JP2015066573A - 接合方法および接合装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ワークが低精度部品であり、高精度な基準面を有しない場合でも、接合時の位置ズレを抑制して、高品質で低コストの製品を得る。【解決手段】ワークＷとなるポンプ本体Ｐ１を、ワーク支持部２にフローティング支持されるワーク受け治具２１に載置し、ワーク押さえ部３へ向けて移動して、ポンプＰ１本体に設けたリング部材Ｒを、基準となるリング押さえ治具３１に押圧する。リング部材Ｒとともにポンプ本体Ｐ１を倣い動作させて、その姿勢でロックし、リング押さえ治具３１内に挿通した押さえピン３２で、ワークＷを構成するコネクタ部Ｃを押さえた後、リング押さえ治具３１を退避させることで、軸調整されたリング部材Ｒとコネクタ部Ｃを溶接固定することができる。【選択図】図１Ａ

Description

本発明は、ワーク本体に別体のワーク構成部品を組み付け、隅肉接合等により組付箇所を精度よく接合するための方法および装置に関する。

図１１は、従来の車両用高圧燃料ポンプ１００であり、鋳造により一体成形された本体ハウジング１０１内に燃料通路や取付穴等を設けて、吸入弁部１０２や吐出弁部１０３、ダンパ部１０４、プランジャ部１０５等の構成部品を組み付け、開口端縁部（図中（１）〜（３））を接合封止している。接合に際しては、高精度な切削加工面を有する本体ハウジング１０１を基準として、溶接等により接合することができる。例えば、図１２Ａに示すように、基準となる部品Ａをチャックして部品Ｂを同軸に配置し、レーザ溶接用のヘッド１０６を、部品Ａ、Ｂを重ねた溶接部に対向させて、回転しながら溶接する。この場合は、高精度切削品同士の接合であり、回転（チャック）基準の位置精度が高いため、レーザ溶接時のヘッドと溶接部の位置ズレ量は小さい。

従来品は、接合品質を確保するために、各部品に高い成形精度が要求され、製品コストが上昇する要因となっている。そこで、製品コストを抑制するために、噴射ポンプの本体を、安価な板金物を用いて製作することが検討されている。例えば、図１２Ｂに示すように、板金製のハウジング１０７に部品Ｃを組み付ける場合は、ハウジング１０７の取付穴と部品Ｃとの間にクリアランスが形成されることから、溶接用リング１０８を介在させて、その両端部をそれぞれ隅肉接合することが考えられる。

なお、複数の部品を精度よく接続する方法に関して、特許文献１には、ボディと凹凸嵌合する位置合せ部材を設け、ボディと位置合せ部材等との組立体を、ハウジングに固定することで、組立体を介して複数の部品を同軸に組み付ける方法が開示されている。この方法は、部品同士を接合せずに簡易に接続する方法であり、ハウジングが基準面を有する構造を対象としている。

特開２００２−２４３９８０号公報

ところが、板金製の部品は成形精度が低く、接合した時の精度保証が難しい。例えば、図１２Ｂに示す構成では、ハウジング１０７と溶接用リング１０８がいずれも低精度プレス品であり、また、溶接用リング１０８が別部品であるために、溶接時の位置決めも容易でない。このため、回転（チャック）基準に対する振れが大きくなって、溶接位置ズレが許容値を超えるおそれがある。隅肉接合では、この溶接位置の精度が重要であり、例えば、レーザ照射位置が内側にずれると、水溜りとなる窪みが生じて腐食原因となりやすく、外側にずれると接合幅が確保できなくなって、接合強度低下をまねく。

そこで、本願発明は、ワークが高精度な基準面を有さず、接合用のリング等を用いた低精度部品同士の接合となる場合でも、接合部の振れを小さくして位置ズレを許容範囲内とすることが可能であり、高品質かつ低コストの製品を得ることができる接合方法および接合装置を実現することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明の請求項１に記載の発明は、
ワーク本体に設けた接合筒部にワーク構成部品を組み付けて、該ワーク構成部品の外周面を上記接合筒部の内周面に接合するための方法であって、
ワーク受け治具を水平動および傾動可能にフローティング支持するワーク支持部の上方に、基準治具を有するワーク押さえ部を配置し、上記ワーク受け治具に、上記接合筒部が上記基準治具と対向するようにワークを載置する工程と、
上記ワーク支持部を、上記基準治具方向に相対移動させて、上記基準治具に上記接合筒部を押圧するとともに、上記ワーク本体を倣い動作させる工程と、
上記ワーク本体を倣い姿勢でロックする一方、上記基準治具内に上方から挿通した押さえ部材を上記ワーク構成部品に当接する位置でロックする工程と、
上記基準治具を上記接合筒部に当接しない位置へ退避させ、上記押さえ部材と上記ワーク受け治具の間にワークが保持された状態で、上記接合筒部と上記ワーク構成部品を接合する工程とを有する。

