JP3227712B2 - 回転体のデジタルサーボ方法 - Google Patents

回転体のデジタルサーボ方法

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JP3227712B2 JP08283891A JP8283891A JP3227712B2 JP 3227712 B2 JP3227712 B2 JP 3227712B2 JP 08283891 A JP08283891 A JP 08283891A JP 8283891 A JP8283891 A JP 8283891A JP 3227712 B2 JP3227712 B2 JP 3227712B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばデジタルオーデ
ィオ信号を記録再生するような回転体のスピードをコン
トロールする際に有用なデジタルサーボ方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】デジタルオーディオテープレコーダで
は、回転ドラムを所定の回転数とするため、モータの回
転スピードをコントロールするサーボ回路が不可欠であ
り、一般的にモータの回転数を検出したFG信号と、基
準の周波数を比較したときの誤差信号によって、アナロ
グ的な回転サーボをかけることが行われている。また、
アナログサーボ回路に比較してデジタルサーボ回路はI
C化及びコントロールが容易であるため、近年は、デジ
タル演算回路を使用したサーボ方式がモータ等の速度制
御に適用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アナログ方
式のサーボ回路に対してデジタル方式のサーボ回路の場
合は、モータの回転制御信号を出力するために、回転ス
ピードを検出したのちに、制御信号を出力するまでの間
に、演算時間を要することになるため、サーボループ内
に無駄時間が入ることになり、この無駄時間が多い程サ
ーボ特性を損なうという問題がある。
【0004】図6は回転体Rの回転速度を制御する場合
のデータ処理例を示すもので、例えば、矢印方向に回転
している回転体Rを4分割した各点F0 ,F1 ,F2 ,
F3がA点を通過する時間を入力データX0 ,X1 ,X2
,X3 とし、等分割された回転角ψの基準回転時間
(ωt)をTreffとすると、F0 からF1 の間の回転ス
ピードの誤差時間ΔT0 は、 X0 +Treff−X1 になる。
【0005】同様に、次の回転角F1 −F2 間の回転ス
ピード誤差時間は、 X1 +Treff−X2 =ΔT1 以下、同様に、 X2 +Treff−X3 =ΔT2 X3 +Treff−X4 =ΔT3 (X4 =F0 点の時間) となる。
【0006】したがって、一般的には、 Xn-1 +Treff−Xn =ΔTn となり、この時間誤差ΔTn を順次、サーボエラー信号
として、フィードバックしていれば、回転体Rの回転速
度を基準の角速度となるようにコントロールすることが
できる、しかし、上記の演算処理の場合は、1サンプル
の誤差データを得るために、少なくとも2回の加減算を
行うため、サーボ回路の無駄時間が増加するという問題
がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる問題点
を解消するためになされたもの、回転時刻情報を示す入
力データXn が検知されたときに、次の基準回転角で出
力されると思われる入力データを時刻目標データとし
て、あらかじめ演算するように構成し、次のサンプル点
ではその入力データと時刻目標データの1回の加減算の
みで、スピード誤差を示すサーボ制御データが出力でき
るようにする。
【0008】
【作用】入力データが検知されたときに、その前のタイ
ミングで、時刻目標データがすでに演算されているの
で、制御信号を形成するための演算時間が短縮され、サ
ーボループの無駄時間を少なくすることができる。
【0009】
【実施例】図1は、本発明のデジタルサーボ方法が適用
されるブロック図を示したもので、10は制御対象とな
るモータである。このモータ10には、例えば回転ドラ
ム10Aが直結され、斜め方向に巻き付けられている磁
気テープ10Bに対してオーディオデータを記録するよ
うに所定の回転数で駆動される。11は上記モータ10
より出力される回転角情報を検出するコンパレータを示
し、回転情報としてはPGやFG信号、又は逆起電圧出
力を2値化したものである。
【0010】12はエッジ検出器を示し、例えばコンパ
レータ11の出力の立ち下がりエッジパルスを出力し、
次のラッチ回路13に供給している。ラッチ回路13は
カウンタ等で形成されている計時回路14の出力を前記
