JP3191367B2 - 二酸化珪素被覆プラスチック成形体およびその製造方法 - Google Patents

二酸化珪素被覆プラスチック成形体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面を耐久性に優れた
二酸化珪素被膜で被覆したプラスチック成形体およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック成形体その他各種基
材の耐擦性、耐薬品性、ガスバリヤー性などを付与する
ためにその表面に二酸化珪素の膜を形成することが知ら
れており、その方法として、(1)低温成膜が可能であ
る、(2)真空系を必要としないため成膜コストが安価
である、(3)大面積、大量成膜が可能である、等の利
点から、二酸化珪素の過飽和状態の珪弗化水素酸水溶液
と基材を接触させて基材表面に二酸化珪素を形成する方
法(以後、「析出法」と略称する)が注目されている
(例えば、特開昭60−33233、特開昭62−20
876)。
【0003】基材が特にプラスチック成形体である場合
には、そのままの未処理の表面には析出法による二酸化
珪素被膜を得ることはできない。これは、プラスチック
表面上に珪弗化水素酸水溶液中の珪素成分と反応する拠
点がないためであると考えられる。そこでプラスチック
成形体に有機珪素化合物またはそれらの加水分解物を被
覆硬化させて第1次被膜とした後、析出法で第1次被膜
上に二酸化珪素被膜を形成させる方法が提案されている
(例えば特開昭61−12734)。これにより、析出
法を用いて透明均一な二酸化珪素被膜を得ることが可能
となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、付着力
が良好な二酸化珪素の被膜を得るためには、有機珪素化
合物やそれらの加水分解物からなる第1次被膜の厚みを
0.5〜30μmと厚くする必要があるため、温湿度負
荷によりクラックや割れを生じやすい。またプラスチッ
クフィルムに応用した場合には、このフィルムが折り曲
げられたときに二酸化珪素被膜の剥離がおこるといった
問題点があった。
【0005】そして第1次被膜の厚みを0.5μm未満
に薄くしても密着力良好な二酸化珪素被膜が得られるの
は、ポリカーボネート成形体にはアミノ基を有する珪素
化合物例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
(特開平1−132640)を、そしてアクリル樹脂成
形体にはメタクリロキシ基を有する珪素化合物例えばγ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(特開平
1−101339)を第1次被膜形成用に使用した場合
のみに限られていた。
【0006】本発明は、上記従来の技術の課題を解決
し、プラスチック成形体の樹脂の種類によらず、表面を
耐久性に優れ付着力良好な二酸化珪素被膜で被覆したプ
ラスチック成形体およびその製造方法を提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の二酸化珪素被覆
プラスチック成形体は、a) プラスチック成形体、
b) アルコキシシリル基とイソシアノ基を有するポリ
マーを被覆硬化してなる層、c) オルガノポリシロキ
サンの層、およびd)二酸化珪素被膜の層をa)、
b)、c)、d)の順に積層してなる。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に使用されるプラスチック成形体と
しては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ
カーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリスルフォン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルケ
トン、ポリイミド、ポリアクリロニトリル等の代表され
る熱可塑性樹脂;エラストマー、およびそれらのポリマ
ーブレンドからなる成形体;ポリジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート、フェノール樹脂等に代表され
る熱硬化性樹脂成形体;を挙げることができる。成形体
は板状、フィルム状その他の形状を有していてもよい。
【0010】本発明において、プラスチック成形体に、
b)層、すなわちアルコキシシリル基とイソシアノ基の
両方の基を有するポリマーを被覆硬化してなる層を形成
させる。このポリマーとしては、側鎖にイソシアノ基及
びトリアルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマー
(ビニロールEX−1500、昭和高分子(株)製、ト
ルエン溶液、またはビニロールEX−1200、昭和高
分子(株)製、トルエン溶液)を挙げることができる。
このポリマーの被覆硬化層を形成させるには、このポリ
マーを非プロトン性有機溶剤、例えば酢酸エステル、エ
ーテル、芳香族炭化水素、に溶解したものを塗布液とす
る浸漬塗布方法が好適であり、塗布後の硬化方法として
は、熱、紫外線或は電子線を用いる方法などいずれも採
用可能である。
【0011】ここで、前記ポリマー中のイソシアノ基
は、プラスチック成形体の塩基性置換基から求核攻撃を
受けて化学結合を形成する拠点として働き、b)層とプ
ラスチック成形体の密着性を向上させる。もしイソシア
ノ基が存在しないと、b)層の密着性が低下する。ま
た、プラスチック成形体表面にイソシアノ基と反応可能
な置換基が存在しない場合にも、b)層の密着性は低下
しやすくなる。したがって予めプラスチック成形体の表
面に紫外線や遠紫外線を照射したり、コロナ放電やケン
化処理或は火炎処理などを施すことによって、プラスチ
ック成形体の表面に水酸基やカルボキシル基等のような
イソシアノ基と反応可能な置換基を導入しておくことが
好ましい。
【0012】また、b)層のポリマー中のアルコキシシ
リル基は、シラノールや、弗化珪素等の珪素化学種との
反応の拠点である。したがって、b)層中にアルコキシ
シリル基が存在しないと、b)層の上には、直接透明均
一なd)層が得られず、また後述のc)層を介してd)
層を形成する場合には、b)層とc)層との接着力は極
めて弱い。ピンホール、白濁等の欠点の少ない透明均一
なd)層を得るために、d)層を形成する前に予めb)
層上に次に述べるc)層を形成しておけばよい。即ち
c)層を形成するのは、析出法による二酸化珪素被膜の
成膜性を向上するためである。
【0013】c)層は、オルガノポリシロキサンの層で
あり、好ましくは一般式(1)で示される有機珪素化合
物及びそれらの加水分解物の群より選ばれた少なくとも
1種の被覆層である。
【0014】R1 nSi(OR24-n (1) ここで、式中R1は、炭素数1〜6の炭化水素基、ビニ
ル基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メル
カプト基、フッ素を有する有機基または塩素を有する有
機基を示し、R2は互いに同一または相異なっていても
よく、アルキル基、アシル基またはアルコキシアルキル
基を示し、nは0または1である。一般式(1)で示さ
れる珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ
る。これらの加水分解物とは、該一般式(1)で示され
る珪素化合物中のアルコキシ基、アルコキシアルコキシ
基、アセトキシ基の一部または全部が水酸基で置換され
たもの、更に、置換された水酸基同志が一部自然に縮合
されたものを含んでいる。
【0015】c)層を形成させる方法としては、上記珪
素化合物の部分加水分解物を各種有機溶剤に溶解したも
のを塗布液とする浸漬塗布法が好適であり、塗布後の硬
化方法としては、熱、紫外線或は電子線を用いる方法な
どいずれも採用可能である。
【0016】以上のようにしてプラスチック成形体上に
得られるb)層およびc)層の厚さは、特に限定されな
いが、通常、b)層は0.01〜20μm、好ましくは
0.05〜5μmである。この被覆層の厚さが過小であ
ると、析出法によって得られる二酸化珪素被膜の付着力
が低下する傾向が現われるため適当ではない。逆に過大
であると、不経済である。また、c)層は0.005〜
0.2μm、好ましくは0.02〜0.1μmである。
この被覆層の厚さが過小であると透明均一なd)層が得
られにくくなり、逆に過大であると不経済である。
【0017】本発明においては、b)層[または、b)
層及びc)層]を形成したプラスチック成形体を、次い
で、二酸化珪素の過飽和状態の珪弗化水素酸水溶液と接
触させて、b)層またはc)層上に二酸化珪素被膜を形
成する。
【0018】二酸化珪素の過飽和状態の珪弗化水素酸水
溶液(以下、「処理液」と略称する。)としては、珪弗
化水素酸水溶液に二酸化珪素(シリカゲル、アエロジ
ル、シリカガラス、その他二酸化珪素含有物など)を溶
解させた後、水または試薬(ホウ酸、塩化アルミニウ
ム、金属アルミニウム、その他)を添加するか処理液温
度を上昇させる等の手段で、二酸化珪素の過飽和状態と
したものが使用される。本発明において、b)層及び
c)層を形成したプラスチック成形体と接触させる処理
液の濃度としては、1リットル当り2〜4モルが好まし
く、特に4モル/lより濃い珪弗化水素酸水溶液に二酸
化珪素を飽和させた後、水で希釈して2〜4モル/lの
濃度としたものが被膜形成速度が速く、効率よく被膜形
