JP3207552B2 - 樹脂モールド金型及びその製作方法 - Google Patents

樹脂モールド金型及びその製作方法

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JP3207552B2
JP3207552B2 JP26292792A JP26292792A JP3207552B2 JP 3207552 B2 JP3207552 B2 JP 3207552B2 JP 26292792 A JP26292792 A JP 26292792A JP 26292792 A JP26292792 A JP 26292792A JP 3207552 B2 JP3207552 B2 JP 3207552B2
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  • Encapsulation Of And Coatings For Semiconductor Or Solid State Devices (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリードフレーム等の樹脂
モールドに使用する樹脂モールド金型及びその製作方法
に関する。
【0002】
【従来の技術および解決しようとする課題】樹脂モール
ド型のパッケージでは近年ますます薄型化が進み、パッ
ケージの厚みがきわめて薄い製品が生産されるようにな
っている。そして、この薄型化のために種々の問題が生
じている。そのひとつに、樹脂モールド後の樹脂のシュ
リンクによってパッケージが反るという問題がある。こ
れは、パッケージが薄型になったことによってパッケー
ジ強度が従来にくらべて比較にならないほど低下し、樹
脂がシュリンクすることによって反りやすくなっている
ためである。そこで、パッケージの反りを防止する方法
として低応力レジンを使用するといったことがなされて
いる。しかし、この低応力レジンを用いた場合は耐湿性
が低下するとともにパッケージの強度が低下するといっ
た問題点があった。
【0003】薄型のパッケージでは搭載される半導体チ
ップも薄型になるから、樹脂がシュリンクしてパッケー
ジが反ることによって半導体チップも簡単に反ってしま
う。半導体チップが反るとデバイスの機能障害を起こし
たり、実装後の経年変化によって故障率が高くなった
り、パッケージの破壊をひきおこしたりする。最近は半
導体チップが高集積化しているから、このような集積度
の高いチップを搭載する場合はパッケージの反りが製品
不良の重要な原因になる。
【0004】また、樹脂モールドして製造する製品では
放熱性を高めるために半導体チップあるいは放熱板の外
面をモールド樹脂の外面に露出させてモールドするタイ
プの製品があるが、このようなタイプの製品の場合では
片面側でモールド樹脂量の比率が大きくなることによっ
てパッケージが反りやすく、また、樹脂モールドの際に
おいては、モールド樹脂の外面に露出する半導体チップ
あるいは放熱板の上にモールド樹脂が回り込みやすいと
いう問題点もあった。
【0005】本発明は上記問題点を解消すべくなされた
ものであり、その目的とするところはパッケージの反り
を効果的に防止して樹脂モールドできる樹脂モールド金
型、及び樹脂モールド時に半導体チップの外面や放熱板
の外面にモールド樹脂を回り込ませずに樹脂モールドす
ることができる樹脂モールド金型、並びにこれら樹脂モ
ールド金型を容易にかつ確実に製作することのできる樹
脂モールド金型の製作方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、リードフレーム
等の被モールド品を樹脂モールドする際に使用する樹脂
モールド金型であって、被モールド品を樹脂モールド
し、この樹脂モールド後のモールド樹脂が本来のモール
ド形状からシュリンクしている量をモールド樹脂の各部
で測定し、この測定結果に基づいて樹脂モールド金型の
キャビティの内面を、モールド樹脂がシュリンクした分
量をモールド樹脂量で補充するようにキャビティ形状に
補正加工を施し、この補正後の樹脂モールド金型を用い
て前記被モールド品と同じ被モールド品を樹脂モールド
し、この樹脂モールド後のモールド樹脂が本来のモール
ド形状からシュリンクしている量をモールド樹脂の各部
でさらに測定し、この測定結果に基づいて樹脂モールド
金型のキャビティの内面にさらに補正加工を施す操作
