JP3213617B2 - パワーステアリング装置用液圧弁のバランス方法 - Google Patents

パワーステアリング装置用液圧弁のバランス方法

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は自動車輛用パワーステアリング装置に関する
ものであり、また特に、そのようなパワーステアリング
装置に使用する液圧弁をバランスさせる方法に関するも
のである。回転弁を参照して本発明を説明するが、例え
ばピストン弁のようなその他の特殊な様式の弁にも適用
することができることは明らかである。
背景 通常、既知の回転弁はステアリング装置から上方に延
びる入力軸を採用しており、この入力軸を可撓性継手に
よってステアリング車輪軸に連結している。この目的の
ため、入力軸の突出端の外面にスプラインを形成してい
る。
ステアリング装置には弁ハウジングを設け、入力軸
と、それに支持されたスリーブ部材とをこの弁ハウジン
グに収容する。弁の作動摩擦を減らす目的で、若干の製
造業者はニードルローラ軸受を介して入力軸にスリーブ
部材を支持し、これ等ニードルローラ軸受によって入力
軸の外径とスリーブの内径との間の間隙を僅少に維持し
ている。しかし、大部分の製造業者はスリーブ部材を入
力軸の外径に直接支承している。本明細書の目的のた
め、これ等の支持形式を共に「支承」と称する。入力軸
はスリーブを貫通しており、ラックピニオン形のステア
リング装置の場合にはピニオンであるステアリング装置
被動部材に対し入力軸を支承する。一体形のステアリン
グギヤボックスの場合には通常、被動部材は再循環ボー
ルナット装置のウオーム部分である。
通常、このスリーブはピニオンから半径方向に延びる
駆動ピンによって弛緩していない状態で駆動されるよう
配置される。しかし他の特殊な液圧弁では、一体構成と
して製作されるスリーブピニオンによってこの弛緩のな
い駆動を容易にしている。この入力軸の下方に延びる端
部は緩い嵌合状態でピニオンにスプライン嵌合してお
り、入力軸とピニオンとの間、従って入力軸とスリーブ
との間の限定された相対回転が可能である。
入力軸とスリーブ部材との両方は相互に対向する面に
形成されたそれぞれ外方、及び内方に向く縦室を有し、
これ等縦室は、これ等構成部材の相対角回転によって作
動するオープンセンタ4ポート弁を構成する。
このスリーブは弁ハウジング内で作動し、このスリー
ブは数個の円周溝とシールとを有し、この技術分野で良
く知られているように、外部の液圧ポンプに向け、及び
液圧ポンプから、及び左右の補助シリンダに向け、及び
補助シリンダから加圧油を指向させることができる。ピ
ニオンに下端を取り付けられたトーションバーによって
入力軸とスリーブとは中立位置に平素押圧される。従っ
て、実際上、スリーブの上述の弛緩のない駆動とは、こ
の場合被動部材であるピニオンを介してスリーブとトー
ションバーとを共に回転するように連結することを意味
する。ピニオンから離れたトーションバーの上端を入力
軸に取り付ける。入力軸に取り付けたトーションバーの
この上端を以後、トーションバーの「固着端」と称す
る。
このような回転弁の操作の一般方法はパワーステアリ
ングの設計分野で良く知られており、本明細書ではこれ
以上詳細な説明は行わない。この操作の説明は、Zeigle
rの米国特許第3022772号にあり、この米国特許は回転弁
の概念を開示した最初の特許とされている。
大部分のステアリング装置は左回転と右回転の液圧補
助特性ができるだけ同一であることが要求される。この
作動の対称性は関連する種々の構成部材に割り当てられ
る限定された公差に起因し、弁の組立て時に達成し得る
に過ぎない。この対称性を確実なものにするため、弁の
構成部材の中立位置を決定するには高い精度が必要であ
る。更に、この中立位置が一旦決定されると、ステアリ
ング装置の寿命中、この精度を維持することが必要であ
る。
大部分のステアリング装置に関し、入力軸、及びスリ
ーブの両構成部材の理論的な理想中立位置は、弁の作動
中、スリーブに対して両方向に入力軸に加えられる中立
位置の周りの等しい回転角、又は等しい入力トルクによ
って左補助シリンダと右補助シリンダとに供給される液
圧流体の差圧の大きさが等しくなるような中立位置とし
て定義することができる。中立位置を決定し固着する操
作を「バランス操作」と称し、通常、トーションバーに
対する入力軸の角度配置、及びスリーブに対する入力軸
の角度回転とを調整することを含む。又は代案として、
(一時的にトーションバーにロックされる)入力軸に加
えられた入力トルクを弁の導入圧力に対比して測定する
ことである。
しかし、「中心テークオフ」ステアリング装置として
知られる或る限定されたクラスのパワーステアリング装
置については、バランス操作中、求める中立位置は必ず
しも上述の位置でない。これ等のステアリング装置は通
常、端部設置液圧シリンダを採用しており、右側補助シ
リンダと左側補助シリンダとの間にディファレンシャル
作動区域を生じている。これ等の中心テークオフステア
リング装置では、インバランスを部分的に補正するた
め、入力軸、及びスリーブ構成部材の中立位置は時計方
向、又は反時計方向に僅かな所定角度だけずらすことが
多い。このインバランスはこのずれがないとディファレ
ンシャル作動区域に起因して発生する。
最も普通の現在のプラクティスによれば、「バラン
ス」機械で行う組立て作業中、トーションバーと入力軸
とに穿孔し、リーマ通しをして形成された直径的に配置
された孔に圧入されたピンによりトーションバーの固着
端を入力軸に取り付ける。
このようなバランス機械は多くの異なる形式を採用し
ているが、通常は、トーションバーが偏向していない状
態になるように、入力軸の上端を通って突出するトーシ
ョンバーの端部と被動部材(即ちピニオン、又はウオー
ム)とを共に回転するようクランプする。被動部材、従
ってスリーブに対する非常に微細な角移動を入力軸に与
えることができるバーニヤ駆動機構に入力軸をクランプ
する。必要な流速、及び温度で弁に油を供給した後、導
入圧力が所定のチェック点圧力に相当するまで、入力軸
を一方向に回転移動させ、この移動に対応する量を記録
する。次に、測定された圧力が再び所定のチェック点圧
力に等しくなるまで、入力軸を反対方向に回転し、移動
量を同様に記録する。次に、これ等2個の角移動の平均
値(中間点)を次に計算し、この位置まで入力軸を回転
し、クランプする。次に、上述の孔を穿孔し、リーマを
通し、ピンを圧入する。リーマ孔とピンとの間に存在す
る締め代の量として、ピンを挿入するために必要な力を
モニターすることが多い。また、ピンに加わる所定の力
までのピンの保持力をチェックするため「プッシュアウ
ト」テストを行うことも多い。
その他の特殊なバランス機械では、導入圧力ではな
く、弁の左、右のシリンダポート間の差圧を、チェック
点圧力にマッチするための基準として使用している。そ
の実質的な効果は実際上同一である。これは、大部分の
パワーステアリング弁の場合、1MPa(メガパスカル)の
基準以上の差圧は導入圧力に非常に近い値で対応してい
るからである。
多くの場合、これ等従来技術はこのような機械によっ
て使用される方法論に関連する多数の欠点がある。第1
に、穿孔、及びリーマ通しは時間を要する。これは、ピ
