JP3203069B2 - 位相差補償フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

位相差補償フィルムおよびその製造方法

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JP3203069B2 JP29616292A JP29616292A JP3203069B2 JP 3203069 B2 JP3203069 B2 JP 3203069B2 JP 29616292 A JP29616292 A JP 29616292A JP 29616292 A JP29616292 A JP 29616292A JP 3203069 B2 JP3203069 B2 JP 3203069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶ディスプレイ等に
使用可能な位相差補償フィルムおよびその製造方法に係
り、特にポリカーボネート製の位相差補償フィルムおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】STN[スーパー ツイステッド ネマ
ティック(Super Twisted Nematic )]液晶ディスプレ
イでは、STN液晶セルを透過した光はSTN液晶の複
屈折性により着色される。このため、複屈折性を有する
透明度の高いポリマーフィルムを位相差補償フィルムと
して使用することが提案されている。このような位相差
補償フィルムとしては種々の材質のものが知られている
が、ポリカーボネート製のものとしては、粘度平均分子
量40,000以上のビスフェノールA型ポリカーボネ
ートシートや分岐構造を有するポリカーボネートシート
を延伸成形してフィルム化したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たビスフェノールA型ポリカーボネートや分岐構造を有
するポリカーボネートを製造した場合、重合中の溶液粘
度が高いことや分岐剤を使用することから、一般に不溶
の超高分子量物や、架橋したゲル状物(以下、前記超高
分子量物および前記ゲル状物を「高分子量異物」と総称
する)を生成し易い。そして、この高分子量異物を含有
するポリカーボネートをフィルム化すると、高分子量異
物が偏平化して乱反射の原因となるため、位相差補償フ
ィルムとして用いた場合には液晶セルの光が散乱してデ
ィスプレイが見にくくなる。本発明の目的は、乱反射の
少ないポリカーボネート製位相差補償フィルムおよびそ
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の位相差補償フィルムは、ポリカーボネート製であっ
て、ポリカーボネートの粘度平均分子量が20,000
〜100,000であり、ポリカーボネートが分岐構造
を有する場合は粘度平均分子量が20,000〜40,
000未満であり、ポリカーボネートが直鎖状の場合は
粘度平均分子量が40,000以上〜100,000で
あり、大きさが5〜50μmの高分子量異物の個数が平
面視した場合に200個/cm2以下であることを特徴
とする。また上記目的を達成する本発明の位相差補償フ
ィルムの製造方法は、ポリカーボネートの濃度が1〜3
0wt%の有機溶媒溶液を調製した後、前記有機溶媒溶液
をフィルターにかけて高分子量異物を除去する工程を含
むことを特徴とする。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
位相差補償フィルムは、上述したようにポリカーボネー
ト製である。ポリカーボネートの種類は位相差補償フィ
ルムとして使用可能な透光性を有するものであれば特に
限定されるものではなく、分岐構造を有するものでも直
鎖状のものでもよいが、粘度平均分子量(以下、粘度平
均分子量をMvと略記することがある)が20,000
〜100,000のものが好ましい。Mvが20,00
0未満のポリカーボネートは延伸成形するのに粘度が低
過ぎ、100,000を超えるものは延伸成形するのに
粘度が高過ぎる。また、延伸成形時の温度変化に起因す
るレターデーション[R=△n・t (△n;位相差補
償フィルムの複屈折率差,t:フィルムの厚さ)]の変
化を小さくするうえからは、Mvが40,000未満の
ポリカーボネートであって分岐構造を有するもの、また
はMvが40,000以上の直鎖状ポリカーボネートが
好ましい。
【0006】本発明の位相差補償フィルムでは、大きさ
が5〜50μmの高分子量異物の個数が平面視した場合
に200個/cm2 以下である。高分子量異物の個数が
200個/cm2 を超えると、透過ディスプレイに用い
た場合に、目視上、光が散乱してディスプレイが見にく
くなる。5μm未満の高分子量異物の存在は、目視上あ
まり問題とならない。また、50μmを超える大きさの
異物は、通常の製造法ではほとんど生成するもので無
く、通常は金属やシール材等の異物であって、製造プロ
セス内で除去されるものである。本発明の位相差補償フ
ィルムは、例えば以下に詳述する本発明の方法により製
造することができる。本発明の方法では、前述したよう
に、まず、ポリカーボネートの濃度が1〜30wt%の有
機溶媒溶液を調製する。ポリカーボネートは、位相差補
償フィルムとして使用可能な透光性を有するフィルムが
得られるものであれば分岐構造を有するものでも直鎖状
のものでもよいが、前述したように、粘度平均分子量
(Mv)が20,000〜100,000のものが好ま
しい。また、延伸成形時の温度変化に起因するレターデ
ーション(R)の変化を小さくするうえからは、Mvが
40,000未満のポリカーボネートであって分岐構造
を有するもの、またはMvが40,000以上の直鎖状
ポリカーボネートが好ましい。
【0007】ポリカーボネートの製造は、目的とするポ
リカーボネートに応じた2価フェノール、ホスゲンまた
は炭酸エステル化合物、および必要に応じて分岐剤を用
い、これらを所定の条件で重合させることにより得るこ
とができる。ここで、2価フェノールの例としては、ハ
イドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等や、こ
れらのハロゲン置換化合物等が挙げられる。また炭酸エ
ステル化合物の例としては、ジフェニルカーボネート等
のジアリールカーボネート、ジメチルカーボネートやジ
エチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙
げられる。
【0008】必要に応じて使用する分岐剤の具体例とし
ては、フロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、トリ
メリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没食
子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピ
ロメリト酸第二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾル
シン酸、レゾルシンアルデヒド、トリメリチルクロリ
ド、イサチンビス(o−クレゾール)、トリメリチルト
リクロリド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、2,4,4′−トリヒド
ロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキ
シフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒド
ロキシフェニルエーテル、2,4,4′−トリヒドロキ
シジフェニル−2−プロパン、2,2′−ビス(2,4
−ジヒドロキシ)プロパン、2,2′,4,4′−テト
ラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4′−トリヒ
ドロキシジフェニルメタン、1−[α−メチル−α−
(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]−3−[α′,
α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル]ベン
ゼン、1−[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェ
ニル)エチル]−4−[α′,α′−ビス(4″−ヒド
ロキシフェニル)エチル]ベンゼン、α,α′,α″−
トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリ
イソプロピルベンゼン、2,6−ビス(2′−ヒドロキ
シ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロ
キシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−
2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2
−ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフ
ェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、2,2−ビス[4,4−ビス
(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−プロ
パン、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−イソプ
ロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス
[2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−メ
チルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス
[2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−イ
ソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、
テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス
(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2′,
4′,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリ
メチル−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、
1,3−ビス(2′,4′−ジヒドロキシフェニルイソ
プロピル)ベンゼン、トリス(4′−ヒドロキシアリー
ル)−アミル−s−トリアジン等が挙げられる。これら
の分岐剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0009】ポリカーボネートの濃度が1〜30wt%の
有機溶媒溶液は、所定量のポリカーボネートを有機溶媒
に溶解させることにより調製することができる。また、
溶液法や界面重縮合法でポリカーボネートを製造した場
合には、製造過程で得られる有機溶媒溶液を必要に応じ
て濃度調整することにより、調製することができる。有
機溶媒の具体例としては、テトラクロロエタン、トリク
ロロエタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリク
ロロメチレン、ジクロロエチレン、クロロホルム、チオ
フェン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロベン
ゼン、o−,m−あるいはp−ジクロロベンゼン等、お
よびこれらの2種以上の混合物やこれらを主成分とする
混合物等が挙げられる。
【0010】本発明の方法において有機溶媒溶液の濃度
を1〜30wt%に限定する理由は、1wt%未満では有機
溶媒溶液に含まれている高分子量異物をフィルターによ
