JP3121658U - クラック誘発止水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】打設後のコンクリート躯体に予め想定した箇所にのみクラックを適切に生ぜしめて他の箇所でのクラックの発生を防ぎ、かつ効果的に止水するコンクリート躯体のクラック誘発止水構造を提供する。
【解決手段】鉄筋とクラック誘発止水部材とを含むコンクリート構造物のクラック誘発止水構造であって、該クラック誘発止水部材に止水剤注入用の孔が穿設されており、該孔と外部を連通する開口部が設けられており、また開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、該開口部が止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われているコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設されているクラック誘発止水構造。
【選択図】図8

Description

本考案は、打設後のコンクリート躯体に予め想定した箇所にのみクラックを適切に生ぜしめて他の箇所でのクラックの発生を防ぎ、かつ効果的に止水するコンクリート躯体のクラック誘発止水構造、およびそれに用いるクラック誘発止水部材に関する。
鉄筋コンクリート構造物の躯体表面では、打設したコンクリートの硬化収縮によるクラック発生が避けられないが、このクラックが任意の多数箇所に発生すると、美観を損なうだけでなく、水分の浸入による内部鉄筋の腐食・劣化につながり、躯体強度の低下を招くおそれがある。これらを防止するため、コンクリート躯体の所定箇所にクラック誘発目地や誘発構造を形成して断面形状を他部分と異ならせ、こうした部分への応力集中によりクラックを積極的に集中発生させ、他の部位に無秩序にクラックが多数発生するのを防止し、クラックへの防水工事を容易化する手法が従来から採られてきた。
このようなあらかじめ想定した箇所に適切に管理された状態で積極的にクラックを生じさせるクラックの誘発目地や誘発構造のうち、コンクリート内部に鉄筋と共に埋込まれるクラック誘発部材によりクラックを誘発させる従来のクラック誘発構造の一例として、特許文献1に記載されるものがあり、これを図12および図13に示す。この図12は従来のクラック誘発構造の施工状態の概略横断面図であり、図13はクラック誘発状態の概略横断面図である。
前記図12において従来のクラック誘発構造で用いるクラック誘発部材100は、排水路110となる空隙を挟む断面略コ字形状の樋状体であり、開口両端には所定長さの対向片101が設けられてなり、これら排水路110を取囲む部分や対向片101の外側は、耐久性や耐ひび割れ性等に優れた所定の弾性材からなる止水材102で被覆され、さらにその外側主要部分を、コンクリートとの付着性のよい他の止水材103で被覆される構成である。
上記従来のクラック誘発部材の鉄筋への取付及びクラックを生じさせる過程について説明する。まず、壁筋120の配筋後、排水路110の開口が壁外方に向くように配置しつつクラック誘発部材100を壁筋120に固定する。一方、型枠130には、L型断面部材等のノッチ形成部材131が取り付けられ、その先端が型枠130からその内方に突出した状態とされる。この後、型枠130内にコンクリートが打設されるが、クラック誘発部材100における対向片101間の空隙部分へのコンクリートの流入はない。コンクリート硬化後、型枠130を解体し、ノッチ形成部材131を撤去すれば、コンクリート200の表側にノッチ形成部材131によりノッチが形成され、クラック誘発部材100がコンクリート200内部に埋設された状態が得られる。
コンクリート200が硬化収縮すると、対向片101間の空隙部分前面側におけるコンクリート厚さが薄いことから、その外側のノッチ201からクラック202が誘発されて形成され、このクラック202は対向片101間の空隙に至り、クラック202と排水路110は連通した状態となる。クラック202に雨水などの水が浸入した場合、水は対向片101間の空隙を通って排水路110に流れこみ、ここを落下して、例えば建物の一階の水平目地などに設けたパイプに流れ、外部に排水される。クラック誘発部材100の周囲は開口以外の部分が止水材102、103で被覆されており、クラック202からの水が排水路110以外に流れるのを阻止できる。
この他、従来のクラック誘発構造の他例として、特許文献2に記載されるものがあり、これを図14に示す。この図14は従来の他のクラック誘発構造の概略横断面図である。