ンを次に締り嵌めにするため、高い精度の孔を設け、表
面を良好に仕上げることが必要なためである。第2に、
正しく嵌着するため、孔に対するピンの配列が厳密を要
することである。正しい中立位置が決定された後に、穿
孔、又はリーマ作業によって加わる切削力により、更
に、ピンを挿入するために必要な非常に大きな力によ
り、入力軸とトーションバーとの精密な角度配置が見出
されることがバランス操作中に発生することが多い。従
って、完成したステアリング装置、又は弁を検査する
と、液圧作用は、も早、対称に作用せず、弁の組立てを
長時間かけてやり直さなければならず、又は弁を廃棄し
なければならないことがわかった。更に、圧力、及び角
回転の両方(又は或る場合には入力トルクも)のための
電子検知装置を有するこのような精密バランス機械で
は、このような装置に密接して金属切削作業を行うこと
はこの従来の方法の好ましくない点である。
現在の液圧バランス方法の第3の欠点は、バランス作
用中、液圧流体によって弁構成部材が必然的に汚染され
ることである。このため、これ等従来技術は、入力軸と
トーションバーとが比較的清潔に乾燥状態であることを
要し、しかも、一層正確で一層安価な入力軸のトーショ
ンバーへの連結方法たり得る可能性を失っている。
バランス媒体として空気を利用し、パワーステアリン
グ装置の液圧弁をバランスさせる他の方法はToyota Mot
or Corporationの出願になる特開昭56−108355号に教示
されている。空気によるバランス方法は、弁構成部材が
パワーステアリング装置の弁ハウジング内に予め組み込
まれている「スプール」型液圧弁に限定される。空気に
よるこのバランス方法は、液圧流体をシールするためス
リーブの外側に円周シールを必然的に組み込んだ回転
弁、及びピストン型弁のような、「スプール」型弁以外
の弁には実施することができない。回転弁、又はピスト
ン型弁をパワーステアリング装置の弁ハウジング内に組
み込む時、バランス操作用媒体として空気を使用するこ
とができない。これは円周シールの構成は十分に気密な
シールとならないからである。
特開昭56−108355号に教示されたような空気によるバ
ランス方法の欠点は、入力軸をトーションバーに連結す
るための穿孔、及びピン嵌着作業は既知の液圧によるバ
ランス方法と同一の欠点、即ち穿孔、リーマ通し、及び
ピン嵌着に時間を要し、トーションバーと入力軸との角
度配置が乱される欠点がある。
他のバランス方法は、James N.Kirby Products Pty L
imitedの名の国際出願PCT/AU92/00580号に教示されてい
る。このバランス方法は液圧でなく、機械的に行われて
いる。この方法は弁構成部材が油で汚染することはな
く、トーションバーを入力軸に固着するのに接着剤を使
用する潜在的な可能性はあるが、どのようにしてこれ等
弁構成部材を連結するかの詳細な構成は説明されていな
い。
発明の開示 本発明の第1態様によれば、入力軸に支承されたスリ
ーブを具え、被動部材を介してこのスリーブに連結され
たトーションバーをこのスリーブが有し、圧力媒体の作
用を受けるパワーステアリング装置用液圧弁をバランス
させるため、 前記弁をバランスハウジング内に挿入し、 前記スリーブに対して相対的な前記入力軸の中立位置
を決定し、 前記入力軸とトーションバーとを共に回転するよう連
結することによって前記中立位置を固定し、液圧弁をバ
ランスさせるに当たり、 前記中立位置を決定するために使用する圧力媒体がガ
ス媒体であり、前記中立位置を決定している間、前記ガ
ス媒体をシールする一時シール手段を前記スリーブの外
面に接触させることを特徴とする。
スリーブ内の少なくとも1個の導入ポートを通じてガ
ス媒体を流し、スリーブ内の少なくとも1個のシリンダ
ポートに通るガス媒体の流れを禁止するよう一時シール
手段を配置するのが好適である。
少なくとも1個の導入ポートを設けた導入溝の軸線方
向両側の位置でスリーブに接触する第1シール部分と第
2シール部分とで一時シール手段を構成するのが好適で
ある。
導入溝に軸線方向に隣接するシリンダ溝内に少なくと
も1個のシリンダポートを位置させるのが好適である。
シール部分の一方をシリンダ溝の両側に接触させ、これ
によりシリンダ溝をシールし、少なくとも1個のシリン
ダポートを通ずるガス媒体の流れを禁止するのがよい。
一時シール手段の第1シール部分と第2シール部分と
の間に設置され、導入溝に隣接して位置するよう配置さ
れた環状中心部をバランスハウジングが具えるのが好適
である。ガス媒体を導入溝に流体として送給し、従って
中心部内の孔を通じて導入溝内にある少なくとも1個の
導入ポートにガス媒体を送給するのがよい。
本発明の第1態様の好適な第1実施例においては、こ
れ等シール部分の少なくとも一方が液圧により、又は空
気圧により膨張可能なブラダである。このブラダが環状
であり、バランス操作中、このブラダを加圧するように
して、内方に膨張させ、スリーブをシールするのが好適
である。
本発明の第1態様の好適な第2実施例においては、シ
ール部分の少なくとも一方が弾性的に変形し得るシール
環である。このシール環を押圧手段によって押圧するこ
とによりスリーブをシールするのが好適である。この押
圧手段が液圧で、空気圧で、又は機械的に作動する作動
機構から成るのが好適である。
本発明の第1態様の好適な第3実施例においては、バ
ランス操作中にシリンダポートの少なくとも一方に半径
方向内方に負荷を加え、従って少なくとも1個のシリン
ダポートをシールするよう配置された少なくとも1個の
シリンダプローブを一時シール手段が具える。バランス
操作中に少なくとも1個の導入ポートに半径方向内方に
負荷を加え、少なくとも1個の導入ポートにガス媒体を
流すよう配置された少なくとも1個の導入プローブを一
時シール手段が具えるのが好適である。
本発明の一時シール手段が液圧弁の構成部材でないの
がよい。
この液圧弁はその作動中、液圧流体のシールのための
みの円周シールを具えるのが好適である。これ等シール
はバランス操作中、弁に嵌着しないのがよい。
スリーブに対する入力軸の僅かな角回転移動により圧
力媒体に発生する圧力を測定することによって、中立位
置を決定するのが好適である。代案として、入力軸とト
ーションバーとを順次一時的に取り付け、被動部材に関
して入力軸に加えられた入力トルクにより圧力媒体に発
生する圧力を測定することにより中立位置を決定する。
本発明バランス方法を行っている間、圧力媒体として
供給されるガス媒体を所定の一定圧力に調整し、次にバ
ランスハウジングの導入口に入れる前に、一定基準オリ
フィスにこの圧力媒体を通すのが好適である。入力軸と
スリーブとの相対角移動は弁によって生ずる制限量を変
化させる。従って、一定基準オリフィスとバランスハウ
ジングとの相互連結部に発生するガス圧力が変化する。
バランスハウジングへのガス導入圧力をバランスハウジ
ングへの導入口で測定し、中立位置を決定するためチェ
ック圧力に比較するのが好適である。しかし、弁の左の
シリンダポートと右のシリンダポートとの間のガス媒体
の差圧を使用することもできる。
ガス媒体が空気であり、工場の通常の圧縮空気供給源
からフィルタを通した後、容易に供給される空気が好適
である。代案として、窒素、又はその他の若干の適当な
