JP3209056B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP3209056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の空燃比
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気通路に設けた空燃比セン
サにより機関排気空燃比を検出し、この排気空燃比に基
づいて機関への燃料供給量をフィードバック制御する内
燃機関の空燃比制御装置が知られている。例えばこの種
の空燃比制御装置としては、特開平6−280648号
公報に記載されたものがある。
【0003】同公報の装置は、エアフローメータの出力
と機関クランク回転角及び機関回転数とに基づいて気筒
内に吸入される吸入空気量を推定し、この吸入空気量推
定値を目標空燃比で割ることにより、気筒内燃焼空燃比
を目標空燃比にするために必要な燃料供給量(目標燃料
供給量)を推定する。また、上記吸入空気量推定値を、
排気系に配置した空燃比センサにより検出された排気空
燃比で割ることにより実際に気筒内に供給された燃料量
を推定する。
【0004】同公報の装置では、更に目標燃料供給量と
実際に気筒内に供給された燃料量とが一致するように、
すなわち目標燃料供給量と実際の燃料量との偏差の積分
値が0になるように目標燃料供給量を補正している。上
記のように目標燃料供給量を補正することにより、過渡
運転時においても機関空燃比を迅速に目標空燃比に収束
させることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
6−280648号公報の空燃比制御装置では、気筒内
に実際に供給された燃料量を高い精度で推定することが
できず、その結果、過渡運転時等に機関空燃比を迅速に
目標空燃比に収束させることができない場合が生じる。
【0006】ある気筒内に吸入される空気の合計量は、
その気筒の吸気行程が終了して吸気弁が閉弁した時点で
確定する。このため、各気筒の目標燃料供給量を正確に
算出するためには、各気筒の吸気弁閉弁時の機関運転パ
ラメータ(例えばエアフローメータ出力、機関回転数
等)を用いて気筒内に吸入された空気量を計算する必要
がある。ところが、例えば燃料噴射弁を用いて各気筒の
吸気ポートに燃料を噴射するような場合、燃料噴射は吸
気弁が開弁している間でなければ行うことができない。
このため、目標燃料供給量の算出も燃料噴射タイミング
に合わせて吸気弁開弁中に、すなわち吸気弁が閉弁して
気筒の吸入空気量が確定する以前に行う必要が生じる。
【0007】従って、吸入空気量の算出は吸気弁開弁中
の機関運転パラメータに基づいて行うことになり、過渡
運転時などのように機関運転状態が大きく変動する場合
には目標燃料供給量算出に用いる吸入空気量が実際に気
筒内に吸入された空気量と正確に一致しない場合が生じ
る。上記公報の装置では、実際に気筒内に供給された燃
料量を推定し、この燃料量と目標燃料供給量とが一致す
るように目標燃料供給量を補正しているため、実際に気
筒内に供給された燃料量が正確に推定されていれば、目
標燃料供給量の算出に用いた吸入空気量に多少の誤差が
あった場合でもこの誤差は修正され気筒内空燃比は正確
に目標空燃比に維持されるはずである。
【0008】ところが、上記公報の装置では、目標燃料
供給量算出に用いた吸入空気量をそのまま使用して実際
に気筒内に供給された燃料量を算出しているため、算出
した燃料量も誤差を含む場合が生じてしまう。このた
め、上記公報の装置では目標燃料供給量の補正を正確に
行うことができず、過渡運転時等に空燃比を目標空燃比
に迅速に収束させることができなくなる場合が生じてし
まうのである。
【0009】本発明は上記問題に鑑み、実際に気筒内に
供給された燃料量を正確に推定することにより空燃比制
御の精度を向上させ、過渡運転時にも空燃比を目標空燃
比に正確に収束させることを可能とする内燃機関の空燃
比制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、内燃機
関の運転状態パラメータに基づいて、気筒内に吸入され
る吸気量の推定値を算出する筒内空気量推定手段と、予
め定めた燃料供給量算出タイミングにおいて、該タイミ
ングにおける前記機関運転状態パラメータに基いて、気
筒閉弁時における運転状態パラメータの値を予測すると
ともに、該予測した運転状態パラメータを用いて前記筒
内空気量推定手段により気筒閉弁時の吸気量予測値を算
出し、該算出した気筒閉弁時の吸気量予測値に基づい
て、前記気筒の燃焼空燃比を目標空燃比にするために必
要な目標燃料供給量を算出する燃料供給量算出手段と、
前記気筒からの排気空燃比を検出する空燃比検出手段
と、空燃比検出手段により検出された前記気筒の排気空
燃比と、前記筒内空気量推定手段により算出された吸気
量推定値とに基づいて、実際に前記気筒内に供給された
燃料量を算出する筒内燃料量算出手段と、前記燃料供給
量算出タイミングにおいて、前記筒内燃料量算出手段に
より算出された前記燃料量と前記燃料供給量算出手段に
