JP3196008B2 - バンプストッパの取付構造 - Google Patents

バンプストッパの取付構造

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JP3196008B2 JP00883296A JP883296A JP3196008B2 JP 3196008 B2 JP3196008 B2 JP 3196008B2 JP 00883296 A JP00883296 A JP 00883296A JP 883296 A JP883296 A JP 883296A JP 3196008 B2 JP3196008 B2 JP 3196008B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本願発明は、車両のサスペンションアーム
と車体との接触時における衝撃を吸収緩和するためのバ
ンプストッパを、中空状に形成されているサスペンショ
ンアームに適切に取付けるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、車両のサスペンションア
ームとしては、アッパ部材とロア部材とを接合すること
によってアーム全体を中空状に形成したものがある。ま
た、このようなサスペンションアームにバンプストッパ
を取付ける手段としては、たとえば実開昭58−118
103号公報の第3図に示されているように、バンプス
トッパをサスペンションアームにボルト止めするのが一
般的である。
【0003】すなわち、従来では、本願の図4に示すよ
うに、中空状に形成されたサスペンションアーム1eの
上面にバンプストッパ5eを配置させているが、上記バ
ンプストッパ5eの下面に突出した取付ボルト6eにつ
いては、上記サスペンションアーム1eのアッパ部材1
9aに貫通させている。そして、上記サスペンションア
ーム1eの内部において、上記取付ボルト6eにナット
6fを螺合させた上で、その締付けを図っていた。ま
た、上記アッパ部材19aには、環状の溝部18などを
形成することにより、コイルスプリング4の位置決めを
図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の手段では、サスペンションアーム1eの薄板状のア
ッパ部材19aにバンプストッパ5eを取付けた構造に
過ぎないために、バンプストッパ5eの取付箇所の強度
を充分に確保することが困難となっていた。すなわち、
車両走行時においてサスペンションアーム1eを上昇さ
せる方向(矢印b方向)の非常に大きな入力があると、
バンプストッパ5eが車体フレーム3に強く当接する場
合があるが、この際の衝撃力は、サスペンションアーム
1eの薄板状のアッパ部材19aに集中することとな
る。したがって、アッパ部材19aに環状の溝部18な
どが設けられているなどして、多少その部分の剛性が高
められていたとしても、これだけではアッパ部材19a
の強度が不足し、アッパ部材19aが変形する可能性が
高い。このため、従来では、このような不具合を解消す
る手段として、アッパ部材19aを厚肉にしたり、ある
いは厚肉のリインフォースメントを追加して設けるとい
った必要があり、サスペンションの軽量化や、製造コス
トの低減化などの面で大きな不利を生じていた。
【0005】また、上記従来の手段では、バンプストッ
パ5eの取付ボルト6eとナット6fとの締付けをサス
ペンションアーム1eの内部において行っている。この
ため、その締付作業は容易ではなく、製作作業性の面で
も不具合を生じていた。さらに、サスペンションアーム
1eのロア部材19bには、締付工具Kを差し込み可能
とする大きな開口面積の差し込み孔90設ける必要があ
り、サスペンションアーム1eの強度面などにおける不
利が一層顕著となっていた。
【0006】なお、従来では、たとえば図5に示すよう
に、サスペンションアーム1fのアッパ部材19cに凹
状部92を形成することにより、このアッパ部材19c
の凹状部92をロア部材19dに接合し、バンプストッ
パ5eの取付部分の剛性を高める手段もある。ところ
が、このような手段では、凹状部92の加工が煩雑とな
る他、バンプストッパ5eの高さを本来の位置に矯正す
るための特殊な台座91を設ける必要もあり、製造コス
トがかなり高価となる。また、アッパ部材19cの凹状
部92には、水が溜まり易く、この水が冬季に氷結する
