JP3140216U - クラック誘発防水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】あらゆる大きさのコンクリート躯体に施工が容易であることから作業性を改善することができ、低コストで施工できるクラック誘発防水構造およびクラック誘発防水部材を提供する。
【解決手段】クラック誘発防水部材が、横断面形状略T字形の長尺部材であり、該長尺部材の平坦部位をなす平坦面にスリットが設けられており、該スリットの表面が紙で覆われており、該クラック誘発防水部材の一端面には、1または2以上の連結用柱状部が突設されており、その反対側の面には、凹部が設けられており、該クラック誘発防水部材の少なくとも該平坦面のスリット以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、コンクリート打設後に、前記クラック誘発防水部材によってコンクリート躯体内に生じたクラックに交錯するように補修剤を注入するための穿孔が設けられてなる。
【選択図】図4

Description

本考案は、打設後のコンクリート躯体に予め想定した箇所にのみクラックを適切に生ぜしめて他の箇所でのクラックの発生を防ぐことにより、クラックへの水の浸入を効果的に防止するコンクリート躯体のクラック誘発防水構造、およびあらゆる大きさのコンクリート躯体にも適用可能なクラック誘発防水部材に関する。
鉄筋コンクリート構造物の躯体表面では、打設したコンクリートの硬化収縮によりクラックが発生するが、このクラックは硬化条件などにより、無秩序に多数箇所に発生する。クラックがコンクリート外面に現れた場合、美観を損なうだけでなく、クラック内に水分が浸入することにより内部鉄筋の腐食・劣化を招き、躯体強度が低下することが知られている。そのため、コンクリート躯体の所定箇所にクラック誘発目地や誘発構造を形成して断面形状を他の箇所と異ならせ、その箇所に応力を集中させることにより、クラックを特定箇所に積極的に集中発生させ、他の箇所に無秩序に多数発生することを防止する手法が従来から採られてきた。こういった手法を用いることにより、クラックへの防水工事の容易化が図られている。
従来技術の一例として特許文献1には、図6に示されるように、クラック誘発部材100が、横断面形状が三角形の山形に突出する突出部分101a並びにこの突出部分101aの両側で延在する平板形状のフランジ部分101bからなる芯材101と、高分子材料製の粘着層102とを備える構成であること、およびコンクリート製の構造体200表面に設けられる溝210と構造用鉄筋220との間に、突出部分101aを溝210に対向させつつ配設されるクラック誘発構造が開示されている。
上記のクラック誘発構造では、まず、構造用鉄筋220に対し、突出部分101aが構造体外方に向くように配置しつつクラック誘発部材100を固定する。必要に応じて、構造用鉄筋220の内側に内側クラック誘発部材110を配設する。この後、構造用鉄筋220およびクラック誘発部材100を取囲む型枠内にコンクリートが打設され、このコンクリートの硬化により、クラック誘発部材100が構造体200内部に埋設された状態が得られる。一方、型枠の一部で内方に突出していた部材により、構造体200の表側には溝210が形成される。
コンクリートが硬化収縮すると、溝210とクラック誘発部材100の突出部分101aとの間にクラックが発生する。このクラックから外気および水が浸入しても、クラック誘発部材100の粘着層102がコンクリートに対し密着しており、外気および水が粘着層102とコンクリートとの界面で阻止され、構造用鉄筋220が外気および水にさらされない。
特許第2868994号公報
しかし、上記従来のクラック誘発構造のクラック誘発部材100のみでは、コンクリート躯体の幅が広いと、対面するクラック誘発防水部材の内側の予め想定した箇所に適切に生じさせることができず、不規則にクラックが発生することにより、構造体内側部分の防水が適切に行えなくなる。したがって、内側クラック誘発部材をさらに配設する必要がある。
また、コンクリート躯体は、構造物の大きさによって高さが4〜20mの範囲で大きく変化するものであるが、上記従来のクラック誘発部材100では、躯体の高さに応じて製造するか、または現場で必要な長さに切断する必要があり、クラック誘発防水部材1の長さによっては、保管スペースの問題が生じ、輸送に支障をきたし、コンクリート配設作業において扱いづらいなど、製造面、保管面、輸送面および作業面において問題があった。
