JP3010239B2 - プラスチック成形体への二酸化珪素膜の選択形成方法 - Google Patents

プラスチック成形体への二酸化珪素膜の選択形成方法

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JP3010239B2
JP3010239B2 JP2274239A JP27423990A JP3010239B2 JP 3010239 B2 JP3010239 B2 JP 3010239B2 JP 2274239 A JP2274239 A JP 2274239A JP 27423990 A JP27423990 A JP 27423990A JP 3010239 B2 JP3010239 B2 JP 3010239B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二酸化珪素が過飽和状態にある珪弗化水素
酸水溶液と、プラスチック成形体とを接触させてプラス
チック成形体表面の任意の部分に選択的に二酸化珪素膜
を形成させる方法に関する。
[従来の技術] 近年、二酸化珪素成膜方法として、低温成膜が可能
である真空系を必要としないため成膜コストが安価で
ある大面積、大量成膜が可能である等の利点から、二
酸化珪素が過飽和状態にある珪弗化水素酸水溶液と基材
とを接触させて基材表面に二酸化珪素膜を形成する方法
(以後析出法と呼ぶ)(例えば特開昭60−33233、特開
昭62−20876)が注目されている。
特に、プラスチック成形体に析出法によって二酸化珪
素膜を形成する方法に関しては、プラスチック成形体に
有機珪素化合物、それらの加水分解物を被覆硬化させて
第1次被膜とした後、析出法で第1次被膜上に二酸化珪
素被膜を形成させる方法が知られている(例えば、特開
昭61−12734)。
[発明が解決しようとする課題] 特開昭61−12734等に記載されているように、プラス
チック成形体に予め有機珪素化合物またはそれらの加水
分解物を被覆硬化させて第1次被膜を形成する理由は、
析出法によってプラスチック表面上に二酸化珪素を均一
透明な膜として得るためである。
プラスチック成形体を何の前処理もなくそのまま二酸
化珪素過飽和状態の珪弗化水素酸水溶液に接触させて
も、透明均一な二酸化珪素膜は得られず、プラスチック
は不均一に白濁した状態を呈する。
即ち、プラスチック成形体表面の一部に有機珪素化合
物またはその加水分解物を被着硬化させた後、該プラス
チック成形体と二酸化珪素の過飽和状態にある珪弗化水
素酸とを接触させても、有機珪素化合物またはその加水
分解物を被着させた部分には二酸化珪素膜が形成される
ものの、そのほかの部分は不均一に白濁するという問題
点があった。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、有機珪素化合物またはそれらの加水分解物
で処理してない生のプラスチック表面には、二酸化珪素
の過飽和状態の珪弗化水素酸水溶液に接触させても、白
濁も成膜もせず、接触前後で外観上変化がないように析
出法を改良したものであり、プラスチック成形体への二
酸化珪素膜の選択形成方法を提供するものである。
本発明は、プラスチック成形体の表面の一部分に、下
記一般式(I)で示される有機珪素化合物、およびその
加水分解物の群より選ばれた少なくとも1種を所望の形
状に被着硬化させ、前記有機珪素化合物またはその加水
分解物を被着させた部分以外の表面に紫外線または遠紫
外線を照射し、その後、該プラスチック成形体と二酸化
珪素が過飽和状態にある2.5mol/以上の濃度の珪弗化
水素酸水溶液とを接触させて、上記珪素化合物を被着さ
せた部分にのみ二酸化珪素膜を形成することを特徴とす
るプラスチック成形体への二酸化珪素膜の選択形成方法
を要旨とするものである。
R1 mSi(R24-m (I) 以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、一般式(I)で示される有機珪素化
合物としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリ
アセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン等がその代表例として挙げられる。これらの
一般式(I)で示される珪素化合物の加水分解物として
は、該珪素化合物中のアルコキシ基、アルコキシアルコ
キシ基、アシルオキシ基、塩素元素の一部または全部が
水酸基に置換されたもの、さらに置換された水酸基同士
が一部自然に縮合したものを含んでいる。
これら一般式(I)で示される有機珪素化合物、およ
びその加水分解物の群より選ばれた少なくとも1種以上
を、プラスチック成形体表面の一部分、すなわち選択的
に二酸化珪素膜を形成したい部分に所望の形状で被着硬
化させるが、その被着手段としては上記珪素化合物およ
びそれらの加水分解物からなる群より選ばれる1種以上
を各種溶剤に溶解させた液をプラスチック成形体表面に
塗布乾燥させる方法が簡便である。また、乾燥硬化方法
としては、熱、紫外線、あるいは電子線を用いる方法な
ど、いずれも採用可能である。
析出法によって得られる二酸化珪素膜の透明均一性や
密着力を向上したり、また、二酸化珪素膜形成後の光学
特性に変化を与える上で必要ならば、同一または種類の
異なる珪素化合物の被着硬化を複数回繰り返し、珪素化
合物層を複数層に分割してもよい。例えば、ポリカーボ
ネートを基板とする場合には、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシランを塗布硬化後、テトラエトキシシランの
加水分解物を塗布硬化して、珪素化合物の2層構造を形
成してから、析出法によって成膜を行なえば、透明均一
性および基板との密着性に優れた二酸化珪素膜が得られ
る。
さらに、プラスチック成形体と、上記有機珪素化合物
層との密着性を向上して、析出法によって得られる二酸
化珪素膜の付着力を強固にするために有機珪素化合物層
を形成する前にプライマーとして有機樹脂層を形成した
り、下記一般式(II)で示されるシリルパーオキサイド
化合物を被着しておいてもよい。
R3 nSi(OOR44-n (II) シリルパーオキサイド化合物を使用する場合、熱分解
してフリーラジカルを発生する条件下で熱処理する必要
があるが、シリルパーオキサイド化合物を被着後直ちに
熱分解してもよいが、シリルパーオキサイド化合物層上
に一般式(I)で示される珪素化合物またはその加水分
解物の層を形成した後、両者あわせて熱分解した方が操
作面でも膜の付着力という観点からも効果的である。
ここで、シリルパーオキサイド化合物が、最表面に形
成されていると、二酸化珪素の過飽和状態の珪弗化水素
酸と接触したときに、不均一に白濁した二酸化珪素膜が
得られるので、析出法で二酸化珪素膜の不要な部分に
は、シリルパーオキサイド化合物が被着しないようにす
るべきである。
以上のように一般式(I)で示される有機珪素化合
物、およびその加水分解物の群より選ばれた少なくとも
1種を任意の形状に被着硬化させたプラスチック成形体
を、二酸化珪素の過飽和状態にある珪弗化水素酸水溶液
に接触させて二酸化珪素膜を形成するが、ここで使用す
る珪弗化水素酸水溶液の濃度は、薄くとも2.5mol/以
上でなければならない。より好ましくは3.0mol/以上
の濃度が必要である。
これより低濃度になると、有機珪素化合物またはその
加水分解物が被着していない部分に、二酸化珪素が粒子
となって不均一に付着しやすくなり、外観も不均一に白
濁してくるため適当ではない。
本発明によれば有機珪素化合物を被着させていない生
のプラスチック表面への二酸化珪素粒子の付着は、析出
法による成膜前に予め、有機珪素化合物を被着させてい
ない部分に紫外線あるいは遠紫外線を照射して表面を充
分清浄化しておくことによって抑制できる。紫外線また
は遠紫外線の照射は、最初に、即ちプラスチック基板が
未処理の段階で行なってもよいし、また、析出法による
成膜直前に行なってもよいが、後者の場合、紫外線、遠
紫外線のパワーや照射時間によっては基板と膜の付着力
が低下することがあるから注意を要する。
本発明において使用する、二酸化珪素の過飽和状態の
珪弗化水素酸水溶液(以下、「処理液」と略称する。)
としては、珪弗化水素酸水溶液に二酸化珪素(シリカゲ
ル、エアロジル、シリカガラス、その他二酸化珪素含有
物など)を溶解させた後、水または試薬(ホウ酸、塩化
