JP3201993B2 - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents

半導体装置とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IV族元素混晶半
導体を用いた半導体装置とその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、Siデバイスの物性限界を打
破するために、Siデバイス中にヘテロ接合を設ける試
みがなされている。ヘテロ接合を形成する材料として
は、Siと同じIV族元素を用いた混晶半導体であるS
iGeやSiGeCが有望とされている。例えば、文献
1(IEDM Technical Digest(1996)859頁)などに記載さ
れているように、Siによりエミッタ及びコレクタを構
成する一方、SiGeによりベース層を構成することに
より、ベース層の両側にヘテロ接合を設けてなるヘテロ
バイポーラトランジスタの形成方法が提案されている。
【0003】ところが、SiGeは2元系混晶であるた
め、SiGeを利用したヘテロ接合を有するデバイスを
構成しようとするとデバイス設計の自由度が制限されて
いる。そこで、格子定数やバンドギャップなどの選択自
由度が広い3元系混晶であるSiGeCによりヘテロ接
合を設けたヘテロ接合デバイスの開発が注目されてお
り、SiGeC系混晶半導体の材料研究が進められてい
る。
【0004】現在提案されている方法においては、この
SiGeC混晶の形成は、SiGe層の成長中に少量の
C原料を添加する方法やSiGe層にイオン注入を用い
てCを添加することにより行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されているSiGeC混晶を用いた半導体デバイス及
びその製造方法においては、以下のような問題があっ
た。
【0006】まず、製造方法についてみると、SiGe
層へのCの添加には固溶限界が存在し、約4%程度以上
のC原子を添加することにより結晶性が著しく劣化し非
晶質化することが、文献2(Applied Physics Letters
第65巻(1994)2559頁)に記載されている。
【0007】また、文献1のヘテロバイポーラトランジ
スタは、動作速度は高いものの、現在の一般的なSiデ
バイスに比べてそれ程大きな熱的安定性や耐電圧を発揮
できず、パワーデバイスとしての応用に関しては一般的
なSiデバイスに対する優位性はほとんどない。つま
り、作成の困難さの割にはデバイスとしての利点がそれ
程大きくない。
【0008】本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、SiCが熱的安定性や耐電圧性に
優れた特徴を有する点に着目し、SiCをベース素材と
したヘテロ接合部を有し、パワーデバイスとしても応用
が可能で、かつ、製造においても結晶性などの特性が安
定した半導体デバイス及びその製造方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では第1,第2の半導体装置に関する手段
と、第1,第2の半導体装置の製造方法に関する手段と
を講じている。
【0010】本発明の第1の半導体装置の製造方法は、
SiC−SiGeCヘテロ接合部を有する半導体装置の
製造方法であって、化学的量論比1:1の組成を有する
SiC層を準備する工程と、上記SiC層にGeを導入
することによりSiGeC層を形成する工程とを備えて
いる。
【0011】この方法により、化学的量論比を有するS
iC層にGeを導入して形成されるSiGeC層の結晶
性がよいという事実に着目して、電気的特性が優れると
ともに熱的安定性の高いパワートランジスタなどとして
機能できる半導体装置が得られることになる。
【0012】上記第1の半導体装置の製造方法におい
て、上記SiGeC層を形成する工程では、SiC層に
Geイオンを注入することができる。
【0013】この方法により、簡素な工程でSiC層内
にSiGeC層を設けることが可能となる。
【0014】上記第1の半導体装置の製造方法におい
て、上記SiGeC層を形成する工程では、SiC層の
上に、Siの組成とCの組成とが互いにほぼ等しいSi