などの事態も生じ、このような現象はコイルスプリング
4などの各部にとって好ましいものではない。したがっ
て、このような手段では、上述した難点を適切に解消す
ることはできない。
【0007】本願発明は、このような事情のもとで考え
出されたものであって、サスペンションアームの重量の
増大化や製造コストの上昇などを抑制しつつ、バンプス
トッパをサスペンションアームに対して容易かつ適切
に、しかも充分な強度で取付けることができるようにす
ることをその課題としている。
【0008】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0009】すなわち、本願発明は、アッパ部材とロア
部材とを接合した中空状のサスペンションアームの上面
部に、バンプストッパが取付けられているバンプストッ
パの取付構造であって、上記バンプストッパの下方に
は、上記サスペンションアームのアッパ部材とロア部材
との相互間に挟まれたディスタンスピースが配されてい
るとともに、上記バンプストッパを支持するバンプスト
ッパ用の取付軸は、その下端部が上記ロア部材の下方へ
突出するように上記アッパ部材とロア部材とに貫通し、
かつ上記ロア部材の下面側においてその固定が図られて
おり、上記取付軸は、上記ディスタンスピースの内部に
おいて上記ディスタンスピースの取付方向と同方向に沿
って配置されていることを特徴としている。
【0010】本願発明では、サスペンションアームのア
ッパ部材とロア部材との相互間に挟まれたディスタンス
ピースをバンプストッパの下方に配しているために、バ
ンプストッパの取付箇所は、ディスタンスピースを介し
てロア部材によっても支持された構造となり、バンプス
トッパがその上方の車体に当接したときの衝撃力をアッ
パ部材のみならず、ロア部材によっても適切に受けるこ
とができる。したがって、アッパ部材のみによってバン
プストッパを支持していた従来の構造とは異なり、アッ
パ部材を不必要に厚肉にしたり、あるいは別途厚肉のリ
インフォースメントを設けるようなことなく、バンプス
トッパの取付箇所の強度を高めることが可能となり、サ
スペンションアームの軽量化、ならびに製造コストの低
減化が図れるという格別な効果が得られる。
【0011】また、本願発明では、バンプストッパ用の
取付軸は、その下端部がサスペンションアームのロア部
材の下方へ突出し、このロア部材の下面側においてその
固定が図られているために、従来とは異なり、サスペン
ションアームの内部に工具を差し込むような作業を行う
必要はない。したがって、バンプストッパの取付作業の
容易化も図れる。
【0012】さらに、本願発明では、ディスタンスピー
スを必要とするが、このディスタンスピースは、要は、
サスペンションアームのアッパ部材とロア部材との相互
間において突っ張り機能を発揮する部材であればよく、
たとえば単なる断面U字状の部材や円筒状の部材などの
安価な部材を用いることができる。また、本願発明で
は、バンプストッパ用の取付軸を、サスペンションアー
ムのアッパ部材とロア部材とに貫通させており、この取
付軸の方向がディスタンスピースの取付方向と一致する
ために、ディスタンスピースを締付けるための専用のボ
ルトを不要とすることもできる。したがって、部品点数
の増大も極力抑制することができ、製造コストの一層の
低減化が図れる。むろん、サスペンションのアッパ部材
を凹状に形成するような必要もないから、凹状部分に水
が溜まるような不具合も適切に回避することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0014】図1は、本願発明に係るバンプストッパの
取付構造の一例を示す要部断面図であり、具体的には図
3のX−X線断面図に相当する。図2は、図1に示すバ
ンプストッパの取付構造に用いられているディスタンス
ピースの一例を示す斜視図である。図3は、車両のサス
ペンションの一例を示す平面図である。
【0015】まず、図3に示したサスペンションの構成
から説明する。このサスペンションは、トレーリングア
ーム式サスペンションであり、車両前後方向に延びる左
右一対のサスペンションアーム1,1を、車幅方向に延
びるトーションビーム2を介して相互に連結したもので
ある。また、このサスペンションでは、上記トーション
ビーム2に加えて、一対のサスペンションアーム1,1
間に別途スタビライザ(図示略)を連結することによ