本発明の請求項２に記載の発明は、上記接合筒部が、上記ワーク本体と別体で設けられ、
上記ワーク本体を倣い姿勢でロックした後、上記押さえ部材の動作に先立って、上記接合筒部を上記ワーク本体に接合する工程を有する。

本発明の請求項３に記載の発明は、ワーク本体に設けた接合筒部にワーク構成部品を組み付けて、該ワーク構成部品の外周面を上記接合筒部の内周面に接合するための装置であって、
上記接合筒部を上面側としてワークが載置されるワーク受け治具を有し、該ワーク受け治具を水平動および傾動可能にフローティング支持し、かつ任意姿勢でロック可能な倣い機構を有するワーク支持部と、
該ワーク支持部の上方に、上記接合筒部と対向する基準治具を配置し、該基準治具内に上下動可能および任意位置でロック可能に挿通される押さえ部材を有するワーク押さえ部と、
上記ワーク支持部を、上記基準治具方向に相対移動させて、上記接合筒部を上記基準治具に押圧し、上記ワーク本体を倣い動作させるワーククランプ機構と、
上記基準治具を、上記接合筒部に当接可能なワーククランプ位置と退避位置との間で位置切替可能とする押さえ機構と、
上記押さえ部材と上記ワーク受け治具の間にワークが保持された状態で、上記基準治具を退避位置に切り替えて、上記接合筒部と上記ワーク構成部品を接合する接合手段を備える。

本発明の請求項４に記載の発明は、接合時に、上記ワーク支持部と上記ワーク押さえ部の間に保持されたワークを回転させる回転機構を備える。

本発明の請求項５に記載の発明は、上記押さえ部材を筒状とした上記基準治具の軸方向に駆動し、所定位置でロックするロック付駆動機構を備え、上記押さえ機構が上記基準治具を退避位置に切り替えるのに先立って、上記押さえ部材を駆動して上記ワーク構成部品に当接させ、その位置でロックする。

本発明の接合方法は、接合時の位置基準となる基準治具を設けて、被接合部位であるワークの接合筒部を当接させ、ワーク本体を倣い動作させることで、ワークを位置決めする。ワーク本体が載置されるワーク受け治具は、ワーク支持部にフローティング支持されて任意の方向に変位可能であり、接合筒部が基準治具との当接面に倣うように変位すると、これに伴い、ワーク本体が容易に倣い動作して、基準治具に対して位置調整される。そこで、この倣い姿勢を維持するようにロックし、さらに、押さえ部材でワーク構成部品を押さえ付けた後、接合筒部から基準治具を退避させる。これによりワーク姿勢を保持したまま、被接合部位を開放して、ワーク構成部品と接合することができる。具体的には、本発明の接合装置のように、ワーク支持部に倣い機構を設け、ワーククランプ機構を用いてワークを位置決めするとともに、押さえ機構を用いて基準治具を位置切り替え可能に構成することで、容易に精度よい接合が可能になる。

したがって、本発明によれば、ワーク本体が高精度な切削加工面を有する必要がなく、基準治具に対して位置決めすることで、高い接合位置精度を確保できるので、安価な板金製部品を用いて、高品質かつ低コストの製品を得ることができる。

本発明の第１実施形態における接合装置の主要部構造を示す斜視図である。 第１実施形態の接合装置の側面図である。 第１実施形態の接合装置の動作を説明するための斜視図である。 本発明の接合対象となる高圧燃料ポンプの全体断面図とその部分拡大図である。 高圧燃料ポンプの分解図および平面図である。 接合装置の主要部であるワーククランプ機構の拡大側面図である。 接合装置の主要部を構成するリング押さえ治具動作を説明するための部分拡大断面図である。 接合装置の主要部を構成する倣い機構の拡大側面図である。拡大側面図である。 接合装置の主要部を構成するロックシリンダ機構の拡大断面図とその部分拡大断面図である。 接合装置の主要部を構成するロックシリンダ機構の作動を説明するための部分拡大断面図である。 接合装置の主要部拡大断面図である。 第１実施形態の接合装置による接合工程を説明するための要部概略図である。 第１実施形態の接合装置による接合工程を説明するための要部概略図である。 接合装置のワーククランプ機構とリング押さえ機構の作動を説明するための概略図である。 接合装置の倣い機構による倣い条件の一例を説明するための模式的な図である。 接合装置のロックシリンダ機構の作動を説明するための模式的な図である。 従来の燃料ポンプ構造を示す概略断面図である。 従来の高精度部品間の接合方法を説明するための模式的な図である。 低精度部品間の接合時の課題を説明するための模式的な図である。