エッジパルスでラッチすることによって、モータ10の
回転角位置を時間情報で出力するようにしている。そし
て、この時間情報はマイクロコンピュータ15(以下、
単にマイコンという)の入力データXn として供給され
る。
【0011】マイコン15は、前述したように刻々変化
する入力データXn の値と、基準回転角時間情報(Tre
ff)をRAM16と共同して演算し、モータ10の速度
誤差(時間)ΔTn を1サンプルの入力データがある毎
に出力し、PWM(Pulse Width Modulator )回路17
に供給する。パルス幅変調されたPWM回路17の出力
は、ドライブ回路18でモータの駆動電圧をコントロー
ルし、モータ10の回転速度をコントロールしている。
【0012】上記したようなデジタルサーボ回路は、マ
イコン15において、前述したように刻々変化する入力
データXn と、基準回転角時間Treffに基づいて速度誤
差ΔTn を形成する。すなわち、あるサンプル点におけ
る速度誤差ΔTn は、その前のサンプル点の入力データ
をXn-1 、現在の入力データをXn とすると、 Xn-1 +Treff−Xn =ΔTn ・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) で示される。
【0013】したがって、従来はΔTn が出力され、モ
ータの制御出力データYn が形成されるまでの時間は、
図2の(a)に示すように、少なくとも入力データXn
があったのち、2回の加減算が行われる時間Tp のあと
にYn が形成されることになり、この時間Tp が無駄時
間となる。
【0014】ところで、本発明のデジタルサーボ方法
前記(1)式の演算において、入力データXn が得られ
る前に、 Xn-1 +Treff=Rn ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) をマイコン15であらかじめ演算しておく、そして、こ
のRn (以下、時刻目標データと呼び、nサンプル点で
速度誤差が0となるときの目標時刻となる)を次の入力
データXn が得られたときに利用して、 Rn −Xn =ΔTn ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) を演算する。
【0015】したがって、本発明のデジタルサーボ方法
では、図2の(b)に示すように、入力データXn が得
られたあとは、1回の加減算からなる上記(3)式を演
算する時間TQ でモータ10の制御信号である出力デー
タYn が得られ、あきらかにTQ <TP であるから、従
来よりサーボループの無駄時間を短縮することができ
る。
【0016】なお、モータの制御信号となる出力データ
Yn が出力されたあとに、入力データXn を利用して、 Xn +Treff=Rn+1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4) を時間TR の間に演算する。したがって、次の入力デー
タXn+1 が入力される時点では、すぐに、 Rn+1 −Xn+1 =ΔTn+1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5) が得られるようになる。
【0017】なお、マイコン15のソフト上では、前記
(3)式,(5)式は割り込み禁止の状態で行うが、
(2)式,(4)式はマイコン15の空き時間を利用し
て、次のXn+1 の入力データが得られるまでの適当な時
間で行えばよいから、マイコン15の演算動作に幅を持
たせることができるという利点がある。又、入力データ
Xn を示す時刻データは、適当な周期でリセット(n→
0)として繰り返すことはいうまでもない。以上のデー
タ演算処理はモータ10の回転速度サーボについて述べ
たが、このように時刻目標データRn をあらかじめ演算
するサーボ方法を利用すると、モータ10の位相サーボ
も無駄時間を短縮して行うことができる。
【0018】以下、この点を説明する。上記第(1)式
の速度誤差ΔTn をフィードバックすると、一応、モー
タ10の回転数が基準回転角速度Treffを満足するもの
になるが、モータ10の回転位相は決まった値にならな
い。すなわち、図3に示すようにモータの基準位相を例
えばFGの位置で示し、この位置で入力データXn が得
られると、上記した速度サーボの方法では、常に、ΔT
n が一定になるように回転サーボがかけられるが、ΔT
n →0のとき駆動力が0となるので、速度サーボの定常
偏差の存在によって、位相差が残った状態になる。
【0019】そこで、この速度誤差ΔTn の過去の累積
値をΣ(ΔTn 〜ΔTn-Z )を演算して、 ΣΔTi =ΔTn +ΔTn-1 +ΔTn-2 +・・・・・・・・ΔTn-Z ・・・・(6) をさらに別のサーボループでフィードバックすると、位
