JP3228524U - 防食鋼管柱 - Google Patents

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【課題】鋼管柱の腐食の防止を効果的に行うために、鋼管内面に生じる腐食を防止するとともに、鋼管外面に生じる腐食を防止することが可能な防食鋼管柱を提供する。【解決手段】防食鋼管柱10は、地中に一部を埋めて立設される鋼管柱40において、予め定められた位置に少なくとも1枚の仕切板112が、管内断面を塞いで固定され、一の仕切板と他の仕切板又は鋼管柱の端部との間の管内部に発泡樹脂剤が注入されて、発泡によって体積が増大し発泡体116を形成し隙間なく充填されたこと、鋼管柱外面において予め防食を行うことを定められた位置に強力合成繊維入り不織布120を付着させたこと、付着させた強力合成繊維入り不織布に常温硬化型又は熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させたこと、を特徴とする。【選択図】図5

Description

本考案は、道路標識や道路照明灯などの鋼管構造物に用いられる鋼管柱において、錆の発生を防止し鋼管の寿命を延ばす防食処理された鋼管柱に関する。
従来、錆の発生を防止する構造物補強は、設置場所に応じた耐久性を考慮して、塗装と溶融亜鉛メッキ又はこれらの組み合わせが多く採用され、その他として、粉体塗装、浸漬塗装などが用いられている。国土交通省国土技術政策研究所の「道路附属物支柱等の劣化・損傷に関する調査」(以下、国土交通省調査)では、防食施工は溶融亜鉛メッキが約5割、塗装が約2割であることが示されている。
しかし、道路標識や道路照明灯の鋼管柱の地際部(路面境界部)においては、塵や雨で跳ねた泥などの蓄積により滞水しやすい、砂塵などにより損傷が生じやすい、犬の尿により酸化しやすい、地際部には応力が集中しやすい、又は、地面がコンクリートである場合、コンクリート中の不働態化した鋼管部分と地表に現れている鋼管部分との間で電位差が生じやすいなど他の部分を比較して厳しい環境にあることから、腐食が生じやすいため損傷の度合いが高くなる傾向にあり、折損や倒壊などの事故につながる可能性がある。
鋼管柱は、設置した後は抜本的な補修は困難であり、現場の状況に制限された対処方法か、新たな構造物に更新するしかなかった。
かかる問題を解決するために、設置後の補修又は更新までの期間を可能な限り長くするために、新設の鋼管柱を防食する発明が以下に開示されている。
特許文献1では、鋼管の下部の開口を封止し、前記鋼管の上部の開口から、前記樹脂発泡成形体の材料である2種類以上の液体を、発泡膨張後の該樹脂発泡成形体の体積が前記鋼管内の体積よりも大きくなるように当該鋼管内に過剰に注入し、前記2種類以上の液体を注入後に、当該鋼管の上部の開口を、通気孔を有する上蓋によって封止し、当該鋼管の上下両側の開口を封止した状態で前記2種類以上の液体を発泡膨張および硬化させることにより、上下両側の開口近傍の樹脂発泡成形体を過密状態とすることを特徴とする鋼管の樹脂発泡成形体充填方法が開示されている。
特許文献2では、円形鋼管内面の防錆処理方法であって、円形鋼管の内面に湿気硬化型ウレタン樹脂を主成分とする防錆塗料をコーティングした後、当該円形鋼管の内部に、硬質ポリウレタンフォーム用組成物を注入し発泡させることにより、前記円形鋼管の内部に存在する空気を鋼管外に排出し、円形鋼管内部を硬質ポリウレタンフォームで充填することを特徴とする円形鋼管内面の防錆処理方法が開示されている。
また、設置後の鋼管柱に対して、現場で施工が可能な鋼管柱外面の防食方法として、以下の発明が開示されている。
特許文献3では、織布又は不織布から形成されたテープ状物に水中硬化型防食用樹脂を含浸させた防食テープを、該水中硬化型防食用樹脂が硬化する前に被防食体に巻き付けるか又は貼り付ける海洋鋼構造物の被覆防食方法が開示されている。
また、特許文献4では、金属管柱の外面にて、応力集中部及び/又はその近傍に、又は、金属管柱接続部を取り巻いて、繊維強化プラスチックを貼付する金属管柱の補強方法において、炭素繊維やアラミド繊維などの強化繊維シートを管柱の外面に貼付し、この強化繊維シートにエポキシ樹脂などのマトリクス樹脂を含浸させて形成される繊維強化プラスチックの上端及び/又は下端を覆って、強化繊維が円周方向に配列するようにして繊維強化プラスチックを貼付することを特徴とする金属管柱の補強方法が開示されている。