より算出された前記目標燃料供給量とが一致するよう
に、目標燃料供給量を補正する空燃比補正手段と、前記
空燃比補正手段による補正後の目標燃料供給量の燃料を
前記気筒に供給する燃料供給手段と、を備えた内燃機関
の空燃比制御装置において、前記筒内燃料量算出手段
は、前記排気空燃比と、前記気筒の前回の吸気弁閉弁時
における機関運転状態パラメータ実測値を用いて前記筒
内空気量推定手段により算出した吸気量推定値とに基づ
いて気筒内に実際に供給された燃料量を算出することを
特徴とする内燃機関の空燃比制御装置が提供される。
【0011】すなわち、本発明では、目標燃料供給量算
出手段による目標燃料供給量の算出と筒内燃料量算出手
段による実際に気筒内に供給された燃料量の算出、及び
空燃比補正手段による目標燃料供給量の補正は、いずれ
も気筒吸気弁閉弁タイミングより前の燃料供給量算出タ
イミングに行なわれることになる。しかし、本発明で
は、燃料供給量算出手段は次回の気筒吸気弁閉弁時の機
関運転パラメータの値を予測し、この予測値に基いて算
出された吸気量を用いて目標燃料供給量を算出するのに
対して、筒内燃料量算出手段は、前回の気筒吸気弁閉弁
時における機関運転パラメータの実測値に基づいて筒内
空気量推定手段により算出された吸気量を用いて気筒内
に実際に供給された燃料量を算出する。目標燃料供給量
は、次回の気筒吸気弁閉弁時の吸気量に基いて定める必
要があるため、次回の気筒吸気弁閉弁時の吸気量を予測
し、この予測値に基いて定める必要がある。これに対し
て、気筒内に実際に供給された燃料量は、前回気筒内で
燃焼したガスが空燃比検出手段に到達した時点で計算す
ることになるため、燃料供給量算出タイミングでは、筒
内燃料算出手段は前回の気筒吸気弁閉弁時の実際の運転
パラメータに基いて算出した吸気量を用いて気筒内に実
際に供給された燃料量を算出することが可能である。本
発明では、目標燃料供給量の算出には吸気量の予測値を
使用するものの、実際に気筒内に供給された燃料量の算
出には予測値を使用せず、実際の運転パラメータを用い
て算出した値を用いる。これにより、気筒内に実際に供
給された燃料量は吸気量の予測誤差を含まない正確な値
となるため、過渡運転時においても機関空燃比が迅速に
目標空燃比に収束するようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施形態について説明する。図1は本発明を自動車用内燃
機関に適用した場合の全体構成を示す概略図である。図
1において、1は内燃機関本体を示す。本実施形態では
内燃機関1は多気筒機関が使用されており、図1はその
うちの1つの気筒についてのみ示しているが、他の気筒
についても同一の構成となっている。
【0013】図1において、2は機関1の吸気管、16
は吸気管2に配置され運転者のアクセルペダル21の操
作量に応じた開度をとるスロットル弁、2aは吸気管2
に設けられたサージタンク、2bは各気筒の吸気ポート
とサージタンク2aとを接続する吸気マニホルド、7は
機関1の各気筒の吸気ポートに加圧燃料を噴射する燃料
噴射弁を示す。
【0014】本実施形態では、スロットル弁16には、
スロットル弁開度に応じた電圧信号を発生するスロット
ル開度センサ17が配置されており、また、サージタン
ク2aにはサージタンク内の絶対圧力に応じた電圧信号
を発生する吸気管圧力センサ3が接続されている。一
方、図1において11は各気筒の排気ポートを共通の集
合排気管14に接続する排気マニホルドを示している。
図示していないが、集合排気管14には、排気の空燃比
が理論空燃比近傍のときに排気中のHC、CO、NOX
の三成分を同時に浄化可能な三元触媒が配置されてい
る。排気マニホルド11の各気筒からの排気が合流する
排気合流部には空燃比センサ13が設けられている。本
実施形態では、空燃比センサ13は排気中の酸素濃度を
検出し空燃比に比例したリニア出力電圧を発生するリニ
ア出力型空燃比センサが使用されている。
【0015】図1において、機関本体1のシリンダブロ
ックのウォータジャケット8には、冷却水の温度を検出
するための水温センサ9が設けられている。水温センサ
9は冷却水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発
生する。なお、上述の空燃比センサ13、スロットル弁
開度センサ17、吸気管圧力センサ3及び水温センサ9
の出力信号は、後述するECU10のマルチプレクサ内
蔵A/D変換器101に入力される。
【0016】図1に5、6で示すのは、それぞれ機関1
のクランク回転角を検出するクランク角センサである。
クランク角センサ5は、機関1のカム軸(図示せず)近
傍に設けられ、カム軸回転角が、例えばクランク軸回転
角に換算して720°毎に基準位置検出用パルス信号を
発生する。また、クランク角センサ6は、クランク軸近
傍に設けられ、クランク軸回転角30°毎にクランク角
検出用パルス信号を発生する。これらクランク角センサ
5、6のパルス信号はECU10の入出力インターフェ
イス102に供給され、このうちクランク角センサ6の
出力はCPU103の割込み端子に供給される。
