JP4296331B2 - 負荷状態推定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,負荷状態推定装置に係り,詳しくは,複数の負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷や単独の負荷を駆動するサーボモータをフィードバック制御するために,各段の負荷の負荷速度や,負荷間の結合軸トルク,負荷トルク外乱などを推定する負荷状態推定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば,機械負荷を駆動するサーボモータの制御を行う時,モータと負荷の間の結合部が低剛性であると共振・反共振が発生し,制御が困難となる場合がある。この共振・反共振を防止するためには,フィードバック制御が有効である。負荷速度に基づいて速度フィードバック制御を行う場合を例にすれば,フィードバック時の変数である上記負荷速度を何らかの方法により測定する必要が生じるが,上記負荷速度を直接測定するのは不可能な場合が多く,測定が可能な場合でも測定器は高価であり,現実的な解決手段として採用しがたい。このため観測可能な変数(例えば,モータ速度及びモータ電流)に基づいて上記負荷速度等の状態変数を推定するオブザーバが用いられる。このようなオブザーバは,例えば特開平9−322580号公報に記載されている。
上記公報に記載のオブザーバは,図3に示す如く,サーボモータ1のモータ電流の指令値IA (検出値でもよい)とパルスエンコーダ等の速度検出器2により検出されたモータ速度の検出値ωM とに基づいて,上記サーボモータ1のモータ軸トルクTL を推定するモータ軸トルク推定部3と,上記モータ軸トルク推定部3により推定された上記モータ軸トルクの推定値TL * と上記モータ速度の検出値ωM とに基づいて,サーボモータ1にモータ軸11を介して結合された負荷4の負荷速度ωL 及び上記負荷4に外部から加わる負荷トルク外乱TD を推定する負荷状態推定部5とを具備しており,上記負荷状態推定部5により推定された負荷速度ωL * 及び負荷トルク外乱TD * は,上記サーボモータ1を制御する制御装置6に供給される。
【0003】
上記制御装置6は,上記負荷状態推定部5から供給された負荷速度の推定値ωL * ,負荷トルク外乱の推定値TD * などに基づいて,上記速度検出器2により検出されるモータ速度の検出値ωM に対してフィードバック制御を行いながら,上記サーボモータ1を駆動させる。ここで,図4にサーボモータと機械負荷からなる系の一例のブロック図を示し,図5に上記オブザーバの概略構成例のブロック図を示す。
尚,図4及び図5において,IA はサーボモータに与えられるモータ電流の指定値,KA はトルク定数,TA はモータ電流の指令値IA から演算したモータトルク,ωM はサーボモータのモータ速度,TL はサーボモータと負荷とを結合するモータ軸のモータ軸トルク,ωL は負荷の負荷速度,TD は負荷に外部から加わる負荷トルク外乱,JM はモータイナーシャ,Kεはモータ軸のバネ定数,JL は負荷のイナーシャを表し,各変数や定数に* 記号が付されている場合には各変数や定数の推定値を表す。また,ラプラス演算子はsで表されている。
図4に示したサーボモータと負荷とからなる系の状態方程式は次式(1)乃至(3)のように表すことができる。
ωM =(1/JM s)(TA −TL ) (1)
ωL =(1/JL s)(TL −TD ) (2)
L =(Kε/s)(ωM −ωL ) (3)
上記公報に記載のオブザーバが備える上記モータ軸トルク推定部3は,上記(1)式に基づいて,例えば図5に示す如く構成することができる。
即ち,上記モータ軸トルク推定部3において,上記サーボモータ1のモータ軸トルクの推定値TL * は,モータトルクTA とモータ速度の検出値ωM とを用いた次式(4)に従って求められる。
L * =TA −JM * sωM (4)
また,上記負荷状態推定部5は,上記(3)及び(2)式に基づいて,例えば図5に示す如く構成することができる。
即ち,上記負荷状態推定部5において,上記負荷4の負荷速度の推定値ωL * は,上記モータ軸トルクの推定値TL * とモータ速度の検出値ωM とを用いた次式(5)に従って求められる。
ωL * =ωM −(s/Kε* )TL * (5)
また,上記負荷4に外部から加わる負荷トルク外乱TD * は,上記負荷速度の推定値ωL * と上記モータ軸トルクの推定値TL * とを用いた次式(6)に従って求められる。
D * =TL * −JL * sωL * (6)
このように上記公報に記載のオブザーバでは,上記モータ軸トルクの推定値TL * と上記負荷速度の推定値ωL * だけでなく,上記負荷に外部から加わる負荷トルク外乱の推定値TD * も求められるため,負荷トルク外乱が変動する場合でも,上記公報に記載のオブザーバを用いて好適な制御を行うことができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記公報に記載のオブザーバでは,各推定値を求めるためにそれぞれ微分要素が用いられているため,推定に際してノイズが増幅されてしまい,騒音振動の原因となる場合があった。
適当な箇所にローパスフィルタを配置して上記ノイズを低減させることも可能であるが,ローパスフィルタの挿入により推定遅れが発生してしまう。例えば推定した状態変数をサーボ系にフィードバックし制御応答特性の改善をはかるような用途の場合,この推定遅れにより制御特性が劣化し,場合によっては,不安定振動の原因となってしまうことも考えられる。
