JP3195340B2 - ポリエチレンテレフタレート成形体 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート成形体

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JP3195340B2 JP26126890A JP26126890A JP3195340B2 JP 3195340 B2 JP3195340 B2 JP 3195340B2 JP 26126890 A JP26126890 A JP 26126890A JP 26126890 A JP26126890 A JP 26126890A JP 3195340 B2 JP3195340 B2 JP 3195340B2
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【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、ボトルをはじめとしてプリフォーム、シー
トなどのポリエチレンテレフタレート成形体に関し、さ
らに詳しくは、オリゴマー増加量の少ないポリエチレン
テレフタレート成形体に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 従来より、調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容
器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目
的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエチレンテレフタレートは、機械
的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れて
いるので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲
料充填用容器の素材として好適である。
このようなポリエチレンテレフタレート製ボトルは、
射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリ
フォームを成形し、このプリフォームを加熱し所定形状
の金型に挿入して延伸ブロー成形したり、さらに後熱処
理(ヒートセット)して中空成形容器に成形されるのが
一般的である。
ところが、従来公知のポリエチレンテレフタレート成
形体には、環状三量体などのオリゴマー類が含まれてお
り、この環状三量体などのオリゴマー類が金型内面や金
型のガス排気口、排気管などに付着することによる金型
汚れが発生しやすかった。
このような金型汚れは、得られるボトルなどの成形体
の表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルなどの成
形体が白化してしまうと、その成形体は廃棄しなければ
ならない。このため従来公知のポリエチレンテレフタレ
ートを用いて成形体を成形する際に、金型汚れを頻繁に
除去しなければならず、ボトルの生産性が著しく低下し
てしまうという大きな問題点があった。
本発明者らは、上記のような現状に鑑み、成形時に金
型汚れを発生させにくいボトルなどのポリエチレンテレ
フタレート成形体を得るべく鋭意研究したところ、特定
の固有粘度を有し、かつオリゴマー(環状三量体)含有
量が特定値以下であって、しかも該成形体を特定条件下
で加熱した際のオリゴマー増加量が特定範囲以下にある
ポリエチレンテレフタレート成形体は、その製造工程に
おいて金型汚れが少なく外観が良好であって、かつ金型
ラインの汚れあるいは詰りが少ないことを見出して、本
発明を完成するに至った。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決
しようとするものであって、成形時での環状三量体など
のオリゴマー類の生成量が少なく、金型汚れを発生させ
にくく外観が良好なポリエチレンテレフタレート成形体
を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体は、
固有粘度が0.50dl/g以上であるとともにオリゴマー含有
量が0.55重量%以下であるポリエチレンテレフタレート
成形体であって、しかも該ポリエチレンテレフタレート
成形体を窒素流通下で290℃の温度に7分間加熱溶融し
た後のオリゴマー増加量y(重量%)が、 y≦−0.72x+0.40 [式中yは加熱後のオリゴマー増加量(重量%)であ
り、xは成形体のオリゴマー濃度(重量%)である。]
であることを特徴としている。
本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体は、
ポリエチレンテレフタレート成形体を加熱した際に増加
するオリゴマーの量を上記のように特定したため、成形
時においてポリエチレンテレフタレートに含まれる環状
三量体などのオリゴマー類の総量が少なく、したがって
成形体の外観は良好であって、金型汚れあるいは成形体
の白化が発生しにくい。
発明の具体的説明 以下本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体
について具体的に説明する。
本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体は、
特定の固有粘度を有するとともに、オリゴマー含有量が
0.55重量%以下、好ましくは0.45重量%以下であり、し
かも、特定の条件下で溶融加熱した際にオリゴマーの増
加量が特定値以下である。
上記のようなポリエチレンテレフタレート成形体の原
料となるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコー
ルまたはそのエステル形成性誘導体とを原料として製造
されるが、このポリエチレンテレフタレートは20モル%
以下の他のジカルボン酸および/または他のグリコール
が共重合されていてもよい。
テレフタル酸以外の共重合に用いられるジカルボン酸
としては、具体的にはフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
リンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカル
ボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
エチレングリコール以外の共重合に用いられるグリコ
ールとしては、具体的にはトリメチレングリコール、プ
ロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデ
カメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロ
ヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフ
ェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオ
