JP3217262U - トンネル用防水シート - Google Patents
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Abstract
【課題】裏込め材との固着性を確保しながら排水性能を発現でき、更にコストダウンしたトンネル用防水シートを提供する。【解決手段】トンネルの一次覆工に沿って防水シート5を張設する。一次覆工と防水シート5との間に裏込め材4bを充填する。さらに、二次覆工6を打設して、裏込め材4bと二次覆工6との間に防水シート5を挟む。防水シート5は、二次覆工6に面する不透水性シート部10と、その一次覆工側に積層された透水性シート部20を備える。透水性シート部20は、裏込め材4bが浸透して固着可能な不織布からなる固着層21と、固着層21に積層された網状体22xからなる導水層22を含む。導水層22が、不透水性シート部10と直接又は接合手段を介して接合されている。【選択図】図2
Description
本考案は、トンネルにおける防水シートに関し、特に、トンネルの一次覆工に沿って張設され、かつ前記一次覆工との間に充填される裏込め材と二次覆工との間に挟まれる防水シートに関する。
従来の一般的な山岳トンネルの構築は、次の手順で行われている。先ず、地山を掘削する。次に、地山に吹付コンクリートを吹き付けて一次覆工を構築する。さらに、吹付けコンクリートと地山の一体化及び縫地効果等を発揮するためロックボルトを打設する。一次覆工の表面には釘等を用いて防水シートを張り付ける。その後、移動式の型枠を使用して、二次覆工を打設する。このトンネルによれば、一次覆工と二次覆工との間に防水シートが介在されることによって、地山からの湧水が二次覆工へ流れ込むのが防止される。
特許文献1には、前記従来の一般的トンネル工法に適用される防水シートが開示されている。この防水シートは、樹脂製の不透水性シート部と、透水性シート部を積層したものである。不透水性シート部は二次覆工に面し、透水性シート部は一次覆工に面する。透水性シート部は、2つの不織布層の間にシート状網状体層(導水層)を挟んだ3層構造になっている。特許文献1の防水シートによれば、透水性シート部が湧水の通り道になることで円滑に排水できる。特に、湧水中に多量の土砂が含まれていても、一次覆工と面する表層の不織布層は、土砂を容易に通すことができ、かつ中央のシート状網状体層は、導水通路となって土砂を湧水と共に外部へ排出でき、長期にわたって目詰りし難い。従って、不透水性シート部と面する裏側の不織布層についても導水機能を長期的に発揮することができる。
特許文献2には、改良型のトンネル工法として、いわゆる「背面平滑型トンネルライニング工法」が開示されている。この工法では、吹付コンクリートによる一次覆工の後、トンネル形状の型枠に防水シートを被せる。そして、一次覆工と防水シートとの間の隙間にモルタル等の裏込め材を充填する。その後、二次覆工を打設する。
この工法用の防水シートは、例えば、表面にPVA(ポリビニルアルコール)を化学的に結合(グラフト重合等)させた不透水層と、不織布製の裏面緩衝層との二層構造になっている。不透水層が二次覆工に向けられ、裏面緩衝層が一次覆工に向けられる。裏面緩衝層が裏込め材に固着される。
この工法用の防水シートは、例えば、表面にPVA(ポリビニルアルコール)を化学的に結合(グラフト重合等)させた不透水層と、不織布製の裏面緩衝層との二層構造になっている。不透水層が二次覆工に向けられ、裏面緩衝層が一次覆工に向けられる。裏面緩衝層が裏込め材に固着される。
前記従来の一般的トンネル工法においては、二次覆工の打設時に、防水シートが一次覆工表面の凹凸面に押し付けられて破れるおそれがあった。そうなると、地山からの湧水を止めることができなくなる。
これに対して、背面平滑型トンネルライニング工法においては、裏込め材の防水シートとの接合面が平滑になるために、防水シートが、二次覆工の打設時の圧力によって裏込め材に押し付けられても破れることは殆どない。一方、防水シートにおける不織布製の裏面