以下、図面を参照しながら、本発明の第１実施形態について説明する。図１Ａは、本発明の接合方法を実施する接合装置１の主要部構造であり、接合対象であるワークＷを挟んで、ワーク受け治具２１を有するワーク支持部２と、基準治具としてのリング押さえ治具３１および押さえ部材としての押さえピン３２（図１Ｂ参照）を有するワーク押さえ部３が、図の上下方向に対向して配設されている。その側方には、接合時にワークＷを回転させる回転機構１１が配設される。ワーク押さえ部３が取り付けられる天板Ｔは、基台Ｂ上に立設した脚部Ｂ１上端に固定され、天板Ｔと基台Ｂとの間に、ワーク支持部２が取り付けられる可動板Ｍが上下動可能に配置される。

本発明の接合方法が適用されるワークＷは、例えば、図２に示す自動車エンジン用の高圧燃料ポンプＰであり、ワーク本体に比較的安価な板金加工品を用いている。被接合部材となる別体のワーク構成部品は、ワーク本体に設けた接合筒部を介して、溶接等により接合固定される。図１Ｂは、接合手段としてレーザ溶接用の加工ヘッドＬを配置した例であり、公知の加工ヘッドＬは、図示しないロボット等に保持されて、ワークＷの所定部位にレーザ照射可能となっている。図１Ｃに示すように、回転機構１１は、可動板Ｍを貫通して上下方向に延びる回転軸１２を有し、その上端を天板Ｔ上に設置した回転モータ１３に連結して、回転自在に支持している。回転軸１２は、天板Ｔ上面に配設されるギア１４、１５を介して、ワーク押さえ部３を基準軸周りに回転させる一方、可動板Ｍ下面に配設されるギア１６、１７を介して、ワーク支持部２を同期回転させる。

図２Ａにおいて、本実施形態で対象とする高圧燃料ポンプＰは、ワーク本体であるポンプ本体Ｐ１を、複数部品の組立体で構成し、ポンプ本体Ｐ１に設けた取付穴Ｐ２、Ｐ３に、ワーク構成部品として、ポンプ本体Ｐ１と別体の軸状部品であるコネクタ部Ｃ、吐出弁部Ｖを装着している。コネクタ部Ｃは、吸入弁部の一部をなすもので、取付穴Ｐ２に収容される吸入弁Ｖ１と外部電源に接続されるコイル部Ｃ１とを接続する。ポンプ本体Ｐ１内には、加圧室Ｐ４が形成され、コネクタ部Ｃのシリンダ状ボディに収容されるニードル部材が吸入弁Ｖ１を開閉して、加圧室Ｐ４に吸入した燃料を、下方に位置するプランジャＰ５の往復動作により加圧する。加圧燃料は、吐出弁部Ｖから外部の高圧通路（図示せず）へ吐出される。加圧室Ｐ４の上方には、振動吸収用のダンパ部Ｐ６が構成される。

図２Ｂにおいて、ポンプ本体Ｐ１は、取付穴Ｐ２、Ｐ３が同軸上に形成されるポンプヘッドＨ１に、上方から上端閉鎖の容器状ハウジングＨを覆着し、下方から組み付けたフランジ部材Ｈ２と、溶接等により接合して一体の組立体とする。ハウジングＨは、板金加工によるプレス成形品であり、筒壁の対向位置に、ポンプヘッドＨ１の取付穴Ｐ２、Ｐ３と衝合する取付穴Ｈ３、Ｈ４が貫通形成される。組み立てたポンプ本体Ｐ１の取付穴Ｐ２には、吸入弁Ｖ１とコネクタ部Ｃの一部が収容され、接合筒部であるリング部材Ｒが、コネクタ部Ｃの外周に嵌挿される（図２Ａ）。リング部材Ｒは、Ｌ字断面形状のプレス成形品で、コネクタ部Ｃの外周に溶接される筒状部Ｒ１とハウジングＨの取付穴Ｈ３の周縁部に溶接される環状フランジ部Ｒ２を有し、レーザ照射により両端縁部が隅肉接合される。端縁部の取付穴Ｐ３にも同様のリング部材Ｒが配置され、筒状部Ｒ１の端縁部が吐出弁部Ｖの外周面と、環状フランジ部Ｒ２の周縁部がハウジングＨの取付穴Ｈ４周縁部と、同様に２箇所で溶接される。