ール類などが挙げられる。
上記したようなテレフタル酸またはそのエステル形成
性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形
成性誘導体とを含む原料は、エステル化触媒の存在下で
エステル化された後、重縮合触媒の存在下で液相重縮合
され、次いで固相重縮合される。
本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体の原
料となるポリエチレンテレフタレートの製造方法として
は、回分方式、連続方式のいずれを採用しても良いが、
以下に好ましい連続製造方法の一例について具体的に説
明するが、本発明ではこれらの製造方法に限定されるも
のではない。具体的にはまず、テレフタル酸またはその
エステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそ
のエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
このようなスラリーには、テレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体1モルに対して1.02〜1.4モル好ま
しくは1.03〜1.3モルのエチレングリコールまたはその
エステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エ
ステル化反応工程に連続的に供給される。
エステル化反応は、少なくとも2個のエステル化反応
器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが
還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で
系外に除去しながら実施される。エステル化反応を行な
う際の反応条件は、第1段目のエステル化反応の温度が
通常240〜270℃好ましくは245〜265℃であり、圧力が通
常0.2〜3kg/cm2G好ましくは0.5〜2kg/cm2であり、また
最終段目のエステル化反応の温度が通常250〜280℃好ま
しくは255〜275℃であり、圧力が通常0〜1.5kg/cm2G好
ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。
したがって、エステル化反応を2段階で実施する場合
には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件が
それぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合
には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応
の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反
応条件の間の条件である。
たとえば、エステル化反応が3段階で実施される場合
には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245
〜275℃好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜2
kg/cm2G好ましくは0.2〜1.5kg/cm2Gである。これらのエ
ステル化反応の反応率は、それぞれの段階においては、
とくに制限はないが、各段階におけるエステル化反応率
の上昇と度合が滑らかに分配されることが好ましく、さ
らに最終段目のエステル化反応生成物においては通常は
90%以上、好ましくは93%以上に達することが望まし
い。
これらのエステル化工程により低次縮合物が得られ、
この低次縮合物の数平均分子量は、通常、500〜5000で
ある。
このようなエステル化反応はテレフタル酸およびエチ
レングリコール以外の添加物を添加せずに実施すること
も可能であり、また後述する重縮合触媒の共存下に実施
することも可能であるが、さらにトリエチルアミン、ト
リn−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第
3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化
テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベン
ジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよ
び炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸
ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施する
と、ポリエチレンテレフタレートの主鎖中のジオキシエ
チレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準に
保持できるので好ましい。
次いで得られた低次縮合物は、重縮合触媒の存在下に
減圧下で、得られるポリエチレンテレフタレートの融点
以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外
に留去させて重縮合する液相重縮合工程に供給される。
このような液相での重縮合反応は、1段階で行なって
も、複数段階に分けて行なってもよい。複数段階で行な
う場合、重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応
温度が、通常、250〜290℃好ましくは260〜280℃であ
り、圧力が通常、500〜20Torr好ましくは200〜30Torrで
あり、また最終段階の重縮合反応の温度が通常265〜300
℃好ましくは270〜295℃であり、圧力が通常10〜0.1Tor
r好ましくは5〜0.5Torrである。
重縮合反応を2段階で実施する場合には、第1段目お
よび第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上記の範囲で
あり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最
終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件は上記1段
目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件であ
る。
たとえば、重縮合反応が3段階で実施される場合に
は、第2段目の重縮合反応の反応温度は通常260〜295℃
好ましくは270〜285℃であり、圧力は通常、50〜2Torr
好ましくは40〜5Torrの範囲である。これらの重縮合反
応工程の各々において到達される固有粘度(IV)はとく
に制限はないが、各段階における固有粘度の上昇の度合
が滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目
の重縮合反応器から得られるポリエチレンテレフタレー
トの固有粘度(IV)は通常0.50〜1.00dl/g好ましくは0.