GeC層をエピタキシャル成長させてもよい。
【0015】この方法により、SiGeC層内のGe組
成を多彩に変化させることが容易となる。
【0016】上記第1の半導体装置の製造方法におい
て、上記SiC層を準備する工程を、Si基板上にSi
GeC層をエピタキシャル成長させる工程と、上記Si
GeC層の上にSiC層をエピタキシャル成長させる工
程とにより行なうことができる。
【0017】この方法により、高価なSiC基板を使用
せずに安価なSi基板を使用しながら、結晶欠陥の少な
いSiC層を設けることが可能となる。
【0018】本発明の第2の半導体装置の製造方法は、
SiC層を活性層として有する半導体装置の製造方法で
あって、Si基板上にSiGeC層をエピタキシャル成
長させる工程と、上記SiGeC層の上に上記SiC層
をエピタキシャル成長させる工程とを備え、上記第2の
半導体装置の製造方法において、上記SiGeC層をエ
ピタキシャル成長させる工程では、Si組成とC組成と
を等しくしながら、Ge組成を減少させている。
【0019】この方法により、高価なSiC基板を使用
せずに安価なSi基板を使用しながら、結晶欠陥の少な
いSiC層を設けることが可能となる。しかも、SiG
eC層の格子定数がSi基板に近い値からSiC層に近
い値まで変化するので、より格子欠陥の少ないSiC層
をエピタキシャル成長させることが可能となる。
【0020】
【0021】
【0022】上記第2の半導体装置の製造方法におい
て、上記SiGeC層をエピタキシャル成長させる工程
では、Ge組成をSiGeC層の格子定数が単結晶Si
の格子定数とほぼ等しくなる値からほぼ0まで減少させ
ることがより好ましい。
【0023】本発明の第1の半導体装置は、SiC層に
より構成される第1の半導体層と、化学的量論比1:1
を有するSiC層にGeを導入して形成されたSiGe
C層により構成される第2の半導体層とを備え、上記第
1の半導体層と第2の半導体層との間の境界にヘテロ接
合部が形成されている。
【0024】これにより、第1の半導体層と第2の半導
体層との間に形成されるヘテロ接合部を利用して、電気
的特性の優れた高い熱的安定性と耐電圧性とを有する各
種の半導体装置が得られる。
【0025】上記第1の半導体装置において、上記第1
の半導体層を第1導電型のエミッタ層とし、上記第2の
半導体層を上記エミッタ層の下方に設けられた第2導電
型のベース層とし、上記ベース層の下方に設けられたS
iC層からなる第1導電型のコレクタ層をさらに備え、
ヘテロバイポーラトランジスタとして機能させることが
できる。
【0026】これにより、エミッタ層−ベース層間のヘ
テロ接合部を利用して高い電気的特性,熱的安定性,耐
電圧性などを有するヘテロバイポーラトランジスタが得
られる。
【0027】上記第1の半導体装置において、上記第1
の半導体層と上記第2の半導体層とを互いに積層し、両
者の境界部にエネルギー不連続部であるキャリア蓄積層
を形成しておき、上記第1の半導体層と第2の半導体層
とを横方向に挟むソース・ドレイン領域と、上記第1及
び第2の半導体層の上方に設けられたゲート電極とをさ
らに設け、上記キャリア蓄積層内を2次元キャリアガス
が走行するHEMTとして機能させることができる。
【0028】これにより、高い電気的特性,熱的安定
性,耐電圧性などを有するHEMTが得られる。
【0029】上記第1の半導体装置において、Si基板
と、上記Si基板上に設けられた格子緩和用SiGeC
層とをさらに備え、上記第1の半導体層を上記格子緩和
用SiGeC層の上に設けることができる。
【0030】これにより、安価なSi基板を用いて上述
のような各種の半導体装置を構成することが可能とな
る。
【0031】本発明の第2の半導体装置は、Si基板
と、上記Si基板の上に設けられた格子緩和用SiGe
C層と、上記格子緩和用SiGeC層の上に設けられた
SiC層とを備え、上記SiC層を動作層として有する
とともに、上記格子緩和用SiGeC層は、ほぼ等しい
Si組成とC組成とを有し、かつ上方に向かって漸次減
少するGe組成を有する。
【0032】
【0033】上記第2の半導体装置において、上記格子
緩和用SiGeC層内のGe組成が、SiGeC層の格