このように、本実施形態では、溶接用のリング部材Ｒを別体で設けて、その両端縁の２箇所をレーザ溶接する構成について説明するが、本発明は、この構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、ワーク本体が、ハウジングＨと一体の接合筒部を有する形状や、予めハウジングＨに別工程で接合筒部を設けた形状とすることも可能であり、その場合は、接合装置１による接合は、接合筒部とワーク構成部品の１箇所となる。

このような組み合わせ構造では、ハウジングＨやリング部材Ｒと、コネクタ部Ｃ、吐出弁部Ｖの間に、ある程度のクリアランスが必要となり角度ズレが発生しやすい。また、従来は、接合部近傍の高精度加工部品を基準としてチャックし、回転させながら溶接して接合するが、本実施形態のポンプ本体Ｐ１は、リング部材ＲとハウジングＨが、いずれも低精度プレス品であり、回転による振れ（位置ズレ）が大きくなりやすい。そこで、本発明は、位置基準となる基準治具を設けて、接合用に介設されるリング部材Ｒを当接させ、ハウジングＨを倣わせてポンプ本体Ｐ１の位置調整を行う。さらに、この倣い姿勢を保持したまま溶接を実施可能とする機構を設けて、回転基準となる高精度加工部品がない場合でも、溶接位置精度が保証されるようにする。

図１Ａにおいて、接合装置１は、ワーク支持部２をワーク押さえ部３へ向けて移動させてワークＷをクランプするワーククランプ機構４を有する。ワーククランプ機構４は、略矩形の可動板Ｍの四隅に設けたガイド筒Ｍ１を、基台Ｂと天板Ｔを連結する４本の支持脚Ｂ１に挿通し、基台Ｂ上に設置されるクランプ用アクチュエータ４１によって、可動板Ｍと一体的にワーク支持部２を上下動自在としている。ワーク支持部２は、クランプ時にリング押さえ治具３１に対してワークＷを倣い動作させる倣い機構２２を有する。

ワーク押さえ部３は、先端に基準面を有するリング押さえ治具３１を、クランプ位置と退避位置との間で位置切替するリング押さえ機構５（押さえ機構）と、接合時に押さえピン３２をワーク構成部品に当接させて保持するロックシリンダ機構（ロック付駆動機構）６を有する。リング押さえ機構５は、リング押さえ治具３１を、天板Ｔの下方に設置した一対の支持アーム部５１の先端間に回動可能に支持している。一対の支持アーム部５１の基端側には押さえ用アクチュエータ５２が取り付けられ、筒状としたリング押さえ治具３１を上下方向（軸方向）に動作可能としている。ここでは、下端位置をワークＷのクランプが可能なクランプ位置、上端位置をワークＷが開放される退避位置として、位置切替を可能としているが、ワークＷに応じて停止位置は適宜設定することができる。アクチュエータ４１、５２は、例えば公知のエアシリンダで構成される。また、例えばサーボモータその他の方式としてももちろんよい。

図３Ａは、リング押さえ治具３１とワーク支持部２の間にワークＷをクランプした状態を示しており、ワークＷ（ポンプＰ）は、倣い機構２２上に配置されるワーク受け治具２１に、被接合部材となるコネクタ部Ｃが上面側に位置するように載置される。ワーク受け治具２１は、一対の脚部上面を、ポンプ本体Ｐ１の下面形状に沿って傾斜する受け面とし（図１Ｂ）、ポンプ本体Ｐ１の下面側に位置する吐出弁部Ｖは、ワーク受け治具２１の一対の脚部間に保持される。リング押さえ治具３１は、図３Ｂの左図に示す下側位置（クランプ位置）にあり、ワーク支持部２とともにポンプＰを上昇させると、コネクタ部Ｃ外周のリング部材Ｒが、押さえ治具３１に押し付けられる。これに伴い、ポンプ本体Ｐ１が倣い機構２２により倣い動作する。このクランプ位置でリング部材Ｒがポンプ本体Ｐ１に溶接され、リング押さえ治具３１を、図３Ｂの右図に示す上側位置（退避位置）に切り替えた後、コネクタ部Ｃと溶接される。