ガス媒体、又は組み合わせたガスを使用することもでき
る。
入力軸をトーションバーに固着する前に、入力軸とト
ーションバーとを互いに相対的に軸線方向に移動させる
のが好適である。
接着剤接合、はんだ付け、ろう付け、溶接(例えば電
子ビーム溶接)、又はその他若干の接合剤、即ちプラス
チック、又はエポキシ接着剤による機械的キー止めのよ
うな接合プロセスによって入力軸をトーションバーに連
結するのが好適である。
接合剤を注入し加熱するのが好適である。接合剤が注
入された後、そのキュアを加速するため、この加熱を行
う。代案として接合剤、又はキー止め剤を注入中、その
注入を助けるため、加熱を行ってもよい。更に、代案と
して、はんだ付け、ろう付け、又は溶接の場合に、接合
剤の融解と分散とを容易にするため熱を加えてもよい。
接合プロセスが電子ビーム溶接である場合、入力軸とト
ーションバーとを直接加熱し連結するから、これ等構成
部材は連結のための付加的接合剤を必要としない。この
場合の接合剤は構成部材の母材である。
入力軸とトーションバーとの間の接合剤、又は機械的
キー止め剤が十分な強度を有することになった時、バラ
ンスハウジングから弁を釈放することができる。この十
分な強度とは、この釈放中に作用する力が中立位置の固
着を見出すことがないだけの接合剤の強度である。
入力軸とトーションバーとの間の接合が十分な強度に
達した後、これ等の両構成部材を互いに接合した位置、
又はその付近に、これ等構成部材に、ほぼ直径的に配置
された孔を機械加圧し、この孔にピンを圧入するのがよ
い。最初の従来技術の説明に記載したような入力軸とト
ーションバーとの正確な角度の配置の乱れは発生しな
い。これは、孔の加工操作(例えば穿孔、又は穿孔とリ
ーマ通し)によって生ずる切削力、又はピンの圧入によ
って作用する負荷に接合媒体が抵抗するからである。こ
のような状態下で、このピンは第2安全装置を構成して
おり、バランス操作中、接合媒体が不適正に加えられ、
従って次に使用中に故障した稀な状態下で機能するだけ
である。ピンは第2安全装置であり、入力軸とトーショ
ンバーとの正確な角度配置が実際上、接合媒体によって
維持されるから、ピンの圧入に大きな締め代を設けるこ
とは、も早、必須のことでない。従って、安価で一層順
応性が高いピン装置、例えばUnbrakoによって市販され
ている「Sel−Lok」のようなロールピンを採用するのが
好適である。
入力軸とトーションバーとの間に半径方向間隙が存在
し、注入された接合剤、又は機械的キー止め剤がこの間
隙によって生じた環状空所を実質的に充填し、使用中の
弁から液圧流体が漏洩するのを防止するシールになるよ
うにするのが好適である。
本発明の第2の態様によれば、入力軸に支承されたス
リーブを具え、被動部材を介して前記スリーブに連結さ
れたトーションバーをこのスリーブに設け、前記入力軸
に孔を設け、前記被動部材から遠方の前記トーションバ
ーの固着端を前記入力軸の孔内に設置して前記固着端と
孔との間に相互面を形成し、前記スリーブに対して相対
的な前記入力軸の中立位置に相当する位置の接合剤によ
って前記入力軸の前記孔を前記トーションバーの固着端
に接合したパワーステアリング装置用液圧弁において、
前記入力軸の前記孔と前記トーションバーの前記固着端
との間の前記相互面に少なくとも1個の接合区域と少な
くとも1個の支持区域とを設け、前記接合剤を前記接合
区域に配置し、この接合剤のための環状空所が得られる
よう前記入力軸の前記孔と前記トーションバーの前記固
着端との間の直径方向の間隙が前記支持区域内における
よりも前記接合区域内において実質的に一層大きいこと
を特徴とする。
この環状空所がほぼ一定の半径方向深さを有するのが
好適である。
第1実施例では、トーションバーの固着端の直径が支
持区域内よりも接合区域内で一層小さいのが好適であ
る。この実施例では、トーションバーの固着端の接合区
域内での直径が支持区域内での直径に対し段状に減少し
ている。
第2実施例では、入力軸の孔の直径が支持区域内より
も接合区域内で一層大きいのが好適である。この実施例
では、入力軸の孔の直径を支持区域内の直径に対し接合
区域内において段状に増大させてもよい。
環状空所を接合剤によって完全に充填し、使用中、弁
から油が漏洩するのを防止するシールになるようにする
のがよい。
他の実施例では、トーションバーの固着端の支持区域
内に接合区域に隣接して溝を設け、この溝により過剰な
接合剤を保持するのがよい。
接合剤が接着剤、はんだ、ろう付け用ろう、又は溶接
金属であるのが好適である。代案として、接合剤をプラ
スチック、又はエポキシ接着剤のような機械的キー止め
剤にしてもよい。
パワーステアリング装置が被動部材としてピニオンを
有するラックピニオン型であるか、又は被動部材として
ウオームを有する一体型であるのがよい。液圧弁は回転
弁であるのが好適であるが、ピストン弁のような他の形
式の弁でも本発明によりバランスさせることができる。
図面の説明 次の図面を参照して従来の弁、及び本発明を説明す
る。
図1は従来のステアリング装置の弁の断面図である。
図2は本発明の第2の態様による弁装置における入力
軸とトーションバーとの連結部の好適な第1実施例の部
分断面図である。
図3は本発明の第1態様によるバランス機械の斜視図
である。
図4は図3に示すバランス機械の一部を形成するバラ
ンスハウジングの断面正面図である。
図5は図4に示すバランスハウジングの平面断面図で
ある。
図6はバランスハウジングのアームとの掛合位置にあ
る図3に示すバランス機械に取り付けた直線アクチュエ
ータの平面図である。
図7は図3のバランス機械の接合剤適用部分の分配ノ
ズル、及び加熱コイルの部分正面図である。
図8は接着剤を加えつつある時の図7の分配ノズル、
及び加熱コイルの部分断面図である。
図9は入力軸とトーションバーとに直径的に配置され
た孔に圧入されたロールピンを加え、図2と同様の弁装
置の好適な実施例の部分断面図である。
図10は本発明の第2態様による弁装置の入力軸とトー
ションバーとの連結部の好適な第2実施例の部分断面図
である。
図11は本発明の第2態様による弁装置の入力軸とトー
ションバーとの連結部の好適な第3実施例の部分断面図
である。
図12は本発明の第2態様による弁装置の入力軸とトー
ションバーとの連結部の好適な第4実施例の部分断面図
である。
図13はブラダシール構成を組み込んだ図4に示すバラ
ンスハウジングの代案のバランスハウジングの断面正面
図である。
図14はシール環構成を組み込んだ図4に示すバランス
ハウジングの代案のバランスハウジングの断面正面図で
ある。
図15はプローブシール構成を組み込んだ図4に示すバ
ランスハウジングの代案のバランスハウジングの断面正
面図である。
図16は図12に示す弁装置の入力軸とトーションバーと
の連結部を形成するためプラスチックを注入するのに使
用するプラスチック射出成型ノズルの実施例の断面正面
図である。
図17は本発明の第2態様による弁装置の入力軸とトー
ションバーとの連結部の好適な第5実施例の部分断面図
である。
発明実施の形態 図1は回転型の代表的な従来の弁を線図的に示す。弁
1はハウジング3内に包含されており、この弁1はスリ
ーブ4上に支承された入力軸2を具える。液圧ポンプ、
及び補助シリンダ(図示せず)に向け、及びこれ等から
