JP2006057411A - クラック誘発構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クラック発生後、確実にクラックを塞いで防水性能を確保でき、水の鉄筋への到達を防いで躯体強度の低下を確実に防止できると共に、低コストで施工できるクラック誘発構造を提供する。
【解決手段】 長手方向に貫通する孔部11が所定の側面で外部に連通する状態とされると共に、他の側面にコンクリートに対し密着性に優れた粘着材13を配置されてなる略T字状断面形状の誘発部材10を用い、打設後、コンクリート40中に埋込んだ誘発部材10と外面との間にクラック41が誘発されて発生することから、クラック41内に水分が浸入しても水分が誘発部材10表面の粘着材13に達したところで粘着材13とコンクリート40との境界部分に隙間が生じないことでそれ以上の進行を阻止されることとなり、水分が誘発部材10周囲を進んで鉄筋30に達することはなく、鉄筋30の水分による劣化を抑えて躯体強度を長期間維持できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は打設後のコンクリート躯体におけるあらかじめ想定した箇所のみにクラックを適切に生じさせて他の箇所でのクラック発生を防ぐコンクリート躯体のクラック誘発構造に関し、特に誘発部材に対する適切な後処理により防水性能を向上させられるクラック誘発構造に関する。
鉄筋コンクリート構造物の躯体表面では、打設したコンクリートの硬化収縮によるクラック発生が避けられないが、このクラックが任意の多数箇所に発生すると、美観を損なうだけでなく、水分の浸入による内部鉄筋の腐食・劣化につながり、躯体強度の低下を招くおそれがある。これらを防止するため、コンクリート躯体の所定箇所にクラック誘発目地や誘発構造を形成して断面形状を他部分と異ならせ、こうした部分への応力集中によりクラックを積極的に集中発生させ、他の部位に無秩序にクラックが多数発生するのを防止し、クラックへの防水工事を容易化する手法が従来から採られてきた。
このようなあらかじめ想定した箇所に適切に管理された状態で積極的にクラックを生じさせるクラックの誘発目地や誘発構造のうち、コンクリート内部に鉄筋と共に埋込まれるクラック誘発部材によりクラックを誘発させる従来のクラック誘発構造の一例として、特開平11−264200号公報に記載されるものがあり、これを図6に示す。この図6は従来のクラック誘発構造の施工状態断面図及びクラック誘発状態断面図である。
前記図6において従来のクラック誘発構造で用いるクラック誘発部材100は、排水路110となる空隙を挟む断面略コ字形状の樋状体であり、開口両端には所定長さの対向片101が設けられてなり、これら排水路110を取囲む部分や対向片101の外側は、耐久性や耐ひび割れ性等に優れた所定の弾性材からなる止水材102で被覆され、さらにその外側主要部分を、コンクリートとの付着性のよい他の止水材103で被覆される構成である。
上記従来のクラック誘発部材の鉄筋への取付及びクラックを生じさせる過程について説明する。まず、壁筋120の配筋後、排水路110の開口が壁外方に向くように配置しつつクラック誘発部材100を壁筋120に固定する。一方、型枠130には、L型断面部材等のノッチ形成部材131が取り付けられ、その先端が型枠130からその内方に突出した状態とされる。この後、型枠130内にコンクリートが打設されるが、クラック誘発部材100における対向片101間の空隙部分へのコンクリートの流入はない。コンクリート硬化後、型枠130を解体し、ノッチ形成部材131を撤去すれば、コンクリート200の表側にノッチ形成部材131によりノッチが形成され、クラック誘発部材100がコンクリート200内部に埋設された状態が得られる。
コンクリート200が硬化収縮すると、対向片101間の空隙部分前面側におけるコンクリート厚さが薄いことから、その外側のノッチ201からクラック202が誘発されて形成され、このクラック202は対向片101間の空隙に至り、クラック202と排水路110は連通した状態となる。クラック202に雨水などの水が浸入した場合、水は対向片101間の空隙を通って排水路110に流れこみ、ここを落下して、例えば建物の一階の水平目地などに設けたパイプに流れ、外部に排水される。クラック誘発部材100の周囲は開口以外の部分が止水材102、103で被覆されており、クラック202からの水が排水路110以外に流れるのを阻止できる。