図４に示す倣い機構２２は、エア浮上式の可動部が水平動および傾動可能にフローティング支持され、クランプ時にポンプ本体Ｐ１の姿勢を調整して、エア吸引式のロック機構によって任意の姿勢でロックする。ここでは、垂直方向の軸に対する傾き角度の調整を行うθフローティングユニット２３を、水平方向の位置調整を行うＸＹフローティングユニット２４上に積層した構成として、θ方向（角度倣い）およびＸＹ方向（中心倣い）の倣い動作を可能にする。θフローティングユニット２３は、ワーク受け治具２１が載置されるベース２５の上面を平坦面とし、下面を球面状の凸面２５ａとして、球面状の凹面２６ａを有する支持台２６上に揺動自在に配置される。凸面２５ａとの凹面２６ａの間には、図示しない球面状のエア噴出部が介設され、外部から導入されるエアがエア噴出孔から噴出して、ベース２５を浮上させる。ＸＹフローティングユニット２４は、θフローティングユニット２３が載置される可動板２７を支持台２８上に水平動自在に配置し、下面側に配置されるエア噴出部２８ａに外部から導入されるエアが可動板２７を浮上させる。エア噴出部は、所定厚の多孔質体からなり、内外を連通する多数の小孔がエア噴出孔を形成する。

このように倣い機構２２をエア浮上式とすると、可動部とポンプ本体Ｐ１が非接触となり摩擦力がほぼゼロとすることができるので好ましい。ロック時には、エアの導入を停止して外部へ排出し、内部を負圧とすることで、ベース２５および可動板２７を吸引し、その位置で固定することができる。駆動用のエアは、図１Ａにおいて可動板Ｍの下方に取り付けられるロータリジョイント２９を介して導入される。固定される倣い機構２２は、摩擦力を十分小さくすることができれば、エア浮上式に限らず、その他の方式としてももちろんよい。例えば、摩擦係数の小さい金属材料からなる多数の鋼球を用いて可動部を滑り変位させる鋼球式の構成とすることができる。

図５Ａ、５Ｂにおいて、ロックシリンダ機構６は、シリンダ状ハウジング６１内に、押さえピン３２と一体のシリンダロッド６２ａを軸方向に駆動するエアシリンダ機構６２と、ロッド６２ａを所定位置でロックするロック機構６３を備える。ロック機構６３は、ロッド６２ａ周りに配置した押圧部材６４が、スプリング６４ａのばね力によりロッド６２ａをクランプするロック状態（図５Ａ）と、開放状態（図５Ｂ）との位置切り替えを行う。ロッド６２ａの外周には、テーパリング６５と復帰用スプリング６５ａが配置され、エア印加によりテーパリング６５を軸方向に移動させて、ロックを解除する開放状態とすることができる。

図６に示すように、押さえピン３２は、リング押さえ治具３１の筒内に上方から挿通されて、リング押さえ治具３１の下端部内に位置するコネクタ部Ｃと対向している。この状態で、エアシリンダ機構６２により押さえピン３２を下降させ、コネクタ部Ｃの上端に当接した位置で、ロック機構６３を動作させると、ワークＷの姿勢を保持したまま押さえピン３２とワーク支持部２の間に支持することができる。駆動用のエアは、図１Ａにおいて天板Ｔの上方に取り付けられるロータリジョイント６６を介して導入される。

次に、図７、８により、上記構成の接合装置１を用いた接合方法を、工程順に説明する。図７左図に示す工程では、まず、図２Ｂのように組み立てたポンプ本体Ｐ１の取付穴Ｐ２側を上面として、ワーク支持部２のワーク受け治具２１に載置し、取付穴Ｐ２に組み付けたコネクタ部Ｃの上端部を、ワーク押さえ部３のリング押さえ治具３１内に挿通位置させる。この時、コネクタ部Ｃに外挿されたリング部材Ｒの上端面が、リング押さえ治具３１の基準面となる下端面に対向し、コネクタ部Ｃの上端面に、ロックシリンダ機構６の押さえピン３２が対向して位置する（セット工程）。なお、図７、８は、接合装置１の各部構成を一部簡略化して示している。また、ポンプ本体Ｐ１の取付穴Ｐ３側に吐出弁部Ｖを溶接するためのリング部材は、図示を省略する。