り除去する際のフィルターや装置の効率が低下し過ぎ、
30wt%を超えると高粘度化してフィルターによる濾過
そのものが困難になるからである。
【0011】本発明の方法では、上述の有機溶媒溶液を
調製した後、この有機溶媒溶液をフィルターにかけて高
分子量異物を除去する。使用するフィルターは、有機溶
媒に対して耐性のあるものであればよく、例えば焼結金
属フィルター、金属繊維フィルター、樹脂フィルター
(織布、不織布)、セラミックスフィルター、ガラスフ
ィルターが好適である。また、フィルターの平均目開き
は、除去しようとする高分子量異物の大きさによって適
宜変動させることができるが、通常0.1〜100μm
の範囲から選択される。フィルターは単独で用いてもよ
いし、複数個を直列に配して用いてもよい。フィルター
への有機溶媒溶液の供給は、圧送やポンプ輸送等により
行うことが好ましい。
【0012】このようにして高分子量異物を除去した後
は、従来と同様にして位相差補償フィルムを製造するこ
とができる。具体的には、まず、ソルベントキャスト法
によりシート化したり、常法により造粒・乾燥した後に
押出成形してシート化したりして、ポリカーボネートシ
ートを得る。次に、このシートを加熱した後、または加
熱しながら、引張延伸成形法、圧縮延伸成形法、ロール
圧延成形法、インフレーション成形法、ダイ内押出延伸
成形法等により一軸方向または二軸方向に延伸成形し
て、異方性配向フィルムすなわち位相差補償フィルムを
得る。従来と同様に、延伸成形時の縦方向と横方向の延
伸割合、およびフィルムの厚さを適宜調整することによ
り、所望のレターデーション(R)を有する位相差補償
フィルムを得ることができる。
【0013】上述のようにして、大きさが5〜50μm
の高分子量異物の個数が平面視した場合に200個/c
2 以下のポリカーボネート製の位相差補償フィルムを
得ることができる。そして、大きさが5〜50μmの高
分子量異物の個数を前述のように200個/cm2 以下
とすることにより、延伸成形に伴って偏平化した高分子
量異物に起因する乱反射が低減するため、この位相差補
償フィルムを透過型ディスプレイに用いた場合でもディ
スプレイは見やすいという利点が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)分岐構造を有するポリカーボネートの有機溶媒溶
液の調製 内容積50リットルの撹拌機付き容器に、2価フェノー
ルとしてビスフェノールA 9.2モル、分岐剤として
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
0.069モル、2.0N水酸化ナトリウム水溶液9.
4リットルおよびジクロロメタン8リットルを入れて撹
拌し、ここにホスゲンを30分間吹き込んだ。次に、p
−tert−ブチルフェノール0.47モルを反応させ、さ
らにビスフェノールA 0.44モル、トリエチルアミ
ン0.022モル、0.2N水酸化ナトリウム水溶液
4.5リットルを加えて40分間反応させた後、水相と
有機相とを分離した。このようにして、ポリカーボネー
トオリゴマーのジクロロメタン溶液を得た。このジクロ
ロメタン溶液8リットルとビスフェノールA 2.5モ
ル、7.25重量%水酸化ナトリウム水溶液400g、
トリエチルアミン0.017モルおよびジクロロメタン
6リットルを混合し、500rpm で撹拌しつつ60分間
反応させた。反応後、水相と有機相とを分離し、有機相
を水、アルカリ(0.01N水酸化ナトリウム水溶
液)、酸(0.1N塩酸)および水で順次洗浄した。こ
の後、ジクロロメタンを蒸発除去して濃縮し、ポリカー
ボネートの濃度が20wt%のジクロロメタン溶液(以
下、ポリマー溶液Iという)を得た。
【0015】(2)高分子量異物の除去 上記(1)で得られたポリマー溶液Iに1kg/cm2
の圧力をかけてこれを圧送し、日本ポール社製の焼結金
属フィルター(商品名:PMF−FH100,平均目開
き10μm)を通して高分子量異物を除去して、清澄な
ポリマー溶液Iを得た。
【0016】(3)位相差補償フィルムの製造 まず、上記(2)で得られた清澄なポリマー溶液Iから
ジクロロメタンを除去して、ポリカーボネートフレーク
を得た。このポリカーボネートの粘度平均分子量(M
v)は24,500であった。次に、得られたポリカー
ボネートフレークを押出成形法により成形して、厚さ2
mmのポリカーボネートシートを得た後、このシートを
延伸成形温度160℃、170℃または180℃の条件
で圧縮延伸成形法により一軸方向(主配列方向)に3倍
に延伸して、厚さ0.65mmの位相差補償フィルムを
計3種得た。
【0017】これらの位相差補償フィルムのうちの17
0℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視によ
り観察したところ、目障りとなるものは特には見えなか
った。この位相差補償フィルムに含まれる高分子量異物
の個数をその大きさごとに実体顕微鏡下でカウントし
た。結果を表1に示す。また、各位相差補償フィルムの
複屈折率差(△n)およびレターデーション(R)を表
2に示す。さらに、Rの変化率を表2に併記する。
【0018】なお、△nは偏光顕微鏡にデレック型コン
デンセイターを取付けて測定し、Rは下式 R=△n・t t…位相差補償フィルムの厚さ(=0.65mm) により算出した。また、Rの変化率は下式により求め
た。 Rの変化率={(Rの変化)/[(Rの平均値)・(温
度差)]}×100 Rの変化…(180℃で延伸成形して得た位相差補償フ
ィルムのR)−(160℃で延伸成形して得た位相差補
償フィルムのR) Rの平均値…3種の位相差補償フィルムのRの平均値 温度差…180(℃)−160(℃)=20(℃)
【0019】実施例2 (1)直鎖状ポリカーボネートの有機溶媒溶液の調製 内容積50リットルの撹拌機付き容器に、2価フェノー
ルとしてビスフェノールA 9.2モル、2.0N水酸
化ナトリウム水溶液9.4リットルおよびジクロロメタ
ン8リットルを入れて撹拌し、ここにホスゲンを30分
間吹き込んだ。次に、p−tert−ブチルフェノール0.
