で表される. I=(V/V0)α ここで I は素子を流れる電流を、V は素子の両端子
間に印可された電圧を表す. V0 は常数である.なお、
酸化亜鉛バリスタにおいて電気特性が優れているとは、
たとえば、漏れ電流が少なく、非直線抵抗指数 αが高
い特性をもつなどである。また、信頼性が優れていると
は、長時間電圧を印加した場合、あるいは高温下で長時
間電力負荷を加えた場合、さらには高電流パルスを印加
した場合等においても、電気特性の低下などがなく、も
との電気特性が維持されるなどの事項が挙げられる.現
在、市場にでている酸化亜鉛バリスタのほとんどが前者
の粒界バリア型酸化亜鉛バリスタに属する。
【0006】一方、後者の表面バリア型酸化亜鉛バリス
タは、酸化亜鉛主体の焼結体の表面に、ガラスフリット
などを含有する銀などの金属ペ−ストを塗布し熱処理を
施して製造される.かくして製造された酸化亜鉛バリス
タでは主体の焼結体の表面に沿って酸化亜鉛焼結体の内
部に空乏層が形成され、酸化亜鉛焼結体表面に電流を阻
止するショットキ−型のバリアが形成される.このバリ
アが存在するため、焼結体の他の一方に電極を形成し電
圧を印可してもはじめは電流が流れず、電圧がバリスタ
電圧といわれる立ち上がり電圧に達すると急激に電流が
流れ始め、いわゆるバリスタ特性が現れる.表面バリア
型酸化亜鉛バリスタではショットキ−型のバリアが一層
であるので立ち上がり電圧はほぼ定まってくる。バリア
の部分で電流が金属電極の側から酸化亜鉛焼結体に向か
って流れる場合(順方向)には立ち上がり電圧は1V近
くに達し、電流が酸化亜鉛焼結体の側から金属電極に向
かって流れる場合(逆方向)には立ち上がり電圧は3V
近傍の値をとる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子回路のディ
ジタル化がすすんでくると、高い周波数のノイズが発生
して種々トラブルの原因となり、ディジタル化された各
種電子装置で高い周波数のノイズの除去が急務となって
いる. 従来の粒界バリア型酸化亜鉛バリスタは優れた
サ−ジ吸収特性をもち、大きいサイズのものでは送配電
回路におけるアレスタとして、また小さいサイズの物で
は電子回路でサ−ジアブソ−バとして用いられてきてい
る。しかるに、これらの酸化亜鉛バリスタではその静電
容量が大きいため高い周波数のノイズを吸収できず、静
電容量の小さい高周波用高性能の酸化亜鉛バリスタの実
用化が望まれていた。とくに半導体を用いた回路では、
立ち上がり電圧が10ボルト以下の低電圧用バリスタが
求められる。
【0008】粒界バリア型酸化亜鉛バリスタでは、バリ
スタとしての立ち上がり電圧は素子の電極間の結晶粒界
の数できまる. 酸化亜鉛バリスタの焼結体において
は、酸化亜鉛結晶と酸化亜鉛結晶の間つまり1つの粒界
の立ち上がり電圧が約 3.0〜3.3ボルトである.10ボル
ト以下の低電圧用バリスタを得ようとすると結晶粒界の
数が1〜3個の焼結体に電極をつけることが必要とな
る.酸化亜鉛バリスタの粒界には液相焼結を促進するBi2
O3と、粒界に沿って酸化亜鉛粒子内に空乏層を形成する
ため粒界に電子をトラップするCoOやMnOの存在が必要と
されてきた. さらにバリスタとしての安定性を得るた
め, また非直線特性向上のためSb2O3の存在が不可欠で
あった。
【0009】酸化亜鉛バリスタの磁器の基本組成である
ZnO−Bi2O3系には740℃の共晶温度をもつ共晶組成が
あるので、このZnOとBi2O3の二者は800℃近傍の温度に
おいても容易に反応する。しかるにここにSb2O3が存在
するとこの反応を妨げる。Sb2O3は、数百度になると昇
華し酸化亜鉛表面を被ってしまってSb2O3そのものがあ
るいはZnOとSb2O3の化合物が上記ZnOとBi2O3の二者の間
の接触を妨げる。さらに、Sb2O3が先にZnOと反応し次に
Bi2O3と反応して化学的に安定な固相のパイロクロア相
を形成する場合などがある.そのため、Sb2O3が添加さ
れるとき、優れたバリスタ特性を得るためには 1200℃
以上の高温度で焼成することが必要であった。
【0010】近年、製造技術の進展があって、Sb2O3とB
i2O3とを予め反応させておきこれを他の添加物と共にZn
Oに添加すると850〜950℃の低い温度の焼成でも
優れたバリスタが得られるようになった. これらの新
しい技術で種々の、立ち上がり電圧が20V程度の信頼
性の高い低電圧用バリスタが開発され、非直線抵抗指数