相サーボをかけることができる。(但し、ΔTn-Z は速
度誤差の累積を開始したときの速度誤差)
【0020】ところで、 ΔTn =Rn −Xn =Xn-1 +Treff−Xn ΔTn-1 =Rn-1 −Xn-1 =Xn-2 +Treff−Xn-1 したがって、 ΔTn +ΔTn-1 =Xn-2 +2・Treff−Xn 今、Xn-2 +2・Treff=Qn とすると、 ΔTn +ΔTn-1 =Qn −Xn ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
【0021】又、n−Z−1の時点を初期位相とする
と、nの時点までの速度誤差累積は、 Σ(ΔTn 〜ΔTn-Z-1 )=Xn-Z +Z・Treff−Xn ところで、Xn-Z +Z・Treffの値をQn-Z とすると、 Σ(ΔTn 〜ΔTn-Z )=Qn-Z −Xn ・・・・・・・・・・・・・・(8) となる。
【0022】上記したように、位相に対する時刻目標デ
ータQn は入力データXn が得られる前のタイミングで
演算することができる。よって、本発明のデジタルサー
ボ方法では、この時刻目標データQn を、前記した速度
誤差時刻を示す時刻目標データRn と同様なタイミング
であらかじめマイコン15で演算させることによって、
1回の加減算で位相サーボをかけることができるように
なり、無駄時間を短縮することができる。
【0023】ところで、上記の位相サーボをかけたとき
も、位相の定常偏差をとるためには、さらに、上記、累
積速度誤差を積分した位相誤差積分データをモータに対
する第3の帰還信号とすれば、完全に位相サーボの定常
偏差を除去することができる。
【0024】すなわち、上記(7)式の各入力データ毎
の位相誤差をn−Zポイント前まで累積した位相誤差積
分(累積)とする、 In=( Qn −Xn)+(Qn-1 −Xn-1)+(Qn-2 −Xn-2)+・・・( Qn-Z −Xn-Z) 次の時点n+1では、 In+1 =(Qn+1 −Xn+1 )+(Qn −Xn )+・・・・・・(Qn-Z −Xn-Z ) したがって、 In+1 =Qn+1 −Xn+1 +In 上記式から一般に、 In =Qn −Xn +In-1
【0025】ところで、位相誤差積分(累積)が0とな
るときの時刻目標値をPn とすると、 In =Pn −Xn となる筈であるから、 In =Pn −Xn =Qn −Xn +In-1 故に、 Pn =Qn +In-1 以下、同様に、 Pn+1 =Qn+1 +In Pn+2 =Qn+2 +In+1 : : となり一般に、Pn はQn の累積とXn の累積で示すことができる。
【0026】つまり、位相誤差積分を0にするための時
刻目標データPn は、上記したQnに対して過去の位相
誤差累積データIn-1 を単に加えれば、位相誤差積分値
が0となるような次のサンプル点の時刻目標値Pn+1 を
求めることができ、この時刻目標値Pn+1 をあらかじめ
演算することによって、無駄時間を短縮することができ
る。
【0027】以上説明したように、本発明のデジタルサ
ーボ方法では、モータの特定の回転位置で出力される時
間情報を入力データXn とし、この入力データXn の過
去のデータに基づいて時刻目標データをあらかじめ演算
しておくことにより、制御用の出力データYn の演算時
間を短縮し、サーボループの無駄時間を従来より低減さ
せることができる。
【0028】図4(a)は前述した速度サーボ、位相サ
ーボ及び、位相誤差積分値による定常偏差による誤差を
除去する位相誤差サーボを示したもので、各時刻目標デ
ータRn ,Qn 、及びPn はそれぞれ減算器21,2
2、及び23からサーボ回路に供給されるようになされ
ている。
【0029】そして、3通りのサーボループはそれぞれ
適当なサーボゲインを設定する伝達回路24,25,2
6を介して出力され、さらに、各要素の制御出力は加算
器27,28により合成されて、総合制御出力データY
nsを形成している。したがって、この総合制御出力デー
タYnsは、 Yns={(Rn −Xn)×Kw}+{(Qn −Xn)×Kp}+{(Pn −Xn)×Kpi} =Kw Rn +Kp Qn +KpiPn ×Xn ( Kw +Kp +Kpi) ∴Yns={[(Kw Rn+Kp Qn+KpiPn)/(Kw+Kp+Kpi)] -Xn}( Kw+Kp+Kpi) と変形される。
【0030】そして、上記、総合制御出力データYnsを
形式するサーボ回路は、図4の(b)のように簡略され
る。つまり、図4の(b)において減算器29に対して
サンプル点nの時点であらかじめ、マイコン15によっ
て演算した総合参照目標値Wn を入力することにより、
モータ10に対して、完全な回転サーボを構築させるこ