を、樹脂モールド品の所望のモールド形状が得られるま
で繰り返し施して製作されたことを特徴とする。また、
前記キャビティの内面に、前記半導体チップあるいは放
熱板の外形寸法よりもわずかに大きな範囲でキャビティ
の内面よりも低位となる段差部に形成し、樹脂モールド
時に前記半導体チップあるいは放熱板がセットされ、半
導体チップあるいは放熱板の裏面をモールド樹脂の外面
に露出させて樹脂モールドするためのポケットを設けた
ことを特徴とする。 また、樹脂モールド金型の製作方法
において、樹脂モールド金型を用いてリードフレーム等
の被モールド品を樹脂モールドし、この樹脂モールド後
のモールド樹脂が本来のモールド形状からシュリンクし
た量をモールド樹脂の各部で測定し、この測定結果に基
づいて樹脂モールド金型のキャビティ内面を加工する
放電電極等の加工具を、モールド樹脂がシュリンクした
分量をモールド樹脂量で補充するように補正し、該補正
後の加工具を用いて前記樹脂モールド金型のキャビティ
を加工し、この補正後の樹脂モールド金型を用いて前記
被モールド品と同じ被モールド品を樹脂モールドし、こ
の樹脂モールド後のモールド樹脂が本来のモールド形状
からシュリンクしている量をモールド樹脂の各部でさら
に測定し、この測定結果に基づいて前記加工具を補正
し、該補正後の加工具を用いて前記樹脂モ ールド金型の
キャビティをさらに加工する操作を、樹脂モールド品が
所望のモールド形状が得られるまで繰り返し施して製作
することを特徴とする。
【0007】
【作用】リードフレーム等の被モールド品を樹脂モール
ド金型を用いて実際に樹脂モールドし、その樹脂モール
ド後のモールド樹脂の形状を樹脂モールド品の各部で測
定することにより、本来のモールド形状から樹脂がシュ
リンクしている量を測定し、その測定結果に基づいて樹
脂モールド金型のキャビティの形状をモールド樹脂がシ
ュリンクした分量をモールド樹脂量で補充するようにキ
ャビティ形状を補正加工する操作を繰り返し行って、所
望の樹脂モールド品の形状に樹脂モールドすることがで
きる樹脂モールド金型を得ることができる。この樹脂モ
ールド金型を使用することによって反り等の歪みのない
樹脂モールド品を得ることができ、樹脂モールド品に
載した半導体チップ等への悪影響を解消することが可能
となる。 キャビティの内面にポケットを設けた樹脂モー
ルド金型を使用してポケットに半導体チップあるいは放
熱板をセットして樹脂モールドすると、溶融樹脂がキャ
ビティ内に注入開始した際に、半導体チップあるいは放
熱板の側面とポケットの段差部との隙間部分で溶融樹脂
がはじめに固化し半導体チップあるいは放熱板の裏面側
に溶融樹脂が回り込むことを好適に阻止して樹脂モール
ドすることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について添付図
面に従って詳細に説明する。図3は通常の樹脂モールド
金型を用いて樹脂モールドしたパッケージの平面図を示
す。鎖線は樹脂モールド前のリードフレーム10の位置
である。樹脂モールド後はモールド樹脂12がシュリン
クしモールド樹脂12が内側に収縮することによってリ
ードフレーム10は図の実線のように内側に引っ張られ
るように変形する。図3(b) 、(c) はそれぞれ図3(a)
のA−A線断面図、B−B線断面図を示す。実施例のパ
ッケージは半導体チップ14の裏面をモールド樹脂12
の外面に露出させてモールドするタイプの製品である
が、樹脂モールド後にモールド樹脂12が収縮すること
によって図3(b) 、(c) に示すように半導体チップ14
の搭載面と反対側の面がへこんだ形に反るようになる。
【0009】リードフレームを樹脂モールドする場合の
モールド樹脂部分の形状は図3に示すように平板状に樹
脂モールドするものであった。本発明に係る樹脂モール
ド金型は従来は平板状に樹脂モールドしていたモールド
樹脂の形状を適宜デザインすることによってパッケージ
の反りを補正して解消するものである。すなわち、本発
明に係る樹脂モールド方法は、まず樹脂モールド金型の
キャビティを通常の平板形状に樹脂モールドする形状に
製作して樹脂モールドした後、モールド樹脂12のシュ
リンク量を補正するように樹脂モールド金型のキャビテ
ィ形状を補正して樹脂モールド後のパッケージの反りを
なくそうとするものである。
【0010】すなわち、図3(b) 、(c) に示すように、
樹脂モールド金型のキャビティ形状を通常の平板状のキ
ャビティ形状として樹脂モールドすると、樹脂モールド