前記図14において従来の他のクラック誘発構造で用いるクラック誘発部材300は、横断面形状が三角形の山形に突出する突出部分301a並びにこの突出部分301aの両側で延在する平板形状のフランジ部分301bからなる芯材301と、高分子材料製の粘着層302とを備える構成であり、コンクリート製の構造体400表面に設けられる溝410と構造用鉄筋420との間に、突出部分301aを溝410に対向させつつ配設されるものとなっている。
上記従来の他のクラック誘発構造では、まず、構造用鉄筋420に対し、突出部分301aが構造体外方に向くように配置しつつクラック誘発部材300を固定する。必要に応じて、構造用鉄筋420の内側に内側クラック誘発部材310を配設する。この後、構造用鉄筋420およびクラック誘発部材300を取囲む型枠内にコンクリートが打設され、このコンクリートの硬化により、クラック誘発部材300が構造体400内部に埋設された状態が得られる。一方、型枠の一部で内方に突出していた部材により、構造体400の表側には溝410が形成されている。
コンクリートが硬化収縮すると、溝410とクラック誘発部材300の突出部分301aとの間にクラックが発生する。このクラックから外気および水が浸入しても、クラック誘発部材300の粘着層302がコンクリートに対し密着しており、外気および水が粘着層302とコンクリートとの界面で阻止され、構造用鉄筋420が外気および水にさらされない。
特開平11−264200号公報 特許第2868994号公報
従来のクラック誘発構造は以上のように構成されていたことから、前記特許文献1に記載される従来前者の場合、クラック200に進入した水を外部に流出させるための排水設備が必要となり、しかもこうした設備はコンクリート躯体内部への埋込み型となることから、メンテナンスが困難であり、設備が劣化した場合の漏水等の危険が大きいだけでなく、クラック誘発部材100に沿って水を流している以上、水によるクラック誘発部材100の劣化は進行していくことから、最終的にクラック誘発部材100の破損に至ると浸水が鉄筋に達するのを防止できなくなり、鉄筋の劣化に伴う躯体強度低下が避けられないという課題を有していた。
この他、排水路が高さ方向に過度に連続すると、下側で排水能力が飽和してクラック200を通じて外部に水が漏れてしまう危険性があるため、所定高さごとに排水設備を設ける必要が生じ、コスト増大につながってしまうという課題を有していた。
ところで一般に、コンクリート躯体の全厚さの30%程度をコンクリート以外の物が占めている場合、その部分に優先的にクラックが生ずることが知られている。特許文献1および2における外壁との間の外部クラックはこの現象で発生する。一方、コンクリートの内部に発生する内部クラックについても、厚さが比較的薄い(たとえば45cm厚まで)の場合はクラック誘発部材が配設されている部分に優先的にクラックが発生するが、厚さが厚くなると当初想定した箇所に適切にクラックを生じさせることができなくなり、不規則に発生したクラックに伴って構造体内側部分の止水が適切に行えなくなる。
さらに横にかました鉄筋の下側部分には、コンクリートの硬化に伴う収縮により空隙が生じ、この空隙が水の通り道となって鉄筋の腐食を進め、またコンクリート構造物全体に水を廻らすことになっている。
特許文献2に記載の工法の場合、構造体400表面側の止水はクラック誘発部材300の表面粘着剤層で可能であるが、内側クラック誘発部材310により鉄筋で囲われた内部に生じた内部クラックはそのまま空隙として残されており、また水の通り道となる鉄筋の下側部分の空隙への有効な対処がなされておらず、コンクリート構造物全体の止水の面でさらなる改良が必要である。
本考案はこれらの課題を解消するものであり、外部および内部クラックを適切に誘発し、かつ適切に止水することができ、水の鉄筋への到達を内外両方向から防いでコンクリート構造物の強度低下を確実に防止できると共に、低コストで施工できるクラック誘発止水構造およびクラック誘発止水部材を提供することを目的とする。
すなわち本考案は、鉄筋とクラック誘発止水部材とを含むコンクリート構造物のクラック誘発止水構造であって、
該クラック誘発止水部材が、横断面形状T字形の長尺部材であり、該T字形の凸状部位の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する止水剤注入用の孔が穿設されており、少なくとも該T字形の平坦部位をなす平坦面に前記孔と外部を連通する1または2以上の開口部が設けられており、少なくとも該平坦面の開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、
