JP3190394U - ワイヤピンチ - Google Patents
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Abstract
【課題】開閉操作時における操作性や操作感を向上させるワイヤピンチを提供する。
【解決手段】ワイヤ11を曲折させることにより形成されたワイヤピンチ10は、前端において相互に対向し接近する方向に付勢された一対の挟持部12A,12Bと、後端において相互に対向し間隔をもって配置された一対の操作部13A,13Bと、一対の挟持部12A,12Bからそれぞれ一対の操作部13A,13Bに向けて伸びる一対の操作軸14A,14Bと、一対の把持部12A,12Bと一対の操作部13A,13Bの間に配置され、一対の操作軸14A,14Bの当接点14Ax,14Bxから受ける力により変形して一対の挟持部12A,12Bが離反する方向に一対の操作軸14A,14Bを相対的に傾動可能とするように構成され、一対の操作軸14A,13Bの当接点14Axと14Bxの間を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造15と、を具備する。
【選択図】図1
【解決手段】ワイヤ11を曲折させることにより形成されたワイヤピンチ10は、前端において相互に対向し接近する方向に付勢された一対の挟持部12A,12Bと、後端において相互に対向し間隔をもって配置された一対の操作部13A,13Bと、一対の挟持部12A,12Bからそれぞれ一対の操作部13A,13Bに向けて伸びる一対の操作軸14A,14Bと、一対の把持部12A,12Bと一対の操作部13A,13Bの間に配置され、一対の操作軸14A,14Bの当接点14Ax,14Bxから受ける力により変形して一対の挟持部12A,12Bが離反する方向に一対の操作軸14A,14Bを相対的に傾動可能とするように構成され、一対の操作軸14A,13Bの当接点14Axと14Bxの間を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造15と、を具備する。
【選択図】図1
Description
本考案はワイヤピンチに係り、特に、洗濯ばさみやクリップ、種々の物品を取り付けるための取付具などとして用いるために好適な、ワイヤを曲折させて形成した挟持具に関する。
一般に、洗濯ばさみ等の挟持具として用いられるピンチには、以下の特許文献1〜4に記載されているように、ワイヤを曲折させて形成したものが古くから知られている。また、このようにワイヤを曲折させて形成した構造にワイヤ以外の樹脂製品などの部品を組み合わせたものなども知られている。さらに、以下の特許文献5に記載されているように、ピンセット状に構成されたものも知られている。
ところで、上記特許文献1〜4に記載のワイヤピンチは、前端において相互に対向する一対の挟持部と、後端において相互に対応する一対の操作部との間に、挟持方向と直交する軸線を備えたコイル状のトーションばねとして機能するコイルばね構造を備えている。このようなコイルばね構造は、洗濯バサミや事務用品としてのクリップにおいては周知構造である。
しかし、このコイルばね構造をワイヤピンチにおいて挟持部から操作部へと伸びる一対の操作軸の支点となるように構成する場合には、図5に模式的に示すように、コイルばね構造55を二巻き以上の密接したコイル状に加工し、隣接する巻回部分の間に一対の操作軸54A,54Bが当接するように形成する必要がある。このような構造では、特許文献1のように巻き数が少ないと操作軸54A,54Bの支点54Ax,54Bxが巻回部分の間から逸脱しやすくなって操作時における操作軸54A,54Bの安定性が損なわれるため、操作感が悪化する。
一方、上記支点54Ax,54Bxに強い力が加わっても隣接する巻回部分が開かないようにコイル状の部分の軸線方向に高い剛性が得られるようにするには、図5に示す構造や特許文献4に記載された構造のように、コイルばね構造の巻き数を多くする必要がある。しかし、このようにすると、操作軸の支点位置とばね力の作用位置との幅方向のずれが大きくなるため、操作力を与えたときにワイヤ構造にゆがみが生じ、開閉動作の操作性や操作感が悪化するという問題がある。また、ばねの展開長が長くなり、また、加工時間も増大するという問題もある。さらに、このような構造では、一対の操作軸の支点間隔を変えるためにはコイルばね構造のコイル形状の半径を変更しなければならないため、ワイヤ形状の全体的な設計変更が必要になる。
