JP2003086163A - アルカリ乾電池 - Google Patents

アルカリ乾電池

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JP2003086163A
JP2003086163A JP2002189928A JP2002189928A JP2003086163A JP 2003086163 A JP2003086163 A JP 2003086163A JP 2002189928 A JP2002189928 A JP 2002189928A JP 2002189928 A JP2002189928 A JP 2002189928A JP 2003086163 A JP2003086163 A JP 2003086163A
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Naganori Kashiwazaki
永記 柏▲崎▼
Kiyoto Yoda
清人 依田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、安全性及び長寿命の高容量電池を
実現することを目的としている。 【解決手段】 本発明は、水酸化ニッケル化合物粒子を
正極活物質とする正極合剤2と、亜鉛を主成分とする合
金粉末をアルカリ電解液に分散させたゲル状負極4とを
隔離するためのセパレータ紙3を備えた電池において、
セパレータ紙として、保液性を示すセルロース系繊維
と、耐アルカリ性を示すビニロン繊維及びポリビニルア
ルコール繊維を用い、その質量比が35:65〜75:
25の範囲であり、かつ、セパレータ紙の保液率が40
0質量%〜600質量%の範囲であることを特徴とする
密閉型アルカリ一次電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、アルカリ乾電池に
関し、特にインサイドアウト型の電池のセパレータを改
善することにより長寿命化を図った乾電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の携帯電話などモバイル機器の普及
により、アルカリ一次電池には大電流特性の長寿命化が
要求されてきている。そこで、アルカリ一次電池内の正
極活物質、負極活物質の反応性能を上げる研究がされて
いる。また、正極活物質、負極活物質の反応効率を上げ
るために、高吸液型のセパレータ紙が研究されている
(特開平6−231746号公報)。ところが、この高
吸収型のセパレータ紙は、アルカリ電解液を吸収して膨
潤し、電池内圧を高めてしまう。そこで、この膨潤を考
慮に入れて電池を設計すると、活物質量を減量すること
になり、電池容量増大の要請に応えることができない。
【0003】一般にアルカリ電解液電池においては、セ
パレータとしては、次のような性能が要求されている。 (1) 正極、負極の活物質材料粒子が、対極に移動し
ないこと。 (2) アルカリ電解液を十分吸蔵すること。 (3) 機械的加工に適していること。 (4) 電池内物質に対する耐性を有していること。
【0004】そして、電池の容量を高めるためには、正
負極の活物質を増量させる必要があるが、これには、セ
パレータ紙として、薄いものが望ましい。一方、最近高
い活物質利用率を持ち、過放電や短絡状態での放置によ
っても容量低下の起こりにくい活物質として、水酸化ニ
ッケル系化合物を用いた電池が開発されている。この水
酸化ニッケル系化合物は、粒径が小さいため、薄いセパ
レータ紙を採用した場合、セパレータの開孔を通して対
極へ移動し、ショートして寿命を短縮するするおそれが
大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
これらの欠点を解消すべくなされたもので、セパレータ
を改善することにより、安全性及び長寿命の高容量電池
を実現することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、水酸化ニッケ
ル化合物粒子を正極活物質とする正極合剤と、亜鉛を主
成分とする合金粉末をアルカリ電解液に分散させたゲル
状負極とを隔離するためのセパレータ紙を備えた電池に
おいて、セパレータ紙として、保液性をしめすセルロー
ス系繊維と、耐アルカリ性を示すビニロン繊維及びポリ
ビニルアルコール繊維を用い、その質量比が35:65
〜75:25の範囲であり、かつ、セパレータ紙の保液
率が400質量%〜600質量%の範囲であることを特
徴とする密閉型アルカリ一次電池である。
【0007】上記本発明において、前記セパレータ紙
が、3重もしくは4重に重ねられており、そのセパレー
