JP3230204B2 - コンクリート構造物の防水止水補修方法 - Google Patents

コンクリート構造物の防水止水補修方法

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JP3230204B2
JP3230204B2 JP14933799A JP14933799A JP3230204B2 JP 3230204 B2 JP3230204 B2 JP 3230204B2 JP 14933799 A JP14933799 A JP 14933799A JP 14933799 A JP14933799 A JP 14933799A JP 3230204 B2 JP3230204 B2 JP 3230204B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物におけるクラック、ジャンカあるいはコールドジョイ
ント打継ぎ部の接合不良等による漏水部を、浸透性防水
剤の注入によって防水止水補修するための技術に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物においては、コンク
リートの乾燥収縮による亀裂や、コンクリートの骨材の
アルカリ骨材反応や、コンクリートの経年変化による中
性化、近隣道路の車両通行による振動や地震等、種々の
要因によるクラックや、コンクリート躯体施工時に部分
的にセメントペーストが骨材と混合不足になることによ
るジャンカ、コールドジョイント、あるいはコンクリー
ト打継ぎの際に先打ちコンクリートと後打ちコンクリー
トとの界面が十分に接合されなかった部分等に、雨水
(地下構造物においては地下水)等が浸透して漏水を生
じることがある。このような漏水はコンクリート躯体層
内部の鉄筋を腐食させることや、アルカリ成分のコンク
リートを中性化させることにより、強度低下の原因とな
るため、補修によって確実に防水・止水する必要があ
る。
【0003】従来、コンクリート構造物の漏水部を防水
止水補修する方法としては、コンクリート躯体の壁面
に、ドリル等を用いてクラックやジャンカあるいはコー
ルドジョイント打継ぎ部等による漏水経路に達する穿孔
を開設し、この穿孔から、セメントに水に加えたセメン
トスラリーを注入する工法が採用されている。注入され
たセメントスラリーは、クラック等の内部で経時的に硬
化することによって周囲の躯体コンクリートと同様の組
成となり、漏水経路を遮断する。
【0004】しかしながら、従来の補修方法によれば、
セメントスラリーはセメント粒子の粒径が比較的大きい
ため、ヘアークラック等のように狭い空隙による漏水経
路への注入がうまく行われないといった問題がある。す
なわち、セメントスラリーがこのような狭い隙間を通過
する際には濾過作用によって水と分離したセメント粒子
による目詰まりが起こってしまい、漏水経路全体を有効
に止水することが困難になる。また、セメントスラリー
注入用の機器は、セメントスラリーが付着したまま硬化
すると再使用が不可能になってしまうので、使用後の洗
浄等を十分に行う必要がある。
【0005】そこで近年は、従来のセメントスラリー等
に代わるコンクリート補修剤として、例えば親水性ポリ
ウレタンや、水硬性硬質発泡ウレタン等からなる防水剤
が開発されている。この防水剤は水と反応することによ
って硬化して安定な高分子物質となり、漏水経路を閉塞
するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の防水
剤は、人体に有害で可燃性のイソシアネートを含むた
め、作業の安全性に細心の注意を払う必要がある。ま
た、有機性であるため、カビや各種の菌類に侵されやす
く、この場合は施工後半年〜3年程度で止水性が損なわ
れて再び漏水が発生するおそれがあった。
【0007】本発明は、以上のような問題に鑑みてなさ
れたもので、その主な技術的課題とするところは、コン
クリート構造物の亀裂や打継ぎ部等の漏水経路に防水剤
を効率よくかつ安全に注入可能とし、確実な防水を可能
とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題は、本発
明によって有効に解決することができる。すなわち本発
