JP3202150B2 - 酢酸の精製方法 - Google Patents

酢酸の精製方法

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JP3202150B2
JP3202150B2 JP20006495A JP20006495A JP3202150B2 JP 3202150 B2 JP3202150 B2 JP 3202150B2 JP 20006495 A JP20006495 A JP 20006495A JP 20006495 A JP20006495 A JP 20006495A JP 3202150 B2 JP3202150 B2 JP 3202150B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸と水との混合
物から低エネルギーで効率よく精製酢酸を回収する酢酸
の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酢酸の工業的製法としては従来から、発
酵法、ロジウムおよびヨウ素を触媒とした液相均一系反
応によるメタノールのカルボニル化法、ナフテン酸マン
ガン、ナフテン酸コバルトまたはナフテン酸ニッケルな
どの油溶性塩触媒を用いた固気相不均一系反応によるブ
タン、ナフサなど炭化水素の酸化法、およびエチレンを
酸化して一旦アセトアルデヒドを生成し、次いでこのア
セトアルデヒドを酢酸マンガン、または酢酸銅と酢酸コ
バルトとの混合物を触媒とした液相均一系で酸化して酢
酸とするエチレン2段酸化法、また金属パラジウムとヘ
テロポリ酸とを主触媒としてエチレンと酸素とを気相で
反応させ酢酸を合成する方法(特願平6−65161
号)などが知られている。
【0003】これらのいずれの方法によるにせよ、反応
生成物には酢酸のほかに水が含まれている。工業的に酢
酸と水との混合物から精製酢酸を得るには一般に蒸留法
が採用される。しかし通常の蒸留法によって酢酸から水
を分離しようとすると、水と酢酸の沸点が接近している
ため、70段以上の高い段数の蒸留塔が必要になるばか
りでなく、このような蒸留塔を用いたとしても、酢酸に
対する水の比揮発度が小さいため、塔頂における還流比
を十分に大きくとる必要があり、きわめて効率が悪いも
のとなる。しかも蒸発潜熱が大きい水を塔頂から溜出さ
せることになるので蒸留塔の運転に多大のエネルギーを
消費することになる。特に原料混合物中の水の濃度が高
い場合には、装置の容積効率が低下して精製酢酸の生産
能力が著しく低下することになる。
【0004】この問題を解決するために、酢酸と水との
混合物(以下、「原料液」と記す)を蒸留するに際し
て、水と最低共沸混合物を形成する適当な共沸剤の存在
下に共沸蒸留を行い、塔頂から水と共沸剤との最低共沸
混合物を溜出させ、塔底から濃縮された酢酸を得る方法
が提案されている(例えば特公昭43−16965号公
報、特公昭61−31091号公報など)。共沸剤を用
いて共沸蒸留により水を分離するこれらの方法は、塔頂
における還流比を下げて蒸留に要するエネルギーを節減
できるばかりでなく、塔底からの精製酢酸の回収率を向
上させる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来か
ら知られた共沸蒸留法によってもなお、高度に精製され
た酢酸を得ようとすれば還流比を大きくとらざるを得
ず、そのため多大な熱量を要することになり、また共沸
剤が塔底の酢酸に混入するのを避けようとすれば回収率
を下げざるを得ないことになる。従って本発明の目的
は、原料液(酢酸と水との混合物)から、低エネルギー
で効率よく精製酢酸を得る酢酸の精製方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、原料液を
第一の蒸留塔に導入し、水と最低共沸混合物を形成し得
る第一の共沸剤の存在下に共沸蒸留し、塔頂から溜出す
る塔頂ガスを冷却して凝縮させ、得られた塔頂凝縮液を