油を指向させるよう入力軸2、及びスリーブ4を作動さ
せることはこの技術分野でよく知られており、ここでは
これ以上の説明は行わない。プッシュ6を介してトーシ
ョンバー8の下端に入力軸2の下端を支承し、ピニオン
5からトーションバー8を軸線方向に突出させる。ピニ
オン5から半径方向に突出するスリーブ駆動ピン7をス
リーブ4の孔に掛合し、スリーブ4とピニオン5との間
に弛緩のない連結を生ぜしめる。スエージングのような
或る通常な方法でトーションバー8をピニオン5に固着
する。
締り嵌めのピン9によって、トーションバー8と入力
軸2とを連結する。Oリングをトーションバー8の溝10
に嵌着して、弁1内の液圧油をシールし、入力軸2とト
ーションバー8との間のその円筒相互面から液圧油が漏
洩しないようにする。
通常、トーションバー8に入力軸2を連結する前に、
弁1の液圧中立位置を決定するように、スリーブ4に対
する入力軸2の回転可能な原位置を定めることが必要で
ある。この技術分野でよく知られているように、そして
本明細書の「背景」に説明したように、液圧油をステア
リング装置に供給するバランス機械において、この操作
を行う。
液圧中立位置を一旦決定すると、入力軸2とトーショ
ンバー8とをそれぞれ保持しながら、入力軸2とトーシ
ョンバー8とに直径的に貫通する孔を穿孔し、リーマ通
しを行い、ピン9をこの孔に締り嵌めにする。
図2は本発明の第2態様の第1実施例の一部を示し、
入力軸2をトーションバー8に連結する区域を示す。こ
の実施例では、入力軸2をトーションバー8の上部固着
端に相互連結する従来技術のピン9の代わりに、これ等
部片の円筒相互面に接着剤11を使用する。適切な一接合
接着剤は工業接着剤648として、商標名「ロックタイト
(Loctite)」で市販されている接着剤がある。支持区
域12内において、トーションバー8の固着端の最大外径
を接合区域13にわたり小径に段付きに細くし、固着作業
中、接着剤の注入を容易にする。支持区域12は通常、入
力軸2の孔の中に密接する間隙で嵌着し、これにより接
着剤が内部弁空所14内に進入するのを防止する。接合区
域13内の意図的に設けた半径方向間隙は通常、0.02〜0.
06mm程度に制御し、接着剤ボンド11が存在する環状空所
100を形成する。
図10は第2実施例を示し、入力軸の孔径の段部によっ
て、固着作業中の接着剤の注入を容易にし、しかもこの
段部によって接合区域13にわたり制御された半径方向間
隙を提供している。代案として、図示しない実施例で
は、トーションバー8に(又は入力軸に設けた段部の他
に更に)図2の実施例と同様に、トーションバーの固着
端に一層小径になる段部を設けてもよい。
このようなボンドを利用する時、(図1に示すよう
な)従来技術の弁の溝10、及び関連するOリングを除去
することができる。本発明の実施例に利用される接着剤
は入力軸2とトーションバー8の固着端との間のシール
としても作用する。このシールは両者間の環状空所100
を完全に包囲し、即ちこの環状空所を充填し、入力軸2
とトーションバー8との(ほぼ)円筒形の相互面で内部
弁空所14から油が漏洩するのを防止する。
図11は第3実施例を示し、この実施例は図2に示すも
のに類似するが、トーションバー8の固着端に、互いに
密接離間する2個の環状突起57、58を設け、支持区域12
内の環状突起57、58間に円周溝59が存在し、図2の実施
例と相違する。固着作業中、注入された接着剤の流れを
禁止するダムとして環状突起57は作用する。環状突起57
によるこの禁止作用によって、接合区域13にわたる入力
軸2とトーションバー8との間の環状空所100を注入接
着剤がほぼ確実に充填するようになる。過剰な接着剤の
ためのオーバフローの収容部として溝59が設けられる。
固着作業には、入力軸2とトーションバー8との間に所
定量の接着剤を注入する必要があり、溝59を設けて、入
力軸2とトーションバー8との間の間隙を許容公差内に
減少させた場合、注入中、過剰ないかなる接着剤も突起
57上を漏れ、溝59内に安全に保持される。
図12は入力軸とトーションバーとの連結部の第4実施
例を示し、トーションバー8の固着端と入力軸の隣接孔
とに接合区域13にわたりそれぞれおすスプライン、及び
めすスプラインを形成し、入力軸2とトーションバー8
とを互いに接合、即ち機械的にキー止めするため、入力
軸2とトーションバー8との間に接着剤、又はプラスチ
ックを注入することができる。
図17は、はんだ付け(又はろう付け)により接合する
直前の入力軸とトーションバーとの連結部の第5実施例
を示し、予めフラックス処理を行い、コーティングした
はんだ(又はろう)材料の環400を入力軸2の沈み孔区
域401内に設置する。誘導加熱コイル(バランス機械に
関して後に説明する)によって環400を加熱し、溶解
し、はんだ材料又はろう材料を接合区域13にわたり環状
空所100内に分散させる。
トーションバー8と入力軸2の孔との間に十分な接合
を行うため、接合剤を加える前に、両方の部片を比較的
清潔にし、乾燥する。入力軸2をトーションバー8に固
着する前に中立位置を決定する普通の方法は使用するこ
とができない。これはこれ等それぞれの部片を液圧油で
汚染することになるからである。本発明の第1の態様に
よれば、スリーブ4に対する入力軸2の中立位置を決定
するため、圧力媒体として空気を利用する。これによ
り、両部片は清潔に、乾燥された状態に留まり、これ等
部片を連結するため接着剤による接合、又はその他の接
合手段を使用することができる。
図3は本発明バランス機械の一実施例を示す。このバ
ランス機械は回転テーブル19を具え、このテーブル19は
円形内側ベース部材20と、このベース部材に回転可能に
取り付けられた外側環状部材21とを有する。ベース部材
20の周りに水平平面内で環状部材21が数角度づつ回転
(割出し回転)できるようにし、種々の操作を行う6個
のステーションの1個に各バランスハウジングをもたら
すことができるようにする。更に、これ等ステーション
をA〜Fと称する。連続処理において、ステーションA
〜Fに弁を通すことによって、このバランス機械によっ
てこれ等の弁をバランスさせる。しかし、説明を容易に
するため、単一の弁、即ちただ1個の弁が個々のステー
ションを経て移動する際のこの単一の弁の進行につい
て、このバランス機械の作動を説明する。
スリーブ4、入力軸2、トーションバー8、及びピニ
オン5から成るまだバランスしていない弁、即ち未バラ
ンス弁を装填ステーションAにおいてこのバランス機械
に装填する。この未バランス弁を図3には図示しない。
この装填機構(これも図示せず)はロボットアーム、又
はこの分野で良く知られたその他の自動化機構である。
図4は装填ステーションAのバランスハウジング22内
に装填された未バランス弁を示す。バランスハウジング
22は孔23を具え、この孔には上部コレット24と、その反
対端に位置する下部コレット25とを有する。カム16を有
するカム機構によって、下部コレット25は孔23内で軸線
方向に移動することができる。摺動キー、及びキー溝構
成17によって、孔23内で下部コレット25が回転するのを
防止する。未バランス弁を装填する前に、下部コレット
25を開き、上方位置(図4に図示せず)に未バランス弁
