JP4292431B2 - 円筒形アルカリ電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高容量で且つ安全性に優れる、円筒形アルカリ電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円筒形アルカリ電池は使用機器の増加に伴い需要が拡大しており、放電容量アップの研究が盛んに行われている。具体的には正極缶内へ充填する正極、負極の作用物質量を増量したり、正極作用物質量の増大のため正極合剤を低黒鉛率化したり、正極缶を薄肉化させたりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら作用物質量の増大は特に負極作用物質に起因するガス発生量を増やす方向にあり、電池の安全性を考慮した場合好ましくない。また正極合剤の低黒鉛化率は合剤粒同士の結着性を低下させるため、圧着した合剤の膨張が従来よりも大きくなり、電池封口体に接触し易くなる。このため電解液のクリーピングによる漏液を早めている。また空域スペースを小さくすると負極より発生したガスによる内圧上昇が従来のものより早くなり、その結果漏液特性が従来のものより劣ることになる。
【0004】
本発明はこのような課題を解決し、安全性に優れ、信頼性の高い円筒形アルカリ電池を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明は、正極作用物質としての二酸化マンガンに導電材としての黒鉛と水酸化カリウムを混練してなる正極合剤と、負極作用物質としての亜鉛合金粉末と電解液である水酸化カリウム水溶液及びゲル化剤を混合してなるゲル状負極とを有する円筒形アルカリ電池において、前記正極合剤の黒鉛率(黒鉛/(二酸化マンガン+黒鉛)×100)が3.0〜8.0重量%であり、封口体を除く電池内空域スペースの容積がクリンプ前の正極缶の容積に対し2.1〜6.1容積%の範囲であり、かつ、負極作用物質の亜鉛合金粉が、亜鉛に対しビスマスを0.005〜0.05重量%、インジウムを0.01〜0.1重量%含有する亜鉛合金からなるものであることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、その実施例及び比較例を詳細に説明する。
図1に示すJIS規格LR6形(単3形)アルカリ電池を組み立てた。
この図において、1は正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1内には円筒状に加圧成形した正極合剤2が充填されている。正極合剤2は、二酸化マンガン粉末と黒鉛粉末を混合し、これを金属缶1内に収納し所定の圧力で中空円筒状に加圧成形したものである。また、正極合剤2の中空部には、アセタール化ポリビニルアルコール繊維の不織布からなる有底円筒状のセパレータ5を介してゲル状負極4が充填されている。ゲル状負極4内には真鍮製の負極集電棒6が、その上端部をゲル状負極4より突出するように挿着されている。負極集電棒6の突出部外周面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット7が配設されている。また、ガスケット7の二重環状部の間にはリング状の金属板8が配設され、かつ金属板8には負極端子を兼ねる帽子形の金属封口板9が集電棒6の頭部に当接するように配設されている。そして、金属缶1の開孔縁を内方に屈曲させることによりガスケット7及び金属封口板9で金属缶1内を密封口している。
このような図1に示す構成からなる電池において、表1に示すように空域スペースおよび黒鉛率を変化させた電池を製造した。
【0008】
【表1】
【0009】
表1内に電池を一部放電(2Ω−1hr)した後に60℃−ドライで40日間貯蔵し、安全性試験として漏液の確認及び電池内部のガス量を測定した結果を上段へ示す。ガス量が2ml未満のものを○、2ml以上のもの及び貯蔵柱に漏液したものを×で示す。また、放電特性が低下しているものを下段へ示す。20℃65%RHの環境下で放電負荷抵抗10Ωにて連続放電し、0.9Vまでの持続時間が19.0時間以上のものを○とし、19.0時間未満のものを×で示す。
【0010】
表1の結果によれば、封口体を除く電池内空域スペースの容積がクリンプ前の正極缶の容積に対し2.1容積%より低い場合は放電による合剤の膨張により安全性、特に漏液特性を損なうことになり、逆に空域スペースが過大に大きくなることは作用物質量が減少することに加え正極缶と正極合剤との接触面積を狭めることになり放電特性上好ましくない。そこで放電特性を考慮して空域スペースとしてはクリンプ前の正極缶の容積に対して2.1〜6.1容積%の範囲が好ましい。
【0011】
正極合剤中の黒鉛率が3.0重量%より低い場合は、正極合剤のコアの圧潰強度が低下し成形性に欠けると共に、潤滑性が悪く生産性が低くなり好ましくない。黒鉛率が8.0重量%より高い場合は、合剤の膨張が小さく安全性という面では問題ないが正極作用物質(二酸化マンガン)が必然的に少なくなり、放電容量低下につながるため好ましくない。
【0012】
同じようにして、表2に示すように、負極亜鉛合金中へのビスマス及びインジウムの添加量を変化させた電池を製造した。また、この時の空域スペースは4.0容積%,黒鉛率は5.5重量%とした。
【0013】
【表2】
【0014】
表1と同様の評価を行いその結果を表2へ示す。
表2の結果によれば、負極亜鉛合金中へのビスマスの添加は亜鉛合金粉末の表面を平滑化させるので合金表面積が減り、その結果負極作用物質に起因するガス発生を低減できる。ビスマスの量が亜鉛に対し0.005重量%より低い場合はガス発生抑制の効果がなく、ビスマスの量が0.05重量%を超える場合は、合金表面の平滑化の効果が大きすぎて表面積が過度に小さくなるので、放電特性が悪くなり、好ましくない。
【0015】
負極合金中のインジウムの添加効果は合金の水素過電圧を高くしガス発生量を低く抑えることであるが、亜鉛に対しインジウムの量が0.01重量%より低い場合はその効果は十分でなく、またインジウムの量が0.1重量%より多い場合は、特に著しい効果は得られないことに加えインジウムの高価性を考慮すると過大品質といえる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高容量で且つ安全性に優れ、信頼性の高い円筒形アルカリ電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である円筒形アルカリ電池の断面図。
【符号の説明】
1…金属缶、2…正極合剤、3…空域スペース、4…ゲル状負極、5…セパレータ、6…負極集電棒、7…絶縁ガスケット、8…リング状金属板、9…金属封口板。
Claims (1)
- 正極作用物質としての二酸化マンガンに導電材としての黒鉛と水酸化カリウムを混練してなる正極合剤と、負極作用物質としての亜鉛合金粉末と電解液である水酸化カリウム水溶液及びゲル化剤を混合してなるゲル状負極とを有する円筒形アルカリ電池において、前記正極合剤の黒鉛率(黒鉛/(二酸化マンガン+黒鉛)×100)が3.0〜8.0重量%であり、封口体を除く電池内空域スペースの容積がクリンプ前の正極缶の容積に対し2.1〜6.1容積%の範囲であり、かつ、負極作用物質の亜鉛合金粉が、亜鉛に対しビスマスを0.005〜0.05重量%、インジウムを0.01〜0.1重量%含有する亜鉛合金からなるものであることを特徴とした円筒形アルカリ電池。
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JP28387198A JP4292431B2 (ja) | 1998-10-06 | 1998-10-06 | 円筒形アルカリ電池 |
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