水に富む豊水相と共沸剤に富む貧水相とに液液分離し、
この豊水相の少なくとも一部を系外に排出し、貧水相の
少なくとも一部を第一蒸留塔に還流し、第一蒸留塔の塔
底から濃縮された含水酢酸を第一塔底液として抜き出
し、次いでこの第一塔底液を第二の蒸留塔に導入し、水
と最低共沸混合物を形成し得てその共沸混合物が前記の
第一共沸剤と水との最低共沸混合物より低い最低共沸温
度を有する第二の共沸剤の存在下に共沸蒸留し、塔頂か
ら溜出する塔頂ガスを冷却して凝縮させ、得られた塔頂
凝縮液を水に富む豊水相と共沸剤に富む貧水相とに液液
分離し、この豊水相の少なくとも一部を系外に排出し、
貧水相の少なくとも一部を第二蒸留塔に還流し、第二蒸
留塔の塔底から脱水された精製酢酸を得る酢酸の精製方
法を提供することによって解決できる。上記において、
第一塔底液の水濃度は、1重量%〜15重量%の範囲内
となるまで濃縮することが好ましい。
【0007】前記の第一共沸剤は、水と液液分離し得て
沸点が100℃以上であるアルキルエステル類、ケトン
類、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類およ
び多価アルコール誘導体からなる群から選ばれた1種以
上であることが好ましい。また第二共沸剤は、水と液液
分離し得て沸点が100℃未満であるアルキルエステル
類、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、脂環
族炭化水素類およびエーテル類からなる群から選ばれた
1種以上であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図面を参照して詳しく説明する。図1は本発明の一
実施形態を示す工程図である。この工程の装置は概略、
第一蒸留塔2と第二蒸留塔15とからなる。第一蒸留塔
2には塔頂部に冷却器6およびデカンタ7が、また塔底
部にリボイラ13が付設されている。第二蒸留塔15に
も同様に、塔頂部に冷却器19およびデカンタ20が、
また塔底部にリボイラ26が付設されている。
【0009】図1において、まず酢酸と水との混合物で
ある原料液1が、第一蒸留塔2に導入され、リボイラ1
3によって蒸留温度に加熱される。この第一蒸留塔2に
はさらに、第一共沸剤(この実施形態では酢酸ブチル、
沸点126.2℃)が液体としてライン3から塔頂近傍
に供給される。この第一共沸剤は第一蒸留塔2内で水と
共沸し、塔頂から溜出した塔頂ガス5は冷却器6によっ
て冷却されて凝縮し、塔頂凝縮液としてデカンタ7に導
入される。
【0010】このデカンタ7は、槽内下部を分室9と分
室10とに2分割する堰8を有している。デカンタ7に
導入された塔頂凝縮液は、一方の分室10に導入され、
ここで水を主成分とし第一共沸剤(酢酸ブチル)の一部
を含む比重の大きい豊水相と、第一共沸剤を主成分とし
水の一部を含む比重の小さい貧水相とに比重差によって
液液分離される。分室10の底部からライン11を経由
して豊水相の少なくとも一部を連続的に系外に抜き出し
て豊水相と貧水相との界面の高さを調節すると、貧水相
のみが堰8を越えて他方の分室9に流入するようにな
る。分室9に流入した第一共沸剤に富む貧水相は、少な
くともその一部がライン3を経由して第一蒸留塔2に還
流される。場合によっては豊水相の一部もライン4から
第一蒸留塔の塔頂近傍に供給段を選択して還流される。
【0011】この際、ライン11から系外に排出される
豊水相には第一共沸剤の一部が溶存しているので、第一
蒸留塔2に還流される第一共沸剤の量が次第に不足する
ことになる。そこで、追加の第一共沸剤がライン12を
経由してデカンタ7に導入され、その不足分が補充され
る。
【0012】この第一蒸留塔2における共沸蒸留(以
下、「第一蒸留」と記す)によって、原料液1中に含ま
れていた水の大量部がライン11から排出され、この第
一蒸留塔2の塔底からは、濃縮された含水酢酸が第一塔
底液14として抜き出される。この第一蒸留によって、