該開口部が止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、
該クラック誘発止水部材が、該部材の凸状部位がコンクリート躯体の外面方向を向くようにコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設されている
クラック誘発止水構造に関する。
また本考案は、コンクリートの硬化に伴いコンクリート躯体外面の所定の箇所との間には外部クラックおよび鉄筋で囲われた内部には内部クラックを生ぜしめ、かつ止水するためにコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設されるクラック誘発止水部材であって、
横断面形状T字形の長尺部材であり、該T字形の凸状部位の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する止水剤注入用の孔が穿設されており、少なくとも該T字形の平坦部位をなす平坦面に前記孔と外部を連通する1または2以上の開口部が設けられており、少なくとも該平坦面の開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われており、かつ該開口部が止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われているクラック誘発止水部材にも関する。
かかる本考案の構造および部材は、コンクリート躯体内部の鉄筋近傍にクラック誘発止水部材を配設した後コンクリートを打設し、コンクリートの硬化に伴い該クラック誘発止水部材とコンクリート躯体外面の所定の箇所との間には外部クラックおよび鉄筋で囲われた内部にはクラック誘発止水部材を起点とする内部クラックを生ぜしめ、かつ止水するクラック誘発止水工法において、
該クラック誘発止水部材が、横断面形状T字形の長尺部材であり、該T字形の凸状部位の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する孔が穿設されており、少なくとも該T字形の平坦部位をなす平坦面に前記孔と外部を連通する1または2以上の開口部が設けられており、少なくとも該平坦面の開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であって、
該クラック誘発止水部材を該部材の凸状部位がコンクリート躯体の外面方向を向くようにコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設し、
該クラック誘発止水部材の孔とコンクリート躯体外部とが連通可能な状態に保持しながらコンクリートを打設し、
コンクリートを硬化させ、
コンクリート躯体外部からクラック誘発止水部材の孔に液状止水剤を注入し、開口部を通して内部クラック中に止水剤を充填する
ことを特徴とするクラック誘発止水工法に好適に適用できる。
本考案の構造および部材を採用することにより、コンクリート躯体外面(外壁)とクラック誘発止水部材との間に意図的に誘発させた外部クラックからの水の内部への浸入をクラック誘発止水部材の外壁方向の表面に設けられた粘着性被覆層により阻止することによって水が鉄筋にまで到達しないようにすることができると共に、クラック誘発止水部材からコンクリート躯体内部方向へ発生する内部クラック(鉄筋で囲われた内部には内部クラックのみならず、クラック誘発止水部材と鉄筋との間に生ずるクラックも含む)、さらには横方向の鉄筋の下側に形成された空隙にも、クラック誘発止水部材の孔に注入され開口部から放出される止水剤を充填することにより、コンクリート躯体内部のクラックおよび鉄筋近傍の止水も確実に達成できる。その結果、コンクリート構造物全体の強度を長期間維持することができる。
本考案の構造および部材において、前記クラック誘発止水部材の長手方向の一方の端部で孔の径が拡大されており、他方の端部に該拡大された孔に挿入可能な環状突部が設けられていることが好ましい。
このようにクラック誘発止水部材の端部を構成することにより、止水剤を注入する孔とコンクリート躯体外部との連通用の管などを接続しやすくなり、止水剤の注入充填作業が容易になる。また孔径が拡大された部分と環状突起とを嵌合することにより、孔の連通状態を維持したままクラック誘発止水部材同士を連結可能にすることができるので、誘発止水部材の寸法を短くでき、保管や配設作業が容易になり、また、硬化後のコンクリート躯体内部に誘発した内部クラックの隅々まで止水剤を注入充填できる。
本考案の構造および部材において、前記クラック誘発止水部材の開口部が、1もしくは2以上のスリット、または1もしくは2以上の小孔であることが好ましい。