タ紙3重もしくは4重の合計の厚さが、0.2mm〜
0.4mmの範囲であり、かつ、前記セパレータ紙1枚
における最大気孔径が10μm〜70μmの範囲であ
り、かつ、前記セパレータ紙において、セパレータ紙底
部またはセパレータ紙底部及び胴部を接着したことを特
徴とする密閉型アルカリ一次電池である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
説明する。以下、本発明の電池の詳細な実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本
発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極
側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれてい
るJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例
である。
【0009】図1において1は、正極端子を兼ねる有底
円筒形の金属缶であり、この金属缶1の内部に中空円筒
状に成形された正極活物質を含有する正極合剤2が金属
缶1の内面に接触するように収容されている。この正極
合剤2の中空内部には有底円筒状のセパレータ3を介し
て、ゲル状亜鉛負極材料4が充填されている。そして、
この負極材料4には黄銅製の金属棒からなる負極集電棒
5が挿着され、この負極集電棒5の一端は負極材料4の
表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ね
る金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正
極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面
には、二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケッ
ト6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属
缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
【0010】以下に、本発明で用いられるセパレータ、
正極合剤、負極材料、及び電解液について詳細に説明す
る。
【0011】(セパレータ)本発明で用いられるセパレ
ータは、セルロース系繊維と、ポリビニルアルコール系
繊維とからなっている。これらの繊維においては、セル
ロース系繊維が、アルカリ電解液との親和性がよいた
め、保液性を高めるために用いられており、一方、ポリ
ビニルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れてお
り、セパレータ紙の基本骨格を形成するために用いられ
るもので、これらを併用することによって、本発明の所
期の目的を達成するセパレータが得られる。本発明にお
いてセルロース系繊維とは、セルロース繊維、アセチル
セルロース繊維、マーセル化パルプ、レーヨン、ポリノ
ジックレーヨンなどを単独でもしくは混合して用いるこ
とができる。また、ポリビニルアルコール系繊維(PV
A系繊維)としては、ビニロン繊維、ポリビニルアルコ
ール繊維などを単独でもしくは混合して用いることがで
きる。
【0012】本発明においては、これらのセルロース系
繊維およびポリビニルアルコール系繊維をそれぞれ複数
種混抄して製造したセパレータが本発明の目的に適した
特性を有するため好ましく、特にマーセル化パルプ、レ
ーヨン、ビニロン、およびポリビニルアルコール繊維の
混抄物が、セパレータ紙の保液性と強度とをバランスよ
く両立させることが可能になるという理由からもっとも
好ましい。
【0013】本発明において、これらの繊維の構成比
が、質量比で35:65〜75:25の範囲とすること
が必要である。さらに、これらの構成比が、50:50
〜70:30の範囲がより好ましい。セルロース系繊維
がこの範囲を上回ると、保液力が大きくなるものの、膨
潤も合わせて過大となり、活物質を収容する電池の内容
積が減少してしまう。一方、ポリビニルアルコール系繊
維が、上記 範囲を上回ると、保液力が低下し、内部電
気抵抗が増加して電池容量の低下につながる。
【0014】本発明においては、このセパレータ紙の保
液率は、400〜600質量%の範囲が望ましい。この
保液率が、この範囲を下回った場合、電池の内部抵抗が
増加して、電池容量の低下につながる。一方、保液率が
上記範囲を上回った場合、繊維の膨潤などにより電池内
部の容積を過大に占めることになり、電池容量の低下に
結びつく。
【0015】本発明において、これらのセルロース系繊
