JP3192105B2 - アルカリ電池用正極合剤 - Google Patents

アルカリ電池用正極合剤

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JP3192105B2
JP3192105B2 JP03068997A JP3068997A JP3192105B2 JP 3192105 B2 JP3192105 B2 JP 3192105B2 JP 03068997 A JP03068997 A JP 03068997A JP 3068997 A JP3068997 A JP 3068997A JP 3192105 B2 JP3192105 B2 JP 3192105B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活物質としての電
解二酸化マンガンと導電剤としての黒鉛とを混合造粒し
てなる正極合剤粒を所定形状に形成して用いるアルカリ
電池用正極合剤の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルカリ電池は、塩化亜鉛電解
液を用いたマンガン乾電池に比べて連続放電及び重負荷
特性に優れているため、携帯用再生装置やカメラのフラ
ッシュライト等の電源として多用されている。
【0003】このアルカリ電池は、リング状コア等の所
定形状に成形した正極合剤を正極缶内に挿入して製造さ
れるが、その正極合剤の成形にあたっては、活物質とし
ての二酸化マンガンと導電剤としての黒鉛とを混合造粒
して予め適当な粒度の正極合剤粒にしておき、これを金
型等に入れてプレス成型機などで押し固めて所定形状に
形成している。
【0004】上記正極合剤粒の造粒は、活物質としての
電解二酸化マンガンと導電剤としての黒鉛等の素材を混
合した後、ロール圧延機で板状に圧延した上で粉砕する
ことにより行われ、所定の粒度に篩い分けされて使用さ
れる。
【0005】ここで、粒密度や粒径等の造粒条件は、収
率、流動性、成形密度(強度)などを向上させることを
目的にして決められており、主に生産性や取扱い易さを
重視した条件設定での造粒が行われていて、従来にあっ
ては合剤粒の粒密度は3.2g/cm3 程度、成形密度
は3.26g/cm3 程度に設定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アルカリ電
池の高負荷放電特性を向上させるためには、なるべく多
くの電解液を正極合剤中に含ませるようにすれば良く、
その一方法としては、正極合剤の成形密度を下げること
によって、より多くの電解液を確保するということが考
えられる。
【0007】しかしながら、このように成形密度を下げ
ると正極合剤の強度が低下してしまうので、製造工程中
で正極合剤の形が崩れる等のトラブルが生じ易くなり、
取扱い性が悪化するという問題が生じる。また、それば
かりか活物質としての正極合剤の量が減少することにな
るから、低負荷放電における電池性能が逆に低下してし
まうという問題も生じる。
【0008】そこで、本発明者等は、従来ほとんど考慮
されていなかった上記正極合剤粒の造粒条件と電池性能
との関連性に着目して種々の実験を重ねた結果、正極合
剤を所定形状に形成するにあったって、使用する正極合
剤粒の粒密度にある適正な範囲があり、当該範囲内の粒
密度に造粒した正極合剤粒を用いて所定形状の正極合剤
を形成することで、強度低下や低負荷放電性能を低下さ
せることなく高負荷放電特性の向上が図り得ることを知
得した。また、その際、併せて活物質として用いる電解
二酸化マンガンもその比表面積がある特定の範囲内にあ
るものを使用するとより望ましく、さらには成形密度も
ある特定の範囲内に設定するのがより好ましいことも知
得できた。
【0009】即ち、本発明は、吸液性に優れて放電性能
の向上が図れ、しかも強度低下を来すことがないアルカ
リ電池用正極合剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、アルカリ電池用正極合剤を次のように構成
する。
【0011】(1)請求項1に係る発明では、活物質と
しての電解二酸化マンガンと導電剤としての黒鉛とを混
合造粒してなる正極合剤粒を所定形状に形成して用いる
アルカリ電池用正極合剤において、該正極合剤粒の粒密
度を3.3〜3.7g/cm3の範囲内とする。
【0012】即ち、従来では、所定形状の正極合剤を形
成するにあたって、粒密度を3.2g/cm3 程度に造