そこで、本考案は上記問題点を解決するものであり、その課題は、ワイヤを曲折させることにより形成されたワイヤピンチにおいて、開閉操作時における操作性や操作感を向上させることのできる構造を実現することにある。
斯かる実情に鑑み、本考案のワイヤピンチは、ワイヤを曲折させることにより形成されたワイヤピンチであって、前端において相互に対向し接近する方向に付勢された一対の挟持部と、後端において相互に対向し間隔をもって配置された一対の操作部と、前記一対の挟持部からそれぞれ前記一対の操作部に向けて伸びる一対の操作軸と、前記一対の挟持部と前記一対の操作部の間に配置され、前記一対の操作軸の当接点から受ける力により変形して前記一対の挟持部が離反する方向に前記一対の操作軸が相対的に傾動可能とするように構成され、前記一対の操作軸の前記当接点の間を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造と、を具備することを特徴とする。
本考案によれば、一対の操作軸の当接点の間を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造を有することにより、例えば、一対の操作部の間隔を狭めるように操作すると、一対の操作軸が上記当接点においてコイルばね構造をその軸線方向に押し縮めながら変形させることにより一対の操作軸が相対的に傾動し、これにより、一対の挟持部を離反させることができる。このとき、一対の操作軸はコイルばね構造の軸線方向の両端部に当接すればよいため、従来構造のようにコイルばね構造の隣接する巻回部分を密接させなくても操作軸の安定性を確保することができる。また、一対の操作部の操作により、一対の操作軸が上記当接点を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造を変形させつつ傾動することによって一対の挟持部が離反するため、幅方向に沿った軸線を有するコイルばね構造をトーションばねとして用いる従来構造において問題となる操作部や挟持部における幅方向のゆがみやねじれが生ずるといったことを回避できる。これにより、操作性の向上を図ることができるとともに、良好な操作感を得ることができる。
特に、上記構成により、コイルばね構造は、上記当接点を中心に一対の操作軸が傾動するように変形すればよいため、従来のワイヤピンチのトーションばねとして機能するコイルばね構造のように、操作軸の支点を固定するために多数の巻回部分を相互に密接させて巻回させる必要がなく、また、支点位置がコイル径により決まることもない。したがって、ワイヤの展開長を短縮できるとともに加工コストも低減でき、また、支点間隔、操作軸の傾斜角度、必要な操作力や挟持部の挟持力などを個々に容易に変更することができる。さらに、従来のワイヤピンチや一般的な洗濯ばさみのように操作軸の支点が固定された構造ではなく、コイルばね構造の軸線方向の変形を伴う開閉動作となるため、操作時に受ける堅い感触がなく、柔らかな操作感が得られる。
本考案において、前記ワイヤは、前記コイルばね構造の一方の端部から前方若しくは後方の第1の方向へ伸びて一方の前記挟持部若しくは前記操作部を構成した後に、前記第1の方向とは逆の第2の方向に戻って、前記コイルばね構造の前記一方の端部上を通過する一方の前記操作軸を構成するとともに、前記コイルばね構造の他方の端部から前記第1の方向へ伸びて他方の前記挟持部若しくは前記操作部を構成した後に、前記第2の方向へ戻って、前記コイルばね構造の前記他方の端部上を通過する他方の前記操作軸を構成することが好ましい。これによれば、一対の挟持部若しくは一対の操作部をそれぞれワイヤの切れ目なく構成できるとともに、コイルばね構造、一対の挟持部若しくは一対の操作部、及び、一対の操作軸とが連続するワイヤによって一体に構成されるため、操作性のさらなる向上とともに製造コストを低減することができる。
ここで、前記ワイヤが前記コイルばね構造の一方の端部から前方へ伸びて一方の前記挟持部を構成した後に、後方へ戻って、前記コイルばね構造の前記一方の端部上を通過する一方の前記操作軸を構成するとともに、前記コイルばね構造の他方の端部から前方へ伸びて他方の前記挟持部を構成した後に、後方へ戻って、前記コイルばね構造の前記他方の端部上を通過する他方の前記操作軸を構成する場合には、一対の挟持部は、コイルばね構造の両端部からそれぞれ前方へ伸びるワイヤ部分と、コイルばね構造の同じ端部上をそれぞれ通過する一対の操作軸の前方へ伸びる部分との二本のワイヤ部分によってそれぞれ支持されるため、コイルばね構造の変形態様に対応した確実な挟持動作を実現できる。
