JP6725350B2 - 既設管更生方法 - Google Patents
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Description
しかし、更生管は連続して長く延びており、温度の変化に伴う伸縮量が大きいため、上記止水材を破壊することがあり、地下水の流れ込みを確実に防止することができない。
特許文献2の段落0003には、従来技術として次のような止水方法が開示されている。すなわち、ガラスマットにエポキシ樹脂を含浸させた止水材を既設管の端部内側に貼り付けておき、ライニング工程での更生管の拡径により、上記止水材を更生管と既設管との間で挟み、これにより更生管と既設管との間の隙間の通路を遮断する。
特許文献2の方法では、ライニング工程での更生管の熱により、エポキシ樹脂が劣化してしまう。
上記方法によれば、既設管の管端からの接着樹脂を注入するので、この注入作業を広いスペースで行え、作業性が良い。
充填された接着樹脂は、既設管の端部と上記更生管との間の隙間の通路を遮断するので、止水機能を発揮することができ、既設管の亀裂等から入り込んだ水が上記隙間を経て既設管の管端から流出するのを防止することができる。また、接着樹脂が既設管の端部と更生管の端部を接着固定するので、更生管の温度変化に伴う伸縮を禁じることができる。
上記方法によれば、既設管の管端に形成した止水材により接着樹脂が既設管の管端から漏れ出るのを防止でき、確実に接着樹脂を既設管と更生管の間の隙間に注入することができる。また、接着樹脂と止水材とが協働して止水するので、既設管の亀裂等から入り込んだ水が上記隙間を経て既設管の管端から流出するのを確実に防止することができる。更生管は既設管で伸縮を抑制されるので、止水材の破壊を防止することができる。
上記方法によれば、ガイド溝により接着樹脂を円滑かつ確実に既設管と更生管の間の隙間に注入することができる。
上記方法によれば、チューブを用いることにより、接着樹脂の注入作業の作業性を向上させることができる。
上記方法によれば、チューブにより更生管内面に形成される筋状の凸部をなだらかにして更生管の他の内面領域に連ねることができる。また、チューブが柔軟である場合には、更生管の拡径時にこのチューブの潰れを防いでチューブの内部通路を確保することができる。
上記方法によれば、接着樹脂を円滑かつ確実に既設管と更生管の間の隙間に注入することができる。
上記方法によれば、接着樹脂と止水材とが協働して止水するので、既設管の亀裂等から入り込んだ水が上記隙間を経て既設管の管端から流出するのを確実に防止することができる。更生管は既設管で伸縮を抑制されるので、止水材の破壊を防止することができる。
図1(A)は下水道のマンホール1と、このマンホール1に一端が接続され長期使用により劣化した下水管10(以下、既設管という)を示す。既設管10はマンホール1の周壁2を貫通している。既設管10の管端11は、周壁2の内周と略一致した位置にある。この管端11の内周において最も低い部分は、マンホール1の底板3の上面と略同じ高さに位置している。既設管10の他端も他のマンホール1に同様にして接続されている。
ライニング工程
上記既設管10の内側に更生管20をライニングする工程である。
更生管20は、形状記憶機能を有する塩化ビニル樹脂からなる。図3(A)に示すように、断面オメガ形状に潰された状態の更生管20を、一方のマンホール1から他方のマンホール1まで、既設管10の全長にわたって挿通する。更生管20の両端部は、既設管10の管端11から突出させる。
なお、更生管20の既設管10の管端11から突出した端部は、所定長さを残して切断する。これにより、図1(B)に示すように、更生管20は突出端部21を有する。
次に、図1(C)、図2に示すように、既設管10の管端11と更生管20の間を全周にわたって止水材30で封止する。止水材30は、例えば速乾エポキシ樹脂や急結モルタルからなるパテからなる。