本発明は,このような従来の技術における課題を解決するために,負荷状態推定装置を改良し,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めるモータ速度の推定値とサーボモータのモータ速度の検出値の推定値とが等しくなるように積分要素及び比例要素からなる第1の補償器により算定して上記サーボモータのモータ軸トルクの推定を行うと共に,サーボモータのモータ軸トルクの推定値と負荷に外部から加わる負荷トルク外乱との差を積分して定めた負荷の負荷速度の推定値と上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第2の補償器により上記負荷トルク外乱の推定値を算定して上記負荷の負荷速度の推定を行うことにより,モータ軸トルクや負荷速度,負荷トルク外乱の推定の際に生じるノイズ成分を抑えて,サーボモータの騒音振動発生低減に貢献することができる負荷状態推定装置を提供することを目的とするものである。
また,上記のような微分要素による制御時の騒音振動発生の問題は,負荷が単独の場合に限らず,複数の負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷の場合には,それだけ推定すべき状態変数の数が増加するのでさらに深刻化する。
そこで,本発明の他の目的は,多質点機械系負荷がサーボモータに接続されている場合でも,モータ軸トルク,各段毎の負荷速度や結合軸トルク,及び負荷トルク外乱を精度良く推定して制御時の騒音振動を抑えることのできる負荷状態推定装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,請求項1に係る発明は,負荷を駆動するサーボモータのモータ電流或いはモータ電流指令から定めた上記サーボモータのモータトルクと上記サーボモータのモータ速度の検出値とに基づいて上記サーボモータのモータ軸トルクを推定するモータ軸トルク推定部と,上記モータ軸トルク推定部により推定された上記モータ軸トルクの推定値と上記モータ速度の検出値とに基づいて,上記負荷の負荷速度,及び上記負荷に外部から加わる負荷トルク外乱を推定する負荷状態推定部とを具備してなる負荷状態推定装置において,上記モータ軸トルク推定部が,上記モータトルクと上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記サーボモータのモータ速度の推定値と,上記モータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第1の補償器を用いて,上記モータ軸トルクの推定値を算定するものであり,上記負荷状態推定部が,上記モータ軸トルクの推定値の微分値と上記モータ速度の検出値とに応じて定める上記負荷の負荷速度の補助推定値と,上記負荷トルク外乱の推定値と上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第2の補償器を用いて,上記負荷トルク外乱の推定値を算定するものであることを特徴とする負荷状態推定装置として構成されている。
【0006】
上記請求項1に記載の負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めたモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように積分要素及び比例要素からなる第1の補償器により算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われると共に,サーボモータのモータ軸トルクの推定値と負荷に外部から加わる負荷トルク外乱との差を積分して定めた負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第2の補償器により上記負荷トルク外乱の推定値が算定されて,上記負荷速度の推定が行われるため,各状態変数を推定する際に生じるノイズ成分を抑えた精度の良い負荷速度や負荷トルク外乱の推定値を制御装置に供給して,サーボモータを制御する際の騒音振動発生の低減に貢献することができる。
【0007】
また,請求項2に係る発明は,複数の負荷を結合軸により直列的に連結した多質点機械系負荷を駆動するサーボモータのモータ電流或いはモータ電流指令から定めた上記サーボモータのモータトルクと上記サーボモータのモータ速度の検出値とに基づいて,上記サーボモータのモータ軸トルクを推定するモータ軸トルク推定部と,上記モータ軸トルク推定部により推定された上記モータ軸トルクの推定値と上記モータ速度の検出値とに基づいて,上記サーボモータに結合された初段の負荷の負荷速度と上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクとを推定する初段負荷状態推定器と,(i−1)段目の負荷の負荷速度の推定値と,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値とに基づいて,上記i段目の負荷の負荷速度と上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクとを推定する各段負荷状態推定器とを具備してなる負荷状態推定装置において,上記モータ軸トルク推定部が,上記モータトルクと上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記サーボモータのモータ速度の推定値と,上記モータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなるモータ軸トルク補償器を用いて,上記モータ軸トルクの推定値を算定するものであり,上記初段負荷状態推定器が,上記モータ軸トルクの推定値の微分値と上記モータ速度の検出値とに応じて定める上記初段の負荷の負荷速度の補助推定値と,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値と上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記初段の負