一方、前記ワイヤが前記コイルばね構造の一方の端部から後方へ伸びて一方の前記操作部を構成した後に、前方へ戻って、前記コイルばね構造の前記一方の端部上を通過する一方の前記操作軸を構成するとともに、前記コイルばね構造の他方の端部から後方へ伸びて他方の前記操作部を構成した後に、前方へ戻って、前記コイルばね構造の前記他方の端部上を通過する他方の前記操作軸を構成する場合には、一対の操作部は、コイルばね構造の両端部からそれぞれ後方へ伸びるワイヤ部分と、コイルばね構造の同じ端部上をそれぞれ通過する一対の操作軸の後方へ伸びる部分との二本のワイヤ部分によってそれぞれ支持されるため、コイルばね構造を確実に変形させることの可能な良好な操作性を実現できる。
本考案において、前記コイルばね構造は、その両端部の後方側若しくは前方側の箇所に前記コイルばね構造の螺旋状部分よりも曲率が増大したワイヤ引出位置を有し、前記ワイヤ引出位置から引き出された前記ワイヤは前記コイルばね構造の前記両端部を前方若しくは後方に向けて横断して前記一対の挟持部若しくは前記一対の操作部に接続され、前記一対の操作軸は前記コイルばね構造の前記両端部の前記ワイヤ引出位置上を通過し、前記一対の操作部の操作時には前記当接点が前記ワイヤ引出位置に当接することが好ましい。これによれば、一対の操作部の操作時には、コイルばね構造の両端部から引き出されるワイヤ部分と操作軸とが共にワイヤ引出位置において交差した状態で当接し、この当接点において生ずる力によりコイルばね構造を変形させるため、コイルばね構造の変形態様と一対の挟持部の開閉態様との間の対応性、或いは、一対の操作部の操作態様とコイルばね構造の変形態様との間の対応性を高めることができることから、さらなる操作性の向上と良好な操作感を実現することができる。
本考案によれば、ワイヤを曲折させることにより形成されたワイヤピンチにおいて、開閉操作時における操作性や操作感を向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
[第1実施形態]
次に、添付図面を参照して本考案に係るワイヤピンチの実施形態について詳細に説明する。最初に、図1乃至図3を参照して第1実施形態の構造について説明する。
次に、添付図面を参照して本考案に係るワイヤピンチの実施形態について詳細に説明する。最初に、図1乃至図3を参照して第1実施形態の構造について説明する。
本実施形態のワイヤピンチ10は、ステンレス鋼やばね鋼などの弾性を有するワイヤ11が曲折されることによって形成されている。例えば、通常のコイルばね等を製造する方法と同様のNC加工等によってワイヤ11の素線を図示のように曲折させてから、所定の熱処理を施すことによって弾性を付与する。なお、ワイヤ11は、図示例では断面円形の線材が用いられるが、断面角形などの種々の断面形状のものを用いることができる。
ワイヤピンチ10は、上下一対の挟持部12A,12Bと、上下一対の操作部13A,13Bと、下方の挟持部12Aと下方の操作部13Aとの間を前後方向に接続するように伸びる操作軸14A、及び、上方の挟持部12Bと上方の操作部13Bとの間を前後方向に接続するように伸びる操作軸14Bと、一対の挟持部12A,12Bと一対の操作部13A,13Bとの間の前後方向の中間位置に配置され、操作軸14Aと操作軸14Bの間の上下方向の中間位置に配置されるコイルばね構造15とを備えている。上記一対の挟持部12A,12B、上記一対の操作部13A,13B、上記一対の操作軸14A,14B、及び、上記コイルばね構造15は、上記ワイヤ11によってそれぞれ構成されている。図示例の場合においては、ワイヤピンチ10の主要構成部分、すなわち、上記一対の挟持部12A,12B、上記一対の操作部13A,13B、上記一対の操作軸14A,14B、及び、上記コイルばね構造15は、1本のワイヤ11のみによって全て構成される。
