JP2015078528A - コンクリート構造物の空隙封止防水止水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート構造物のひび割れや空隙等の漏水経路に薬剤を効率良く注入可能とし、漏水経路や空隙を確実に封止し、コンクリート構造物の漏水を止め、防水性や止水性が長期間持続することができるコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法を提供すること。【解決手段】コンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、穿孔から疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、注入させた疎水性発泡ウレタン樹脂によって漏水の経路を止水する、又はコンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、穿孔からコンクリート躯体璧の背面の空隙に、砂、セメントの一方又は両方を注入し、その後、穿孔から空隙に疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、得られる混合発泡体によって空隙を封止させて止水する、コンクリート構造物の空隙封止防水止水工法。【選択図】図1
Description
本発明は、既設トンネル及び地下構造物等のコンクリート構造物の漏水経路の止水や背面に生じた空隙封止のために薬液組成物を注入するコンクリート構造物の封止防水止水工法に関する。
コンクリート構造物においては、コンクリートの乾燥収縮による亀裂や、コンクリートの骨材のアルカリ骨材反応や、コンクリートの経年変化による中性化や、供用中の加重条件又は環境条件、特には近隣道路の車両通行による振動あるいは地震等、種々の要因によってひび割れ(クラック)を生じたり、また、コンクリート躯体施工時、部分的にセメントペーストが骨材と混合不足になることによるジャンカ、コンクリートを連続して打設する場合、先に打ったコンクリートが、次の層が打設されるまでにある程度凝結した場合や、境界面の締固め作業が不充分な場合などに発生するコールドジョイント打継ぎ部等の不良部分が生じることがある。これらひび割れや不良部分等に、流水(地下構造物においては地下水)等が浸透して漏水を生じることがある。このような漏水は、アルカリ成分のコンクリートの中性化を促進させ、コンクリート躯体内部の鉄筋や鋼材を発錆・腐食させ、腐食がある程度進行すると錆の膨張圧によって、コンクリート構造物に大きなひび割れを発生させることになり、強度低下の原因となるため、補修によって確実に防水・止水を施す必要がある。
従来、コンクリート構造物の漏水部を防水止水補修する方法としては、コンクリート躯体の壁面に、ドリル等を用いてひび割れやジャンカ又はコールドジョイント打継ぎ部等による漏水経路に達する穿孔を開設し、この穿孔から、セメントに水に加えたセメントミルクを注入する工法が採用されていた。注入されたセメントミルクは、クラック等の内部で経時的に硬化することによって周囲の躯体コンクリートと同様の組成となり、漏水経路を遮断する。
従来の補修方法によれば、セメントミルクはセメント粒子の粒径が比較的大きいため、ヘアークラック等のように狭い隙間による漏水経路への注入が十分に行われないといった問題があった。すなわち、セメントミルクがこのような狭い隙間を通過する際には濾過作用によって水と分離したセメント粒子による目詰まりが起こってしまい、漏水経路全体を有効に止水することが困難になる。
そこで近年は、従来のセメントミルク等に代わるコンクリート補修材として、例えば硬質発泡ウレタン樹脂等からなる止水材が開発されている。この止水材は、水分と反応することによって硬化して安定な高分子物質となり、漏水経路を閉塞して止水するものである(特許文献1)。
また、トンネルの覆工コンクリートは、地山と密着し地山からの荷重をトンネル全体に分散することで必要な地盤反力を得る設計となっているが、供用後の湧水の影響や覆工コンクリートの充填不足により覆工天端部分の背面に空隙が生じている場合がある。地山との間に空隙があると、覆工コンクリートに局部的で不均等な荷重が作用することとなり、トンネル肌面のひび割れや小崩落が発生したり、地下水等の流水が空隙を流路としてトンネル内に漏水するなど、供用上の問題が発生する。同様に、コンクリート構造物と地盤との間に空隙を生じると、コンクリート構造物が不同沈下して傾いたり、地下水が空隙を流路として地下構造物内に漏水することがある。そのため、覆工コンクリート又は地下構造躯体壁に穿孔を開設し、この穿孔から既設トンネルやコンクリート構造物に生じた背面の空隙に薬液を注入して、コンクリート躯体外部に防水層を形成することもが行われている(特許文献2)。