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる初段補償器を用いて,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値を算定するものであり,上記各段負荷状態推定器が,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値の微分値と上記(i−1)段目の負荷の負荷速度の推定値とに応じて定める上記i段目の負荷の負荷速度の補助推定値と,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値と上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値との差を積分して定める上記i段目の負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる各段補償器を用いて,上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値を算定するものであることを特徴とする負荷状態推定装置として構成されている。
【0008】
また,請求項3に係る発明は,上記請求項2に記載の負荷状態推定装置において,最終段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクとして推定されるトルクを上記サーボモータに外部から加わる負荷トルク外乱とすることをその要旨とする。
【0009】
上記請求項2又は3に記載の負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めるサーボモータのモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなるモータ軸トルク補償器により算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われるため,上記モータ軸トルクに関する推定ノイズが抑えられると共に,初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値とモータ軸トルクの推定値との差を積分して定める初段の負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める初段の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる初段補償器により上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,初段の負荷の負荷速度の推定が行われるため,初段の負荷の負荷速度,及び初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値を求める際に生じるノイズ成分の影響が排除され,しかも,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値とi段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値との差を積分して定めるi段目の負荷の負荷速度の推定値と,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値の微分値に応じて定めるi段目の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる各段補償器により上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,上記i段目の負荷の負荷速度の推定が行われるため,上記i段目の負荷の負荷速度,及び上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクを推定する際に生じるノイズ成分の影響が排除される。この結果,サーボモータに多質点機械系負荷が接続されている場合でも,負荷各段の負荷速度及び負荷間の結合軸トルク,及び負荷トルク外乱を精度良く推定して,制御の際の騒音振動の発生を抑え,サーボモータの安定制御に寄与することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照して,本発明の実施の形態につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明の具体的な一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,図1は本発明の一実施の形態に係る負荷状態推定装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す如く,本発明の一実施の形態に係る負荷状態推定装置は,図3及び図5に示した従来装置と,負荷4を駆動するサーボモータ1のモータ電流指令IA から定めた上記サーボモータ1のモータトルクTA と上記サーボモータのモータ速度の検出値ωM とに基づいて上記サーボモータ1のモータ軸トルクTL1(TL )を推定するモータ軸トルク推定部3と,上記モータ軸トルク推定部3により推定された上記モータ軸トルクの推定値TL1 * (TL * )と上記モータ速度の検出値ωM とに基づいて,上記負荷4の負荷速度ωL1(ωL ),及び上記負荷4に外部から加わる負荷トルク外乱TD を推定する負荷状態推定部5とを具備する点で同様である。
