JP3210153B2 - ステージ制御装置 - Google Patents

ステージ制御装置

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JP3210153B2
JP3210153B2 JP23226193A JP23226193A JP3210153B2 JP 3210153 B2 JP3210153 B2 JP 3210153B2 JP 23226193 A JP23226193 A JP 23226193A JP 23226193 A JP23226193 A JP 23226193A JP 3210153 B2 JP3210153 B2 JP 3210153B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造装置におい
て半導体ウエハの位置決めに使用されるXYステージ等
の駆動制御を行うステージ制御装置に関し、ステージの
移動に伴う反力を制振し、かつ床からの振動を除振する
ようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子ビームを応用した電子顕微鏡
やステッパなどのLSI製造装置は、除振装置上に大ス
トローク移動用のXYステージを搭載した装置構成を有
する。そのXYステージの上にはさらに短ストロークで
微細な位置決めを実行させるための微動ステージなどを
搭載することが普通であり、位置決め機構は除振装置と
XYステージと微動ステージとを備える。この微動ステ
ージは大ストローク移動用のXYステージにとっては負
荷となり、且つ微動ステージの位置決め動作における反
力などは外乱要因となることに注意する必要がある。
【0003】図2は前述の位置決め機構の一例を示す。
図2において、1aと1bはそれぞれ大ストローク移動
用のXステージとYステージ(以下、XYステージ1と
称する)、2はXステージ1aの上の搭載され半導体ウ
エハ3を微細に位置決めするための微動ステージであ
る。これらのXYステージ1と微動ステージ2は定盤4
に設置され、且つこれらは図示していない除振装置に搭
載されている。ここで、Xステージ1aとYステージ1
bはともに多極リニア直流モータによって駆動される。
図2において5Rと5LはYステージ1bと剛に接続さ
れ永久磁石を有する多極リニア直流モータの移動子、6
Rと6Lは多極リニア直流モータのコイル列である。X
ステージ1aについても、Yステージと同様な移動子と
コイル列を各1個有するが陽には図示していない。
【0004】さて、除振装置には床振動がXYステージ
1及び微動ステージ2へ伝播しないようにする除振機能
と、XYステージ1の高速移動あるいは除振装置上に搭
載され図示しない機器の運動が除振装置全体の揺れを惹
起しないようにするという制振機能とを併せ持つことが
要請される。しかしながら、XYステージ1と微動ステ
ージ2などを含む合計質量は大きく、これを高速移動さ
せた場合、除振装置単独で高速移動に原因した揺れを吸
収することは困難である。そこで、大ストローク移動用
のXYステージ1自身の高速移動によって生じる、除振
装置の除振台の揺れが位置決め時間や位置決め精度に及
ぼす影響を除去するために、精密工学会誌『空気浮上式
高速XYステージの試作(JSPE−52−10,’8
6−10−1713)』には、定盤加速度を検出しそれ
をXYステージの駆動アンプ前段に帰還する技術(以
下、定盤加速度フィードバックと呼ぶ)が開示されてい
る。これは加速度フィードバックによる外乱のゼローイ
ングと等価であることが理論的に証明できる。外乱のゼ
ローイングとは、外乱の印加に対してその影響が被制御
量に伝達しないようにすることを意味する。上述の位置
決め機構において、XYステージ1の高速移動は除振台
の揺れを惹起するが、ゼローイングとはこの揺れが微動
ステージ2とXYステージ1の位置決め時間や位置決め
精度に影響を及ぼさないようにすることである。簡単な
力学モデルと制御ブロックとを用い、定盤加速度フィー
ドバックの効果を数式を使って次に示す。
【0005】図3は除振台7に搭載されたXYステージ
1の水平1軸方向のみの力学モデルを示す。但し、力学
モデルのうえで除振台7は定盤4と等価である。また、
図3のXYステージ1には微動ステージを図示していな
いが簡単のためこれはXYステージ1に含めて考えるこ
とにする。さて、図示の記号を使った運動方程式は数1
式で示される。
【0006】
【数1】 ただし、各記号の意味は次の通りである。
【0007】m1 :XYステージの質量[kg]、m
