JP3210250B2 - ポリブチレンテレフタレート及びその製造方法 - Google Patents
ポリブチレンテレフタレート及びその製造方法Info
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Description
基濃度が低いポリブチレンテレフタレート(以下、PB
Tと略す)に関する。
りわけPBTは耐薬品性、機械的性質に優れ、工業用樹
脂として広く用いられている。
ル交換法によって製造される。直接重合法は、テレフタ
ル酸と1,4―ブタンジオールとの直接エステル化反応
によってPBT先駆体を形成し、次いでこのPBT先駆
体を減圧下で重縮合させてPBTを製造する方法であ
る。他方、エステル交換法は、テレフタル酸の低級アル
キルエステルと1,4―ブタンジオールとをエステル交
換反応させてPBT先駆体を形成し、次いでこのPBT
先駆体を減圧下で重縮合させてPBTを製造する方法で
ある。
でも、耐加水分解性に問題があり、例えば高温多湿雰囲
気下で使用する場合に耐久性が問題とされ、用途が限定
されることが多く、耐湿熱性の優れたPBT樹脂が要求
されている。この耐湿熱性を向上せしめるには、カルボ
キシル末端基濃度を低くすること(低カルボキシル化)
が有効である。またカルボキシル末端基濃度が低いと重
縮合反応におけるテトラヒドロフランの副生が抑えら
れ、1,4―ブタンジオールの損失及び副生物の回収の
点からも有利である。
る有効手段の一つとして固相重合法がある。今までにP
BTの固相重合法について多くの方法が提案されてい
る。例えば、特公昭57―2728号公報には、PBT
を予め固相重合温度以下で4時間以上加熱処理して結晶
化度を46%以上とし、引き続き固相重合する方法が開
示されている。更に、特開平6―172503号公報に
は、固有粘度0.1〜0.55dl/gの段階で溶融重
合を停止し、一旦冷却固化させた後固相重合する方法が
開示されているが、このような従来の方法では、固相重
合に要するエネルギー、設備コストが大きく、経済的な
点でも好ましくない。
は、PBTの製造地にアルカリ(金属)化合物を添加す
ることにより、カルボキシル末端基濃度の低いPBT重
合体ができることが開示されているが、異物が存在(発
生)して重合体の安定性に悪影響を及ぼすことが多く望
ましくない。また特開昭59―86622号公報では重
縮合反応のための減圧開始前の段階で、触媒としてシュ
ウ酸第一スズを添加することが開示されているが、これ
により色相が悪化すること、多量に添加しなければ効果
が小さいことが課題である。
の課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達し
た。即ち、溶融重合法で製造されたカルボキシル末端基
濃度の低いPBTは耐湿熱性に優れるため、従来の課題
は解決できるとの知見を得た。
及びアルカリ土類金属化合物を添加することなく製造さ
れた固有粘度が0.55より大きく、下記式(1)の関
係を満足するカルボキシル末端基濃度の低いPBTは、
耐湿熱性、色相に優れていることを見出した。
PBTの固有粘度[η]は、オルソクロロフェノール中
25℃で測定した溶融粘度から算出した値である。
は、エイ・コニックス(A.Conix)の方法{(M
akromol.Chem,26巻,226頁(195
8)}によって測定したポリマー106 gあたりの当量
数である。
ートと1,4―ブタンジオールのモル比1.1〜1.6
として、チタン酸テトラブトキサイド触媒存在下でメチ
ルエステル基の75〜95%が反応するまでエステル交
換反応を行い、次の工程で温度200〜250℃で真空
度300〜0.1Torrの真空度下で重合度(固有粘
度から算出される数平均分子量換算の重合度をいう)が
15以上になるまで反応させ、次いで回転軸に固定した
攪拌翼によってPBT(低重合体という)を掻き上げ、
掻き上げた低重合体を攪拌翼より不活性ガスを攪拌翼に
対して鋭角で噴射することにより強制的に攪拌翼より流
下させるようにした2軸回転円板式薄膜蒸発器を用いて
充分に攪拌し、重縮合反応を促進せしめる。すなわち、
本発明は、原料のテレフタル酸ジアルキルエステルと
1,4―ブタンジオールとのモル比を1:1.1〜1.