続く工程では、この状態からワーククランプ機構４を用いて、ワーク支持部２をワーク押さえ部３へ向けて上昇させる。そして、図７右図に示すように、リング部材Ｒをリング押さえ治具３１に当接させ、倣い動作させる（倣い工程）。倣い装置２２は、θフローティングユニット２３とＸＹフローティングユニット２４にエアを導入して、ベース２５と可動板２７を自由に変位可能としてある。この時、リング押さえ治具３１は、必ずしもリング部材Ｒの全周に当接する必要はないが、図９左図に示すように、リング押さえ治具３１の先端内周縁部を逆Ｌ字状に切り欠いて、基準面となる環状の水平面３１ａとこれに垂直な筒壁面３１ｂが、リング部材Ｒの上端面および外周端面に当接する構成としてもよく、リング部材Ｒの上端縁部を外方からチャックして、容易に位置決め保持される。すなわち、リング部材Ｒがリング押さえ治具３１を基準として倣い動作し、リング部材Ｒの軸がリング押さえ治具３１と一致するように、位置調整される。同時に、リング部材ＲがハウジングＨに押し付けられ、環状フランジ部Ｒ２とハウジングＨの取付穴Ｈ３周縁部が密接するとともに、ポンプ本体Ｐ１全体がリング部材Ｒに対して倣い動作する。

ここで、図７左図中に示すように、ワーククランプ機構４による持ち上げ力をＦａ、ワークＷおよびワーク支持部２を含む可動部分全体の重量をＦｂとすると、Ｆａ＞Ｆｂであれば、ワークＷを持ち上げてリング部材Ｒをリング押さえ治具３１に押し当てることができる。この時、持ち上げ力の反力がリング押さえ治具３１にかかる。リング押さえ治具３１によるクランプ力Ｆは、
Ｆ＝Ｆａ−Ｆｂ
（Ｆａ＞Ｆｂ）
であり、クランプ力Ｆを適切に設定することで、ポンプ本体Ｐ１の倣い動作を容易にすることができる。具体的には、ワーククランプ機構４により持ち上げられる全重量Ｆｂが、例えば約１３０Ｎの時、Ｆａを約１３０〜３００Ｎの範囲、例えば１５５Ｎ程度（Ｆ＝２５Ｎ程度）とすると、リング部材Ｒの変形等を生じることがなく、速やかにポンプ本体Ｐ１を倣わせて位置決めできる。

図１０Ａは、基準治具（リング押さえ治具３１）の基準面に倣って、リング部材Ｒとポンプ本体Ｐ１を倣い動作させるための条件を示したもので、クランプ力により発生する倣わせトルクをＴａ、倣い機構２２の摩擦力による抵抗トルクをＴｂ、ポンプ本体Ｐ１に生じる加速力による挙動トルクをＴｃとした時、
Ｔａ＞Ｔｂ＋Ｔｃ
とする必要がある。一例として、図中に示すように、リング押さえ治具３１の基準面と、ワーク重心との距離（６０ｍｍ）、倣い機構２２の摩擦面との距離（１２０ｍｍ）、クランプ位置と中心軸との距離（８ｍｍ）、ワーク質量（ｍ＝２ｋｇ）を設定した時、
Ｔａ＝Ｆ・８
Ｔｂ＝μ・（Ｆ＋ｍｇ）・１２０
Ｔｃ＝ｍａ・６０
（ただし、μ：摩擦係数、ｇ：重力加速度、ａ：加速度）
であり、
Ｆ＞（２４００μ＋１２０）／（８−１２０μ）
（ただし、ａ＝０．１Ｇと仮定する）
となる。エア浮上式の倣い機構２２は、摩擦係数μがほぼゼロであるから、
Ｆ＞１５
であり、それ以上のクランプ力となるように設定すれば、ポンプ本体Ｐ１の倣い動作が十分可能になると考えてよい。

その後、図７右図に示す状態で、さらに、倣い装置２２に負圧を印加してベース２５と可動板２７をロックし（ロック工程）、続いて、ポンプ本体Ｐ１を倣い姿勢に保持した状態で、リング部材ＲとハウジングＨを接合する（接合工程）。具体的には、図１Ｂに示した溶接用の加工ヘッドＬを用いて、レーザ照射位置を、リング部材Ｒの環状フランジ部Ｒ２とハウジングＨの接合部位に設定し、回転機構１１を作動させる。そして、リング押さえ治具３１と倣い機構２２の間に保持された状態で、リング部材Ｒをポンプ本体Ｐ１とともに一体回転させて、環状フランジ部Ｒ２の全周囲を溶接する。このように、リング部材Ｒは、予めリング押さえ治具３１を基準として軸調整されているので、リング部材Ｒが比較的低精度のプレス部品であっても、回転軸のズレを小さくすることができ、溶接不良等を生じるおそれが少ない。