この他、従来のクラック誘発構造の他例として、特許第2868994号公報に記載されるものがあり、これを図7に示す。この図7は従来の他のクラック誘発構造の断面図である。
前記図7において従来の他のクラック誘発構造で用いるクラック誘発部材300は、横断面形状が三角形の山形に突出する突出部分301a並びにこの突出部分301aの両側で延在する平板形状のフランジ部分301bからなる芯材301と、高分子材料製の粘着層302とを備える構成であり、コンクリート製の構造体400表面に設けられる溝410と構造用鉄筋420との間に、突出部分301aを溝410に対向させつつ配設されるものとなっている。
上記従来の他のクラック誘発構造では、まず、構造用鉄筋420に対し、突出部分301aが構造体外方に向くように配置しつつクラック誘発部材300を固定する。必要に応じて、構造用鉄筋420の内側に内側クラック誘発部材310を配設する。この後、構造用鉄筋420及びクラック誘発部材300を取囲む型枠内にコンクリートが打設され、このコンクリートの硬化により、クラック誘発部材300が構造体400内部に埋設された状態が得られる。一方、型枠の一部で内方に突出していた部材により、構造体400の表側には溝410が形成されている。
コンクリートが硬化収縮すると、溝410とクラック誘発部材300の突出部分301aとの間にクラックが発生する。このクラックから外気及び水が浸入しても、クラック誘発部材300の粘着層302がコンクリートに対し密着しており、外気及び水が粘着層302とコンクリートとの界面で阻止され、構造用鉄筋420が外気及び水にさらされない。
特開平11−264200号公報 特許第2868994号公報
従来のクラック誘発構造は以上のように構成されていたことから、前記特許文献1に記載される従来前者の場合、クラック200に浸入した水を外部に流出させるための排水設備が必要となり、しかもこうした設備はコンクリート躯体内部への埋込み型となることから、メンテナンスが困難であり、設備が劣化した場合の漏水等の危険が大きいだけでなく、クラック誘発部材100に沿って水を流している以上、水によるクラック誘発部材100の劣化は進行していくことから、最終的にクラック誘発部材100の破損に至ると浸水が鉄筋に達するのを防止できなくなり、鉄筋の劣化に伴う躯体強度低下が避けられないという課題を有していた。
この他、排水路が高さ方向に過度に連続すると、下側で排水能力が飽和してクラック200を通じて外部に水が漏れてしまう危険性があるため、所定高さごとに排水設備を設ける必要が生じ、コスト増大につながってしまうという課題を有していた。
また、前記特許文献2に記載される従来後者の場合、構造体400表面側の止水はクラック誘発部材300表面で確実に行えるものの、構造体400の厚さが大きい場合、構造用鉄筋420の内側に配置される内側クラック誘発部材310では当初想定した箇所に適切にクラックを生じさせることができなくなり、不規則に発生したクラックに伴って構造体内側部分の止水が適切に行えなくなるという課題を有していた。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、クラック発生後、確実にクラックを塞いで防水性能を確保でき、水の鉄筋への到達を防いで躯体強度の低下を確実に防止できると共に、低コストで施工できるコンクリート躯体のクラック誘発構造を提供することを目的とする。
本発明に係るクラック誘発構造は、コンクリート躯体内部の鉄筋近傍位置にコンクリート打設前に配置されるクラック誘発部材を少なくとも備え、コンクリートの打設から所定期間後のコンクリート硬化状態で前記クラック誘発部材とコンクリート躯体外面所定箇所との間にクラックを生じさせるクラック誘発構造において、前記クラック誘発部材が、略T字状の横断面形状を有する細長い部材として形成され、横断面形状におけるT字をなす各辺の交差部位に部材長手方向へ貫通する孔部を穿設され、T字の上横辺にあたる平面状の側面に前記孔部と外部とを連通させる一又は複数の開口部を配設される一方、他の側面にコンクリートとの密着性に優れる所定の粘着性材を被覆配設されてなり、当該粘着材を被覆配設された側がコンクリート躯体の外面寄りとなる配置で前記鉄筋近傍に配設され、前記クラック誘発部材の少なくとも一方の長手方向端部側でコンクリート躯体外部と前記孔部とを連通可能な状態としてコンクリートを打設した後、所定期間経過して生じたクラックに対し、コンクリート躯体外部から孔部内に液状の止水剤を注入し、孔部から前記開口部を通じてクラックに前記止水剤を充填するものである。
