JP4174358B2 - 側溝の接続工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部に細幅のスリットが設けられた側溝の間の隙間に目地を施工する接続工法に係る技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、現場築造ではなく工場製造の側溝については、端面を突合わせて設置される側溝の間に形成される隙間に施工現場で目地を施工する必要がある。具体的施工としては、モルタル等の流動性を有する目地材料を隙間に充填する工法が採られる。
【0003】
最近、安全対策、製造コストの削減等の要請から、図7,図8に示すように、上部を大きく開放せずに長さ方向に細幅のスリット1aが設けられた側溝1が提供されてきている。スリット1aには、必要に応じて、通水孔付きの金属製,合成樹脂製等の蓋が設置される。
【0004】
このタイプの側溝1では、図8に示すような目地の施工が行われている。即ち、図8(A)に示すように、施工面に敷石2,捨コンクリート3を打設した後に、突合わせられる端面1bの下部に目地材料4を介在させて側溝1を設置する。続いて、図8(B)に示すように、設置された側溝1の端面1bの間に形成された隙間S(下部を除く)に側溝の1の外側から目地材料4を充填する。
【0005】
このとき、側溝1の上部がスリット1aを除いて閉塞されているため、施工作業者が側溝1の内部に手指を差込んだり、側溝1の内部を目視確認することができないため、施工作業者の経験技術に頼って目地を施工せざるを得ない。従って、図8(B)に示すように、側溝1の端面1bに沿った正確な目地を施工することが困難で、目地のシール性が不充分であったり、目地が側溝1の端面1bを超えて内部にまで突出して側溝1の通水性が阻害されてしまうという施工不良を引起こしている現況にある。この施工不良は、長さが通常2m程度に設計された直状の側溝1が屈曲配置されて隙間Sが扇形に拡開されることになるカーブ箇所で特に顕著になる。
【0006】
このため、上部に細幅のスリットが設けられた側溝1の間の隙間Sに目地を正確に施工する技術の開発が要請されている。
【0007】
従来、目地の施工に係る技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【特許文献1】
特開平7−127119号公報。
特許文献1には、側溝の端面に係止溝を設けておき、側溝の端面の突合わせの際に帯状の水膨張性止水材を介在させる側溝の接続工法が記載されている。
【0008】
特許文献1に係る側溝の接続工法は、側溝の突合わせの後の水掛けや側溝の設置後の試験通水で水膨張性止水材を膨張させ、膨張した水膨張性止水材で側溝の隙間を充填して目地を完成させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に係る側溝の接続工法では、図7に示すように隙間が扇形に拡開されている場合、膨張する水膨張性止水材が拡開側に拡がりやすくなるため、側溝の間の隙間に目地を正確に施工することができなくなるという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、カーブ箇所で側溝の間の隙間に目地を正確に施工することができる側溝の接続工法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係る側溝の接続工法は、次のような手段を採用する。
【0012】
即ち、請求項1では、上部に細幅のスリットが設けられた側溝が端面を突合わせて設置され、側溝の端面の間に形成された隙間に流動性を有する目地材料を充填して目地を目地を施工する側溝の接続工法において、側溝のスリットから内部に流体の圧力で膨張する袋体を侵入させ、膨張させた袋体で前記隙間の内側を閉鎖した状態で目地材料を充填することを特徴とする。
【0013】
この手段では、膨張した袋体が隙間の内側を閉塞するため、側溝の外側から充填された目地材料の端面を超えた内側への突出が阻止される。
【0014】
また、請求項2では、請求項1の側溝の接続工法において、袋体は流体が供給,排出されるホースが接続されることを特徴とする。
【0015】
この手段では、接続されたホースによる流体の供給,排出で袋体が膨張,収縮される。
【0016】
また、請求項3では、請求項1または2の側溝の接続工法において、袋体は目地の施工の後に収縮されて側溝のスリットから引出されることを特徴とする。
【0017】
この手段では、袋体が使用後に側溝から回収されて再使用される。
【0018】
また、請求項4では、請求項1または2の側溝の接続工法において、袋体は水溶性の材料で形成され目地の施工の後に側溝の内部に残置されることを特徴とする。
【0019】
この手段では、袋体が使用後に側溝に残置されて使捨てされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図3は、本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(1)を示すものである。
【0022】
この実施の形態は、前述の図8に示した工法を基本として構成されている。
【0023】
即ち、図1(A)に示すように、施工面に敷石2,捨コンクリート3を打設した後に、突合わせられる端面1bの下部に目地材料4を介在させて、上部の長さ方向に細幅のスリット1aが設けられた側溝1を設置する。
【0024】
続いて、図1(B)に示すように、側溝1のスリット1a(隙間S近くの)から内部にホース5が接続された袋体6を侵入させる。ホース5には、図2(A)に示すように、バルブ7,流体供給源8が接続されている。バルブ7は、三方切換バルブからなる。流体供給源8は、空気ポンプ,水ポンプ,工事車両のエンジン(排気ガス)等の流体9を供給するものが選択される。ホース5は、袋体6の側溝1のスリット1aからの侵入や後述の各操作を容易にするとともに、袋体6に対する流体9の供給,回収を確実にする。袋体6は、気体(空気,排気ガス),液体(水)等の流体9の圧力で膨張するゴム材等からなる。
【0025】
続いて、図2(B)に示すように、流体供給源8からホース5,バルブ7を介して袋体6に流体9が供給される。この結果、図1(C)に示すように、袋体6が膨張して側溝1の内部の壁面に張付くことになる。従って、膨張した袋体6は、隙間Sの内側を閉塞する。