第一塔底液14の水濃度が1重量%〜15重量%の範囲
内となるまで濃縮される。
【0013】次に、第一塔底液14は、更に濃縮して精
製酢酸を回収するために、第二蒸留塔15に導入され
る。第二蒸留塔15に導入された第一塔底液14はリボ
イラ26によって蒸留温度に加熱される。更にこの第二
蒸留塔2には、第二共沸剤(この実施形態では酢酸イソ
プロピル、沸点88.6℃)が、液体としてライン16
から塔頂近傍に供給される。
【0014】この第二共沸剤(酢酸イソプロピル)は、
水と最低共沸混合物を形成し得て、しかもその共沸混合
物は、前記の第一共沸剤(酢酸ブチル)と水との最低共
沸混合物より低い最低共沸温度を有している。すなわち
標準圧力下における第一共沸剤(酢酸ブチル)と水との
最低共沸温度が90.2℃であるのに対して、第二共沸
剤(酢酸イソプロピル)のそれは76.6℃である。
【0015】第二共沸剤は第二蒸留塔15内で水と共沸
し、塔頂から溜出した塔頂ガス18は冷却器19によっ
て冷却されて凝縮し、塔頂凝縮液としてデカンタ20に
導入される。このデカンタ20は、デカンタ7と同様に
槽内下部を分室22と分室23とに2分割する堰21を
有している。
【0016】デカンタ20に導入された塔頂凝縮液は、
一方の分室23に導入され、ここで水を主成分とし第二
共沸剤(酢酸イソプロピル)の一部を含む比重の大きい
豊水相と、第二共沸剤を主成分とし水の一部を含む比重
の小さい貧水相とに比重差によって液液分離される。分
室23の底部からライン24を経由して豊水相の少なく
とも一部を連続的に系外に抜き出して豊水相と貧水相と
の界面の高さを調節すると、貧水相のみが堰21を越え
て他方の分室22に流入するようになる。分室22に流
入した第二共沸剤に富む貧水相は、少なくともその一部
がライン16を経由して第二蒸留塔15に還流される。
場合によっては豊水相の一部もライン17から第二蒸留
塔15の塔頂近傍に供給段を選択して還流される。
【0017】この際、ライン24から系外に排出される
豊水相に第二共沸剤の一部が溶存している場合には、第
二蒸留塔15に還流される第二共沸剤の量が次第に不足
することになる。この場合は、追加の第二共沸剤がライ
ン25を経由してデカンタ20に導入され、不足分が補
充される。
【0018】この第二蒸留塔2における共沸蒸留(以
下、「第二蒸留」と記す)によって、第一塔底液14
(含水酢酸)中に残存していた水は、ライン24から排
出され、この第二蒸留塔15の塔底からは、水を含まな
い精製酢酸が第二塔底液27として抜き出される。
【0019】上記の実施形態においては、第一共沸剤と
して酢酸ブチルを用いたが、本発明に用いられる第一共
沸剤は、水とともに最低共沸混合物を形成しかつ水と液
液分離し得るものであればいかなるものであってもよ
い。好ましくは、第一共沸剤は沸点が100℃以上のも
のである。その例としては、例えば酢酸プロピル、酢酸
イソブチル、酢酸ブチル、酪酸エチルなどを含むアルキ
ルエステル類、メチルプロピルケトン、メチルブチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどを含むケトン類、ブ
チルアルコール、イソアミルアルコールなどを含むアル
コール類、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、エ
チルベンゼンなどを含む芳香族炭化水素類、ブチルエー
テル、イソアミルエーテルなどを含むエーテル類、エチ
レングリコールジメチルエーテルなどを含む多価アルコ
ール誘導体、またはこれらのいずれか2種以上の混合物
を挙げることができる。
【0020】また上記の実施形態において、第二共沸剤
25としては酢酸イソプロピルを用いたが、本発明に用
いられる第二共沸剤は、水とともに最低共沸混合物を形
成し得て、その共沸混合物が前記の第一共沸剤と水との
最低共沸混合物より低い最低共沸温度を有し、かつ水と
液液分離し得るものであればいかなるものであってもよ