65〜0.80dl/gの範囲であることが望ましい。
本明細書において、固有粘度は、ポリエチレンテレフ
タレート1.2gをo−クロロフェノール15cc中に加熱溶解
した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出さ
れる。
上記のような重縮合反応は触媒および安定剤の存在下
に実施されることが好ましい。触媒として二酸化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム
テトラn−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸
化アンチモンなどのアンチモン触媒およびチタニウムテ
トラブトキサイドなどのチタン触媒を用いることができ
る。これらの触媒の中では、二酸化ゲルマニウム化合物
を用いると生成するポリエチレンテレフタレートの色相
および透明性が優れるので好ましい。また、安定剤とし
ては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリn−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフ
ェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホス
フェートなどの燐酸エステル類、トリフェニルホスファ
イト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルア
ッシドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェー
ト、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
などの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸な
どのリン化合物が用いられる。これらの触媒あるいは安
定剤の使用割合は、テレフタル酸とエチレングリコール
との混合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金
属の重量として、通常、0.0005〜0.2重量%好ましくは
0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤の場合に
は、安定剤中のリン原子の重量として通常、0.001〜0.1
重量%好ましくは0.002〜0.02重量%の範囲である。こ
れらの触媒および安定剤の供給方法は、エステル化反応
工程の段階において供給することもできるし、重縮合反
応工程の第1段目の反応器に供給することもできる。
本発明で原料として用いられるポリエチレンテレフタ
レートには、上述のようにテレフタル酸以外のジカルボ
ン酸やエチレングリコール以外のジオールが20モル%以
下の量で含まれていてもよいが、特に好ましく用いられ
るポリエチレンテレフタレートは、一般式[I] で表わされるエチレンテレフタレート成分単位(a)の
含有率が、95.0〜99.0モル%の範囲にあり、一般式[I
I] で表わされるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
(b)の含有率が、1.0〜5.0モル%の範囲にあることが
望ましい。
このようにして、最終重縮合反応器から得られた原料
ポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融押出成形法
によって粒状(チップ状)に成形される。
このような原料としての粒状ポリエチレンテレフタレ
ートは、通常2.0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの平均
粒径を有することが望ましい。
上記のようにして得られた粒状ポリエチレンテレフタ
レートは固相重縮合工程に供給される。
固相重合工程に供給される粒状ポリエチレンテレフタ
レートは、予め固相重縮合を行なう場合の温度より低い
温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工
程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレ
フタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃好ましくは13
0〜180℃の温度に1分〜4時間加熱して行なうこともで
き、あるいは粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気
または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で通常、120〜200
℃の温度に1分間以上加熱して行なうこともできる。
上記のような粒状ポリエチレンテレフタレートが供給
される固相重縮合工程は少なくとも1段からなり、重縮
合温度が通常190〜230℃好ましくは195〜225℃であり、
圧力が通常、1kg/cm2G〜10Torr好ましくは常圧ないし10
0Torrの条件下で、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス
などの不活性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施され
る。これらの不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
このような原料ポリエチレンテレフタレート中に含ま