子定数が単結晶Siの格子定数とほぼ等しくなる値から
ほぼ0まで漸次減少していることがより好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の半導体デバイスは、Si
CとSiGeCとのヘテロ接合部を有するものである
が、本発明の実施形態を説明する前に、SiCの基本的
な特性について説明する。
【0035】化学量論比が1:1であるSiC結晶は、
熱的安定性や耐電圧性に優れた特徴を有することから、
パワーデバイス等への応用が期待されており、電界効果
トランジスタの作製例が例えば文献3(IEEE Electron
Device Letters第15巻(1994年)458頁)に記載されてい
る。また、結晶の大面積化や低コスト化を目的としてS
i基板上へのSiC結晶の作製技術が注目され研究開発
が行われている。
【0036】現在、Si基板上にSiC層を成長する場
合、SiとSiCの格子不整合に起因してSiC成長層
に多数の欠陥が生成し、SiC層を用いたデバイスの特
性を劣化させている。本発明では、まず、SiGeC混
晶層を利用してSi基板とSiC層の格子不整合に起因
する欠陥生成を解消する方法を提案している。
【0037】なお、SiCの単結晶には、図6(a),
(b),(c)に示すように、3C−SiC,4H−S
iC,6HSiCの3つのタイプの結晶構造があること
が知られている。
【0038】(第1の実施形態)まず、SiC基板を利
用したSiGeC層の形成方法に関する第1の実施形態
について、図1(a),(b)を参照しながら説明す
る。図1(a),(b)は、6H−SiC基板の表面近
傍にイオン注入を用いてSiGeC混晶層を形成する工
程を示す断面図である。
【0039】まず、図1(a)に示すように、6H−S
iC基板101内にGeイオン102を注入する。Ge
イオン102のドーズ量は5×1015cm-2、加速エネ
ルギーは100keVである。
【0040】次に、図1(b)に示す工程で、Geイオ
ンが注入された基板に900℃、10分間の熱処理を施
すことにより、6H−SiC基板101内にSiGeC
層103が形成される。
【0041】ここで、二次イオン質量分析により、Si
GeC層103中のGeの組成は5%、Si組成は4
7.5%、C組成は47.5%であることが確認され、
X線回折法により、SiGeC層103はSiC基板1
01と結晶方位の一致した6H−タイプの単結晶である
ことが確認されている。さらに、X線回折により、Si
GeC層103の格子定数は6H−SiC基板101の
格子定数より1.2%大きいことが確認されている。ま
た、ラザフォード散乱分光法を用いてSiGeC層10
3の結晶性を評価したところ、Ge原子は6H−タイプ
の結晶格子位置を占有していることが確認されている。
【0042】本実施形態の製造方法によると、6H−S
iC基板101中にGeイオン102を注入することに
より、結晶性の悪化を招くことなく、Si組成とC組成
とがほぼ等しいSiGeC単結晶からなるSiGeC層
103を形成することができる。また、Geイオン10
2のドーズ量を変化させることにより、SiGeC層1
03の格子定数を変化させることができることも確認さ
れている。
【0043】なお、図1では、イオン注入を用いてSi
GeC層103を作製する方法を示したが、6H−Si
C基板101の表面に熱拡散を用いてGe原子を拡散さ
せることによっても単結晶のSiGeC層が作製でき
る。また、液相成長法、気相成長法もしくは分子線エピ
タキシャル成長法を用いたエピタキシャル成長法によっ
て、6H−SiC基板101の上にSiGeC層を形成
してもよい。
【0044】また、本実施形態では、6H−SiC基板
101を用いたSiGeC層103の形成方法について
説明したが、3C−SiC基板、4H−SiC基板やそ
の他の結晶構造のSiC基板を用いても、ほぼ同様の効
果が得られる。
【0045】(第2の実施形態)次に、SiCとSiG
eCとのヘテロ接合部を利用したヘテロバイポーラトラ
ンジスタに関する第2の実施形態について、図2
(a),(b)を参照しながら説明する。
【0046】図2(a)は本実施形態に係るヘテロバイ
ポーラトランジスタの構造を示す断面図であり、図2
(b)はこのヘテロバイポーラトランジスタのエミッ