粒した正極合剤粒を用いていたのに対し、本発明では、
これより密度の高い3.3〜3.7g/cm3 の粒密度
で正極合剤粒を造粒し、これを所定形状に成形するもの
である。
【0013】粒密度と放電性能との関連については、次
のように考えられる。
【0014】 正極合剤粒の密度が3.3g/cm3
より低い場合、粒の内部には大きな空間があり、その空
間には電解液が入り込みやすいが、その分強度も低い。
このような正極合剤粒を用いて所定形状の正極合剤を形
成すると、合剤粒の粒形状が成形時の圧力で容易に崩さ
れ易く、成形した成形体の粒間に形成される電解液浸透
通路としての空間が塞がれてしまう。このため、所定形
状の成形体に形成された正極合剤は、合剤粒の粒内部の
空間がまだ大きく残っていたとしても電解液は浸透し難
くく、吸収性が悪くなって充分な電解液量が確保し得な
くなる。また、粒密度が低いと造粒品内部での二酸化マ
ンガンと黒鉛との密着度も低いため、電子伝導性に劣
る。何れにしても、放電性能を低下させる要因となる。
【0015】 粒密度が3.3〜3.7g/cm3
上記より密度の高い正極合剤粒では、粒内部の空間は
小さくなるから、その分だけ粒内に含浸し得る電解液の
量は見かけ上減るが、強度は高くなる。このような正極
合剤粒を用いると、成形時の圧力にも耐えられるように
なって合剤粒は形崩れし難くなり、成形後の成形体内の
粒間にある程度の内部空間が確保されて、電解液浸透通
路は塞がれなくなる。このため、電解液は粒間の電解液
浸透通路を浸透して粒内部まで行き渡って吸収され、粒
内部と粒間の両空間に充満して充分な量の電解液が確保
される。また、二酸化マンガンと黒鉛の密着度が高いた
め、電子伝導性に優れる。以上により放電性能は向上す
る。
【0016】 粒密度が3.7g/cm3 より高く上
記よりも内部空間がさらに小さい合剤粒では、強度が
非常に強くて成形時の圧力では容易には形は崩れず、電
解液浸透通路となる粒間の空間は大きく確保されるが、
合剤粒の密度が高い分、粒内部の空間が少ない。このた
め、上記よりも結果的には電解液の吸収量が少なくな
り、同等の放電性能が得られなくなる。
【0017】上記のように造粒時点での粒密度を3.3
〜3.7g/cm3 とした正極合剤粒を用いて所定形状
に形成することで、強度を低下させることなく、吸液性
の良好な正極合剤の成形体が得られる。これは、成形後
にも、合剤粒子内に電解液が入り込みやすい電解液浸透
通路の隙間が成形体内に確保されるためである。つま
り、この正極合剤の成形体は、正極合剤量が滅少される
ことなく吸液量が増加し、強度低下並びに低負荷放電特
性の低下を来すことなく、アルカリ電池の高負荷放電特
性を向上させることができる。
【0018】一方、粒密度が上記範囲の上限である3.
7g/cm3 を超えると、吸液量及び終止放電持続時間
が共に小さくなる。これは、上記のように粒密度が高す
ぎると、粒子内の隙間が成形前の時点で既に少なくなっ
ているためと考えられる。
【0019】また、粒密度が上記範囲の下限である3.
3g/cm3 を下回ると、同様に吸液量及び終止放電持
続時間が小さくなる。これは、上記のように粒密度が低
い場合は、粒体の強度が弱いため、成形時の圧力で潰さ
れて、隙間が小さくなるためと考えられる。
【0020】つまり、粒密度が上記範囲をいずれの方向
に外れる場合も、正極合剤の成形体の吸液性は劣り、放
電性能の向上は見られない。
【0021】ここで粒密度の測定は、下記測定方法によ
り行うことができる。
【0022】<粒密度の測定方法> 5ml比重びん(ピクノメータ)の質量を測定する
(W1)。 比重びんにイオン交換水を満たして質量を測定する
(W2)。 合剤試料約0.1gの質量を測定した後(W3)、イ
オン交換水を一旦取り除いた比重びんに入れる。 の比重びんに再びイオン交換水を満たし質量を測
定する(W4)。 測定温度における水の密度をd 、求める粒密度をds
とずれば、 比重びんの内容積=(W2−W1)/d =W3/ds +(W4−W1−W3)/d 従って ds=d ・w3/(w2+w3−w4)
【0023】正極合剤粒は多孔性であり粒内部に空間を
有している。この空間のうち、水の入り込めない部分が
多いと、W4は小さくなり粒密度も小さい。合剤粒内部の
空間が小さい場合は、W4は大きくなり粒密度も大きくな
る。また空間が大きくても水が入り込みやすい場合、合
剤粒ではなく主成分の二酸化マンガンの密度に近い高い
値が得られてしまう。
【0024】(2)請求項2に記載の発明は、前記請求