さらに、特許文献1に記載された工法の場合、構造体200表面側の防水はクラック誘発部材100の表面粘着層で可能であるが、鉄筋で囲われた内部に生じた内部クラックはそのまま空隙として残され、また、水の通り道となる鉄筋の下側部分の空隙への有効な対処がなされておらず、コンクリート構造物全体の防水の面でさらなる改良が必要である。
本考案はこれらの課題を解消するものであり、外部および内部クラックを適切に発生させ、かつ適切に防水することができ、水の鉄筋への到達を内外両方向から防いでコンクリート構造物の強度低下を確実に防止できると共に、あらゆる大きさのコンクリート躯体にも施工が容易であることから作業性を改善することができ、低コストで施工できるクラック誘発防水構造およびクラック誘発防水部材を提供することを目的とする。
本考案のクラック誘発防水構造は、鉄筋とクラック誘発防水部材とを含むコンクリート構造物のクラック誘発防水構造であって、該クラック誘発防水部材が、横断面形状略T字形の長尺部材であり、該長尺部材の平坦部位をなす平坦面に1または2以上のスリットが設けられており、該スリットの表面が未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、該クラック誘発防水部材の上端面または下端面には、1または2以上の連結用柱状部が突設されており、該柱状部が突設される面と反対側の面には、該柱状部を嵌合するための凹部が設けられており、該クラック誘発防水部材の少なくとも該平坦面のスリット以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、該クラック誘発防水部材の凸状部位がコンクリート躯体の外面方向を向くように、該クラック誘発防水部材の平坦面側がコンクリート躯体内部の鉄筋の外面側に配設されており、コンクリート打設後に、前記クラック誘発防水部材によってコンクリート躯体内に生じたクラックに交錯するように補修剤を注入するための穿孔が設けられてなることを特徴とする。
また、前記クラック誘発防水部材のスリットと一直線上に、内部クラック誘発部材がコンクリート躯体内部の鉄筋の内面側に配設されてなることが好ましい。
本考案のクラック誘発防水部材は、コンクリートの硬化に伴いコンクリート躯体外面の所定の箇所との間には外部クラックおよび鉄筋で囲われた内部には内部クラックを生ぜしめ、かつ防水効果を高めるためにコンクリート躯体内部の鉄筋の外面側に配設されるクラック誘発防水部材であって、横断面形状略T字形の長尺部材であり、該長尺部材の平坦部位をなす平坦面に1または2以上のスリットが設けられており、該スリットの表面が未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、該クラック誘発防水部材の上端面または下端面には、1または2以上の連結用柱状部が突設されており、該柱状部が突設される面と反対側の面には、該柱状部を嵌合するための凹部が設けられており、該クラック誘発防水部材の少なくとも該平坦面のスリット以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われていることを特徴とする。
本考案の構造および部材を採用することにより、コンクリート躯体外壁とクラック誘発防水部材との間の予め想定した箇所に外部クラックを発生させ、外部クラックからの水の内部への浸入を、クラック誘発防水部材の外壁方向の表面に設けられた粘着性材料の被覆層により阻止することによって水が鉄筋にまで到達しないようにすることができる。また、本考案のクラック誘発防水部材は、連結は容易であるが強く嵌合することができるため、あらゆる大きさのコンクリート躯体にも施工が容易である。また、クラック誘発防水部材のスリットおよび内側クラック誘発部材により、クラック誘発防水部材からコンクリート躯体内部方向へ発生する内部クラックを予め想定した箇所に確実に発生させることができる。さらに、前記内部クラックを予め想定した箇所に確実に発生させることにより、コンクリート打設後に内部クラックに連通する穿孔を設け、該穿孔から確実に内部クラックに補修材を充填することができる。その結果、コンクリート躯体内部のクラックおよび鉄筋近傍の防水および補修を確実に達成し、コンクリート構造物全体の強度を長期間維持することができる。
以下、添付図面を参照して、本考案を詳細に説明する。
図1は、本考案のクラック誘発防水部材を示す上面説明図であり、図2は、本考案のクラック誘発防水部材の連結状態を示す概略斜視図であり、図3は、鉄筋に固定されたクラック誘発防水部材および内側クラック誘発部材の固定状態を示す上面説明図であり、図4は、本考案の実施例1を示す概略横断面図であり、図5は、本考案の実施例2を示す概略横断面図であり、図6は、特許文献1に記載された従来のクラック誘発部材の施工状態を示す概略横断面図である。