しかしながら、コンクリート構造物のひび割れや空隙等の漏水経路に薬剤を効率良く注入することや、漏水経路を封止し、漏水を止めることのできる高い止水性や防水性を長期間にわたって維持することができないという課題を有していた。
本発明の目的は、コンクリート構造物のひび割れや空隙等の漏水経路に薬剤を効率良く注入可能とし、漏水経路や空隙を確実に封止し、コンクリート構造物の漏水を止め、防水性や止水性が長期間持続することができるコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下の構成により、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
本発明の主たる構成は、コンクリート躯体璧に表裏貫通したひび割れにより漏水しているコンクリートの空隙封止防水止水工法であって、該コンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、該穿孔から疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、注入させた疎水性発泡ウレタン樹脂によって漏水の経路を止水することを特徴とするコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法である。
穿孔から注入された疎水性発泡ウレタン樹脂は、加水反応により炭酸ガスを発生し、炭酸ガスの発泡圧力により微細な漏水経路の隙間に浸透しながら、注入量の数倍の発泡体となり漏水経路を止水し、高強度で止水性の高い止水層を形成することができる。
また、本発明のコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法に係る他の構成は、コンクリート躯体璧の背面に空隙があるコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法であって、該コンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、該穿孔からコンクリート躯体璧の背面の空隙に、砂、セメントの一方又は両方を注入し、その後、該穿孔から該空隙に疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、得られる混合発泡体によって空隙を封止させて止水することを特徴とする。
穿孔からコンクリート躯体璧の背面の空隙に砂、セメント、疎水性発泡ウレタン樹脂を混合注入することにより得られる混合発泡体が、空隙を封止し、更には漏水経路にも浸透することにより、高強度で止水性の高い止水層を形成することができる。
また更に、本発明のコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法に係る他の構成は、前記疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡倍率が20〜50倍である。
疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡倍率を20〜50倍と設定したものにあっては、確実に圧縮、引張、曲げ、付着強度を得ることができる。
本発明は、上記した構成となっているため以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、薬剤を効率良く注入可能であり、発泡体により漏水経路を確実に止水し、高強度で止水性の高い止水層を形成することができる。
本発明の主たる構成にあっては、薬剤を効率良く注入可能であり、発泡体により漏水経路を確実に止水し、高強度で止水性の高い止水層を形成することができる。
コンクリート躯体璧の背面の空隙に砂、セメント、疎水性発泡ウレタン樹脂を混合注入するものにあっては、混合発泡体により確実に空隙を封止でき、更に、高強度で止水性の高い止水層を形成することができる。
疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡倍率を20〜50倍としたものにあっては、圧縮、引張、曲げ、付着強度に優れた発泡体を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(1)トンネルの場合
図1(a)はトンネル天端部における横断図であり、図1(b)はトンネルの断層断面図である。図2(a)はトンネル天端部に空隙を有する横断図であり、図2(b)はトンネル天端部に空隙を有する断層断面図である。
図1(a)はトンネル天端部における横断図であり、図1(b)はトンネルの断層断面図である。図2(a)はトンネル天端部に空隙を有する横断図であり、図2(b)はトンネル天端部に空隙を有する断層断面図である。