一対の挟持部12A,12Bは、それぞれ前方へ向けて伸びるワイヤ11の前端部分がそれぞれ幅方向に曲折されて平面視コ字状に連続した構造を有している。そして、ワイヤピンチ10が外力を受けない図示の基準状態では、平面視コ字状の下方にある挟持部12Aの上に、平面視コ字状の上方にある挟持部12Bが対向配置され、相互に重なった(当接した)状態となっている。そして、図示例のワイヤピンチ10では、上記基準状態において一対の挟持部12Aと12Bが互いに接近する方向に付勢されている。なお、一対の挟持部12Aと12Bは基準状態で相互に離間していてもよいが、少なくとも基準状態よりも離反した状態ではワイヤ11の弾性力により相互に接近する方向に付勢される。
一対の操作部13A,13Bは、それぞれ上記一対の操作軸14A,14Bが後方へ向けて伸びた先の後端部に形成されている。また、操作部13Aと13Bは、上記基準状態において上下方向に相互に間隔をもって対向配置されている。操作部13Aと13Bはそれぞれは、図示例では、操作軸14a,14bの先端を巻回させることによりループ状に構成される。これにより、操作時において指などの操作部分に対する係合安定性を高めるようになっている。一般的には、一対の操作部13A,13Bは、一対の操作軸14A,14Bに接続された、コイルばね構造15よりも後方にある部分であればよく、操作軸14A,14Bと同様にそのまま後方に伸びた軸状に構成されていてもよい。ただし、上記のように操作性を高めるためには、操作力の向きと直交する仮想的な面(図示例では水平面)を構成する態様となるように構成されていることが好ましい。この場合、図示の巻き付け態様に限らず、ジグザグ状、スパイラル状などの種々の態様で形成することができる。
一対の操作軸14A,14Bは、操作部13A,13Bからコイルばね構造15の両端部上をそれぞれ通過して、一対の挟持部12A,12Bに至るように前後に延在している。したがって、図示例では各操作軸14A,14Bがコイルばね構造15の下方の端部の下方位置と上方の端部の上方位置をそれぞれ通過している。ただし、本考案は、このような態様に限らず、操作軸14A,14Bがコイルばね構造15の内部を通過していても、操作軸14Aと操作軸14Bとの間にコイルばね構造15のうちの実質的にコイルばねとして機能する部分(後述する弾性変形部15C)が配置されていればよい。
コイルばね構造15は、一対の操作軸14Aと14Bの間(上下方向の中間位置)に配置され、操作軸14Aと14Bを結ぶ線に沿った軸線(図示例ではほぼ垂直な軸線)15Xを有する。コイルばね構造15は、下方にあるリング状の底端部15Aと、上方にあるリング状の上端部15Bとを有する。また、底端部15Aと上端部15Bとの間には底端部15A及び上端部15Bのいずれに対しても軸線方向に間隔を有するとともに螺旋状に伸びる弾性変形部15Cが設けられている。コイルばね構造15は、底端部15Aのリング状の巻回部分から弾性変形部15Cを経て上端部15Bのリング状の巻回部分に至るように、ワイヤ11が螺旋状に構成されることによって形成されている。
ワイヤ11は、底端部15Aのコイル状の巻回部分からワイヤ引出位置15Aeにおいて曲率を変化させることによってコイルばね構造15の底端部15Aから引き出されている。同様に、ワイヤ11は、上端部15Bのコイル状の巻回部分からワイヤ引出位置15Beにおいて曲率を変化させることによってコイルばね構造15の上端部15Bからワイヤ11が引き出されるようにしている。上述のように、一対の挟持部12A,12Bが基準状態で相互に接近する方向に付勢されている本実施形態では、ワイヤ引出位置15Ae,15Beをコイルばね構造15の両端部(底端部15Aと上端部15B)の後方側にそれぞれ配置し、このワイヤ引出位置15Ae,15Beにおけるワイヤ11の曲率をコイルばね構造15の螺旋状部分の曲率よりも大きくすることにより、これらのワイヤ引出位置15Ae,15Beから先のワイヤ11の部分がリング状の底端部15Aと上端部15Bを横断して前方へそれぞれ引き出されるようにしている。
そして、このようにコイルばね構造15の螺旋状部分の曲率よりも大きな曲率を備えたワイヤ引出位置15Ae,15Beのワイヤ部分に、一対の操作軸14A,14Bの当接点14Ax,14Bxが当接するように構成している。これにより、操作軸14A,14Bが当接するワイヤ11の部分の曲率が大きいために、当接点14Ax,14Bxの位置ずれが生じにくくなるから、操作時における一対の操作軸14A,14Bの支持安定性を高めることができる。また、一対の操作軸14A,14Bの当接点14Ax,14Bxの位置と、コイルばね構造15のワイヤ引出位置15Ae,15Beとの間の幅方向の距離を低減できるため、一対の操作部13A,13Bの操作により一対の挟持部12A,12Bが開閉動作する際の一対の挟持部12A,12B及び一対の操作部13A,13Bの幅方向のゆがみが生ずることを回避できる。