(クラック誘発防水部材)
図1および2にしたがって、クラック誘発防水部材1について説明する。なお、図1において紙面上方がコンクリート躯体40の外壁方向であり、紙面下方が鉄筋30方向である。
本考案のクラック誘発防水部材1は、凸状部位2と平坦部位3を有する横断面形状がほぼT字の長尺部材であり、一のクラック誘発防水部材1の上端面または下端面の略中心部にクラック誘発防水部材1を連結するために連結用柱状部8が突設されている。前記連結用柱状部8が突設される面と反対側の面の略中心部には、他のクラック誘発防水部材1を連結するための凹部5が設けられている。クラック誘発防水部材1の平坦面に設けられたスリット4以外の面の全部は、密着性に優れる粘着性材料6で覆われている。
クラック誘発防水部材1は、T字形の凸状部位2とT字形の平坦部位3とからなる。凸状部位2は、コンクリート躯体40外壁の誘発目地50との間にクラックを発生させる役割を果たす。平坦部位3は、クラック誘発部材1を鉄筋30に固定するための固定部位となる。長尺部材はアルミニウムなどの金属またはポリ塩化ビニルなどの合成樹脂で作製されていることが、軽量化や製造の容易さから好ましい。
クラック誘発防水部材1の平坦面には、1または2以上のスリット4が設けられている。これにより、コンクリート打設後、スリット4を起点としてコンクリート躯体40内の特定箇所に内部クラック42を確実に発生させることができる。また、スリット4がクラック誘発防水部材1の上端面または下端面の両方が開放されているときは、クラック誘発防水部材1を押出加工でき、製造しやすくコストダウンを実現できる。
スリット4は、未硬化のコンクリートは透過しないテープ状の紙7で覆われている。これにより、未硬化のコンクリートのスリット4への浸入を防ぐことができ、スリット4はコンクリートで充填されることなくクラックを確実に発生させることができる。紙7に代えてメッシュ状シートなどの使用も考えられるが、コスト面や現場施工の作業性の点から紙7を用いることが好ましい。
クラック誘発防水部材1の上端面または下端面には、クラック誘発防水部材1を連結するための連結用柱状部8が突設されている。また、前記連結用柱状部8が突設される面と反対側の面の略中心部には、他のクラック誘発防水部材1に突設された連結用柱状部8に嵌合するための凹部5が設けられている。一のクラック誘発防水部材1の連結用柱状部8と他のクラック誘発防水部材1の凹部5とを嵌合して連結することにより、クラック誘発防水部材1の長さをコンクリート躯体40の大きさに合わせて調節することができる。これにより、クラック誘発防水部材1の寸法を短くでき、保管スペースを少なくすることができ、製造、輸送および配設作業が容易になる。
連結用柱状部8の形状は特に限定されないが、コンクリート打設時のコンクリートの流圧によって折れたり曲がったりしないよう一定の強度を有することが必要である。また、製造が容易であり、クラック誘発防水部材1への嵌合が容易であることから中空または密実な円柱形状であることが好ましい。前記連結用柱状部8は、強度が高く、製造が容易であることからアルミニウムなどの金属またはポリ塩化ビニルなどの合成樹脂で作製されていることが好ましい。
連結用柱状部8は、クラック誘発防水部材1に設けられた凹部5に予め嵌合されている。コンクリート打設時のコンクリートの流圧に耐えるため、連結用柱状部8と凹部5とは接着剤によって強固に嵌合される。
クラック誘発防水部材1の平坦面に設けられたスリット4以外の面の全部に、密着性に優れる粘着性材料6が覆われている。粘着性材料6は、外部クラック41から進入する水がコンクリート躯体40の鉄筋30に到達することを防ぐものであり、コンクリートとの密着性に優れる材料であることが好ましく、粘着性を有する材料であれば特に限定されないが、コンクリートとの接着性に優れるブチルゴムを用いることが特に好ましい。クラック誘発防水部材1の平坦面にコンクリートと密着性のよい粘着材料6の被覆層が設けられていないと、その部分でコンクリートとの密着性が損なわれ、コンクリートの硬化に伴いクラック誘発防水部材1との間に空隙が生じ、水の通り道になってしまう。そこで、少なくとも前記スリット4が設けられている平坦面のスリット4以外の面の全てが、粘着性材料6で覆われていることが好ましい。
クラック誘発防水部材1の鉄筋30への固定は、図3に示されるように、着脱が容易でスリット4が塞がれない金属製の固定部材31による固定が好ましい。固定部材31は、結束線などで鉄筋30に結び付けるが、特にこれに限定されるものではない。