【0026】
続いて、図1(D)に示すように、設置された側溝1の端面1bの間に形成された隙間S(下部を除く)に側溝の1の外側から目地材料4を充填する。このとき、膨張した袋体6が隙間Sの内側を閉塞しているため、かなり強引に充填を実施して空隙等の未充填部分の形成を避けるようにしても、目地材料4が端面1bを超えて側溝1の内部にまで突出することはない。従って、側溝1の間の隙間Sに目地を正確に施工することができる。この作用,効果については、隙間Sが扇形に拡開されることになるカーブ箇所に側溝1が設置された場合でも同様である。なお、目地材料4の充填の際には、流体供給源8からの流体9の供給を停止して、バルブ7を切換えて流体9の排出を阻止しておけば、袋体6の膨張を維持することができる。
【0027】
この後、袋体6の膨張を維持して目地材料4を養生する。
【0028】
そして、図2(C)に示すように、袋体6からホース5,バルブ7を介して流体9を排出(自然排出)する。この結果、図1(E)に示すように、袋体6が収縮することになる。収縮した袋体6は、図3に示すように、ホース5によって側溝1のスリット1aから引出される。この袋体6は、施工コスト低減のため他の隙間Sで再使用される。
【0029】
図4は、本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(2)を示すものである。
【0030】
この実施の形態では、前述の実施の形態(1)のバルブ7に加負圧調整機能を備え、袋体6から流体9の排出の際にバルブ7に流体供給源8から流体9を供給するように構成している。
【0031】
この実施の形態によると、袋体6から排出される流体9が流体供給源8から供給される流体9で加圧されて加速されるため、急速に袋体6を収縮させることができる。また、袋体6が長時間の膨張で収縮機能を低下させた場合に、袋体6を強制的に収縮させるのに有効である。
【0032】
図5は、本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(3)を示すものである。
【0033】
この実施の形態では、前述の実施の形態(1),(2)の袋体6を水溶性(目地材料4の水分では溶解しない)の材料で形成し、目地の施工の後に側溝1の内部に残置されるように構成している。
【0034】
この実施の形態によると、膨張したままの袋体6を側溝1のスリット1aでホース5から引きちぎって離脱させることで、袋体6の回収作業を省略することができる。なお、側溝1の内部に残置された袋体6は、試験通水の際等に溶解される消失する。
【0035】
図6は、本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(4)を示すものである。
【0036】
この実施の形態では、袋体6の内部に流体9を発生させるカプセル10を内蔵させている。そして、カプセル10には、操作紐11が接続されている。なお、袋体6には、側溝1のスリット1aからの引下げ,引上げのための吊紐12が接続されている。
【0037】
カプセル10としては、気体からなる流体9を圧縮収納したボンベ類や、異なる薬品類を混合させて気体を発生させるもの等が選択される。操作紐11は、ボンベ類のコックや薬品類の混合遮断壁の破壊等を操作することになる。
【0038】
この実施の形態によると、流体9の供給,回収のため大掛かりの設備が不要になる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る側溝の接続工法は、膨張した袋体が隙間の内側を閉塞し、側溝の外側から充填された目地材料の端面を超えた内側への突出が阻止されるため、カーブ箇所で側溝の間の隙間に目地を正確に施工することができる効果がある。
【0040】
さらに、請求項2として、接続されたホースによる流体の供給,排出で袋体が膨張,収縮されるため、袋体の操作が容易になるとともに、袋体に対する流体の供給,回収が確実になる効果がある。
【0041】
さらに、請求項3として、袋体が使用後に側溝から回収されて再使用されるため、施工コストが低減される効果がある。
【0042】
さらに、請求項4として、袋体が使用後に側溝に残置されて使捨てされるため、袋体の回収のための手間が不要になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(1)の工程の断面図であり、(A)〜(E)の順に工程順が示されている。
【図2】 図1に接続される装置構成の回路図であり、(A)に基本構成が示され(B),(C)に異なる動作への切換えが示されている。
【図3】 図1(E)に続く工程の断面図である。
【図4】 本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(2)の実施のための装置構成の回路図である。
【図5】 本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(3)を示す最終の工程の断面図である。
【図6】 本発明に係る側溝の接続工法の実施の形態(4)を示す要部の正面図である。
【図7】 一般的な工場製造タイプの側溝のカーブ箇所での設置例を示す平面図である。
【図8】 図7の一般的な目地の施工の断面図であり、(A),(B)の順に施工順が示されている。
【符号の説明】
1 側溝
1a スリット
1b 端面
4 目地材料
6 袋体
9 流体
S スリット
Claims (4)
- 上部に細幅のスリットが設けられた側溝が端面を突合わせて設置され、側溝の端面の間に形成された隙間に流動性を有する目地材料を充填して目地を施工する側溝の接続工法において、側溝のスリットから内部に流体の圧力で膨張する袋体を侵入させ、膨張させた袋体で前記隙間の内側を閉鎖した状態で目地材料を充填することを特徴とする側溝の接続工法。
- 請求項1の側溝の接続工法において、袋体は流体が供給,排出されるホースが接続されることを特徴とする側溝の接続工法。
- 請求項1または2の側溝の接続工法において、袋体は目地の施工の後に収縮されて側溝のスリットから引出されることを特徴とする側溝の接続工法。
- 請求項1または2の側溝の接続工法において、袋体は水溶性の材料で形成され目地の施工の後に側溝の内部に残置されることを特徴とする側溝の接続工法。
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