維とポリビニルアルコール系繊維は、それぞれの繊維を
混合して抄紙してもよいし、それぞれを個別に抄紙した
後、張り合わせてもよい。そして、これらのセパレータ
紙の最大気孔径は、10〜70μmの範囲が望ましい。
最大気孔径がこの範囲を下回った場合、電解液の流通の
抵抗となり、イオン電導性が低下して、電池の内部抵抗
が増大し放電容量が低下する。一方、最大気孔径がこの
範囲を上回った場合、活物質粒子が対極に移動しやす
く、電気ショートの原因となり、電池寿命を低下させ
る。
【0016】このセパレータ紙を用いてセパレータとす
るには、セパレータ紙を捲回し、底部を接着して有底円
筒状に形成する。この際、捲回セパレータ紙の側部を接
着しても差し支えない。この接着は、セパレータ紙を成
形した後熱接着してもよいし、また、接着剤を使用して
もよい。接着剤を使用する場合には、耐薬品性のある接
着剤である必要がある。本発明において、このセパレー
タ紙を捲回する際に、3重もしくは4重に重ね合わさる
ように捲回する必要がある。捲回数が2重以下の場合、
活物質粒子移動防止の機能が発揮されず、電気ショート
の原因となる。一方、捲回数が5重以上の場合、極間距
離が大きくなり、内部抵抗が増加して好ましくない。ま
た、本発明において捲回したセパレータの合計の厚さ
が、0.2〜0.4mmの範囲である必要がある。この
セパレータの合計厚さが、この範囲を下回った場合、セ
パレータ紙としては、機械的強度が十分ではなく、捲回
作業が困難になる。一方、セパレータ厚さが上記範囲を
上回った場合、電池の極間距離が増加して、内部抵抗が
増加することになり好ましくない。
【0017】(正極合剤)本発明において、正極合剤
は、オキシ水酸化ニッケル化合物粒子からなる正極活物
質、黒鉛からなる導電材、およびアルカリ電解液、また
必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレンなどのバイ
ンダなどを混合し、プレスにより、その外径が金属缶の
内径にほぼ等しい中空円筒形状に成形して製造される。
そして、成形された正極合剤は、正極活物質粒子、およ
び導電材粒子が相互に結着し、粒子間の粒界には電解液
が充填されている。
【0018】本発明において用いられる前記正極活物質
であるオキシ水酸化ニッケル化合物は、水酸化ニッケル
を一部酸化した化合物であり、ニッケル原子の価数が3
価のγ−オキシ水酸化ニッケルでもよいし、水酸化ニッ
ケルのニッケル原子の価数である4価のニッケル原子
と、完全にオキシ水酸化物となっているニッケル原子の
3価の中間的な価数を持っている化合物であってもよ
い。
【0019】また、本発明において用いられるオキシ水
酸化ニッケル化合物粒子の表面は、オキシ水酸化コバル
ト、三酸化二コバルト、一酸化コバルト、水酸化コバル
ト、金属ニッケル、金属コバルトより選ばれる少なくと
も一つの物質により被覆されている。このオキシ水酸化
ニッケル化合物粒子表面が電気伝導度の高い物質により
被覆されることで、正極全体の電気伝導性が高まり、放
電容量、高率放電特性を向上させる。これらの物質の内
でも、オキシ水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバ
ルトを用いることが、より導電性が高いという理由で好
ましい。かかる被覆層の量は、正極活物質に対して、
2.0〜6.0質量%の範囲が望ましい。被覆層の量が
この範囲を上回ると、コスト高の問題が生じ、またこの
範囲を下回ると、集電性低下の問題が生じて好ましくな
い。
【0020】さらに、正極活物質であるオキシ水酸化ニ
ッケル化合物自体が、亜鉛もしくはコバルト単独あるい
はその両方と共晶しているものであってもよい。この正
極活物質は低電解液比率でも安定した放電が行えるとい
う特徴を有している。このオキシ水酸化ニッケル化合物
に共晶させる亜鉛もしくはコバルトの量としては、4.
0〜12.0%の範囲が好ましい。亜鉛の量がこの範囲
を下回ると、利用率低下の問題が発生し、またこの範囲
を上回ると、比重低下により容量密度が低下する問題が
あるからである。
【0021】また、上記オキシ水酸化ニッケル化合物正
極活物質に、Y、Er、Yb、Caの化合物を添加する
ことにより、貯蔵時の容量維持率を改善することができ
る。本発明において用いられる上記化合物としては、例
えばY、Er、Yb、などの金属酸
化物、およびCaFなどの金属フッ化物があげられ
る。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、正極活
物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物に対して、0.