特許第6586310号公報 特許第5705174号公報 特開2004−132113号公報 特許第4362221号公報
特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、設置前の鋼管柱の内部に発泡成形体を充填し、設置後の腐食を防止するものである。特許文献1では、発泡成形体を過剰に注入し隙間をなくすために、上下に蓋を取り付けている。また、特許文献2では、発泡成形体のみならず、防砂部塗料のコーティングを行っている。これらの方法は、予め行う防食方法であって、設置後には施工が難しい問題があった。
また、鋼管柱を設置後、特許文献3や特許文献4に開示された先行技術を活用することが考えられるが、特許文献3では、構造物が設置された現場において樹脂含浸されたテープ状物を巻回施工される際にテープ間に隙間ができるなどの懸念があり、安定した耐久性を確保できない問題があった。
また、特許文献4では、構造物の補強材料として一般的な炭素繊維やアラミド繊維を使用しているが、入手性が悪く、価格も高止まりしており建設物や道路附設物に普及するまでに至っていない。炭素繊維やアラミド繊維は柔軟性がないため不定形の対象物に沿わせることは容易ではなく、切断することができないことも施工時の取り扱いを難しくしている要因である。
さて、国土交通省調査によれば、標識や照明施設の損傷の最も多くは腐食であり、6割から7割を占めている。また、照明施設における腐食発生部位は、鋼管柱脚部が最も多く、構造的な接合部や境界部に集中している。
図1には、鋼管柱の路面境界部GL劣化のメカニズムを示した。鋼管柱は、路面との境界に蓄積するゴミ・チリDSによって、蓄積部分には水分WTが継続して付着しやすくなる。水分WTなどによって、路面境界部(地盤面GL付近)、接合部及び境界部に錆(腐食部)RSが生じ経年劣化が進行して、最後には破断に至るものである。
また、電気設備点検用開口部80などの構造的な接合部からは、図6及び図7(b)に示したように、雨水が侵入し鋼管柱内部の腐食が生じる。通常開口部42にはシール材などにより雨水の侵入を防止しているが、シール材の経年劣化によりひび割れが生じ雨水が侵入して水みちWRが生じる事例が確認されている。特に電気設備点検用開口部80は滞水しやすいため、水抜き穴46が設けられていることが多いが(図7(a))、長年のホコリ・チリの堆積により、水抜き穴46が塞がれ、鋼管内を水が伝わり、路面境界部GL付近に滞水し錆が生じる(図7(b))。
以上のように、特に鋼管柱の路面境界部の腐食は、外面及び内面の両側から生じ損傷の度合いが高くなることが分かる。
本考案は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鋼管柱の腐食の防止を効果的に行うために、鋼管内面に生じる腐食を防止するとともに、鋼管外面に生じる腐食を防止することが可能な防食鋼管柱を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本考案の防食鋼管柱は、地中に一部を埋めて立設される鋼管柱において、予め定められた位置に少なくとも1枚の仕切板が、管内断面を塞いで固定され、一の仕切板と他の仕切板又は前記鋼管柱の端部との間の管内部に発泡樹脂剤が注入されて、発泡によって体積が増大し発泡体を形成し隙間なく充填されたこと、鋼管柱外面において予め防食を行うことを定められた位置に強力合成繊維入り不織布を付着させたこと、付着させた前記強力合成繊維入り不織布に常温硬化型又は熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させたこと、を特徴とする。
また、本考案の防食鋼管柱は、発泡樹脂剤注入口が、前記仕切板の少なくとも1枚に形成されたこと、を特徴とする。
また、本考案の防食鋼管柱は、前記発泡樹脂剤注入口が、発泡樹脂剤が注入された後に封止される蓋を備えたこと、を特徴とする。