止水剤を内部クラックに注入充填するための開口部をスリットや縦長の孔とすることにより、誘発止水部材の長手方向に広い範囲で均一に止水剤を部材の外部に流出させることができ、内部クラックへの充填封止を確実にすることができる。また、クラック誘発止水部材の横断面形状を部材全長に亘ってほぼ定形にすることができ、強度の向上が図れると共に構造を簡単なものにすることができる。たとえば、両端が開放された1本のスリットとするときは、誘発止水部材を押出加工でき、製造しやすくコストダウンが実現できる。
本考案の構造および部材において、前記開口部は、止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙(テープ状の紙)で覆われている。
開口部(スリットや小孔など)を上記特性をもつ紙で覆うことにより、未硬化のコンクリートの孔への浸入を防ぐことができ、コンクリート打設後も止水剤を容易に孔内に注入でき、かつコンクリートの硬化後には開口部そして紙を通して内部クラックに止水剤を充填できる。
本考案の構造において、前記コンクリート躯体の鉄筋で囲われた内部の中央部分に、コンクリート打設前に、クラック誘発止水部材と平行に内部クラック誘発体を配設することが好ましい。
内部クラック誘発体をコンクリート躯体の鉄筋で囲われた内部の中央部分に予め配設しておくことにより、クラック誘発止水部材だけでは有効な内部クラックを誘発しづらいような幅の広いコンクリート構造物の場合でも、内部クラック誘発体とクラック誘発止水部材との間に意図的に内部クラックを誘発でき、クラック誘発止水部材からの止水材の充填により内部クラックを効果的に封止・止水できる。
本考案の構造において、前記コンクリート躯体の鉄筋で囲われた内部の前記クラック誘発止水部材に対面する位置に、コンクリート打設前に、クラック誘発止水部材と平行に内部クラック誘発体促進体を配設することが好ましい。
かかる内部クラック誘発体促進体は特許文献2に記載されている内側クラック誘発部材と同様の効果を奏するものであり、クラック誘発止水部材に起点する内部クラックを効果的に発生させることができ、クラック誘発止水部材からの止水材の充填により内部クラックを効果的に封止・止水できる。この内部クラック誘発体促進体は前記内部クラック誘発体と併用してもよい。
つぎに本考案の実施形態を図面に従って説明するが、本考案はかかる実施形態に限定されるものではなく、当業者に自明の改良改変も含むものである。
図1は本考案のクラック誘発止水部材の施工時における一実施形態の概略横断面図であり、図2および図3はそれぞれクラック誘発止水部材の概略斜視図および一部省略背面図である。
かかる実施形態において、1はクラック誘発止水部材であり、横断面形状がほぼT字の長尺部材である(図1〜3参照)。クラック誘発止水部材1はアルミニウムなどの金属またはポリ塩化ビニルなどの合成樹脂で作製されていることが、軽量化や製造の容易さから好ましい。
図1に従ってクラック誘発止水部材1について説明する。なお、図1において紙面上方がコンクリート躯体の外壁面方向であり、紙面下方が鉄筋方向である(図7参照)。
クラック誘発止水部材1は、該T字形の凸状部位2とT字形の平坦部位3とからなり、凸状部位2の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する止水剤注入用の孔4が穿設されている。また、平坦部位3をなす平坦面5に前記孔4と外部を連通する1または2以上の開口部6が設けられており、少なくとも該孔4が設けられている平坦面5の開口部6以外の面の全部がコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料、たとえばブチルゴムなどの被覆層7で覆われている。
図1および図3に示すように、クラック誘発止水部材1の開口部6を、止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙8で覆うことが、コンクリート打設時に未硬化のコンクリートが孔4に流入することを防ぐことができ、その結果、コンクリートが硬化した後には止水剤(図示されていない)を孔4から開口部6を経由してコンクリート躯体の内部に注入充填することができる。紙に代えてメッシュ状シートなどの使用も考えられるが、コスト面や現場施工の作業性の点から紙の方が優れている。
未硬化のコンクリートの孔4への侵入を防止する方法として、紙を用いる方法に加えて、スリット状の開口部6の両側に圧力をかけて狭くする方法、スリット状開口部6の一部を残して塞ぐ方法などを併用していてもよい。