明に係るコンクリート構造物の防水止水補修方法は、コ
ンクリート面から漏水経路と適当な傾斜角度で交叉する
ように所要数の穿孔を開設し、前記穿孔にプラグを挿入
してその外周を前記穿孔の孔内面に水密的に定着させ、
前記プラグを給水源に接続して水を前記プラグで密閉さ
れた穿孔内の閉塞空間から漏水経路に注入し、前記プラ
グに防水剤供給装置を接続して溶液状又は懸濁液状の防
水剤を前記ブラグで密閉された穿孔内の閉塞空間に注入
し、硬化させるものである。
【0009】また、この方法において好ましくは、防水
剤はコンクリートの空隙に浸透されることによってコン
クリート中のアルカリ土類金属(カルシウム、マグネシ
ウム、アルミニウム等)と反応して撥水性・水不溶性の
物質を生成する水溶性組成物であり、典型的には、界面
活性剤、水不溶性粉状物、カルシウム凝集性水溶性ポリ
マ等を含む水溶性のアルカリ無機質を主とした組成物で
あって、躯体コンクリートと同様の組成で長期にわたっ
て優れた止水効果を維持することができる。
【0010】更にこの場合一層好ましくは、プラグに螺
合される合流管部と、この合流管部から延びる第一及び
第二接続端部からなる継手を用い、第一及び第二接続端
部のうちの一方に防水剤供給手段を接続し、他方に混和
剤供給手段を接続して、防水剤を、反応を促進する混和
剤と共に注入する。この混和剤は、例えばカルシウムの
水溶液、水酸化カルシウム、フッ化カルシウム、シリカ
ヒューム、リチウムシリケート、亜硝酸リチウム、ポリ
アクリル酸ソーダ、アクリロニトリル等から選択され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】図1乃至図12は、本発明に係る
コンクリート構造物の防水止水補修方法の実施形態を示
すものである。これらの図において、参照符号1はコン
クリート構造物の躯体層(以下、単にコンクリート躯体
層という)、Lはこのコンクリート躯体層1に発生した
貫通性クラックあるいはコンクリート打継ぎ部等による
漏水経路である。
【0012】まず図1において、(A)はクラック等に
よる漏水経路Lが露出したコンクリート躯体層1の壁面
(以下、コンクリート面という)1aの部分的な正面
図、(B)は(A)におけるB−B’断面図である。す
なわちこの図1に示される工程においては、コンクリー
ト面1aから図示されていないハンマドリル等によっ
て、コンクリート躯体層1内で漏水経路Lと適当な傾斜
角度をもって交叉する穿孔Hを開設する。
【0013】穿孔Hの開設ピッチPは漏水経路Lの幅に
応じて適切に決められるが、通常は200〜600mm
とし、前記漏水経路Lの左右から交互に穿孔される。ま
た、前記穿孔Hは、漏水経路Lがコンクリート面1aと
ほぼ直交するものである場合、前記漏水経路Lの露出部
に対してコンクリート躯体層1の厚さtの1/2に相当
する位置からθ≒45°の傾斜角で開設すれば、前記コ
ンクリート躯体層1のほぼ厚さ方向中間位置で漏水経路
Lと交叉することになる。但し、その交叉位置は漏水流
量に応じて適切に決められるものであり、例えば比較的
漏水が顕著である場合は、θ>45°とすることによっ
て、コンクリート躯体層1の厚さ方向中間位置よりも奥
側(漏水流の上流側)に偏在する位置で漏水経路Lと交
叉させるように穿孔Hを開設する。なお、前記角度は、
特に限定されるものでないことは勿論である。
【0014】次に図2に示されるように、穿孔Hにプラ
グ10を挿入する。このプラグ10は、図3に内部構造
が示されるように、ノズル部材11と、このノズル部材
11の外周に外挿されたパッキング12と、このパッキ
ング12の軸方向両端に配置されたワッシャ13,14
と、前記ノズル部材11に着脱自在に取り付けられるニ
ップル状継手15と、このニップル状継手15に内蔵さ
れた逆止弁16とを備える。
【0015】ノズル部材11は外観が六角ボルト状を呈
するものであって、図示されていないスパナ等の治具に
係合可能な六角頭部111と、この六角頭部111から
延び、外周面に雄螺子113が形成された軸部112と
からなり、前記六角頭部111から軸部112にかけて
の全長にわたって、その軸心に沿って貫通孔114が開
設されている。
【0016】ノズル部材11の軸部112に外挿された