コンクリート躯体40の幅が広いと、クラック誘発防水部材1だけでは、コンクリート躯体40内の予め想定した箇所にクラックを確実に発生させることができない。かかる場合、内部クラック誘発部材20が、鉄筋30の内側(コンクリート躯体内側)位置に固定されるが、内部クラック42を前記クラック誘発防水部材1のスリット4を起点とする一直線上に確実に発生させるため、クラック誘発防水部材1のスリット4と一直線上に、コンクリート躯体40内部の鉄筋30の内側に配設することが好ましい。これにより、クラック誘発防水部材1だけでは有効な内部クラック42を発生させづらいような幅の広いコンクリート躯体40の場合でも、クラック誘発防水部材1を起点として内部クラック42を確実に発生させることができ、コンクリート打設後の穿孔22から補修剤を充填することにより内部クラック42を効果的に封止・防水できる。
(内部クラック誘発部材)
内部クラック誘発部材20は、板状の部材であることがクラックの発生方向を指向させることが容易であるので好ましい。また、内部クラック誘発部材20は、製造が容易で、軽量かつ一定の強度を有するポリ塩化ビニル製の板が好ましい。大きさはコンクリート躯体のサイズに応じて決定されるが、通常、クラック誘発防水部材1と内部クラック誘発部材20の合計部材高さがコンクリート躯体40の全幅の30%以上であれば優先的に内部クラック42を発生させることができる。
内部クラック誘発部材20の鉄筋30への固定は、図3に示されるように、位置決めができれば充分であるのでワイヤなどで結び付けてもよいが、加工および着脱が容易で、クラック誘発防水部材1のスリット4が塞がれない専用のクランプ21による固定が好ましい。
(クラックの補修)
上記のクラック誘発防水構造により発生した外部クラック41は、コンクリート外壁表面から、適切なシール材を化粧目地部(目地棒)50に充填し封止することにより、より一層確実に防水効果を高めることができる。また、同様に発生した内部クラック42は、そのままでは補修材を注入することができないため、コンクリート打設後、型枠を取り除いた後で、ドリルにより穿孔22を設けて、該穿孔22から補修剤を圧入する。穿孔手段は、内部クラック42を貫通できるものであればよく特に限定されないが、ドリルを用いることが好ましい。内側クラック42は、前記クラック誘発防水部材1や内側クラック誘発部材20により、予め想定された箇所にクラックが発生しているため、確実にクラックに通ずる穿孔22を設けることができる。
補修剤は、流動性がよく補修効果に優れたものであれば、無機系の補修剤でも有機系の補修剤でもよく、特に限定されないが、浸透性の高いコロイダルシリカ水性分散液を用いることが好ましい。前記コロイダルシリカ水性分散液は、シリカが超微粒子であるため、コンクリート躯体40内に発生した内部クラック42中に浸透していき、クラック周囲のコンクリート中のアルカリ物質や水和物と反応してゲル化し、このシリカゲルでクラック内部を充填し、補修することができる。そのほか、ウレタン系補修剤やセメントミルクなども使用可能である。ただ、鉄筋を腐食しやすい酸や塩素などを含まない、または発生しないものであることが必要である。なお、内部クラック用の補修剤と外部クラック用の目地剤とは同じでも異なっていてもよい。
つぎに本考案の実施例を図面に従って説明するが、本考案はかかる実施例に限定されるものではなく、当業者に自明の改良改変も含むものである。
実施例1
本考案のクラック誘発防水部材1は、コンクリート打設前に、凸状部位2をコンクリート躯体40の外壁面向きになるように固定部材31により、鉄筋30に配設固定する。固定部材31は、結束線32により鉄筋30に固定される。これにより、クラック誘発防水部材1はコンクリート打設時のコンクリート流圧によって位置がずれない。鉄筋30はコンクリート躯体40の両側に組まれるのが通常であるので、それぞれの側の鉄筋30にクラック誘発防水部材1が、スリット4が対面するように配置される。これにより、二個のクラック誘発防水部材1のスリット4間の一直線上に内部クラック42を確実に発生することができる。クラック誘発防水部材1は、コンクリート躯体40の大きさに応じて、複数のクラック誘発防水部材1が連結される。連結は、一のクラック誘発防水部材1の上端面に突設した連結用柱状部8を、他のクラック誘発防水部材1の下端面に設けられた凹部5に嵌合する。連結用柱状部8は、コンクリート打設時のコンクリート流圧によって、折れたり曲がったりしないように、塩化ビニル製で中空または密実な円柱形状のものが用いられ、クラック誘発防水部材1に接着剤によって強固に固定される。