い。好ましくは、第二共沸剤は、沸点が100℃未満の
ものである。その例としては、例えば酢酸エチル、酢酸
イソプロピルなどを含むアルキルエステル類、メチルエ
チルケトンなどを含むケトン類、sec−ブタノールな
どのアルコール類、ベンゼンなどを含む芳香族炭化水素
類、シクロヘキサンなどを含む脂環族炭化水素類、エチ
ルエーテル、イソプロピルエーテルなどを含むエーテル
類、またはこれらのいずれか2種以上の混合物を挙げる
ことができる。
【0021】次に、酢酸と水との混合物である原料液を
脱水濃縮するに際して、好ましくは沸点が100℃以上
の第一共沸剤と、好ましくは沸点が100℃未満であっ
て第一共沸剤と水との最低共沸混合物より低い最低共沸
温度を有する第二共沸剤とを用いる本発明の精製方法の
作用効果について説明する。いま、水と最低共沸混合物
を形成し得る共沸剤の例について、種族別にその共沸剤
の沸点(℃)と、最低共沸混合物中の水の濃度(重量
%)とを参照すると下記の表1〜表4の通りである。
【0022】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0023】上記の各表から、一般に共沸剤の沸点が上
昇するに従って共沸混合物中の水の濃度が高くなる傾向
があることがわかる。そこで、酢酸と水との混合物から
水を除去するに際しては、混合物中の水の濃度が比較的
高い領域においては、水濃度が比較的高い共沸混合物を
形成し得る、すなわち沸点の高い共沸剤を選択すること
が蒸留効率の点で有利である。
【0024】一方、蒸留塔の塔底において水分含量が1
重量%〜15重量%の範囲内となるまで酢酸が濃縮され
てくると、水の沸点である100℃またはそれ以上の沸
点を有する共沸剤を用いることは、酢酸と水との分離以
上に、沸点が118.2℃である酢酸と共沸剤との分離
を困難にする。実際に、この条件で濃縮精製酢酸を得よ
うとして、蒸留塔の段数を増し、また還流比を大きくと
ったとしても、塔頂溜出物中に酢酸が混入し、また塔底
の酢酸中に共沸剤が混入することを実質的に阻止できな
くなる。
【0025】そこで本発明の酢酸の精製方法において
は、酢酸濃度が比較的低い原料液1を濃縮する第一蒸留
塔2では、できるだけ効率的に大量部の水を除去するた
めに、最低共沸温度が比較的高い、好ましくは沸点が1
00℃以上の第一共沸剤を用いて、第一塔底液14の水
分含量が1重量%〜15重量%の範囲内となるまで共沸
蒸留を行う。
【0026】次に、この第一塔底液14を第二蒸留塔1
5に移して、酢酸との沸点差を拡大し塔底からの精製酢
酸の回収率を高めるように、最低共沸温度が比較的低
い、好ましくは沸点が100℃未満である第二共沸剤を
用いて共沸蒸留を行う。これによって上記の蒸留効率と
精製度という相反する要求を両立させ、高い回収率で精
製酢酸を得ることができるようになる。このとき、第一
塔底液14の水分濃度が15重量%を越えると、第二蒸
留の効率が低下し、また水分濃度が1重量%未満となる
まで第一蒸留で濃縮すると、第一蒸留の効率が低下する
ので好ましくない。第一塔底液14の水分濃度が1重量
%〜15重量%の範囲内となるように第一蒸留の条件を
調節することによって、蒸留効率と精製度とが両立し、
より高い効率で精製酢酸を得ることができる。
【0027】第一共沸剤と第二共沸剤とはいずれも、そ
れぞれの蒸留塔の塔頂部において水に富む豊水相と共沸
剤に富む貧水相とに比重差によって液液分離されるもの
であるから、この液液分離が可能なものでなければなら
ないことはいうまでもないが、この液液分離を効率よく
行うためには、水との分配率が十分に小さく、また水と
の比重差が十分に大きいことが好ましい。更に、分配率
は温度に依存するものであるから、第一デカンタおよび
第二デカンタにおける液温は−20℃ないし70℃の範
囲内に維持されることが好ましい。
【0028】上記の観点から、本発明の酢酸の精製方法
に用いる第一共沸剤および第二共沸剤として好適な共沸