2 :定盤質量[kg]、 b1 :XYステージの粘性摩擦係数[Ns/m]、 b2 :定盤の粘性摩擦係数[Ns/m]、 k1 :XYステージのバネ定数[N/m]、 k2 :定盤のバネ定数[N/m]、 x1 :XYステージの変位[m]、x2 :定盤の変位
[m]、 f:駆動力[N]、fext :外乱[N] 図3に示す定盤を含めたXYステージのモデルに対する
位置決めの制御ループは図4のように構成される。図4
において、8は位置検出変換手段、9は位置制御系の特
性改善用の補償器、10は電力増幅器、11は多極リニ
ア直流モータをアクチュエータとしたときの推力定数で
あり、12は後で説明する定盤加速度フィードバック回
路である。ここで、位置検出変換手段8には、位置検出
器としての例えばレーザ干渉器と偏差カウンタが含まれ
る。また、破線で囲んだ領域13は数1式の表現であ
り、定盤を含めたXYステージのモデルすなわち制御対
象である。
【0008】次に、図4を参照して動作を説明をする。
まず、位置(x1 −x2 )を検出し、目標位置x0 との
偏差であるx0 −(x1 −x2 )に対して位置検出変換
手段8の位置ゲインKP が乗ぜられ、さらに位置制御系
の特性改善を図る補償器9を通って電力増幅器10を励
磁する。すると、アクチュエータの推力定数Ktによる
変換を通して駆動力fを発生しXYステージ1を位置決
め駆動する。
【0009】なお、位置のフィードバック検出が(x1
−x2 )となる理由は、位置検出変換手段8のレーザ干
渉計が通常の場合は除振台7に設置されるからである。
また、図4の場合、位置制御系の制御特性改善用の補償
器9はPID補償器であり、周知のようにPは比例動
作、Iは積分動作、Dは微分動作、を意味する。なお、
図4で使用している記号の意味と次元を次に示す。
【0010】KP :位置ゲイン[V/m]、Fx :P動
作ゲイン[V/V]、 Fi :I動作ゲイン[V/Vs]、FV :D動作ゲイン
[Vs/V]、 Ki :電力増幅器のゲイン[A/V]、Td :電力増幅
器の時定数[s]、 Kt :推力定数[N/A]、 A:定盤加速度フィードバック回路のゲイン[V/m/
2 ] Ta :定盤加速度フィードバック回路の時定数[s] さて、図4を参照して、外乱fext から位置(x1 −x
2 )までの応答を、定盤加速度フィードバック回路12
のゲインがA=0とA≠0の場合とで比較すると、A=
0で定盤加速度フィードバック回路12が無い場合に
は、数2式となる。
【0011】
【数2】
【0012】一方、A≠0で定盤加速度フィードバック
回路12を挿入した場合には数3式となる。
【0013】
【数3】
【0014】数3式において、外乱fext からの応答を
考える。外乱fext から位置(x1−x2 )までの伝達
関数の分子多項式は数4式で示される。
【0015】
【数4】
【0016】したがって、定盤加速度フィードバック回
路12のゲインAを数5式のように設定すれば、外乱f
ext からの応答を低周波数でかなり低減させることが可
能となる。
【0017】
【数5】
【0018】整理すると、A=0で定盤加速度フィード
バックが無い場合とそのフィードバックゲインを数5式
の意味で最適設定した場合とで、外乱fext から位置
(x1−x2 )までの伝達関数を比較すると数6式と数
7式のようになる。
【0019】
【数6】定盤加速度フィードバックが無い場合(A=
0)
【0020】
【数7】定盤加速度フィードバックのゲインを数5式の
意味で最適設定した場合
【0021】数6式及び数7式の分子多項式をみると、
数6式の次数は数7式のそれよりも一次低いことが了解
される。また、数値解析及び周波数応答の実測結果よ
り、定盤加速度フィードバック回路の有無で位置制御系
の特性方程式の主要な根がほとんど変化しないことがわ
かっている。すなわち、数6式と式数7式の分母多項式
の主要な根はほぼ同一である。したがって、数6式と式
数7式の分子多項式の次数を比較して、定盤加速度フィ
ードバック回路12のゲインを数5式の意味で最適設定
することにより、低周波数の応答は定盤加速度フィード
バック回路12が無い場合に比較してより抑圧できる。
すなわち、定盤加速度フィードバック回路12は外乱に
対するゼローイングの効果を有する。
【0022】さて、外乱の入力に対するゼローイングを
実現する制御手法として、前述した定盤加速度フィード
バック以外に外乱オブザーバを制御ループに組み込むこ
とが知られている。図5は外乱オブザーバの一般的な説
明図である。図5(a)においてuは入力、dは外乱、
xは制御対象14の出力をそれぞれ表す。図5(b)は
外乱オブザーバの原理的な構成であり、制御対象に対す
る入力uと制御対象14状態量の1つである出力xを計
測して外乱オブザーバ15に導き、制御対象14の入力