このように本発明においては、長手方向に貫通する孔部が所定の側面で外部に連通する状態とされると共に、他の側面にコンクリートに対し密着性に優れた粘着材を配置されてなる略T字状断面形状のクラック誘発部材を用い、打設後、コンクリート中に埋込んだクラック誘発部材と外面との間にクラックが誘発されて発生することにより、クラック内に水分が浸入しても水分がクラック誘発部材表面の粘着材に達したところで粘着材とコンクリートとの境界部分に隙間が生じないことでそれ以上の進行を阻止されることとなり、水分がクラック誘発部材周囲を進んで鉄筋に達することはなく、鉄筋の水分による劣化を抑えて躯体強度を長期間維持できる。また、コンクリート硬化後、クラック誘発部材の長手方向に貫通する孔部及びこの孔部側方の開口部を通じてクラック誘発部材と鉄筋間に生じたクラックに止水剤を注入することにより、止水剤がクラックへ到達して、こうした漏水の原因となるクラックを充填、密閉してクラックを水分の浸入しない止水状態とすることができ、粘着材のない躯体内部側でもクラック誘発部材周囲で確実な防水機能が得られ、鉄筋への水分到達を防止できる。
また、本発明に係るクラック誘発構造は必要に応じて、前記クラック誘発部材が、長手方向一端部における前記孔部の入口部分を孔部径より大きく拡径させて所定深さまで穿設される一方、他端部側に前記所定深さの値より少なくとも小さく突出して前記拡径孔部分に挿入可能な凸部を突設されてなるものである。
このように本発明においては、誘発部材の長手方向一端部で孔部入口部分が拡径された凹部とされる一方、誘発部材の他端部にはこの凹部と嵌合可能な凸部を形成することにより、長手方向一端部で孔部に躯体外部と連通させるための管類を接続しやすく、孔部に対する止水剤注入作業が行いやすいと共に、誘発部材を長手方向に継足す場合には凹凸をそれそれ嵌合させて確実に連結できることとなり、誘発部材が一体構造の場合と同様の強度を確保して複数連結状態においても孔部の連通状態を確保でき、下方まで止水剤を到達させて止水施工が行える。
また、本発明に係るクラック誘発構造は必要に応じて、前記クラック誘発部材の開口部が、前記側面で部材長手方向に所定長さ連続するスリット状の一又は複数の長孔であるものである。
このように本発明においては、クラック誘発部材における止水剤の流出する開口部として長手方向へ連続するスリット状の長孔を形成し、止水剤を長手方向の広い範囲でクラック誘発部材外部に流出させられることにより、クラック誘発部材周囲に生じたクラックに確実に止水剤を送込んで封止できると共に、クラック誘発部材の横断面が長手方向に略一定形状となる簡略な構造とすることができ、特に長孔が長手方向に一つのみの場合、クラック誘発部材を押出し加工で形成でき、製造しやすくコストダウンが実現する。
また、本発明に係るクラック誘発構造は必要に応じて、前記クラック誘発部材側面のスリット状開口部分が、少なくとも前記止水剤は通過させる一方、未硬化のコンクリート材料は通過させない所定開口率のメッシュ状シートで覆われるものである。
このように本発明においては、スリット状の開口部前面にコンクリート材を通さないメッシュ状のシートを配設し、クラック誘発部材周囲のコンクリート材の孔部内への侵入を抑えることにより、孔部をコンクリート打設後も止水剤の流動可能な状態に維持でき、止水剤の流路を確保してコンクリート硬化後の止水施工が確実に行えることとなる。
また、本発明に係るクラック誘発構造は必要に応じて、略円断面形状の細長い部材として形成される内部クラック誘発体が、前記クラック誘発部材及び鉄筋に挟まれたコンクリート躯体略中央となる所定箇所に、長手方向をクラック誘発部材と略平行としてコンクリート打設前に配設されるものである。
このように本発明においては、コンクリート躯体略中央となる箇所に略円断面の内部クラック誘発体を配設し、躯体中央部分に十分な断面欠損部分を確保してクラックの起点部を生じさせることにより、コンクリート躯体の内部におけるクラック誘発部材間の想定箇所に適切にクラックを発生させられ、クラックが不規則に発生するのを防止できると共に、誘発部材側からクラックに止水剤を確実に到達させられ、躯体内部の止水が適切に行える。
以下、本発明の一実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係るクラック誘発構造の施工状態状態断面図及び要部拡大図、図2は本実施の形態に係るクラック誘発構造における誘発部材の斜視図及び一部省略背面図、図3は本実施の形態に係るクラック誘発構造のクラック誘発状態断面図である。