り、このサスペンションのロール剛性を一層高めるよう
にすることもできる。
【0016】上記各サスペンションアーム1の車両方向
前端部には、このサスペンションアーム1を車体フレー
ム(図示略)に取付けるためのブッシュ10が設けられ
ており、このブッシュ10の車体フレームに対する連結
中心C,Cを支点としてサスペンションアーム1の全体
が上下方向にスイング動作可能である。また、このサス
ペンションアーム1の後部側面には、車輪を取付けるた
めのスピンドル軸11も設けられている。
【0017】上記各サスペンションアーム1は、図1に
示すように、プレス成形などによって所望の形状に形成
されたアッパ部材1Aとロア部材1Bとを接合して構成
されたものであり、もなか状の中空状に形成されてい
る。上記アッパ部材1Aには、平面視略円状の突出段部
12が形成されている。この突出段部12は、サスペン
ションアーム1と車体フレーム3との相互間に介装され
るコイルスプリング4の下部に嵌入し、このコイルスプ
リング4を位置決めする役割を果たす。また、この突出
段部12は、後述するように、バンプストッパ5の取付
座部としての役割も果たす。上記突出段部12の下方に
は、ロア部材1Bの一部が上方に突出した段部13が設
けられており、このロア部材1Bの下面部には、適当な
深さの略円形状の凹部14が形成されている。
【0018】次に、図1に示すバンプストッパの取付構
造について説明する。上記バンプストッパ5は、たとえ
ば合成ゴムなどの緩衝性を備えた弾性部材によって構成
されており、上記サスペンションアーム1のアッパ部材
1Aの突出段部12上に配されている。このバンプスト
ッパ5は、その内部に取付軸6の一部が埋設されるなど
して、この取付軸6との一体化が図られている。
【0019】上記取付軸6は、その外周に雄ねじを形成
したネジ軸状であり、従来既存のバンプストッパに取付
けられている取付軸(ボルト)よりも長い寸法に形成さ
れている。この取付軸6は、上記アッパ部材1Aの突出
段部12と、ロア部材1Bの段部13とのそれぞれの略
中央部に穿設されている上下の孔部14,14aに一連
に挿通されている。この取付軸6の下端部は、ロア部材
1Bの下面よりも下方へ突出し、この突出部分にナット
6aを螺合させて締付け可能となっている。したがっ
て、上記バンプストッパ5の取付けに際しては、中空状
のサスペンションアーム1の内部へナット6aの締付工
具を差し込む必要はなく、サスペンションアーム1の外
部において上記ナット6aを締付けることにより、バン
プストッパ5の取付を容易に行うことができる。
【0020】上記アッパ部材1Aの突出段部12とロア
部材1Bの段部13との相互間には、ディスタンスピー
ス7が介装して設けられている。このディスタンスピー
ス7は、たとえば図2に示すように、断面略U字状の金
属部材で形成されたものであり、上記突出段部12と段
部13との相互間においてこれら両部材を突っ張る役割
を果たす。このディスタンスピース7は、たとえばサス
ペンションアーム1のアッパ部材1Aとロア部材1Bと
を互いに接合する以前に、アッパ部材1Aに対して溶接
付けWなどの手段によって予め取付けておくことによ
り、上記アッパ部材1Aとロア部材1Bとの両者間に適
切に設けることが可能である。
【0021】上記構成のバンプストッパの取付構造にお
いては、サスペンションアーム1の後部が矢印a方向に
大きく上昇し、バンプストッパ5の上部先端が車体フレ
ーム3に当接すると、その際の衝撃力がバンプストッパ
5を介してサスペンションアーム1のアッパ部材1Aに
入力する。ところが、このアッパ部材1Aの下面は、ロ
ア部材1Bに当接したディスタンスピース7によってバ
ックアップされているために、上記衝撃力をロア部材1
Bによっても受け止めることができる。また、上記ディ
スタンスピース7が介装されている部分においては、ア
ッパ部材1Aでは突出段部12が、またロア部材1Bで
は段部13がそれぞれ形成されていることにより、これ
らの各部位の剛性も高められている。したがって、バン
プストッパ5の取付部分の強度が向上し、上記バンプス
トッパ5が車体フレーム3に当接した際に上記サスペン
ションアーム1の一部が容易に変形するようなことを無
くすことが可能となる。
【0022】また、上記バンプストッパの取付構造で
は、ディスタンスピース7を用いているが、このディス
タンスピース7の内部にはバンプストッパ5の取付軸6