また、本考案の防食鋼管柱は、前記仕切板が、発泡樹脂剤を発泡させることによって鋼管柱の予め定められた位置に形成され固定されたこと、前記仕切板を形成する際に発泡樹脂剤注入ノズルを挿入した状態で発泡させて前記発泡樹脂剤注入口を形成すること、を特徴とする。
また、本考案の防食鋼管柱は、前記鋼管柱において、地中の最下端から地表の予め定められた高さまでの管内部に発泡樹脂剤を発泡させることによって隙間なく充填されたこと、地表から前記予め定められた高さまでの間の鋼管脚部の外面に沿って強力合成繊維入り不織布が配設されたこと、を特徴とする。
また、本考案の防食鋼管柱は、前記鋼管柱壁面に開口部が設けられた場合において、前記仕切板が、地表から上方向に向かって最初の前記開口部下端と同一面に固定されたこと、を特徴とする。
本考案に係る防食鋼管柱によれば、地中部分及び地表の予め定められた高さまでの部分の間の鋼管柱内部に発泡樹脂が充填され、地表から予め定められた高さまでの部分の鋼管柱外面に強力合成繊維入り不織布が配設されたことにより、厳しい環境に曝される鋼管柱の路面境界部において鋼管内外から防食を行うことが可能である効果を奏する。
また、本考案に係る防食鋼管柱によれば、特に開口部から侵入した雨水に地面方向への水みちを作らせず、路面境界部内部における腐食の要因となる滞水を防止することが可能となる効果を奏する。
鋼管柱路面境界部GLにおける腐食発生のメカニズムの図である。 立設前の鋼管柱40に防食処理を施工した防食鋼管柱10の断面を示した図である。 開口部42を利用して防食処理を施工中の立設前の鋼管柱40の断面を示した図である。 開口部42を有さない立設前の鋼管柱40に防食処理を施工中の断面を示した図である。 新設防食鋼管柱10を立設した状態の断面を示した図である。 開口部42から侵入する鋼管柱40内の水の通り道、いわゆる水みちWRを示した図である。 図6において開口部42周辺を拡大した図である。 開口部42から鋼管柱40内への水の侵入を防止する位置に発泡樹脂充填部を形成した図である。 立設された一般的な鋼管柱40における電気設備点検用開口部80の位置を示した図である。 開口部を利用して立設後の鋼管柱40に防食処理を施工する図である。 発泡樹脂剤302によって仕切板113を形成し、防食処理を施工する図である。 立設後の開口部42を有さない鋼管柱40に防食処理を施工する図である。
本考案に係る防食鋼管柱10を実施するための形態について、図を参照しつつ説明する。
図1に示し、前述したように、鋼管柱40は、路面との境界に蓄積するゴミ・チリDSによって、蓄積部分には水分WTが継続して付着しやすく腐食が発生しやすい。本考案に係る防食鋼管柱10は、鋼管柱40の路面境界部GLにおいて生じる腐食から鋼管柱40を保護するための施工がなされ、照明柱60や情報装置柱70(図9)、標識等の耐久性を格段に向上させることを可能とした。
図2は、立設前の鋼管柱40に防食処理を施工した防食鋼管柱10の断面を示した図である。防食鋼管柱10の一例は、管内の予め定められた位置に2枚の管内断面を塞ぐ仕切板112が固定され、一方の仕切板112に発泡樹脂剤注入口が形成されて、発泡樹脂剤302を注入し発泡させた後に発泡樹脂剤注入口を蓋115によって封止する。さらに、鋼管柱40外面において予め防食を行うことを定められた位置に強力合成繊維入り不織布(以下、不織布保護部材という。)を付着させる。付着させた不織布保護部材に常温硬化型又は熱硬化性樹脂を含浸させ硬化させて形成された部材(以下、樹脂含浸不織布保護部材120という。)である。
本考案において使用される発泡樹脂剤302は、例えば2種類のポリオールとイソシアネートの液体を用い、反応して生成される硬質発泡ポリウレタン樹脂を発泡体とする。ただし、これに限定するものではなく、2種類以上の液体が反応して発泡し硬化した結果発泡体が形成されれば、フェノール樹脂など他の材料であってもよい。