21モルを反応させ、さらにビスフェノールA 0.4
4モル、トリエチルアミン0.022モル、0.2N水
酸化ナトリウム水溶液4.5リットルを加えて40分間
反応させた後、水相と有機相とを分離した。このように
して、ポリカーボネートオリゴマーのジクロロメタン溶
液を得た。このジクロロメタン溶液8リットルとビスフ
ェノールA 2.5モル、7.25重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液400g、トリエチルアミン0.017モル
およびジクロロメタン8リットルを混合し、500rpm
で撹拌しつつ60分間反応させた。反応後、水相と有機
相とを分離し、有機相を水、アルカリ(0.01N水酸
化ナトリウム水溶液)、酸(0.1N塩酸)および純水
で順次洗浄した。この後、ジクロロメタンを蒸発除去し
て濃縮し、直鎖状ポリカーボネートの濃度が20wt%の
ジクロロメタン溶液(以下、ポリマー溶液IIという)を
得た。
【0020】(2)高分子量異物の除去 上記(1)で得られたポリマー溶液IIに含まれる高分子
量異物を実施例1と同様にして除去して、清澄なポリマ
ー溶液IIを得た。
【0021】(3)位相差補償フィルムの製造 まず、上記(2)で得られた清澄なポリマー溶液IIから
ジクロロメタンを除いて、ポリカーボネートフレークを
得た。このポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)
は40,500であった。この後は実施例1と同様に
て、計3種の位相差補償フィルムを得た。
【0022】これらの位相差補償フィルムのうちの17
0℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視によ
り観察したところ、目障りとなるものは特には見えなか
った。この位相差補償フィルムに含まれる高分子量異物
の個数をその大きさごとに実体顕微鏡下でカウントし
た。結果を表1に示す。また、各位相差補償フィルムの
複屈折率差(△n)およびレターデーション(R)を表
2に示す。さらに、Rの変化率を表2に併記する。
【0023】実施例3 フィルターとして平均目開きが15μmのものを用いた
以外は実施例1と全く同様にして、計3種の位相差補償
フィルムを得た。これらの位相差補償フィルムのうちの
170℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視
により観察したところ、僅かに異物が認められたが、実
用上問題となるものではなかった。この位相差補償フィ
ルムに含まれる高分子量異物の個数をその大きさごとに
実体顕微鏡下でカウントした。結果を表1に示す。ま
た、各位相差補償フィルムの複屈折率差(△n)および
レターデーション(R)を表2に示す。さらに、Rの変
化率を表2に併記する。
【0024】比較例1 実施例1と同様にしてポリマー溶液Iを調製した後、フ
ィルターによる高分子量異物の除去を行わなかった以外
は実施例1と全く同様にして計3種の位相差補償フィル
ムを得た。これらの位相差補償フィルムのうちの170
℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視により
観察したところ、偏平化した半透明若しくは透明に近い
高分子量異物が散見され、鱗片の様に光るものがあっ
た。この位相差補償フィルムに含まれる高分子量異物の
個数をその大きさごとに実体顕微鏡下でカウントした。
結果を表1に示す。また、各位相差補償フィルムの複屈
折率差(△n)およびレターデーション(R)を表2に
示す。さらに、Rの変化率を表2に併記する。
【0025】比較例2 実施例2と同様にしてポリマー溶液IIを調製した後、フ
ィルターによる高分子量異物の除去を行わなかった以外
は実施例2と全く同様にして計3種の位相差補償フィル
ムを得た。これらの位相差補償フィルムのうちの170
℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視により
観察したところ、偏平化した半透明若しくは透明に近い
高分子量異物が散見され、鱗片の様に光るものがあっ
た。この位相差補償フィルムに含まれる高分子量異物の
個数をその大きさごとに実体顕微鏡下でカウントした。
結果を表1に示す。また、各位相差補償フィルムの複屈
折率差(△n)およびレターデーション(R)を表2に
示す。さらに、Rの変化率を表2に併記する。
【0026】比較例3 ポリカーボネートの濃度を32wt%にまで上げた以外は
