JP3198680B2 - 耐摩耗性のすぐれたTi系炭窒化物基サーメット製切削工具 - Google Patents
耐摩耗性のすぐれたTi系炭窒化物基サーメット製切削工具Info
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Description
有し、かつ靭性にもすぐれ、したがって、例えば鋼の連
続切削は勿論のこと、断続切削に用いた場合にも切刃に
欠損やチッピング(微小欠け)などの発生なく、すぐれ
た切削性能を長期に亘って発揮するTi系炭窒化物基サ
ーメット製切削工具に関するものである。
号公報および特開昭63−83241号公報に記載され
る通り、実質的にCoおよび/またはNiからなる結合
相が5〜30容量%を占め、残りが、組織観察で芯部と
外周部に色別される2重構造や、同じく芯部と中間部と
外周部に色別される3重構造を有する硬質分散相からな
り、かつ上記硬質分散相における2重構造の芯部と外周
部、同じく3重構造の芯部と中間部と外周部のいずれも
がTiと、Ta,Nb,Zr,W,およびMoのうちの
1種または2種以上とのTi系炭窒化物固溶体からなる
Ti系炭窒化物基サーメット(以下、単にサーメットと
いう)で構成された切削工具が知られており、さらに前
記サーメットの硬質分散相における2重構造および3重
構造が硬質分散相の構成成分の相互濃度差によって生じ
ることも知られている。
硬質分散相において、前記サーメットの焼結を窒素雰囲
気で行った場合、前記硬質分散相に構成成分としてW成
分が存在すると、前記硬質分散相は3重構造をとるよう
になり、一方前記硬質分散相がW成分を含有しない場合
には2重構造を示すようになることはよく知られるとこ
ろであり、さらに前記サーメットの焼結を真空雰囲気で
行えば、焼結後のサーメットにおける硬質分散相は、こ
れの構成成分に関係なく、いずれも2重構造を示すよう
になることも知られている。
の省力化およびFA化に伴い、切削工具にも一段と使用
寿命の延命化が求められているが、上記の従来サーメッ
ト製切削工具は、すぐれた靭性を有するので、例えば鋼
の断続切削で切刃に欠損やチッピング(微小欠け)が発
生することはないが、摩耗進行が比較的速いために、短
時間で使用寿命に至るのが現状である。
上述のような観点から、上記の従来サーメット製切削工
具と同等のすぐれた靭性を具備した上で、さらに一段と
すぐれた耐摩耗性を示すサーメット製切削工具を開発す
べく研究を行った結果、実質的にCoおよび/またはN
iからなる結合相が5〜30容量%を占め、残りが、組
織観察で芯部と外周部に色別される2重構造や、同じく
芯部と中間部と外周部に色別される3重構造を有する硬
質分散相からなるサーメットで構成された切削工具にお
いて、上記サーメットの硬質分散相を、 (a)芯部が炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)か
らなる2重構造および/または3重構造の硬質分散相
と、 (b)芯部がTiと、Ta,Nb,Zr,W、およびM
oのうちの1種または2種以上とのTi系炭窒化物固溶
体(以下、(Ti,M)CNで示す)からなる2重構造
および/または3重構造の硬質分散相、で構成すると、
この結果のサ−メット製切削工具は、上記芯部がTiC
Nからなる硬質分散相によってすぐれた耐摩耗性を具備
し、かつ芯部が(Ti,M)CNからなる硬質分散相
と、実質的にCoおよび/またはNiからなる結合相に
よってすぐれた靭性をもつようになり、連続切削は勿論
のこと、断続切削においても切刃に欠損やチッピングの
発生なく、すぐれた耐摩耗性を示すようになるという研
究結果を得たのである。
なされたものであって、実質的にCoおよび/またはN
iからなる結合相が5〜30容量%を占め、残りが、組
織観察で芯部と外周部に色別される2重構造および/ま
たは同じく芯部と中間部と外周部に色別される3重構造
を有する硬質分散相からなり、かつ上記硬質分散相を、 (a)芯部がTiCNからなる2重構造および/または
3重構造の硬質分散相と、 (b)芯部が(Ti,M)CNからなる2重構造および
/または3重構造の硬質分散相、で構成すると共に、上
記の芯部がTiCNからなる硬質分散相の割合を、硬質
分散相に占める割合で40〜70容量%とした組織、を
有するサーメットで構成してなる、耐摩耗性のすぐれた
サーメット製切削工具に特徴を有するものである。
を構成するサーメットの結合相の割合を5〜30容量%
としたのは、その割合が5容量%未満では所望の靭性を
確保することができず、一方その割合が30容量%を越
えると耐摩耗性が急激に低下するようになるという理由
によるものであり、また、同じく芯部がTiCNからな
る硬質分散相の相対割合を40〜70容量%と定めたの
は、その割合が40容量%未満では所望のすぐれた耐摩