を収容する準備を行う。この収容作用は、カム16、カム
従動部51、及びサーボモータ18によって駆動される際、
下部コレット25のU字方向の上昇運動によって行う。装
填中、先端としてのピニオン5と共にこの未バランス弁
を孔23内に挿入する。空気シリンダ26の作用を受ける下
部コレット25によってピニオン5をクランプし、U字方
向の反対方向に未バランス弁を孔23内に引張る。次に、
回転上部コレット支持体50とアーム28とに一体の上部コ
レット24によって図5に示すように位置27に入力軸2を
クランプする。
図4に示すように、アーム28はコレット24から上方、
及び半径方向に突出しており、アーム28、及びコレット
24は共に上部コレット支持体50の一部として軸線Yの周
りに回転自在である。バランスハウジング22は空気導入
口29を有し、この時、孔23内に回転しないよう保持され
ているスリーブ4の円周導入溝15に空気導入口29によっ
て空気を供給する。ガラス、又は青銅を充填したテフロ
ンから通常製作される標準スリーブ円周シール101によ
って導入溝15のシールを容易にする。代案として、特に
これ等標準スリーブシール101が孔23に十分に合致しな
い(従ってシールしない)ような低温作動環境でバラン
ス操作を実施する場合には、シール101の存在なしに、
バランス操作を行ってもよいし、液圧、又は空気圧で作
動する膨張ブラダ、又はその他の一層複雑なシールの構
成を採用することもできる。
図13、図14、及び図15は種々のバランスハウジング、
及びシールの構成を示し、円周シール101を設けること
なく、空気を使用してこの構成により未バランス弁をバ
ランスさせる。
図13はバランスハウジング122が一時的シール手段160
を組み込んだ実施例を示し、バランス操作中、このシー
ル手段160がスリーブ4の外面に接触してシールする。
一時的シール手段160は環状弾性膨張ブラダ170、171の
形状の第1シール部、及び第2シール部を具え、これ等
ブラダは隣接するシリンダ溝80、81の区域の導入溝15の
軸線方向の両側でスリーブ4に接触する。プラダ170、1
71はそれぞれシリンダ溝80、81の両側に接触するため軸
線方向に十分幅が広く、これによりこれ等のシリンダ溝
をシールし、従ってシリンダ溝内にあるシリンダポート
をシールする。弁のバランス操作前に、加圧液圧流体源
(図示せず)から管175を通じて液圧導入口172、173を
経て加圧液圧流体を導入することによってブラダ170、1
71を内方に膨張させる。ブラダ170、171はバランスハウ
ジング122内に収容されており、これ等ブラダ170、171
は環状中心部188によって離間されており、従ってこの
環状中心部はスリーブ4の導入溝15に隣接している。バ
ランス操作中、導入溝15に流れる空気、即ちこの導入溝
内にある導入口を通ずる空気をブラダ170、171による円
筒溝80、81のシール作用によって抑止する。弁のバラン
ス操作のため、空気は空気収容部165から供給される
が、この空気収容部165はポンプ圧縮機166によって空気
が充填され、調整器167によって所定一定圧力に調整さ
れる。通常の技術プラクチスに従って、調整器167は空
気フィルタと乾燥装置を組み込んでいる。空気収容部16
5から引き出される空気は一定基準オリフィス168を経て
弁バランスハウジング122の導入口129に通る。導入口12
9における圧力は圧力トランスジューサ164によって測定
される。中心部188における半径方向孔169は導入口129
から導入溝15への空気に連通している。バランス操作後
は、ブラダ170、171の圧力を下げ、これによりスリーブ
4の外面に作用するブラダの負荷を外し、弁を除去する
ことができる。
この代わりに、ブラダ170、171を空気によって膨張さ
せることができ、スリーブの外側の幾何学的外形に応
じ、実際の空気バランス操作のため空気を取り入れる同
一の空気収容部165から、これ等ブラダに充填する空気
を取り入れることもできることに注意すべきである。
図14にバランスハウジング222が一時シール手段260を
組み込んだ実施例を示し、バランス操作中、この一時シ
ール手段260はスリーブ4の外面に接触してシールす
る。一時シール手段260は2個のシール環270、271の形
状の第1シール部と第2シール部とから成り、これ等2
個のシール環はシリンダ溝80、81に隣接する区域におい
て導入溝15の軸線方向両側でスリーブ4に接触する。シ
ール環270、271はポリウレタン、又はその他適当な弾性
材料から造るのが好適であり、バランスハウジング222
の内壁287に設置される。それぞれのシリンダ溝80、81
の両側に接触するようシール環270、271は十分広く、こ
れによりこれ等シリンダ溝をシールし、従ってこれ等シ
リンダ溝内にあるシリンダポートをシールする。それぞ
れシール環270、271に軸線方向に隣接して圧縮環290、2
91を設置し、これ等圧縮環290、291を2個のアクチュエ
ータ機構285、286に連結する。環状中心部288を壁287か
らシール環270、271間に内方に突出し、スリーブ4の導
入溝15に隣接して位置させる。弁のバランス操作前に、
アクチュエータ機構285、286(図示しない液圧源、又は
空気圧源から液圧により、又は空気圧により作動するの
が好適である)を作動させ、それぞれ矢印R、及びSの
方向に軸線方向に圧縮環290、291を押圧する。シール環
270、271が壁287と中心部288とによって拘束されるか
ら、圧縮管290、291の移動によってシール環270、271の
シール面は内方に膨張し、スリーブ4の外面を弾性的に
シールする。シール環270、271によるシリンダ溝80、81
のシール作用は、バランス操作中に導入溝15内に流入す
る空気、従ってこの導入溝内に設置された導入ポートに
通る空気を抑止する。図13に示す実施例と同様に、弁の
バランス操作のため空気収容部165から空気を供給す
る。バランス操作後、アクチュエータ機構285、286を反
対方向に作動させ、圧縮環290、291が、も早、シール環
270、271を圧縮しないようにし、これにより、シール環
がスリーブ4の外面をシールせず、弁を除去することが
できる。
図15はバランスハウジング322が一時シール手段360を
組み込んだ他の実施例を示し、バランス操作中、一時シ
ール手段360はスリーブの外面に接触してシールする。
図13、及び図14に示したシールの構成と異なり、この実
施例は、一時シール手段360がそれ自体でシリンダ溝8
0、81を円周方向にシールするだけでなく、導入溝15内
に位置するポート、及びスリーブ4の外面のシリンダ溝
80、81を直接シールする。一時シール手段360は複数個
の導入プローブ375、及びシリンダプローブ370(両プロ
ーブとも図15では参照を容易にするため1個宛示す)を
有する。導入プローブ375を支持部材376に移動可能に取
り付け、バランスハウジング322の内方、及び外方に矢
印Mによって示す方向に導入プローブ375を作動させる
(詳細に図示しないが液圧、又は空気圧での作動が好適
である)。同様に、シリンダプローブ370を支持部材372
に移動可能に取り付けて、バランスハウジング322の内
方、及び外方に矢印Nによって示す方向にシリンダプロ
ーブ370を作動させ得るようにする。