れるオリゴマー[主として の環状三量体]の量は、0.55重量%以下、好ましくは0.
45重量%以下であることが望ましい。
本明細書において、ポリエチレンテレフタレート中に
含まれるオリゴマーの量は、以下のようにして測定され
る。
すなわち所定量のポリエチレンテレフタレートをo−
クロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで
再析出して濾過して線状ポリエチレンテレフタレートを
除いた後、次いで得られた濾液を液クロマトグラフィー
(島津製作所製LC7A)に供給してポリエチレンテレフタ
レート中に含まれるオリゴマー量を求め、この値を測定
に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、ポリ
エチレンテレフタレート中に含まれるオリゴマー量(重
量%)とした。
上記のような粒状ポリエチレンテレフタレートにたと
えば水処理を施こすことによって、本発明で原料として
用いられる原料ポリエチレンテレフタレートが得られる
が、この水処理は、原料としての粒状ポリエチレンテレ
フタレートを水、水蒸気、水蒸気含有ガスなどと接触さ
せることにより行なわれる。
原料としての粒状ポリエチレンテレフタレートと水と
の接触は、ポリエチレンテレフタレートを1〜150℃の
水に1分間〜100時間またはそれ以上好ましくは5分〜1
0時間浸漬することにより行なわれる。望ましくは、粒
状ポリエチレンテレフタレートを30〜150℃の水に1分
間〜10時間浸漬することにより行なわれる。さらに望ま
しくは、粒状ポリエチレンテレフタレートを40〜110℃
の水に3分〜5時間浸漬することにより行なわれる。特
に好ましくは粒状ポリエチレンテレフタレートを50〜10
0℃の熱水に5分間〜3時間浸漬することにより行なわ
れる。
また原料としての粒状ポリエチレンテレフタレートと
水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触は、通常1〜150
℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜110℃
の温度の水蒸気または水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含
有空気を粒状ポリエチレンテレフタレート1kg当り、水
蒸気として0.5g以上の量で供給させるか、または存在さ
せて粒状ポリエチレンテレフタレートと水蒸気を接触さ
せることにより行なわれる。この粒状ポリエチレンテレ
フタレートと水蒸気との接触は、通常1分間〜1年間、
好ましくは5分間〜14日間、さらに好ましくは10分間〜
2日間、とくに好ましくは20分間〜10時間行なわれる。
以下に水あるいは水蒸気あるいは水蒸気含有ガスによ
る接触処理を工業に行なう方法を例示するが、これに限
定されるものではない。また処理方法は連続方式、バッ
チ方式のいずれであっても差し支えない。
原料としての粒状ポリエチレンテレフタレートをバッ
チ方式で水と接触処理をする場合は、サイロタイプの処
理装置があげられる。すなわち粒状ポリエチレンテレフ
タレートをサイロへ受け入れ、バッチ方式で、水あるい
は水蒸気あるいは水蒸気含有ガスを供給し、接触処理を
行なう。あるいは回転筒型の接触処理装置に粒状ポリエ
チレンテレフタレートを受け入れ、回転しながら接触処
理を行ない、接触をさらに効率的にすることもできる。
粒状ポリエチレンテレフタレートを連続で水と接触処理
する場合は、塔型の処理装置に連続で粒状ポリエチレン
テレフタレートを上部より受け入れ、並流あるいは向流
で水あるいは水蒸気あるいは水蒸気含有ガスを連続供給
し、水と接触処理させることができる。
その後、水で処理した場合は粒状ポリエチレンテレフ
タレートを振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置
で水切りし、次の乾燥工程へ移送する。水蒸気または水
蒸気含有ガスで処理した場合はそのまま乾燥工程へ移送
することができる。
水と接触処理した粒状ポリエチレンテレフタレートの
乾燥は、通常用いられるポリエチレンテレフタレートの
乾燥装置を使用することができる。連続的に乾燥する方
法としては、上部より粒状ポリエチレンテレフタレート
を供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通
気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率
的に乾燥する方法としては、回転ディスク型加熱方式の
連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、
回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、熱媒体等を
供給し、粒状ポリエチレンテレフタレートを間接的に加
熱乾燥することができる。
バッチ方式で乾燥する乾燥機としては、ダブルコーン
型回転乾燥機が選ばれ、真空下であるいは真空下少量の
乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるい
は大気圧下で、乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよ
い。
乾燥ガスとしては、大気空気でも差し支えないが、ポ
リエチレンテレフタレートの加水分解による分子量低下
を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