なお、この接合工程は、本実施形態のように、リング部材Ｒとポンプ本体Ｐ１が別体であるワークＷについて実施され、ワーク本体と一体の接合筒部を有するワークＷ、または予め別の手順で接合筒部が設けられるワークＷでは、省略される。

さらに、図８左図に示す工程で、ポンプ本体Ｐ１のロック状態を維持したまま、ロックシリンダ機構６のエアシリンダ機構６２を駆動し、リング押さえ治具３１内に押さえピン３２を下降させてコネクタ部Ｃに当接させる（保持切替工程）。この時、押さえピン３２の押圧力Ｆｄは、コネクタ部Ｃを上から押さえ込んで、その位置を保持可能であればよく、ワーククランプ機構４による持ち上げ力Ｆａに対して比較的弱い力で、リング押さえ治具３１のクランプ力Ｆより小さくなるように設定される。
Ｆｄ＜Ｆａ−Ｆｂ
（Ｆ＝Ｆａ−Ｆｂ）
次いで、ロックシリンダ機構６のロック機構６３を用いて、ロッド６２ａをロックし、押さえピン３２の位置を固定する。この時のロック機構６３のロック力は、例えば２１５Ｎである。

そして、図８右図に示す工程で、リング押さえ機構５を駆動して、リング押さえ治具３１を上昇させ、退避位置へ移動させる（退避工程）。この時、リング押さえ治具３１によるリング部材Ｒのクランプ力Ｆが解除され、持ち上げ力Ｆａの反力Ｆｅが、押さえピン３２に移される。
Ｆａ−Ｆｂ＞Ｆｅ
（Ｆｅ＜２１５Ｎ（ロック力））

その後、ポンプ本体Ｐ１を倣い姿勢に保持したまま、リング部材Ｒとコネクタ部Ｃを接合する（接合工程）。具体的には、図１Ｂに示した溶接用の加工ヘッドＬを用いて、レーザ照射位置を、リング部材Ｒの筒状部Ｒ１とコネクタ部Ｃの接合部位に設定し、回転機構１１を作動させ、押さえピン３２と倣い機構２２の間に保持された状態で、リング部材Ｒをポンプ本体Ｐ１とともに一体回転させて、筒状部Ｒ１の全周囲を溶接する。この工程において、リング部材Ｒは倣い姿勢に保持されたハウジングＨに固定されており、リング押さえ治具３１を基準として軸調整されているので、回転軸のズレによる溶接不良等を生じることなく、良好に接合される。

ここで、図１０Ｂに示すように、ロックシリンダ機構６は、ワーク構成部品（コネクタ部材Ｃ）に当接する押さえピン３２の先端部を曲面状として、コネクタ部材Ｃと曲面接触となるようにするとよい。コネクタ部材Ｃは、ポンプ本体Ｐ１の取付穴Ｐ２に対してコネクタ部材Ｃと傾きを生じやすく、保持位置がばらつくやすい。このため当接位置が点接触となって、基準治具の退避時にコネクタ部材Ｃを傷付ける懸念があり、曲面接触とすることで傷を防止し、品質を保持する効果が得られる。

上記構成の接合装置１によれば、溶接部となるリング部材Ｒ自体を基準治具であるリング押さえ治具３１に倣わせて、回転軸ズレを修正し、さらに倣い機構２２によりポンプ本体Ｐ１を倣い動作させて、その位置を容易に保持することができる。また、リング部材Ｒは、押さえピン３２とロックシリンダ機構６による保持に切り替えることで、リング押さえ治具３１による支持を解除できるので、容易に接合位置精度を確保して、コネクタ部材Ｃとの接合が可能である。

上記実施形態では、ワーク構成部品であるコネクタ部Ｃとの接合について説明したが、図２に示した吐出弁部Ｖを、ポンプ本体Ｐ１の取付穴Ｐ３に装着し、ハウジングＨとの接合を行なう場合も、同様にして実施することができる。また、接合装置１の各機構は、上述した構成に限らず、適宜変更することができる。例えば、ワーク支持部の倣い機構２２は、多方向にフローティング可能な構造であればよく、ロック機構もエアロック式に限らず、電磁ロック式その他の手法で制動力を得ることができればよい。また、ワーククランプ機構４として、ワーク支持部２を可動板Ｍとともに上昇させる構成としたが、逆に、ワーク押さえ部３側を下降させる構成とすることもできる。ワーク押さえ部３のリング押さえ治具３１や押さえピン３２の形状や、押さえ位置も所望の動作が可能であれば、特に制限されない。