緩衝層にモルタル等の裏込め材が入り込むために、裏込め材との固着性は確保されるが、排水性能はほとんど無くなる。そこで、トンネル施工中に湧水が確認された場合、一次覆工後に湧水箇所から下方の覆工背面集水工に向けて湧水処理シートを張付けることで、排水を確保している。そのうえで、防水シートの張設、裏込め材の充填、二次覆工の打設を行なう。しかしながら、トンネル構築に伴う地下の「水みち」の変動及び地下水位の変動等により、湧水が、施工スパンごとの打継目や裏込め材の凝固後のひび割れ部等を通って、防水シートへ達する可能性がある。その場合、防水シートが排水性能をほとんど有しないため、二次覆工が水圧上昇に伴う過負荷を受ける等の悪影響が生じ、トンネルの長期耐久性が低下する懸念がある。また、一次覆工と裏込め材は固着されている必要があるため、湧水処理シートを一次覆工と裏込め材の間の全域に張付けることはできない。実際は、600mm幅程度の湧水処理シートをトンネル延長方向に1mピッチで張付ける程度が限界である。さらに、水みちが変動した場合、湧水処理シートの背面以外の場所から出水する可能性がある。その場合は排水機能が殆ど確保されない。
緩衝層にモルタル等の裏込め材が入り込むために、裏込め材との固着性は確保されるが、排水性能はほとんど無くなる。そこで、トンネル施工中に湧水が確認された場合、一次覆工後に湧水箇所から下方の覆工背面集水工に向けて湧水処理シートを張付けることで、排水を確保している。そのうえで、防水シートの張設、裏込め材の充填、二次覆工の打設を行なう。しかしながら、トンネル構築に伴う地下の「水みち」の変動及び地下水位の変動等により、湧水が、施工スパンごとの打継目や裏込め材の凝固後のひび割れ部等を通って、防水シートへ達する可能性がある。その場合、防水シートが排水性能をほとんど有しないため、二次覆工が水圧上昇に伴う過負荷を受ける等の悪影響が生じ、トンネルの長期耐久性が低下する懸念がある。また、一次覆工と裏込め材は固着されている必要があるため、湧水処理シートを一次覆工と裏込め材の間の全域に張付けることはできない。実際は、600mm幅程度の湧水処理シートをトンネル延長方向に1mピッチで張付ける程度が限界である。さらに、水みちが変動した場合、湧水処理シートの背面以外の場所から出水する可能性がある。その場合は排水機能が殆ど確保されない。
そこで、特許文献1の防水シートを背面平滑型トンネルライニング工法に適用することが考えられる。しかし、特許文献1の防水シートにおける表層の不織布層は、土砂を容易に通す目付量と推測されるから、裏込め材をも簡単に通し得る。この裏込め材が、シート状網状体層の内部に流れ込んで凝固すると、シート状網状体層による湧水の通り道を塞ぐことで、排水機能が失われてしまう。
また、材料コストを抑えるべき要請もある。
また、材料コストを抑えるべき要請もある。
本考案は、かかる事情に鑑み、いわゆる背面平滑型トンネルライニング工法等に用いられる防水シート(すなわちトンネルの一次覆工に沿って張設され、かつ前記一次覆工との間に充填される裏込め材と二次覆工との間に挟まれる防水シート)において、裏込め材との固着性能を確保しながら排水性能を確実に発現させ、更に材料コストが嵩むのを防止することを目的とする。
前記目的を達成するために、本考案は、トンネルの一次覆工に沿って張設され、かつ前記一次覆工との間に充填される裏込め材と二次覆工との間に挟まれる防水シートであって、
前記二次覆工に面する不透水性シート部と、前記不透水性シート部の一次覆工側に積層された透水性シート部とを備え、前記透水性シート部が、
前記裏込め材が浸透して固着可能な不織布からなる固着層と、
前記固着層に積層された網状体からなる導水層と、
を含み、前記導水層が、前記不透水性シート部と直接又は接合手段を介して接合されていることを特徴とする。
前記二次覆工に面する不透水性シート部と、前記不透水性シート部の一次覆工側に積層された透水性シート部とを備え、前記透水性シート部が、
前記裏込め材が浸透して固着可能な不織布からなる固着層と、
前記固着層に積層された網状体からなる導水層と、
を含み、前記導水層が、前記不透水性シート部と直接又は接合手段を介して接合されていることを特徴とする。