前記各図において本実施形態に係るクラック誘発構造1は、鉄筋30に一体に取付けられ、打設されるコンクリート中に埋込まれる所定断面形状のクラック誘発部材10を備えてなり、一対のクラック誘発部材10を鉄筋30の両側に鉄筋30を挟んだ状態として配設し、硬化させたコンクリート40にクラック41を生じさせる構成である。
前記クラック誘発部材10は、アルミニウム等の金属又は合成樹脂製の略T字状の断面形状を有する細長い形状の部材として形成され、横断面形状におけるT字をなす各辺の交差部位に部材長手方向へ貫通する孔部11が穿設されると共に、T字の上横辺にあたる平面状の側面における孔部11の側方部分に、孔部11と外部とを連通させる前記開口部としてのスリット状長孔12が長手方向に連続する状態で穿設される構成である。このクラック誘発部材10の長孔12のある側面を除く他の側面には、その表面にブチルゴム等のコンクリートとの密着性に優れる粘着材13が被覆配設される構成である。一方、長孔12の正面側には、所定開口率とされるメッシュ状のシート14が配設されてクラック誘発部材10内部の孔部11からの止水剤の流出は許容する一方で硬化前のコンクリート材料の孔部11への浸入は阻止する。
なお、クラック誘発部材10の孔部11一端部分には入口部分として拡径された凹部15が穿設されており、止水剤を注入するためのホース類の端部を接続しやすく、止水剤注入作業が行いやすい構成である。
このクラック誘発部材10は、コンクリート躯体の上側で部材一端部の孔部11開口と躯体外部とを連通可能とし、且つ粘着材13を配設される側、すなわち、断面形状でT字の下縦辺にあたる突出部分側を躯体外面寄りとなるような配置で鉄筋30近傍に配設される。
クラック誘発部材10の内部の孔部11には、コンクリートの打設、硬化後、外部から所定の止水剤が供給され、この止水剤を長孔12を介してクラック誘発部材10の周辺のコンクリート40に生じたクラック41に流入させる。この孔部11に供給される止水剤は、コロイド状のシリカを含む公知の浸透性シリカ水溶液であり、超微粒子構造を有してコロイド状となっている溶液中のシリカが、コンクリート40内部のクラック41に浸透し、クラック41周囲のコンクリート40を構成するアルカリ物質や水和物質と反応して安定した不変性のシリカゲルを生じさせ、このシリカゲルでクラック41を充填状態として止水を行う仕組みとなっている。
なお、こうしたクラック誘発部材10と共に、コンクリート躯体内部の、一対のクラック誘発部材10並びに鉄筋30に挟まれた躯体中央にあたる箇所には、円筒状の内部クラック誘発体20がその長手方向をクラック誘発部材10と一致させて配設される。
次に、前記構成に基づくクラック誘発構造における誘発部材の配置作業及びクラック発生及び止水過程について説明する。まず、所定の位置にあらかじめ配設固定されている鉄筋30に対し、クラック誘発部材10をその断面形でT字の上横辺にあたる部分となる平面状部分が鉄筋30側に向かうと共に、T字の下縦辺にあたる部分となる前記平面状部分からの突出部分が躯体外面の誘発目地50位置に向かう配置として鉄筋30の両側にそれぞれ配設し、取付用鉄筋16を介してワイヤによる緊結等により鉄筋30とクラック誘発部材10とを一体に固定しておく。そして、型枠をなす各部材をコンクリート打設に対応した設置位置に配設し、型枠60として固定する。なお、型枠60には、必要に応じて誘発目地50形成用の突出材61を配設することができる。また、躯体の厚さが大であり、断面欠損量を確保したい場合などは、必要に応じて、一対のクラック誘発部材10に挟まれた中間の、鉄筋30に囲まれた躯体中央にあたる箇所に、円筒状の内部クラック誘発体20を配設して固定する(図1参照)。
鉄筋30の周囲にクラック誘発部材10及び型枠60を全て配設したら、型枠60内のクラック誘発部材10、鉄筋30及び内部クラック誘発体20周囲にコンクリートを打設していく。コンクリートが打設され、適度に硬化した後、型枠60をなす各部材を取外し、さらに所定期間放置する。
打設から所定期間経過した後、コンクリートの硬化に伴う収縮等によりコンクリート40内にクラック41が発生する。クラック41は断面欠損部分としてあらかじめ想定していたクラック誘発部材10の突出部分先端と躯体外面の誘発目地50との間、並びに躯体内側の対向する各誘発部材10と内部クラック誘発体20間の、最もコンクリート40厚さの薄い箇所に生じ、コンクリート40の他の部位に多数のクラック41が無秩序に生じることを確実に防止できる。クラック誘発部材10に挟まれた躯体内部では、鉄筋30の周囲にクラック41による空隙が一部生じた状態となっている。