がディスタンスピース7の取付方向と同方向に沿って配
置されており、この取付軸6はディスタンスピース7の
取付用ボルトとしても機能する。したがって、ディスタ
ンスピース専用の固定用ボルトをあえて用いる必要はな
い。したがって、部品点数の増加を最小個数に抑えるこ
とができる。むろん、ディスタンスピース7は、サスペ
ンションアーム1の内部に配置されるために、サスペン
ションアーム1の無用な大型化を招来するようなことは
ない。また、上記ディスタンスピース7の全長は、サス
ペンションアーム1内の中空部の縦幅と同一の小寸法の
ものでよいから、軽量に製作することができ、サスペン
ションアーム1の軽量化にも有利である。
【0023】なお、上記実施形態では、ロア部材1Bに
段部13を形成しているために、ロア部材1Bの強度を
向上させることができる他、バンプストッパ5の取付軸
6やディスタンスピース7の全長寸法を短くするのにも
役立つ。さらには、段部13によって形成された凹部1
4内にナット6aを配置させることにより、このナット
6aがサスペンションアーム1の下面側において不体裁
に大きく突出するようなことも回避することができる。
ただし、本願発明はこのような構成に限定されず、ロア
部材1Bに段部13を形成しない構成であってもよい。
同様に、本願発明では、アッパ部材1Aに突出段部12
が形成されていない構成としてもかまわない。
【0024】また、上記実施形態では、取付軸6に螺合
させたナット6aを締付けることによりバンプストッパ
5の固定を図るようにしているが、本願発明はやはりこ
れに限定されない。取付軸6の固定手段としては、ナッ
トの締付け手段とは異なる他の手段を採用してもよい。
【0025】さらに、上記実施形態では、断面略U字状
のディスタンスピース7を用いているが、このディスタ
ンスピース7の具体的な形状などもとくに限定されな
い。たとえばディスタンスピースの形状を円筒状やその
他の筒状形状にしてもよい。
【0026】その他、本願発明に係るバンプストッパの
取付構造の各部の具体的な構成は種々に設計変更自在で
ある。むろん、本願発明は、アッパ部材とロア部材とを
接合することによって中空状に形成されたサスペンショ
ンアームを用いたサスペンションであれば、種々のタイ
プのサスペンションに適用することが可能であり、適用
対象となるサスペンションの具体的な種類などもとくに
問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るバンプストッパの取付構造の一
例を示す要部断面図であり、具体的には図3のX−X線
断面図に相当する。
【図2】図1に示すバンプストッパの取付構造に用いら
れているディスタンスピースの一例を示す斜視図であ
る。
【図3】車両のサスペンションの一例を示す平面図であ
る。
【図4】従来のバンプストッパの取付構造の一例を示す
要部断面図である。
【図5】従来のバンプストッパの取付構造の他の例を示
す要部断面図である。
【符号の説明】
1 サスペンションアーム 1A アッパ部材(サスペンションアームの) 1B ロア部材(サスペンションアームの) 3 車体フレーム 5 バンプストッパ 6 取付軸 6a ナット 7 ディスタンスピース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 7/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アッパ部材とロア部材とを接合した中空
    状のサスペンションアームの上面部に、バンプストッパ
    が取付けられているバンプストッパの取付構造であっ
    て、 上記バンプストッパの下方には、上記サスペンションア
    ームのアッパ部材とロア部材との相互間に挟まれたディ
    スタンスピースが配されているとともに、 上記バンプストッパを支持するバンプストッパ用の取付
    軸は、その下端部が上記ロア部材の下方へ突出するよう
    に上記アッパ部材とロア部材とに貫通し、かつ上記ロア
    部材の下面側においてその固定が図られており、 上記取付軸は、上記ディスタンスピースの内部において
    上記ディスタンスピースの取付方向と同方向に沿って配
    置されて いることを特徴とする、バンプストッパの取付
    構造。
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