項1のものにおいて、電解二酸化マンガンに比表面積
(BET表面積)が40〜60m2 /gのものを用い
る。
【0025】ここで「BET表面積」とは、多分子層吸
着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定、計
算したもので、電解二酸化マンガンの一次粒子の表面と
微細孔の比表面積である。
【0026】従来のアルカリ電池用正極合剤に用いられ
る電解二酸化マンガンのBET表面積は30〜35m2
/gであるが、請求項2に記載のアルカリ電池用正極合
剤では、BET表面積が従来より大きい40〜60m2
/gである電解二酸化マンガンを用いる。この表面積の
値は、例えば、表面吸着水を除去した後、BET法で測
定することができる。
【0027】上記電解二酸化マンガンは、マンガン鉱石
をばい焼鉱にし、紛砕して硫酸を加え中和、濾過、精製
し、その後電解して作るが、前記の電解時の電流密度、
電解浴の温度、精製液の濃度により、その表面積が異な
る電解二酸化マンガンが得られる。更に、この正極活物
質と黒鉛とを混ぜて正極合剤とし、造粒時点で正極合剤
粒の粒密度を3.3〜3.7g/cm3 とし、これを例
えばリング状コア等の所定形状に成形する。
【0028】上記のように、請求項2のアルカリ電池用
正極合剤で使用する正極活物質は、BET表面積が、従
来の30〜35m2 /gよりも増大された40〜60m
2 /gである電解二酸化マンガンからなるため、反応面
積が増加し、反応効率が増大する。
【0029】更に、この特性を生かすために、造粒時点
での粒密度が、上記のように従来の値より高い3.3〜
3.7g/cm3 の範囲とされ、その条件で造粒された
合剤粒により正極合剤の成形体が形成されているので、
成形強度を低下させることなく、吸液性の良好な正極合
剤の成形体が得られる。これは既に述べたように、成形
後にも、合剤粒子間には電解液が入り込みやすい隙間が
確保されるためである。また、BET表面積が大きくな
っても電子導電性が保てるためである。
【0030】従って、上記のような条件で正極合剤を成
形することにより、マンガン粒子の高表面積の特性が生
かせることになる。故に、正極合剤成形体の成形強度、
低負荷放電特性を低下させることなく、高負荷放電特性
を向上させることができる。
【0031】(3)請求項3に記載の発明は、前記請求
項2のものにおいて、正極合剤粒を成形密度2.90〜
3.20g/cm3 で所定形状に形成してなるものであ
る。
【0032】正極合剤粒から正極合剤の成形体を形成し
た時の成形密度は、従来は3.26g/cm3 程度であ
るが、それより低い2.90〜3.20g/cm3 の範
囲とするのが好ましい。即ち、この成形密度が2.90
g/cm3 より小さいと、上記合剤粒では粒子間導電性
の低下が顕著になり、吸液量が増しても放電性能の向上
幅は小さくなるからである。また、成形密度が3.20
g/cm3 より大きい場合には、粒子内隙間が潰される
ため、吸液量の増加が小さくなって、放電性能の向上幅
も小さくなるからである。
【0033】
【実施例】本発明をJIS規格LR6アルカリ電池に適
用した例について、図1を参照して詳細に説明する。
【0034】(1)試作例1(表1〜表10) 図中の1は正極端子を兼ねる有底円筒金属缶である。こ
の金属缶1の中には、円筒状に加圧形成した正極合剤2
が充填されている。なお、前記正極合剤2と金属缶1の
接触部分には、導電性を高めるため導電塗料が塗布され
ている。
【0035】前記正極合剤2は、種々の粒度と比表面積
(BET表面積)の電解二酸化マンガン(EMD)を9
0.5重量%、膨張黒鉛を4.5重量%、40%濃度の
水酸化カリウムのアルカリ電解液を5.0重量%の比率
で加え、攪拌混合した後、それをローラコンパクターで
圧延した上で粉砕し、篩い分けて粒度を180〜850
μmとした。圧延時の条件(ローラ線圧、回転数)を変
えることで、様々な密度の合剤粒を得た。粒密度は比重
びんを用いる方法で測定した。
【0036】これを種々の圧力で中空円筒(リングコ
ア)状に成形密度3.05g/cm3で成形した。
【0037】上記により得られた中空円筒状の正極合剤
を、正極缶1中に嵌合し、リング状中空部に、ビニロン
繊維を主な材質とする有底筒状の不織布セパレータ3を
挿入した。
【0038】そのセパレータ内に電解液として、40%
水酸化カリウム水溶液を2cm3 注液し、30分間放置
して正極及びセパレータに十分吸液させた後、未だ吸収