α値が20〜30で1000Amp/cm2 (8×20μse
c)にも耐えるものも開発されている.しかるにこれら低
電圧用酸化亜鉛バリスタは静電容量が大きく高周波のノ
イズなどの吸収に用いることはできなかった. 粒界バ
リア型酸化亜鉛バリスタの立ち上がり電圧はほぼ素子の
電極間に存在する粒界の数で決まるが、素子の静電容量
はコンデンサの場合と同様に電極面積に比例して大きく
なり、電極間の絶縁層の厚みに反比例する。従って立ち
上がり電圧が低い素子では同時に粒界の数が少ないので
静電容量は大きい。電極直径が10mmのディスク型の実
用的な酸化亜鉛バリスタの場合、立ち上がり電圧が十数
ボルト程度まで低くできるがそのときの静電容量は10
nF前後の値となった.さらに立ち上がり電圧を低くしよ
うとすると、或いは電極面積を小さくしようとすると、
立ち上がり電圧や静電容量のばらつきが急激に大きくな
って生産が困難になった。上述したように、従来のZnO
焼結体の作成方法では、電気特性および信頼性に優れた
低静電容量の低電圧用酸化亜鉛バリスタを安定して製造
することができなかった.焼結によって形成される粒界
は自然発生的に生じたもので、従来の焼結法では粒界を
コントロ−ルして1層または2層のバリアをもつ焼結体
を得ることは困難であった。
【0011】従来の粒界バリア型酸化亜鉛バリスタにお
いて1つの粒界あたりの立ち上がり電圧を知るため酸化
亜鉛バリスタの焼結体の1つの面上にマイクロ電極を形
成し電流−電圧特性を求める実験が報告されていた.つ
まり、酸化亜鉛バリスタの焼結体の1つの面上に金属膜
をつけ、エッチングなどの技術を駆使して適当にマイク
ロ電極を形成し、2電極間の粒界の数と電流−電圧特性
との関係を求めていた.その結果、さきに記述したよう
に1つの酸化亜鉛結晶粒界による立ち上がり電圧が約
3.0〜3.3ボルトであり、非直線抵抗特性の優れた
ものも観察された.しかし、これらはバリスタ特性を示
すものの、デ−タのばらつきが大きく、特性が不安定で
あり、実用素子として使用することは不可能であった。
【0012】 一方において 酸化亜鉛単結晶の上に酸
化ビスマスなどの薄膜を形成し、その上に直接電極を形
成したり、あるいは酸化亜鉛薄膜を形成してその上に電
極をつけたり、あるいは酸化ビスマス膜を酸化亜鉛単結
晶で挟んで全体に熱処理を施すなどして1つの粒界をも
つバリスタを得るための努力がなされてきた.しかし、
得られたものは電気特性が不安定で、さらに非直線抵抗
特性が優れず、素子として使用することは困難であっ
た.これはこれらの実験に用いられたものでは実用化さ
れている粒界バリア型酸化亜鉛バリスタの粒界と同等の
粒界が形成されていないことによる。
【0013】表面バリア型酸化亜鉛バリスタにおいて、
各種添加物を含有する酸化亜鉛主成分の焼結体と銀電極
との組み合わせによるバリスタの特性向上が図られてき
た。しかるに従来の表面バリア型酸化亜鉛バリスタは、
粒界バリア型酸化亜鉛バリスタに比べると、電圧のバラ
ツキが大きくまたパルスの印可に対する安定性がかなり
低いものであった。特に焼き付け温度を高くするとパル
スの印可にたいして安定性が増したが電圧のバラツキが
大きくなった。 表面バリア型酸化亜鉛バリスタは立ち
上がり電圧が低く低電圧用バリスタに向いているが、電
圧のバラツキ、パルス印可に対する安定性などで実用化
が困難であった。
【0014】本発明は、上記従来の問題を解決するた
め、1対のバリア層をもつ非直線抵抗特性などの電気特
性に優れた低静電容量の低電圧の酸化亜鉛バリスタを高
歩留りで製造するための酸化亜鉛系磁器積層物とその製
造方法を提供することを目的とする.そしてこれを多重
化して所要の立ち上がり電圧や静電容量の酸化亜鉛バリ
スタを高歩留りで製造するための酸化亜鉛系磁器積層物
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の酸化亜鉛系磁器積層物は、MnO、CoO、Fe2O
3、NiO、MgO、Al2O3、BeOのうちの少なくとも1つの酸
化物を含有する酸化亜鉛系磁器の面上に、Bi2O3、Sb
2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、Ge
O2、BaO、SrO、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なく
とも2つの酸化物を含有する酸化物膜を介して前記酸化