パッキング12はエラストマ(ゴム状弾性体)で筒状に
成形されており、その外周面は軸方向中間部12aが最
も大径になる湾曲形状を呈する。そして図示の非圧縮状
態での軸方向長さはノズル部材11の軸部112の長さ
よりも短く、最も小径である軸方向両端の外径はノズル
部材11の六角頭部111とほぼ同一又はやや大径に形
成されていて、軸方向に圧縮変形を与えることによって
径方向の肉厚を顕著に増大するように変形ものである。
【0017】ワッシャ13,14は平座金状であって、
その外径はパッキング12の軸方向両端の外径と略同等
である。また、このうちパッキング12とノズル部材1
1の六角頭部111との間に介在される一方のワッシャ
13は鋼材等の金属からなり、パッキング12とニップ
ル状継手15との間に介在される他方のワッシャ14は
ナイロン等の軟質樹脂材からなる。
【0018】ニップル状継手15は外観が六角柱状を呈
する軸部151と、その外端部に形成されたニップル部
152とからなる。前記軸部151の軸心に沿って延び
る貫通孔153の内周面には、ノズル部材11の軸部1
12の外周面に形成された雄螺子113と螺合する雌螺
子154が形成されている。また、前記ニップル部15
2には、前記貫通孔153と連通する注入口155が開
設されている。
【0019】逆止弁16は、ニップル状継手15のニッ
プル部152に内蔵されており、貫通孔153と注入口
155との間に形成された弁室161と、この弁室16
1内に移動自在に配置された弁体162と、この弁体1
62を前記注入口155の内側開口端部に押し付けるス
プリング163とで構成される。すなわちこの逆止弁1
6は、注入口155から貫通孔153へ向けての所定以
上の圧力による流体の流れは、前記圧力によって弁体1
62がスプリング163を圧縮する方向へ変位して流路
を開くことによって許容し、逆方向への流体の流れは、
弁体162がスプリング163の付勢力で注入口155
を閉塞することにより阻止するようになっている。
【0020】プラグ10は上述のような構造を備えるた
め、図2に示されるように、ノズル部材11の六角頭部
111が穿孔Hの奥を向くと共に、ニップル部152を
含むニップル状継手15の外端近傍部分が穿孔Hの外側
へ突出した状態となるように挿入される。また、穿孔H
の内径φは、プラグ10を容易に挿入可能であると共
に、パッキング12を軸方向に圧縮することによってこ
のパッキング12が密着可能となる大きさとし、例えば
前記パッキング12の最も大径である中間部12aの外
径にほぼ等しいものとする。
【0021】次に、穿孔Hの外側へ突出したニップル状
継手15の軸部151の外端近傍部分に適当なねじ回し
治具(図示省略)を嵌合し、このねじ回し治具によっ
て、図4に示されるように、前記ニップル状継手15を
ノズル部材11の軸部112(図1参照)にねじ込んで
行く。すると、これに伴って前記ノズル部材11の六角
頭部111と前記ニップル状継手15の軸部151との
間で、ワッシャ13,14を介して軸方向に圧縮される
パッキング12が、径方向の厚みが増大するように変形
して、その内周面及び外周面が前記ノズル部材11の軸
部112及び穿孔Hの孔内面に大きな面圧で密接する。
【0022】すなわちこの状態において、パッキング1
2は当該プラグ10の外周部をシールすると共に、穿孔
Hの孔内面に対する定着手段として機能するものであ
る。例えば、締め付けトルクが45kgf・cmとなる
までニップル状継手15をねじ込むことによって、充分
なシール性と定着力が得られる。
【0023】各穿孔Hへのプラグ10の取付が終わった
ら、図5に示されるように、ニップル状継手15のニッ
プル部152に、図示されていない給水源に接続された
グリースガン2の射出口を嵌合し、このグリースガン2
から、プラグ10を介して水Wを適当な注水圧力で注入
する。この時、前記ニップル状継手15のニップル部1
52に内蔵された逆止弁16(図1参照)の弁体162
が、注入口155側からの注入圧力によって、スプリン
グ163の付勢力に抗して開弁動作するので、前記水W
はニップル状継手15の貫通孔153からノズル部材1
1の貫通孔114を通って、パッキング12で密閉され
た穿孔H内の閉塞空間Sに加圧充填され、更にこの閉塞
空間Sから漏水経路Lへ圧入されて行く。そしてこれに