後に樹脂がシュリンクすることによってパッケージが反
るとともに、モールド樹脂12の厚さが場所によってば
らつくようになる。図3(b) 、(c) で鎖線は樹脂モール
ド金型で設定したキャビティ形状での樹脂厚の外形線を
示す。図中でS0 、S1 ・・・は各位置での樹脂のシュ
リンク量を示す。モールド樹脂12のコーナー付近は樹
脂のひけが少ないことから樹脂のシュリンク量が小さい
のに対して、中央部は樹脂のシュリンク量が大きくあら
われる。
【0011】上記のようにモールド樹脂12のシュリン
ク量は場所によって異なるから、樹脂モールド金型の製
作にあたってはこのシュリンクを補正するようにキャビ
ティ形状を平板形状から変更するようにする。その場
合、キャビティ形状を変更するには上記のようにモール
ド樹脂12でのシュリンク量を各部で正確に測定し、そ
のシュリンク量をキャビティ形状の厚みで補充するよう
にキャビティ内面を凹面に形成してキャビティ形状に反
映させる。すなわち、モールド樹脂12がシュリンクし
た分量をモールド樹脂量で補充するようにキャビティ形
状を変更するのである。
【0012】キャビティ形状を決める場合には上記のよ
うにモールド樹脂12のシュリンク量にしたがって決め
るから、前述したように樹脂モールド後のモールド樹脂
12のシュリンク量を各場所で正確に測定し、その測定
結果に基づいてキャビティ形状を決める。樹脂モールド
金型のキャビティ形状を補正するには樹脂モールド金型
のキャビティ内面形状を決める放電電極をNC旋盤で製作
し、この放電電極を用いてキャビティ内面を形成すれば
よい。放電電極の電極面を形成するNC旋盤の加工プログ
ラムは上記のモールド樹脂12のシュリンク量のデータ
に基づいて決められる。図2は樹脂モールド金型のキャ
ビティ内面を形成する放電電極の形成例を示す。放電電
極はパッケージの対角線長を直径とし外径位置でシュリ
ンク補正量を0とした座標軸を設定し、中央に向けて徐
々にシュリンクの補正量を対応させたプログラムを作成
して加工する。
【0013】図2で矩形線Cは樹脂モールド金型でのキ
ャビティの外形線位置を示し、Dは放電電極16の外形
線を示す。放電電極16の外形線Dは中央部がなだらか
にふくらんだ形状に形成されるが、この外形線Dは前述
したモールド樹脂12のシュリンク量の測定結果に基づ
くものである。すなわち、外形線Dの中央部のふくらみ
量は図3(b) 、(c) でのシュリンク量の中央値S0 に一
致し、外形線Dは各位置でのシュリンク量に対応してい
る。放電電極16は図2に示すように端面がふくらんだ
円柱状に形成した後、パッケージ形状に合わせて方形に
切り出して放電電極とし、放電加工によって樹脂モール
ド金型のキャビティ部を形成する。
【0014】上記の放電電極16を用いた樹脂モールド
金型の補正操作は第1回目の補正操作で、上記のように
してキャビティを形成した樹脂モールド金型を使用して
リードフレーム10をもう一度樹脂モールドし、前述し
たと同じようにしてモールド樹脂のシュリンク量を測定
する。今回は上記のようにキャビティ形状に補正を施し
ているからモールド樹脂12の中央部は若干肉厚にな
り、モールド樹脂のシュリンク量は減少するが、この場
合もモールド樹脂12のシュリンクが生じるから、上記
と同じように各座標に対するシュリンク量を測定し、そ
の測定結果からキャビティ形状を決める放電電極の形状
をあらためて補正する。こうして、放電電極16に対し
て第2回の補正を加え、この放電電極16を使用して再
度キャビティを形成する。
【0015】上記のようにして第2回目の補正が加えら
れた樹脂モールド金型を用いてリードフレーム10を樹
脂モールドし、さらに得られたモールド樹脂12に対し
てシュリンク量を測定する。そして、このシュリンク量
の測定結果に基づいて放電電極16に第3回目の補正を
加え、樹脂モールド金型のキャビティにさらに補正を加
える。こうして、第3回目の補正を加えた樹脂モールド
金型によって樹脂モールドし再びモールド樹脂のシュリ
ンク量を測定してそれをキャビティの補正に加える。こ
うして、次々と樹脂モールド金型のキャビティに補正を
加えていくことによって樹脂モールド後のパッケージに
歪みのない樹脂モールド金型を得ることができる。
【0016】上記の樹脂モールド金型の形成方法はキャ
ビティ形状を次々と補正を繰り返して最終的にパッケー
ジの歪みをなくす方法であるが、通常は3回程度補正を
加えることによって十分に歪を小さくすることができ