本発明の接合方法および接合装置は、車両用の燃料ポンプＰ、その他の各種ポンプに限ることなく、ワーク本体の取付穴に接合用のリング部材を介して、別体の軸状部品であるワーク構成部品を取り付ける構造の他の製品にも好適である。また、ワーク本体と一体の接合筒部を有する構造であってもよく、例えば、筒状ハウジングに挿通したセンサ素子を、ハウジングと一体的に設けた筒状部の端縁部と接合するセンサ装置等に適用することもできる。そして、接合部自体を基準に合わせて位置調整し、接合位置の振れを小さくする効果が得られるので、ワーク接合部に近接して高精度な基準面を設ける必要がなく、製品設計の自由度が向上する。

１ 接合装置
１１ 回転機構
２ ワーク支持部
２１ ワーク受け治具
３ ワーク押さえ部
３１ リング押さえ治具（基準治具）
３２ 押さえピン（押さえ部材）
４ ワーククランプ機構
５ ワーク押さえ機構（押さえ機構）
６ ロックシリンダ機構（ロック付駆動機構）
Ｃ コネクタ部（ワーク構成部品）
Ｌ 加工ヘッド（接合手段）
Ｐ 燃料ポンプ
Ｐ１ ポンプ本体（ワーク本体）
Ｒ リング部材（接合筒部）
Ｗ ワーク

Claims (5)

1. ワーク本体（Ｐ１）に設けた接合筒部（Ｒ）にワーク構成部品（Ｃ）を組み付けて、該ワーク構成部品の外周面を上記接合筒部の内周面に接合するための方法であって、
   ワーク受け治具（２１）を水平動および傾動可能にフローティング支持するワーク支持部（２）の上方に、基準治具（３１）を有するワーク押さえ部（３）を配置し、上記ワーク受け治具に、上記接合筒部が上記基準治具と対向するようにワーク（Ｗ）を載置する工程と、
   上記ワーク支持部を、上記基準治具方向に相対移動させて、上記基準治具に上記接合筒部を押圧するとともに、上記ワーク本体を倣い動作させる工程と、
   上記ワーク本体を倣い姿勢でロックする一方、上記基準治具内に上方から挿通した押さえ部材（３２）を上記ワーク構成部品に当接する位置でロックする工程と、
   上記基準治具を上記接合筒部に当接しない位置へ退避させ、上記押さえ部材と上記ワーク受け治具の間にワークが保持された状態で、上記接合筒部と上記ワーク構成部品を接合する工程とを有することを特徴とする接合方法。
2. 上記接合筒部が、上記ワーク本体と別体で設けられ、
   上記ワーク本体を倣い姿勢でロックした後、上記押さえ部材の動作に先立って、上記接合筒部を上記ワーク本体に接合する工程を有する請求項１記載の接合方法。
3. ワーク本体（Ｐ１）に設けた接合筒部（Ｒ）にワーク構成部品（Ｃ）を組み付けて、該ワーク構成部品の外周面を上記接合筒部の内周面に接合するための装置であって、
   上記接合筒部を上面側としてワーク（Ｗ）が載置されるワーク受け治具（２１）を有し、該ワーク受け治具を水平動および傾動可能にフローティング支持し、かつ任意姿勢でロック可能な倣い機構を有するワーク支持部（２）と、
   該ワーク支持部の上方に、上記接合筒部と対向する基準治具（３１）を配置し、該基準治具内に上下動可能および任意位置でロック可能に挿通される押さえ部材（３２）を有するワーク押さえ部（３）と、
   上記ワーク支持部を、上記基準治具方向に相対移動させて、上記接合筒部を上記基準治具に押圧し、上記ワーク本体を倣い動作させるワーククランプ機構（４）と、
   上記基準治具を、上記接合筒部に当接可能なワーククランプ位置と退避位置との間で位置切替可能とする押さえ機構（５）と、
   上記押さえ部材と上記ワーク受け治具の間にワークが保持された状態で、上記基準治具を退避位置に切り替えて、上記接合筒部と上記ワーク構成部品を接合する接合手段（Ｌ）と、を備えることを特徴とする接合装置。
4. 接合時に、上記ワーク支持部と上記ワーク押さえ部の間に保持されたワークを回転させる回転機構（１１）を備える請求項３記載の接合装置。
5. 上記押さえ部材を筒状とした上記基準治具の軸方向に駆動し、所定位置でロックするロック付駆動機構（６）を備え、上記押さえ機構が上記基準治具を退避位置に切り替えるのに先立って、上記押さえ部材を駆動して上記ワーク構成部品に当接させ、その位置でロックする請求項３または４記載の接合装置。
   

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