よって、穿孔Hの開設時に発生したコンクリートの破砕
片や掘削粉等が排出され、洗浄されると共に、予め水W
が通水されることにより、漏水経路Lにおける狭い空隙
への浸透性防水剤4の浸透を容易にすることができる。
【0024】なお、漏水経路Lが露出したコンクリート
面1aが鉛直面である場合は、上記注水による洗浄作業
は、最も下側に位置する穿孔Hから順に行ない、水平面
である場合は、露出した漏水経路Lの幅が狭い方から順
に行なう。これによって、目詰まりの原因となる掘削粉
等の排出を一層確実に行うことができる。
【0025】上記注水・洗浄作業が終わったら、図6に
示されるように、ニップル状継手15のニップル部15
2に図示されていない防水剤供給装置に接続されたグリ
ースガン3の射出口を嵌合し、このグリースガン3か
ら、プラグ10を介して浸透性防水剤4を所定の圧力で
注入する。この浸透性防水剤4としては、例えばフロー
シーラー(登録商標;日本化薬株式会社製)が好適であ
り、先に説明したように、コンクリートの空隙に浸透
し、コンクリート中のカルシウム、マグネシウム、アル
ミニウム等のアルカリ土類金属と反応して、撥水性・水
不溶性の物質を生成し、止水効果を発揮するものであ
る。また、防水剤供給装置は、漏水圧よりも高圧の注入
圧力が得られるものを適切に選択する。
【0026】上記浸透性防水剤4の加圧注入過程では、
グリースガン3からの浸透性防水剤4の圧力によって、
先に説明した注水時と同様、ニップル状継手15のニッ
プル部152に内蔵された逆止弁16の弁体162がス
プリング163の付勢力に抗して注入口155を開くの
で、前記浸透性防水剤4はニップル状継手15の貫通孔
153からノズル部材11の貫通孔114を通って、パ
ッキング12で密閉された穿孔H内の閉塞空間Sに充填
され、更にこの閉塞空間Sから漏水経路Lにおける下流
側及び上流側の双方へ浸透され、そのほぼ全体に行きわ
たる。
【0027】なお、漏水圧力が大きい場合は、上流側へ
の浸透が行われにくくなるので、先に説明したように、
穿孔Hを、コンクリート躯体層1の厚さ方向中間位置よ
りも上流側に偏在する位置で漏水経路Lと交叉させるよ
うに開設する。
【0028】浸透性防水剤4は水溶液状又は懸濁液状で
低粘性であるため、クラック等による漏水経路Lがきわ
めて狭いものであっても目詰まりしにくく、しかも漏水
経路Lは予め通水・洗浄されているので容易に浸透し、
広く拡散される。また、この防水剤注入作業も、先の注
水・洗浄工程と同様の順序で行なう。
【0029】注入終了後は、図7に示されるように、プ
ラグ10におけるニップル状継手15のニップル部15
2に対するグリースガン3の嵌合を解除する。このと
き、前記ニップル部152に内蔵された逆止弁16の弁
体162がスプリング163の付勢力によって閉弁方向
へ変位して注入口155を塞ぐので、穿孔Hの閉塞空間
S内の浸透性防水剤4が、前記プラグ10を逆流して外
部へ流出してしまうことはない。
【0030】漏水経路Lに浸透した浸透性防水剤4は、
経時的に前記漏水経路Lの表面のカルシウムイオンや塩
基と反応し、水不溶性及び撥水性の極めて安定なゲル状
物質4aを生成する。そしてこの物質4aはコンクリー
トと強固に接着すると共に水で膨潤することによって漏
水経路Lを閉塞し、優れた止水作用を発揮する。また、
未反応状態で残存する浸透性防水剤4は、温度変化や振
動等による漏水経路Lの変化に追随して新たに硬化反応
するので、優れた防水機能を維持する。
【0031】また、上記浸透性防水剤4は、コンクリー
トのpH値(12〜13)に近いpH10〜11のアル
カリ性であるため、中性化による鉄筋の腐食等の防止効
果も期待できる。しかも、人体に無害であるため安全に
作業することができ、飛散した防水剤は水で容易に洗い
流すことができる。
【0032】注入後、1時間程度の養生期間を経過し
て、浸透性防水剤による止水効果が発現されたら、プラ
グ10におけるニップル状継手15を反時計方向に回転
させることによって、図8に示されるようにノズル部材
11の軸部112から分離・除去する。そして図9に示
されるように、穿孔Hの開口部を合成樹脂系のパテ5に
よって埋め、作業を完了する。
【0033】なお、浸透性防水剤4は、コンクリート面