る。なお、図2で下側の図はキャビティ内面を形成する
放電電極の電極面の側面形状を示す。この例ではパッケ
ージの中央部でなく外側部分にリング状に肉厚部を設け
るようにしているが、これはパッケージが大型になった
ような場合に有効に適用することができる。
【0017】このように、放電電極16の電極面の形状
は製品に応じて適宜設定することはいうまでもない。本
実施例の方法は実際にリードフレームを樹脂モールドし
てそのモールド結果に基づいてキャビティ形状を補正す
る点できわめて実際的であり、確実に歪みを取ることが
できるという特徴がある。なお、上記実施例では半導体
チップ14の片面側をモールド樹脂12で覆い、半導体
チップ14の裏面を露出させる製品であるから半導体チ
ップ14を搭載する面とは反対側の面のキャビティ内面
に補正をかけるようにしたが、製品によってはキャビテ
ィの対向する両内面(パッケージの上下面の各々)に対
して補正を施してももちろんかまわない。
【0018】上記実施例の樹脂モールド方法は、樹脂モ
ールド金型のキャビティ形状をモールド樹脂12による
応力が半導体チップ14に作用しないようにモールド樹
脂量を厚み分で補充、供給するよう形成し、これによっ
てモールド樹脂自体の内部応力をなくすものであって、
半導体チップ14に対して応力を作用させずに樹脂モー
ルドすることを可能にする。なお、上記実施例のように
キャビティ内面の中央部を凹部にして肉厚に形成した場
合は半導体チップ14の上面で樹脂の流れ性を改善する
ことができ、樹脂の未充填をなくすことができるととも
に、樹脂充填時にボイドが発生したりすることを効果的
に防止できるという利点もある。
【0019】図1はキャビティ内面に補正を施した樹脂
モールド金型の実施例を示す。同図で20は上金型、2
1は下金型、22はキャビティである。キャビティ22
は上金型20の内面の中央部がへこんで断面形状として
は中央部がふくらんだ形状になっている。なお、実施例
の樹脂モールド金型ではキャビティ22の内面を凹面に
形成するとともに半導体チップ14をセットする下金型
21の内面に小さな段差を設けている。この段差は半導
体チップ14の裏面を露出させてモールドする際に半導
体チップ14の外面にモールド樹脂が回り込まないよう
にするためのものである。
【0020】続いて、樹脂モールドする際にモールド樹
脂が半導体チップ14の外面に回り込まないようにして
樹脂モールドする方法について説明する。図4(a) は樹
脂モールド金型の下金型21の平面図、図4(b) は断面
図である。下金型21には半導体チップ14を金型面に
吸着するための吸引溝24を枠状に連通させて設け、外
部の真空吸引機構26に連絡する吸引連通孔28と吸引
溝24を連絡させる。半導体チップ14をセットする金
型面は通常は平坦面に形成するが、本実施例では半導体
チップ14の外形寸法よりもわずかに大きな範囲を段差
部に形成したポケット30を設けて、このポケット30
内に半導体チップ14がセットされるようにする。ポケ
ット30の深さは適宜設定すればよいが数十μm程度で
十分である。
【0021】下金型21のポケット30に半導体チップ
14をセットした様子を図6に拡大して示す。リードフ
レーム10を樹脂モールドする場合は、図1に示すよう
に上金型20と下金型21とでリードフレーム10をク
ランプしゲート32から樹脂をキャビティ22内に充填
する。図6に示すようにゲート32からキャビティ22
内に進入した溶融樹脂は下金型21の金型面に沿って進
入し、半導体チップ14の外面にあたったところで平面
位置では左右に分かれ(図6(a) )、側面位置では半導
体チップ14の上面側に這い上がるようにして進入する
(図6(b) )。半導体チップ14は吸引溝24を介して
下金型21に吸引されて金型面に押し付けられ、これに
よって半導体チップ14と下金型21の金型面との隙間
から樹脂圧によって溶融樹脂がはいり込まないようにし
ている。
【0022】半導体チップ14をセットする金型面にポ
ケット30を設けたのは、上記の吸引作用に加えてさら
に確実に溶融樹脂が半導体チップ14の裏面に回り込ま
ないようにするためである。ポケット30の段差部は次
のような作用によって溶融樹脂の回り込みを防止する。
すなわち、樹脂充填開始時に下金型21上を進入した溶
融樹脂は半導体チップ14の外面にあたって進行方向を
変えるとともに、半導体チップ14の外面部分で若干滞
留する。溶融樹脂はポケット30部分にも入り込むが、