この防水シートによれば、固着層(表層の不織布層)の厚み及び目付を前記数値範囲内に設定することによって、裏込め材の充填時に、裏込め材が固着層に入り込むのを許容でき、しかも、その裏込め材を固着層の厚み方向の途中辺りで止めて、導水層にまで入り込むのを阻止又は抑制できる。更に材料コストが嵩むのを防止できる。やがて裏込め材が凝固することによって、固着層が裏込め材に固着される。一方、導水層の内部通路が裏込め材で詰まるのを防止できる。これによって、裏込め材との固着性を確保しながら排水性能を確実に発現させることができる。更には、一次覆工と裏込め材との間に前述した湧水処理シートを設ける必要が無く、一次覆工と裏込め材とを全域にわたって確実に固着できる。したがって、裏込め材ひいては防水シートが剥落するのを確実に防止でき、安全性を高めることができる。また、本考案の防水シートを使用することにより、裏込め材と二次覆工の間の全域に導水層を設けることができるため、水みちが変動したとしても、排水機能を確保することができる。
更には、特許文献2における裏面緩衝材を省略することによって、コストダウンできる。
更には、特許文献2における裏面緩衝材を省略することによって、コストダウンできる。
前記導水層と前記不透水性シート部とが溶着によって接合されていることが好ましい。
前記接合手段が接着剤であってもよい。つまり、前記導水層と前記不透水性シート部とが接着剤を介して接合されていてもよい。接着剤の成分としては、導水層と不透水性シート部とを接着可能であれば特に限定が無く、例えばホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤その他種々の接着剤を適用できる。
前記導水層と前記不透水性シート部とは、全面にわたって接合されている必要は無く、部分的に接合されていてもよい。防水シートの側端部(トンネル軸方向の両端部)においては、隣接する他の防水シートとの継ぎシロを確保するために、前記導水層と前記不透水性シート部とが非接合状態であることが好ましい。
前記接合手段が接着剤であってもよい。つまり、前記導水層と前記不透水性シート部とが接着剤を介して接合されていてもよい。接着剤の成分としては、導水層と不透水性シート部とを接着可能であれば特に限定が無く、例えばホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤その他種々の接着剤を適用できる。
前記導水層と前記不透水性シート部とは、全面にわたって接合されている必要は無く、部分的に接合されていてもよい。防水シートの側端部(トンネル軸方向の両端部)においては、隣接する他の防水シートとの継ぎシロを確保するために、前記導水層と前記不透水性シート部とが非接合状態であることが好ましい。
前記固着層における厚み方向の途中より前記一次覆工側の部分は、前記裏込め材が浸透されて凝固され、前記固着層における前記途中から前記導水層側の部分は、前記一次覆工側の部分よりも裏込め材の浸透度が低いか裏込め材が浸透していないことが好ましい。
これによって、固着層における厚み方向の途中より一次覆工側の部分においては、全面にわたって裏込め材と固着できる。固着層における前記途中から導水層側の部分及び導水層においては、全面にわたって導水性を確保できる。
これによって、固着層における厚み方向の途中より一次覆工側の部分においては、全面にわたって裏込め材と固着できる。固着層における前記途中から導水層側の部分及び導水層においては、全面にわたって導水性を確保できる。
本考案の防水シートによれば、裏込め材との固着性能を確保しながら防水シート全域で排水性能を確実に発現させることができる。更に材料コストが嵩むのを防止できる。
以下、本考案の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、地山2が掘削されてトンネル1が形成されている。トンネル1は、地山2側から一次覆工3と、ライニング層4と、防水シート5と、二次覆工6を含む。地山掘削面2aに沿って一次覆工3が構築されている。一次覆工3は、鋼製支保工(図示省略)と、吹付コンクリート3bを含む。一次覆工3に沿って防水シート5が張設され、この一次覆工3と防水シート5との間にライニング層4が形成されている。ライニング層4は、例えばモルタル4bからなる凝固性の裏込め材によって構成されている。ライニング層4に防水シート5が固着されている。更に二次覆工6が構築されることで、防水シート5がライニング層4と二次覆工6との間に挟まれている。二次覆工6は、鉄筋コンクリート又は無筋コンクリートにて構成されている。