本考案において使用される不織布保護部材は、例えばポリプロピレン繊維を主組成成分として、クリンプ状又は湾曲した形状に成形された強力合成繊維を混合して形成された不織布である。合成繊維は、分子量の小さい化学物質を高分子物質に合成し繊維状にしたものを純合成繊維といい、天然高分子物質である繊維素を原料として、化学薬品で処理した後紡糸したものを半合成繊維という。強力合成繊維には、強力ポリエチレン繊維、強力ポリプロピレン繊維、強力ビニロン繊維、強力アラミド繊維などの純合成繊維からなる強力合成繊維が各種存在するが、特に主組成成分であるポリプロピレン繊維に強力ポリエチレン繊維を20%〜30%の組成比率で混合することが好ましい。この場合、両組成繊維が強力合成繊維入り不織布中に均一に分布し、高強力性を維持しつつ、高耐久性を備えた強力合成繊維入り不織布を得られる。
不織布保護部材を用いて鋼管柱40を保護するためには、不織布保護部材に硬化型樹脂を均一に注入する。不織布保護部材の硬化型樹脂含浸率はエポキシ樹脂を用いた場合、裏面目視にて90%以上である。硬化型樹脂が硬化した後、不織布保護部材は硬化型樹脂によってモールドされてFRP化し、非常に高い耐久性を備える。使用する硬化型樹脂は、熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂、尿素樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂を主に用いる。常温硬化型樹脂では、エポキシ樹脂が例示される。紫外線硬化樹脂などその他の硬化型樹脂でもよく、また、これらに限定されるわけではないが、現場での施工を行うことを考慮すると、常温硬化型又は熱硬化性のエポキシ樹脂を主剤とするものが好適である。含浸させる硬化型樹脂量は、2.4kg/m程度を目安とする。
図3は、開口部42を利用して防食処理を施工中の立設前の鋼管柱40の断面を示した図である。立設前の鋼管柱40が施工用治具台90に載置され施工されている状態を示している。図3においては、仕切板112を2箇所に配設し、開口部42側には仕切板112に発泡樹脂剤注入口114を形成したものを配設した。開口部42から発泡樹脂剤注入ノズル30を挿入し発泡樹脂剤注入口114に先端を挿通させて、発泡樹脂剤302が注入されると、発泡反応によって体積が増大し発泡体116を形成し、鋼管柱40内部と2枚の仕切板112によって形成される空間に発泡体116が隙間なく充填された状態で発泡防食部110が形成される。
図4は、開口部42を有さない立設前の鋼管柱40に防食処理を施工中の断面を示した図である。立設前の鋼管柱40が施工用治具台90に載置され施工されている状態を示している。図4においては、仕切板112を2箇所に配設し、鋼管柱40下端側には仕切板112に発泡樹脂剤注入口114を形成したものを配設した。鋼管柱40下端側開口部分から発泡樹脂剤注入ノズル30を挿入し発泡樹脂剤注入口114に先端を挿通させて、発泡樹脂剤302が注入されると、発泡反応によって体積が増大し発泡体116を形成し、鋼管柱40内部と2枚の仕切板112によって形成される空間に発泡体116が隙間なく充填された状態で発泡防食部110が形成される。図4では、鋼管柱40下側の仕切板112に発泡樹脂剤注入口114を形成したが、鋼管柱40上側の仕切板112に発泡樹脂剤注入口114を形成したものを配設し、鋼管柱40上端側開口部分から発泡樹脂剤注入ノズル30を挿入し発泡樹脂剤注入口114に先端を挿通させて、発泡樹脂剤302を注入してもよい。
図5は、新設防食鋼管柱10を立設した状態の断面を示した図である。図5においては、路面境界部GL付近の防食を図るよう設計されており、発泡防食部110が、路面境界部GL付近に位置するように、仕切板112を鋼管内に固定する位置が予め設定されている。樹脂含浸不織布保護部材120は、鋼管柱40表面において地表と地中とに跨って付着させるように位置が予め設定されている。発泡防食部110は、開口部42などから侵入する雨水が路面境界部GL付近の鋼管柱40内面に滞水することによって生じる腐食から鋼管内面を保護し、樹脂含浸不織布保護部材120は、路面境界部GL付近の鋼管柱40外面に付着する埃・チリの堆積によって水分WTが滞水し生じる腐食から鋼管外面を保護する。なお、硬化型樹脂を硬化させた後は、樹脂含浸不織布保護部材120部分を地中に埋設しても防食効果を損なうことはない。