この段差部分は狭いからポケット30に入り込んだ溶融
樹脂はさらに滞留しやすい。
【0023】樹脂モールド金型はあらかじめ加熱されて
おり、キャビティ22内に進入した溶融樹脂は下金型2
1との間で熱交換して硬化する。上記のように下金型2
1上を進入した溶融樹脂は金型との間で熱交換しつつ進
入するが、とくにポケット30に入り込んだ溶融樹脂は
ポケット30部分が段差形状で容量が小さいことと下金
型21と熱交換しやすい形態になっていることから、急
速に熱交換して硬化する。図7(a) は樹脂充填開始した
際の溶融樹脂の硬化の様子を示す。キャビティ22内に
はじめに充填される溶融樹脂は下金型21と熱交換して
軽石状になって固化し、軽石状の固化が生じた後に低抵
抗の溶融樹脂が充填される。
【0024】軽石状の固化が生じた後に注入される溶融
樹脂は比較的低抵抗で流れ性がよくキャビティの空間部
分を満たすように進入する。軽石状の固化部分には隙間
が形成されているが低抵抗の溶融樹脂はまずキャビティ
内の空間部分を満たし、キャビティ内を完全に充填する
と、プランジャーによる樹脂圧が溶融樹脂の流動体部分
に均一に作用し、プランジャー圧力によって軽石状に固
化した隙間部分に溶融樹脂が入り込んでいく。図7(b)
にプランジャー圧によって軽石状の固化部分に溶融樹脂
が入り込んでいく様子を示す。
【0025】図7(b) に示すようにプランジャー圧力に
よって溶融樹脂を固化樹脂間に進入させる作用は、半導
体チップ14と下金型21との間に溶融樹脂を入り込ま
せるようにも作用するが、溶融樹脂は流体圧によってキ
ャビティ内全体に作用するものであり、同時に半導体チ
ップ14上面にも作用して半導体チップ14を下金型2
1の金型面に半導体チップ14を押しつけるように作用
する。半導体チップ14と下金型21の金型面の隙間か
ら溶融樹脂を入り込ませるための圧力は、ポケット30
部分であらかじめ樹脂が固化しているため固化樹脂の隙
間部分から入り込む圧力としからならないのに対して、
半導体チップ14上面を押圧する圧力は半導体チップ1
4上面の投影面積に比例するから半導体チップ14と下
金型21との隙間部分から溶融樹脂が入り込むことを効
果的に阻止することが可能になるのである。
【0026】下金型21に設けたポケット30は上記の
ようにして溶融樹脂が半導体チップ14の裏面に回り込
むことを効果的に防止する。図4に示す樹脂モールド金
型を用いて半導体チップ14を樹脂モールドした場合は
半導体チップ14の外面がモールド樹脂から若干突出す
る形態になる。したがって、半導体チップ14部分のみ
突出させた形態の場合にはパッケージを実装した場合の
安定性等で問題がある場合には図5に示すようにパッケ
ージの外面に凹溝が形成されるように樹脂モールド金型
を設計してもよい。図5に示す実施例では吸引溝24の
外周にポケット30を形成するための段部34を形成し
ている。段部34の内側が半導体チップ14をセットす
るポケット30になる。
【0027】図8(a) 、(b) は図4、図5の樹脂モール
ド金型を使用して樹脂モールドして得た樹脂モールド製
品の断面図を示す。図8(a) では半導体チップ14の外
面がポケット30の段差分だけモールド樹脂12から突
出するのに対し、図8(b) ではモールド樹脂12の外面
に凹溝36が形成され、モールド樹脂12の下面と半導
体チップ14の下面が同一高さ位置になる。なお、上記
各実施例では通常のリードフレームを樹脂モールドする
例について説明したが、本発明方法はクワドタイプの他
に種々タイプのリードフレームの樹脂モールドに適用で
きる方法であり、TABテープ等の樹脂モールドについ
ても同様に適用することができる。また、上記実施例で
は半導体チップをモールド樹脂の外面に露出させてモー
ルドしたが、半導体チップを樹脂中に埋没して密封する
タイプの製品についても同様であり、また放熱板付きの
リードフレーム等についても同様に適用することができ
る。
【0028】
【発明の効果】本発明に係る樹脂モールド金型によれ
ば、上述したように、樹脂モールド品として反りあるい
は歪み、変形のきわめて小さな製品を得ることができ、
樹脂モールド品に搭載されている半導体チップの不良発
生を抑えることができ、信頼性の高い製品として提供す
ることが可能になる。また、本発明に係る樹脂モールド
金型の製作方法では、樹脂モールド金型によって実際に
製品を樹脂モールドし、樹脂モールド品の形状を精密に
測定して樹脂モールド金型を補正するという操作を繰り