また孔4のクラック誘発止水部材1端部を、その孔径を拡大して凹部9としてもよい(図2および図3参照)。この凹部9は孔4に止水剤を注入する管など(図示されていない)を連結するときに有用である。
さらにクラック誘発止水部材の孔4の端部はたとえば概略部分斜視図である図4および概略部分背面図である図5に示すように、クラック誘発止水部材の孔4の端部を環状突部10としてもよい。また、クラック誘発止水部材の孔4の一方の端部を凹部9とし、他方の端部を凹部9に挿入可能な環状突部10とするときは、1つのクラック誘発止水部材1の凹部9と別のクラック誘発止水部材1の環状突部10とを嵌合させて連結一体化することができ、大きなコンクリート構造物にも適用できる。またクラック誘発止水部材1の寸法を短くでき、保管や配設作業が容易になり、また、孔4の連通状態が維持できるので硬化後のコンクリート躯体内部のクラックの隅々まで止水剤を注入充填できる。
開口部6は、図1、図3および図5に示すように、1本のスリットとしてもよいし、これを複数のスリットに分割してもよい。また、長円でもよいし、一部省略背面図である図6に示すように、小孔11としてもよい。これらの開口部の形状は、使用する止水剤や配設する長さなどによって適宜選択すればよい。なお、開口部6を両端が開放された1本のスリットとするときは、クラック誘発止水部材1を押出加工でき、製造しやすくコストダウンが実現できる。
粘着性被覆層7は、外部クラックから進入する水がコンクリート躯体の鉄筋に到達することを防ぐものであり、コンクリートと密着性が良好な材料であればよい。好ましくはブチルゴムが使用できるが、これに限られるものではない。外部クラックからの水の浸入をより一層確実にするために、被覆層7は少なくとも該孔4が設けられている平坦面5の開口部6以外の面の全部に設けられている。
被覆層7は、コンクリート躯体の外側から浸入してくる水を部材1の位置で堰き止める役割をしており、通常は平坦面5以外の面を覆うことで充分と考えられる。しかし平坦面5にコンクリートと密着性のよい粘着材料の被覆層が設けられていないと、その部分でコンクリートとの密着性が損なわれ、コンクリートの硬化に伴い部材1との間に空隙が空いてしまい、水の通り道になってしまう。そこで本考案では、開口部6以外の部材表面を全て覆うことが特に好ましい。
つぎに施工方法の一実施形態を図7および図8に従って説明する。図7は本考案の構造に対し本考案の工法に従ってコンクリートを打設したときの未硬化状態の概略横断面図であり、図8は図7のコンクリート躯体が硬化した状態の概略横断面図である。
本考案のクラック誘発止水部材1を、凸状部位2をコンクリート躯体40の外壁面向きに鉄筋30にワイヤなどで配設固定する。鉄筋30への固定は、直接でもよいし、短い鉄筋などの取付け用部材31を介して行ってもよい。ただし、開口部6が塞がれないように固定することが重要である。
鉄筋30はコンクリート躯体40の両側に組まれるのが通常であるが、その場合、図7に示すように、それぞれの側の鉄筋にクラック誘発止水部材1をその平坦部5が対面するように対置することが、内部クラック42(図8)の発生を誘導する点から好ましい。
さらにコンクリート躯体が肉厚の場合(たとえば厚さが45cmを超える場合)、内部クラック42を目的とする位置に発生させるために、内部クラック誘発体20をコンクリート躯体40の鉄筋で囲われた部分の中央部で両側のクラック誘発止水部材1を結ぶ線上に配設することが好ましい。内部クラック誘発体20は、クラック誘発止水部材1と同程度の長さのものが配置される。内部クラック誘発体20の形状は特に限定されないが、たとえば丸または矩形の管材のほか、丸棒、角材でもよい。たとえばポリ塩化ビニル製の管などが好ましい。内部クラック誘発体20の設置は、鉄筋30と部分的に仮止めする程度でよい。なお、内部クラック誘発体20に代えて、または併用して、後述する内部クラック誘発部材21(図9〜図11)を配設してもよい。
ついで型枠60を所定の位置に配置し、型枠内にコンクリートを打ち込む。型枠60にはクラック誘発止水部材1の凸状部位2に対面する位置に誘発目地50(図8)の形成用に突出材61を配設しておくことにより、コンクリートが硬化した後、凸状部位2と外壁面との間の所定の位置に外部クラック41(図8)を発生させやすくすることができる。
コンクリートを型枠60内に打設し硬化させた後型枠60を取り外すと、コンクリートの硬化に伴う収縮によりコンクリートの薄い部分、すなわち図8に示すように外部クラック41がクラック誘発止水部材1の凸状部位2と誘発目地50の間に誘発され、また両クラック誘発止水部材1の間にクラック誘発体20を介して内部クラック42が誘発されている。このようにクラックを予め決められた場所に発生(誘発)させることにより、無秩序に多数のクラックが発生することを防ぐことができる。