さて、図6及び図7(b)に示し前述したように、立設された鋼管柱40においては、電気設備点検用開口部80などの開口部42の構造的な接合部から雨水が侵入し鋼管柱40内部の腐食が生じる。特に、図7(b)に示したように、電気設備点検用開口部80は、ホコリ・チリの堆積により、水抜き穴46が塞がれ、鋼管内を水が伝わり、路面境界部GL付近に滞水し錆が生じる事例が多い。
鋼管柱開口部42から発生する水みちWRを防止するとともに、路面境界部GLの腐食を防止するための防食処理を施した防食鋼管柱10を図8に示した。図8は、開口部42から鋼管柱40内への水の侵入を防止する位置に発泡樹脂充填部を形成した図である。発泡樹脂充填部上側の仕切板112を開口部42の下端と同じ高さに配設し、発泡樹脂充填部下側の仕切板112を地中に位置するように配設した。鋼管内部と2枚の仕切板112によって形成される空間に発泡体116が充填されることにより、鋼管柱開口部42から鋼管柱40内に侵入する水を開口部42に留めることが可能になる。開口部42に設けられた水抜き穴46を清掃することにより、外部に水を排出する機能が回復する。
鋼管柱40外面においては、樹脂含浸不織布保護部材120が、路面境界部GLから垂直上方向の鋼管柱40に沿わせて付着させた樹脂含浸不織布保護部材(立設部)122及び鋼管柱40の周囲路面境界部GLに沿わせた樹脂含浸不織布保護部材(ベース部)124で構成される。
図8のように立設される鋼管柱40の場合、路面境界部GLから露出した犬の尿などが付着しやすい鋼管柱40の下部を保護することによって十分な効果が得られることがわかる。したがって、不織布保護部材(立設部)は犬の尿などの付着を想定した寸法に成形して使用する。概ね、400mm程度を想定しているが、これに限定されるものではない。また、地盤面に外装する部分(不織布保護部材(ベース部))は基礎コンクリート部50の形状に倣わせる。立設部とベース部とを一体化した形状に不織布保護部材を成形しておくと現場において施工が容易である。
続いて、現場において防食鋼管柱10を得る方法について述べる。図9は、立設された一般的な鋼管柱(照明柱60、情報装置柱70)における電気設備点検用開口部80やその他の点検などのために設けられた開口部42の位置を示した図である。電気設備点検用開口部80等は、点検作業が容易なように地上に近く人間の身長程度か、それ以下に設置されていることが多い。そこで、すでに立設された鋼管柱40に防食処理を施し防食鋼管柱10を得るためには、電気設備点検用開口部80等を利用すると効率が良い。
図10は、開口部を利用して立設後の鋼管柱40に防食処理を施工する図である。まず、鋼管柱内部の防食処理について説明する。すでに立設された鋼管柱40の場合には、発泡防食部110下端の仕切板112を設置することが困難である。そのため、鋼管柱40最下端まで発泡樹脂剤302を充填し発泡防食部110を形成する。発泡防食部110上端の仕切板112は、例えば電気設備点検用開口部80の下端と同一面となるよう配設を行う。仕切板112には、発泡樹脂剤注入口114が形成されている。電気設備点検用開口部80から発泡樹脂剤注入ノズル30を挿入し、発泡樹脂剤注入口114に発泡樹脂剤注入ノズル30の先端を挿通させて発泡樹脂剤302の注入を行う。発泡反応によって体積が増大した発泡体116が発泡樹脂剤注入口114から突出する程度に発泡樹脂剤302の注入を行う。発泡樹脂剤302の注入完了後、発泡樹脂剤注入ノズル30を取り出し、所定時間鋼管内部の空気を排出させた後、発泡樹脂剤注入口114に蓋115を装着する。蓋115を装着せず、発泡体116を盛り上がらせて、突出した部分を切除してもよいが、発泡防食部110内において適度な圧力で発泡体116を均一に充填させるためには、適度に空気を排出した後、蓋115を取り付けることが好ましい。
次に、鋼管柱40外面の防食処理について説明する。
鋼管柱40外面には、樹脂含浸不織布保護部材120を施工する。現場施工の場合には、樹脂を含浸する前の樹脂含浸不織布保護部材120、すなわち不織布保護部材を用意し、現場において、樹脂含浸不織布保護部材120に形成する。図10に示した樹脂含浸不織布保護部材120は、準備段階の不織布保護部材においては立設部とベース部とを分離して成形してもよい。現場施工の場合には、現場において樹脂を含侵させ硬化させるため、その際に一体化することが可能である。不織布保護部材は、立設されている鋼管柱40に巻き付けて外装可能なように、立設部及びベース部に切断部分が設けられている。