亜鉛系磁器と同種の酸化亜鉛系磁器が積層されてなると
いう構成を備えたものである。
【0016】また、上記の酸化亜鉛系磁器積層物におい
て、酸化物膜が、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、Ti
O2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3、Pr
2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物よりな
る混合物に350℃〜700℃の範囲の熱処理を施して
得た合成酸化物を含有する酸化物膜よりなるという構成
を備えたものである。
【0017】また、前記目的を達成するため、本発明の
酸化亜鉛系磁器積層物は、MnO、CoO、Fe2O3、NiO、Mg
O、Al2O3、BeOのうちの少なくとも1つの酸化物を含有
する酸化亜鉛系磁器の面上二カ所に、Bi2O3、Sb2O3、B2
O3、Cr2O3、PbO、TiO2、SiO2、SnO2,Ta2O5、GeO2、Ba
O、SrO、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2
つの酸化物を含有する酸化物膜を介して前記酸化亜鉛系
磁器と同種の酸化亜鉛系磁器が積層されてなるという構
成を備えたものである。
【0018】また、上記の酸化亜鉛系磁器積層物におい
て、酸化亜鉛系磁器の面上二カ所が、前記酸化亜鉛系磁
器の異なった面であるという構成を備えたものであり、
さらに上記の酸化亜鉛系磁器積層物において、酸化物膜
が、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、TiO2、SiO2、Sn
O2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOの
うちの少なくとも2つの酸化物よりなる混合物に350
℃〜700℃の範囲の熱処理を施して得た合成酸化物を
含有する酸化物膜よりなるという構成を備えたものであ
る。
【0019】さらにまた、前記目的を達成するため、本
発明の酸化亜鉛系磁器積層物は、MnO、CoO、Fe2O3、Ni
O、MgO、Al2O3、BeOのうちの少なくとも1つの酸化物を
含有する酸化亜鉛系磁器と、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O
3、PbO、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y
2O3、Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物
を含む酸化物膜とが交互に積層されてなるという構成を
備えたものである。
【0020】また、上記の酸化亜鉛系磁器積層物におい
て、酸化物膜が、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、Ti
O2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3、Pr
2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物よりな
る混合物に350℃〜700℃の範囲の熱処理を施して
得た合成酸化物を含有する酸化物膜よりなるという構成
を備えたものである。
【0021】 次に、前記目的を達成するため、本発明
の酸化亜鉛系磁器積層物の製造方法は、ZnO粉体にMnO、
CoO、Fe2O3、NiO、MgO、Al2O3、BeOのうちの少なくとも
1つの酸化物を添加し混合・成型し、焼結して酸化亜鉛
系磁器を得る工程と、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、Pb
O、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3
Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物より
なる混合物に350℃〜700℃の範囲の熱処理を施し
た合成酸化物を作成する工程と、前記酸化亜鉛系磁器上
に前記合成酸化物を含有する酸化物膜を形成する工程
と、前記の酸化物膜を介して前記酸化亜鉛系磁器を積層
する工程を含有するという構成を備えたものである。
【0022】 次に、本発明においては、電極を形成し
た酸化亜鉛系磁器積層物がバリスタであるという構成を