成が行えるので望ましい。
【0019】また、該処理液は (イ) 該成形体との接触時においても、(1)連続的
にホウ酸や塩化アルミニウム等の添加剤水溶液が添加、
混合されている、(2)アルミニウム等の金属が溶解混
合されている、(3)連続的に二酸化珪素の飽和した高
濃度の珪弗化水素酸水溶液と水が添加、混合されてい
る、温度を一時冷却して二酸化珪素を飽和させ、その
後再び温度を上昇させる等の手段によって常時過飽和度
が維持されている処理液であり、(ロ) 1分間あたり
処理液全量の3%以上の処理液がフィルタ−でろ過され
戻される処理液である、ことが好ましい。
【0020】ここで、接触時において、(1)連続的に
ホウ酸等の水溶液を添加混合したり、(2)アルミニウ
ム等の金属を溶解混合するのは、被膜の形成速度を向上
させるために好ましい。ホウ酸の場合、その添加量は、
処理液中の珪弗化水素酸1molに対して5×10-4mol/
Hr〜1×10-3mol/Hrの範囲が好ましく、また、金
属アルミニウムを溶解させる場合その溶解量は、処理液
中の珪弗化水素酸1mol に対して1×10-3mol/Hr〜
4×10-3mol/Hrの範囲が好ましい。
【0021】また、3%以上の処理液を循環させること
は均質な被膜を連続的に得るために効果的であり、フィ
ルタ−で処理液をろ過することは凹凸形状のない被膜を
得るために好ましい。
【0022】処理液を浸漬槽に入れて該成形体と接触さ
せる場合には、浸漬中の該成形体表面において該処理液
が層流となって流れるようにすることがムラのない均質
な被膜を得るために効果的である。
【0023】本発明において使用した二酸化珪素被膜製
造装置の系統図を図1に示す。
【0024】図1において、浸漬槽は外槽1と内槽2か
らなり内槽1と外槽2の間には水3が満たしてある。こ
の水は一定温度になるようにヒ−タ−4で加熱されかつ
温度分布均一化のため攪拌機5で攪拌されている。
【0025】内槽2は前部6、中部7、後部8からな
り、各部には、工業用シリカゲル粉末を二酸化珪素の供
給源として二酸化珪素を溶解飽和させた所定濃度の珪弗
化水素酸水溶液6.5リットルが満たしてある。
【0026】ここで、三方コック13a、13a’、1
3b、13b’を調節し、循環ポンプ12aを作動させ
内槽後部8の反応液を一定量づつくみ出してフィルタ−
11aでろ過し内槽6へ戻す処理液循環を開始した。
【0027】ここで、フィルタ−11aのメッシュは
1.5μmであり、反応液循環流量を520ml/分
(反応液全量が6.5リットルであるので循環流量は約
8%/分である)と設定した。
【0028】その後、縦50mm、横50mm、厚さ3
mmのアルミニウム板15を3枚、内槽後部8に浸漬し
攪拌機16を作動させアルミニウム板の溶解を促進させ
た。この状態で16〜30時間保持することによって反
応液は適度な二酸化珪素飽和度を有する(二酸化珪素成
膜可能な)処理液となった。
【0029】反応液が二酸化珪素成膜能力を有するよう
になると、反応液中でも二酸化珪素が粒子となって発生
し、成長し、やがてフィルタ−11aでろ過され、フィ
ルタ−の目詰まりの原因となる。アルミニウム添加後3
0〜50時間経過した時点でこの傾向が見られ循環量の
低下を招いた。そこで、配管及びフィルタ−11a内の
反応液を内槽2に戻した後、反応液の循環を内槽後部8
->フィルタ−11b->循環ポンプ12a->内槽前部6と
なるように三方コック13a、13a’、13b、13
b’を設定し、反応液の循環を再び開始したところ、反
応液の循環量は再び520ml/分に回復した。ここ
で、フィルタ−11bのメッシュはフィルタ−11aと
同じく1.5μmである。
【0030】この状態で循環ポンプ12bを作動させ、
5%弗化水素酸水溶液10が洗浄液槽9->フィルタ−1
1a->循環ポンプ12b->洗浄液槽9の順で循環するこ
とによって目詰まりしたフィルタ−11aを洗浄再生し
た。
【0031】以上の手順に従って、フィルタ−に目詰ま
り傾向が認められた都度三方コック13a、13a’、
13b、13b’を調節してフィルタ−を切り替える操
作を行ないながら、各種珪素化合物で被覆したプラスチ
ック成形体を内槽中部7に所定時間浸漬することによっ
て二酸化珪素被膜を連続して得ることができた。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例に限定されるものではない。
【0033】実施例1 ビニロールEX−1500(昭和高分子(株)製、側鎖
にイソシアノ基及びトリアルコキシシリル基を有するア
クリル系ポリマーのトルエン溶液)に、予め両表面にコ
ロナ処理を施した縦および横がともに100mmで、厚
さが25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを浸漬