【0017】ECU(電子制御ユニット)10は、たと
えばマイクロコンピュータとして構成され、A/D変換
器101、入出力インターフェイス102、CPU10
3の他に、ROM104、RAM105、バックアップ
RAM106、クロック発生回路107等が設けられて
いる。本実施形態では、ECU10は、機関1の燃料噴
射弁7を制御し、後述する燃料噴射量演算ルーチンで算
出された量の燃料を気筒の吸気ポートに噴射する燃料噴
射制御を行う。
【0018】ECU10の、ダウンカウンタ108、フ
リップフロップ109、および駆動回路110は燃料噴
射弁7を制御するためのものである。すなわち、後述の
ルーチンにおいて、燃料噴射量(噴射時間)TAUが演
算されると、噴射時間TAUがダウンカウンタ108に
プリセットされると共にフリップフロップ109がセッ
トされる。この結果、駆動回路110が燃料噴射弁7の
付勢を開始する。他方、ダウンカウンタ108がクロッ
ク信号(図示せず)を計数して最後にその出力端子が
“1”レベルとなったときに、フリップフロップ109
がリセットされて駆動回路110は燃料噴射弁7の付勢
を停止する。つまり、上述の燃料噴射時間TAUだけ燃
料噴射弁7は付勢され、時間TAUに応じた量の燃料が
機関1の燃焼室に供給されることになる。
【0019】機関の回転数(回転速度)データは、クラ
ンク角センサ6のパルス間隔に基づいて所定のクランク
角毎(例えば30°毎)の割込により演算され、RAM
105の所定領域に格納される。つまり、RAM105
には常に最新の回転速度データが格納されている。次
に、本実施形態の機関の燃料噴射量算出について説明す
る。
【0020】本実施形態においては、燃料噴射量(各燃
料噴射弁の噴射時間)TAUは、各気筒の吸入空気量と
機関回転数とに基づいて以下の式から算出される。 TAU=PMGA×KINJ×α+ΔTAU ……(1) ここで、PMGAは吸気弁開弁中にそれぞれの気筒定に
流入する空気量を表す吸入空気量パラメータであり、後
述するようにスロットル弁開度と機関回転数及び吸気管
圧力センサ3出力とに基づいて算出される吸気管圧力
と、機関回転数とを用いて算出される。
【0021】また、(1)式において、KINJは吸入
空気量パラメータ(PMGA)を基本燃料噴射量(PM
GA×KINJ)に換算するための換算定数である。な
お、基本燃料噴射量(PMGA×KINJ)はそれぞれ
の気筒内燃焼空燃比を目標空燃比(理論空燃比)とする
ために必要な燃料量である。更に、αは機関の暖機状態
や他の運転状態から決定される補正係数、ΔTAUは空
燃比補正量である。空燃比補正量ΔTAUは、実際に気
筒内に供給された燃料量ATAUと燃料噴射弁7からの
燃料噴射量TAUとの偏差に基づいて算出され、ATA
UとTAUとの偏差の積分値が0になるように設定され
る。
【0022】上記(1)式から判るように、本実施形態
において機関の燃料噴射量TAUは、吸気管圧力と機関
回転数とから算出された各気筒の吸入空気量(PMG
A)に基づいて、先ず基本燃料噴射量(PMGA×KI
NJ)を算出し、この基本燃料噴射量を暖機運転等の機
関の運転状態(α)と、実際に気筒内に供給された燃料
量ATAU応じて補正することにより求められる。
【0023】次に、本実施形態の吸入空気量パラメータ
PMGAの算出方法について説明する。通常の機関で
は、機関が定常状態で運転されている場合(すなわち、
機関回転数NEとスロットル弁開度TAが一定に維持さ
れている場合)には、吸気管圧力はTAとNEとの関数
となり、TAとNEとが定まれば吸気管圧力PMは一義
的に決定される。また、各気筒の吸入空気量PMGAは
吸気管圧力PMと充填効率KTPの積として算出される
(すなわち、PMGA=PM×KTP)。更に、充填効
率KTPは、スロットル弁開度TAと機関回転数NEと
から一義的に決定される。すなわち、吸入空気量PMG
Aはスロットル弁開度TAと機関回転数NEとを用いて
算出することができる。
【0024】本実施形態では、予め実際の機関を用いて
機関定常運転時に、機関回転数NEとスロットル弁開度
TAとの各条件での吸気管圧力PMを計測し、この吸気
管圧力PMの値をTAとNEとを用いたマップの形でE
CU10のROM104に格納してある。機関運転中、
ECU10はスロットル開度センサ17で検出したスロ
ットル弁開度TAと機関回転数NEとを用いて、このマ
ップから機関定常運転における吸気管圧力を算出する。
なお、このTAとNEとのマップとして与えられる吸気
管圧力は標準状態における定常運転時の値であり、実際
に吸気管圧力センサ3で検出された値とは異なる場合が
ある。そこで、以下の説明では、吸気管圧力の実測値
(吸気管圧力センサ3で検出した値)をPM、上記マッ
プにTAとNEとの関数として格納された吸気管圧力の
値をPMTA、と呼び両者を区別することにする。
【0025】ところで、前述したように、実際に気筒内
に吸入された空気量が確定するのは気筒の吸気弁が閉弁
した時点である。また、実際の運転においても各気筒の
吸気弁閉弁時における吸気管圧力が最も正確に気筒内に