されていない電解液を電池内から取り除いた。この時、
電池内に残った電解液量を正極吸液量とした。
【0039】その後は通常の方法でセパレータ内にゲル
状負極合剤4を充填し、封口ガスケット6を介して負極
集電体(集電棒)5を組み合わせ、正極缶(金属缶)1
の開口部をカールして密閉し、LR6形アルカリ電池と
した。
【0040】即ち、前記円筒状の中空部には、ビニロン
繊維不織布からなる有底円筒状のセパレータ3を介し
て、ゲル状負極合剤4が充填される。このゲル状負極合
剤4は、負極活物質である亜鉛合金粉末とポリアクリル
酸などのゲル化剤を所定量混合し、それらに、水酸化ナ
トリウム電解液を加えたものである。このゲル状負極活
物質4内には、真鍮製の棒状負極集電体5が、その上端
部を負極合剤4より突出させるように装着される。この
負極集電体5の突出外周面及び前記金属缶1の上部内周
面に、絶縁ガスケット6が介在される。また、集電体5
上にはカップ状の負極封口8が配設され、集電体5と接
続される。そして、前記金属缶1の上部開口を内側に屈
曲させることにより、電池を密閉する。なお、7はリン
グ状金属板である。
【0041】このようにして試作したLR6形アルカリ
電池の正極合剤の各正極合剤特性パラメータを表1〜表
10に示す。なお、合剤強度は、合剤成形体の径方向に
プッシュープルゲージを使用して測定した。また、高負
荷放電特性は、1500mAの定電流放電を行い、その
放電持続時間(終止電圧0.9v)を測定した。
【0042】このうち表1〜表4に示す試作例は、電解
二酸化マンガンのEMD平均粒径は従来と同じ45μm
の大きさとし、電解二酸化マンガンのEMD比表面積
(BET表面積)は38.99m2 /g(表1)、4
0.73m2 /g(表2)、50.75m2 /g(表
3)、60.75m2 /g(表4)にそれぞれ設定した
ものであり、これらのものにおいて正極合剤粒密度を
3.1〜3.8g/cm3 と変化させたときに、正極吸
液量(g)と、1500mA放電持続時間(分)とがど
のように変わるかを各表に併せて示してある。なお、成
形前の正極合剤粒の粒径は通常の180〜850μmで
あり、正極合剤成形体の成形密度は3.05g/cm3
で一定であり、正極重量は10.3gで一定である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表1は、EMD比表面積が40〜60m2
/gを割り、従来値30〜35m2/gにより近い値で
ある38.99m2 /gの場合であり、平均粒径も従来
と同じ45μmである場合であるが、この表1から判る
ように、合剤粒密度が3.3〜3.7g/cm3 の範囲
では、吸液量が増加し、良好な放電性能が得られてい
る。即ち、請求項1に記載したように、通常条件下で、
混合造粒時の合剤粒密度を3.3〜3.7g/cm3
範囲とすると、正極合剤を減らすことなく、吸液量が増
加し、良好な放電性能が得られる。また正極合剤の成形
体の成形強度も低下しない。なお、正極合剤粒の粒径も
従来と同じ180〜850μmである。
【0048】表1において、合剤粒密度が上記範囲の上
限である3.7g/cm3 を超えると、吸液量及び15
00mA放電持続時間が共に小さくなる。これは、粒密
度が大きすぎると、粒子内の隙間が成形前の時点で既に
少なくなっているためと考えられる。また、粒密度が
3.3g/cm3 を下回ると、同様に吸液量及び150
0mA放電持続時間が共に小さくなる。これは、粒密度
が小さい場合は、粒体の強度が弱いため、成形時に隙間
が潰され、小さくなると考えられる。いずれの場合も、
成形合剤の吸液性は劣り、放電性能向上はあまり見られ
ない。
【0049】次に、上記合剤粒密度範囲3.3〜3.7
g/cm3 のほぼ中央の値である3.5g/cm3 のも
のをとり、これを固定として、EMD比表面積を変えて
測定してみた。この結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】表5から判るように、EMD比表面積が変
わると、その影響が1500mA放電持続時間の長さに
顕著に現れ、結果的には、EMD比表面積を40〜60
2/gとしたときに、1500mA放電持続時間が長
くなって良好な高負荷放電特性が得られた。また吸液量
も多く、正極合剤成形体の強度の低下も見られない。
【0052】上記EMD比表面積を40〜60m2 /g
のほぼ中央の値である47.94m2 /gに固定して、
正極合剤粒密度を変えて測定してみた。この結果を表6
に示す。