一方,本実施の形態に係る負荷状態推定装置が,従来装置と異なるのは,図1に示す如く,上記モータ軸トルク推定部3が,上記モータトルクTA と上記モータ軸トルクの推定値TL1 * との差を積分して定める上記サーボモータ1のモータ速度の推定値ωM * と,上記モータ速度の検出値ωM とが等しくなるように,積分要素301及び比例要素302からなるI−P補償器(第1の補償器の一例)303を用いて,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * を算定するものであり,上記負荷状態推定部5が,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * の微分値と上記モータ速度の検出値ωM とに応じて定める上記負荷の負荷速度の補助推定値ωL12 * と,上記負荷トルク外乱の推定値TD * と上記モータ軸トルクの推定値TL1 * との差を積分して定める上記負荷の負荷速度の推定値ωL11 * とが等しくなるように,積分要素501と比例要素502とからなるI−P補償器(第2の補償器の一例)503を用いて,上記負荷トルク外乱の推定値TD * を算定するものである点である。
尚,I−P補償器303及び503の積分要素301,501,及び比例要素302,502にはそれぞれ適当な値のゲイン定数KI ,Kp が与えられ,図1の例では同じ記号を付しているが,このゲイン定数KI ,Kp は必ずしも同じ値を意味するものではない。
【0011】
以下,上記負荷状態推定装置の詳細について説明する。
上記負荷状態推定装置において,モータ軸トルク推定部3には,サーボモータ1のモータトルクTA とサーボモータの回転速度の検出値ωM とが供給される。上記モータトルクTA は,例えばサーボモータ1に与えられるモータ電流指令IA に基づいて算出される。尚,モータ電流指令IA の代わりにモータ電流の検出値を用いることも可能である。また,上記サーボモータ1の回転速度ωM は,例えばモータ軸11に接続されたタコジェネレータやパルスエンコーダ等の速度検出器2により検出される(図3参照)。
上記モータ軸トルク推定部3では,上記(1)式に基づいて負荷4の負荷速度の推定値ωM * が求められ,この推定値ωM * が負荷速度の検出値ωM と等しくなるようにI−P補償器303によりモータ軸トルクの推定値TD * の算定が行われる。
即ち,モータトルクTA と,上記サーボモータ1と負荷4とを連結するモータ軸11のモータ軸トルクの推定値TL1 * との差が求められ,この差がモータイナーシャJM と同じ時定数JM * を備えた積分器304で積分され,上記サーボモータのモータ速度の推定値ωM * が求められる。
そして,上記モータ速度の推定値ωM * ,及び上記モータ速度の検出値ωM と上記モータ速度の推定値ωM * の差は,I−P補償器303の比例要素302及び積分要素301にそれぞれ供給され,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * が求められる。
上記モータ軸トルクの推定値TL1 * が実際のモータ軸トルクTL1と等しい場合には,上記モータ速度の推定値ωM * と上記モータ速度の検出値ωM とが等しくなるが,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * が実際のモータ軸トルクTL1と等しくない場合には,上記モータ速度の推定値ωM * と上記モータ速度の検出値ωM とが等しくなくなるため,上記I−P補償器303により上記モータ速度の推定値ωM * と上記モータ速度の検出値ωM とが等しくなるように,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * が算定される。
式で表せば,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * は,例えば次式(7)に従って算定される。
L1 * =Kp ωM * −(KI /s)(ωM −ωM * ) (7)
このように,上記モータ軸トルク推定部3では,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * の推定が,上記(4)式を用いて行われず,モータトルクTA とモータ軸トルクの推定値TL1 * との差を積分して定めたモータ速度の推定値ωM * と検出値ωM とが等しくなるように上記I−P補償器303により上記モータ軸トルクの推定値TL1 * が算定されて,実際のモータ軸トルクTL1と等しくされるから,推定時のノイズ増大が抑えられる。
【0012】
また,負荷状態推定部5には,上記モータ軸トルク推定部3により推定された上記モータ軸トルクの推定値TL1 * と上記モータ速度の検出値ωM とが供給され,これらに基づいて負荷速度の推定値ωL11 * と負荷に外部から加わる負荷トルク外乱の推定値TD * とが推定される。
特に,この負荷状態推定部5では,上記(5)式に基づく負荷速度の推定だけでなく,上記(6)式に基づく負荷速度の推定も行われる。
より具体的には,2つの負荷速度の推定値ωL11 * ,ωL12 * は次式(8),(9)に従ってそれぞれ求められる。
ωL11 * =(1/JL1 * s)(TL1 * −TD * ) (8)
ωL12 * =ωM −(s/Kε1 * )TL1 * (9)
即ち,上記負荷状態推定部5において,上記モータ軸トルク推定部3により推定された上記モータ軸トルクの推定値TL1 * は,バネ定数Kε1 * を有する微分器504と,負荷イナーシャJL1と同じ時定数JL1 * を有する積分器505とに供給される。
上記微分器504により微分された上記モータ軸トルクの推定値TL1 * と上記負荷4の負荷速度の検出値ωM との差に応じて,上記負荷4の負荷速度の補助推定値ωL12 * が求められる。
このように上記負荷速度の補助推定値ωL12 * を上記(9)式に従って推定する際には,モータ軸トルクの推定値TL1 * のノイズが抑えられていたとしても,従来装置と同様,微分処理が行われるため,推定ノイズが生じる恐れがある。
この推定ノイズの影響を排除するために,上記負荷状態推定部5では,上記補助推定値ωL12 * が参照されるものの,最終的な負荷速度の推定値としては,上記(8)式に従ったωL11 * が用いられる。