し30cm/minの速度で引き上げた後、1日間室温
で放置してフィルムの各表面にb)層(厚さ約0.8μ
m)を形成した。
【0034】γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン5gとCSGL−0803P(チッソ(株)製、
テトラエトキシシランを1成分とする加水分解溶液)1
0gを500mlのイソプロピルアルコールに溶解した
溶液に、上記b)層を形成した二軸延伸ポリプロピレン
フィルムを浸漬し、15cm/minの速度で引き上げ
た後、90℃で100分間乾燥してb)層の上にc)層
(厚さ約20nm)を形成した。
【0035】以上のようにして得られたb)層および
c)層をもつ二軸延伸ポリプロピレンフィルムを図1に
示す二酸化珪素被膜製造装置の内槽中部7に浸漬し、8
0分間保持した後処理液から引き上げ、純水で洗浄後乾
燥した。なお、二酸化珪素被膜製造装置内を循環する珪
弗化水素酸水溶液の濃度は2.5mol/lであり、ヒ
ーター4を調節して成膜時の温度が35℃となるように
した。
【0036】電子顕微鏡による破断面観察及びX線光電
子分光法による分析の結果、ポリプロピレンフィルムの
最表面には二酸化珪素被膜(膜厚約100nm)が形成
されていることがわかった。
【0037】上記二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テー
プを貼付けて引き剥すテストでは全く剥がれない強固な
付着力を有するものであった。また、沸騰水中に1時間
浸漬したが、付着力に変化はなかった。
【0038】実施例2 ビニロールEX−1500を使用して、浸漬塗布方法に
よって、予め両面コロナ処理を施した縦、横、100m
m、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの両面に厚さ約0.8μmのb)層を形成
した。
【0039】γ−アミノプロピルトリエトキシシラン4
gとビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン2g
を500mlのイソプロピルアルコールに溶解した溶液
を使用して浸漬塗布方法によって、上記b)層を形成し
た二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面
にc)層(厚さ約20nm)を形成した。
【0040】以上のようにして得られた二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルムを図1に示す二酸化珪素
被膜製造装置の内槽中部7に浸漬し、80分間保持した
後処理液から引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。なお、
二酸化珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水溶
液の濃度は1.2mol/lであり、ヒーター4を調節
して成膜時の温度が35℃となるようにした。
【0041】ポリエチレンテレフタレートフィルムの両
表面には二酸化珪素被膜(膜厚約80nm)が形成して
いた。
【0042】上記コロナ処理面に得られた二酸化珪素被
膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き剥すテストで
は全く剥がれない強固な付着力を有するものであった。
【0043】実施例3 ビニロールEX−1200(昭和高分子(株)製、側鎖
にイソシアノ基及びトリアルコキシシリル基を有するア
クリル系ポリマーのトルエン溶液)をトルエンで2倍に
希釈した溶液に、予め表面を紫外線照射した縦、横、1
00mm、厚さ170μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムを浸漬し20cm/minの速度で引き上げ
た後、1日間室温で放置してb)層(厚さ約0.4μ
m)を形成した。
【0044】CSGL−0803P(チッソ(株)製、
テトラエトキシシランを1成分とする加水分解溶液)1
0gを500mlのイソプロピルアルコールで希釈した
溶液に、上記b)層を形成したポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを浸漬し、15cm/minの速度で引き
上げた後、90℃で100分間乾燥してb)層上にc)
層(厚さ約20nm)を形成した。
【0045】以上のようにして得られたポリエチレンテ
レフタレートフィルムを図1に示す二酸化珪素被膜製造
装置の内槽中部7に浸漬し、120分間保持した後処理
液から引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。なお、二酸化
珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水溶液の濃
度は3.0mol/lであり、ヒーター4を調節して成
膜時の温度が30℃となるようにした。
【0046】ポリエチレンテレフタレートフィルムの最
表面には二酸化珪素被膜(膜厚約120nm)が形成さ
れていることがわかった。
【0047】上記紫外線照射面に得られた二酸化珪素被
膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き剥すテストで
は全く剥がれない強固な付着力を有するものであった。
【0048】実施例4 ビニロールEX−1500に、予め表面を紫外線照射し
た縦、横、100mm、厚さ100μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムを浸漬し30cm/minの速
度で引き上げた後、1日間室温で放置してb)層(厚さ
約0.8μm)を形成した。
【0049】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン50gとテトラエトキシシラン50gと蒸留水10
0gを混合しながら、0.1規定塩酸0.5リットルを
添加しその後30分間攪拌して均一溶液を得た。この加
水分解水溶液20gを250mリットルのイソプロピル
アルコールで希釈した溶液に、上記b)層を形成したポ
リエチレンテレフタレートフィルムを浸漬し、15cm
/minの速度で引き上げた後、90℃で100分間乾
燥してc)層(厚さ約20nm)を形成した。
【0050】以上のようにして得られたポリエチレンテ
レフタレートフィルムを図1に示す二酸化珪素被膜製造
装置の内槽中部7に浸漬し、80分間保持した後処理液
から引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。なお、二酸化珪
素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水溶液の濃度
は2.5mol/lであり、ヒーター4を調節して成膜
時の温度が35℃となるようにした。
【0051】ポリエチレンテレフタレートフィルムの最
表面には二酸化珪素被膜(膜厚約100nm)が形成さ
れていることがわかった。
【0052】上記紫外線照射面に得られた二酸化珪素被
膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き剥すテストで
は全く剥がれない強固な付着力を有するものであった。
【0053】実施例5 ビニロールEX−1500を酢酸エチルで2倍に希釈し
た溶液に、縦および横の寸法がそれぞれ100mm、厚
さ1.1mmのポリジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネート(以後CR−39と呼ぶ)を浸漬し20cm
/minの速度で引き上げた後、80℃の乾燥炉で15
時間熱処理した。CR−39平板上には約0.5μmの
b)層が形成されていた。
【0054】テトラエトキシシランを主成分とする加水
分解溶液(CSGL−0803P、チッソ(株)製、)
10gを500mlのイソプロピルアルコールで希釈し
た溶液に、上記b)層を形成したCR−39平板を浸漬
し、15cm/minの速度で引き上げた後、90℃で
100分間乾燥してb)層上にc)層(厚さ約20n
m)を形成した。
【0055】以上のようにして得られたCR−39平板
を図1に示す二酸化珪素被膜製造装置の内槽中部7に浸
漬し、120分間保持した後処理液から引き上げ、純水
で洗浄後乾燥した。なお、二酸化珪素被膜製造装置内を
循環する珪弗化水素酸水溶液の濃度は3.0mol/l
であり、ヒーター4を調節して成膜時の温度が30℃と
なるようにした。CR−39平板の最表面には二酸化珪
素被膜(膜厚約120nm)が形成されていることがわ
かった。
【0056】上記、二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テ
ープを貼付けて引き剥すテストでは全く剥がれない強固
な付着力を有するものであった。
【0057】実施例6 ビニロールEX−1500を酢酸エチルで2倍に希釈し
た溶液に、縦、横、100mm、厚さ200μmのポリ
エーテルスルホン製のフィルムを浸漬し20cm/mi
nの速度で引き上げた後、80℃の乾燥炉で15時間熱
処理した。ポリエーテルスルホンフィルムには厚み約
0.5μmのb)層が形成されていた。
【0058】テトラエトキシシランを主成分とする加水
分解溶液(チッソ(株)製、CSGL−0803P)1
0gを500mlのイソプロピルアルコールで希釈した