備えたものである。前記バリスタにおいては電極を酸化
亜鉛系磁器積層物と一体焼成したことが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、二つの酸化亜鉛系磁
器の磁器界に高温で液相を形成する酸化物膜を配置し熱
処理を施した酸化亜鉛系磁器積層物を構成する。そして
これに電極を形成するとバリスタが得られる。かくして
得られたものは界面バリア型酸化亜鉛バリスタに属す
る。
【0024】従来の界面バリア型酸化亜鉛バリスタにお
いては、酸化亜鉛、界面準位形成に寄与する遷移金属酸
化物、液層形成物の酸化ビスマスなどを混合し成型して
焼成し電極をつけてバリスタを得ていた。かくして得た
バリスタでは酸化亜鉛粒子界の全てにわたって界面準位
が形成され、それぞれの界面がダブル・ショットキ−型
のバリアを持つ。
【0025】本発明の酸化亜鉛系磁器積層物を構成する
酸化亜鉛系磁器は高密度に焼結し、二つの酸化亜鉛系磁
器界に高温熱処理に際し液相形成に関わる酸化物膜を配
置し熱処理を施しても発生する液相が酸化亜鉛系磁器内
の酸化亜鉛粒子と酸化亜鉛粒子の粒界には拡散しないよ
うに調整される。そして熱処理に際しは二つの酸化亜鉛
系磁器界にのみ液相が形成され、熱処理を受けた酸化亜
鉛系磁器積層物は酸化亜鉛系磁器それぞれの面に沿って
のみ界面準位が形成されたものとする。 高い密度をも
つ酸化亜鉛系磁器は酸化亜鉛と鉄族遷移金属酸化物など
の混合物を成型し焼成して作成される。酸化亜鉛系磁器
の焼成に際しては 高い密度を持たしめるために原材料
を調整し高温で焼成したり、CIP成型して焼成される。
さらに密度を高めるためにホットプレス法で焼成した
り、あるいはHIP処理を施すことが行われる。酸化亜鉛
系磁器界の接合をよくするため、それぞれの酸化亜鉛系
磁器の表面を研磨してフラットな面をもたしめ、二つの
研磨を施された酸化亜鉛系磁器を液相形成に関わる酸化
物膜を介して接合し、熱処理を施して酸化亜鉛系磁器積
層物を得る。
【0026】一方、酸化亜鉛系磁器の主成分でもあるZn
Oと、これと高温で反応する液相形成に関わる酸化物膜
の働きについて詳しく解析した。その結果、Sb2O3、SnO
2 などが単独で未反応のまま液相形成に関わる酸化物膜
中に添加されていると、これらはかなり低い温度で昇華
するなどして、酸化亜鉛系磁器の表面に付着し、酸化亜
鉛と固相反応して、強固な固相の化合物薄膜を形成し、
高温で起きるべき酸化亜鉛と液相との反応を妨げる。Sb
2O3、SnO2などはバリスタの信頼性を向上するためには
重要な物質であるので液相形成に関わる酸化物膜中に含
有させることが好ましい。かような場合、予め酸化物膜
中の物質間で反応させておき、液相形成に関わる酸化物
膜中に含有させると各成分が有効に働く。一例を上げる
と、添加されるSb2O3と添加されるBi2O3の一部とを予め
熱処理を加えて固相で反応させておき、Bi2O3とSb2O3
の合成粉末を添加すると、熱処理の際にSb2O3の昇華が
抑制され、有効な液相が形成される。
【0027】酸化亜鉛系磁器界面に生ずる1対の層より
なるダブル・ショットキ−型のバリアを利用したバリス
タは、非直線抵抗特性のすぐれた安定なI-V特性をしめ
す。1対のダブル・ショットキ−型のバリアよりなるバ
リスタであるので立ち上がり電圧は約3Vとほぼ定まっ
てくる。 かくして製造された磁器界面バリア型酸化亜
鉛バリスタでは、酸化亜鉛系磁器界面に沿って空乏層が
形成され、ダブル・ショットキ−型のバリアが形成され
る.このバリアが存在するため、焼結体に電極を形成し
電圧を印可してもはじめは電流が流れず、電圧がバリス
タ電圧と称される立ち上がり電圧に達すると急激に電流
が流れ始め、いわゆるバリスタ特性が現れる.かかるバ
リスタでバリア部分の面積を狭くすることにより低静電
容量の低電圧バリスタが得られる. さらにこれらバリ
スタを組み合わせて所要の低静電容量の低電圧バリスタ
を得ることができる。
【0028】本発明の磁器界バリア型酸化亜鉛バリスタ
には主として三種類のものがある.その第一のものは酸
化亜鉛系磁器の表面の一カ所に液相形成に関わる酸化物
膜を介して他の酸化亜鉛系磁器を配置し熱処理を施して
酸化亜鉛系磁器積層物を得て、つぎにこの酸化亜鉛系磁
器積層物に二個のオ−ム性電極を形成したものである。
その第二のものは酸化亜鉛系磁器の表面の二カ所に液相
形成に関わる酸化物膜を介して他の酸化亜鉛系磁器を配