図1に示すように、地山2が掘削されてトンネル1が形成されている。トンネル1は、地山2側から一次覆工3と、ライニング層4と、防水シート5と、二次覆工6を含む。地山掘削面2aに沿って一次覆工3が構築されている。一次覆工3は、鋼製支保工(図示省略)と、吹付コンクリート3bを含む。一次覆工3に沿って防水シート5が張設され、この一次覆工3と防水シート5との間にライニング層4が形成されている。ライニング層4は、例えばモルタル4bからなる凝固性の裏込め材によって構成されている。ライニング層4に防水シート5が固着されている。更に二次覆工6が構築されることで、防水シート5がライニング層4と二次覆工6との間に挟まれている。二次覆工6は、鉄筋コンクリート又は無筋コンクリートにて構成されている。
図2に示すように、防水シート5は、不透水性シート部10と透水性シート部20との積層構造になっている。不透水性シート部10は、二次覆工6側へ向けられ、透水性シート部20は、ライニング層4側ひいては一次覆工3側へ向けられている。
不透水性シート部10は、高い不透水性を有している。これによって、地山2からの湧水をトンネル1内に流入させない防水機能を担っている。
不透水性シート部10の材質は、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の完全非極性のポリオレフィン樹脂が挙げられる。さらに、PEやPPにアクリル酸や無水マレイン酸などの極性基(カルボキシル基)をグラフト重合させて極性を持たせることで接着性を付与させた変性ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。好ましくは、不透水性シート部10の材質は、EVAである。不透水性シート部10の厚みは、好ましくは、0.4mm〜3.0mm程度である。
不透水性シート部10の材質は、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の完全非極性のポリオレフィン樹脂が挙げられる。さらに、PEやPPにアクリル酸や無水マレイン酸などの極性基(カルボキシル基)をグラフト重合させて極性を持たせることで接着性を付与させた変性ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。好ましくは、不透水性シート部10の材質は、EVAである。不透水性シート部10の厚みは、好ましくは、0.4mm〜3.0mm程度である。
不透水性シート部10におけるライニング層4側を向く面(図2において上面)に透水
性シート部20が積層されている。透水性シート部20は、ライニング層4との固着機能と、排水機能と、ライニング層4ひいては吹付けコンクリート3b(又は地山2)と二次覆工6との間の緩衝機能とを有している。
性シート部20が積層されている。透水性シート部20は、ライニング層4との固着機能と、排水機能と、ライニング層4ひいては吹付けコンクリート3b(又は地山2)と二次覆工6との間の緩衝機能とを有している。
透水性シート部20は、固着層21と、導水層22とを含む。表層の固着層21は、ライニング層4と面している。固着層21の不透水性シート部10側(図2において下側)に導水層22が積層されている。
なお、図2において、防水シート5の各層10,21,22の厚みは誇張されている。
なお、図2において、防水シート5の各層10,21,22の厚みは誇張されている。
固着層21は、不織布にて構成されている。固着層21の不織布の材質は、好ましくはポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の化学繊維である。
固着層21の厚みは、2mm〜5mm程度が好ましい。固着層21の目付は、200g/m2〜500g/m2程度が好ましい。固着層21の密度は、80kg/m3〜120kg/m3程度が好ましい。
固着層21の厚みが2mm未満、目付が200g/m2未満であると、モルタルが過度に浸透する可能性が高くなる。固着層21の厚みが5mm超、目付が500g/m2超であると、材料コストが嵩む。
固着層21の厚みは、2mm〜5mm程度が好ましい。固着層21の目付は、200g/m2〜500g/m2程度が好ましい。固着層21の密度は、80kg/m3〜120kg/m3程度が好ましい。
固着層21の厚みが2mm未満、目付が200g/m2未満であると、モルタルが過度に浸透する可能性が高くなる。固着層21の厚みが5mm超、目付が500g/m2超であると、材料コストが嵩む。