ついで型枠(図示せず)を所定の位置に配置し、型枠内にコンクリートを打設する。型枠にはクラック誘発防水部材1の凸状部位2に対面する位置に化粧目地(目地棒)50が形成されているため、コンクリートが硬化した後、凸状部位2と外壁面との間の所定の位置に外部クラック41を発生させやすくすることができる。
コンクリートを打設し硬化させた後、型枠を取り外すと、コンクリートの硬化に伴う収縮応力によりコンクリート幅の薄い部分、すなわち図4に示される外部クラック41がクラック誘発防水部材1の凸状部位2と化粧目地(目地棒)50の間に発生し、また両クラック誘発防水部材1のスリット4間に内部クラック42が発生する。このようにクラックを予め想定した場所に発生させることにより、無秩序に多数のクラックが発生することを防ぐことができる。
図4に示されるように、外部クラック41は放置していてもクラック誘発防水部材1の粘着性材料6により鉄筋30への水の浸入は阻止されるが、外部から適切な補修剤を注入して封止することにより、より一層確実に防水効果を高めることができる。
一方、コンクリート躯体40内部に発生した内部クラック42については、そのままでは補修材を注入することができない。そこで、図4に示されるように、コンクリート打設後、型枠を取り除いた後で、ドリルにより穿孔22を設けて、該穿孔22から補修剤を圧入する。穿孔手段は、本実施例ではドリルを用いたが、内部クラック42を貫通できるものであればよく、特に限定されない。内側クラック42は、前記クラック誘発防水部材1や内側クラック誘発部材20により、予め想定した箇所にクラックが発生しているため、ドリルにより確実にクラックに通ずる穿孔22を設けることができる。
補修剤として浸透性の高いコロイダルシリカ水性分散液を、穿孔22から内部クラック42内に圧入する。前記コロイダルシリカ水性分散液は、シリカが超微粒子であるため、コンクリート躯体40内に発生した内部クラック42中に浸透していき、クラック周囲のコンクリート中のアルカリ物質や水和物と反応してゲル化し、このシリカゲルでクラック内部を充填し、補修することができる。その結果、内部クラック42だけでなく、さらには横方向の鉄筋30の下側部分の空隙にも補修剤が充填され、より一層確実な防水機能が達成される。
実施例2
図5に示されるように、実施例2では、実施例1同様、コンクリート打設前に、二個のクラック誘発防水部材1が、スリット4同士が対面するように鉄筋30に配設固定される。しかし、コンクリート躯体40の幅が、前述の実施例1のものより幅が広い場合、クラック誘発防水部材1だけでは、予め想定した箇所に内部クラック42を確実に発生させることができない可能性がある。そこで、内部クラック42を想定した箇所により確実に発生させるために、内部クラック誘発部材20を鉄筋30の内側に配設する。
内部クラック誘発部材20は、クラック誘発防水部材1のスリット4の一直線上に内部クラックを確実に発生させるため、クラック誘発防水部材1のスリット4の一直線上であって、鉄筋30の内側(コンクリート躯体内側)位置に固定される。内部クラック誘発部材20は、加工および着脱が容易でクラック誘発防水部材1のスリット4が塞がれない専用のクランプ21によって鉄筋30に固定されている。かかる内部クラック誘発部材20を配設することにより、クラック誘発防水部材1だけでは有効な内部クラック42を発生させづらいような幅の広いコンクリート躯体40の場合でも、クラック誘発防水部材1を起点とする内部クラック42を確実に発生させることができる。
実施例1同様、コンクリート躯体40に発生した外部クラック41は、外部から適切なシール材を化粧目地(目地棒)50に充填し封止することにより、また、内部クラック42は、コンクリート打設後、型枠を取り除いた後で、ドリルにより穿孔22を設け、該穿孔22から、補修剤として浸透性の高いコロイダルシリカ水性分散液を内部クラック42内に圧入することにより、内部クラック42だけでなく、さらには横方向の鉄筋30の下側部分の空隙にも補修剤が充填され、より一層確実な防水機能が達成される。
このように本考案によれば、コンクリート躯体40外面(外壁)とクラック誘発防水部材1との間の予め想定した箇所に外部クラック41を発生させ、該外部クラック41からの水の内部への浸入を、クラック誘発防水部材1の外壁方向の表面に設けられた粘着性材料6の被覆層により阻止することによって水が鉄筋30にまで到達しないようにすることができる。本考案のクラック誘発部材1は、連結が容易であるため、あらゆる大きさのコンクリート躯体40にも施工が容易である。また、クラック誘発防水部材1からコンクリート躯体40内部方向へ発生する内部クラック42を予め想定した箇所に確実に発生させることができる。さらに、前記内部クラック42を予め想定した箇所に確実に発生させることにより、コンクリート打設後に内部クラック42に連通する穿孔22を設け、該穿孔22から、確実に内部クラック42に補修材を充填することができる。その結果、コンクリート躯体40内部のクラックおよび鉄筋30近傍の防水および補修を確実に達成し、コンクリート構造物全体の強度を長期間維持することができる。