タ,ベース,コレクタに動作電圧を印加したときの伝導
帯及び価電子帯の状態を示すバンド図である。
【0047】図2(a)に示すように、本実施形態のヘ
テロバイポーラトランジスタは、n型の6H−SiC基
板201と、6H−SiC基板201内の表面付近の領
域に設けられたSiCサブコレクタ層207と、6H−
SiC基板201内におけるSiCサブコレクタ層20
7上の領域に設けられたSiCコレクタ層204と、6
H−SiC基板201内におけるSiCコレクタ層20
4上の領域に設けられたSiGeCベース層203と、
6H−SiC基板201内におけるSiGeCベース層
203上の領域に設けられたSiCエミッタ層202
と、各層を分離するためのSiO2 膜からなる絶縁膜2
06と、各層202,203,207にそれぞれコンタ
クトする電極205a,205b,205cとを備えて
いる。
【0048】ここで、上記SiGeCベース層203
は、6H−SiC基板201内にGeおよびBをイオン
注入することにより形成されており、上述の図1に示す
SiGeC層103に相当する領域である。このSiG
eCベース層203のGe組成は5%、Si組成は4
7.5%、C組成は47.5%、B濃度は5×1018
-3である。また、SiCエミッタ層202は、6H−
SiC基板201内に濃度1×1018cm-3のPイオン
を導入して形成されており、図1に示す6H−SiC基
板101のうちSiGeC層103の上の領域に相当す
る領域である。SiCコレクタ層204およびSiCサ
ブコレクタ層207は、6H−SiC基板201内に濃
度1×1017cm-3,5×1018cm-3のPイオンをそ
れぞれ導入して形成されており、図1に示す6H−Si
C基板101のうちSiGeC層103の下方の領域に
相当する領域である。
【0049】ここで、図2(b)に示すように、SiG
eCベース層203のバンドギャップEg2は、SiCエ
ミッタ層202及びSiCコレクタ層204のバンドギ
ャップEg1よりも小さい。そして、両者のバンドギャッ
プ差ΔEg (=Eg1−Eg2)は、Ge組成が5%の場
合、0.12eVである。そして、同図に示されるよう
に、SiCエミッタ層202からSiGeCベース層2
03に注入される電子に対するヘテロ障壁は小さく、S
iGeCベース層203からSiCエミッタ層202に
逆注入される正孔に対するヘテロ障壁は大きい。したが
って、ヘテロバイポーラトランジスタの利点である高い
電流増幅率を発揮することができる。
【0050】一方、作製したトランジスタの高周波特性
を測定したところ、SiC系の従来のバイポーラトラン
ジスタと比較して、約2倍の遮断周波数が得られてい
る。この結果は、SiCデバイスにヘテロ接合部を用い
ることにより高周波特性が改善されたことを示してい
る。
【0051】したがって、本実施形態のヘテロバイポー
ラトランジスタにより、第1の実施形態で説明したよう
な結晶性のよいSiC−SiGeCヘテロ接合構造を利
用して、従来のSi系ヘテロバイポーラトランジスタの
有する利点に加えて、熱的安定性及び耐電圧性の高いパ
ワー素子として機能するヘテロバイポーラトランジスタ
を実現することができる。
【0052】なお、本実施形態では、イオン注入を用い
てSiGeC層203を形成しているが、6H−SiC
基板の表面に熱拡散を用いてGe原子を拡散させたり、
液相成長法,気相成長法もしくは分子線エピタキシャル
成長法を用いたエピタキシャル成長法によって、6H−
SiC基板上にSiGeC層を形成してもよい。
【0053】また、本実施形態では、6H−SiC基板
201を用いているが、3C−SiC基板、4H−Si
C基板やその他の結晶構造のSiC基板を用いても、ほ
ぼ同様の効果が得られる。
【0054】(第3の実施形態)次に、SiC−SiG
eCのヘテロ接合部を利用したHEMT(High Electro
n Mobility Transistor )に関する第3の実施形態につ
いて、図3(a),(b)を参照しながら説明する。
【0055】図3(a)は、本実施形態に係るHEMT
の構造を示す断面図であり、図3(b)はこのHEMT
のゲートに直交する断面における各層の伝導帯及び価電
子帯の状態を示すバンド図である。