【0053】
【表6】
【0054】表6から判るように、正極合剤粒密度が
3.3〜3.7g/cm3 の範囲にある場合に、150
0mA放電持続時間(終止電圧0.9v)の増加がみら
れ、正極吸液量及び正極合剤成形体の強度も増加する。
従って、このような条件下で正極合剤を造ることによ
り、マンガン粒子の高表面積の特性が生かせることにな
り、正極合剤成形体の成形強度、並びに低負荷放電特性
を低下させることなく、高負荷放電特性を向上させるこ
とができる。
【0055】表7〜表10に示す試作例は、電解二酸化
マンガンのEMD平均粒径を30〜60μmの範囲で変
えた場合である。EMD比表面積は47.94m2 /g
で一定である。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】表7〜表10から判るように、EMD平均
粒径30〜60μm(表8〜表9)の範囲では、高負荷
放電特性の向上が図れるが、EMD平均粒径が30μm
を下回って、表7の如く25μmまで小さくなると、高
負荷放電特性の向上がみられない。また、EMD平均粒
径が60μmを上回って、表10の如く75μmまで大
きくなると、やはり高負荷放電特性の向上がみられな
い。従って、EMD平均粒径は30〜60μmの範囲が
適当である。
【0061】ただし、EMD平均粒径の従来値は45μ
mであり、通常の条件下では、表1で説明したように、
正極合剤粒密度を3.3〜3.7g/cm3 とすること
で、吸液量と放電持続時間の増加を図ることができる。
【0062】(2)試作例2(表12〜表16) 試作例1と同様にして正極合剤(EMD平均粒径45μ
m、EMD比表面積47.94m2 /g)を配合して、
ローラコンパクターによって圧延した後、粉砕して正極
合剤粒を造粒し、篩い分けてその粒度を180〜850
μmとした。ここで、正極合剤粒密度(g/cm3 )は
3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、
3.8の7種類に設定した。そして、各粒密度の正極合
剤粒を中空円筒状に加圧成形し、その際に各粒密度のも
の個々において円筒中空コアの成形密度を種々様々に変
化させたものを作製した。さらに、これらの正極合剤成
形体を正極缶中に嵌合し、試作例1の場合と同様にして
LR6アルカリ電池を製作した。そして、合剤成形体の
径方向にプッシュープルゲージを使用して正極合剤成形
体の強度を測定すると共に、1500mAの定電流放電
を行った。
【0063】これらの電池の各正極合剤の特性を表11
〜表17に示す。
【0064】
【表11】
【表12】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】即ち、表11〜表17は正極合剤の混合造
粒時の粒密度をパラメータとした例であり、正極合剤粒
密度を3.2g/cm3 (表11)、3.3g/cm3
(表12)、3.4g/cm3 (表13)、3.5g/
cm3 (表14)、3.6g/cm3 (表15)、3.
7g/cm3 (表16)、3.8g/cm3 (表17)
と変化させ、その各々について正極成形密度を2.85
〜3.25g/cm3の範囲で変化させた場合である。
ここで正極合剤粉密度の好ましい値は、既に述べたよう
に3.3〜3.7g/cm3 の範囲であり、表11のよ
うに従来の値と同じ合剤粒密度3.2g/cm3 の比較
例では、高負荷放電特性の向上はみられない。また、表
17の如く、上記範囲を超える合剤粒密度3.8g/c
3 の比較例の場合も、高負荷放電特性の向上はみられ
ない。
【0070】そこで、代表的に、上記範囲のほぼ中央で
ある合剤粒密度3.5g/cm3 のものを用いている表
14の場合についてみてみると、正極成形密度は2.9
0〜3.20g/cm3 の範囲にしたときに、良好な高
負荷放電特性が得られることが判る。
【0071】表14より、2.90g/cm3 より小さ
い成形密度では、正極重量が減少し合剤強度の低下がみ
られることが判る。このため、合剤の成形体の嵌合時に
成形体が壊れ、電池とならなかった。また、成形密度が
3.20g/cm3 より大きいと、吸液量の増加が小さ
く放電性能にも願著な向上がみられない。この関係は表
13についても言えることである。
【0072】(3)試作例3(表18〜表19) 試作例1と同様にして正極合剤(EMD平均粒径45μ
m、EMD比表面積47.94m2 /g)を配合し、ロ
ーラコンパクターによる圧延後に粉砕して、粒密度3.