a.図1(a)及び(b)に示されるように、トンネルTは地盤Gと密着した覆工コンクリートStを有しているが、表裏貫通したひび割れ(クラック)Cや打継部が漏水経路となっていることが多い。このためクラックCや打継部のトンネル天井(天端)に複数個の薬液注入孔1を所定の開設ピッチPにて穿孔する。また、トンネル側壁に確認孔2を穿孔する。覆工コンクリートStへの薬液注入孔1の開設ピッチPは、薬液のクラックCへの浸透具合から200〜1000mmであることが好ましい。
薬液注入孔1には、パイプ、ノズル又はパッカー等の注入器具(図示せず)を取付けて薬液を注入装置により図中の矢印方向から注入させた。
本実施例では薬剤として、疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−020NF、日本TACSS協会製)に触媒(商品名:C−852、日本TACSS協会製)を5質量%混合させたものを用いた。この薬液における、発泡倍率は20倍である。
疎水性発泡ウレタン樹脂は、水と良く反応し、独立発泡型の半硬質固結体を形成し、優れた止水効果を発揮する。一液型タイプのため効率良く注入可能で注入作業性に優れ、またコンクリート等によるアルカリ劣化が少なく、耐久性に優れている。有害な特定化学物質や重金属類を一切含まない無溶剤系であり、安全性にも優れている。疎水性発泡ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物(ウレタンポリマー)を主成分とするものであり、ほとんど水には溶解しないが、水と接触すると固結反応を起こす。水に接触した疎水性発泡ウレタン樹脂は、水自身が硬化剤の役割を果たして、強固なポリ尿酸ゲル(ウレタン樹脂)を形成する。
薬液注入孔1から注入された疎水性発泡ウレタン樹脂は、水に溶解しないため湧水や地下水によって希釈されず、水と接触した部分から、所定の時間経過に従って順次反応を始め、加水反応により炭酸ガスを発生し、炭酸ガスの発泡圧力により微細な漏水経路の隙間に浸透しながら最終的に全量がゲル化し、注入量の数倍の発泡体(固結体)が得られる。生成されたゲルは、ウレタン樹脂特有の強い接着性によって相互に強く接着させるため、高強度で止水性の高い発泡体が形成される。
疎水性発泡ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物(ウレタンポリマー)単独だけでも硬化するが、反応速度を高めてより速やかに硬化させる触媒を添加しても構わない。なお、触媒には地盤等の土壌を汚染しないものを用いることが好ましい。
疎水性発泡ウレタン樹脂は、加水反応により生じた炭酸ガスの発泡圧力により覆工コンクリートStのクラックCの微細な漏水経路の隙間に浸透し易くなるだけではなく、注入量の数倍の発泡体が得られるため覆工コンクリートStの背面に生じた空隙を封止することもできる。疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡倍率は、圧縮、引張、曲げ、付着強度の観点から20〜50倍が好ましく、より好ましくは20〜30倍である。
薬液の注入装置は、注入面積が広い場合はケミカルポンド等の自動ポンプ装置を使用し、注入面積が狭い場合は半自動ポンプやグリスポンプ等を使用してもよい。
薬液注入孔1から注入した薬液は、湧水や地下水の水と接触した部分から、所定の時間経過に従って順次反応をはじめ、加水反応により炭酸ガスを発生し、炭酸ガスの発泡圧力及び体積膨張により微細なクラックCの隙間に浸透し、その後、高強度で止水性の高い発泡体がクラックCによる漏水経路を封止し、止水する。また、薬液が地盤Gに達した所では、水の浸入口となる地盤Gまでも固めて止水層を形成する。
薬液注入孔1から注入した薬液が、発泡体として確認孔2から流出してくるのを確認したら薬液の注入を停止し、薬液の膨張による流出を防止するため薬液注入孔1及び確認孔2を閉鎖する。その後、次の薬液注入孔1に移動して注入を行う作業を順次繰り返す。
b.通常、トンネルの覆工コンクリートは、地山と密着し地山からの荷重をトンネル全体に分散することで必要な地盤反力を得る設計となっているが、図2(a)及び(b)に示されるように供用後の湧水の影響、覆工コンクリートの充填不足や打設した時に重みで下方に垂れて硬化し覆工天端部分の背面に空隙Sが大きく生じている場合がある。そして、地下水等の流水が空隙Sを流路としてトンネル内に漏水してくることが多い。
トンネルでの覆工コンクリートSt天端部分の背面の空隙Sが小さい場合であれば、疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡体だけで封止することが可能である。しかしながら、空隙Sが大きくなると疎水性発泡ウレタン樹脂だけでは強度不足となり、経年使用にて覆工コンクリートStが剥離する可能性があるため、注入成分としてセメントを混合して使用することが好ましい。