側に加えられている外乱dをd′として推定するように
なっている。より具体的には、図6に示すように制御対
象の出力xを制御対象G(s)の逆システムGn -1
(s)に導き、この出力から制御対象に加えられた入力
uを差し引くことによって外乱dの推定値d′を得てい
る。勿論、逆システムGn -1 (s)の伝達関数の実現に
当たってはプロパーとなるように適切なフィルタリング
が施される。但し、Gn (s)は制御対象G(s)の公
称モデルを表す。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】さて、図5(a)のよ
うに、制御対象14の入力側に印加される外乱dに対し
ては、図5(b)の如き外乱オブザーバ15を構成して
外乱の推定値d′を取得し、この推定値d′を真の外乱
dを打ち消すようにフィードバックすることによって外
乱dが制御性能に及ぼす影響を無くすことができる。し
かしながら、図5(c)に示すように、制御対象14の
入力側の外乱dのみならず出力側にも外乱xd が存在
し、かつ制御対象の出力xと外乱xd との加算値である
s しか入力uとともに観測できない場合においては、
どのようになるのであろうか。このとき、図5(c)の
ような外乱オブザーバを構成すると、観測値xs が含ま
れているので、推定値d′には大きな誤差が入り込む。
したがって、図5(c)の構成による外乱推定オブザー
バの出力をフィードバックしたときには、力性の外乱d
のキャンセルが十分行えないのである。
【0024】これをXYステージの位置決めに照らして
説明すれば、XYステージ1と微動ステージ2、及びそ
れらを搭載し図示していない除振装置とから成る図2の
ような位置決め機構に対して外乱オブザーバの実現を図
る場合、XYステージ1のアクチュエータである多極リ
ニア直流モータへの入力信号と、レーザ干渉計を使った
位置検出変換手段8の出力によるステージ位置信号の2
つを外乱オブザーバへの入力とすることになる。先にも
述べたように、位置検出変換手段8の信号中には、XY
ステージ1自身の真の位置信号に加えてXYステージ1
上に搭載した微動ステージ2が動作することに原因した
外乱成分も含まれる。したがって、多極リニア直流モー
タへの入力信号と、レーザ干渉計の計測値とが取得で
き、かつXYステージ1の正確な逆システムが得られた
としても、XYステージ1への力性の外乱を精度良く推
定することはできない。すなわち、図5(c)の如き構
成になってしまうのである。従って、外乱の推定値をフ
ィードバックして閉ループと成した場合には、微動ステ
ージ2自身の微小な振動が外乱オブザーバを通ったフィ
ードバックによってXYステージ1を駆動するのでこれ
を無意味に振動させるという問題を惹起している。
【0025】実験によれば、図5(c)のタイプの外乱
オブザーバを採用したとき、位置決め時間の性能指標は
従来の定盤加速度フィードバックを採用した場合と同等
であるが、位置決め精度の指標は定盤フィードバック投
入時に比べて劣化することが確認されている。
【0026】一方、従来の定盤加速度フィードバックも
産業応用上、次のような問題点が指摘されている。すな
わち、定盤加速度フィードバックの実現に当たって使
用される高感度の加速度センサ、例えばサーボ式の加速
度センサは高価である、サーボ式加速度センサは機械
的衝撃に対して脆弱であるため、装置の搬入搬出、ある
いは加速度センサ自身の取付けや取外し作業においては
慎重な対処が求められ煩雑の極みである、等の問題であ
る。
【0027】そこでこのような定盤加速度フィードバッ
クの欠点を克服するために、センサレスの外乱オブザー
バを採用したいのであるが、図5(c)の如き単純な構
成では定盤加速度フィードバックに代替する性能を得る
ことが困難である。
【0028】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点に鑑み、ステージ制御装置において、より精度の高
い外乱オブザーバを実現することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明のステージ制御装置は、除振手段が設けられた除
振台と、この除振台上に搭載され、かつ自身は微小位置
決め用の微動ステージを搭載して、与えられた目標位置
へ位置決めされる大ストローク移動用のXYステージ
と、このXYステージを駆動させるリニア直流モータ
と、前記XYステージの位置を検出し前記目標位置との
偏差信号に変換する位置検出変換手段と、この偏差信号
に基づき、適当な補償が加えられた指令電圧を前記リニ
ア直流モータに出力する手段と、前記リニア直流モータ