ただし、上記とは異なり、図6や図7に示すように底端部15Aと上端部15Bのワイヤ引出位置15Ae,15Beにおいてワイヤ11の曲率を小さくすることによって、底端部15Aと上端部15Bのリング形状の外側に直接にワイヤ11が引き出されるようにしても構わない。図6及び図7は、ワイヤ11は、底端部15Aと上端部15Bから接線方向に引き出された例を示している。
本実施形態のワイヤピンチ10では、コイルばね構造15の両端部(底端部15Aと上端部15B)からそれぞれ引き出されたワイヤ11がそれぞれ前方へ伸びて上記一対の挟持部12A,12Bを構成し、その後、後方へ戻って上記一対の操作軸14A,14Bを構成している。ここで、挟持部12Bの両側に接続された、コイルばね構造15の上端部15Bから引き出されたワイヤ11の部分と、操作軸14Bとは、それぞれコイルばね構造15と挟持部12Bとの間で下方へ向けて屈曲し、これによって、上記基準状態で一対の挟持部12Aと12Bが相互に当接するとともに、コイルばね構造15と一対の挟持部12A,12Bとの間の前後方向の中間位置で上下のワイヤ11の部分の間に上下方向の間隔が生ずるように構成されている。これは、本実施形態のワイヤピンチ10が、単に、挟持部12Aと12Bの間に種々の物を挟持することのみを目的として形成されているだけではなく、一対の挟持部12A,12Bとコイルばね構造15との間にロッド(棒)などの物を保持することをも目的として形成されていることによる。なお、上記の屈曲部分は、本実施形態のように上方のワイヤ部分だけではなく、下方のワイヤ部分に設けてもよく、或いは、上下双方のワイヤ11の部分に設けても構わない。ただし、上記の屈曲部分を全く設けなくても、一対の挟持部12A,12Bの挟持性能には何ら影響がないことは自明である。
なお、本実施形態では、基準状態において、一対の操作軸14A、14Bは、一対の挟持部12A,12Bのある前方側において相互に接近し、一対の操作部13A,13Bのある後方側において相互に間隔を有する傾斜姿勢となっている。そして、この一対の操作軸14Aと14Bの傾斜姿勢に対して、コイルばね構造15の両端部、すなわちリング状の底端部15Aと上端部15Bが操作軸14A,14Bにほぼ沿った傾斜姿勢となるようにするために、軸線15Xが前方へ向けて湾曲するように、コイルばね構造15を形成している。ただし、底端部15Aと上端部15Bを一対の操作軸14A,14Bに沿って傾斜させる必要は必ずしもないので、コイルばね構造15の軸線15Xは直線であっても構わない。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、第2実施形態のワイヤピンチ20の構造について説明する。このワイヤピンチ20は、上記第1実施形態のワイヤピンチ10とそれぞれ同様に構成された主要構成部分を備えている。この主要構成部分には、ワイヤ11と同様のワイヤ21によって構成された一対の挟持部22A,22B、一対の操作部23A,23B、一対の操作軸24A,24B、及び、コイルばね構造25が設けられている。この主要構成部分におけるワイヤ21の取り回し態様は、各部の寸法や寸法比率を除き、第1実施形態のワイヤ11の取り回し態様と基本的に同じである。
次に、図4を参照して、第2実施形態のワイヤピンチ20の構造について説明する。このワイヤピンチ20は、上記第1実施形態のワイヤピンチ10とそれぞれ同様に構成された主要構成部分を備えている。この主要構成部分には、ワイヤ11と同様のワイヤ21によって構成された一対の挟持部22A,22B、一対の操作部23A,23B、一対の操作軸24A,24B、及び、コイルばね構造25が設けられている。この主要構成部分におけるワイヤ21の取り回し態様は、各部の寸法や寸法比率を除き、第1実施形態のワイヤ11の取り回し態様と基本的に同じである。