【0056】図3(a)に示すように、本実施形態のH
EMTは、p型の6H−SiC基板301と、6H−S
iC基板301内の表面付近の領域に設けられたSiG
eCチャネル層302と、6H−SiC基板301内に
おけるSiGeCチャネル層302上の領域に設けられ
た低濃度のn型のSiC障壁層303と、6H−SiC
基板301内におけるSiGeCチャネル層302及び
SiC障壁層303を挟む領域に設けられたn+ 型のソ
ース・ドレイン領域304と、SiC障壁層303にコ
ンタクトするゲート電極305と、ソース・ドレイン領
域304にコンタクトするソース・ドレイン電極306
とを備えている。
【0057】SiGeCチャネル層302のGe組成は
5%であり、Si組成は47.5%であり、C組成は4
7.5%である。一方、SiC障壁層303は、6H−
SiC基板301内に低濃度のPイオンを低エネルギー
で注入することにより形成されている。ソース・ドレイ
ン領域304は、ゲート電極305の形成領域を覆うマ
スク部材(例えばフォトレジスト膜あるいはゲート電極
305自体)の上方から、6H−SiC基板301内に
高濃度のPイオンを注入することにより形成されてい
る。
【0058】そして、図3(b)に示すように、SiC
障壁層303とSiGeCチャネル層302との間のヘ
テロ障壁部には、両者の界面における伝導帯のエネルギ
ーの不連続に起因するキャリア蓄積層307が形成され
ており、このキャリア蓄積層307に2次元電子ガスを
蓄積できるように構成されている。この2次元電子ガス
の濃度はゲート電極305への印加電圧により制御する
ことができる。本実施形態におけるHEMTの2次元電
子ガスの室温での電子移動度は、1000cm2 /Vで
あり、従来のSiC電界効果トランジスタの約3倍程度
の値であった。この結果は、SiCデバイスにヘテロ接
合構造を採用することにより電子移動度が増大すること
を示すものであり、本発明の効果を示すものである。
【0059】しかも、本実施形態のHEMTはSiC−
SiGeCヘテロ接合を利用しているので、熱的安定性
及び耐電圧性の高いパワートランジスタとして使用する
ことができる。
【0060】なお、本実施形態では、イオン注入を用い
てSiGeCチャネル層302を形成したが、液相成長
法、気相成長法もしくは分子線エピタキシャル成長法を
用いた結晶成長法によってSiGeCチャネル層302
を形成してもよい。さらに、6H−SiC基板だけでな
く、3C−SiC、4H−SiCの他の結晶構造のSi
C基板を用いてもHEMTを形成することができる。
【0061】また、キャリア蓄積層307を、6H−S
iC基板301とSiGeCチャネル層302との間に
形成してもよい。こちら側にもヘテロ接合が存在してい
るからである(図3(b)の右方であるが図示していな
い)。ただし、キャリア蓄積層307をゲート電極30
5に近い側に設けた方がゲート電圧の印加効率がよいと
いう利点がある。
【0062】さらに、キャリア蓄積層を利用しなくて
も、SiGeCチャネル層302は、SiC障壁層30
3と6H−SiC基板301との間の双方の境界部にヘ
テロ接合を有することから、2つのヘテロ障壁で挟まれ
る領域をキャリアが高速で走行するFETとして機能し
うる。
【0063】(第4の実施形態)次に、SiC−SiG
eCのヘテロ接合を利用したMOSFETに関する第4
の実施形態について、図4を参照しながら説明する。
【0064】図4は、本実施形態に係るMOSFETの
構造を示す断面図である。なお、このMOSFETのバ
ンド構造は、上記第3の実施形態から容易に推測できる
ので、図示を主略する。
【0065】図4に示すように、本実施形態のMOSF
ETは、Si基板401と、Si基板401上に設けら
れたSiGeC層402と、SiGeC層402上に設
けられた低濃度のp型の3C−SiC層403と、Si
GeC層402及び3C−SiC層403を横方向に挟
む領域に設けられたn+ 型のソース・ドレイン領域40
5と、3C−SiC層403の上に設けられた熱酸化膜
404と、熱酸化膜404の上に設けられたゲート電極
406と、ソース・ドレイン領域405にコンタクトす
るソース・ドレイン電極407とを備えている。
【0066】次に、図4に示すMOSFETの製造工程