固着層21にライニング層4のモルタル4bの一部4b’が入り込んで凝固されている。これによって、固着層21ひいては防水シート5とライニング層4とが固着されている。固着層21は、防水シート5におけるライニング層4との固着性能を担っている。モルタル4b’は、固着層21の厚み方向の途中で殆ど止まっており、導水層22までは殆ど達していない。
導水層22は、導水性を有し、防水シート5における排水性能を担っている。図3に示すように、導水層22は、網状体22xによって構成されている。網状体22xは、多数の線状体22a,22a…を含む。線状体22aの材質は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂である。各線状体22aは、防水シート5の厚み方向や面内方向に不規則に方向を変えて、うねるように延びている。複数の線状体22a,22a…が、相互に交差している。これら線状体22a,22a…によって多数の網目22bが形成されている。線状体22a,22aどうしの交差部22cは接着又は溶着等によって接合されている。
導水層22の目付は、300g/m2〜500g/m2程度が好ましい。導水層22の目付を300g/m2以上とすることによって、排水性能を一層高めることができる。導水層22の目付が500g/m2超であると、材料コストが嵩む。
図3において、線状体22aの太さ(直径)は、0.5mm〜3mm程度が好ましい。網目22bの大きさ(隣接する2つの交差部22c,22cどうし間の平均距離)は0.5mm超〜20mm程度が好ましい。
図3において、線状体22aの太さ(直径)は、0.5mm〜3mm程度が好ましい。網目22bの大きさ(隣接する2つの交差部22c,22cどうし間の平均距離)は0.5mm超〜20mm程度が好ましい。
図3及び図4に示すように、網状体22xは、数ミリメートル〜センチメートルオーダーで見ると、凸凹にうねっている。なお、網状体22xのうねりは、網状体22xの長手方向(図4において左右方向)及び幅方向(図4において紙面と直交する方向)に形成されている。
網状体22xからなる導水層22と固着層21とは、全面的に接合一体化されている。 固着層21と導水層22どうしは溶着などによって直接的に接合されていてもよく、ホットメルト接着剤その他の接合手段を介して接合されていてもよい。
網状体22xからなる導水層22と不透水性シート部10とは、側端部を除き全面的又は部分的に接合一体化されている。ひいては、透水性シート部20と不透水性シート部10とは、側端部を除き全面的又は部分的に接合一体化されている。詳細な図示は省略するが、透水性シート部20と不透水性シート部10の側端部どうしは、隣接する他の防水シート5との継ぎ足しのために自由(非接合状態)になっている。
不透水性シート部10と導水層22どうしは溶着などによって直接的に接合されていてもよく、ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤その他の接合手段を介して接合されていてもよい。
不透水性シート部10と導水層22どうしは溶着などによって直接的に接合されていてもよく、ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤その他の接合手段を介して接合されていてもよい。
防水シート5は、メートルオーダーでは概略平坦である。一方、図4に示すように、数ミリメートル〜数センチメートルオーダーで見ると、網状体22xが凸凹にうねっているために、防水シート5全体も凸凹にうねっている。
トンネル1は、次のようにして施工される。
図1に示すように、地山2を掘削し、地山掘削面2aに吹付コンクリート3bを吹き付けることによって、一次覆工3を構築する。
次に、一次覆工3の内周壁3aに沿うように半円筒状の型枠(図示省略)を設置する。
防水シート5は、ロール状態でトンネル施工現場へ搬入する。このロール状の防水シート5の端部をクランプして、トンネル形状(半円筒状)の型枠の周方向の一端部から繰り出し、前記型枠の外周面に張り渡す。このとき、不透水性シート部10を前記型枠の外周面に当て、かつ透水性シート部20を一次覆工3へ向ける。不透水性シート部10は、コンクリートの品質に影響ない程度で凸凹にうねっているため(図4)、凸の部分だけが前記型枠の外周面と接触する。要するに、不透水性シート部10と前記型枠の外周面との接触面積が小さくなる。したがって、前記張り渡しの際、防水シート5と前記型枠との間の摩擦抵抗を小さくできる。この結果、不透水性シート部10の表面(前記型枠との接触面)に傷が付きにくくなる。また、前記クランプが防水シート5から外れるのを防止でき、防水シート5を型枠上にスムーズに張り渡すことができる。