弁をバランスハウジング322内に挿入する前には、導
入プローブ375と、シリンダプローブ370とは外方に後退
した位置にあり、弁をバランスハウジング322に入れる
ことができる。一旦、弁を挿入すると、導入プローブ37
5、及びシリンダプローブ370は内方に移動するよう作動
し、導入ポート95と、シリンダポート96とをそれぞれシ
ールする。参照を容易にするため1個のみの導入プロー
ブ375、及び1個のみのシリンダプローブ370を図15に示
すが、複数個のこれ等プローブが必要である。例えば、
代表的な8個の溝孔を有する回転弁では、導入溝15内の
4個の導入ポート95と、シリンダ溝80、81内のそれぞれ
4個のシリンダポート96とを有する。6個の溝孔を有す
る回転弁では導入溝孔15内の3個の導入ポート95と、各
シリンダ溝内の3個のシリンダポート96とを有する。作
動に当たり、各導入プローブ375と、各シリンダプロー
ブ370とを同時に作動させて内方に動かし、それぞれ導
入ポートと、シリンダポートとをシールする。導入ポー
ト95とシリンダポート96とを有効にシールするため、弾
性材料から成る先端部を導入プローブ375と、シリンダ
プローブ370とにそれぞれ設けるのが好適である。図15
に示すようなシール位置に一旦プローブが位置すると、
弁の空気によるバランス操作を行うことができる。図13
に示す実施例と同様に、導入プローブ375内に設けられ
た導入孔379を通じて、空気収容部165から導入ポート95
に空気を供給する。ほぼ同一の圧力で全ての導入プロー
ブ375に空気を供給しなければならないから、環状空気
分散マニホルド366を通じて、全ての導入プローブ375に
空気を送給する。可撓管367によって、流体の送給が可
能なように各導入プローブ375を環状空気分散マニホル
ド366に連結する。
一旦、弁をバランスさせると、導入プローブ375、及
びシリンダプローブ370を後退させ、導入ポート95、及
びシリンダポート96をシールせず、弁をバランスハウジ
ング322から除去することができる。
バランスハウジングの上述の実施例の任意の1つを利
用することができるが、バランスハウジング22を示す図
3、及び図4の実施例を参照して空気バランス操作の方
法を更に説明する。
装填ステーションAに未バランス弁を一旦装填し終わ
ると、回転テーブル19の環状部材21を回転して割出し、
バランスハウジング22をチェックステーションBに動か
す。このステーションで、検知手段(図示せず)によっ
て、バランスハウジング22の孔23内で正しくシールする
ため、未バランス弁をチェックし、ステーションCでの
次の操作のためアーム28と上部コレット24とが正しい位
置になるようアーム28と上部コレット24とを軸線Yの周
りに特定の方向に向ける。次に環状部材21を回転して割
出し、バランスハウジング22をステーションCに動か
す。
ステーションCにおいて行う操作はスリーブ4に対し
相対的に入力軸2の液圧中空位置を決定することであ
る。ステーションCで最初に生ずる作用は直線アクチュ
エータ30がアーム28に掛合することである。バランスハ
ウジング22に連結され、濾過された供給空気を所定の一
定圧力に調整する。この供給空気は空気導入ポート29内
に入る前に一定基準オリフィスに通る。このオリフィス
は図3に示さないが、図13の実施例に詳細に示したオリ
フィスに類似する。
図3に示すように、軸線Xの周りに回動し得る2個の
枢着支持体31によってベース部材20上に直線アクチュエ
ータ30を支持する。直線アクチュエータ30を非掛合位置
(図示せず)から軸線Xの周りに回転し、空気掛合アク
チュエータ32の延長によりアーム28との掛合位置に押圧
できるようにする。図6に示すように、掛合位置にある
アーム28の自由端はブロック35のV字状間隙33内に移動
可能に拘束される。ブロック35は直線アクチュエータ30
の回転自在のねじ部材36に移動可能に取り付けられてい
る。サーボモータ34によってねじ部材36を回転すること
によってブロック35は直線運動をする。アーム28がブロ
ック35との掛合位置にあれば、ブロック35の直線運動に
よってアーム28と、上部コレット24とを軸線Yの周りに
回転させる。
直線アクチュエータ30がアーム28との掛合位置に一旦
位置する場合、次の工程はスリーブ4に対して相対的な
入力軸2の中立位置を決定することである。ねじ部材36
に沿うブロック35の直線運動によって、アーム28が回転
し、従って上部コレット支持体50内にある上部コレット
24が回転するから、スリーブ4に対する入力軸2の角移
動が起こる。入力軸2は上部コレット24にクランプされ
た関係で回転し、一方、下部コレット25によって保持さ
れているピニオン5に剛固に連結されているため、スリ
ーブ4は静止保持される。
直線アクチュエータ30を制御手段(図示せず)に連結
する。この制御手段はスリーブ4に対する入力軸2の角
移動を測定するエンコーダを有する。この制御装置も空
気供給装置内の圧力トランスジューサに接続される。こ
の空気供給装置は図3に示さないが、図13に示す実施例
に詳細に説明したものに類似する。この制御手段によっ
て導入口29における空気圧を測定することができる。直
線アクチュエータ30によってアーム28が回転する結果と
してスリーブ4に対する入力軸2の角移動によって、測
定される空気圧が変化する。測定される空気圧が所定の
チェック圧力に対応するまで、入力軸2を一方向に移動
させることによって中立位置を決定し、入力軸2の角移
動の大きさを記録する。次に測定される空気圧が所定の
チェック圧力に再び等しくなるまで、入力軸2を反対方
向に回転し、反対方向への入力軸2の角移動の大きさを
同様に記録する。次に、これ等2個の角移動の平均位
置、即ち中間点を計算し、入力軸2をこの中間点に回転
する。この中間点が中立位置である。バランスハウジン
グ22を接合ステーションDに割出す前に、入力軸2を中
立位置に維持するため、次に、上部コレット支持体50の
ディスク部52上の空気ブレーキキャリパ53のクランプ作
用によって上部コレット24を回転可能に保持する。
カム16を有する上述のカム機構も振動機構として作用
する。バランスハウジング22がステーションDに割出さ
れる前に、中立位置の決定に続いてこの振動機構を作動
させる。カム16によって軸線Yに沿う純粋な軸線方向往
復運動を下部コレット25に与え、従って入力軸2を除く
全ての弁構成部材にこの往復運動を与える。この往復軸
線運動はトーションバー8の固着端と入力軸2との間に
存在する残留摩擦トルクにほぼ打ち勝つ。従って、トー
ションバー8を入力軸2に固着する前には、確実に、ト
ーションバー8が偏向していない状態にある。
図3に示すように、ボンド適用機械37を接合ステーシ
ョンDに位置させる。このステーションは偏向していな
い状態のトーションバー8の固着端を入力軸2に接合す
る作用をする。スリーブ4に対する中立位置に入力軸2
を保持しながら、接着ボンドを加えることによってこの
固着を行う。ボンド適用機械37は垂直に摺動できる移動
台39を支持する直立支持部材38を具える。分配ノズル40
と、低周波誘導加熱コイル41とを同軸に移動台39に取り
付ける。ノズル40は移動台39に対し垂直に摺動可能であ
り、加熱コイル41はノズル40の下方に移動台に固着され