1〜10質量%の範囲で用いることができる。金属酸化
物もしくは金属フッ化物の配合量が上記範囲を下回った
場合、十分な効果が得られない。一方配合量が上記範囲
を上回った場合、容量低下の問題が発生し好ましくな
い。このような本発明において、オキシ水酸化ニッケル
化合物に金属酸化物あるいは金属フッ化物を添加するに
は、水性媒体に分散したニッケル水酸化物粒子に、上記
金属酸化物粒子もしくは金属フッ化物粒子を添加するこ
とにより製造することができる。
【0022】上記本発明の正極活物質は、次の方法によ
って製造することができる。すなわち、亜鉛及びコバル
トをドープした水酸化ニッケル粒子に、水酸化コバルト
を添加し、大気雰囲気中で攪拌しながら水酸化ナトリウ
ム水溶液を噴霧する。引き続きマイクロウェーブ加熱を
施すことにより水酸化ニッケル表面にコバルト高次酸化
物の層が形成された複合水酸化ニッケル粒子が生成す
る。そして、この反応系に次亜塩素酸ナトリウムなどの
酸化剤を添加して酸化を進め、コバルト高次酸化物が被
着した複合オキシ水酸化ニッケルを製造することができ
る。これによって導電性が極めて優れた正極活物質を得
ることができる。
【0023】また、本発明においては、前記正極合剤中
に黒鉛粒子を配合し導電性を改善する。本発明において
は、この炭素粒子として、平均粒径が5〜40μmの黒
鉛を用いる。その理由は、平均粒径が、この範囲を下回
った場合には、本来黒鉛が持っている正極合剤成分を結
着する能力が低下し、成形した正極合剤の強度が低下し
て電池製造の作業性に問題があるばかりでなく、正極合
剤の導電性が低下するからである。一方、黒鉛の平均粒
径が上記範囲を上回った場合、活物質の粒子と比較して
径が大きくなるため、導電性が低下するからである。そ
して、本発明においては、前記正極合剤中のかかる黒鉛
粒子の含有量を10質量%以下とすることが望ましい。
正極合剤中の黒鉛粒子の含有量を大きくしすぎると、限
られた金属缶の容積中に充填することのできる正極活物
質量自体が減少することと、黒鉛粒子が酸化されて生じ
る炭酸イオンが自己放電を加速して、放電容量が減少す
るからである。そのためには、正極合剤中の炭素粒子の
含有量は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは
7質量%以下である。
【0024】(負極材料)本発明で用いられる負極材料
は、負極活物質である亜鉛合金を主成分とする負極材料
であり、公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池で使用さ
れている亜鉛ゲルを用いることができる。この負極材料
は、ゲル状であることが取り扱いの点で望ましい。これ
を負極材料をゲル状とするためには、負極活物質に電解
液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化するこ
とができる。
【0025】本発明において用いる亜鉛合金は、無汞化
亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛
合金を用いることができる。具体的には、インジウム
0.06質量%、ビスマス0.014質量%、アルミニ
ウム0.0035質量%を含む亜鉛合金が、水素ガス発
生の抑制効果があり望ましい。特にインジウム、ビスマ
スは放電性能を向上させるため望ましい。負極作用物質
として純亜鉛ではなく亜鉛合金を用いる理由は、アルカ
リ性電解液中での自己溶解速度を遅くし、密閉系の電池
製品とした場合の電池内部での水素ガス発生を抑制し
て、漏液による事故を防止するためである。
【0026】また、亜鉛合金の形状は、表面積を大きく
して大電流放電に対応できるように粉末状とすることが
望ましい。本発明において好ましい亜鉛合金の平均粒径
は、100〜350μmの範囲が好ましい。亜鉛合金の
平均粒径が上記範囲を上回った場合、表面積が比較的小
さくなり大電流放電に対応することは困難になる。ま
た、平均粒径が上記範囲を下回った場合、電池組み立て