アルミニウム、金属アルミニウム、その他)を添加する
か処理液温度を上昇させる等の手段で二酸化珪素の過飽
和状態としたものが使用される。
また、該処理液は、 (イ) 該プラスチック成形体との接触時においても、
アルミニウムなどの金属が溶解混合されている、連
続的に二酸化珪素を飽和させた高濃度の珪弗化水素酸水
溶液および水が添加混合されている、温度を一時冷却
して二酸化珪素を飽和させ、その後再び温度を上昇させ
る、連続的に二酸化珪素を飽和させた高濃度珪弗化水
素酸水溶液およびホウ酸や塩化アルミニウム等の添加剤
水溶液が添加混合されている等の手段によって常時過飽
和度が維持されている処理液であり、 (ロ) 1分間あたり処理液全量の3%以上を処理液が
フィルターでろ過され戻される処理液である、 ことが好ましい。
ここで、接触時において、アルミニウムなどの金属
を溶解混合したり、連続的に二酸化珪素を飽和させた
高濃度珪弗化水素酸水溶液および水を添加混合するの
は、被膜の形成速度を向上させるために好ましい。
また、3%以上の処理液を循環させフィルターでろ過
するのは、プラスチック上の有機珪素化合物またはその
加水分解物を被着した部分には均質な凹凸形状のない被
膜を得るために、また、その他の部分には二酸化珪素粒
子の付着を抑制するために効果的である。
処理液を浸漬槽に入れて該成形体と接触させる場合に
は、浸漬中の該成形体表面において該処理液が層流とな
って流れるようにすることがムラのない均質な被膜を得
るために効果的である。
本発明において使用した二酸化珪素被膜製造装置の系
統図を第1図に示す。
第1図において、浸漬槽は外槽1と内槽2からなり内
槽1と外槽2の間には水3が満たしてある。この水は一
定温度になるようにヒーター4で加熱されかつ温度分布
均一化のため攪拌機5で攪拌されている。
内槽2は前部6、中部7、後部8からなり、各部に
は、工業用シリカゲル粉末を二酸化珪素の供給源として
二酸化珪素を溶解飽和させた所定濃度の珪弗化水素酸水
溶液6.5が満たしてある。ここで、三方コック13a、13
a′、13b、13b′を調節し、循環ポンプ12aを作動させ内
槽後部8の反応液を一定量づつくみ出してフィルター11
aでろ過し内槽6へ戻す処理液循環を開始した。
ここで、フィルター11aのメッシュは1.5μmであり、
反応液循環流量を520ml/分(反応液全量が6.5である
ので循環流量は約8%/分である)と設定した。
その後、縦50mm、横50mm、厚さ3mmのAl板15を3枚、
内槽後部8に浸漬し攪拌機16を作動させAl板の溶解を促
進させた。
この状態で16〜30時間保持することによって反応液は
適度な二酸化珪素飽和度を有する(二酸化珪素成膜可能
な)処理液となった。
反応液が二酸化珪素成膜能力を有するようになると、
反応液中でも二酸化珪素が粒子となって発生し、成長
し、やがてフィルター11aでろ過され、フィルターの目
詰まりの原因となる。Al添加後30〜50時間経過した時点
でこの傾向が見られ循環量の低下を招いた。そこで、配
管及びフィルター11a内の反応液を内槽2に戻した後、
反応液の循環を内槽後部8→フィルター11b→循環ポン
プ12a→内槽前部6となるように三方コック13a、13
a′、13b、13b′を設定し、反応液の循環を再び開始し
たところ、反応液の循環量は再び520ml/分に回復した。
ここで、フィルター11bのメッシュはフィルター11aと同
じく1.5μmである。
この状態で循環ポンプ12bを作動させ、5%弗化水素
酸水溶液10が洗浄液槽9→フィルター11a→循環ポンプ1
2b→洗浄液槽9の順で循環することによって目詰まりし
たフィルター11aを洗浄再生した。
以上の手順に従って、フィルターに目詰まり傾向が認
められた都度三方コック13a、13a′、13b、13b′を調節
してフィルターを切り替える操作を行ないながら、ガラ
スまたは各種珪素化合物で被覆したポリカーボネート成
形体を内槽中部7に所定時間浸漬することによって二酸
化珪素被膜を連続して得ることができた。
[実施例] 以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明を詳