剤の例について、その標準圧力下における水との最低共
沸温度(℃)、最低共沸混合物中の水の濃度(重量
%)、および30℃における水と共沸剤(A)との相互
溶解度とを、それぞれ表5および表6に示す。
【0029】
【表5】
【表6】
【0030】実際に使用する共沸剤は、水との最低共沸
温度、液液分離温度における水との分配率、水との比重
差のほか、揮発性、入手の容易さなどを考慮して選択さ
れる。これらの中で、第一共沸剤としては酢酸ブチルが
特に好ましい。酢酸ブチルは共沸混合物中の水の割合が
比較的大きいので、少ない還流量で比較的大量の水を塔
頂から溜出させることができ、また分配率が比較的小さ
いので、豊水相と貧水相との分離がよい。
【0031】また、第二共沸剤としては酢酸イソプロピ
ルが特に好ましい。酢酸イソプロピルは、沸点が100
℃未満の共沸剤の中では共沸混合物中の水の割合が比較
的大きいので、少ない還流量で比較的大量の水を塔頂か
ら溜出させることができ、しかも分配率も比較的小さい
ので、豊水相と貧水相との分離がよい。更に、共沸剤自
体の沸点が酢酸のそれに比して十分に低いので、第二蒸
留塔における精製酢酸の回収率が向上する。
【0032】本発明の酢酸の精製方法に用いる装置の形
式は特に限定されるものではない。例えば第一蒸留塔お
よび第二蒸留塔は、棚段式、充填式など従来から用いら
れているいずれの形式でもよい。これらに付帯する冷却
器やデカンタなども、特に上記の実施形態において示し
た形式に限定されるものではなく、また、これらが蒸留
塔本体と一体に形成されていても、あるいは別体として
形成されていてもいずれでもよい。
【0033】
【実施例】次に、上記の実施形態による実施例を示す。
以下の実施例において、「重量部」はすべて、原料液を
100重量部としたときの値である。 (実施例1)この実施例は、図1に示した装置を用い
て、酢酸と水との混合物である原料液1を精製し、精製
酢酸27を得るものである。この原料液1の組成は、酢
酸(15.6重量%)、水(84.4重量%)であっ
た。第一共沸剤としては酢酸ブチル、第二共沸剤として
は酢酸イソプロピルを用いた。
【0034】上記の原料液1(100重量部)を第一蒸
留塔2に導入した。第一蒸留塔2としては、濃縮部30
段、回収部30段からなるガラス製オルダーショウ型蒸
留器を用い、原料液1を温度90℃で導入した。この第
一蒸留塔2の塔頂近傍より、酢酸ブチル(98.6重量
%)と水(1.4重量%)とからなる貧水相3(31
5.0重量部)を供給して蒸留を行った。
【0035】塔頂ガス5は冷却器6で20℃に冷却し、
第一デカンタ7で、貧水相3(315.0重量部)と豊
水相(122.5重量部)とに液液分離した。この貧水
相3は前記のように第一蒸留塔2に還流し、また豊水相
の一部(38.0重量部)もライン4を経由して第一蒸
留塔2の塔頂近傍の、貧水相3とは異なる段に還流し
た。豊水相の残部(84.5重量部)はライン11から
系外に排出した。
【0036】この豊水相の組成は水(97.7重量
%)、酢酸ブチル(2.3重量%)であり、酢酸は含ま
れていなかった。第一蒸留を継続するに必要な酢酸ブチ
ル(1.9重量部)はライン12から補給した。
【0037】上記の第一蒸留によって、ライン11から
水(82.5重量部)が排出されたので、結局、原料液
1中の水(84.4重量部)の約98重量%がこの第一
蒸留によって分離除去されたことになる。第一蒸留塔2
の塔底からは、水濃度10.8重量%の酢酸水溶液から
なる塔底液14(17.5重量部)が得られた。この塔
底液14に共沸剤である酢酸ブチルは含まれていなかっ
た。
【0038】上記の塔底液14を、濃縮部30段、回収
部30段のガラス製オルダーショウ型蒸留器からなる第
二蒸留塔15に供給した。この第二蒸留塔15の塔頂近
傍より、酢酸イソプロピル(98.1重量%)と水
(1.9重量%)とからなる貧水相16(19.8重量
部)を供給して蒸留を行った。
【0039】塔頂ガス18は冷却器19で20℃に冷却