クラック誘発部材10は突出部分側の各表面にコンクリート40に対し密着性に優れた粘着材13を配置されており、粘着材13とコンクリート40との境界部分に隙間が生じないことから、クラック誘発部材10の突出部分先端と躯体外面との間に生じたクラック41内に水分が浸入しても水分がクラック誘発部材10表面の粘着材13に達したところでそれ以上の進行を阻止されることとなり、水分がクラック誘発部材10を越えて鉄筋30に達することはない。また、躯体外面の誘発目地50部分も通常埋められた状態とされるため、外部の水分が躯体内に入り込む危険性は極めて小さい。
一方、硬化後のクラック41発生状態で、クラック誘発部材10端部の躯体外部と連通している孔部11の入口部分に止水剤の注入用ホースを接続し、孔部11に対し止水剤を供給する。止水剤は孔部11から長孔12を通じてコンクリート40側へ拡散し、この止水剤は長孔12からコンクリート40内部のクラック41やクラック誘発部材10と鉄筋30間に生じている空隙へ流入することとなる。こうしたクラック41等へ到達した止水剤中の浸透性シリカは、これらクラック41周囲のコンクリート40を構成するアルカリ物質、水和物質に反応して不変性のシリカゲル45を生じることにより、こうした水分の通り道となり得るクラック41等の空隙を充填、密閉することができ、確実な防水機能が得られる。
止水剤を十分に注入した後は、注入用ホースを外して孔部11を封止すれば、躯体内部に水分の入り込む余地はなくなり、これと合わせて、誘発目地50を所定のシール材でシールし、且つ内部クラック誘発体20内の中空部分にモルタルを充填し硬化させると、止水施工は全て完了となる。
このように本実施の形態に係るクラック誘発構造においては、長手方向に貫通する孔部11が側面で外部に連通する状態とされると共に、他の側面にコンクリートに対し密着性に優れた粘着材13を配置されてなる略T字状断面形状の誘発部材10を用い、打設後、コンクリート40中に埋込んだクラック誘発部材10と外面との間にクラック41が誘発されて発生することから、クラック41内に水分が浸入しても水分がクラック誘発部材10表面の粘着材13に達したところで粘着材13とコンクリート40との境界部分に隙間が生じないことでそれ以上の進行を阻止されることとなり、水分がクラック誘発部材10周囲を進んで鉄筋30に達することはなく、鉄筋30の水分による劣化を抑えて躯体強度を長期間維持できる。また、コンクリート硬化後、クラック誘発部材10の孔部11及びその側方の長孔12を通じて誘発部材10と鉄筋30間に生じたクラック41に止水剤を注入することから、止水剤がクラック41へ到達してクラックを充填、密閉し、漏水の原因となるクラック41を水分の浸入しない止水状態とすることができ、粘着材13のない躯体内部側でもクラック誘発部材10周囲で確実な防水機能が得られ、鉄筋30への水分到達を防止できる。
なお、前記実施の形態に係るクラック誘発構造においては、コンクリートの打設形態に対応して変る型枠60の高さと、略一致する一連の長いクラック誘発部材10を用いる構成としているが、これに限らず、型枠60の高さより短いクラック誘発部材10を長手方向に複数継足して用いる構成とすることもできる。この時、図4に示すように、孔部11入口部分の凹部15に対応して嵌合可能な形状となる凸部17をクラック誘発部材10他端部に形成し、凹凸を組合わせて一体化させることもでき、凹凸をそれそれ嵌合させて確実に連結できることとなり、一体の場合と同様の強度を確保して連結状態においても孔部11の連通状態を確保でき、下方まで止水剤を到達させて止水施工が行え、どのような寸法のコンクリート躯体にも対応できる。
また、前記実施の形態に係るクラック誘発構造においては、止水剤の流出する開口部として長孔12を設ける構成としているが、これに限らず、図5に示すように、開口部としてクラック誘発部材10の長手方向に所定間隔で孔部11に連通する複数の小孔18を穿設し、止水剤の流出部分として用いる構成とすることもできる。
また、前記実施の形態に係るクラック誘発構造においては、止水剤としてシリカ水溶液を用いる構成としているが、これに限らず、十分な充填、止水性能を有するものであれば、合成樹脂をベースとするものなど、他の種類の止水剤を用いる構成とすることもできる。