置し熱処理を施して酸化亜鉛系磁器積層物を得て、つぎ
にこの酸化亜鉛系磁器積層物に二個のオ−ム性電極を形
成したものである。その第三のものは酸化亜鉛系磁器と
液相形成に関わる酸化物膜とを交互に積層し、その積層
体に熱処理を施して酸化亜鉛系磁器積層物をえてオ−ム
性電極を形成してなる。
【0029】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0030】(実施例 1)ZnOの粉末と、Co3O4、MnO2
NiOの粉末を重量比で81.38 g:0.954 g:0.414 g:0.38
3 gとなるように混合し硝酸アルミニウムを水溶液の形
でAl2O3に換算して1.51 mg 添加した。この混合粉を成
型し大気雰囲気下、1300℃で1時間のホットプレス焼成
を施した後、0.5mm×0.5mm, 厚さ0.3mmの試料サイズに
切断、研磨し, 二個の酸化亜鉛系磁器を得た。
【0031】次に、Bi2O3とSnO2とを356.8 g:30.14 g
の比で混合し550℃で2時間の熱処理を施した後粉砕し
てBi2O3とSnO2との合成粉を得た。また、Bi2O3とB2O3
を111.5 g :8.7 gの比で混合し400℃で2時間の熱処理
を施した後粉砕してBi2O3とB2O3との合成粉を得た。か
くして得たBi2O3とSnO2との合成粉 50g、Bi2O3とB2O3
との合成粉を 10gの割合で混合し水を加えてペ−スト
化し酸化物ペ−ストを得た。
【0032】前記のようにして得た酸化亜鉛系磁器の片
面に前記酸化物ペ−ストを塗布し、その上に他の酸化亜
鉛系磁器をのせて加圧し、大気中、昇温速度50℃/時
間で昇温し、900℃で1時間保持した後、降温速度5
0℃/時間で降温して酸化亜鉛を主成分とする板状の酸
化亜鉛系磁器積層物を得た。
【0033】次に、図1を参照しながら酸化亜鉛バリス
タの作成方法を説明する。図1は本発明の酸化亜鉛系磁
器積層物の両面にオ−ミックな銀電極を形成し、それぞ
れの電極にハンダでリ−ド線を付けて得た酸化亜鉛バリ
スタ10の概略斜視図である。二個の酸化亜鉛系磁器1
1、12は酸化物膜よりなる磁器界層13を介して対向
している。前記のようにして得た酸化亜鉛系磁器積層物
の両面にオ−ミックな銀電極14、15が形成され、そ
れぞれの電極にハンダでリ−ド線16、17が付けら
れ、リ−ド線以外の構造物をエポキシ樹脂(図では記入
されていない)を塗装する。
【0034】 このようにして得られた酸化亜鉛バリス
タの電気特性を評価した。初期の電気特性として、立ち
上がり電圧V1mA (1mAの電流を流した時の両端子間の電
圧)および非直線抵抗指数0.1mAα1mA (V1mAとV0.1mA
とを用いて求めた値)、静電容量(1 kHz)、tanδを測定
した(なお、以下の記載においては、非直線抵抗指数0.
1mAα1mAを単にα値と略称することがある)。非直線抵
抗指数が大きいほど、サ−ジ吸収能力が大きくなる。
又、直流負荷に対する信頼性を評価した。80℃の高温
雰囲気中で 1.25ミリワットの直流負荷を500 時間印加
し、バリスタ立ち上がり電圧V1mAの変化率△V1mA/V1mA
(直流負荷変化率)を測定した。バリスタ立ち上がり電
圧V1mAの変化率△V1mA/V1mAが小さいほど、酸化亜鉛バ
リスタの電気特性が安定しており、信頼性が高いことを
示している。さらに、サ−ジに対する信頼性を評価し
た。8× 20μsec, 5Ampのパルスの10回印加によ
るバリスタ立ち上がり電圧V1mAの変化率△V1mA/V1mA
(サ−ジ変化率)を測定した。表1に試料の組成を、表
2に電気特性の評価結果を示す。サ−ジ変化率の値が小
さいほど、酸化亜鉛バリスタの電気特性が安定してお
り、信頼性が高いことを示している。いずれも変化率が
5%以下で信頼性が高いことを示している。なお、電気
特性の評価結果を示す数値は、ロット内の最小値と最大
値を示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】 表1および表2より、本実施例の酸化亜
鉛系磁器積層物を用いた酸化亜鉛バリスタは、静電容量
が小さくて非直線抵抗特性がよく、長時間の直流負荷に
対してもまたサ−ジに対しても、立ち上がり電圧V1mAの
変化率(△V1mA/V1mA)の絶対値が5%以下で、信頼性
が優れていた。また、表2に示されているように、ロッ
ト内の電気特性のバラツキもちいさかった。表2には示