上記止水材30は、更生管20の突出端部21の拡径部の外周と既設管10の管端11の端面との間に形成された部分31と、更生管20の突出端部21の最下位部分の端面とマンホール1の底板3の上面との間に形成された部分32と、これら部分31,32を連ねるようにして底板3の上面と突出端部21の側部との間に形成された部分33とを有している。
穴形成工程
図4に示すように、ドリル等を用いて止水材30又は既設管10の管口部分に差し込み穴35を形成する。この差し込み穴35の内端は、既設管10と更生管20の隙間40の端に連なっている。この隙間40は、1mm以下、例えば0.8mm程度である。図では、理解を容易にするために、隙間40を全周にわたって均一に示しているが、実際には更生管20は既設管10の管底に接するか接近しているため、隙間40は管底で小さく管頂で大きくなっている。
次に、図5に示すように、上記止水材30の差し込み穴35に、注入装置50の注入ノズル51を差し込み、ポンプ52により、チューブ53および注入ノズル51を介して、接着樹脂60(図6にのみ示す)を既設管10の管端11から既設管10と更生管20の隙間40に注入する。接着樹脂60としては、耐水性、耐久性に優れ、低粘度で湿潤接着性の良い高強度なエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリマーセメント等が用いられる。エポキシ樹脂の場合、ひび割れ注入工法用エポキシ樹脂、土木補修用エポキシ樹脂、土木用注入エポキシ樹脂等が用いられる。なお、ポンプ52は足踏み式や手動式でもよいし、モータ駆動でもよい。
なお、樹脂注入工程は、ライニング工程から24時間以上経過してから実行するのが好ましい。ライニング工程で発生した熱の影響を回避するためである。
最後に、差し込み穴35を止水材で塞いで既設管10の更生が終了する。後述するように、止水材30による止水の負担が著しく軽減される場合には、差し込み穴35は塞がなくてもよい。
まず、止水機能について説明する。接着樹脂60は既設管10と更生管20の隙間20に実質的に全周にわたり充填されているので、隙間20の通路を遮断できる。そのため、既設管10の亀裂から隙間40に侵入し更生管20に沿って流れてきた地下水を、せき止め、マンホール1への流れ込みを防止することができる。本実施形態では、さらに既設管10の管端に止水材30が形成されているので、より確実に止水することができる。
差し込み口35は上記ガイド溝15と周方向位置が一致しており、両者は連なっている。第1実施形態と同様にして注入ノズル51を差し込み穴35に差し込んで接着樹脂60を注入すると、接着樹脂60はガイド溝15内を軸方向に流れるとともに、ガイド溝15の周方向両側から隙間40に充填される。そのため、接着樹脂60の充填をより円滑に行なうことができる。
チューブ設置工程
図8に示すように、チューブ70の端部を既設管10の端部に挿入し、例えば接着テープで内周面に仮止めしておく。なお、チューブ70の端部を接着テープを用いずに単に既設管10に挿入しておくだけでもよい。このチューブ10の挿入長さは、充填される接着樹脂60の管端11からの軸方向長さL(図6)の半分程度とする。チューブ10は複数本を並列に設置してもよい。
次に図9に示すように、更生管20のライニングを実行する。これにより、チューブ70の端部は、既設管10と更生管20の間に挟持され、その先端開口は既設管10と更生管20の間の隙間40に連なる。
次に、上記チューブ70にポンプから接着樹脂を供給すると、接着樹脂はチューブ70を通り、その先端開口から吐出され、上記隙間40に充填される。先端開口から吐出された接着樹脂の一部は既設管10の管端11に向かっても流れる。これにより、第1、第2実施形態と同様に、接着樹脂は管端11から所定長さにわたって充填される。本実施形態では、接着樹脂の充填領域は管端11から離れていてもよい。
他の工程は第3実施形態と同様である。なお、チューブ70が柔軟である場合には、樹脂注入工程の後でチューブ70を抜いてもよい。この場合、スペーサ80によりスライドできる空間を確保することができる。
