JP3406782B2 - 亜鉛アルカリ電池,その正極合剤及び正極合剤の製造方法 - Google Patents
亜鉛アルカリ電池,その正極合剤及び正極合剤の製造方法Info
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Description
関し、詳しくは吸液性を損なうことなく離型性に優れた
二酸化マンガン含有率の高い亜鉛アルカリ電池用正極合
剤及びその製造方法に関するものである。
は、従来より放電持続時間の向上を目的として、正極合
剤中の黒鉛含有量を減少させて活物質である二酸化マン
ガンの含有量を増加させることが検討されてきた。
してだけではなく正極合剤成形時の離型剤としての役割
も果たしているので、黒鉛の含有率を減少させると成形
体と成形型との間の摩擦が大きくなってくる。この摩擦
力のため成形型の磨耗が激しくなって成形型の交換が頻
繁になることや、場合によっては成形型自体の破損も考
えられ、製造上のみならずコスト的にも多大な問題が生
じることがあった。
正極合剤中にステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜
鉛等を含有させて正極合剤成形時の離型性を良くする方
法(特公平5−48578号公報参照)が有効と考えら
れてきた。
リン酸の金属塩を正極材料混合時に添加して含有させた
後に顆粒状合剤を造粒して正極合剤を加圧成形した場
合、離型剤としての十分な効果を得るためには多量のス
テアリン酸の金属塩を添加する必要がある(特公平5−
48578号公報参照)が、この場合、ステアリン酸の
金属塩の撥水性により成形合剤の吸液性が悪くなり、そ
の後の電池製造工程であるアルカリ性電解液の注入時
に、電池設計上必要な所定量の電解液を正極合剤に吸液
させるのに時間がかかり生産性が落ちるという欠点が生
じることが分った。
で、その目的は正極合剤の吸液性を損なうことなく離型
性に優れた二酸化マンガン含有率の高い、高性能な亜鉛
アルカリ電池用正極合剤を提供すること及び該正極合剤
を用いた亜鉛アルカリ電池を提供することにある。
化マンガン及び二酸化マンガンに対して3〜10重量%
の黒鉛を含有する顆粒状合剤を形成化してなる亜鉛アル
カリ電池用正極合剤において、顆粒状合剤表面にステア
リン酸又はステアリン酸の金属塩が二酸化マンガンに対
して200〜2,000ppm添加されていることを特
徴とする。また、本発明は上記亜鉛アルカリ電池用正極
合剤の製造方法に関するものであって、二酸化マンガン
および二酸化マンガンに対して3〜10重量%の黒鉛を
含有する正極材料を造粒化して顆粒状合剤とし、これを
加圧成形する亜鉛アルカリ電池用正極合剤の製造方法に
おいて、造粒化工程後の顆粒状合剤に、ステアリン酸又
はステアリン酸の金属塩を二酸化マンガンに対して20
0〜2,000ppm添加して分散させ、これを加圧成
形することを特徴とする。またさらに、本発明は上記正
極合剤を用いた亜鉛アルカリ電池に関するものであっ
て、亜鉛負極ゲルと正極合剤がセパレータを介して正極
缶内に収納されており、該亜鉛負極ゲル内に負極集電棒
が挿入されて、該負極集電棒の頭部に当接した負極端子
を兼ねる金属封口板と前記正極缶とがガスケツトを介し
て密封口されている亜鉛アルカリ電池において、正極合
剤として上記した亜鉛アルカリ電池用正極合剤を用いた
ことを特徴とする。
て詳細に説明する。 (実施例)まず、二酸化マンガンに対して7重量%の黒
鉛を含有する顆粒状合剤を造粒する。次に、ステアリン
酸亜鉛を二酸化マンガンに対して表1に示したように0
〜5,000ppmの添加量で添加して分散したもの
を、図1に示すJIS規格LR6形(単3形)用のサイ
ズの円筒状の成形型9に、同一密度(3.20g/cm
3 )で加圧成形して成形合剤2aを得た。離型剤として
の効果の判断基準として、成形合剤2aが成形型9から
押し出される時の摩擦による音の大きさの程度を観察
し、離型性として表1に示した。
ねるJIS規格LR6形(単3形)用の有底円筒形の金
属缶1内に上述した成形合剤を収納して、これを所定の
圧力で中空円筒状に再度加圧成形して金属缶1の缶壁に
密着させて正極合剤2とした。更に正極合剤2の中空部
にアセタール化ポリビニルアルコール繊維の不織布から
なる有底円筒状セパレータ3を挿入した。このセパレー
タ3内に電解液を約3g注入して10分後に余剰の電解
液を吸い上げ、その重量差から求めた電解液吸液量(n
=10平均値)を表1に示す。
3に示したJIS規格LR6形(単3形)アルカリ電池
に組み立てた。図3において、1〜3は上述した図2と
同じものである。有底円筒状のセパレータ3の中には、
亜鉛合金粉末,アルカリ性電解液及びゲル化剤からなる
ゲル状負極4が充填されている。ゲル状負極4内には真
鍮製の負極集電棒5が、その上端部をゲル状負極4より
突出するように挿着されている。負極集電棒5の突出部
外周面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリア
ミド樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設されている。
また、ガスケット6の二重環状部の間にはリング状の金
属板7が配設され、かつ金属板7には負極端子を兼ねる
帽子形の金属封口板8が集電棒5の頭部に当接するよう
に配設されている。そして、金属缶1の開口縁を内方に
屈曲させることによりガスケット6及び金属封口板8で
金属缶1内を密封口している。ゲル状負極重量を一定に
して組み立てた電池を、温度20℃の雰囲気で10Ω定
抵抗連続放電を終止電圧0.9Vになるまで放電した結
果(n=10平均値)を表1に示す。
ステアリン酸亜鉛を200ppm添加すると離型剤とし
ての効果が現れ始め、2,000ppm以上で非常に良
好となる。一方、吸液量はステアリン酸亜鉛の添加量が
2,000ppmを越えると急激に減少し始め、電池設
計上必要な電解液量を保持しにくくなる。また、放電結
果は電解液量に連動して、ステアリン酸亜鉛の添加量が
2,000ppmを越えると急激に悪くなる。
酸化マンガンに対して黒鉛を2〜12重量%の範囲で1
重量%ずつ添加量を変えた顆粒状合剤についても同様の
調査を行ったところ、吸液量に関してはどの黒鉛含有率
でも本実施例と同様に2,000ppmを越えると急激
に吸液性が悪くなることが確認された。離型性について
は、二酸化マンガンに対する黒鉛量が10重量%より多
い場合にはステアリン酸亜鉛を添加しなくとも良好であ
り、ステアリン酸亜鉛を添加する必要性は認められなか
った。二酸化マンガンに対する黒鉛量が2重量%まで下
がると、ステアリン酸亜鉛を3,000ppm添加して
も離型性は悪く、吸液性と併せて考えると本発明のよう
な方法でも実用化は困難である。
テアリン酸亜鉛の代わりにステアリン酸やステアリン酸
カルシウムを添加しても、全く同様の結果を示すことを
確認している。
黒鉛を3〜10重量%含有する顆粒状合剤に、ステアリ
ン酸またはステアリン酸の金属塩を二酸化マンガンに対
して200〜2,000ppm添加して分散した場合に
効果があることが確認された。
顆粒状合剤の造粒工程以後にステアリン酸またはステア
リン酸の金属塩を添加・分散して顆粒状合剤の表面に偏
析させることにより、少量の添加で離型剤としての十分
な機能を持たせることができるため、成形型の磨耗を抑
えて成形型の交換頻度を少なくしてコスト的に有利にな
ると共に、黒鉛含有率を減少させて活物質である二酸化
マンガン含有率を増加して電池性能を向上させることが
容易になる。更に、顆粒状合剤表面への少量の添加であ
り、また、顆粒状合剤の内部にはステアリン酸又はステ
アリン酸の金属塩は存在しないために、その撥水性の影
響は極力抑えられ、加圧成形した正極合剤の吸液性をほ
とんど落とすことなく電池設計上必要な所定量の電解液
を正極合剤に速やかに吸液させることができる。したが
って、高性能な亜鉛アルカリ電池を提供することができ
る。
S規格LR6形(単3形)アルカリ電池のセパレータ挿
入工程までの断面図。
S規格LR6形(単3形)アルカリ電池の断面図。
…ゲル状負極、5…負極集電体、6…絶縁ガスケット、
7…リング状金属板、8…金属封口板、9…成形型。
Claims (3)
- 【請求項1】 二酸化マンガン及び二酸化マンガンに対
して3〜10重量%の黒鉛を含有する顆粒状合剤を形成
化してなる亜鉛アルカリ電池用正極合剤において、顆粒
状合剤表面にステアリン酸又はステアリン酸の金属塩が
二酸化マンガンに対して200〜2,000ppm添加
されていることを特徴とする亜鉛アルカリ電池用正極合
剤。 - 【請求項2】 二酸化マンガンおよび二酸化マンガンに
対して3〜10重量%の黒鉛を含有する正極材料を造粒
化して顆粒状合剤とし、これを加圧成形する亜鉛アルカ
リ電池用正極合剤の製造方法において、造粒化工程後の
顆粒状合剤に、ステアリン酸又はステアリン酸の金属塩
を二酸化マンガンに対して200〜2,000ppm添
加して分散させ、これを加圧成形することを特徴とする
亜鉛アルカリ電池用正極合剤の製造方法。 - 【請求項3】 亜鉛負極ゲルと正極合剤がセパレータを
介して正極缶内に収納されており、該亜鉛負極ゲル内に
負極集電棒が挿入されて、該負極集電棒の頭部に当接し
た負極端子を兼ねる金属封口板と前記正極缶とがガスケ
ツトを介して密封口されている亜鉛アルカリ電池におい
て、正極合剤として請求項1記載の亜鉛アルカリ電池用
正極合剤を用いたことを特徴とする亜鉛アルカリ電池。
Priority Applications (1)
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JP24021696A JP3406782B2 (ja) | 1996-09-11 | 1996-09-11 | 亜鉛アルカリ電池,その正極合剤及び正極合剤の製造方法 |
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1996
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