吸入された空気量に対応している。ところが、気筒内に
燃料を供給するためには燃料噴射弁7から吸気弁開弁中
に燃料噴射を行う必要があり、吸気弁が閉弁する前に吸
入空気量PMGAを算出する必要が生じる。このため、
本実施形態では燃料噴射タイミング(吸気弁開弁中)に
おけるPMTAとPMの値とを用いて吸気弁閉弁時の吸
気管圧力を予測し(以下吸気弁閉弁時の吸気管圧力予測
値をPMFWDと呼ぶ)、この予測値PMFWDに基づ
いて吸入空気量PMGAを算出している。
【0026】以下、PMFWDの算出について説明す
る。TAとNEとを用いてマップから読みだされる、定
常運転における吸気管圧力PMTAの値は、スロットル
弁開度TAまたは機関回転数NEが変化すれば直ちに変
化するが、実際の吸気管圧力PMはTA、NEが変化し
ても直ちに変化後のPMTAにはならず、ある遅れ時間
を持って変化する。
【0027】図2は、TA、NE等の変化により吸気管
圧力のマップ値PMTAがステップ状に変化した場合の
実際の吸気管圧力PMの変化を説明する図である。図2
に示すように、PMTAがステップ状に変化すると、P
Mは比較的緩やかに変化して、ある時間経過後に変化後
のPMTAに到達する。このPMの挙動はPMTAの変
化に対して一次遅れ応答系で近似することができる。こ
のため、現在の吸気管圧力は過去の吸気管圧力と現在の
PMTAとの値から一時遅れ応答モデルを用いて計算す
ることができる。すなわち、現在の吸気管圧力の計算値
をPMCRTとすると、PMCRTは以下の一時遅れ応
答式を用いて表すことができる。
【0028】 PMCRT=PMCRTi-1 +(PMTA−PMCRTi-1 )×(1/N) ……(2) ここでPMCRTは現在の吸気管圧力(計算値)、PM
CRTi-1 は現在より時間Δt前の吸気管圧力、PMT
Aは現在のスロットル弁開度TAと機関回転数NEとか
ら定まる定常状態における吸気管圧力(マップ値)であ
る。
【0029】また、Nは重み付け係数であり、一次遅れ
応答の時定数Tと上記Δtとを用いて、N=T/Δtと
して表される。時定数Tはスロットル弁開度TAと機関
回転数NEとにより定まる値であり、実際の機関を用い
て予め実験によりTAとNEとの関数として求めること
ができる。なお、スロットル弁開度TAと機関回転数N
Eとで定常状態での吸気管圧力PMTAが一義的に定ま
るので、本実施形態ではスロットル弁開度TAと機関回
転数NEとに代えて、定常状態での吸気管圧力PMTA
と機関回転数NEとの関数として時定数Tを求めるよう
にしている。
【0030】本実施形態では、機関始動時にPMCRT
=PMTAの初期値を用いて上記の(2)式の計算を開
始し、以後機関運転中時間Δt毎に上記(2)式の計算
を繰り返すことにより、機関始動時からの逐次計算の結
果として現在の吸気管圧力PMCRTが算出される。な
お、(2)式から明らかなように、機関定常運転(すな
わちPMTAが一定の状態での運転)がある程度継続す
るとPMCRTの値はPMTAに一致するようになる。
【0031】ところで、上記により算出されるPMCR
Tは現在の吸気管圧力の値であるが、前述のように、実
際に気筒に吸入される空気量を最も良く反映しているの
は各気筒の吸気弁閉弁時の吸気管圧力の値であるため、
正確に吸入空気量PMGAを算出するためには吸気弁閉
弁時の吸気管圧力を用いて計算を行うことが好ましい。
一方、吸気管圧力の応答を図2に示したように一次遅れ
応答系で近似して現在の吸気管圧力PMCRTを算出し
たのであるから、仮にPMTAが変化後一定に維持され
るとすれば同じ一次遅れ応答モデルを用いてさらに
(2)式の逐次計算を繰り返すことにより、現在(PM
CRT算出時点)より先の時点の吸気管圧力を予測する
ことが可能である。すなわち、PMCRTを算出後、同
じPMTAの値を用いて(2)式の計算を1回実施すれ
ば、現在からΔt経過後の吸気管圧力が計算され、
(2)式の計算を2回繰り返せば2×Δt経過後の吸気
管圧力が計算される。つまり、現在(PMCRT算出時
点)から次にいずれかの気筒の吸気弁が閉弁するまでの
時間をLとすると、算出したPMCRTの値を初期値と
して、現在のPMTAを用いて(2)式の計算をL/Δ
t回繰り返すことにより次にいずれかの気筒が閉弁する
ときの吸気管圧力計算することができる。ここで、次に
いずれかの気筒の吸気弁が閉弁するときの吸気管圧力の
計算値をPMVLVと呼ぶと(図3参照)、 PMCRT i+1 =PMCRT +( PMTA−PMCRT )×( 1/N ) PMCRT i+2 =PMCRT i+1 +( PMTA−PMCRT i+1 ) ×( 1/N ) …………(P回繰り返し。但しP=L/Δt)………… PMVLV =PMCRT i+P =PMCRT i+P-1 +( PMTA−PMCRT i+P-1 ) ×( 1/N ) の逐次計算によりPMVLVが算出される。
【0032】また、上記逐次計算に使用したPMTAの
値は現在のTAとNEとに基づくマップ値であるが、例
えばTA、NEの値、特にTAの値は過渡運転時(急加
速時、急減速時)などには短時間で大きく変化する場合