1aにおける漏水経路Lの露出部にも、刷毛などで塗布
して浸透させることが一層好ましい。
【0034】また上述した一連の作業において、漏水経
路Lにおける漏水流量が多いために、漏水経路L内で浸
透性防水剤4が硬化反応しないうちに流出してしまうよ
うな場合は、次のような施工を行う。すなわち、まず図
10に示されるように、コンクリート面1aを、漏水経
路Lの露出部に沿って断面略V字形にカットし、このカ
ット部分1bのうち、図1(A)に示された穿孔H,
H,…の中間位置にホース6をセットすると共に、その
周囲のカット部分1bを急結セメント7の充填によって
閉鎖する。
【0035】次に、穿孔Hにセットしたプラグ10を介
して、先の図6と同様に浸透性防水剤4を所定の圧力で
注入し、この浸透性防水剤4の一部が、漏水経路Lを通
じてホース6の外端開口6aから溢出した時点で、この
ホース6を折り曲げる等の方法によって前記浸透性防水
剤4の流出を遮断してから前記注入を終える。これによ
って、前記浸透性防水剤4が漏水経路Lに保持されるの
で、所要時間の経過後、前記浸透性防水剤4の硬化反応
による止水性が発現されたことを確認して、ホース6を
除去すると共に、上述した図7乃至図9に示される工程
により、作業を終了する。
【0036】ところで、先に説明したように、この工法
で用いられる浸透性防水剤4は、コンクリートのカルシ
ウム成分や塩基等と反応して撥水性・水不溶性の止水物
質4aを生成するものであるため、この止水物質4a
は、漏水経路Lにおけるコンクリート表面と接触した部
分で生成される。このため、図11に示されるように、
漏水経路Lの幅の広い部分Laがあると、この部分La
では止水物質4aが漏水経路L全体を埋めた状態にはな
らず、隙間が形成されてしまう。したがってこのような
場合は、浸透性防水剤4の注入に際して、その反応を促
進させる混和剤、典型的にはセメントの微粒子を含んだ
水溶液等、カルシウム水溶液を同時に注入する。
【0037】図12は、上述のように浸透性防水剤4を
カルシウム水溶液等の混和剤8と共に注入する場合の実
施形態を示すものである。この実施形態においては、プ
ラグ10にニップル状継手15を用いず、代わりに、一
端171aが前記プラグ10におけるノズル部材11の
軸部に螺合される合流管部171と、この合流管部17
1の他端から90°かつ互いに反対方向に延びる第一及
び第二接続端部172,173からなるT型継手17を
用いる。すなわち、このT型継手17の第一及び第二接
続端部172,173のうちの一方に防水剤供給手段を
接続し、他方に混和剤供給手段(いずれも図示省略)を
接続することによって、浸透性防水剤4と、カルシウム
水溶液等からなる混和剤8をプラグ10を介して同時に
加圧注入する。
【0038】上記方法によれば、注入された浸透性防水
剤4は、漏水経路Lにおけるコンクリート表面でそのカ
ルシウム成分と反応することは勿論、コンクリート表面
に接していない部分でも、混和剤8に含まれるカルシウ
ムと反応することによって止水物質が生成される。この
ため、図11に示されるような漏水経路Lの幅の広い部
分Laでもその全域に止水物質4aが生成され、確実に
止水される。しかも、カルシウム成分が浸透性防水剤4
全体に拡散されるので、反応が早く(注入後10秒〜3
分程度で硬化)、コンクリートの中性化やアルカリ骨材
反応、塩害等による鉄筋の腐食を抑制する作用も期待で
きる。
【0039】なお、混和剤8としては、上述のようなセ
メントの微粒子を含むカルシウム水溶液のほか、水酸化
カルシウム、フッ化カルシウム、シリカヒューム、リチ
ウムシリケート、亜硝酸リチウム、ポリアクリル酸ソー
ダ、アクリロニトリル等を使用することができる。
【0040】また、上記実施形態のようなT型継手17
を用いずに、例えば図1(A)に示される漏水経路Lの
左右から交互に削孔された穿孔H,Hのうちの一方
に挿入・固定したプラグからは浸透性防水剤4、前記穿
孔H,Hのうちの他方に挿入・固定したプラグから
は混和剤8を注入して、この浸透性防水剤4と混和剤8
が漏水経路L内で互いに混合するようにしても良い。
【0041】なお、本発明は図示の実施形態に限定され
るものではなく、例えばシールドトンネル、貯水池、地
下構造物等、コンクリート構造物におけるあらゆる漏水