6g/cm3 の正極合剤粒を造粒し、これを篩い分けて
粒度を種々様々に変化させた。ここでは通常の造粒時の
粒径180〜850μmを外れるものとして、正極合剤
粒径が10〜180μmのものと850〜2000μm
のものを用意した。これを中空円筒状に加圧成形し、こ
の円筒中空コアの成形密度を2.85〜3.25g/c
3 にしたものを正極缶中に嵌合し、試作例1と同様に
電池を作成した。また、合剤コアの径方向にプッシュー
プルゲージを使用して正極合剤成形体の強度を測定する
と共に、1500mAの定電流放電を行った。
【0073】この電池の各正極合剤の特性を表18〜表
19に示す。
【0074】
【表18】
【0075】
【表19】
【0076】表18に見られるように、通常の造粒時の
粒径180〜850μmを外れ、その下限180μmを
下回った場合には、吸液量の増加も、1500mA放電
性能の向上も見られない。また、表19に見られるよう
に、通常の造粒時の粒径の上限である850μmを上回
った場合にも、1500mA放電性能の向上が見られな
い。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような優れた効果が得られる。
【0078】(1)請求項1に記載の発明によれば、電
解二酸化マンガンと黒鉛とを混合造粒して粒密度が従来
より高い3.3〜3.7g/cm3 である正極合剤粒と
し、これを所定形状に成形し正極合剤としたので、正極
合剤量を減らすことなく、また成形体の成形強度を低下
させることなく、吸液性の良好な正極合剤の成形体が得
られる。従って、従来よりも多くの電解液が確保されて
正極の反応効率が高まり、優れた高負荷放電特性が得ら
れる。
【0079】(2)請求項2に記載の発明によれば、電
解二酸化マンガンにBET表面積(比表面積)が従来よ
り大きい40〜60m2 /gのものを用いたので、正極
合剤成形体の吸液性が向上し、多くの電解液が確保され
て正極の反応効率が高まり、優れた高負荷放電特性が得
られる。更に、この電解二酸化マンガンと黒鉛を混合造
粒して粒密度が従来より高い3.3〜3.7g/cm3
である正極合剤粒とし、これを所定形状に成形し正極合
剤の成形体としたので、マンガン粒子の高表面積の特性
を十分に生しつつ、正極合剤量の減少や成形強度の低下
なしに、成形合剤成形体の吸液性を向上させることがで
きる。従って、正極合剤成形体の成形強度、低負荷放電
特性を低下させることなく、高負荷放電特性の向上した
アルカリ電池を得ることができる。
【0080】(3)請求項3記載の発明によれば、正極
合剤粒を正極合剤成形体に成形した時の成形密度を、従
来より低い2.90〜3.20g/cm3 の範囲として
いるので、成形密度が小さすぎて粒子間の導電性の低下
が顕著になったり、成形密度が大きすぎて吸液量の増加
が望めなくなる等の不都合がなく、高負荷放電性能の向
上幅を十分に大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるアルカリ電池を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 金属缶 2 正極合剤 3 セパレータ 4 ゲル状負極合剤 5 棒状負極集電体 6 ガスケット 7 リング状金属板 8 負極封口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 一雄 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (72)発明者 筒井 清英 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (72)発明者 泉 彰英 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−51164(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活物質としての電解二酸化マンガンと導
    電剤としての黒鉛とを混合造粒してなる正極合剤粒を所
    定形状に形成して用いるアルカリ電池用正極合剤におい
    て、該正極合剤粒の粒密度が3.3〜3.7g/ cm3
    であることを特徴とするアルカリ電池用正極合剤。
  2. 【請求項2】 前記電解二酸化マンガンに比表面積が4
    0〜60m2 / gのものを用いることを特徴とする請求
    項1記載のアルカリ電池用正極合剤。
  3. 【請求項3】 前記正極合剤粒を成形密度2.90〜
    3.20g/ cm3 で所定形状に形成してなることを特
    徴とする請求項2記載のアルカリ電池用正極合剤。
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