がある。このため、現在の吸気管圧力PMCRTから上
記逐次計算によりPMVLVを算出する場合には、吸気
弁閉弁時のTAの値に基づいてPMTAをもとめるほう
がPMVLV値が正確になる。そこで、本実施形態で
は、以下の式により吸気弁閉弁時のスロットル弁開度T
AOを予測し、このTAOと現在の機関回転数NEとを
用いてマップから読みだしたPMTAの値を使用して上
記逐次計算を行う。
【0033】 すなわち、TAO=TA+(TA−TAi-1 )×L/Δt ……(3) 及び、 PMCRT i+1=PMCRT +( PMTAO −PMCRT )×( 1/NO) PMCRT i+2=PMCRT i+1 +( PMTAO −PMCRT i+1 ) ×( 1/NO) …………(P回繰り返し。但しP=L/Δt)………… PMVLV=PMCRT i+P =PMCRT i+P-1 +( PMTAO −PMCRT i+P-1 ) ×( 1/NO) ………(4) ここで、(3)式のTAOは吸気弁閉弁時のスロットル
弁開度の予測値、TAは現在のスロットル弁開度、TA
i-1 は現在から時間Δt前の時点でのスロットル弁開
度、Lは現在から吸気弁閉弁時までの時間、またPMT
AOはスロットル弁開度予測値TAOと現在の機関回転
数NEとを用いて求めた定常状態での吸気管圧力マップ
値である。また、NOは重み付け係数であり、スロット
ル弁開度予測値TAOと機関回転数NEとから定まる時
定数TOを用いてNO=TO/Δtとして求められる。
【0034】すなわち本実施形態では、現在より時間
Δt前の時点で算出した吸気管圧力計算値PMCRT
i-1 と現在の吸気管圧力マップ値PMTAとを用いて、
一次遅れ応答モデルから現在の吸気管圧力計算値PMC
RTを算出(上記(2)式)し、現在より時間Δt前
の時点のスロットル弁開度TAi-1 と現在のスロットル
弁開度TAとから現在から時間L経過後の(すなわち吸
気弁閉弁時の)スロットル弁開度TAOを予測(上記
(3)式)するとともに、このTAOと現在の機関回転
数NEとから吸気弁閉弁時の吸気管圧力マップ値の予測
値PMTAOを算出する。ついで上記予測値PMTA
Oとで算出した現在の吸気管圧力計算値PMCRTと
を用いて、逐次計算により吸気弁閉弁時の吸気管圧力計
算値(予測値)PMVLVを算出する(上記(4)
式)。
【0035】図3は、上記各吸気管圧力の関係を説明す
る図である。図3から判るように、本実施形態では現在
のスロットル弁開度TAと機関回転数NE、および現在
から時間Δt前の時点での吸気管圧力計算値PMCRT
i-1 とのみに基づいて、吸気弁閉弁時の吸気管圧力計算
値PMVLVを求めている。ところで、上記により吸気
管圧力計算値PMVLVに充填効率KTPを乗じること
により、一応の気筒吸入空気量を求めることが可能であ
るが、前述のようにPMVLVの値は機関始動時から逐
次計算される現在の吸気管圧力計算値PMCRTに基づ
いているため、PMVLVの値はPMCRTの逐次計算
に伴う定常的な誤差を含んでいる可能性がある。
【0036】このため、本実施形態では実際の吸気管圧
力測定値PMを用いてPMVLVの値が含む定常的な偏
差を補正してPMVLVの予測精度を高めている。図4
は、上記定常的偏差の補正原理を示す図である。図4に
おいて、横軸は時間を、縦軸は吸気管圧力をそれぞれ表
している。また、カーブAは吸気管圧力計算値PMCR
Tの変化を、カーブBは実際に吸気管圧力センサ3で測
定した吸気管圧力実測値PMの時間的変化の例を示して
いる。吸気管圧力センサ3出力は、実際の吸気管圧力変
化に対して図2で示したのと同様な応答遅れ(センサ応
答遅れ)があるため、吸気圧力計算値PMCRTと実測
値PMとの間には前述の定常的偏差分だけでなくセンサ
応答遅れ分も含めた差が生じている。
【0037】また、図4においてカーブCは、カーブA
に対してセンサ応答遅れに相当する一次遅れ応答のカー
ブを示す。すなわち、カーブAとカーブCとの差(図
4、ΔD)はセンサ応答遅れを表している。従って、仮
に吸気管圧力計算値PMCRTが逐次計算による定常的
な偏差を全く含んでいないとすれば、吸気管圧力センサ
3の出力は図4カーブCに示したように変化することに
なるため、カーブCとカーブB(実際の吸気管圧力セン
サ3出力)との差(図4、ΔPD)は吸気管圧力計算値
PMCRTが含む定常的偏差を表すことになる。
【0038】また、図4カーブC(すなわち、PMCR
Tに対応する計算上の吸気管圧力センサ3出力、以下こ
の計算上のセンサ3出力値をPMCRT4と呼ぶ)、は
カーブA(PMCRT)に対して一次遅れの特性を示す
ため、前述の(2)式と同様に、 PMCRT4 =PMCRT4i-1 +(PMCRT−PMCRT4i-1 )×(1/M) ……(5) として算出することができる。ここでPMCRT4は現
在の計算上のセンサ3出力、、PMCRT4i-1 は現在
より時間Δs前のPMCRT4の値、PMCRTは現在
の吸気管圧力計算値であり、前述の(2)式から算出さ
れた値である。また、Mは重み付け係数であり、吸気管
圧力センサの応答遅れの時定数Sと上記時間Δsとを用