されていないが、本実施例の酸化亜鉛系磁器積層物を用
いて酸化亜鉛バリスタを作成すると、ロット間の電気特
性のバラツキも、ロット内の電気特性のバラツキと同様
にちいさかった。
【0038】(実施例 2)次に、実施例 1と類似の方
法で酸化亜鉛系磁器を作成した。ZnOの粉末と、Co3O4
MnO2、MgOの粉末を重量比で81.38 g:0.954 g:0.414
g:0.806 gとなるように混合し硝酸アルミニウムを水溶
液の形でAl2O3に換算して1.02mg 添加した。この混合
粉を成型し大気雰囲気下、1300℃で1時間のホットプレ
ス焼成を施した後、0.5mm×0.5mm,厚さ0.3 mmのサイズ
の酸化亜鉛系磁器を2個と5 mm×1 mm×0.3mmの酸化亜
鉛系磁器を1個切断、研磨し,酸化亜鉛系磁器を得た。
【0039】次に、Bi2O3とSb2O3とを139.8 g:58.3 g
の比で混合し550℃で2時間の熱処理を施した後粉砕し
てBi2O3とSb2O3との合成粉を得た。また、Bi 2O3 と B2O
3とを111.5 g :8.7 gの比で混合し400℃で2時間の熱
処理を施した後粉砕してBi2O3 と B2O3との合成粉を得
た。さらにまた、Bi2O3とCr2O3とを111.5 g :38.0 gの
比で混合し550℃で2時間の熱処理を施した後粉砕してB
i2O3とCr2O3との合成粉を得た。かくして得たBi2O3とSb
2O3との合成粉を 50 g,Bi2O3と B2O3との合成粉を 10
g,Bi2O3とCr2O3との合成粉 10 gの割合で混合し水
を加えてペ−スト化し酸化物ペ−ストを得た。
【0040】次に、図2を参照しながら酸化亜鉛バリス
タの作成方法を説明する。図2は本発明の酸化亜鉛系磁
器積層物に電極を形成しリ−ド線をつけて得た酸化亜鉛
バリスタ20の概略断面図である。前記のようにして得
た酸化亜鉛系磁器の上面二カ所に前記酸化物ペ−ストを
塗布して得られた酸化物膜を介して、酸化亜鉛系磁器が
配置され、大気中、昇温速度50℃/時間で昇温し、9
30℃で1時間保持した後、降温速度50℃/時間で降
温し、本発明の酸化亜鉛系磁器積層物が得られた。酸化
物膜よりなる磁器界層22、23を挟んで酸化亜鉛系磁
器24、25が積層され、それぞれの上に二電極26、
27にハンダでリ−ド線28、29が付けられている。
【0041】 このようにして得られた酸化亜鉛バリス
タの電気特性を実施例1と類似の方法で評価した。初期
の電気特性として、電流を流し立ち上がり電圧V1mA お
よび静電容量(1 kHz)、tanδ, 非直線抵抗指数 α
を測定した。直流負荷試験では 2.5 mW を500 時間印加
したときの変化率を求めた。また、8× 20μsec, 5
Ampのパルスの10回印加によるバリスタ立ち上がり電
圧V1mAの変化率△V1mA/V1mA(サ−ジ変化率)を測定し
た。表3に試料の組成を、表4に電気特性の評価結果を
示す。サ−ジ変化率の値が小さいほど、酸化亜鉛バリス
タの電気特性が安定しており、信頼性が高いことを示し
ている。いずれも変化率が5%以下で信頼性が高いこと
を示している。なお、電気特性の評価結果を示す数値
は、ロット内の最小値と最大値を示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】 表3および表4より、本実施例の酸化亜
鉛系磁器を用いた酸化亜鉛バリスタは、静電容量が小さ
く、非直線抵抗特性がよく、長時間の直流負荷に対して
もまたサ−ジに対しても、立ち上がり電圧V1mAの変化率
(△V1mA/V1mA)の絶対値が5%以下で、信頼性が優れ
ていた。また、表4に示されているように、ロット内の
電気特性のバラツキもちいさかった。表4には示されて
いないが、本実施例の酸化亜鉛系磁器を用いて酸化亜鉛
バリスタを作成すると、ロット間の電気特性のバラツキ
も、ロット内の電気特性のバラツキと同様にちいさかっ
た。
【0045】(実施例 3)ZnOの粉末と、Co3O4,MnO2,B
eOの粉末を重量比で81.38 g:0.954 g:0.414 g:0.500
gとなるように混合し硝酸アルミニウムを水溶液の形で
Al2O3に換算して0.76 mg 添加した。この混合粉をCIP
成型し大気雰囲気下、1400℃で3時間の焼成を施した
後、0.5mm×0.5mm, 厚さ0.3 mmの試料サイズに切断、研
磨し,酸化亜鉛系磁器を得た。
【0046】次に、Bi2O3とSb2O3とTiO2を178.4 g:21.