細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 テトラエトキシシラン100gと蒸留水100gを混合しなが
ら、0.1規定塩酸0.5mlを添加しその後30分間攪拌して均
一溶液を得た。この加水分解溶液20gを250mlのイソプロ
ピルアルコールで希釈した溶液を、縦、横各100mm厚さ1
mmのポリカーボネート平板の片面にスピンコーターで塗
布した後、50℃の温風乾燥炉で30分間乾燥して有機珪素
化合物層を形成した。次に前記ポリカーボネート平板の
有機珪素化合物層が形成された表面の反対側表面を遠紫
外線照射により清浄化した。上記のポリカーボネート平
板を、第1図に示す二酸化珪素被膜製造装置の内槽中部
7に浸漬し、80分間保持した後処理液から引き上げ、純
水で洗浄後乾燥した。
なお、二酸化珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水
素酸水溶液の濃度は3.5mol/であり、ヒーター4を調
節して成膜時の温度が35℃となるようにした。
以上のようにして得られたポリカーボネート平板は、
均一透明であり、白濁部分は観察されなかった。
電子顕微鏡による破断面観察およびX線光電子分光法
(ESCA;Electron Spectroscopy for Analysis)によ
る分析の結果、有機珪素化合物層を形成した面にのみ二
酸化珪素膜(膜厚100nm)が得られていること、および
有機珪素化合物層を形成しなかった面には二酸化珪素膜
の形成も二酸化珪素粒子の付着も全く生じていないこと
がわかった。
比較例1 二酸化珪素被膜製造装置内の珪弗化水素酸水溶液の濃
度を1.5mol/としたこと以外は、実施例1と同様にし
て、片面にのみテトラエトキシシランの加水分解物を塗
布乾燥したポリカーボネート平板に二酸化珪素被覆を試
みた。
得られたポリカーボネート平板には、不均一に白濁し
た部分が観察された。
電子顕微鏡による観察では、この白濁部分は、テトラ
エトキシシランの加水分解物で処理してない面に発生し
ており、二酸化珪素粒子が不均一に付着している状態を
呈していた。シラン処理した面は、二酸化珪素膜が形成
されており、表面平滑であった。
参考例1〜12 未処理の生ポリカーボネート平板および遠紫外線照射
により表面が充分清浄化されたポリカーボネート平板
(各々縦、横100mm、厚さ1mm)を、そのまま第1図に示
す二酸化珪素被膜製造装置の内槽中部7に浸漬し、一定
時間保持した後処理液から引き上げ、純水で洗浄後乾燥
した。
二酸化珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水
溶液の濃度および該処理液への浸漬時間によるポリカー
ボネート平板の外観変化を第1表に示す。
なお、処理液温度はいずれの場合も35℃で統 一した。
第1表において、外観の○は、透明均一即ち、処理液
浸漬前後で外観変化のなかったことを示す。×は、白濁
した部分があることを示す。白濁部分は、比較例1と同
じく二酸化珪素粒子が不均一に付着している。
参考例1〜6から、処理液は、濃度が濃くなるにつ
れ、外観上プラスチックに影響しなくなることがわか
る。また、参考例4および10から、紫外線、遠紫外線照
射によるプラスチック表面の清浄化は、処理液の影響を
受けにくくしていることがわかる。
実施例2 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2gと
テトラエトキシシランを1成分とする加水分解物溶液
(固形分濃度8%、CSGL−0803(チッソ(株)製、))
5mlの混合物を200mlのイソプロピルアルコールに溶解し
て塗布液を作成した。この塗布液に、縦、横100mm、厚
さ1.5mmのアクリル平板を垂直にして半分浸漬し引き上
げた後60℃で1時間乾燥することによって、アクリル平
板の半分に有機珪素化合物層を形成した。次に前記アク
リル平板の有機珪素化合物層が形成されていない表面を
遠紫外線照射により清浄化した。
得られたアクリル平板を、第1図に示す二酸化珪素被
膜製造装置の内槽中部7に浸漬し、80分間保持した後処
理液から引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。なお、二酸
化珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素酸水溶液の
濃度は3.5mol/であり、ヒーター4を調節して成膜時
の温度が、35℃となるようにした。
得られたアクリル平板の有機珪素化合物で処理した部
分には、二酸化珪素被膜が形成されており、(膜厚約10
0nm)表面親水性を示したが、有機珪素化合物で処理し
てない部分は、外観上処理液への浸漬前後で変化なく依
然表面疎水性を示し、二酸化珪素粒子の付着も全く生じ
ていなかった。
なお、上記有機珪素化合物で処理した部分に得られた
二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き
剥すテストでは全く剥がれない強固な付着力を有するも
のであった。また、沸騰水中に1時間浸漬したが、付着
力に変化はなかった。
比較例2 二酸化珪素被膜製造装置内の珪弗化水素酸水溶液の濃
度を1.5mol/としたこと以外は、実施例2と同様にし
て、半分有機珪素化合物で処理したアクリル平板上に二
酸化珪素被覆を試みた。
有機珪素化合物で処理した部分には透明均一な二酸化
珪素被膜(膜厚約100nm)が得られたが、有機珪素化合
物で処理してない部分には、不均一に白濁した部分が観
察された。
なお、上記有機珪素化合物で処理した部分に得られた
二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き
剥すテストでは全く剥がれない強固な付着力を有するも
のであった。また、沸騰水中に1時間浸漬したが、付着
力に変化はなかった。
実施例3 γ−グリシドキシプロピルトリス(t−ブチルパーオ
キシ)シランのn−ヘキサン溶液(濃度約10重量%)を
部分的にマスキングシートを貼ったポリエーテルイミド
平板に塗布し、そのまま2日間放置した。
次に、 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100g、
蒸留水100g、0.1規定塩酸0.5mlを混合、攪拌して得られ
た均一溶液20gを200mlのイソプロピルアルコールで希釈
して得た加水分解溶液を、上記ポリエーテルイミド平板
に塗布し、50℃で10分間乾燥後、マスキングシートを剥
し、さらに、150℃で30分間加熱して上記シリルパーオ
キサイド化合物の分解を促進した。次にこのポリエーテ
ルイミド平板のマスキングシートを剥した表面を遠紫外
線照射により清浄化した。
得られたポリエーテルイミド平板を、第1図に示す二
酸化珪素被膜製造装置の内槽中部7に浸漬し、80分間保
持した後処理液から引き上げ、純水で洗浄後乾燥した。
なお、二酸化珪素被膜製造装置内を循環する珪弗化水素
酸水溶液の濃度は、3.5mol/であり、ヒーター4を調
節して成膜時の温度が35℃となるようにした。
以上のようにして得られたポリエーテルイミド平板
は、マスキングしなかった部分即ち有機珪素化合物で処
理した部分にのみ二酸化珪素被膜が形成されており(膜
厚約100nm)表面親水性を示したが、マスキングした部
分即ち有機珪素化合物で処理してない部分は、珪弗化水
素酸水溶液への浸漬前後で外観に変化なく依然表面疎水
性であり、二酸化珪素粒子の付着も全く生じていなかっ
た。
なお、上記有機珪素化合物で処理した部分に得られた
二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き
剥すテストでは全く剥がれない強固な付着力を有するも
のであった。また、沸騰水中に1時間浸漬したが、付着
力に変化はなかった。
比較例3 二酸化珪素被膜製造装置内の珪弗化水素酸水溶液の濃
度を1.5mol/としたこと以外は、実施例3と同様にし
て、部分的に有機珪素化合物で処理したポリエーテルイ
ミド平板上に二酸化珪素被覆を試みた。
有機珪素化合物で処理した部分には透明均一な二酸化
珪素被膜(膜厚約100nm)が得られたが、有機珪素化合
物で処理してない部分には、不均一に白濁した部分が観
察された。
なお、上記有機珪素化合物で処理した部分に得られた
二酸化珪素被膜は、セロハン粘着テープを貼付けて引き
剥すテストでは全く剥がれない強固な付着力を有するも