本実施形態のワイヤピンチ20には、一方の操作部23Bから後方へ伸びる延長部26Bが形成されている。この延長部26Bは、一方の操作軸24Bの先端において巻回されて設けられた上記操作部23Bを経てそのままワイヤ21を後方へ延長させることによって形成されている。延長部26Bには、図示しないが、種々の物品や部品を取り付けることができる。また、延長部26Bの先に、ワイヤ21によって、一対の操作部、一対の操作軸、一対の挟持部、及び、コイルばね構造からなるもう一つのワイヤピンチを形成することも可能である。さらに、延長部26Bをフック状に構成し、ワイヤピンチ20を吊り下げるための吊下構造としてもよい。
本実施形態では、一方の操作部23Bから後方へ延長した延長部26Bを設けているが、他方の操作部23Aから後方へ延長した延長部26A(図示二点鎖線)を設けてもよく、さらには、延長部26Aと26Bの双方を設けてもよい。いずれの場合においても、延長部26A,26Bを形成することによって、当該延長部26A,26Bに取り付けた物品若しくは部品、或いは、当該延長部26A,26Bの先に形成した種々のワイヤ構造を、ワイヤピンチ20の一対の挟持部22A,22Bによる取付機能を用いて種々の場所に装着することができる。また、ワイヤピンチ20を延長部26A,26Bを用いて種々の場所に取り付けることも可能である。
[第1及び第2実施形態の作用効果と従来例との対比]
上記の第1及び第2実施形態のワイヤピンチ10,20は、図6に模式的に示すワイヤ構造を有することにより、図5に模式的に示す従来のワイヤ構造を有するワイヤピンチ50に比べて種々の利点を備えているので、以下に説明する。
上記の第1及び第2実施形態のワイヤピンチ10,20は、図6に模式的に示すワイヤ構造を有することにより、図5に模式的に示す従来のワイヤ構造を有するワイヤピンチ50に比べて種々の利点を備えているので、以下に説明する。
図5に示す従来のワイヤピンチ50では、コイルばね構造55の軸線55Xが前後方向と交差する幅方向に沿うように配置されている。このため、一対の挟持部52A,52Bと、一対の操作部53A,53Bとの間に延在する一対の操作軸54A,54Bは、コイルばね構造55の外周上(上方位置と下方位置)を通過している。したがって、一対の操作部53A,53Bを図示矢印のように挟圧すると、一対の操作軸54A,54Bは、コイルばね構造55の外周上の支点54Ax,54Bxを中心に傾動し、一対の挟持部52A,52Bを互いに離反するように動作させる。したがって、上記支点54Ax,54Bxを確保し、一対の操作軸54A,54Bを確実に傾動させるとともに、その支点の安定性を担保するためには、コイルばね構造55に複数の巻回部分を形成するとともに、隣接する巻回部分を相互に密接させておく必要がある。このため、ワイヤ51の展開長が長くなり、加工時間も増大する。
また、一対の操作部53A,53Bを挟みつけるように操作すると、一方の操作軸54Aの前端部は下方に、他方の操作軸54Bの前端部は上方に移動するので、一対の挟持部52A,52Bの幅方向の操作軸側にある一方の端部分52Ax,52Bxもそれぞれの操作軸54A,54Bに従って移動する。しかし、一対の挟持部52A,52Bの幅方向の反対側にある他方の端部分52Ay,52Byは、コイルばね構造55の両端部に接続されていることから、コイルばね構造55のトーションばねの弾性力により、上記一方の端部分52Ax,52Bxの動作に抵抗する。このため、一対の挟持部52A,52Bには、全体として、図示矢印のようなねじれが発生する。したがって、ワイヤピンチ50では、一対の挟持部52Aと52Bを開閉動作させる際の操作性に問題が生じ、上記のねじれの発生により操作感も悪化する。これは、コイルばね構造55の軸線55Xが幅方向に沿うように構成されているために、上記一対の操作軸54A,54Bの支点54Ax,54Bxの確保と支持安定性の向上を得る目的でコイルばね構造55を軸線55Xに沿った方向に長く形成すると、支点54Ax,54Bxと、トーションばねの弾性抵抗力を受ける位置(コイルばね構造55の両端位置)との間の幅方向の距離が大きくなることに起因するものである。