ている。供給管42によって接着剤供給源(図示せず)か
らノズル40に接着剤を送給する。
バランスハウジング22を接合ステーションDにもたら
した時、入力軸2とトーションバー8とはノズル40と加
熱コイル41とに対し同軸に配列される(図7参照)。接
着剤を加えるため、移動台39を下降させ、加熱コイル41
が入力軸2の自由端を包囲すると共に、ノズル40を入力
軸2の自由端にシールするよう衝合させ、ノズル40の開
口が入力軸2とトーションバー8の自由端との円筒相互
面を包囲しているようにする(図8参照)。次に接着剤
を注入し、この接着剤が接合区域13において入力軸2と
トーションバー8との間の円筒相互面の間、及び周りに
内方に広がるようにする。次に、ノズル40を上方に後退
させ、加熱コイル41を短時間作動させ、加熱コイルによ
り入力軸2の上端と、トーションバー8の固着端と、こ
の付近の接着剤とを加熱する。この加熱は接着ボンドの
キュアを助ける。次にコイル41を上方に後退させる。こ
こでバランスハウジング22をキュアステーションEに割
り出すことができる。
キュアステーションEではバランスハウジングを作動
させることはなく、このステーションの単一の目的は、
種々の構成部材にまだ残っている熱によって接着ボンド
が更にキュアするのを助けることである。次に、取外し
ステーションFにバランスハウジング22を割出し、この
ステーションFで上部コレット24はバランスされた弁を
釈放し、下部コレット25は上昇してバランスされた弁を
釈放する。次にロボットアーム、又は自動化機構(図示
せず)によってこの弁をバランス機械から除去する。
一旦、弁がバランス機械から除去されると、このバラ
ンスされた弁を放置して接着ボンドを更にキュアさせて
もよい。
接着ボンドの接合が十分な強度に達した時、このバラ
ンスされた弁を別個のワークステーションに送り、この
ステーションで、入力軸2と、トーションバー8の固着
端とにほぼ直径的に配置された孔を機械加工する。その
位置は互いに接合された位置、又はその付近が好適であ
る。次に、図9に示すように、ピン55をこの孔に圧入す
る。ピン55はロールピンであり、従来のピン9の場合に
必要であったのと同程度の締代の嵌着は必要でない。原
理的にピン55は安全装置であり、弁の使用中、接合が効
果がなくなった稀な状態でのみ機能する。
他の実施例(図示せず)では、本発明方法を実施する
工程、及び本発明方法を実施する装置に変更を加え、従
ってバランス機械が異なる態様を有する。
例えば、図示しない実施例では、入力軸2とトーショ
ンバー8の固着端との間の接着ボンドをはんだ付け、ろ
う付け、又は溶接(「電子ビーム」溶接によって達成さ
れるような溶接)に置き代えてもよい。
入力軸2とトーションバー8の固着端との間の接着ボ
ンドをプラスチックのような機械的キー止め剤に置き代
えた図12を参照して説明した実施例においては、バラン
ス機械の以前に説明した実施例の接合ステーションDを
プラスチック射出成型ステーションに置き代える。一実
施例では、このような成型ステーションには、入力軸2
の自由端に嵌着するようにした図16に示すような射出ノ
ズル97を組み込むことができる。ノズル97の孔98を通し
て、入力軸2とトーションバー8の固着端との間の空所
にプラスチックを送給する。線図的に示す代表的なねじ
フィーダ99によってノズル97にプラスチックを供給す
る。
他の実施例(図示せず)では、上述のバランス機械の
作業ステーションの数を変え、実施する操作の数を変え
る。例えば、一変形では、上述の実施例の装填ステーシ
ョンAと、取外しステーションFとを単一のステーショ
ンに組み合わせ、バランスさせた弁を除去した後、バラ
ンスハウジング22内への未バランス弁の装填を行う。
図示しない他の実施例では、種々の操作のサイクルタ
イムと、装着ボンドのキュア時間とによって、キュアス
テーションEが必要でなくなる。
代案として、プロセスのためのサイクルタイムが一層
長くなっても、ステーションA〜F(又はその小部分)
を単一の多機能ステーションとして結合することもでき
る。
図示しない他の実施例では、図13、図14、及び図15に
示すものと形状、及び形態が異なるシール構成をバラン
スハウジング、及びシール構成に組み込むことができ
る。また、バランスハウジング、及びシール構成の図示
しない単一実施例において、ブラダ、環状シール、及び
プローブのような種々のシール素子を結合して利用する
ことができることは明らかである。
本明細書に開示されたバランス方法は、中立位置の決
定中、入力軸を回転可能に保持固定し、被動部材(従っ
てスリーブも)回転させる「反対」バランス機械形式に
同様に適用することができることは当業者には明らかで
ある。このようなバランス機械では、バランスハウジン
グ、及び関連する一時シール手段を回転するよう浮動さ
せ、被動部材を回転させる際、スリーブの外面上のシー
ル作用が途切れることがないようにする。また、バラン
ス機械のこの形態では、スリーブの外面のシール作用が
再び途切れないようにするため、バランスハウジングが
付加的に軸線方向に浮動可能であれば、入力軸を除く全
ての弁構成部材に上述の軸線方向往復運動を加えること
ができる。代案として、入力軸と、採用したキー止め構
成とに軸線方向往復運動を加え、これ等構成部材に回転
運動が生じないようにする。
実施例に示した方向と反対方向に弁に空気を通すこと
によって、空気のようなガス状圧力媒体により弁のバラ
ンス作用を達成することは明らかである。この場合、ス
リーブのポートを通じて弁から空気を排出する。
図面を参照して説明した本発明の方法、及び装置は本
発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えるこ
とができることは当業者には明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダイアー ジェフ オーストラリア国 ニューサウスウェー ルズ 2170 カスーラ ホランド クレ シェント 1 (72)発明者 マードック ドナルド ジー アメリカ合衆国 インディアナ州 46239 インディアナポリス リヴァー バーチ レイン 7426 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/00

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力軸(2)に支承されたスリーブ(4)
    を具え、被動部材(5)を介してこのスリーブに連結さ
    れたトーションバー(8)をこのスリーブ(4)が有
    し、圧力媒体の作用を受けるパワーステアリング装置用
    液圧弁をバランスさせるため、 前記弁をバランスハウジング(122,222,322)内に挿入
    し、 前記スリーブ(4)に対して相対的な前記入力軸(2)
    の中立位置を決定し、 前記入力軸(2)とトーションバー(8)とを共に回転
    するよう連結することによって前記中立位置を固着し、
    液圧弁をバランスさせるに当たり、 前記中立位置を決定するために使用する圧力媒体がガス
    媒体であり、前記中立位置を決定している間、前記ガス
    媒体をシールする一時シール手段(160,260,360)を前