耗性を得ることができず、一方その割合が70容量%を
越えると、相対的に芯部が(Ti,M)CNからなる硬
質分散相の割合が30容量%未満と少なくなりすぎ、こ
れによってもたらされるすぐれた靭性を確保することが
できなくなるという理由にもとづくものである。
具体的に説明する。原料粉末として、いずれも0.5〜
2μmの範囲内の所定の平均粒径を有し、かつ表1,2
に示される各種の炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉
末、および(Ti,M)CN粉末、さらにTiCN粉
末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉
末を表1,2に示される配合組成に配合し、ボールミル
にて72時間湿式混合し、乾燥した後、1.5ton /cm
2 の圧力で圧粉体にプレス成形し、ついで、この圧粉体
を、 (a) 常温から1100℃までの昇温過程を10-2to
rrの窒素雰囲気とし、1100℃から1420〜150
0℃の範囲内の所定の焼結温度までの昇温過程、前記焼
結温度に1時間の保持過程、および焼結温度保持終了か
ら常温までの冷却過程を10torrの窒素雰囲気とした条
件(窒素雰囲気焼結条件という)、 (b) 10-3torrの真空中、1420〜1500℃の
範囲内の所定温度に1時間保持後冷却の条件(真空焼結
条件という)、以上(a)および(b)のいずれかの条
件で焼結することにより、いずれもSNMG432の規
格に則したスローアウエイチップ形状を有する本発明サ
ーメット製切削工具(以下、本発明切削工具という)1
〜10、および芯部がいずれも(Ti,M)CNからな
る2重構造または3重構造の硬質分散相で構成された従
来サーメット製切削工具(以下、従来切削工具という)
1〜6をそれぞれ製造した。
について、その組織を分析電子顕微鏡並びに画像解析装
置で観察し、結合相の割合、並びに硬質分散相の構成割
合を測定すると共に、 被削材:SNCM439の(硬さ:HB 270)の長さ
方向等間隔を3本縦溝入り丸棒、 切削速度:150m/min 、 切り込み:3mm、 送り:0.5mm/rev.、 切削時間:5分、 の条件での鋼の乾式断続切削試験、並びに、 被削材:SNCM439(硬さ:HB 270)の丸棒、 切削速度:200m/min 、 切り込み:2mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:20分、 の条件での鋼の乾式連続切削試験を行ない、いずれの試
験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの測定結
果表3,4にそれぞれ示した。
ト中に、芯部がTiCNからなる2重構造および/また
は3重構造、並びに芯部が(Ti,M)CNからなる2
重構造および/または3重構造の硬質分散相が存在する
本発明切削工具1〜10は、断続切削で切刃に欠損やチ
ッピングの発生なく、芯部がいずれも(Ti,M)CN
からなる2重構造または3重構造の硬質分散相で構成さ
れた従来切削工具1〜6に比してすぐれた耐摩耗性を示
し、かつ連続切削でも同様にすぐれた耐摩耗性を示すこ
とが明らかである。上述のように、この発明のサーメッ
ト製切削工具は、すぐれた耐摩耗性と靭性を具備してい
るので、連続切削は勿論のこと、断続切削での切刃に欠
損やチッピングの発生なく、著しく長期の亘ってすぐれ
た切削性能を発揮するのである。
Claims (1)
- 【請求項1】 実質的にCoおよび/またはNiからな
る結合相が5〜30容量%を占め、残りが、組織観察で
芯部と外周部に色別される2重構造および/または同じ
く芯部と中間部と外周部に色別される3重構造を有する
硬質分散相からなり、 かつ上記硬質分散相を、 (a)芯部が炭窒化チタンからなる2重構造および/ま
たは3重構造の硬質分散相と、 (b)芯部がTiと、Ta,Nb,Zr,W、およびM
oのうちの1種または2種以上とのTi系炭窒化物固溶
体からなる2重構造および/または3重構造の硬質分散
相、 で構成すると共に、 上記の芯部が炭窒化チタンからなる硬質分散相の割合
を、硬質分散相に占める割合で40〜70容量%とした
組織、 を有するTi系炭窒化物基サーメットで構成したことを
特徴とする耐摩耗性のすぐれたTi系炭窒化物基サーメ
ット製切削工具。
Priority Applications (3)
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JP33011692A JP3198680B2 (ja) | 1992-11-16 | 1992-11-16 | 耐摩耗性のすぐれたTi系炭窒化物基サーメット製切削工具 |
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