覆工コンクリートSt天端部分の背面に地盤Gとの空隙Sが大きく生じている箇所に複数個の薬液注入孔1及びセメント注入孔3を所定の開設ピッチPにて穿孔する。覆工コンクリートStへの薬剤注入孔1とセメント注入孔3の開設ピッチPは、薬液とセメントミルクの混合具合から200〜1000mmであることが好ましい。また、薬液注入孔1及びセメント注入孔3の穿孔は、図2(a)に示されるように天端部では薬液注入孔1とセメント注入孔3が交互に開設され、それに隣接する左右方向の注入孔でも薬液注入孔1とセメント注入孔3が交互に開設されることが、薬液とセメントミルクの混合具合から好ましい。
その後、初めにセメントに水を添加したセメントミルクを注入器具(図示せず)が取付けてあるセメント注入孔3から図2中の矢印方向に注入し、数分後、パイプ、ノズル又はパッカー等の注入器具(図示せず)が取付けてある薬液注入孔1から疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−030NK、日本TACSS協会製)に触媒(商品名:C−10、日本TACSS協会製)を5質量%混合させた薬液を注入装置により注入し、空隙S内部にセメントと発泡ウレタンとの混合発泡体4を造成させて空隙を封止すると共に、地盤Gとの接面に止水層を形成した。また、覆工コンクリートStに表裏貫通したクラックCが生じている際は、混合発泡体4が微細なクラックCの隙間に浸透し、漏水経路を封止し、止水することができる。この時、空隙Sへの流水が多い場合は、セメントミルクの水分を少なくして注入する。この薬液における、発泡倍率は30倍である。薬液及びセメントミルクの注入後は、薬液の膨張による混合発泡体4の流出を防止するため薬液注入孔1及びセメント注入孔3を閉鎖する。
セメントと薬液の混合比率は、コンクリリートと地盤との空隙や湧水量等を考慮し(セメント)0.1〜2:1(薬液)の範囲で適宜調整して注入する。
(2)床版、土間又は舗道の場合
図3及び図4は、コンクリート構造物が床版、土間又は舗道の空隙封止防水止水工法の一実施例を示す断面図である。図3(a)はコンクリート躯体璧Stと地盤Gの空隙Sが小さい場合の断面図であり、図3(b)は空隙Sが大きい場合の断面図である。図4(a)はコンクリート躯体璧Stと地盤Gの空隙Sが大きく、コンクリート躯体璧Stが撓んでいる断面図であり、図4(b)は注入孔を配設した様子を示す平面図である。
図3及び図4は、コンクリート構造物が床版、土間又は舗道の空隙封止防水止水工法の一実施例を示す断面図である。図3(a)はコンクリート躯体璧Stと地盤Gの空隙Sが小さい場合の断面図であり、図3(b)は空隙Sが大きい場合の断面図である。図4(a)はコンクリート躯体璧Stと地盤Gの空隙Sが大きく、コンクリート躯体璧Stが撓んでいる断面図であり、図4(b)は注入孔を配設した様子を示す平面図である。
a.図3(a)に示されるようにコンクリート躯体璧Stと地盤Gとの空隙Sが小さい場合は、コンクリート躯体璧Stに複数個の薬液注入孔11を所定の開設ピッチPにて穿孔する。コンクリート躯体璧Stへの薬液注入孔11の開設ピッチPは、空隙Sへの薬液の広がり具合から200〜1000mmであることが好ましい。
その後、薬液注入孔11に注入器具を取付けて疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−020NF)に触媒(商品名:C−852)を5質量%混合させた薬液を注入装置により図中の矢印方向から注入させた。
薬液注入孔11から注入した薬液は、地下水等の水と接触した部分から、所定の時間経過に従って順次反応をはじめ、加水反応により炭酸ガスを発生しながら発泡体を造成させて空隙Sを封止すると共に、地盤Gとの接面に止水層を形成した。また、コンクリート躯体璧Stに表裏貫通したクラックCが生じている際は、発泡体が微細なクラックCの隙間に浸透し、漏水経路を封止し、止水する。薬液注入後は、発泡体の流出を防止するため薬液注入孔11を閉鎖する。
b.地震、経年劣化や地盤沈下等によって図3(b)に示されるようにコンクリート躯体壁Stと地盤Gとの空隙Sが大きい場合は、砂、セメントミルクの一方又は両方と疎水性ウレタン樹脂を混合させた混合発泡体13によって空隙Sを封止させる。
コンクリート躯体璧Stに複数個の薬液注入孔11及び先行注入孔12を所定の開設ピッチPにて穿孔する。その後、初めに砂及びセメントミルクを先行注入孔12から図中の矢印方向より注入し、数分後、注入器具を取付けてある薬液注入孔11から疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−030NK)に触媒(商品名:C−10)を5質量%混合させた薬液を注入装置により注入し、空隙Sに砂、セメント及び発泡ウレタンの混合発泡体13を造成させて空隙Sを封止すると共に、地盤Gとの接面に止水層を形成した。コンクリート躯体璧Stに表裏貫通したクラックCが生じている際は、混合発泡体13が微細なクラックCの隙間に浸透し、漏水経路を封止し、止水する。薬液及びセメントミルクの注入後は、混合発泡体13の流出を防止するため薬液注入孔11及び先行注入孔12を閉鎖する。