し、第二デカンタ20で、貧水相16(19.8重量
部)と豊水相(1.9重量部)とに液液分離した。この
貧水相16は前記のように第二蒸留塔15に還流し、豊
水相は全量(1.9重量部)をライン24から系外に排
出した。第二蒸留を継続するに必要な酢酸イソプロピル
(0.1重量部)はライン25から補給した。この第二
蒸留によって、第二蒸留塔15の塔底液27として、水
および共沸剤を実質的に含まない精製酢酸(15.6重
量部)が得られた。
【0040】上記の実施例1において、図1に示した各
ラインの組成(重量%)、および原料液1を100重量
部としたときの各ラインの負荷量(重量部)を表7に示
す。
【0041】
【表7】
【0042】上記の結果から、実施例1の方法によっ
て、酢酸に対する比揮発度が小さく、しかも蒸発潜熱が
大きい水が原料液1から効率的に分離され、純度の高い
精製酢酸が高い回収率で回収できたことがわかる。
【0043】(実施例2)図1に示す装置を用いて実施
例1と同様の蒸留操作を行い、ただし第一共沸剤として
メチルイソブチルケトンを、また第二共沸剤としてベン
ゼンを用い、かつ原料液1の組成を変えて酢酸の濃縮精
製を行った。この原料液1の組成は、酢酸(70.0重
量%)、水(30.0重量%)であった。
【0044】上記の原料液1(100重量部)を第一蒸
留塔2に温度100℃で導入した。この第一蒸留塔2の
塔頂近傍より、メチルイソブチルケトン(98.0重量
%)と水(2.0重量%)とからなる貧水相3(21
0.0重量部)を供給して共沸蒸留を行った。
【0045】塔頂ガス5は冷却器6で20℃に冷却し、
第一デカンタ7で、貧水相3(210.0重量部)と豊
水相(63.4重量部)とに液液分離した。この貧水相
3は前記のように第一蒸留塔2に還流し、また豊水相の
一部(34.6重量部)もライン4を経由して第一蒸留
塔2の塔頂近傍の、貧水相3とは異なる段に還流した。
豊水相の残部(28.8重量部)はライン11から系外
に排出した。
【0046】この豊水相の組成は水(98.1重量
%)、メチルイソブチルケトン(1.9重量%)であ
り、酢酸は含まれていなかった。第一蒸留を継続するに
必要なメチルイソブチルケトン(0.5重量部)は、ラ
イン12から補給した。
【0047】上記の第一蒸留によって、ライン11から
水(28.3重量部)が排出されたので、結局、原料液
1中の水(30.0重量部)の約94重量%がこの第一
蒸留によって分離除去されたことになる。第一蒸留塔2
の塔底からは、水濃度2.4重量%の酢酸水溶液からな
る塔底液14(71.7重量部)が得られた。この第一
塔底液14に共沸剤であるメチルイソブチルケトンは含
まれていなかった。
【0048】次に上記の第一塔底液14を第二蒸留塔1
5に供給した。この第二蒸留塔15の塔頂近傍より、ベ
ンゼン(99.9重量%)と水(0.1重量%)とから
なる貧水相16(26.0重量部)を供給して蒸留を行
った。
【0049】塔頂ガス18は冷却器19で20℃に冷却
し、第二デカンタ20で、貧水相16(26.0重量
部)と豊水相(2.4重量部)とに液液分離した。この
貧水相16は前記のように第二蒸留塔15に還流し、豊
水相の内0.7重量部はライン17を経由して第二蒸留
塔15に還流し、残部(1.7重量部)はライン24か
ら系外に排出した。第二蒸留の継続中、実質的にベンゼ
ンの補給は不要であった。この第二蒸留によって、第二
蒸留塔15の塔底液27として、水および共沸剤を実質
的に含まない精製酢酸(70.0重量部)が得られた。
【0050】上記の実施例2において、図1に示した各
ラインの組成(重量%)、および原料液1を100重量
部としたときの各ラインの負荷量(重量部)を表8に示
す。
【0051】
【表8】
【0052】上記の結果から、実施例2の方法によって
も、酢酸に対する比揮発度が小さく、しかも蒸発潜熱が
大きい水を、原料液1から効率的に分離し、純度の高い