    記スリーブ(4)の外面に接触させることを特徴とする
    パワーステアリング装置用液圧弁のバランス方法。
  2. 【請求項2】前記スリーブ(4)内の少なくとも1個の
    導入ポートを通じて前記ガス媒体を流し、前記スリーブ
    内の少なくとも1個のシリンダポートに通る前記ガス媒
    体の流れを禁止するよう前記一時シール手段(160,260,
    360)を配置する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】少なくとも1個の導入ポートを設けた導入
    溝(15)の軸線方向両側の位置で前記スリーブに接触す
    る第1シール部分(170,270)と第2シール部分(171,2
    71)とで前記一時シール手段(160,260)を構成する請
    求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記導入溝(15)に軸線方向に隣接するシ
    リンダ溝(80,81)内に前記少なくとも1個のシリンダ
    ポートを位置させ、前記シール部分の一方を前記シリン
    ダ溝の両側に接触させ、これにより前記シリンダ溝をシ
    ールし、前記少なくとも1個のシリンダポートを通ずる
    ガス媒体の流れを禁止する請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記一時シール手段(160,260)の前記第
    1シール部分(170,270)と第2シール部分(171,271)
    との間に設置され、前記導入溝(15)に隣接して位置す
    るよう配置された環状中心部(188,288)を前記バラン
    スハウジングが具える請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記ガス媒体を前記導入溝に流体として送
    給し、従って前記中心部内の孔(169)を通じて前記導
    入溝(15)内にある前記少なくとも1個の導入ポート
    (129,229)に前記ガス媒体を送給する請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】前記導入溝内にある前記少なくとも1個の
    導入ポートを通じて前記バランスハウジングの前記環状
    中心部内の孔に前記ガス媒体を流体として送給する請求
    項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記第1シール部分、及び第2シール部分
    の少なくとも一方が内方に膨張し得る環状ブラダ(170,
    171)とし、弁のバランス操作中、前記ブラダを液圧、
    又は空気圧で加圧し、これによりこのブラダを内方に膨
    張させて前記スリーブの外面に接触させてシールするも
    のとした請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記第1シール部分、及び第2シール部分
    の少なくとも一方がシール環(270,271)を具え、この
    シール環の内側円周面が前記スリーブの外面に接触して
    シールするようこのシール環を弾性的に変形させる押圧
    手段(260)を配置した請求項3に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記押圧手段(260)が機械的手段、液
    圧手段、又は空気圧手段であるか、又はこれ等の組合せ
    であり、前記シール環(270,271)の外側円周面に半径
    方向内方に負荷を与えるよう前記押圧手段を配置した請
    求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記押圧手段(260)が機械的手段、液
    圧手段、又は空気圧手段であるか、又はこれ等の組合せ
    であり、前記環状シールを軸線方向に圧縮するよう前記
    押圧手段を配置し、前記バランスハウジングの孔部によ
    って前記シール環をその外周面で抑止してこのシール環
    (270,271)を軸線方向に圧縮し、これによりこのシー
    ル環の内側円周面の直径を減少させる請求項9に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】前記弁を通じて圧力媒体を流すよう前記
    バランスハウジング(122,222,322)に流通ポートを設
    け、前記入力軸(2)とトーションバー(8)とが相互
    に相対的に回転可能なようこれ等入力軸とトーションバ
    ーとを保持し得るように前記バランスハウジングを構成
    した請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】前記一時シール手段(160,260,360)が
    前記液圧弁の構成部材でない請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記弁の作動中は液圧流体のシールを行
    うよう弁に装着する円周シール(101)を、バランス操
    作中は前記弁に装着しないでバランス操作を行うように
    した請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記一時シール手段(160,260,360)を
    前記バランスハウジング(122,222,322)に組み込む請
    求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】前記スリーブ(4)に対する前記入力軸
    (2)の僅かな角回転移動によって前記ガス媒体に発生
    する圧力を測定することにより、又は前記被動部材に関
    して前記入力軸に加わる入力トルクによって前記ガス媒
    体に発生する圧力を測定することにより前記中立位置を
    決定する請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】バランス操作中、供給されるガス媒体を
    所定一定圧力に調整し、次に前記バランスハウジングへ
    の導入口にガス媒体が入る前にこのガス媒体を一定基準
    オリフィス(168)に通す請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記バランスハウジング(122,222,32
    2)への前記導入口におけるガス圧力媒体の圧力を測定
    し、前記中立位置を決定するためのチェック圧力に比較
    する請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】前記ガス媒体がフィルタを通した圧縮空
    気の供給源から供給される空気とした請求項1に記載の
    方法。
  20. 【請求項20】バランス操作を行っている間、前記スリ
    ーブ内のポートを通じてガス媒体を前記弁に収容し、又
    は前記弁から抜き出す請求項1に記載の方法。
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