JP6956016B2 - 既設管更生方法 - Google Patents
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Description
しかし、更生管は連続して長く延びており、温度の変化に伴う軸方向の伸縮量が大きいため、上記止水材を破壊することがあり、地下水の流れ込みを確実に防止することができない。
特許文献2の段落0003には、従来技術として次のような止水方法が開示されている。すなわち、ガラスマットにエポキシ樹脂を含浸させた止水材を既設管の端部内側に貼り付けておき、ライニング工程での更生管の拡径により、上記止水材を更生管と既設管との間で挟み、これにより更生管と既設管との間の隙間の通路を遮断する。
特許文献2の方法では、ライニング工程での更生管の熱により、エポキシ樹脂が劣化してしまう。
しかし、更生管の温度が想定以上に低下した場合に、更生管の径方向収縮に伴う荷重が接着剤に作用し、更生管が接着剤から剥がれ、ひいては既設管から剥がれてしまう可能性が考えられる。
そこで本出願人は、さらなる改良を加えて本発明に至ったのである。
既設管の内側に樹脂製更生管をその拡径を伴ってライニングするライニング工程と、
上記ライニング工程の後で、上記既設管の管端から、上記既設管と上記更生管との間の隙間に接着プライマーを注入する接着プライマー注入工程と、
上記接着プライナー注入工程の次に、上記既設管の管端から、上記既設管と上記更生管との間の隙間に接着剤を注入する接着剤注入工程と、
を備えたことを特徴とする。
さらに、接着剤注入前に接着ブライマーを注入して更生管の外周を表面処理するため、接着剤と更生管との間の接着強度を格段に高めることができ、更生管が通常想定される温度より低い状況におかれても、更生管が径方向収縮によって接着剤から剥がれるのを防止でき、長期にわたって既設管と更生管の接着状態を維持することができる。
上記方法によれば、チューブを用いることにより、接着プライマーおよび接着剤を円滑に注入することができる。
上記方法によれば、ワイヤによりチューブを確実に既設管の軸方向に沿って挿入することができるとともに、チューブの潰れを防止することができる。
上記方法によれば、管頂部から底部に向かって接着プライマーおよび接着剤を流すことができ、既設管と更生管の間の隙間に全周にわたって接着プライマーおよび接着剤を供給することができる。
上記方法によれば、広い範囲にわたって上記接着プライマーおよび上記接着剤を供給することができる。
上記方法によれば、既設管の管端に形成した止水材により接着プライマーや接着剤が既設管の管端から漏れ出るのを防止できる。また、接着剤と止水材とが協働して止水するので、既設管の亀裂等から入り込んだ水が上記隙間を経て既設管の管端から流出するのを確実に防止することができる。
上記方法によれば、チューブの開口端を塞ぐことができる。
図1は下水道のマンホール1の一部と、このマンホール1に一端が接続され長期使用により劣化した既設管2を示す。既設管2はマンホール1の周壁1aを貫通している。既設管2の管端2aは、周壁1aの内周と略一致した位置にある。この管端2aの内周において最も低い部分は、マンホール1の底板1bの上面と略同じ高さに位置している。既設管2の他端も他のマンホール1に同様にして接続されている。
ライニング工程(第1段階)
最初に、図1、図6に示すように、断面Ω形状に潰された長尺の更生管3を、一方のマンホール1から他方のマンホール1まで牽引することにより、既設管2の全長にわたって挿入する。更生管3の両端部は、既設管2の管端2aから突出させる。更生管3は、形状記憶機能を有する塩化ビニル樹脂からなる。更生管3の元々の断面形状は円形で、平らに潰され、さらに二つ折りにされることで断面がΩ形状になっている。
上記更生管3の一端から他端に高温蒸気を流し、更生管3を形状記憶された断面円形に戻し、さらに圧縮空気を供給して拡径することにより、図2、図7に示すように、既設管2の内側に更生管3をライニングする。この際、過拡径して更生管3と既設管2との間の抵抗力を高める。これによって、更生管3が水平方向にずれにくくなる。また更生管3が冷えて収縮しようとしても、既設管2より過拡径した部分が管端に引っ掛かり、収縮しにくい。
図2に示すように、上記ライニング工程の実行中に、既設管2の管端2aから所定長さにわたって、1本の樹脂製チューブ10を挿入する。更生管3の拡径により、チューブ10は既設管2と更生管3との間に挟まれて支持される。チューブ10は、既設管2の軸方向に延び、既設管2の管頂部と更生管3の管頂部との間に配置される。
図8に示すように、チューブ10は先端から所定長さにわたる部位が挿入部11としてア提供され、残部が導出部12として提供され、その全長は例えば70cmである。図2に示すように、チューブ10の挿入部11が上述のように既設管2と更生管3との間に挿入され、導出部12が既設管2の管端2aから導出されるようになっている。
更生管3の拡径前に、チューブ10を予め更生管3の外周または既設管2の内周に接着してもよい。
ワイヤ18をチューブ10から抜き、更生管3を、既設管2の管端2aから所定長さを残して切断する。これにより、更生管3は図3に突出端部3aを有する。
次に、既設管2の管端2aと更生管3の突出端部3aの間を全周にわたって止水材20で封止する。止水材20は、例えば速乾エポキシ樹脂や急結モルタル等のパテからなる。
止水材20には、チューブ10の導出部12の近傍かつ周囲に、窪み21を形成しておく。
次に、図4に示すように、チューブ10を介して接着プライマー(表面処理剤)を、既設管2と更生管3との間に、管端2aから所定長さにわたる領域に、注入する。以下、詳述する。