いて、M=S/Δsとして表される。時定数Sは実際の
センサを用いて予め実験により求められる定数である。
【0039】PMCRTが含む定常的偏差ΔPDは、前
述したように、ΔPD=PMCRT4−PMとして表さ
れる(図4)。この定常的偏差ΔPDは略一定な値とな
るため、偏差を修正したPMVLVの値、すなわち吸入
空気量PMGAの算出に用いるべき吸気弁閉弁時の吸気
管圧力予測値PMFWDは、 PMFWD=PMVLV−ΔPD=PMVLV−PMCRT4+PM…(6) として表される。
【0040】また、同様に定常偏差ΔPDを修正した現
在の真の吸気管圧力PMTRは、 PMTR=PMCRT−ΔPD=PMCRT−PMCRT4+PM…(7) となる。本実施形態では燃料噴射量算出(前述の(1)
式)の際に使用する吸入空気量PMGAは上記吸気弁閉
弁時の吸気管圧力予測値PMFWDを用いて算出し、空
燃比補正量ΔTAUの算出には前回同じ気筒で燃料噴射
を行ったときの実際の吸気弁閉弁時の吸気管圧力PMT
Rに基づいて算出した吸入空気量PMGRを使用する。
【0041】このように、基本燃料噴射量算出と空燃比
補正量算出とで異なる吸気管圧力を使用する理由は以下
の通りである。すなわち、燃料噴射弁から吸気ポートへ
の燃料噴射は吸気弁が閉弁する前に行う必要がある。こ
のため、基本燃料噴射量は吸気弁が閉弁して気筒内の空
気量が確定するのを待たずに算出しなければならない。
そこで、本実施形態では吸気弁開弁中の機関運転パラメ
ータから吸気弁閉弁時の吸気管圧力PMFWDを予測し
て基本燃料噴射量を算出している。しかし、この吸気管
圧力予測時点と実際の吸気弁閉弁時とは時間L(図4)
だけ隔たりがあるため、特に機関運転状態の変化が大き
い場合等には実際の吸気弁閉弁時の吸気管圧力と予測値
PMFWDとの差が大きくなる場合がある。前述のよう
に、実際の燃料噴射量TAUは基本燃料噴射量を空燃比
補正量ΔTAUで補正した値が用いられるため、ΔTA
Uを精度良く設定すればPMFWDの予測誤差も補正さ
れるはずである。ところが、ΔTAUの算出にも基本燃
料噴射量算出と同じPMFWDを用いていたのでは、補
正量ΔTAUそのものがPMFWDの予測誤差を含んで
しまうことになり、実際の燃料噴射量TAUの誤差を修
正することができない。
【0042】一方空燃比補正量ΔTAUは、気筒内に実
際に供給された燃料量と上記目標燃料量(基本燃料量)
との偏差に基づいて算出されるが、この実際の筒内燃料
量の算出タイミングは、筒内で燃焼したガスが排気マニ
ホルド11の空燃比センサ13に到達した時点、すなわ
ち吸気弁が閉弁して吸入空気量が確定した後となる。従
って、ΔTAUの演算には基本燃料噴射量算出時のよう
な時間的制約がなく、実際の吸気弁閉弁時の吸気管圧力
を使用することが可能である。そこで、本実施形態で
は、空燃比補正量ΔTAUの算出に用いる吸入空気量は
予測値PMFWDではなく実際の吸気弁閉弁時の吸気管
圧力(すなわち、実際に吸気弁が閉弁したときのPMT
R(上記(7)式))に基づいて算出するようにしてい
る。これにより、PMFWDの予測誤差を含まない正確
な空燃比補正量ΔTAUを設定することが可能となるた
め、燃料噴射量が運転状態に応じて正確に算出されるよ
うになり、過渡運転時においても機関空燃比を迅速に理
論空燃比に収束させることが可能となる。
【0043】図5、図6は本実施形態における吸入空気
量算出ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチ
ンは、ECU10により一定時間毎(例えば5から10
ms毎)に実行される。本ルーチンでは、ルーチン実行
毎に偏差ΔPD補正用の吸気管圧力センサ出力の計算値
PMCRT4が算出され(図5ステップ527)、ルー
チン2回実行毎に吸気管圧力計算値PMCRT、PMV
LV及びPMFWD、PMTRの各吸気管圧力が算出さ
れる。PMCRT4の算出間隔を他の圧力算出間隔の1
/2に設定したのは、偏差ΔPD(図4)の補正精度を
向上させるためである。
【0044】図5においてルーチンがスタートすると、
ステップ501ではカウンタCの値が1カウントアップ
される。ここで、Cはルーチンを2回実行する毎にステ
ップ541(図6)でクリアされるカウンタであり、P
MCRT4の値のみをルーチン実行毎に算出し、他の吸
気管圧力値をルーチン2回実行毎に算出するために用い
られる。
【0045】また、ステップ503では、吸気管圧力セ
ンサ3の検出した吸気管圧力実測値PMが読み込まれ、
次いでステップ505ではカウンタCの値から今回のル
ーチン実行タイミングがステップ507から525の実
行タイミングであるか否か(C=2か否か)が判定され
る。ステップ505でC=2であった場合にはステップ
507から525が実行され、PMCRT、PMVLV
の値が算出される。
【0046】すなわち、ステップ507ではスロットル
弁開度センサ17の出力がAD変換され、スロットル弁
開度データTAとして取り込まれるとともに、RAM1
05に記憶された最新の回転数データNEが読み出され
る。また、ステップ509ではクランク各センサ6で検