とができるようになる。
【0031】図5はマイコン15が行う動作をフローチ
ャートで示したものである。マイコン15は入力データ
Xn が入力されると、まず割込禁止の状態で(Rn−Xn
)×Kw を演算し、この値をAとしてメモリに入力す
る(F101)。
【0032】次に(Qn −Xn )×Kp を演算して、こ
の値に上記メモリの値Aを加えたものを、さらにBとし
てメモリ(RAM)に記憶する(F102)。次に、C
=(Pn −Xn )×Kpiを演算して、メモリに記憶され
ている値Bを加えたものをDとし(F103)、この値
Dを総合出力データYnsとして出力する(F104)。
そして、他の演算処理を行う割り込みために割込許可
(F105)のあとに前記時刻目標データRn ,Qn ,
Pn の算出を行う。(F106,F107,F108)
又、この算出は、次の入力データXn+1 が得られる前
に行われるから、その余の時間スロットでは、その他の
周辺機器のプログラムを実行する(F109)。
【0033】したがって、本発明のデジタルサーボ方法
採用すると、マイコン15が拘束される割込制御はF
101〜F104の期間のみであり、この期間内に行わ
れる各演算は、1回の加減算と係数演算で終了するた
め、マイコン15が開放されている割込許可の時間が広
くなるという利点を生じる。なお、本発明のデジタルサ
ーボ方法では、デジタルオーディオテープレコーダのモ
ータを対象として説明したが、無駄時間が生じるような
デジタルサーボ回路の場合は、他の制御対象物に対して
も応用できることはいうまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のデジタル
サーボ方法は、逐次入力される過去の入力データに基づ
いて、時刻目標データをあらかじめ算出しておき、この
時刻目標データを利用して現時点の入力データを演算す
るように構築されているので、サーボ系の無駄時間を短
縮することができ、制御特性を向上させることができる
という効果がある。又、マイコンの演算時間が短かくな
ることにより、一つのマイコンで他の制御プログラムを
実行させることが容易になるため、特に、電子機器に搭
載されるマイコンの効率的な運用をはかることができる
という利点ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタルサーボ方法が適用されるブロ
ック図である。
【図2】制御用出力データYn が得られるタイミングを
示す波形図である。
【図3】位相サーボをかけるときの説明図である。
【図4】全体的な制御用出力データを演算するためのブ
ロック図である。
【図5】演算処理がマイクロコンピュータによって行わ
れるときのフローチャートである。
【図6】回転サーボをかけるときの1例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
10 モータ 13 ラッチ回路 14 時計回路 15 マイクロコンピュータ 18 ドライブ回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離散的に出力される回転体の位置情報が
    時間情報として逐次入力データとされるデジタルサーボ
    回路における回転体のデジタルサーボ方法において、 上記回転体をn等分した回転角φ(n×φ=360度)
    の基準回転時間として基準回転角時間情報Treffと、
    (n-1)サンプル時点での入力データXn-1を(n-1)サ
    ンプル時点で加算した時刻目標データRnを演算する演
    算工程と、 上記(n-1)サンプル時点に続くnサンプル時点で上記
    加算工程での加算結果である時刻目標データRnから上
    記nサンプル時点で入力される入力データXnの差分を
    演算し速度誤差として出力する出力工程と、 上記出力工程の後、上記基準回転角時間情報Treffとn
    サンプル時点での入力データXnを加算した時刻目標デ
    ータRn+1を加算する加算工程とを備えてなることを特
    徴とする回転体のデジタルサーボ方法
  2. 【請求項2】 上記時刻目標データRnは少なくとも速
    度サーボと位相サーボデータを含む2以上のデータとさ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の回転体のデ
    ジタルサーボ方法。
  3. 【請求項3】 上記時刻目標データRnの演算は速度誤
    差時間を出力後にマイクロコンピュータの割り込み許可
    モードで行われることを特徴とする請求項1に記載の回
    転体のデジタルサーボ方法。
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