溶液に、上記b)層を形成したポリエーテルスルホンフ
ィルムを浸漬し、15cm/minの速度で引き上げた
後、90℃で100分間乾燥してb)層上にc)層(厚
さ約20nm)を形成した。
【0059】以上のようにして得られたポリエーテルス
ルホンフィルムを図1に示す二酸化珪素被膜製造装置の
内槽中部7に浸漬し、100分間保持した後処理液から
引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。なお、二酸化珪素被
膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水溶液の濃度は
3.0mol/lであり、ヒーター4を調節して成膜時
の温度が35℃となるようにした。
【0060】ポリエーテルスルホンフィルムの最表面に
は二酸化珪素被膜(膜厚約120nm)が形成されてい
ることがわかった。
【0061】上記、二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テ
ープを貼付けて引き剥すテストでは全く剥がれない強固
な付着力を有するものであった。
【0062】比較例1 特開昭61−12734による二酸化珪素被膜の形成方
法を二軸延伸ポリプロピレンフィルムに応用した例を比
較例1として示す。
【0063】まずγ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン350重量部、水分散コロイダルシリカ(日産
化学(株)製、商品名スノーテックス−C、固形分20
%)14重量部、蒸留水9重量部及び1.2規定塩酸水
溶液3重量部を混合し80℃で4時間還流後、57重量
部の溶媒を溜出温度80〜90℃で溜出した。このよう
にして得られたコロイダルシリカを含むγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランの加水分解物溶液66重
量部にエチルセロソルブ100重量部及び硬化触媒、フ
ローコントロール剤を少々添加し塗料とした。この塗料
を、予め片面コロナ処理を施した縦100mm横100
mm厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに
浸漬法で塗布し、90℃の熱風乾燥炉で60分間熱処理
した。ポリプロピレンフィルム上には4μmの厚みの層
が形成されていた。
【0064】上記ポリプロピレンフィルムを図1に示し
た二酸化珪素被膜製造装置の内装中部7に浸漬後、12
0分間保持することによって二酸化珪素被膜(80n
m)を作成した。なお、二酸化珪素被膜製造装置内を循
環する珪弗化水素酸水溶液の濃度は1.2mol/lで
あり、ヒーター4を調節して成膜時の温度が30℃とな
るようにした。
【0065】上記二酸化珪素被覆ポリプロピレンフィル
ムに関して、セロハン粘着テープを貼り付けて引き剥す
テストを行ったところ両面とも剥離した。両面ともフィ
ルムと有機珪素化合物層の界面で剥離していた。
【0066】比較例2 特開昭61−12734による二酸化珪素被膜の形成方
法を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートィルムに応用
した例を比較例2として示す。
【0067】ポリプロピレンフィルムの代わりに、片面
コロナ処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを使用した他は、比較例1と全く同様にして、二
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に二酸化
珪素被膜を形成した。
【0068】上記二酸化珪素被覆ポリエチレンテレフタ
レートフィルムに関して、セロハン粘着テープを貼り付
けて引き剥すテストを行ったところ両面とも剥離した。
両面ともフィルムと有機珪素化合物層の界面で剥離して
いた。
【0069】比較例1、2の結果から、特開昭61−1
2734による二酸化珪素被膜の製造方法は、特定プラ
スチックすなわちアクリル樹脂成形体およびポリカーボ
ネート成形体にのみ効果はあるが、二軸延伸ポリプロピ
レンフィルムおよび二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トィルムには効果がないことがわかる。本発明の二酸化
珪素被膜の製造方法によって、多種類のプラスチックに
付着力強固な二酸化珪素被膜を形成できるようになった
ことがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、プ
ラスチック成形体の樹脂の種類によらず、表面を耐久性
に優れ付着力良好な二酸化珪素被膜で被覆したプラスチ
ック成形体が得られる。そしてプラスチック成形体と二