出した現在のクランク軸回転位相と機関回転数NEとに
基づいて、現在から次にいずれかの気筒の吸気弁が閉弁
するまでの時間Lが算出される。
【0047】また、ステップ511では、上記により算
出した時間Lと前回のスロットル弁開度TAi-1 とに基
づいて、(3)式から次に気筒吸気弁が閉弁する時点に
おけるスロットル弁開度予測値TAOが算出される。こ
こで、(3)式のΔtは本ルーチンの実行間隔の2倍の
値となる。ステップ513から517は現在の吸気管圧
力PMCRTの値の算出を示す。ステップ513では、
ステップ507で読み込んだTAとNEとを用いて、定
常状態における吸気管圧力(マップ値)PMTAが、ス
テップ515ではPMTAとNEとから(3)式の重み
付け係数Nが、それぞれ読み出される。また、ステップ
517では、このPMTAとN及び前回ルーチン実行時
のPMCRTの値(PMCRTi-1 )とから(2)式を
用いて現在の吸気管圧力PMCRTが算出される。
【0048】また、同様にステップ519、521で
は、吸気弁閉弁時のスロットル弁開度予測値TAOと現
在の機関回転数NEとから吸気管圧力マップ値PMTA
O、(4)式の重み付け係数NO、がそれぞれ算出さ
れ、図6ステップ523では前述の(4)式の逐次計算
により吸気弁閉弁時の吸気管圧力予測値PMVLVが算
出される。また、ステップ525では次回のルーチン実
行に備えてTAi-1 、PMCRTi-1 の値が更新され
る。上記によりPMCRTとPMVLVとの値を算出
後、ステップ527では、ステップ517で算出したP
MCRTと前回のPMCRT4の値(PMCRT
i- 1 )とを用いて現在の吸気管圧力センサ3出力の計
算値PMCRT4が(5)式に基づいて算出され、ステ
ップ528では次回のルーチン実行に備えてPMCRT
i-1 の値が更新される。なお、ステップ505でC≠
2であった場合には、ステップ505の次に直接ステッ
プ527が実行される。
【0049】ステップ529から539は偏差修正後の
吸気弁閉弁時吸気管圧力予測値PMFWDと偏差修正後
の現在の吸気管圧力PMTRの算出、およびPMFW
D、PMTRそれぞれに基づく気筒吸入空気量の算出を
示す。ステップ531から539のステップは、ルーチ
ン2回実行毎(ステップ529でC=2の場合)にのみ
実行される。
【0050】ステップ531、533では前述の(6)
式、(7)式よりPMFWDとPMTRとが算出され、
ステップ535では、現在のスロットル弁開度TAと機
関回転数NEとから現在の充填効率KTPが、またスロ
ットル弁開度予測値TAOと回転数NEとから吸気弁閉
弁時の充填効率の予測値KTPOが、それぞれ算出され
る。
【0051】また、燃料噴射量演算に用いる吸入空気量
PMGAが、PMFWDとKTPOを用いて、PMGA
=PMFWD×KTPO(ステップ537)、現在の吸
気管圧力に基づく吸入空気量PMGRがPMTRとKT
Pとに基づいて、PMGR=PMTR×KTP(ステッ
プ539)として算出され、それぞれRAMの所定領域
に格納される。
【0052】次に、空燃比補正量ΔTAU算出に用いる
吸気弁閉弁時の実際の気筒内吸入空気量PMGRVCL
の算出について説明する。上述のように、図5、図6の
ルーチンでは、クランク回転各とは無関係にルーチン2
回実行毎に現在の吸気管圧力PMTRに基づいて吸入空
気量PMGRが算出されている。本実施形態では、クラ
ンク回転角が各気筒の吸気弁閉弁時期に相当する角度に
到達する毎に実行される図示しないストレージルーチン
により、各気筒の吸気弁閉弁時に上記現在の吸気管圧力
に基づく吸入空気量PMGRを読み込み、実際の気筒内
吸入空気量PMGRVCLとしてRAM105に記憶す
る。なお、後述するように実際の気筒内吸入空気量PM
GRVCLの値がΔTAUの算出に使用されるのは、燃
焼後の排気ガスが空燃比センサの位置に到達した時点に
なるため、一定の時間遅れが生じる。このため、ストレ
ージルーチンの実行によりRAM105には、常時過去
一定期間(例えば、機関10回転分程度)の各気筒の実
際の吸入空気量PMGRVCLの値が格納され、ルーチ
ン実行毎に更新される。
【0053】図7は、本実施形態の燃料噴射量演算ルー
チンを示すフローチャートである。本ルーチンは、EC
U10によりクランク軸一定回転毎(各気筒の燃料噴射
タイミング毎)に実行される。図7においてルーチンが
スタートすると、ステップ701では直前に実行された
図5、図6のルーチンにより算出された最新の吸入空気
量PMGAの値が読み出されるまた、ステップ703で
は、現在空燃比センサ13の位置に到達した排気が気筒
内で燃焼したときの実際の吸入空気量PMGRi-K (例
えば、機関10回転前に読み込んだPMGRの値)がR
AM105から読みだされる。
【0054】次いで、ステップ705では空燃比センサ
13出力がAD変換され、この出力に基づいて現在の排
気空燃比A/Fが算出される。更に、ステップ707で
は、PMGRi-K とA/Fとから気筒内に実際に供給さ
れた燃料量ATAUi-K が算出される。また、ステップ
709では、ATAU i-K と、この時の燃料噴射量TA