このようにして、防水シート5が、一次覆工3に沿って張設される。防水シート5と一次覆工3との間には隙間4aが形成される。固着層21が隙間4aを介して一次覆工3と対面される。
図1に示すように、地山2を掘削し、地山掘削面2aに吹付コンクリート3bを吹き付けることによって、一次覆工3を構築する。
次に、一次覆工3の内周壁3aに沿うように半円筒状の型枠(図示省略)を設置する。
防水シート5は、ロール状態でトンネル施工現場へ搬入する。このロール状の防水シート5の端部をクランプして、トンネル形状(半円筒状)の型枠の周方向の一端部から繰り出し、前記型枠の外周面に張り渡す。このとき、不透水性シート部10を前記型枠の外周面に当て、かつ透水性シート部20を一次覆工3へ向ける。不透水性シート部10は、コンクリートの品質に影響ない程度で凸凹にうねっているため(図4)、凸の部分だけが前記型枠の外周面と接触する。要するに、不透水性シート部10と前記型枠の外周面との接触面積が小さくなる。したがって、前記張り渡しの際、防水シート5と前記型枠との間の摩擦抵抗を小さくできる。この結果、不透水性シート部10の表面(前記型枠との接触面)に傷が付きにくくなる。また、前記クランプが防水シート5から外れるのを防止でき、防水シート5を型枠上にスムーズに張り渡すことができる。
このようにして、防水シート5が、一次覆工3に沿って張設される。防水シート5と一次覆工3との間には隙間4aが形成される。固着層21が隙間4aを介して一次覆工3と対面される。
次に、隙間4aにモルタル4b(裏込め材)を充填する。図2に示すように、このモルタル4bの一部4b’が、透水性シート部20の内部に入り込む。モルタル4b’は、固着層21の表面から厚み方向の途中辺りまで浸透して、そこで殆ど止まる。導水層22までは殆ど達しない。すなわち、固着層21の厚み及び目付を前記数値範囲内に設定することによって、モルタル4b’が固着層21に入り込むのを許容でき、しかも、そのモルタル4b’が固着層21を厚み方向に通り抜けて導水層22にまで入り込むのを阻止又は抑制できる。
モルタル4bの養生中、モルタル4b中の余剰水は、透水性シート部20を通って外部へ排出される。これによって、モルタル4bの水セメント比W/Cを低下させて品質を高めることができるため、裏込め材として十分な強度を確実に発現できる。
やがて、モルタル4bが凝固する。このモルタル4bがライニング層4となる。透水性
シート部20に入り込んだモルタル4b’も固着層21の内部で凝固する。これによって、ライニング層4と防水シート5とを確実に固着させることができる。
一方、導水層22の内部がモルタル4b’で詰まるのを防止できる。
シート部20に入り込んだモルタル4b’も固着層21の内部で凝固する。これによって、ライニング層4と防水シート5とを確実に固着させることができる。
一方、導水層22の内部がモルタル4b’で詰まるのを防止できる。
次に、二次覆工6のコンクリートを打設する。ここで、ライニング層4における防水シート5との接合面はほぼ平滑になっている。したがって、二次覆工コンクリートの打設時の圧力によって防水シート5がライニング層4に強く押し付けられても、不透水性シート部10が破れることはない。これによって、防水シート5の防水性能が損なわれるのを回避できる。
トンネル1において、地山2から吹付けコンクリート3bを介してトンネル内に出てきた湧水が、施工スパンごとの打継目やライニング層4のひび割れ部等を通って防水シート5まで浸透して来たときは、不透水性シート部10によって二次覆工6への透水を阻止できる。しかも、透水性シート部20を排水路として排水できる。特に、透水性シート部20のうち導水層22は、モルタル4b’で詰まっていないために、排水路として確実に機能させることができる。
従来この種のトンネルに一般的に用いられていた、不透水性シート部と不織布製裏面緩衝層との2層のみからなる防水シートと比べ、導水層22を有する防水シート5は、排水性能を格段と高めることができる。