本考案のクラック誘発防水部材を示す上面説明図である。 本考案のクラック誘発防水部材の連結状態を示す概略斜視図である。 鉄筋に固定されたクラック誘発防水部材および内側クラック誘発部材の固定状態を示す上面説明図である。 本考案の実施例1を示す概略横断面図である。 本考案の実施例2を示す概略横断面図である。 特許文献1に記載された従来のクラック誘発部材の施工状態を示す概略横断面図である。
符号の説明
1 クラック誘発防水部材
2 凸状部位
3 平坦部位
4 スリット
5 凹部
6 粘着性材料
7 紙
8 連結用柱状部
20 内部クラック誘発部材
21 クランプ
22 穿孔
30 鉄筋
31 取付け用部材
32 固定部材
40 コンクリート躯体
41 外部クラック
42 内部クラック
50 化粧目地(目地棒)
100 クラック誘発部材
101 芯材
101a 突出部分
100b フランジ部分
102 粘着層
110 内側クラック誘発部材
200 構造体
210 溝
220 構造用鉄筋

Claims (3)

  1. 鉄筋とクラック誘発防水部材とを含むコンクリート構造物のクラック誘発防水構造であって、
    該クラック誘発防水部材が、横断面形状略T字形の長尺部材であり、
    該長尺部材の平坦部位をなす平坦面に1または2以上のスリットが設けられており、
    該スリットの表面が未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、
    該クラック誘発防水部材の上端面または下端面には、1または2以上の連結用柱状部が突設されており、
    該柱状部が突設される面と反対側の面には、該柱状部を嵌合するための凹部が設けられており、
    該クラック誘発防水部材の少なくとも該平坦面のスリット以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われている部材であり、
    該クラック誘発防水部材の凸状部位がコンクリート躯体の外面方向を向くように、該クラック誘発防水部材の平坦面側がコンクリート躯体内部の鉄筋の外面側に配設されており、
    コンクリート打設後に、前記クラック誘発防水部材によってコンクリート躯体内に生じたクラックに交錯するように補修剤を注入するための穿孔が設けられてなるクラック誘発防水構造。
  2. 前記クラック誘発防水部材のスリットと一直線上に、内部クラック誘発部材がコンクリート躯体内部の鉄筋の内面側に配設されてなる請求項1記載のクラック誘発防水構造。
  3. コンクリートの硬化に伴いコンクリート躯体外面の所定の箇所との間には外部クラックおよび鉄筋で囲われた内部には内部クラックを生ぜしめ、かつ防水効果を高めるためにコンクリート躯体内部の鉄筋の外面側に配設されるクラック誘発防水部材であって、
    横断面形状略T字形の長尺部材であり、
    該長尺部材の平坦部位をなす平坦面に1または2以上のスリットが設けられており、
    該スリットの表面が未硬化のコンクリートは透過しない紙で覆われており、
    該クラック誘発防水部材の上端面または下端面には、1または2以上の連結用柱状部が突設されており、
    該柱状部が突設される面と反対側の面には、該柱状部を嵌合するための凹部が設けられており、
    該クラック誘発防水部材の少なくとも該平坦面のスリット以外の面の全てがコンクリートとの密着性に優れる粘着性材料の被覆層で覆われているクラック誘発防水部材。
JP2007010039U 2007-12-28 2007-12-28 クラック誘発防水構造 Expired - Lifetime JP3140216U (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011256691A (ja) * 2010-05-13 2011-12-22 Nippon Kasetsu Kk コンクリートクラック誘発目地装置および該装置の使用方法
CN103835216A (zh) * 2012-11-20 2014-06-04 张晓群 硬化路面以及房屋屋顶裂缝的修复装置及施工方法
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