足踏み式ポンプ30を付設したタンク40を用意する。なお、ポンプ30は手動式でもよいし、モータ駆動でもよい。
速乾性:施工時間を短縮するためである。
耐水性:下水道内は湿度が高く、地下水等も存在するためである。
低粘度:既設管2と更生管3の隙間は、1mm以下になる場合があり、注入時に低圧で早く注入することが求められるからである。
本実施形態では、接着プライマーとしてコニシ株式会社製の「ボンドプライマー80」を用いる。「ボンドプライマー80」は、主成分が特殊合成樹脂で、主溶剤がメチルエチルケトン(ケトン系)であり、上記特性を有している。
次に、チューブ10を介して接着剤を、既設管2と更生管3との間に、管端2aから所定長さにわたって注入する。以下、詳述する。
接着剤としては、耐水性、耐久性に優れ、低粘度で湿潤接着性の良い高強度なものが用いられる。例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリマーセメント等が用いられる。本実施形態では、クラック注入用低粘度エポキシ樹脂として、コニシ株式会社製の「E2601」が用いられる。
上記接着剤の常温硬化により、既設管2の管端2aから所定長さにわたって、既設管2と更生管3が接着固定される。
最後に、図5に示すように、チューブ10を止水材20の窪み21の底部に合わせて切断し、この窪み21に追加止水材25を充填することにより、チューブ10の開口端を塞ぐ。これにより既設管2の更生が終了する。なお、この仕上工程は省いてもよい。
まず、止水機能について説明する。接着剤は既設管2と更生管3の隙間に実質的に全周にわたり充填されているので、隙間の通路を遮断できる。そのため、既設管2の亀裂から隙間に侵入し更生管3に沿って流れてきた地下水を、せき止め、マンホール1への流れ込みを防止することができる。本実施形態では、さらに既設管2の管端に止水材20が形成されているので、より確実に止水することができる。
チューブは複数本を並列に設置してもよい。
接着プライマーと接着剤は、チューブの先端開口からも吐出してもよい。
チューブを用いないで接着プライマーと接着剤を注入してもよい。すなわち、既設管の管端と更生管との間を塞ぐ止水材に、上記既設管の管端に達するとともに上記既設管と上記更生管の間の隙間に連なる差し込み穴を形成し、この差し込み穴に注入ノズルを差し込み、この注入ノズルを介して、接着プライマーおよび接着剤を、既設管と更生管の間の隙間に注入する。
更生管の「拡径」は、断面円形への復元を含む。例えば、更生管が高温蒸気により潰れた状態から膨らんで記憶された断面円形に復元され、この復元された更生管の外径が既設管の内径と等しい場合も含む。
既設管は下水管のみならずケーブル保護管等であってもよい。
2 既設管
2a 管端
3 更生管
3a 突出端部
10 チューブ
11 挿入部
12 導出部
13 吐出部
13a 吐出口
14 閉塞先端部
20 止水材
25 追加止水材
Claims (7)
- 既設管の内側に樹脂製更生管をその拡径を伴ってライニングするライニング工程と、
上記ライニング工程の後で、上記既設管の管端から、上記既設管と上記更生管との間の隙間に接着プライマーを注入する接着プライマー注入工程と、
上記接着プライマー注入工程の次に、上記既設管の管端から、上記既設管と上記更生管との間の隙間に接着剤を注入する接着剤注入工程と、
を備えたことを特徴とする既設管更生方法。 - 先端から所定長さまでの挿入部と、その残部となる導出部とを有するチューブを用意し、
上記ライニング工程において、上記チューブの挿入部を上記既設管の管端から上記既設管の軸方向に挿入した状態で、上記更生管を拡径することにより、上記挿入部を上記既設管と上記更生管との間で挟み、上記導出部を上記既設管の管端からの外部に導出し、
上記接着プライマーおよび上記接着剤を、上記チューブを介して上記既設管と上記更生管との間の隙間に注入することを特徴とする請求項1に記載の既設管更生方法。 - 上記チューブを、直線状に延びるワイヤを挿入された状態で、上記既設管と上記更生管との間に挿入し、
上記ワイヤを、上記接着プライマー注入工程前に抜き取ることを特徴とする請求項2に記載の既設管更生方法。 - 上記チューブを、上記既設管の管頂部と上記更生管の管頂部との間に配置することを特徴とする請求項2または3に記載の既設管更生方法。
- 上記チューブの上記挿入部の先端部が閉塞されており、上記挿入部の周壁には、軸線方向に間隔をおいて複数の吐出部が形成され、各吐出部では、周方向に間隔をおいて複数の吐出口が形成されており、
上記接着プライマーおよび上記接着剤は、上記吐出口から吐出されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の既設管更生方法。 - 上記ライニング工程の後、上記接着プライマー注入工程の前に、上記既設管の管端と上記更生管との間を全周にわたり止水材で封止する封止工程をさらに備え、
上記チューブの導出部を上記止水材から外部に導出することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の既設管更生方法。 - 上記止水材は、上記チューブの導出部の近傍かつ周囲に窪みを有し、
上記接着剤注入工程の後に、上記チューブの導出部を上記窪みの底部において切断し、上記窪みを追加止水材で埋めることを特徴とする請求項6に記載の既設管更生方法。
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