上記負荷速度の推定値ωL11 * は,上記モータ軸トルク推定部3により推定されたモータ軸トルクの推定値TL1 * と負荷トルク外乱の推定値TD * との差が,上記積分器505に供給されることにより求められる。
上記負荷トルク外乱の推定値TD * は,積分要素501及び比例要素502からなるI−P補償器503により,次式(10)に従って,上記負荷速度の推定値ωL11 * と補助推定値ωL12 * とが,等しくなるように算定されるものである。
D * =Kp ωL11 * −(KI /s)(ωL12 * −ωL11 * ) (10)
仮に負荷トルク外乱の推定値TD * が実際の負荷トルク外乱TD と等しい場合には,上記負荷速度の推定値ωL11 * と補助推定値ωL12 * とは等しくなり,上記負荷トルク外乱の推定値TD * が実際の負荷トルク外乱TD と等しくない場合には,上記負荷速度の推定値ωL11 * と補助推定値ωL12 * とは等しくならず,その差が上記I−P補償器503の積分要素501に,上記負荷速度の推定値 ωL11 * が上記I−P補償器503の比例要素502にそれぞれ供給され,上記積分要素501と比例要素502との出力の差が反転され,その反転出力が,実際の負荷トルク外乱TD と一致するよう算定された負荷トルク外乱の推定値TD * として出力される。
【0013】
従って,上記負荷状態推定部5では,負荷速度の補助推定値ωL12 * と等しいながら,推定ノイズの少ない積分器505から出力された負荷速度の推定値ωL11 * が負荷速度の推定値として用いられることになる。しかも,上記負荷速度の推定の際に,負荷トルク外乱の推定値TD * の算定も行われるが,これも比例要素を有しない上記I−P補償器505により行われるため,ノイズ成分の少ない負荷速度の推定値ωL11 * 及び負荷トルク外乱の推定値TD * を制御装置6に供給して安定制御に貢献することができる。
このように,本実施の形態に係る負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めたモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われると共に,サーボモータのモータ軸トルクの推定値と負荷トルク外乱との差を積分して定めた負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる補償器により負荷トルク外乱の推定値が算定されて負荷速度の推定が行われるため,各状態変数を推定する際に生じるノイズ成分を抑えた精度の良い負荷速度や負荷トルク外乱の推定値を制御装置に供給して,サーボモータを制御する際の騒音振動発生の低減に貢献することができる。
【0014】
【実施例】
上記実施の形態では,単独の負荷4がサーボモータ1に接続されている場合について説明したが,これに限られるものではなく,複数の負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷について本発明を適用することも可能である。例えば2つの負荷が接続された場合の本発明に係る負荷状態推定装置の概略構成に関するブロック図を図2に示す。
2つの負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷の場合,本発明に係る負荷状態推定装置の推定対象となる状態変数は,図2に示す如く,モータ軸トルクTL1,初段の負荷の負荷速度ωL1(ωL11 ),初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクTL2,最終段である2段目の負荷の負荷速度ωL2(ωL12 ),及び最終段の負荷に外部から加わる負荷トルク外乱TD である。
尚,負荷トルク外乱TD は,本発明に係る負荷状態推定装置においては,最終段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクに相当する。
【0015】
そして,本実施例に係る負荷状態推定装置は,図2に示す如く,複数の負荷を結合軸により直列的に連結した多質点機械系負荷を駆動するサーボモータのモータ電流指令IA (或いはモータ電流の検出値)から定めた上記サーボモータのモータトルクTA と上記サーボモータのモータ速度の検出値ωM とに基づいて,上記サーボモータのモータ軸トルクTL1(TL )を推定するモータ軸トルク推定部3と,上記モータ軸トルク推定部3により推定された上記モータ軸トルクの推定値TL1 * (TL * )と上記モータ速度の検出値ωM とに基づいて,上記サーボモータに結合された初段の負荷の負荷速度ωL1(ωL )と上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクTL2 * (TLi+1 * )とを推定する初段負荷状態推定器51(5)と,初段((i−1)段目に相当)の負荷の負荷速度の推定値ωL1 * と,上記初段の負荷と2段目(i段目に相当)の負荷との間の結合軸トルクの推定値TL2 * とに基づいて,上記2段目の負荷の負荷速度ωL2(ωLi)と上記2段目の負荷と3((i+1)段目に相当)の負荷との間の結合軸トルク,即ち負荷トルク外乱TD とを推定する各段負荷状態推定器52(5)とを具備する点で従来装置と同様である。
【0016】