のコイルに生じる逆起電力を検出する手段と、前記指令
電圧と前記逆起電力とに基づいて外乱量を検出する外乱
オブザーバ手段と、この外乱量を打ち消すように前記指
令電圧に対してフィードバックする手段とを具備するこ
とを特徴とする。
【0030】前記逆起電力検出手段は例えば、前記リニ
ア直流モータのコイルと同数の、コイルに生じる逆起電
力を検出する逆起電力検出回路と、各逆起電力検出回路
の出力を正転及び反転させて同時に出力する正転反転手
段と、与えられた移動方向判別信号に応じて前記正転反
転手段の各正転及び反転出力のいずれか一方を選択して
出力する逆起電力信号極性選択手段と、与えられたコイ
ル選択信号に応じて前記逆起電力信号極性選択手段の各
出力を選択的に出力する逆起電力信号コイル選択手段
と、与えられた駆動判別信号に応じて前記逆起電力信号
コイル選択手段の各出力をシャントするシャントスイッ
チ手段と、前記逆起電力信号コイル選択手段の各出力を
すべて加算する加算器とを備えている。
【0031】
【作用】従来の定盤加速度フィードバックを使った外乱
ゼローイングによってXYステージの位置決め時間は確
実に短縮できるが、高価な加速度センサの使用はコスト
上昇を招き、且つ機械的衝撃に弱い加速度センサの使用
に当たっては最新の注意を払わねばならないという欠点
があった。そこで、外乱オブザーバのように加速度セン
サを使用しない、すなわちセンサレスの外乱ゼローイン
グ技術が望まれていたのである。しかしながら、図2の
ようにXYステージ1上に負荷となる微動ステージ2が
搭載されているような位置決め機構においては、制御対
象であるXYステージ1の入力側のみならず出力側にも
外乱が存在することになり、従来の方法に基づく外乱オ
ブザーバの構成を採用しても外乱の相殺を十分行うこと
が不可能であるのみならず、制御ループの安定性を損な
う結果も招来していたのである。
【0032】本発明では、定盤加速度フィードバックの
欠点を解消するためにセンサレスで外乱量を検出する外
乱オブザーバを採用するが、従来とは異なりXYステー
ジ1を駆動するリニア直流モータのコイル列から外乱オ
ブザーバへの1つの入力情報を取得するように構成して
いる。具体的には、XYステージ駆動用のリニア直流モ
ータのコイル自身が駆動力を発生するアクチュエータで
あると同時に物理的な状態量のセンサとしての役割も持
たせられることに注目したものである。すなわち、リニ
ア直流モータでXYステージを駆動したとき、コイル列
には移動速度に比例した逆起電力が発生するが、これを
適切に信号処理するとリニア直流モータの駆動部位での
速度が検出できる。この速度信号にはXYステージ1の
上に搭載された微動ステージ2の動きに原因する成分は
混入していない、あるいは混入量は僅少とみなせる。故
に、逆起電力検出による速度と多極リニア直流モータへ
の指令電圧の二つを入力とする外乱オブザーバが構成で
き、その出力をフィードバックすることによりXYステ
ージ1の高速移動に原因した外乱を効果的にゼローイン
グされる。
【0033】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係るステージ制御
装置の構成を示すブロック図である。図1において、1
6は多極リニア直流モータの逆起電力から駆動力発生部
位の速度を検出する逆起電力検出手段である。図7は逆
起電力検出手段16の構成を示すブロック図である。
【0034】まず、図7を参照して逆起電力検出手段1
6の構成と動作原理から説明する。図7において17a
〜17fは多極リニア直流モータの各コイルC1〜C6
で発生する逆起電力を推定する逆起電力検出回路であ
る。この回路構成については、文献『橋谷、岡田、永
井:センサレス能動制振の研究(動電アクチュエータに
よる速度推定と制御)、日本機械学会誌文集C、58巻
554号、pp.2912−pp.2917』に詳しく
述べられているが、逆起電力検出の原理を簡単に説明す
る。図8はコイル1相を用いた場合の逆起電力検出の原
理を説明するための説明図である。この場合、数8式の
回路方程式が成立する。
【0035】
【数8】 ただし、記号の意味は以下の通りである。
【0036】e:コイル両端電圧[V]、eb :逆起電
力[V]、 R:コイルの抵抗[Ω]、L:コイルのインダクタンス
[H]、 i:コイルに流れる電流[A] ここで、コイルに流れる電流iを検出する抵抗rの両端
電圧ei はei =riとなる。したがって、数8式は数
9式のように変形できる。
【0037】
【数9】
【0038】ここで、逆起電力eb は移動物体の速度v
に比例し、その比例係数をkb とおけば、eb =kb
となる。したがって、速度vは次の数10式の演算を施