このようにして原料ポリエチレンテレフタレートと水
あるいは水蒸気などとを接触させてポリエチレンテレフ
タレートに水処理を行なうことにより、得られるポリエ
チレンテレフタレートから製造されるポリエチレンテレ
フタレート成形体は、後述するようにして算出される加
熱後のオリゴマーの増加量が減少させられる。
このように原料ポリエチレンテレフタレートに水処理
を施すことによって、ポリエチレンテレフタレートの成
形時での環状三量体などのオリゴマー類の増加量が減少
するのは、この環状三量体などのオリゴマー類の増加が
重縮合触媒の触媒作用により引き起こされており、しか
もこの重縮合触媒がポリエチレンテレフタレートに水処
理を施すことにより失活するためであろうと考えられ
る。
上記のようにして得られる原料ポリエチレンテレフタ
レートから成形されるポリエチレンテレフタレート成形
体は、上述のようにして測定されるオリゴマー含有量が
0.55重量%以下、好ましくは0.45重量%以下である。
またこのようにして得られた本発明に係るポリエチレ
ンテレフタレート成形体は、窒素流通下に温度290℃に
7分間加熱溶融した後のオリゴマー増加量y(重量%)
が、 y≦−0.72x+0.40 好ましくは y≦−0.72x+0.38 さらに好ましくは y≦−0.72x+0.36である。
上記式中xは、成形体のオリゴマー濃度(重量%)で
ある。
本明細書において、ポリエチレンテレフタレート成形
体を溶融加熱した後のオリゴマー増加量(重量%)は、
以下のようにして測定される。
以下ポリエチレンテレフタレート成形体として、ボト
ルを例にとって説明すると、ボトルの口栓部より2〜5m
m角(0.20〜0.35g)の試料を切り出し、140℃中で360to
rrの窒素中で16時間乾燥する。次に平沼産業社製の水分
気化装置EV−6を使用し、乾燥窒素を0.25/分で流通
させながら予め220℃で10分間加熱した後室温で5分間
冷却した直径25mmのパイレックス管中に、試料をパイレ
ックスサンプリングボードに装着して装入する。次い
で、乾燥窒素を流通させながら試料を220℃で15分間加
熱した後室温で10分間冷却し、さらに290℃にセットし
たシリコンオイル中に7分間浸漬し、溶融加熱処理し、
室温で5分間冷却して試料を取り出す。
このようにして処理された試料について、そのオリゴ
マー濃度を上述したようにして測定する。
発明の効果 本発明に係るポリエチレンテレフタレート成形体は、
固有粘度が0.50dl/g以上であるとともにオリゴマー含有
量が0.55重量%以下であるポリエチレンテレフタレート
であって、しかも該ポリエチレンテレフタレート成形体
を窒素雰囲気下で温度290℃に7分間加熱溶融した後の
オリゴマー増加量y(重量%)がy≦−0.72x+0.40
(式中xは加熱後のオリゴマー濃度)であるため、成形
時においてポリエチレンテレフタレート成形体に含まれ
るオリゴマーの総量が少ないため、オリゴマーの析出が
少なく外観に優れている。
したがって、本発明に係るポリエチレンテレフタレー
ト成形体は、その製造時に金型などを頻繁に洗浄を行な
う必要がないため、ボトル、フィルム、シートなどの成
形体の生産性を向上させることができ、しかも得られる
ボトル、フィルム、シートなどの成形体が白化すること
が防止され、良好な外観を有している。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例1 固有粘度が0.80dl/gであり、密度が1.40g/cm3であ
り、オリゴマー含有量が0.28重量%である粒状ポリエチ
レンテレフタレート5kgを、ステンレス容器内で6.5kgの
蒸留水に浸漬させた。
次に、ポリエチレンテレフタレートおよび蒸留水が入
ったステンレス容器を外部より加熱し、内温を90℃にコ
ントロールし、4時間保持して熱水処理を行なった後、
脱水乾燥してポリエチレンテレフタレートチップを得
た。
次にこのポリエチレンテレフタレートチップ2kgを、
減圧下150℃で一夜乾燥し、日精エー・エス・ビー機械
(株)製ASB150Hにて45g目付、厚さ4.5mmの成形体(プ
リフォーム)を成形した。
成形は射出ホッパー下に乾燥窒素を100/分で流
し、窒素雰囲気下とし、シリンダー設定温度はホッパー
側からシリンダー1/シリンダー2/シリンダー3/ノズル=
260/270/270/300℃、スクリュー回転100r.p.m.、全サイ
クル30秒で行なった。
得られたプリフォームの口栓部から2〜5mm角の試料
を0.20〜0.35g程度サンプリングし、オリゴマーを測定
するとともに、前記の方法で乾燥し、次いで290℃で7
分間溶融処理した後オリゴマーを測定した。プリフォー
ム中のオリゴマーは0.29重量%であり、溶融処理後のオ
リゴマーは0.39重量%であった。したがって増加量は0.
10重量%であった。
実施例2 固有粘度が0.80dl/gであり、密度が1.40g/cm3であ
り、オリゴマー含有量が0.33重量%であるポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に熱水処理をした後、
同様に乾燥およびASB150Hで成形を行ない、プリフォー
ムを得た。プリフォーム中のオリゴマーを測定するとと
もに、実施例1と同様にプリフォーム口栓部から試料を
サンプリングし、乾燥および溶融処理を行ない、オリゴ
マーを測定した。
プリフォーム中のオリゴマーは0.34重量%、溶融処理
後のオリゴマーは0.42重量%であった。したがって増加
量は0.08重量%であった。
実施例3 固有粘度が0.80dl/gであり、密度が1.40g/cm3であ