外部クラック41は放置していてもクラック誘発止水部材1の粘着性被覆層7により鉄筋30への水の浸入が阻止できるが、外部から適切な目地剤(止水剤)を注入して封止することにより、より一層確実な止水が達成できる。
一方、内部クラック42にはクラック誘発止水部材1の孔4(たとえば孔4の拡大された凹部9や環状突部10)に連結されたポンプなど(図示されていない)から止水剤を圧入し、開口部6から紙8を通して止水剤を注入充填し固化させ、内部クラック42を止水する。水の浸入により劣化しやすく保護しなければならない箇所は鉄筋であるから、鉄筋30の周辺の止水が最も重要であり、したがって、止水剤が内部クラック42の全体に行き渡ることが望ましいが、少なくともクラック誘発止水部材1の周辺の鉄筋近傍のクラック(横方向の鉄筋の下側部分の空隙も含む)が止水できればよい。このように本考案によれば、鉄筋30に配設されたクラック誘発止水部材1により鉄筋30への水の浸透を内外両側から達成できる。
止水剤としては、流動性がよく止水効果に優れたものであれば、無機系の止水剤でも有機系の止水剤でもよく、特に限定されない。たとえばコロイド状シリカを含む公知の浸透性シリカ水溶液などが好適である。この浸透性シリカ系止水剤は、シリカの超微粒子がコンクリート躯体内に発生した内部クラック中に浸透していき、クラック周囲のコンクリート中のアルカリ物質や水和物と反応してゲル化し、このシリカゲルでクラック内部を充填し、止水する。そのほか、トンネル掘削時に土中に注入するウレタン系止水剤やセメントミルクなども使用可能である。ただ、鉄筋を腐食しやすい酸や塩素などを含まない、または発生しないものであることが望ましい。なお、内部クラック用の止水剤と外部クラック用の目地剤とは同じでも異なっていてもよい。
また、図9〜図11に示すように、コンクリート躯体の厚さが厚い場合でも、内部クラックをクラック誘発止水部材1の開口部6近辺に発生させることをより一層確実にするために、特許文献2に内側クラック誘発部材310として提案されているものと同様の内部クラック誘発部材21を鉄筋の内側に配設してもよい。図9は鉄筋に固定されたクラック誘発止水部材1と内部クラック誘発部材21の固定状態の概略横断面図であり、図10は鉄筋に固定された内部クラック誘発部材21の固定状態の概略部分斜視図であり、図11は内部クラック誘発部材21を配設したときのコンクリート躯体が硬化した状態の概略横断面図である。
内部クラック誘発部材21は、クラック誘発止水部材1の開口部6から止水剤が内部クラックに有効に流出するように、クラック誘発止水部材1の開口部6に対応した鉄筋30組の内側(コンクリート躯体内側)位置に固定される。内部クラック誘発部材21は板状の部材であることがクラックの発生方向を指向させることが容易であるので好ましい。好ましくはポリ塩化ビニル製の板が好ましい。大きさはコンクリート躯体のサイズによって適宜決定すればよいが、通常、クラック誘発止水部材1と内部クラック誘発部材21の合計長さがコンクリート躯体の全厚の30%以上であれば優先的に内部クラックを誘発することができる。
内部クラック誘発部材21の鉄筋30への固定は、ワイヤなどで結び付けてもよいが、位置決めさえできれば充分であるから、専用のクランプ22による簡便な固定でもよい。
クラック誘発止水部材1および内部クラック誘発部材21、さらに肉厚の場合は内部クラック誘発体20を固定し、型枠で囲んだのち後、前述と同様にコンクリートを打設し硬化させ、発生する外部クラックおよび内部クラック、さらには横方向の鉄筋の下側部分の空隙に止水剤を充填することによって、より一層確実な止水が達成できる。
本考案のクラック誘発止水部材の施工時における一実施形態の概略横断面図である。 本考案のクラック誘発止水部材の一実施形態の概略斜視図である。 図2に示す本考案のクラック誘発止水部材の一部省略背面図である。 本考案のクラック誘発止水部材の別の実施形態の概略部分斜視図である。 図4に示す本考案のクラック誘発止水部材の概略部分背面図である。 本考案のクラック誘発止水部材の別の実施形態の概略部分背面図である。 コンクリートを打設したときの未硬化状態の本考案の構造の概略横断面図である。 図7のコンクリート躯体が硬化した状態の概略横断面図である。 鉄筋に固定されたクラック誘発止水部材と内部クラック誘発部材の固定状態の概略横断面図である。 鉄筋に固定された内部クラック誘発部材の固定状態の概略部分斜視図である。 内部クラック誘発部材を配設したときのコンクリート躯体が硬化した状態の概略横断面図である。 特許文献1に記載された従来のクラック誘発部材の施工状態を示す概略横断面図である。 図12に示す施工状態でクラックが発生した状態の概略横断面図である。 特許文献2に記載された従来のクラック誘発部材の施工状態を示す概略横断面図である。