について説明する。まず、Si基板401上に気相成長
法によりSiGeC層402を成長させる。原料ガスに
はSiH4 、GeH4 およびC38 を用い、成長温度
は1000℃とし、SiH4およびC38 流量をそれ
ぞれ0.3sccm、0.2sccmと一定にした状態
でGeH4 流量を0.85sccmから0sccmまで
連続的に変化させることにより、SiGeC層402の
Ge組成を85%から0%まで連続的に変化させる。な
お、その間、Si組成とC組成とは、いずれも7.5〜
50%まで連続的に変化する。
【0067】引き続き、SiGeC層402上にp型の
3C−SiC層403を成長させる。p型ドーパントに
はB26 を用い、3C−SiC層403中のp型キャ
リアの濃度を5x1017cm-3、膜厚を2μmとする。
【0068】次に、成長後のウェハ表面に熱酸化法によ
り熱酸化膜404を形成した後、フォトリソグラフィお
よびイオン注入(Pイオン)を用いて高濃度のn型ソー
ス・ドレイン領域404を形成する。さらに、ウエハ上
にポリシリコン膜を堆積した後、これをパターニングし
て、ゲート電極406およびソース・ドレイン電極40
7を形成する。
【0069】以上の工程により、MOSFETを作製す
ることができる。
【0070】本実施形態のMOSFETにおける3C−
SiC層403の結晶欠陥密度は、SiC層をSi基板
401上に直接成長させた場合に比べると、約1/10
0の値であった。また、本実施形態のMOSFETにお
いては、Si基板に直接成長したSiC層を用いて作製
したMOSFETと比較して、電子移動度の増大、酸化
膜の耐圧の向上、歩留まりの向上が確認された。
【0071】すなわち、本実施形態のMOSFETによ
ると、Si基板401と3C−SiC層403との間に
SiGeC層402を介在させることにより、3C−S
iC層403の結晶性が向上し、デバイス特性の向上を
図ることができる。
【0072】図5は、Si組成とC組成とが等しいSi
GeC層の格子定数のGe組成依存性を示す図である。
同図に示すように、Ge組成が85%のときにSiGe
C層の格子定数と単結晶Si層の格子定数とが等しくな
る。よって、SiGeC層のSi基板との境界部におけ
るGe組成を85%とすることで、Si−SiGeC間
の格子不整合をなくすとともに、格子定数を連続的に変
化させて欠陥の少ない3C−SiC層を形成することが
できる。
【0073】ただし、SiGeC層のGe組成を85〜
0%まで変化させなくても、図5に示す組成内におい
て、SiGeC層内のGe組成の変化範囲がSiC層と
Si基板との格子不整合を緩和できる範囲であれば、本
発明の効果を発揮することは可能である。例えば一定組
成の単層のSiGeC層を設けるだけでも格子不整合を
緩和する作用は得られる。
【0074】なお、本実施形態では、3C−SiC層4
03を活性層とするMOSFETを形成したが、3C−
SiC層内にエミッタ,ベース及びコレクタを形成して
バイポーラトランジスタを形成してもよい。また、3C
−SiC層ではなく、6H−SiC層や4H−SiC層
を用いてもよい。
【0075】さらに、上記3C−SiC層,6H−Si
C層又は4H−SiC層の上にさらにSiGeC層を形
成して(例えば第1の実施形態の方法により)、上記第
2,第3の実施形態のようなヘテロバイポーラトランジ
スタや、HEMTを形成することもできる。
【0076】
【発明の効果】本発明の第1の半導体装置の製造方法に
よれば、SiC−SiGeCへテロ接合を有する半導体
装置の製造方法として、化学的量論比1:1の組成を有
するSiC層にGeを導入することによりSiGeC層
を形成するようにしたので、結晶性のよいSiGeC層
を用いて、電気的特性が優れるとともに熱的安定性の高
いパワートランジスタとして機能できる半導体装置を得
ることができる。
【0077】本発明の第2の半導体装置の製造方法によ
れば、SiC層を活性層として有する半導体装置の製造
方法として、Si基板上にSiGeC層を形成してか
ら、このSiGeC層の上にSiC層を形成するように
したので、高価なSiC基板を使用せずに安価なSi基
板を使用しながら、結晶欠陥の少ないSiC層を形成す
ることができる。
【0078】本発明の第1の半導体装置によれば、Si