更生管20の凸部25をなだらかにする目的でスペーサを用いる場合、スペーサを小径のチューブで更生してもよい。
スペーサ70はチューブ70の片側だけに設置してもよい。
なお、第5実施形態でもスペーサを用いることができるが、このスペーサには接着樹脂の周方向の流れを許容する通路を形成する必要がある。
第3〜第5実施形態において、チューブは管頂に設置したが管底に設置してもよい。
第1〜第5実施形態において、樹脂注入箇所は1つであったが、周方向に離れた複数箇所から注入してもよい。
例えば、既設管はマンホールの底板の上面から離れていてもよい。この場合、更生管の突出端部と既設管の管端との間に、止水材が全周にわたって形成される。
例えば、既設管は下水管のみならずケーブル保護管等であってもよい。
11 管端
15 ガイド溝
20 更生管
30 止水材
40 隙間
51 注入ノズル
60 接着樹脂
70,70’ チューブ
71 吐出口
80 スペーサ
Claims (8)
- 既設管の内側に樹脂製更生管をその拡径を伴ってライニングするとともに、上記更生管の端部を上記既設管の管端から突出させるライニング工程と、
上記ライニング工程の後で、上記既設管の管端から突出する上記更生管の端部外周に止水材を配することにより、上記既設管の管端と上記更生管との間を全周にわたり上記止水材で封止する封止工程と、
上記止水材に、上記既設管の管端に達するとともに上記既設管と上記更生管の間の隙間の端に連なる差し込み穴を形成する穴形成工程と、
上記差し込み穴に注入ノズルを差し込み、この注入ノズルを介して、接着樹脂を上記既設管の端部と上記更生管の間の隙間に注入する樹脂注入工程と、
を備えたことを特徴とする既設管更生方法。 - 上記穴形成工程において、ドリルにより上記止水材に上記差し込み穴を形成することを特徴とする請求項1に記載の既設管構成方法。
- 上記既設管の内周には、上記既設管の管端から所定距離にわたって軸方向に延びるガイド溝が形成されており、このガイド溝により、上記注入ノズルから注入された上記接着樹脂を奥に向かって案内することを特徴とする請求項1または2に記載の既設管更生方法。
- 既設管内に上記既設管の管端から軸方向に沿ってチューブの端部を設置するチューブ設置工程と、
上記チューブ設置工程の後で、上記既設管の内側に樹脂製更生管をその拡径を伴ってライニングするライニング工程と、
上記ライニング工程の後で、上記既設管の管端から、上記既設管の端部と上記更生管との間の隙間に接着樹脂を注入する樹脂注入工程と、
を備え、
上記ライニング工程において上記更生管を拡径することにより、上記既設管と上記更生管との間に上記チューブの端部を挟み、
上記樹脂注入工程では、上記チューブを介して、上記接着樹脂を上記既設管の端部と上記更生管の間の隙間に注入することを特徴とする既設管更生方法。 - 上記チューブ設置工程において、上記既設管内において、上記チューブの片側または両側に上記チューブに沿って延びるスペーサを設置し、
上記ライニング工程において上記更生管を拡径することにより、上記既設管と上記更生管との間に、上記チューブの端部とその片側または両側に配置された上記スペーサを挟むことを特徴とする請求項4に記載の既設管更生方法。 - 上記樹脂注入工程において、上記接着樹脂を上記チューブの先端開口から吐出することを特徴とする請求項4または5に記載の既設管更生方法。
- 上記チューブの端部周壁において径方向に対峙する一対の壁部分には、吐出口が形成されており、
上記樹脂注入工程において、上記接着樹脂を上記チューブの上記吐出口から周方向に吐出することを特徴とする請求項4または5に記載の既設管更生方法。 - 上記ライニング工程の後、上記樹脂注入工程の前または後で、上記既設管の管端と上記更生管との間を全周にわたり止水材で封止する封止工程を実行することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の既設管更生方法。
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