り、オリゴマー含有量が0.40重量%であるポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に熱水処理した後、同
様に日精ASBでプリフォーム成形した。得られたプリフ
ォームは実施例1と同様にオリゴマーを測定するととも
に、乾燥および290℃×7分溶融処理後のオリゴマーを
測定した。
プリフォーム中のオリゴマーは0.41重量%であった。
溶融処理後のオリゴマーは0.47重量%であった。したが
って増加量は0.06重量%であった。
実施例4 実施例3で用いた固有粘度0.80dl/g、オリゴマー含有
量0.33重量%であるポリエチレンテレフタレートを実施
例3と同様に熱水処理した後、減圧下150℃で約16時間
乾燥後窒素雰囲気下で、各機製作所(株)製M−100A−
SJ型射出成形機を用いてバレル設定温度280℃で溶融
し、10℃に冷却されたプリフォーム金型に成形圧力700k
g/cm2で射出成形し、口径が38mmで胴径が28mmであり、
かつ胴部の厚みが4.5mmの重量64gのプリフォームを成形
サイクル60秒で作製した。得られたプリフォーム中のオ
リゴマーは、0.35重量%であった。
次いで口栓部のみ160℃のオイルバス中にて結晶化し
たプリフォームを作った。この口栓部結晶化プリフォー
ムを二軸延伸吹込成形機[コポプラスト(CORPOPLAST)
社製LB010]を用いて、吹込み圧力約20kg/cm2、プリフ
ォーム加熱時間約60秒、延伸温度105℃の条件下で縦約
2.2倍および横約3.0倍に二軸延伸し、さらに160℃の表
面温度を有する金型内で60秒間保持した後、20秒間金型
を水にて冷却する方法でヒートセットを行なって、内容
積が1.5の胴部に6倍の減圧パネルを有し、底部が底
上げの二軸延伸ボトルを作製した。
なお延伸後に60秒間加熱(ヒートセット)したのは、
ボトル白化を加速させて評価するためであり、ボトル製
造時の加熱(ヒートセット)時間は0.1〜30秒間で充分
である。
ボトルを500本成形したが、すべて透明なボトルが得
られた。
ボトルの口部から試料を採取し、実施例1と同様に乾
燥し、次いで290℃で7分溶融処理した。処理後のオリ
ゴマーは0.42重量%であった。したがって増加量は0.07
重量%であった。
比較例1 実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートを熱
水処理しなかった以外は、実施例1と同様にプリフォー
ムを成形し、溶融処理をした。プリフォーム中のオリゴ
マーは0.36重量%であり、溶融処理後のオリゴマーは0.
59重量%であった。したがって増加量は0.23重量%であ
った。
比較例2 固有粘度が0.80dl/gであり、密度が1.40g/cm3であ
り、オリゴマー含有量が0.47重量%であるポリエチレン
テレフタレートを比較例1と同様にプリフォームを成形
し、溶融処理をした。プリフォーム中のオリゴマーは0.
52重量%であり、溶融処理後のオリゴマーは0.64重量%
であった。したがって増加量は0.12重量%であった。
比較例3 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを比較
例1と同様に熱水処理なしで、また実施例1と同様に乾
燥および成形を行なった。実施例4と同様にボトルを50
0本成形したが、曇り模様のあるボトルが400本目位より
発生した。なお、得られたプリフォーム中のオリゴマー
は0.46重量%であった。
ボトルの口部から試料を採取し、実施例1と同様に乾
燥し、次いで290℃で7分溶融処理をした。処理後のオ
リゴマーは0.60重量%であった。したがって増加量は0.
14重量%であった。
実施例5 固有粘度が0.80dl/gであり、密度が1.40g/cm3であ
り、オリゴマー含有量が0.28重量%である実施例1と同
じポリエチレンテレフタレートを熱水処理することなし
に実施例1と同じくASB150Hにて同様にプリフォークを
成形し、プリフォーム口栓部より同様に試料をサンプリ
ングし、オリゴマー量を測定するとともにその試料をサ
ンプルビン中で試料と蒸留水1:2で95℃にて8時間加熱
熱水処理した。この処理後試料を実施例1と同様に乾燥
し、次いで290℃で7分間溶融処理した後オリゴマーを
測定した。プリフォーム中オリゴマーは0.33重量%、溶
融処理後のオリゴマーは0.36重量%であった。したがっ
て増加量は0.03重量%であった。
以上の結果を第1図に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、成形体中に含まれるオリゴマー量と、熱処理
後のオリゴマー増加量との関係を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固有粘度が0.50dl/g以上であるとともにオ
    リゴマー(環状三量体)含有量が0.55重量%であるポリ
    エチレンテレフタレート成形体であって、しかも該ポリ
    エチレンテレフタレート成形体を窒素流通下で290℃の
    温度に7分間加熱溶融した後のオリゴマー増加量y(重
    量%)が、 y≦−0.72x+0.40 [式中yは加熱後のオリゴマー増加量(重量%)であ
    り、xは成形体のオリゴマー濃度(重量%)である。]
    であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート成
    形体。
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