砂、セメント及び薬液の混合比率としては、空隙が大きい場合は充填材として費用が安い砂比率を高くし、強度が必要な場合はセメント比率を高くする。
c.地震、経年劣化や地盤沈下等によって図4(a)に示されるようにコンクリート躯体璧Stと地盤Gとの空隙Sが大きく、コンクリート躯体璧Stが沈んで撓んだ場合は、砂、セメントミルクの一方又は両方と疎水性ウレタン樹脂を混合させた混合発泡体13の膨張圧力によってコンクリート躯体璧Stを持ち上げて撓みを矯正する。
図4(b)に示されるようにコンクリート躯体璧Stに複数個の先行注入孔12、ガス抜き孔14及び持ち上げ注入孔15を所定の開設ピッチPにて穿孔する。その後、初めに撓んでいない所又は撓みの少ない所から砂及びセメントミルクを先行注入孔12から図中の矢印方向より注入し、薬液が周囲の地盤Gに浸透しない状態にさせた後、注入器具を取付けてある持ち上げ注入孔15から疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−030NK)に触媒(商品名:C−10)を5質量%混合させた薬液を注入装置により注入し、空隙Sに砂、セメント及び発泡ウレタンの混合発泡体13を造成させて空隙Sを封止すると共に、地盤Gとの接面に止水層を形成した。薬液及びセメントミルクの注入後は、薬液の膨張による混合発泡体13流出を防止するため先行注入孔12及び持ち上げ注入孔15を閉鎖する。また、混合発泡体13の発泡時の膨張圧力を利用して、コンクリート躯体璧Stを徐々に持ち上げてコンクリート躯体璧Stの歪みを矯正させて平らにさせる。この時、急速に反応・発泡させるとコンクリート躯体璧Stが持ち上がり過ぎるため、ガス抜き孔14に装着してあるパッカー等の器具にて膨張圧力を調整する。コンクリート躯体璧Stに表裏貫通したクラックCが生じている際は、混合発泡体13が微細なクラックCの隙間に浸透して漏水経路を封止し、止水する。
(3)浄水場や地下構造物の場合
図5は、浄水場や地下構造物のコンクリート躯体璧がクラックを有する断面図である。図6は、浄水場や地下構造物のコンクリート躯体璧と地盤との空隙が大きい場合の断面図である。
図5は、浄水場や地下構造物のコンクリート躯体璧がクラックを有する断面図である。図6は、浄水場や地下構造物のコンクリート躯体璧と地盤との空隙が大きい場合の断面図である。
a.図5に示されるように、コンクリート躯体璧Stのひび割れや打継部に複数個の薬液注入孔21を所定の開設ピッチPにて穿孔する。コンクリート躯体璧Stへの薬液注入孔21の開設ピッチPは、薬液のクラックCへの浸透具合から200〜1000mmであることが好ましい。
その後、薬液注入孔21に注入器具を取付けて疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−020NF)に触媒(商品名:C−852)を5質量%混合させた薬液を注入装置により図中の矢印方向から注入させた。薬液注入後は、発泡体の流出を防止するため薬液注入孔21を閉鎖する。
薬液注入孔21から注入した薬液は、地下水等の水と接触した部分から、所定の時間経過に従って順次反応をはじめ、加水反応により炭酸ガスを発生し、炭酸ガスの発泡圧力により微細なクラックCの隙間に浸透する。クラックCの隙間において、高強度で止水性の高い発泡体が得られ、クラックCによる漏水経路を封止し、止水する。また、薬液が地盤Gに達した所では、水の入口となる地盤Gまでも固めて止水層を形成する。
b.図6に示されるようにコンクリート躯体壁Stと地盤Gとの空隙Sが大きい場合は、砂、セメントミルクの一方又は両方と疎水性発泡ウレタン樹脂とを混合させた混合発泡体23によって空隙Sを封止させる。
コンクリート躯体璧Stに複数個の薬液注入孔21及び先行注入孔22を所定の開設ピッチPにて穿孔する。薬剤注入孔21と先行注入孔22の開設ピッチPは、薬液と砂及びセメントミルクの混合具合から200〜1000mmであることが好ましい。
その後、初めに砂及びセメントミルクを先行注入孔22から図中の矢印方向より注入し、数分後、注入器具を取付けてある薬液注入孔21から疎水性発泡ウレタン樹脂(商品名:CR−030NK)に触媒(商品名:C−10)を5質量%混合させた薬液を注入装置により図中の矢印方向から注入し、空隙Sに砂・セメント及び発泡ウレタンの混合発泡体23を造成させて空隙Sを封止すると共に、地盤Gとの接面に止水層を形成した。薬液及びセメントミルクの注入後は、混合発泡体23の流出を防止するため薬液注入孔21及び先行注入孔22を閉鎖する。コンクリート躯体璧Stに表裏貫通したクラックCが生じている際は、混合発泡体23が微細なクラックCの隙間に浸透し、漏水経路を封止し、止水することができる。注入時に湧水が多い場合は、セメントミルクの水分は少なくしてセメントミルクと薬液の注入をほぼ同時に行う。