一方,本実施例に係る負荷状態推定装置が,従来装置と異なるのは,上記モータ軸トルク推定部3が,上記モータトルクTA と上記モータ軸トルクの推定値TTL1 * との差を積分器304により積分して定める上記サーボモータのモータ速度の推定値ωM * と,上記モータ速度の検出値ωM とが等しくなるように,積分要素301及び比例要素302からなる補償器303(モータ軸トルク補償器に相当)を用いて,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * を算定するものであり,上記初段負荷状態推定器51が,上記モータ軸トルクの推定値TL1 * の微分値と上記モータ速度の検出値ωM とに応じて定める上記初段の負荷の負荷速度の補助推定値ωL12 * と,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値TL2 * と上記モータ軸トルクの推定値TL1 * との差を積分器5051(505)により積分して定める上記初段の負荷の負荷速度の推定値ωL11 * とが等しくなるように,積分要素5011(501)及び比例要素5021(502)からなる補償器5031(503)(初段補償器に相当)を用いて,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値TL2 * を算定するものであり,上記各段負荷状態推定器52が,上記初段の負荷と2段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値TL2 * の微分値と上記初段の負荷の負荷速度の推定値ωL11 * とに応じて定める上記2段目の負荷の負荷速度の補助推定値ωL22 * と,上記初段の負荷と2段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値TL2 * と上記2段目の負荷と3段目((i+1)段目に相当)の負荷との間の結合軸トルクの推定値,即ち負荷トルク外乱の推定値TD * との差を積分器5052(505)により積分して定める上記2段目の負荷の負荷速度の推定値ωL21 * とが等しくなるように,積分要素5012(501)及び比例要素5022(502)からなる補償器5032(503)(各段補償器に相当)を用いて,上記負荷トルク外乱の推定値TD * を算定するものである点である。
【0017】
また,本実施例に係る負荷状態推定装置のモータ軸トルク推定部3は,上記実施の形態に係る負荷状態推定装置のものと全く同様である。本実施例に係る負荷状態装置が,上記実施の形態に係る負荷状態推定装置と異なるのは,上記実施の形態に係る負荷状態推定部5が,サーボモータ1に接続された負荷に応じた数だけ追加された点である。
即ち,本実施例に係る負荷状態推定装置の初段負荷状態推定器51の基本的構成は,上記実施の形態に係る負荷状態推定装置の負荷状態推定部5と同様である。異なるのは,上記初段負荷状態推定器51により推定される状態変数が,負荷トルク外乱TD ではなく,初段の負荷とその次段である2段目の負荷とを結合する結合軸の結合軸トルクTL2である点である。
また,本実施例に係る負荷状態推定装置の各段負荷状態推定器52の基本的構成も,上記実施の形態に係る負荷状態推定装置の負荷状態推定部5と同様である。異なるのは,モータ速度の検出値ωM とモータ軸トルク推定部3からのモータ軸トルクの推定値TL1 * とが供給されるのではなく,初段負荷状態推定器51から初段の負荷の負荷速度の推定値ωL11 * と初段の負荷と2段目の負荷との間の結合軸トルクTL2とが供給され,これに基づいて,2段目の負荷の負荷速度ωL21 が推定される点である。
上記初段負荷状態推定器51及び各段負荷状態推定器52の詳細についても,上記相違点を除き上記負荷状態推定部5と同様である。
【0018】
また,上記例では,簡単のため,2つの負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷を対象としたが,もちろん3つ以上の負荷が結合軸により直列的に連結された多質点機械系負荷に本発明を適用することも可能である。この場合には,負荷の数に対応して負荷状態推定部5が追加され,多段接続されることになる。
各段負荷状態推定部52,…の構成に係る上記(8)式及び(9)式を,n段目(nは2以上の整数)の負荷に対して一般化すれば,次式(11)及び(12)のように表すことができる。
ωLn1 * =(1/JLn * s)(TLn * −TL(n+1) * ) (11)
ωLn2 * =ωL(n-1)1 * −(s/Kεn * )TLn * (12)
また,n段目と(n+1)段目との間の結合軸トルクの推定値TL(n+1) * は,次式(13)に従って算定される。
L(n+1) *=Kp ωLn1 * −(KI /s)(ωLn2 * −ωLn1 * ) (13)
尚,上記整数nが最終段に相当する数である場合には,上記(11)及び(13)式におけるTL(n+1) * は負荷トルク外乱の推定値TD * に相当する。
また,nが1の場合,各段負荷状態推定部52,…は初段負荷状態推定部51に相当し,上記(12)式におけるωL(n-1)1 * に代わりモータ速度の検出値ωM が用いられる。
上記(11)乃至(13)式に示される通り,多質点機械系負荷の状態変数を推定する場合には,負荷の数だけ負荷状態推定部を直列に多段接続すればよい。このような本実施例に係る負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めるサーボモータのモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなるモータ軸トルク補償器により算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われるため,上記モータ軸トルクに関する推定ノイズが抑えられると共に,初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値とモータ軸トルクの推定値との差を積分して定める初段の負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める初段の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる初段補償器により上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,初段の負荷の負荷速度の推定が行われるため,初段の負荷の負荷速度,及び初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値を求める際に生じるノイズ成分の影響が排除され,しかも,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値とi段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値との差を積分して定めるi段目の負荷の負荷速度の推定値と,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値の微分値に応じて定めるi段目の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる各段補償器により上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,上記i段目の負荷の負荷速度の推定が行われるため,上記i段目の負荷の負荷速度,及び上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクを推定する際に生じるノイズ成分の影響が排除される。この結果,サーボモータに多質点機械系負荷が接続されている場合でも,負荷各段の負荷速度及び負荷間の結合軸トルク,及び負荷トルク外乱を精度良く推定して,制御の際の騒音振動の発生を抑え,サーボモータの安定制御に寄与することができる。このような負荷状態推定装置も本発明における負荷状態推定装置の一例である。
また,上記実施の形態及び実施例では,積分要素及び比例要素からなる各補償器にI−P補償器303,503を用いたが,これは好適な例であり,例えばPI補償器を用いることも可能である。但し,PI補償器を用いた場合には,I−P補償器を用いた場合と比べ,各段の負荷の負荷速度の推定値ωLn1 * の推定ノイズが増加してしまう恐れがある。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した通り,上記請求項1に記載の負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めたモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように積分要素及び比例要素からなる第1の補償器により算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われると共に,サーボモータのモータ軸トルクの推定値と負荷に外部から加わる負荷トルク外乱との差を積分して定めた負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第2の補償器により上記負荷トルク外乱の推定値が算定されて,上記負荷速度の推定が行われるため,各状態変数を推定する際に生じるノイズ成分を抑えた精度の良い負荷速度や負荷トルク外乱の推定値を制御装置に供給して,サーボモータを制御する際の騒音振動発生の低減に貢献することができる。
【0020】
また,上記請求項2又は3に記載の負荷状態推定装置によれば,サーボモータのモータトルクとモータ軸トルクの推定値との差を積分して定めるサーボモータのモータ速度の推定値とモータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなるモータ軸トルク補償器により算定されて上記サーボモータのモータ軸トルクの推定が行われるため,上記モータ軸トルクに関する推定ノイズが抑えられると共に,初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値とモータ軸トルクの推定値との差を積分して定める初段の負荷の負荷速度の推定値と,上記モータ軸トルクの推定値の微分値に応じて定める初段の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる初段補償器により上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,初段の負荷の負荷速度の推定が行われるため,初段の負荷の負荷速度,及び初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値を求める際に生じるノイズ成分の影響が排除され,しかも,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値とi段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値との差を積分して定めるi段目の負荷の負荷速度の推定値と,(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値の微分値に応じて定めるi段目の負荷の負荷速度の補助推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる各段補償器により上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値が算定されて,上記i段目の負荷の負荷速度の推定が行われるため,上記i段目の負荷の負荷速度,及び上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクを推定する際に生じるノイズ成分の影響が排除される。この結果,サーボモータに多質点機械系負荷が接続されている場合でも,負荷各段の負荷速度及び負荷間の結合軸トルク,及び負荷トルク外乱を精度良く推定して,制御の際の騒音振動の発生を抑え,サーボモータの安定制御に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る負荷状態推定装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の一実施例に係る負荷状態推定装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】 従来の負荷状態推定装置を含むサーボモータの制御装置の概略構成を示す図。