実施例1と同様にしてポリマー溶液を調製したところ、
5kg/cm2 Gの圧力をかけても濾過できなかった。
【0027】比較例4 フィルターとして平均目開きが20μmのものを用いた
以外は実施例1と全く同様にして、計3種の位相差補償
フィルムを得た。これらの位相差補償フィルムのうちの
170℃で延伸成形して得た位相差補償フィルムを目視
により観察したところ、偏平化した半透明若しくは透明
に近い高分子量異物が散見され、鱗片の様に光るものが
あった。この位相差補償フィルムに含まれる高分子量異
物の個数をその大きさごとに実体顕微鏡下でカウントし
た。結果を表1に示す。また、各位相差補償フィルムの
複屈折率差(△n)およびレターデーション(R)を表
2に示す。さらに、Rの変化率を表2に併記する。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1から明らかなように、実施例1〜実施
例3で得られた位相差補償フィルムに含まれる高分子量
異物(大きさが5〜50μmのもの)の個数は、平面視
した場合に200個/cm2 以下である。そして、これ
らの高分子量異物の存在は目視では殆んど確認できない
ものであり、実用上特に問題となるものではない。一
方、比較例1、比較例2および比較例4で得られた位相
差補償フィルムに含まれる高分子量異物(大きさが5〜
50μmのもの)の個数は、平面視した場合にいずれも
200個/cm2 を超える。そして、これらの高分子量
異物の存在は、これらの異物により光が乱反射するた
め、鱗片状の異物として容易に目視できる。したがっ
て、これらのフィルムは位相差補償フィルムとしては実
用上不適当である。また、比較例3から明らかなよう
に、ポリカーボネートの濃度が30wt%を超える有機溶
媒溶液は高圧をかけてもフィルターにかけることが困難
であるため、実用上使用できない。
【0031】なお、表2から明らかなように、Mvが4
0,000未満で分岐構造を有するポリカーボネートま
たはMvが40,000以上の直鎖状ポリカーボネート
を用いた実施例1〜実施例3では、延伸成形時の温度変
化に起因するレターデーション(R)の変化率が−2.
5〜−5.3%/℃と小さく、位相差補償フィルムとし
て全く問題の無いものである。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
乱反射の少ないポリカーボネート製位相差補償フィルム
を提供することが可能になる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−181905(JP,A) 特開 平2−12205(JP,A) 特開 平1−201608(JP,A) 特開 平4−84107(JP,A) 特開 昭63−77932(JP,A) 特開 昭63−91231(JP,A) 特開 平1−149827(JP,A) 特開 昭63−57613(JP,A) 特開 平2−135222(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート製の位相差補償フィル
    ムであって、ポリカーボネートの粘度平均分子量が20,000〜1
    00,000であり、 ポリカーボネートが分岐構造を有する場合は粘度平均分
    子量が20,000〜40,000未満であり、 ポリカーボネートが直鎖状の場合は粘度平均分子量が4
    0,000以上〜100,000であり、 大きさが5〜50μmの高分子量異物の個数が平面視し
    た場合に200個/cm2以下であることを特徴とする
    位相差補償フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート製の位相差補償フィル
    ムを製造するにあたり、ポリカーボネートの濃度が1〜
    30wt%の有機溶媒溶液を調製した後、前記有機溶媒溶
    液をフィルターにかけて高分子量異物を除去する工程を
    含むことを特徴とする請求項1に記載の位相差補償フィ
    ルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 フィルターとして、焼結金属フィルタ
    ー、金属繊維フィルター、樹脂フィルター、セラミック
    スフィルターおよびガラスフィルターからなる群より選
    択される少なくとも1種を用いる、請求項に記載の方
    法。
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