立設済みの鋼管柱40外面に防食処理を施し防食鋼管柱10を得る施工手順を以下に示す。
一番目の施工手順は、鋼管柱40脚部の樹脂含浸不織布保護部材120を外装する位置に例えば常温硬化型樹脂を略均一に塗布することである。
二番目の施工手順は、硬化型樹脂に重ねて、不織布保護部材の切断部分を開いて、不織布保護部材(立設部)を鋼管柱40の外周に巻きつつ、不織布保護部材(ベース部)を基礎コンクリート部50に載置することによって鋼管柱40脚部及び基礎コンクリート部50に密着して装着することである。
三番目の施工手順は、脱泡ローラなどを使用して、不織布保護部材の裏面側に塗布された硬化型樹脂を略均一になるように表面に浮き出させることによって硬化型樹脂を不織布保護部材に含浸させ、樹脂含浸不織布保護部材120とし、かつ施工部分をモールドすることである。脱泡ローラを使用しても硬化型樹脂が表面に浮き出てこない場合には、硬化型樹脂を不織布保護部材の上から追加塗布する。基礎コンクリート部50については、予め硬化型樹脂を塗布してもよいし、不織布保護材を載置した後に硬化型樹脂を上から塗布してもよい。
硬化型樹脂が硬化し、鋼管柱40内外面の防食施工が完了すれば防食鋼管柱10を得ることができる。含浸する硬化型樹脂の施工条件は、エポキシ樹脂で例示すると、気温5℃以上、湿度は85%以下で雨かかりのないこと等が条件である。脱泡ローラによって不織布保護部材をモールドした場合のエポキシ樹脂の圧縮強度は70N/mm以上となる。
以上の施工方法によって、すでに立設された現場において、防食鋼管柱10が完成する。
図11は、発泡樹脂剤302によって仕切板113を形成し、防食処理を施工する図である。鋼管柱40には、様々な形状やサイズがあり、鋼管柱40によって仕切板112を用意することは手間を要する。このような場合に、発泡樹脂剤302を発泡させて仕切板113を形成させることができる。図11(a)では、まず発泡樹脂剤注入ノズル30を電気設備点検用などの開口部42から挿入しておき、後に形成される発泡体による仕切板113の下側に確実に出る位置に配置する。
次に、仕切板形成用発泡樹脂剤注入ノズル32を開口部42から挿入し、開口部42下端の高さに発泡充填剤を放出する。その際、仕切板113を形成する高さの鋼管柱40内面に接着剤を塗布しておくと、予め設定した位置に仕切板113を容易に形成できる。
固化した発泡体による仕切板113が形成された後、図11(b)に示すように、予め挿入していた発泡樹脂剤注入ノズル30を用いて、鋼管柱40内部と鋼管柱40最下端及び仕切板113とによって形成された空間に発泡樹脂剤302を充填させて、発泡防食部110を形成する。
発泡樹脂剤注入口114から発泡体116が盛り上がる程度の量の発泡樹脂剤302を注入し、適度に空気を排出させた後、発泡樹脂剤注入口114に蓋115を装着する(図11(c))。その際、蓋115を装着せず、突出した発泡体116を切除してもよい。
その後、立設部及びベース部を有する樹脂含浸不織布保護部材120を施工し鋼管柱40外面の防食処理を行い、防食鋼管柱10を得る。鋼管柱40外面の防食処理は、図11のいずれの時点で行ってもよい。
図12は、立設後の開口部42を有さない鋼管柱40に防食処理を施工する図である。開口部42を有さない立設済みの鋼管柱40の場合には、適当な位置に発泡樹脂剤302を注入するための発泡樹脂剤注入孔44をドリルなどの工具を用いて開ける。発泡樹脂剤注入孔44を開ける高さは、発泡体によって仕切板113を形成する場合には、予め定められた仕切板113の位置の直下に開けることが好ましいが、これに限定されない。
図12(a)に示すように、発泡樹脂剤注入孔44から、仕切板形成用発泡樹脂剤注入ノズル32を挿入し、発泡樹脂注入孔直上に仕切板113を形成する。その際には、予め仕切板113を形成する位置に接着剤を塗布しておくと、仕切板113を容易に形成できる。
固化した発泡体による仕切板113が形成された後、図12(b)に示すように、発泡樹脂剤注入ノズル30を挿入し、鋼管内部と鋼管柱40最下端及び仕切板113とによって形成された空間に発泡樹脂剤302を充填させて、発泡防食部110を形成する。