9 g:20.0 gの比で混合し550℃で2時間の熱処理を施し
た後粉砕してBi2O3とSb2O3とTiO2の合成粉を得た。ま
た、Bi2O3とB2O3とを111.5 g :8.7 gの比で混合し400
℃で2時間の熱処理を施した後粉砕してBi2O3とB2O3
の合成粉を得た。さらに、Bi2O3とCr 2O3とを111.5 g :
38.0 gの比で混合し550℃で2時間の熱処理を施した後
粉砕してBi2O3とCr2O3との合成粉を得た。かくして得た
Bi2O3とSb2O3とTiO2の合成粉5.0g、Bi2O3とB2O3との合
成粉を1.0g,Bi2O3とCr2O3との合成粉を1.0gの割合で
混合し水を加えてペ−スト化し酸化物ペ−ストを得た。
【0047】次に、図3を参照しながら酸化亜鉛バリス
タの作成方法を説明する。図3は本発明の酸化亜鉛系磁
器積層物の両面にオ−ミックな銀電極を形成し、それぞ
れの電極にハンダでリ−ド線を付けて得た酸化亜鉛バリ
スタ30の概略断面図である。前記のようにして得た酸
化亜鉛系磁器4枚と前記酸化物ペ−ストによる酸化物膜
3枚とを交互に積層し、大気中、昇温速度50℃/時間
で昇温し、870℃で1時間保持した後、降温速度50
℃/時間で降温して酸化亜鉛を主成分とする積層状の酸
化亜鉛系磁器積層物を得た. 図中、酸化亜鉛系磁器3
1と酸化物膜よりなる磁器界層32とは交互に積層され
ている。次に、この酸化亜鉛系磁器積層物の両面にはオ
−ミック電極33、34が形成され、電極にはハンダで
リ−ド線35、36を付けた後、リ−ド線以外の構造物
をエポキシ樹脂塗装することによって酸化亜鉛バリスタ
が形成されている。
【0048】 このようにして得られた酸化亜鉛バリス
タの電気特性を実施例1と類似の方法で評価した。直流
負荷試験では 3.5 mW を500 時間印加したときの変化率
を求めた。また、8× 20μsec, 5Ampのパルスの1
0回印加によるバリスタ立ち上がり電圧V1mAの変化率△
V1mA/V1mA(サ−ジ変化率)を測定した。表5に試料の
組成を、表6に電気特性の評価結果を示す。サ−ジ変化
率の値が小さいほど、酸化亜鉛バリスタの電気特性が安
定しており、信頼性が高いことを示している。いずれも
変化率が5%以下で信頼性が高いことを示している。な
お、電気特性の評価結果を示す数値は、ロット内の最小
値と最大値を示した。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】 表5および表6より、本実施例の酸化亜
鉛系磁器積層物を用いた酸化亜鉛バリスタは、非直線抵
抗特性がよく、長時間の直流負荷に対してもまたサ−ジ
に対しても、立ち上がり電圧V1mAの変化率(△V1mA/V1
mA)の絶対値が5%以下で、信頼性が優れていた。ま
た、表6に示されているように、ロット内の電気特性の
バラツキもちいさかった。表6には示されていないが、
本実施例の酸化亜鉛系磁器を用いて酸化亜鉛バリスタを
作成すると、ロット間の電気特性のバラツキも、ロット
内の電気特性のバラツキと同様に小さかった。
【0052】
【発明の効果】 以上三つの実施例を使って説明したよ
うに、本発明は、低静電容量で非直線抵抗特性などの電
気特性および信頼性にすぐれた低電圧用酸化亜鉛バリス
タを高い歩留りで提供する。電子回路のディジタル化が
すすんでくると、高い周波数のノイズが発生し、ディジ
タル化された各種電子装置で高い周波数のノイズの除去
が急務となっている. とくに半導体を用いた回路で
は、立ち上がり電圧が10ボルト以下の低電圧用バリス
タが求められる. 従来の粒界バリア型ではサ−ジ吸収
能力は優れていたが低電圧用では素子の焼結体の電極間
のバリアの数をコントロ−ルできず、立ち上がり電圧の
値のバラツキが大きく、実用化が困難であった。本発明
では、二個の高い密度の酸化亜鉛系磁器で挟まれた磁器
界層にはダブル・ショットキ−型のバリアが形成され、
電極を付けることによって低電圧バリスタを得た.そし
て磁器界層の面積を小さくして低静電容量で低電圧用の
酸化亜鉛バリスタを得た.実施例では、電極材料として
実施の容易な銀を用いたが、酸化雰囲気中で酸化しない
金属や合金を用いることができる。また、実施例では、
磁器界層を形成する材料としてBi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr
2O3、TiO 2、SnO2の中の2〜3種を選び混合し熱処理を
施して、あるいはそれらの熱処理を施した混合粉を組み
合わせて用いたが、PbO、SiO2、Ta2O5、GeO2、BaO、Sr
O、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOをも含めた中から選ぶと漏れ
電流が小さいとか、高電流域で非直線性に優れていると
か、低温での電極形成に適しているなど、それぞれ特徴
のあるバリスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で作成した板状タイプの酸化
亜鉛バリスタの概略斜視図。
【図2】本発明の実施例2で作成した板状タイプの酸化
亜鉛バリスタの概略断面図。
【図3】本発明の実施例3で作成した積層タイプの酸化
亜鉛バリスタの概略断面図。
【符号の説明】