一方、図6に示すように、上記各実施形態では、一対の操作軸14A(24A),14B(24B)の当接点14Ax(24Ax),14Bx(24Bx)は、コイルばね構造15(25)の軸線方向の両端部の後方側に位置し、一対の操作部13A(23A),13B(23B)に図示矢印の操作力を与えたとき、一対の操作軸14A(24A),14B(24B)が上記当接点14Ax(24Ax),14Bx(24Bx)を中心に傾動するとともに、コイルばね構造15(25)は、その軸線方向に沿って圧縮されるように変形する。図1〜図4に示す例では、コイルばね構造15(25)は、その軸線15X(25X)が前方へ湾曲した構造を有するので、上記当接点14Ax(24Ax)と14Bx(24Bx)から受ける力により、軸線15X(25X)の前方への湾曲が低減されるように変形し、一対の操作部13A(23A),13B(23B)への操作量が大きくなると、前方への湾曲が解消された上でさらに後方の側へ湾曲するように変形する。
このとき、挟持部12A(22A)の幅方向の一方側にある端部分12Ax(22Ax)は操作軸14A(24A)に接続され、幅方向の他方側にある端部分12Ay(22Ay)はコイルばね構造15(25)の軸線方向の下端部に接続されている。同様に、挟持部12B(22B)の幅方向の一方側にある端部分12Bx(22Bx)は操作軸14B(24B)に接続され、幅方向の他方側にある端部分12By(22By)はコイルばね構造15(25)の軸線方向の上端部に接続されている。したがって、コイルばね構造15(25)の上記の変形時においては、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)の幅方向の一方の端部分12Ax(22Ax),12Bx(22Bx)と、幅方向の他方の端部分12Ay(22Ay),12By(22By)とはコイルばね構造15(25)の変形態様に応じていずれも同じ方向に移動する。これによって、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)は、幅方向両側にほぼ均等な移動量で相互に離反する方向に動作する。したがって、上記各実施形態では、開閉動作時において一対の挟持部12A(22A),12B(22B)にねじれが発生しないため、図5に示す従来構造のような操作性の低下や操作感の悪化を招くことはない。
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態では、いずれも1本のワイヤ11(21)をコイルばね構造15(25)の軸線方向の両端部から前方へ引き出して一対の挟持部12A(22A),12B(22B)を構成し、その後、ワイヤ11(21)を後方へ戻して一対の操作軸14A(24A),14B(24B)を形成し、これらをコイルばね構造15(25)の上下両端上を通過させた先の部分に一対の操作部13A(23A),13B(23B)を形成している。したがって、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)とコイルばね構造15(25)の両端部との間にそれぞれ二本のワイヤ部分が介在しているため、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)の開閉態様と、コイルばね構造15(25)の変形態様との間の対応性を高めることが可能になっている。
上記第1及び第2実施形態では、いずれも1本のワイヤ11(21)をコイルばね構造15(25)の軸線方向の両端部から前方へ引き出して一対の挟持部12A(22A),12B(22B)を構成し、その後、ワイヤ11(21)を後方へ戻して一対の操作軸14A(24A),14B(24B)を形成し、これらをコイルばね構造15(25)の上下両端上を通過させた先の部分に一対の操作部13A(23A),13B(23B)を形成している。したがって、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)とコイルばね構造15(25)の両端部との間にそれぞれ二本のワイヤ部分が介在しているため、一対の挟持部12A(22A),12B(22B)の開閉態様と、コイルばね構造15(25)の変形態様との間の対応性を高めることが可能になっている。
これに対して、図7に示す第3実施形態では、上記各実施形態とは逆に、1本のワイヤ31をコイルばね構造35の軸線方向の両端部から後方へ引き出して一対の操作部33A,33Bを構成し、その後、ワイヤ31を前方へ戻して一対の操作軸34A,34Bを形成し、これらをコイルばね構造35の両端部上を通過させた先の部分に一対の挟持部32A,32Bを形成している。この第3実施形態では、一対の操作部33A,33Bとコイルばね構造35の上下の両端部との間に二本のワイヤ部分が介在しているため、一対の操作部33A,33Bの操作態様とコイルばね構造35の変形態様との間の対応性を高めることが可能になる。