さらに、湧水中に土砂や石灰等の固形成分が混じっていたときは、固着層21によって固形成分を捕捉できる。したがって、導水層22の目詰まりを長期間にわたって防止又は抑制でき、排水機能を十分に維持することができる。
更には、特許文献2における裏面緩衝材を省略することによって、コストダウンできる。
従来この種のトンネルに一般的に用いられていた、不透水性シート部と不織布製裏面緩衝層との2層のみからなる防水シートと比べ、導水層22を有する防水シート5は、排水性能を格段と高めることができる。
さらに、湧水中に土砂や石灰等の固形成分が混じっていたときは、固着層21によって固形成分を捕捉できる。したがって、導水層22の目詰まりを長期間にわたって防止又は抑制でき、排水機能を十分に維持することができる。
更には、特許文献2における裏面緩衝材を省略することによって、コストダウンできる。
本考案は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、ライニング層4を構成する裏込め材は、モルタル4bに限られず、合成樹脂や接着剤等であってもよい。網状体22xの線状体22aは、金属線であってもよく、樹脂被覆の金属線であってもよい。
例えば、ライニング層4を構成する裏込め材は、モルタル4bに限られず、合成樹脂や接着剤等であってもよい。網状体22xの線状体22aは、金属線であってもよく、樹脂被覆の金属線であってもよい。
本考案は、例えば鉄道や道路等のトンネルの内壁の防水構造に適用できる。
1 トンネル
2 地山
2a 地山掘削面
3 一次覆工
3b 吹付コンクリート
4 ライニング層
4a 隙間
4b モルタル(裏込め材)
4b’ 固着層内のモルタル(裏込め材)
5 防水シート
6 二次覆工
10 不透水性シート部
20 透水性シート部
21 固着層
22 導水層
22a 線状体
22b 網目
22c 交差部
22x 網状体
2 地山
2a 地山掘削面
3 一次覆工
3b 吹付コンクリート
4 ライニング層
4a 隙間
4b モルタル(裏込め材)
4b’ 固着層内のモルタル(裏込め材)
5 防水シート
6 二次覆工
10 不透水性シート部
20 透水性シート部
21 固着層
22 導水層
22a 線状体
22b 網目
22c 交差部
22x 網状体
Claims (4)
- トンネルの一次覆工に沿って張設され、かつ前記一次覆工との間に充填される裏込め材と二次覆工との間に挟まれる防水シートであって、
前記二次覆工に面する不透水性シート部と、前記不透水性シート部の一次覆工側に積層された透水性シート部とを備え、前記透水性シート部が、
前記裏込め材が浸透して固着可能な不織布からなる固着層と、
前記固着層に積層された網状体からなる導水層と、
を含み、前記導水層が、前記不透水性シート部と直接又は接合手段を介して接合されていることを特徴とする防水シート。 - 前記導水層と前記不透水性シート部とが溶着によって接合されていることを特徴とする請求項1に記載の防水シート。
- 前記導水層と前記不透水性シート部とが接着剤を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の防水シート。
- 前記固着層における厚み方向の途中より前記一次覆工側の部分は、前記裏込め材が浸透されて凝固され、前記固着層における前記途中から前記導水層側の部分は、前記一次覆工側の部分よりも裏込め材の浸透度が低いか裏込め材が浸透していないことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の防水シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018001810U JP3217262U (ja) | 2018-05-18 | 2018-05-18 | トンネル用防水シート |
Applications Claiming Priority (1)
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2018
- 2018-05-18 JP JP2018001810U patent/JP3217262U/ja active Active
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