10 酸化亜鉛バリスタ 11、12 酸化亜鉛系磁器 13 磁器界層 14、15 電極 16、17 リ−ド線 20 酸化亜鉛バリスタ 21 酸化亜鉛系磁器 22、23 磁器界層 24、25 酸化亜鉛系磁器 26、27 電極 28、29 リ−ド線 30 酸化亜鉛バリスタ 31 酸化亜鉛系磁器 32 磁器界層 33、34 電極 35、36 リ−ド線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA06 AA07 AA09 AA10 AA11 AA12 AA16 AA21 AA22 AA25 AA27 AA28 AA29 AA32 AA35 AA36 AA37 AA38 AA39 AA40 AA42 AA43 BA04 CA08 GA09 GA27 5E034 CA07 CA08 CB01 CC02 CC10 CC17 DA02 DA07 DB01 DB11 DC02 DD03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化マンガン (MnO)、酸化コバルト (Co
    O)、酸化鉄 (Fe2O3)、酸化ニッケル (NiO)、酸化マグネ
    シウム (MgO)、酸化アルミニウム (Al2O3) および酸化
    ベリリウム (BeO) のうちの少なくとも1つの酸化物を
    含有する酸化亜鉛系磁器の面上に、酸化ビスマス (Bi2O
    3)、酸化アンチモン (Sb2O3)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化
    クロム (Cr2O3)、酸化鉛 (PbO)、酸化チタン (TiO2)、
    酸化珪素(SiO2)、酸化スズ (SnO2)、酸化タンタル (Ta2
    O5)、酸化ゲルマニウム (GeO2)、酸化バリウム (BaO)、
    酸化ストロンチウム (SrO)、酸化イットリウム (Y
    2O3)、酸化プラセオジウム (Pr2O3)、酸化コバルト(Co
    O)、酸化マンガン(MnO)、Co、Oのうちの少なくとも
    2つの酸化物を含有する酸化物膜を介して前記酸化亜鉛
    系磁器と同種の酸化亜鉛系磁器が積層されてなる酸化亜
    鉛系磁器積層物。
  2. 【請求項2】MnO、CoO、Fe2O3、NiO、MgO、Al2O3、BeO
    のうちの少なくとも1つの酸化物を含有する酸化亜鉛系
    磁器の面上二カ所に、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr 2O3、Pb
    O、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3
    Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物を含
    有する酸化物膜を介して前記酸化亜鉛系磁器と同種の酸
    化亜鉛系磁器が積層されてなる酸化亜鉛系磁器積層物。
  3. 【請求項3】酸化亜鉛系磁器の面上二カ所が、酸化亜鉛
    系磁器の異なった面である請求項2記載の酸化亜鉛系磁
    器積層物。
  4. 【請求項4】MnO、CoO、Fe2O3、NiO、MgO、Al2O3、BeO
    のうちの少なくとも1つの酸化物を含有する酸化亜鉛系
    磁器と、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、TiO2、Si
    O2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3、Pr2O3、Co
    O、MnOのうちの少なくとも2つの酸化物を含む酸化物膜
    とが交互に積層されてなる酸化亜鉛系磁器積層物。
  5. 【請求項5】酸化物膜が、Bi2O3、Sb2O3、B2O3、Cr
    2O3、PbO、TiO2、SiO2、SnO2、Ta2O5、GeO2、BaO、Sr
    O、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOのうちの少なくとも2つの酸
    化物よりなる混合物に350℃〜700℃の範囲の熱処
    理を施して得た合成酸化物を含有する酸化物膜よりなる
    請求項1、2または請求項4記載の酸化亜鉛系磁器積層
    物。
  6. 【請求項6】ZnO粉に、MnO、CoO、Fe2O3、NiO、MgO、Al
    2O3、BeOのうちの少なくとも1つの酸化物を添加し混合
    ・成型し焼結して酸化亜鉛系磁器を得る工程と、Bi
    2O3、Sb2O3、B2O3、Cr2O3、PbO、TiO2、SiO2、SnO2、Ta
    2O5、GeO2、BaO、SrO、Y2O3、Pr2O3、CoO、MnOのうちの
    少なくとも2つの酸化物粉体よりなる混合物に350℃
    〜700℃の範囲の熱処理を施し、合成酸化物粉を作成
    する工程と、前記酸化亜鉛系磁器上に前記合成酸化物粉
    を含有する酸化物膜を形成する工程と、前記の酸化物膜
    を介して前記酸化亜鉛系磁器を積層する工程を含有する
    酸化亜鉛系磁器積層物の製造方法。
  7. 【請求項7】電極が形成された酸化亜鉛系磁器積層物が
    バリスタである請求項1、2、3、4、または請求項5
    に記載の酸化亜鉛系磁器積層物よりなる酸化亜鉛バリス
    タ。
  8. 【請求項8】焼成時に酸化亜鉛系磁器積層物の外部に銀
    または銀系合金の電極が同時に形成されてなる請求項7
    に記載の酸化亜鉛バリスタ。
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