返し行うことにより、反り等の変形を生じさせずに高精
度の樹脂モールドを可能とする樹脂モールド金型を確実
に得ることができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂モールド金型の一実施例の断面図である。
【図2】樹脂モールド金型のキャビティを形成する放電
電極の形成例を示す説明図である。
【図3】樹脂モールド後にパッケージが変形する様子を
示す説明図である。
【図4】樹脂モールド金型のキャビティ形状を示す説明
図である。
【図5】樹脂モールド金型のキャビティ形状の他の例を
示す説明図である。
【図6】キャビティ内へでの溶融樹脂の流れ方向を示す
説明図である。
【図7】キャビティ内で溶融樹脂が固化する様子を示す
説明図である。
【図8】樹脂モールド金型にポケットを設けて樹脂モー
ルドした製品の断面図である。
【符号の説明】
10 リードフレーム 12 モールド樹脂 14 半導体チップ 20 上金型 21 下金型 22 キャビティ 24 吸引溝 26 真空吸引機構 28 吸引連通孔 30 ポケット 32 ゲート 34 段部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29L 31:34 B29L 31:34 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/26 - 45/44 B29C 33/00 - 33/76 H01L 21/56

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リードフレーム等の被モールド品を樹脂
    モールドする際に使用する樹脂モールド金型であって、 被モールド品を樹脂モールドし、この樹脂モールド後の
    モールド樹脂が本来のモールド形状からシュリンクして
    いる量をモールド樹脂の各部で測定し、この測定結果に
    基づいて樹脂モールド金型のキャビティの内面を、モー
    ルド樹脂がシュリンクした分量をモールド樹脂量で補充
    するようにキャビティ形状に補正加工を施し、 この補正後の樹脂モールド金型を用いて前記被モールド
    品と同じ被モールド品を樹脂モールドし、この樹脂モー
    ルド後のモールド樹脂が本来のモールド形状からシュリ
    ンクしている量をモールド樹脂の各部でさらに測定し、
    この測定結果に基づいて樹脂モールド金型のキャビティ
    の内面にさらに補正加工を施す操作を、樹脂モールド品
    の所望のモールド形状が得られるまで繰り返し施して製
    作された ことを特徴とする樹脂モールド金型。
  2. 【請求項2】 前記キャビティの内面に、 前記半導体チップあるいは放熱板の外形寸法よりもわず
    かに大きな範囲でキャビティの内面よりも低位となる段
    差部に形成し、樹脂モールド時に前記半導体チップある
    いは放熱板がセットされ、半導体チップあるいは放熱板
    の裏面をモールド樹脂の外面に露出させて樹脂モールド
    するためのポケットを設けたことを特徴とする請求項1
    記載の 樹脂モールド金型。
  3. 【請求項3】 樹脂モールド金型を用いてリードフレー
    ム等の被モールド品を樹脂モールドし、この樹脂モール
    ド後のモールド樹脂が本来のモールド形状からシュリン
    クした量をモールド樹脂の各部で測定し、この測定結果
    に基づいて樹脂モールド金型のキャビティ内面を加工
    する放電電極等の加工具を、モールド樹脂がシュリンク
    した分量をモールド樹脂量で補充するように補正し、該
    補正後の加工具を用いて前記樹脂モールド金型のキャビ
    ティを加工し、この 補正後の樹脂モールド金型を用いて前記被モールド
    と同じ被モールド品を樹脂モールドし、この樹脂モー
    ルド後のモールド樹脂が本来のモールド形状からシュリ
    ンクしている量をモールド樹脂の各部でさらに測定し、
    この測定結果に 基づいて前記加工具を補正し、該補正後
    の加工具を用いて前記樹脂モールド金型のキャビティ
    さらに加工する操作を、樹脂モールド品が所望のモール
    ド形状が得られるまで繰り返し施して製作することを特
    徴とする樹脂モールド金型の製作方法。
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