C層からなる第1の半導体層と、化学的量論比1:1を
有するSiC層にGeを導入して形成されたSiGeC
層からなる第2の半導体層とを設けたので、2つの半導
体層の境界部にヘテロ接合を利用して、電気的特性の優
れた高い熱的安定性と耐電圧性とを有する各種の半導体
装置を得ることができる。
【0079】本発明の第2の半導体装置によれば、Si
基板の上に設けられた格子緩和用SiGeC層を介して
SiC層を設け、SiC層を動作層として有する半導体
装置を構成したので、安価なSi基板を用いて、高い熱
的安定性,耐電圧性を有するSiC系の半導体装置を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るSiC層へのイ
オン注入によるSiGeC層の形成工程を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るSiC−SiG
eCヘテロ接合を有するヘテロバイポーラトランジスタ
の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るSiC−SiG
eCヘテロ接合を有するHEMTの構造を示す断面図で
ある。
【図4】本発明の第4の実施形態に係るSi基板上に形
成されたSiCを動作層とするMOSFETの構造を示
す断面図である。
【図5】SiGeC層の格子定数のGe依存性を示す図
である。
【図6】SiC結晶の各種形態を示す結晶構造図であ
る。
【符号の説明】
101 6H−SiC基板 102 Geイオン 103 SiGeC層 201 6H−SiC基板 202 SiCエミッタ層 203 SiGeCベース層 204 SiCコレクタ層 205 電極 206 絶縁膜 207 SiCサブコレクタ層 301 6H−SiC基板 302 SiGeCチャネル層 303 SiC障壁層 304 ソース・ドレイン領域 305 ゲート電極 306 ソース・ドレイン電極 307 キャリア蓄積層 401 Si基板 402 SiGeC層 403 3C−SiC層 404 熱酸化膜 405 ソース・ドレイン領域 406 ゲート電極 407 ソース・ドレイン電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 29/812 (72)発明者 能澤 克弥 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−102311(JP,A) 特開 平6−224127(JP,A) 特開 平7−22330(JP,A) 特開 平4−106980(JP,A) 特開 平5−144834(JP,A) 特開 平5−102177(JP,A) 特開 昭64−15912(JP,A) 特開 平9−129751(JP,A) L.D.Lanzelotti e t.al.”Si/SiGeC1−x− y/Si Heterojunctio n Bipolar Transist ors”IEEE Electron Device Letters,vo l.17,no.7,pp.334−337 (1996) X.Lu & N.W.Cheun g”SiGe and SiGeC S urface Alloy Forma tion Using High−do se Implantation an d Solid Phase Epit axy”Proceedings of the 11th Internati onal Conference on Ion Implantation Technology,pp.686−689 (1996) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/737 H01L 21/331 H01L 29/778 H01L 21/205 IEEE Xplore

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiC−SiGeCへテロ接合部を有す
    る半導体装置の製造方法であって、 化学的量論比1:1の組成を有するSiC層を準備する
    工程と、 上記SiC層に、Geを導入することによりSiGeC