i-K とを用いて空燃比補正量ΔTAUが算出される。
なお、本実施形態では、前述の特開平6−280648
と同様な方法でATAUi-K とTAUi-K とに基づいて
ATAUi-K とTAUi-K との偏差の積分値が0になる
ように空燃比補正量ΔTAUの値を決定しているが、Δ
TAUの算出は他の公知の方法、例えばTAUi-K とA
TAUi-K との偏差に基づくPID(比例、微分、積
分)処理により決定するようにしても良い。
【0055】ステップ709で空燃比補正量ΔTAUが
算出されると、ステップ711では、前述の(1)式に
基づいて今回の燃料噴射量TAUが算出され、ステップ
713では次回のルーチン実行に備えて今回のTAUの
値がRAM105に格納される。また、ステップ715
では、算出したTAUの値がダウンカウンタ108(図
1)にプリセットされ、燃料噴射が実行される。
【0056】上述のように、本実施形態によれば、空燃
比補正量ΔTAU算出のための気筒内吸入空気量を、各
気筒の吸気弁閉弁時の機関運転パラメータ(スロットル
弁開度TA、機関回転数NE、吸気管圧力実測値PM
等)に基づいて算出するようにしたことにより、空燃比
補正量ΔTAUは実際に気筒内に吸入された空気量に基
づいて決定されるようになる。このため、算出されるΔ
TAUの値は実際の機関運転状態を反映した正確な値と
なる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、実際に気筒内に供給さ
れた燃料量を各気筒吸気弁閉弁時の機関運転パラメータ
に基づいて推定した気筒内吸入空気量を用いて算出する
ようにしたことにより、実際に気筒内に供給された燃料
量を正確に推定することができるため、過渡運転時にも
空燃比を目標空燃比に正確に収束させることが可能とな
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用機関に適用した場合の実施形
態の概略構成を示す図である。
【図2】吸気管圧力の応答特性を説明する図である。
【図3】図1の実施形態における吸気管圧力予測方法を
説明する図である。
【図4】図1の実施形態における吸気管圧力予測方法を
説明する図である。
【図5】図1の実施形態における気筒内吸入空気量推定
ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図6】図1の実施形態における気筒内吸入空気量推定
ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図7】図1の実施形態の燃料噴射量演算ルーチンを示
すフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関 2…吸気通路 3…吸気管圧力センサ 10…電子制御ユニット(ECU) 11…排気マニホルド 13…空燃比センサ 17…スロットル開度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/04,41/14 F02D 45/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の運転状態パラメータに基づい
    て、気筒内に吸入される吸気量の推定値を算出する筒内
    空気量推定手段と、 予め定めた燃料供給量算出タイミングにおいて、該タイ
    ミングにおける前記機関運転状態パラメータに基いて、
    気筒閉弁時における運転状態パラメータの値を予測する
    とともに、該予測した運転状態パラメータを用いて前記
    筒内空気量推定手段により気筒閉弁時の吸気量予測値を
    算出し、該算出した気筒閉弁時の吸気量予測値に基づい
    て、前記気筒の燃焼空燃比を目標空燃比にするために必
    要な目標燃料供給量を算出する燃料供給量算出手段と、 前記気筒からの排気空燃比を検出する空燃比検出手段
    と、 空燃比検出手段により検出された前記気筒の排気空燃比
    と、前記筒内空気量推定手段により算出された吸気量推
    定値とに基づいて、実際に前記気筒内に供給された燃料
    量を算出する筒内燃料量算出手段と、前記燃料供給量算出タイミングにおいて、前記筒内燃料
    量算出手段により算出された前記燃料量と 前記燃料供給
    量算出手段により算出された前記目標燃料供給量とが一
    致するように、目標燃料供給量を補正する空燃比補正手
    段と、 前記空燃比補正手段による補正後の目標燃料供給量の燃
    料を前記気筒に供給する燃料供給手段と、を備えた内燃
    機関の空燃比制御装置において、 前記筒内燃料量算出手段は、前記排気空燃比と、前記気
    筒の前回の吸気弁閉弁時における機関運転状態パラメー
    タ実測値を用いて前記筒内空気量推定手段により算出し
    た吸気量推定値とに基づいて気筒内に実際に供給された
    燃料量を算出することを特徴とする内燃機関の空燃比制
    御装置。
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