6とし、チタン系触媒の存在下にエステル基の75〜9
5%が反応するまでエステル交換反応を行わせ、次いで
温度200〜250℃、真空度300〜0.1Torr
の加熱真空下で重合度(固有粘度から算定される数平均
重合度)が15以上となるまで重縮合反応せしめて低重
合体を得、該低重合体を攪拌手段により攪拌し、更に回
転円板を備えた薄膜蒸発手段に導き、該薄膜蒸発手段に
おいて前記低重合体を温度230〜255℃、真空度3
Torr以下の加熱真空下で更に重縮合反応せしめて所
定の重合度を有する中重合体となし、前記薄膜蒸発手段
の出口より該中重合体を輸送手段により搬出し、連続的
にペレット化する工程からなるポリブチレンテレフタレ
ートの製造方法である。本発明の好ましい実施形態は、
上記の製造方法において、低重合体を回転軸に固定した
攪拌翼によって掻き上げ、掻き上げた低重合体を、該攪
拌翼に対し鋭角となる方向から該低重合体に対し不活性
ガスを噴射して、該攪拌翼より流下せしめる機能を備え
た薄膜蒸発手段を用いるポリブチレンテレフタレートの
製造方法である。
に複数の溝を回転軸中心に向って有していることを特徴
とするもので、温度230〜255℃、真空度3Tor
r以下で反応せしめて重合度を高め、該薄膜蒸発器の出
口よりPBT(中重合体という)をギアポンプで連続的
に抜き出し、輸送配管内での中重合体の温度が230〜
250℃、滞留時間が10分間以内、好ましくは5分間
以内として連続的にペレット化する方法が例示できる。
しかし、製造方法については特にこれに限定されるもの
ではなく、回分式、連続式のいずれの方法でも製造でき
る。すなわち、本発明の好ましい実施形態は、上述の製
造方法において、2軸回転円板を備え、しかも掻き上げ
機能を有する攪拌翼が回転軸の中心に向かって複数の溝
を備えてなる薄膜蒸発手段を用いる製造方法であり、さ
らに、薄膜蒸発手段の出口から中重合体を抜き出すに際
し、輸送手段の一つとしてギアポンプを用い、該中重合
体の輸送手段内における温度を230〜250℃の範
囲、滞留時間が10分間以内とし、可及的速やかにペレ
ット化する製造方法である。
重合体を固相重合して製造された高重合度のPBTは、
カルボキシル末端基濃度が極めて低く、耐湿熱性が高
く、色相も良好であり、固相重合速度も飛躍的に増加し
ている。
は、一般にカルボキシル末端基濃度は低く、耐湿熱性、
色相ともよい。本発明における溶融重合で製造されたP
BTの固有粘度は0.55より大きく、好ましくは0.
6〜1.4であり、さらに好ましくは0.65〜1.3
である。また前記式(1)の範囲をはずれる場合、PB
Tのカルボキシル末端基濃度が高く、耐湿熱性は悪く、
色相も悪化する。さらにカルボキシル末端基濃度が著し
く高い場合、溶融重合時及び固相重合時の重縮合反応を
阻害することがある。
の好ましい範囲としては、 [COOH]≦13.5×[η]0. 8 (2) さらに好ましくは、 [COOH]≦11.5×[η]0. 8 (3) である。
媒の存在下又は不存在下で行われる。触媒を用いて反応
する際、有機チタネート化合物、有機スズ化合物、四塩
化チタン化合物及びこれらの加水分解物あるいは加アル
コール分解物等を少なくとも1種以上用いる。
で、固相重合速度は飛躍的に増加する。固相重合により
製造されたPBT重合体はカルボキシル末端基濃度が極
めて低く、高重合度のPBTを経済的に製造することが
できる。この際、予備加熱処理及び/又は固相重合の条
件は、特に限定されないが、固相重合における温度は1
80〜215℃、好ましくは185〜210℃とするの
がよい。また固相重合過程で用いるPBTのチップサイ
ズは、均一な大きさで細粒化されているものが好まし
く、円柱状、直方体状又は球状であることが好ましい。
の雰囲気としては、真空下又は不活性ガス気流下で行う
ことが好ましい。
添加剤、無機充填剤、有機充填剤等の1種又は2種以上
を、本発明のPBTに、ベント付又はベント無しの混練
機などで練込むことができる。PBTは、一旦冷却しチ
ップ化したものが使用できるほか重縮合反応装置から直