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による疎水性発泡ウレタン樹脂からなる薬剤を用いた止水工法は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であることは当然のことである。
本発明に係るコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法は、漏水している又はそのおそれのあるトンネルや地下構造物などのコンクリート構造物のひび割れや打継部の止水や空隙の封止に使用することができ、漏水経路の止水効果に優れ、長期の止水耐久性が期待でき、コンクリート構造物への施工が容易に違成できる。
1: 薬液注入孔
2: 確認孔
3: セメント注入孔
4: 混合発泡体
11: 薬液注入孔
12: 先行注入孔
13: 混合発泡体
14: ガス抜き孔
15: 持ち上げ注入孔
21: 薬液注入孔
22: 先行注入孔
23: 混合発泡体
C: ひび割れ(クラック)
G: 地盤
P: 開設ピッチ
S: 空隙
St: コンクリート躯体璧(覆工コンクリート)
T: トンネル
2: 確認孔
3: セメント注入孔
4: 混合発泡体
11: 薬液注入孔
12: 先行注入孔
13: 混合発泡体
14: ガス抜き孔
15: 持ち上げ注入孔
21: 薬液注入孔
22: 先行注入孔
23: 混合発泡体
C: ひび割れ(クラック)
G: 地盤
P: 開設ピッチ
S: 空隙
St: コンクリート躯体璧(覆工コンクリート)
T: トンネル
Claims (3)
- コンクリート躯体璧に表裏貫通したひび割れにより漏水しているコンクリートの空隙封止防水止水工法であって、
該コンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、
該穿孔から疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、
注入させた疎水性発泡ウレタン樹脂によって漏水の経路を止水する
ことを特徴とするコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法。 - コンクリート躯体璧の背面に空隙があるコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法であって、
該コンクリート躯体璧に所定間隔にて複数個の穿孔を開設させて、
該穿孔からコンクリート躯体璧の背面の空隙に、砂、セメントの一方又は両方を注入し、
その後、該穿孔から該空隙に疎水性発泡ウレタン樹脂を注入し、
得られる混合発泡体によって空隙を封止させて止水する
ことを特徴とするコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法。 - 前記疎水性発泡ウレタン樹脂の発泡倍率が、20〜50倍である請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の空隙封止防水止水工法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106480993A (zh) * | 2016-12-08 | 2017-03-08 | 东南大学 | 一种构造外墙补漏补强内治理结构及施工方法 |
CN107663864A (zh) * | 2017-11-17 | 2018-02-06 | 金陵科技学院 | 一种市政管线隧道结构及施工方法 |
JP2021181747A (ja) * | 2019-05-08 | 2021-11-25 | 株式会社大阪防水建設社 | 止水注入剤 |
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2013
- 2013-10-17 JP JP2013216308A patent/JP2015078528A/ja active Pending
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CN106480993A (zh) * | 2016-12-08 | 2017-03-08 | 东南大学 | 一种构造外墙补漏补强内治理结构及施工方法 |
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