時の取り扱いが難しく、電解液及びゲル化剤と均一に混
合することが困難になるばかりでなく、表面が活性であ
ることから酸化されやすく不安定である。
【0027】また、本発明において用いられる増粘剤と
しては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、C
MC、アルギン酸などを用いることができる。特に、ポ
リアクリル酸が、強アルカリに対する耐薬品性に優れて
いるため好ましい。
【0028】(電解液)本発明で用いられる電解液は、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質
を電解質として用いた水溶液が好ましく、特に、水酸化
カリウムを電解質として用いることが、好ましい。ま
た、本発明においては、上記水酸化カリウムなどの電解
質を水に溶解して電解液とするが、さらに電解液中に亜
鉛化合物を添加することが望ましい。かかる亜鉛化合物
としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの化合物が挙げら
れるが、特に酸化亜鉛が好ましい。
【0029】電解液として少なくとも亜鉛化合物を含有
するアルカリ性水溶液を用いるのは、アルカリ性水溶液
中での亜鉛合金の自己溶解が酸性系の電解液と比較して
格段に少なく、更には亜鉛合金のアルカリ性電解液中で
の自己溶解を亜鉛化合物、例えば酸化亜鉛を溶解して亜
鉛イオンを予め存在させておくことにより更に抑制する
ためである。電解液の濃度は、7〜11mol/lの範
囲とすることが、高い電気導電率を得るために最適であ
る。
【0030】
【実施例】(実施例1) (正極の作製)オキシ水酸化コバルトにより被覆された
オキシ水酸化ニッケル粉末90質量%に対して、黒鉛粉
末5.4質量%を10分間混合し、これに、40質量%
濃度の水酸化カリウム水溶液4.6質量%を添加し、汎
用混合器で30分間混合し、混合粉末を得た。これを外
径13.3mm、内径9.0mm、高さ13.7mmの
中空円筒状に加圧成形し、正極合剤ペレットを得た。
【0031】(負極の作製)In:0.01質量%、B
i:0.01質量%及びAl:0.003質量%を含む
粒径100〜300μmの亜鉛合金粉末64.58質量
%に対して、ゲル化剤としてのポリアクリル酸0.38
1質量%を加え、汎用混合器で5分間攪拌し、均一に混
合した。次いで酸化亜鉛を3.5質量%溶解した35質
量%濃度の水酸化カリウム水溶液35質量%に、水酸化
テトラブチルアンモニウム0.0006質量%を添加
し、10分間混合攪拌して十分に分散させた後、前記亜
鉛合金粉末の混合物を4分間かけて徐々に添加すると共
に、150mmHg以下の減圧状態で攪拌・混合し、更
に、10mmHg以下の減圧状態にして5分間攪拌し
て、均一なゲル状負極を製造した。
【0032】(セパレータの作製)セルロース系繊維と
ポリビニルアルコール系繊維を、質量比で35:65の
割合で混合し、抄紙して、厚さ0.1mmのセパレータ
紙を作製した。このセパレータ紙の保液率を測定した結
果、403質量%であった。また、最大気孔径は、30
μmであった。このセパレータ紙を、3重に捲回し、底
部に厚さ0.3mmの円形のセパレータ紙を接着して、
有底円筒状のセパレータを作製した。この捲回部の厚さ
は0.3mmであった。
【0033】(電池の組立)図1において、1は正極端
子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1内
には円筒状に加圧成形した正極合剤ペレットを3個積み
重ねた状態で、再度加圧成形し正極合剤2を9.0g充
填した。また、正極合剤2の中空部には、上記方法によ
って得た有底円筒状のセパレータ3を介して前記方法で
製造したゲル状負極4が充填した。ゲル状負極4内には
真鍮製の負極集電棒5が、その上端部をゲル状負極4よ
り突出するように挿着した。負極集電棒5の突出部外周