接溶融状態のまま混練機へ供給することができる。
の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、
ポリアセタールなどが例示される。また添加剤として
は、公知の酸化防止剤、帯電防止剤、臭素化ポリカーボ
ネート、臭素化エポキシ化合物等の難燃剤、三酸化アン
チモン、五酸化アンチモンなどの難燃助剤、可塑剤、潤
滑剤、離型剤、着色剤、結晶核剤などが例示される。ま
た、無機充填剤としては、ガラス繊維、タルク、マイ
カ、ガラスフレークス、カーボン繊維、シリカ、アルミ
ナ繊維、クレー、カーボンブラック、カオリン、酸化チ
タン、酸化鉄、酸化アンチモン、アルミナ等の金属化合
物、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属化合物等
が例示される。有機充填剤としては、芳香族ポリエステ
ル繊維、液晶性ポリエステル繊維等が例示される。
す。耐湿熱性は、PBTのチップを98℃で沸水処理
し、固有粘度[η]の1日当りの減少速度(Δ[η]/
day)を示し、この値が小さい方が耐湿熱性が良好で
あることを示す。
部、1,4―ブタンジオール65部及びチタン酸テトラ
ブトキサイド触媒0.08部をメチルエステル基の85
%が反応するまでエステル交換反応を行い、次に温度2
35℃で真空度200〜1Torrの真空度下で重合度
35まで反応させた。次いで回転軸に固定した攪拌翼に
よって低重合体を掻き上げ、掻き上げた低重合体を攪拌
翼より不活性ガスを攪拌翼に対して鋭角で噴射すること
により強制的に攪拌翼より流下させるようにした2軸回
転円板式薄膜蒸発器を用いた。そして該掻き上げ翼は1
0個の溝を回転軸中心に向って有している装置である。
この薄膜蒸発器において、低重合体を温度242℃、真
空度1Torr、攪拌回転数10rpmの条件で反応せ
しめて重合度を高め、該薄膜蒸発器の出口よりPBTを
ギアポンプで連続的に抜き出し、連続的にチップ化し
た。このとき、輸送配管内でのPBTの温度は243
℃、滞留時間は2分間であった。得られたポリマーの特
性を表1に示した。
い、テレフタル酸ジメチル100部、1,4―ブタンジ
オール75部及びチタン酸テトラブトキサイド触媒0.
09部をメチルエステル基の90%が反応するまでエス
テル化反応を行い、次に温度235℃で真空度200〜
1Torrの真空度下で重合度53まで反応させた。更
に2軸回転円板式薄膜蒸発器を用い、反応条件として温
度249℃、真空度0.5Torr、攪拌回転数10r
pmで反応せしめて重合度を高め、該薄膜蒸発器の出口
よりPBTをギアポンプで連続的に抜き出し、連続的に
チップ化した。このとき、輸送配管内でのPBTの温度
は248℃、滞留時間は2分間であった。得られたポリ
マーの特性を表1に併記した。
4―ブタンジオール110部及びチタン酸テトラブトキ
サイド触媒0.09部をメチルエステル基の95%が反
応するまでエステル交換反応を行い、次に温度240℃
で真空度200〜1Torrの真空度下で重合度92ま
で反応させた。次いで回転軸に固定した攪拌翼によって
PBTを掻き上げ、掻き上げた低重合体を攪拌翼より不
活性ガスを攪拌翼に対して鋭角で噴射することにより強
制的に攪拌翼より流下させるようにした1軸薄膜蒸発器
を用いた。このとき使用したものは該掻き上げ翼に翼当
り20個の溝を回転軸中心に向って有している該薄膜蒸
発器であり、温度246℃、真空度0.5Torr、攪
拌回転数6rpmで反応せしめて重合度を高めた。そし
て薄膜蒸発器の出口よりPBTをギアポンプで連続的に
抜き出し、連続的にチップ化した。このとき、輸送配管
内でのPBTの温度は244℃、滞留時間は3分間であ
った。得られたポリマーの特性を表1に併記した。
い、テレフタル酸ジメチル100部、1,4―ブタンジ
オール75部及びチタン酸テトラブトキサイド触媒0.
09部をメチルエステル基の88%が反応するまでエス
テル交換反応を行い、次に温度240℃で真空度200
〜1Torrの真空度下で重合度29まで反応させた。
1軸薄膜蒸発器を用い、温度温度248℃、真空度0.