箇所の防水止水補修において実施することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るコンクリート構造物の防水
止水補修方法によれば、浸透性防水剤等をコンクリート
躯体層の漏水経路へ安全に、かつ効率よく注入すること
ができ、これによって、防水止水補修工事の容易化を図
ると共に、信頼性の高い防水止水補修を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物の防水止水補
修方法の好ましい一実施形態において、コンクリート面
に穿孔を開設する工程を示すもので、(A)はコンクリ
ート面の部分的な正面図、(B)は(A)におけるB−
B’断面図である。
【図2】上記実施形態において、穿孔へプラグを挿入し
た状態を示す説明図である。
【図3】上記実施形態において使用されるプラグの構造
を示す断面図である。
【図4】上記実施形態において、プラグを穿孔の孔内面
に定着させた状態を示す説明図である。
【図5】上記実施形態において、プラグを介して穿孔内
に注水することにより洗浄する工程を示す説明図であ
る。
【図6】上記実施形態において、プラグを介して穿孔内
に浸透性防水剤を圧入する工程を示す説明図である。
【図7】上記実施形態において、圧入された浸透性防水
剤の止水性が発現された状態を示す説明図である。
【図8】上記実施形態において、プラグからニップル状
継手を取り外す工程を示す説明図である。
【図9】上記実施形態において、穿孔の開口部をパテで
埋めた施工終了状態を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態として、漏水流量が多
い場合の施工方法を示す説明図である。
【図11】漏水経路の隙間の幅が広い場合の浸透性防水
剤による止水物質生成状況を示す説明図である。
【図12】本発明による他の実施形態として、漏水経路
の隙間の幅が広い場合の施工方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コンクリート躯体層 1a コンクリート面 4 浸透性防水剤 8 混和剤 10 プラグ H 穿孔 L 漏水経路 S 閉塞空間

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート面からその漏水経路(L)
    と適当な傾斜角度で交叉するように所要数の穿孔(H)
    を開設する工程と、 前記穿孔(H)にプラグ(10)を挿入してその外周を
    前記穿孔(H)の孔内面に水密的に定着させる工程と、前記プラグ(10)を給水源に接続して水(W)を前記
    プラグ(10)で密閉された穿孔(H)内の閉塞空間
    (S)から漏水経路(L)に注入する工程と、 前記プラグ(10)に防水剤供給装置を接続して溶液状
    又は懸濁液状の防水剤(4)を前記プラグ(10)で密
    閉された穿孔(H)内の閉塞空間(S)に注入し、硬化
    させる工程と、 からなることを特徴とするコンクリート構造物の防水止
    水補修方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 防水剤(4)はコンクリートの空隙に浸透されることに
    よってコンクリート中のアルカリ土類金属と反応して撥
    水性・水不溶性の物質を生成する水溶性組成物であるこ
    とを特徴とするコンクリート構造物の防水止水補修方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2の記載において、 プラグ(10)に螺合される合流管部(171)と、こ
    の合流管部(171)から延びる第一及び第二接続端部
    (172,173)からなる継手(17)を用い、第一
    及び第二接続端部(172,173)のうちの一方に防
    水剤供給手段を接続し、他方に混和剤供給手段を接続し
    て、防水剤(4)を、反応を促進する混和剤(8)と共
    に注入する ことを特徴とするコンクリート構造物の防水
    止水補修方法。
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