面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリアミド
樹脂からなる絶縁ガスケット6を配設した。また、絶縁
ガスケット6の二重環状部の間にはリング状の金属板7
を配設し、かつ金属板7には負極端子を兼ねる帽子形の
金属封口板8が集電棒5の頭部に当接するように配設し
た。そして、金属缶1の開口縁を内方に屈曲させること
によりガスケット6及び金属封口板8で金属缶1内を密
封口した。このようにして製造されたゲル状負極を用い
て図1に示す単3形アルカリ電池を組み立てた。
【0034】(評価)上記により得られた電池につい
て、1.5Aの定電流で連続放電し、終止電圧0.9V
までの放電持続時間を測定した。その結果を表1に示
す。表1において、混合率の欄は、セルロース系繊維と
ポリビニルアルコール系繊維との混合の比率(質量比)
を表し、1.5A連続放電の欄は、上記連続放電試験の
測定値について、実施例1の値を100とした相対値で
表す。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2〜6)セパレータとして、表1
に示す配合比でセルロース系繊維と、ポリビニルアルコ
ール系繊維との混合物を抄紙したものを用いたこと以外
は、実施例と同様にして電池を製作し、1.5A連続放
電試験を行った。その結果を表1に併記する。
【0037】(比較例1,2)セパレータとして、表1
記載の配合の混合物を抄紙したものを用いること以外は
実施例1と同様の方法によって電池を製作し、実施例1
と同様の手段により評価を行った。その結果を、表1に
合わせて示す。
【0038】(実施例7,8、比較例3,4,5)マー
セル化パルプ、レーヨン、ビニロンおよびポリビニルア
ルコール繊維を質量比で25:25:40:10の割合
で混合し抄紙して、保液率が490%であって、最大気
孔径および厚さの異なる複数のセパレータを製造した。
表2に示すように、このセパレータを合計厚さが0.3
mmとなるように、所定数捲回して電池を組み立てた。
得られた電池について、上記実施例1と同様にして、
1.5Aの定電流連続放電の放電持続時間を測定した。
また、3.9Ωの負荷をかけた状態で、1日に5分間だ
け放電し、残り23時間55分は無負荷状体で放置し、
終止電圧0.8Vに至るまでの負荷放電時間を積算する
間欠放電試験を行った。その結果を表2に併記する。上
記連続放電試験、および間欠放電試験の結果は、実施例
7の値を100とした場合の相対値である。
【0039】
【表2】
【0040】(実施例9,10、比較例6,7)マーセ
ル化パルプ、レーヨン、ビニロンおよびポリビニルアル
コール繊維を質量比で25:25:40:10の割合で
混合し抄紙して、保液率が490%、最大気孔径が40
μmであって、厚さの異なる複数のセパレータを製造し
た。表3に示すように、このセパレータを、所定数捲回
して電池を組み立てた。得られた実施例および比較例の
電池について、上記実施例1と同様にして、1.5Aの
定電流連続放電の放電持続時間を測定した。また、上記
実施例3と同様にして、3.9Ω負荷の間欠放電試験を
行った。その結果を表3に併記する。また、実施例9の
結果を上記表1に併記する。上記連続放電試験、および
間欠放電試験の結果は、実施例9の値を100とした場
合の相対値である。
【0041】
【表3】
【0042】以上の結果から、セルロース系繊維が質量
比で35:65〜75:25の範囲この範囲を上回る
と、保液力が大きくなるものの、膨潤も合わせて過大と
なり、活物質を収容する電池の内容積が減少してしま
う。一方、ポリビニルアルコール系繊維が、上記範囲を
上回ると、保液力が低下し、内部電気抵抗が増加して電
池容量の低下につながる。このセパレータ紙の保液率
は、400〜600質量%の範囲が望ましく、この保液
率が、この範囲を下回った場合、電池の内部抵抗が増加
して、電池容量の低下につながる。一方、保液率が上記
範囲を上回った場合、繊維の膨潤などにより電池内部の
容積を過大に占めることになり、電池容量の低下に結び