発泡樹脂剤注入孔44から発泡体116が盛り上がる程度に発泡樹脂剤302を注入し、固化した後、発泡樹脂注入孔から突出した部分を切除する(図12(c))。また、適度に空気を排出させた後、発泡樹脂剤注入孔44に蓋115を装着してもよい。
その後、立設部及びベース部を有する樹脂含浸不織布保護部材120を施工し鋼管柱40外面の防食処理を行い、防食鋼管柱10を得る。鋼管柱40外面の防食処理は、図12のいずれの時点で行ってもよい。
本考案に係る防食鋼管柱は、道路標識や道路照明灯などの鋼管構造物における錆の発生を防止し鋼管の寿命を延ばすために利用することが可能である。
10 防食鋼管柱
110 発泡防食部
112 仕切板
113 仕切板(発泡体)
114 発泡樹脂剤注入口
115 蓋
116 発泡体
120 樹脂含浸不織布保護部材
122 樹脂含浸不織布保護部材(立設部)
124 樹脂含浸不織布保護部材(ベース部)
30 発泡樹脂剤注入ノズル
302 発泡樹脂剤
32 仕切板形成用発泡樹脂剤注入ノズル
40 鋼管柱
42 開口部
44 発泡樹脂剤注入孔
46 水抜き穴
50 基礎コンクリート部
60 照明柱
70 情報装置柱
80 電気設備点検用開口部
90 施工用治具台

GL 路面境界部(地盤面)
WT 水分
WR 水みち
DS ゴミ・チリ
RS 錆(腐食部)

Claims (6)

  1. 地中に一部を埋めて立設される鋼管柱において、
    予め定められた位置に少なくとも1枚の仕切板が、
    管内断面を塞いで固定され、
    一の仕切板と他の仕切板又は前記鋼管柱の端部との間の管内部に発泡樹脂剤が注入されて、発泡によって体積が増大し発泡体を形成し隙間なく充填されたこと、
    鋼管柱外面において予め防食を行うことを定められた位置に強力合成繊維入り不織布を付着させたこと、
    付着させた前記強力合成繊維入り不織布に常温硬化型又は熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させたこと、
    を特徴とする防食鋼管柱。
  2. 発泡樹脂剤注入口が、
    前記仕切板の少なくとも1枚に形成されたこと、
    を特徴とする請求項1に記載する防食鋼管柱
  3. 前記発泡樹脂剤注入口が、
    発泡樹脂剤が注入された後に封止される蓋を備えたこと、
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載する防食鋼管柱
  4. 前記仕切板が、
    発泡樹脂剤を発泡させることによって鋼管柱の予め定められた位置に形成され固定されたこと、
    前記仕切板を形成する際に発泡樹脂剤注入ノズルを挿入した状態で発泡させて前記発泡樹脂剤注入口を形成すること、
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載する防食鋼管柱。
  5. 前記鋼管柱において、
    地中の最下端から地表の予め定められた高さまでの管内部に発泡樹脂剤を発泡させることによって隙間なく充填されたこと、
    地表から前記予め定められた高さまでの間の鋼管脚部の外面に沿って強力合成繊維入り不織布が配設されたこと、
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載する防食鋼管柱。
  6. 前記鋼管柱壁面に開口部が設けられた場合において、
    前記仕切板が、
    地表から上方向に向かって最初の前記開口部下端と同一面に固定されたこと、
    を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載する防食鋼管柱。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116099723A (zh) * 2023-04-12 2023-05-12 河北聚丰华春保温材料有限公司 一种管道防腐层生产用发泡成型设备

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