さらに、前記実施の形態に係るクラック誘発構造においては、長孔12外側にメッシュ状のシート14を配設してコンクリート材の浸入を防いでいるが、これに限らず、クラック誘発部材10の長孔12を長手方向連続状態で一つ形成し、この長孔12の両側部分に圧力を加え、クラック誘発部材10を変形させて長孔12の開口部分を狭めた状態としたり、長孔両側部分を一部圧着させて長孔12の開口部分を一部を残し閉塞させた状態としたりして、コンクリート材を長孔12から孔部11内に浸入させない構成とすることもでき、シート14を不要としてコストダウンが図れる。
本発明の一実施の形態に係るクラック誘発構造の施工状態状態断面図及び要部拡大図である。 本発明の一実施の形態に係るクラック誘発構造における誘発部材の斜視図及び一部省略背面図である。 本発明の一実施の形態に係るクラック誘発構造のクラック誘発状態断面図である。 本発明の他の実施形態に係るクラック誘発構造における誘発部材端部の斜視図及び背面図である。 本発明の他の実施形態に係るクラック誘発構造における誘発部材の一部省略背面図である。 従来のクラック誘発構造の施工状態断面図及びクラック誘発状態断面図である。 従来の他のクラック誘発構造の断面図である。
符号の説明
1 クラック誘発構造
10、100 クラック誘発部材
11 孔部
12 長孔
13 粘着材
14 シート
15 凹部
16 取付用鉄筋
17 凸部
18 小孔
20 内部クラック誘発体
30 鉄筋
40、200 コンクリート
41、202 クラック
50 誘発目地
60、130 型枠
61 突出材
101 対向片
102、103 止水材
110 排水路
120 壁筋
131 ノッチ形成部材
201 ノッチ
300 クラック誘発部材
301 芯材
301a 突出部分
301b フランジ部分
302 粘着層
310 内側クラック誘発部材
400 構造体
410 溝
420 構造用鉄筋

Claims (5)

  1. コンクリート躯体内部の鉄筋近傍位置にコンクリート打設前に配置されるクラック誘発部材を少なくとも備え、コンクリートの打設から所定期間後のコンクリート硬化状態で前記クラック誘発部材とコンクリート躯体外面所定箇所との間にクラックを生じさせるクラック誘発構造において、
    前記クラック誘発部材が、略T字状の横断面形状を有する細長い部材として形成され、横断面形状におけるT字をなす各辺の交差部位に部材長手方向へ貫通する孔部を穿設され、T字の上横辺にあたる平面状の側面に前記孔部と外部とを連通させる一又は複数の開口部を配設される一方、他の側面にコンクリートとの密着性に優れる所定の粘着性材を被覆配設されてなり、当該粘着材を被覆配設された側がコンクリート躯体の外面寄りとなる配置で前記鉄筋近傍に配設され、
    前記クラック誘発部材の少なくとも一方の長手方向端部側でコンクリート躯体外部と前記孔部とを連通可能な状態としてコンクリートを打設した後、所定期間経過して生じたクラックに対し、コンクリート躯体外部から孔部内に液状の止水剤を注入し、孔部から前記開口部を通じてクラックに前記止水剤を充填することを
    特徴とするクラック誘発構造。
  2. 前記請求項1に記載のクラック誘発構造において、
    前記クラック誘発部材が、長手方向一端部における前記孔部の入口部分を孔部径より大きく拡径させて所定深さまで穿設される一方、他端部側に前記所定深さの値より少なくとも小さく突出して前記拡径孔部分に挿入可能な凸部を突設されてなることを
    特徴とするクラック誘発構造。
  3. 前記請求項1又は2に記載のクラック誘発構造において、
    前記クラック誘発部材の開口部が、前記側面で部材長手方向に所定長さ連続するスリット状の一又は複数の長孔であることを
    特徴とするクラック誘発構造。
  4. 前記請求項3に記載のクラック誘発構造において、
    前記クラック誘発部材側面のスリット状開口部分が、少なくとも前記止水剤は通過させる一方、未硬化のコンクリート材料は通過させない所定開口率のメッシュ状シートで覆われることを
    特徴とするクラック誘発構造。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載のクラック誘発構造において、
    略円断面形状の細長い部材として形成される内部クラック誘発体が、前記クラック誘発部材及び鉄筋に挟まれたコンクリート躯体略中央となる所定箇所に、長手方向をクラック誘発部材と略平行としてコンクリート打設前に配設されることを
    特徴とするクラック誘発構造。
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