5Torr、攪拌回転数6rpmの条件で反応せしめ重
合度を高めた。しかる後薄膜蒸発器の出口よりPBTを
ギアポンプで連続的に抜き出し、連続的にチップ化し
た。このとき、輸送配管内でのPBTの温度249℃、
滞留時間は1分間であった。得られたポリマーの特性を
表1に併記した。
部、1,4―ブタンジオール65部及びチタン酸テトラ
ブトキサイド触媒0.08部をメチルエステル基の85
%が反応するまでエステル交換反応を行い、次に温度2
35℃で真空度200〜1Torrの真空度下で重合度
35まで反応させた。次いで攪拌器を有する完全混合槽
方の縦型反応器で、温度240℃、真空度1Torr、
攪拌回転数30rpmの条件で反応せしめて重合度を高
めた。その後薄膜蒸発器の出口よりPBTをギアポンプ
で連続的に抜き出しチップ化した。このとき、輸送配管
内でのPBTの温度240℃、滞留時間は1.5分間で
あった。得られたポリマーの特性を表1に示した。
攪拌機付きの完全混合槽型の結晶化槽に供給し、190
℃で2.5時間結晶化させた後、充填塔槽に供給し反応
温度200℃、真空度0.5Torrで6時間固相重合
した。得られたポリマーの品質は、[η]が1.11d
l/gで、[COOH]は1.9当量/106 gであ
り、耐湿熱性、色相とも良好であった。
実施例5と同一条件で固相重合した。得られたポリマー
の品質は[η]が1.24dl/gで、[COOH]は
2.9当量/106 gであり、耐湿熱性、色相とも良好
であった。
ップを実施例5と同一条件で固相重合した。得られたポ
リマーの品質は[η]が1.02dl/gで、[COO
H]は28当量/106 gであり、耐湿熱性、色相とも
悪かった。
5より大きく、しかもカルボキシル末端基濃度が低いP
BTは、耐湿熱性に優れ、色相も良好である。また溶融
重合におけるテトラヒドロフランの副生も少ないため、
1,4―ブタンジオールの損失が少なく、副生物の回収
が容易である。溶融重合で製造されたPBTを固相重合
することで、カルボキシル末端基濃度が極めて低く、色
相の良好な高重合度PBTが得られ、固相重合時の重合
速度も速いため、効率的な運転が可能である。
Claims (4)
- 【請求項1】 原料のテレフタル酸ジアルキルエステル
と1,4―ブタンジオールとのモル比を1:1.1〜
1.6とし、チタン系触媒の存在下にエステル基の75
〜95%が反応するまでエステル交換反応を行わせ、次
いで温度200〜250℃、真空度300〜0.1To
rrの加熱真空下で重合度(固有粘度から算定される数
平均重合度)が15以上となるまで重縮合反応せしめて
低重合体を得、該低重合体を攪拌手段により攪拌し、更
に回転円板を備えた薄膜蒸発手段に導き、該薄膜蒸発手
段において前記低重合体を温度230〜255℃、真空
度3Torr以下の加熱真空下で更に重縮合反応せしめ
て所定の重合度を有する中重合体となし、前記薄膜蒸発
手段の出口より該中重合体を輸送手段により搬出し、連
続的にペレット化する工程からなるポリブチレンテレフ
タレートの製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、低重合体を回転軸に
固定した攪拌翼によって掻き上げ、掻き上げた低重合体
を、該攪拌翼に対し鋭角となる方向から該低重合体に対
し不活性ガスを噴射して、該攪拌翼より流下せしめる機
能を備えた薄膜蒸発手段を用いるポリブチレンテレフタ
レートの製造方法。 - 【請求項3】 2軸回転円板を備え、しかも掻き上げ機
能を有する攪拌翼が回転軸の中心に向かって複数の溝を
備えてなる薄膜蒸発手段を用いることを特徴とする、請
求項1または2記載のポリブチレンテレフタレートの製
造方法。 - 【請求項4】 薄膜蒸発手段の出口から中重合体を抜き
出すに際し、輸送手段の一つとしてギアポンプを用い、
該中重合体の輸送手段内における温度を230〜250
℃の範囲、滞留時間が10分間以内とし、可及的速やか
にペレット化することを特徴とする請求項1に記載のポ
リブチレンテレフタレートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13999096A JP3210250B2 (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | ポリブチレンテレフタレート及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09316183A JPH09316183A (ja) | 1997-12-09 |
JP3210250B2 true JP3210250B2 (ja) | 2001-09-17 |
Family
ID=15258376
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13999096A Expired - Lifetime JP3210250B2 (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | ポリブチレンテレフタレート及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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- 1996-06-03 JP JP13999096A patent/JP3210250B2/ja not_active Expired - Lifetime
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