精製酢酸が高い回収率で回収できたことがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明の酢酸の精製方法は、酢酸と水と
の混合物を第一蒸留塔において第一共沸剤の存在下に共
沸蒸留し、塔底から水濃度が好ましくは1重量%〜15
重量%の範囲内となるまで濃縮した含水酢酸を第一塔底
液として抜き出し、これを第二蒸留塔に導入して、第一
共沸剤より低い水との最低共沸温度を有する第二共沸剤
の存在下に共沸蒸留し、塔底から脱水濃縮された精製酢
酸を得るものであるので、酢酸と水との混合物から効率
よく精製酢酸を回収することができる。第一共沸剤の沸
点が100℃以上であり第二共沸剤の沸点が100℃未
満であれば、第一蒸留において大部分の水を低エネルギ
ーで除去することができ、第二蒸留において、簡便な装
置でありながら高い回収率で高度に精製された酢酸を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す工程図。
【符号の説明】
1…酢酸・水混合物 2…第一蒸留塔 3…貧水相 4,11…豊水相 14…第一塔底液 15…第二蒸留塔 16…貧水相 17,24…豊水相 27…精製酢酸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 宏 大分県大分市大字中の州2 昭和電工株 式会社 大分工場内 (56)参考文献 特開 平6−72944(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 51/46 C07C 53/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸と水との混合物からなる原料液を第
    一の蒸留塔に導入し、水と最低共沸混合物を形成し得る
    第一の共沸剤の存在下に共沸蒸留し、塔頂から溜出する
    塔頂ガスを冷却して凝縮させ、得られた塔頂凝縮液を水
    に富む豊水相と共沸剤に富む貧水相とに液液分離し、こ
    の豊水相の少なくとも一部を系外に排出し、貧水相の少
    なくとも一部を第一蒸留塔に還流し、第一蒸留塔の塔底
    から濃縮された含水酢酸を第一塔底液として抜き出し、 次いでこの第一塔底液を第二の蒸留塔に導入し、水と最
    低共沸混合物を形成し得てその共沸混合物が前記の第一
    共沸剤と水との最低共沸混合物より低い最低共沸温度を
    有する第二の共沸剤の存在下に共沸蒸留し、塔頂から溜
    出する塔頂ガスを冷却して凝縮させ、得られた塔頂凝縮
    液を水に富む豊水相と共沸剤に富む貧水相とに液液分離
    し、この豊水相の少なくとも一部を系外に排出し、貧水
    相の少なくとも一部を第二蒸留塔に還流し、第二蒸留塔
    の塔底から脱水された精製酢酸を回収する酢酸の精製方
    法。
  2. 【請求項2】 第一塔底液の水濃度が1重量%〜15重
    量%の範囲内となるまで第一蒸留塔において原料液を濃
    縮する請求項1に記載の酢酸の精製方法。
  3. 【請求項3】 前記の第一共沸剤が、水と液液分離し得
    て沸点が100℃以上であるアルキルエステル類、ケト
    ン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類お
    よび多価アルコール誘導体からなる群から選ばれた1種
    以上である請求項1または請求項2に記載の酢酸の精製
    方法。
  4. 【請求項4】 前記の第二共沸剤が、水と液液分離し得
    て沸点が100℃未満であるアルキルエステル類、ケト
    ン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、脂環族炭化水
    素類およびエーテル類からなる群から選ばれた1種以上
    である請求項1または請求項2に記載の酢酸の精製方
    法。
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