酸化珪素被膜との間に介在させるポリマーの膜厚みを
0.5μm以下に小さくしても二酸化珪素被膜の付着耐
久性に変化はないためプラスチックフィルムにも応用で
きる。そして得られる二酸化珪素被膜は、緻密性に優れ
プラスチックの持つ諸欠点(例えば、吸水性、ガス透過
性、ガス放出性)を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するために使用した二酸化珪素被
膜製造装置の系統説明図。
【符号の説明】
1−外槽 2−内槽 3−水 4−ヒ−タ− 5−攪拌機 6−内槽前部 7−内槽中部 8−内槽後部 9−洗浄液槽 10−5%HF水溶液 11−フィルタ− 12−循環ポンプ 13−三方コック 14−プラスチック成形体 15−アルミニウム板 16−攪拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−223342(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 B32B 9/04 B32B 27/00 - 27/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a) プラスチック成形体、b) アルコ
    キシシリル基およびイソシアノ基を有するポリマーを被
    覆硬化してなる層、c) オルガノポリシロキサンの
    層、およびd) 二酸化珪素被膜の層をa)、b)、
    c)、d)の順に積層してなる二酸化珪素被覆プラスチ
    ック成形体。
  2. 【請求項2】 前記d)層は、二酸化珪素が過飽和状態
    にある珪弗化水素酸水溶液を接触させて形成させたもの
    である請求項記載の二酸化珪素被覆プラスチック成形
    体。
  3. 【請求項3】 前記c)層は一般式(1) R1 nSi(OR24-n (1) (式中R1は、炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、
    メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト
    基、フッ素を有する有機基、または塩素を有する有機基
    を示し、R2は互いに同一または相異なっていてもよ
    く、アルキル基、アシル基またはアルコキシアルキル基
    を示し、nは0または1である。)で示される有機珪素
    化合物及びそれらの加水分解物の群より選ばれた少なく
    とも1種を被覆硬化してなる層である請求項記載の二
    酸化珪素被覆プラスチック成形体。
  4. 【請求項4】 プラスチック成形体の表面に、アルコキ
    シシリル基とイソシアノ基を有するポリマーを被覆硬化
    し、ついで一般式(1) 1 n Si(OR 2 4-n (1) (式中R 1 は、炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、
    メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト
    基、フッ素を有する有機基、または塩素を有する有機基
    を示し、R 2 は互いに同一または相異なっていてもよ
    く、アルキル基、アシル基またはアルコキシアルキル基
    を示し、nは0または1である。)で示される有機珪素
    化合物及びそれらの加水分解物の群より選ばれた少なく
    とも1種を被覆硬化し、 次いで二酸化珪素が過飽和状態
    にある珪弗化水素酸水溶液を接触させてその上に二酸化
    珪素被膜を形成することを特徴とする二酸化珪素被覆プ
    ラスチック成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ポリマーを被覆硬化する前のプラス
    チック成形体の表面を、予め処理してその表面にイソシ
    アノ基と化学反応可能な置換基を導入することによっ
    て、改質する請求項記載の二酸化珪素被覆プラスチッ
    ク成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 プラスチック成形体の表面を、予め処理
    してその表面にイソシアノ基と化学反応可能な置換基を
    導入することによって改質し、ついでその上に、アルコ
    キシシリル基とイソシアノ基を有するポリマーを被覆硬
    化し、次いで二酸化珪素が過飽和状態にある珪弗化水素
    酸水溶液を接触させてその上に二酸化珪素被膜を形成す
    ることを特徴とする二酸化珪素被覆プラスチック成形体
    の製造方法。
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