すことによって求められる。
【0039】
【数10】
【0040】すなわち、逆起電力検出回路17a〜17
fは、コイルC1〜C6それぞれに対して数10式の演
算を実現するものとなる。但し、数10式中にはei
対する純粋な微分演算を含むが、実現に当たっては周波
数帯域を考慮して疑似微分すればよい。
【0041】さて、再び図7を参照して、逆起電力検出
回路17a〜17fは多極リニア直流モータのコイル数
だけ備えられ、それらの出力は正転反転手段18に導か
れる。ここでは、逆起電力検出回路17a〜17fの直
流出力と反転出力とを取得する。さらに、正転反転手段
18の出力は、多極リニア直流モータによって推進され
る物体の移動方向判別信号DIRによって直接出力と反
転出力のどちらか一方を選択する機能を持つ逆起電力信
号極性選択手段19に導かれ、続いて各コイルごとの逆
起電力信号極性選択手段19の出力はコイル選択信号S
1〜S6によって制御される逆起電力信号コイル選択手
段20に導かれる。この出力信号は、多極リニア直流モ
ータによって正に推進力を発生しているコイルの逆起電
力であり、かつ移動方向に応じた極性を有する信号とな
っている。最後に、多極リニア直流モータのコイル毎の
逆起電力信号コイル選択手段20の出力信号は、加算器
21に導かれている。すなわち、コイル毎の逆起電力信
号コイル選択手段20の出力はすべて加算されて多極リ
ニア直流モータとしての1つの速度信号となる。なお、
加算器21に対する入力抵抗には駆動判別信号DRVに
よって制御されるシャントスイッチ手段22が接続され
ているが、これは加算器21に出力を出さないようにす
るためのものである。以上のように構成すると、多極リ
ニア直流モータのコイルC1〜C6から逆起電力信号、
すなわち速度が検出できる。
【0042】図1に示すように、この逆起電力検出手段
16の出力は、多極リニア直流モータの電力増幅器10
への入力信号とともに、外乱オブザーバ15に入力され
る。外乱オブザーバの構成は既知であり、例えば文献
『大西:メカトロニクスにおける新しいサーボ技術、電
気学会論文誌D、Vol.107、No.1、pp.8
3−pp.86(1987)』に詳述されているので、
ここでは割愛する。外乱オブザーバ15の出力は補償器
9の出力と加算され、電力増幅器10へ入力される。
【0043】このように構成することにより、XYステ
ージ1の高速移動によって除振台が揺らされ、これに原
因したXYステージ1の位置決め時間と位置決め精度の
劣化を抑圧することができる。しかも、センサレスの制
御によって、定盤加速度フィードバックを採用した場合
と同等の性能が得られる。
【0044】なお、本実施例では、XYステージを駆動
する多極リニア直流モータの固定側に設けたコイルに発
生する逆起電力を検出してXYステージの駆動力発生部
位における速度を生成し、この速度信号を1つの入力信
号とする外乱オブザーバを構成した。この外乱オブザー
バの出力をフィードバックすることによってXYステー
ジに加わる外乱は効果的にゼローイングされる。しか
し、固定側に設けたコイル列の間に速度検出専用のコイ
ル列を別に埋め込み、これの出力を利用して外乱オブザ
ーバを構成してもよい。あるいは、永久磁石を有する可
動子側に速度検出用のコイルを設けて速度検出を行い、
この出力を1つの入力とする外乱オブザーバを構成して
もよい。
【0045】また、XYステージが多極リニア直流モー
タによって駆動される場合を示したが、単極のリニア直
流モータの場合でも、コイルから速度検出を行い、その
検出信号を利用した外乱オブザーバを構成できることは
言うまでもない。
【0046】さらに、図1の実施例ではアナログ演算回
路で制御系を構成しているが、このうちの一部もしくは
全部を電子計算機のようなディジタル演算装置で起き換
えてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、駆
動力発生用のリニア直流モータのコイル自身から速度検
出を行い、この速度信号とリニア直流モータへの指令電
圧の双方を入力信号とした外乱オブザーバを備えるよう
にしたため、この外乱オブザーバにより、正にXYステ
ージの駆動力発生部位において相殺すべき外乱量を得、
これをフィードバックすることができる。すなわち、従
来のようにXYステージの位置決め用位置検出器である
レーザ干渉計の出力信号を外乱オブザーバの1つの入力
信号としていた場合には、XYステージに搭載される微
動ステージの位置決めのための動きや不要な振動をもX
Yステージの高速移動に伴う外乱とともに検出してしま
うため、外乱オブザーバの出力をフィードバックして外
乱相殺を図ると微動ステージに起因した振動成分のフィ