符号の説明
1 クラック誘発止水部材
2 凸状部位
3 平坦部位
4 孔
5 平坦面
6 開口部
7 粘着性被覆層
8 紙
9 凹部
10 環状突部
11 小孔
20 内部クラック誘発体
21 内部クラック誘発部材
22 クランプ
30 鉄筋
31 取付け用部材
40 コンクリート躯体
41 外部クラック
42 内部クラック
50 誘発目地
60、130 型枠
61 突出材
100 クラック誘発部材
101 対向片
102、103 止水材
110 排水路
120 壁筋
131 ノッチ形成部材
200 コンクリート
201 ノッチ
202 クラック
300 クラック誘発部材
301 芯材
301a 突出部分
300b フランジ部分
302 粘着層
310 内側クラック誘発部材
400 構造体
410 溝
420 構造用鉄筋

Claims (8)

  1. 鉄筋とクラック誘発止水部材とを含むコンクリート構造物のクラック誘発止水構造であって、
    該クラック誘発止水部材が、横断面形状T字形の長尺部材であり、該T字形の凸状部位の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する止水剤注入用の孔が穿設されており、少なくとも該T字形の平坦部位をなす平坦面に前記孔と外部を連通する1または2以上の開口部が設けられており、少なくとも該平坦面の開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、
    該開口部が止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、
    該クラック誘発止水部材が、該部材の凸状部位がコンクリート躯体の外面方向を向くようにコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設されている
    クラック誘発止水構造。
  2. 前記クラック誘発止水部材の長手方向の一方の端部で孔の径が拡大されており、他方の端部に該拡大された孔に挿入可能な環状突部が設けられている請求項1記載のクラック誘発止水構造。
  3. 前記開口部が、1もしくは2以上のスリット、または1もしくは2以上の小孔である請求項1または2記載のクラック誘発止水構造。
  4. 前記コンクリート躯体の鉄筋で囲われた内部の中央部分に、クラック誘発止水部材と平行に内部クラック誘発体が配設されている請求項1〜3のいずれかに記載のクラック誘発止水構造。
  5. 前記コンクリート躯体の鉄筋で囲われた内部の前記クラック誘発止水部材に対面する位置に、クラック誘発止水部材と平行に内部クラック誘発体促進体が配設されている請求項1〜4のいずれかに記載のクラック誘発止水構造。
  6. コンクリートの硬化に伴いコンクリート躯体外面の所定の箇所との間には外部クラックおよび鉄筋で囲われた内部には内部クラックを生ぜしめ、かつ止水するためにコンクリート躯体内部の鉄筋近傍に配設されるクラック誘発止水部材であって、
    横断面形状T字形の長尺部材であり、該T字形の凸状部位の基部に該長尺部材の長手方向に貫通する止水剤注入用の孔が穿設されており、少なくとも該T字形の平坦部位をなす平坦面に前記孔と外部を連通する1または2以上の開口部が設けられており、少なくとも該平坦面の開口部以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われており、かつ該開口部が止水剤は透過するが未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われているクラック誘発止水部材。
  7. 前記クラック誘発止水部材の長手方向の一方の端部で孔の径が拡大されており、他方の端部に該拡大された孔に挿入可能な環状突部が設けられている請求項6記載のクラック誘発止水部材。
  8. 前記開口部が、1もしくは2以上のスリット、または1もしくは2以上の小孔である請求項6または7記載のクラック誘発止水部材。
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JP2022127974A (ja) * 2021-02-22 2022-09-01 早川ゴム株式会社 誘発目地部材の固定具

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