    層を形成する工程とを備えている半導体装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記SiGeC層を形成する工程では、SiC層にGe
    イオンを注入することを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記SiGeC層を形成する工程では、SiC層の上
    に、Siの組成とCの組成とが互いにほぼ等しいSiG
    eC層をエピタキシャル成長させることを特徴とする半
    導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の
    半導体装置の製造方法において、 上記SiC層を準備する工程は、 Si基板上にSiGeC層をエピタキシャル成長させる
    工程と、 上記SiGeC層の上にSiC層をエピタキシャル成長
    させる工程とを備えていることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 SiC層を活性層として有する半導体装
    置の製造方法であって、 Si基板上にSiGeC層をエピタキシャル成長させる
    工程と、 上記SiGeC層の上に上記SiC層をエピタキシャル
    成長させる工程とを備え、 上記SiGeC層をエピタキシャル成長させる工程で
    は、Si組成とC組成とを等しくしながら、Ge組成を
    減少させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記SiGeC層をエピタキシャル成長させる工程で
    は、Ge組成をSiGeC層の格子定数が単結晶Siの
    格子定数とほぼ等しくなる値からほぼ0まで減少させる
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 SiC層により構成される第1の半導体
    層と、 化学的量論比1:1を有するSiC層にGeを導入して
    形成されたSiGeC層により構成される第2の半導体
    層とを備え、 上記第1の半導体層と第2の半導体層との間の境界にヘ
    テロ接合部が形成されていることを特徴とする半導体装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項記載の半導体装置において、 上記第1の半導体層は、第1導電型のエミッタ層であ
    り、 上記第2の半導体層は、上記エミッタ層の下方に設けら
    れた第2導電型のベース層であり、 上記ベース層の下方に設けられたSiC層からなる第1
    導電型のコレクタ層をさらに備え、 ヘテロバイポーラトランジスタとして機能することを特
    徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項記載の半導体装置において、 上記第1の半導体層と上記第2の半導体層とは互いに積
    層されて、両者の境界部にエネルギー不連続部であるキ
    ャリア蓄積層が形成されており、 上記第1の半導体層と第2の半導体層とを横方向に挟む
    ソース・ドレイン領域と、 上記第1及び第2の半導体層の上方に設けられたゲート
    電極とをさらに備え、上記キャリア蓄積層内を2次元キ
    ャリアガスが走行するHEMTとして機能することを特
    徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置において、 Si基板と、 上記Si基板上に設けられた格子緩和用SiGeC層と
    をさらに備え、 上記第1の半導体層は、上記格子緩和用SiGeC層の
    上に設けられていることを特徴とする半導体装置。
  11. 【請求項11】 Si基板と、 上記Si基板の上に設けられた格子緩和用SiGeC層
    と、 上記格子緩和用SiGeC層の上に設けられたSiC層
    とを備え、 上記SiC層を動作層として有するとともに、 上記格子緩和用SiGeC層は、ほぼ等しいSi組成と
    C組成とを有し、かつ上方に向かって漸次減少するGe
    組成を有することを特徴とする半導体装置。
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