ードバックによってXYステージが無意味に動かされて
しまい、結果としてXYステージの位置決め特性を向上
させることができなかった。しかし、本発明によれば微
動ステージに原因した振動は外乱オブザーバの出力に現
れない。つまり、微動ステージに原因する局所的な振動
とは無関係に、XYステージ全体を励振する外乱そのも
のを推定し、これを相殺することが可能となる。したが
って、定盤加速度フィードバックと等価な制御性能を加
速度センサ無しで実現することが可能となり装置全体の
コストを低減できるという効果がある。
【0048】また、従来の定盤加速度フィードバックに
よれば加速度センサを取りつける物理的空間を確保せね
ばならないが、本発明によればセンサレスとなるので加
速度センサの取付け場所は不要となり、結果として装置
全体をコンパクトに設計できる利点も生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るステージ制御装置の
ブロック図である。
【図2】 位置決め機構の一例を示す斜視図である。
【図3】 定盤に搭載されたXYステージ水平1軸方向
の力学モデルを示すブロック図である。
【図4】 図3のモデルに対する位置制御系の制御ブロ
ック図である。
【図5】 従来の外乱オブザーバの説明図である。
【図6】 従来の外乱オブザーバの構成図である。
【図7】 図1の装置における逆起電力検出手段のブロ
ック図である。
【図8】 コイル1相を用いた逆起電力検出の原理説明
図である。
【符号の説明】
1a:Xステージ、1b:Yステージ、2:微動ステー
ジ,3:半導体ウエハ、4:定盤、5R,5L:移動
子、6R,6L:多極リニア直流モータのコイル列、
7:除振台、8:位置検出変換手段、9:補償器、1
0:電力増幅器、11:推力定数、12:定盤加速度フ
ィードバック回路、13:定盤を含めたXYステージの
モデル、14:制御対象、15:外乱オブザーバ、1
6:逆起電力検出手段、17a〜17f:逆起電力検出
回路、18:正転反転手段、19:逆起電力信号極性選
択手段、20:逆起電力信号コイル選択手段、21:加
算器、22:シャントスイッチ手段、S1〜S6:コイ
ル選択信号、DIR:移動方向判別信号、C1〜C6:
コイル、DRV:駆動判別信号、r1〜r6:コイルC
1〜C6の電流検出抵抗。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/00 101 H02P 5/00 G12B 5/00 H01L 21/027 H01L 21/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 除振手段が設けられた除振台と、この除
    振台上に搭載され、かつ自身は微小位置決め用の微動ス
    テージを搭載して、与えられた目標位置へ位置決めされ
    る大ストローク移動用のXYステージと、このXYステ
    ージを駆動させるリニア直流モータと、前記XYステー
    ジの位置を検出し前記目標位置との偏差信号に変換する
    位置検出変換手段と、この偏差信号に基づき、適当な補
    償が加えられた指令電圧を前記リニア直流モータに出力
    する手段と、前記リニア直流モータのコイルに生じる逆
    起電力を検出する手段と、前記指令電圧と前記逆起電力
    とに基づいて外乱量を検出する外乱オブザーバ手段と、
    この外乱量を打ち消すように前記指令電圧に対してフィ
    ードバックする手段とを具備することを特徴とするステ
    ージ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記逆起電力検出手段は、 前記リニア直流モータのコイルと同数の、コイルに生じ
    る逆起電力を検出する逆起電力検出回路と、 各逆起電力検出回路の出力を正転及び反転させて同時に
    出力する正転反転手段と、 与えられた移動方向判別信号に応じて前記正転反転手段
    の各正転及び反転出力のいずれか一方を選択して出力す
    る逆起電力信号極性選択手段と、 与えられたコイル選択信号に応じて前記逆起電力信号極
    性選択手段の各出力を選択的に出力する逆起電力信号コ
    イル選択手段と、 与えられた駆動判別信号に応じて前記逆起電力信号コイ
    ル選択手段の各出力をシャントするシャントスイッチ手
    段と、 前記逆起電力信号コイル選択手段の各出力をすべて加算
    する加算器とを備えていることを特徴とする請求項1項
    記載のステージ制御装置。
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