つく。これらのセパレータ紙の最大気孔径は、10〜7
0μmの範囲が望ましく、最大気孔径がこの範囲を下回
った場合、電解液の流通の抵抗となり、イオン電導性が
低下して、電池の内部抵抗が増大し放電容量が低下す
る。一方、最大気孔径がこの範囲を上回った場合、活物
質粒子が対極に移動しやすく、電気ショートの原因とな
り、電池寿命を低下させる。このセパレータ紙を捲回す
る際に、3重もしくは4重に重ね合わさるように捲回す
る必要がある。捲回数が2重以下の場合、活物質粒子移
動防止の機能が発揮されず、電気ショートの原因とな
る。一方、捲回数が5重以上の場合、極間距離が大きく
なり、内部抵抗が増加して好ましくない。高速回転で生
産されるラインスピードに対応できない。また、本発明
において捲回したセパレータの合計の厚さが、0.2〜
0.4mmの範囲を下回った場合、セパレータ紙として
は、機械的強度が十分ではなく、捲回作業が困難にな
る。一方、セパレータ厚さが上記範囲を上回った場合、
電池の極間距離が増加して、内部抵抗が増加することに
なり好ましくないことが判明した。また、セパレータ底
部および胴部の短絡が原因で電圧不良が発生するのを避
けるため、セパレータ底部および胴部は接着されている
ことが好ましい。
【0043】さらに、セルロース系繊維およびポリビニ
ルアルコール系繊維として、それぞれ吸水性、耐アルカ
リ性などの特性の異なる複数の繊維を混合抄紙しセパレ
ータとすることによりさらに安全性および寿命の改善さ
れた電池を実現することができる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、水酸化ニッケル系の微
小粒子の正極活物質を使用した高容量電池において、電
池内部に充分量の発電要素を収容する容積の確保に障害
となることなく、かつ電池の長寿命化を達成する電池を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を適用できるインサイドアウト
型の電池の断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属缶(正極) 2・・・正極合剤 3・・・セパレータ 4・・・ゲル状負極 5・・・負極集電棒 6・・・絶縁ガスケット 7・・・リング状金属板 8・・・金属封口板
フロントページの続き Fターム(参考) 5H021 EE03 EE11 HH01 HH03 5H024 AA14 BB07 CC02 CC14 CC17 DD09 HH01 HH13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化ニッケル化合物粒子を正極活物質と
    する正極合剤と、亜鉛を主成分とする合金粉末をアルカ
    リ電解液に分散させたゲル状負極とを隔離するためのセ
    パレータを備えた電池において、セパレータ紙材料とし
    て、セルロース系繊維と、ポリビニルアルコール系繊維
    からなりその質量比が35:65〜75:25の範囲で
    あるセパレータ紙を用い、かつ、セパレータの保液率が
    400質量%〜600質量%の範囲であることを特徴と
    する密閉型アルカリ一次電池。
  2. 【請求項2】前記セパレータ紙が、3重もしくは4重に
    捲回されており、そのセパレータ紙の合計の厚さが、
    0.2mm〜0.4mmの範囲であり、前記セパレータ
    紙1枚における最大気孔径が10μm〜70μmの範囲
    であり、かつ、前記セパレータ紙において、セパレータ
    底部またはセパレータ底部及び胴部を接着したことを特
    徴とする請求項1に記載の密閉型アルカリ一次電池。
  3. 【請求項3】前記セパレータ紙が、複数のセルロース系
    繊維および複数のポリビニルアルコール系繊維の混抄物
    であることを特徴とする請求項2に記載の密閉型アルカ
    リ一次電池。
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