のであった。また、沸騰水中に1時間浸漬したが、付着
力に変化はなかった。
[発明の効果] 以上詳述した通り、本発明の二酸化珪素被覆プラスチ
ック成形体の製造方法は、プラスチック成形体表面に任
意の形状に、一般式(I)で示される有機珪素化合物ま
たは、その加水分解物を被着硬化させ、前記有機珪素化
合物またはその加水分解物を被着させた部分以外の表面
に紫外線または遠紫外線を照射し、その後、該プラスチ
ック成形体と二酸化珪素が過飽和状態にある2.5mol/
以上の濃度の珪弗化水素酸水溶液とを接触させて、上記
珪素化合物を被着させた部分にのみ二酸化珪素膜を形成
するものであって、本発明の方法によれば、 有機珪素化合物で処理した部分に均一透明な、表面平
滑な二酸化珪素被膜が形成できる。
有機珪素化合物で処理してない部分は、二酸化珪素被
膜の形成も、二酸化珪素粒子の付着も全くなく珪弗化水
素酸水溶液浸漬前の表面が保たれる。
等の優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するために使用した二酸化珪素被
膜製造装置の系統説明図である。 1……外槽、2……内槽、 3……水、4……ヒーター 5……攪拌機、6……内槽前部 7……内槽中部、8……内槽後部 9……洗浄液槽、10……5%HF水溶液 11……フィルター、12……循環ポンプ 13……三方コック 14……プラスチック成形体 15……Al板、16……攪拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−38443(JP,A) 特開 平2−88648(JP,A) 特開 昭56−152762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 B05D 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック成形体の表面の一部分に、下
    記一般式(I)で示される有機珪素化合物およびその加
    水分解物の群より選ばれた少なくとも1種を所望の形状
    に被着硬化させ、前記有機珪素化合物またはその加水分
    解物を被着させた部分以外の表面に紫外線または遠紫外
    線を照射し、その後、二酸化珪素が過飽和状態にある2.
    5モル/l以上の濃度の珪弗化水素酸水溶液を該プラスチ
    ック成形体と接触させて、上記珪素化合物またはその加
    水分解物を被着させた部分にのみ二酸化珪素膜を形成す
    ることを特徴とするプラスチック成形体への二酸化珪素
    膜の選択形成方法。 R1 mSi(R24-m (I) 式中R1は炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタク
    リロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フ
    ッ素を有する有機基または塩素を有する有機基を示し、
    R2は互いに同一または相異なっていてもよく、アルコキ
    シ基、アルコキシアルコキシ基、アシルオキシ基または
    塩素元素を示し、mは0または1である。
  2. 【請求項2】前記有機珪素化合物またはその加水分解物
    を被着させる部分に、予め下記一般式(II)で示される
    シリルパーオキサイド化合物を被着しておくことを特徴
    とする特許請求の範囲第1項に記載のプラスチック成形
    体への二酸化珪素膜の選択形成方法。 R3 nSi(OOR44-n (II) 式中、R3は互いに同一または相異なっていてもよく、炭
    素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ
    基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フッ素を有
    する有機基または塩素を有する有機基を示し、R4は互い
    に同一または相異なっていてもよく、アルキル基、アシ
    ル基またはアリールアルキル基を示し、nは0〜3の整
    数を示す。
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