【図4】 サーボモータと負荷とからなる系のブロック図。
【図5】 従来の負荷状態推定装置の概略構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…サーボモータ
3…モータ軸トルク推定部
4…負荷
5…負荷状態推定部
51…初段負荷状態推定器
52…各段負荷状態推定器
301,501…積分要素
302,502…比例要素
303,503…I−P補償器

Claims (3)

  1. 負荷を駆動するサーボモータのモータ電流或いはモータ電流指令から定めた上記サーボモータのモータトルクと上記サーボモータのモータ速度の検出値とに基づいて上記サーボモータのモータ軸トルクを推定するモータ軸トルク推定部と,
    上記モータ軸トルク推定部により推定された上記モータ軸トルクの推定値と上記モータ速度の検出値とに基づいて,上記負荷の負荷速度,及び上記負荷に外部から加わる負荷トルク外乱を推定する負荷状態推定部とを具備してなる負荷状態推定装置において,
    上記モータ軸トルク推定部が,上記モータトルクと上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記サーボモータのモータ速度の推定値と,上記モータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第1の補償器を用いて,上記モータ軸トルクの推定値を算定するものであり,
    上記負荷状態推定部が,上記モータ軸トルクの推定値の微分値と上記モータ速度の検出値とに応じて定める上記負荷の負荷速度の補助推定値と,上記負荷トルク外乱の推定値と上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる第2の補償器を用いて,上記負荷トルク外乱の推定値を算定するものであることを特徴とする負荷状態推定装置。
  2. 複数の負荷を結合軸により直列的に連結した多質点機械系負荷を駆動するサーボモータのモータ電流或いはモータ電流指令から定めた上記サーボモータのモータトルクと上記サーボモータのモータ速度の検出値とに基づいて,上記サーボモータのモータ軸トルクを推定するモータ軸トルク推定部と,
    上記モータ軸トルク推定部により推定された上記モータ軸トルクの推定値と上記モータ速度の検出値とに基づいて,上記サーボモータに結合された初段の負荷の負荷速度と上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクとを推定する初段負荷状態推定器と,
    (i−1)段目の負荷の負荷速度の推定値と,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値とに基づいて,上記i段目の負荷の負荷速度と上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクとを推定する各段負荷状態推定器とを具備してなる負荷状態推定装置において,
    上記モータ軸トルク推定部が,上記モータトルクと上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記サーボモータのモータ速度の推定値と,上記モータ速度の検出値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなるモータ軸トルク補償器を用いて,上記モータ軸トルクの推定値を算定するものであり,
    上記初段負荷状態推定器が,上記モータ軸トルクの推定値の微分値と上記モータ速度の検出値とに応じて定める上記初段の負荷の負荷速度の補助推定値と,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値と上記モータ軸トルクの推定値との差を積分して定める上記初段の負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる初段補償器を用いて,上記初段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクの推定値を算定するものであり,上記各段負荷状態推定器が,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値の微分値と上記(i−1)段目の負荷の負荷速度の推定値とに応じて定める上記i段目の負荷の負荷速度の補助推定値と,上記(i−1)段目の負荷とi段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値と上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値との差を積分して定める上記i段目の負荷の負荷速度の推定値とが等しくなるように,積分要素及び比例要素からなる各段補償器を用いて,上記i段目の負荷と(i+1)段目の負荷との間の結合軸トルクの推定値を算定するものであることを特徴とする負荷状態推定装置。
  3. 最終段の負荷とその次段の負荷との間の結合軸トルクとして推定されるトルクを上記サーボモータに外部から加わる負荷トルク外乱とする請求項2に記載の負荷状態推定装置。
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