図7は、図6と同様に本実施形態のワイヤ構造を模式的に示すのみであるが、上記第1及び第2実施形態に記載されたワイヤの取り回し態様や各部の詳細構造をそのまま第3実施形態にも適用することが可能である。例えば、第1実施形態に対応するワイヤ引出位置をコイルばね構造35の両端部の前方側に配置し、このワイヤ引出位置のワイヤ31の曲率をコイルばね構造35の螺旋状部分の曲率よりも大きくし、これらのワイヤ引出位置から先のワイヤ31の部分がコイルばね構造35の両端部を横断して後方へそれぞれ引き出されるようにした上で、コイルばね構造35の螺旋状部分の曲率よりも大きな曲率を備えたワイヤ引出位置のワイヤ部分に一対の操作軸34A,34Bの当接点34Ax,34Bxが当接するように構成する。これにより、曲率の大きなワイヤ引出位置上に当接点34Ax、34Bxが配置されることにより、一対の操作軸34A,34Bの支持安定性を高めることができる。また、一対の操作軸34A,34Bの当接点34Ax,34Bxの位置と、コイルばね構造35のワイヤ引出位置との間の幅方向のずれを低減できるため、一対の操作部33A,33Bの開閉動作時における幅方向のゆがみをさらに軽減できる。
尚、本考案のワイヤピンチは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態ではいずれも1本のワイヤ11,21,31のみを用いてワイヤピンチ10,20,30の主要構成部分(一対の挟持部、一対の操作部、一対の操作軸及びコイルばね構造)を形成しているが、当該主要構成部分を相互に連結した2本以上のワイヤで形成しても構わない。
10…ワイヤピンチ、11…ワイヤ、12A,12B…挟持部、12Ax、12Bx…幅方向の一方の端部分、12Ay,12By…幅方向の他方の端部分、13A,13B…操作部、14A,14B…操作軸、14Ax,14Bx…当接点、15…コイルばね構造、15A…底端部、15B…上端部、15C…弾性変形部、15Ae…(底端部の)ワイヤ引出位置、15Be…(上端部の)ワイヤ引出位置
Claims (5)
- ワイヤを曲折させることにより形成されたワイヤピンチであって、
前端において相互に対向し接近する方向に付勢された一対の挟持部と、
後端において相互に対向し間隔をもって配置された一対の操作部と、
前記一対の挟持部からそれぞれ前記一対の操作部に向けて伸びる一対の操作軸と、
前記一対の挟持部と前記一対の操作部の間に配置され、前記一対の操作軸の当接点から受ける力により変形して前記一対の挟持部が離反する方向に前記一対の操作軸を相対的に傾動可能とするように構成され、前記一対の操作軸の前記当接点の間を結ぶ線に沿った軸線を有するコイルばね構造と、
を具備することを特徴とするワイヤピンチ。 - 前記ワイヤは、前記コイルばね構造の一方の端部から前方へ伸びて一方の前記挟持部を構成した後に、後方へ戻って、前記コイルばね構造の前記一方の端部上を通過する一方の前記操作軸を構成するとともに、前記コイルばね構造の他方の端部から前方へ伸びて他方の前記挟持部を構成した後に、後方へ戻って、前記コイルばね構造の前記他方の端部上を通過する他方の前記操作軸を構成することを特徴とする請求項1に記載のワイヤピンチ。
- 前記コイルばね構造は、その両端部の後方側の箇所に前記コイルばね構造の螺旋状部分よりも曲率が増大したワイヤ引出位置を有し、
前記ワイヤ引出位置から引き出された前記ワイヤは前記コイルばね構造の前記両端部を前方に向けて横断して前記一対の挟持部に接続され、
前記一対の操作軸は前記コイルばね構造の前記両端部の前記ワイヤ引出位置上を通過し、前記一対の操作部の操作時には前記当接点が前記ワイヤ引出位置に当接することを特徴とする請求項2に記載のワイヤピンチ。 - 前記ワイヤは、前記コイルばね構造の一方の端部から後方へ伸びて一方の前記操作部を構成した後に、前方へ戻って、前記コイルばね構造の前記一方の端部上を通過する一方の前記操作軸を構成するとともに、前記コイルばね構造の他方の端部から後方へ伸びて他方の前記操作部を構成した後に、前方へ戻って、前記コイルばね構造の前記他方の端部上を通過する他方の前記操作軸を構成することを特徴とする請求項1に記載のワイヤピンチ。
- 前記コイルばね構造は、その両端部の前方側の箇所に前記コイルばね構造の螺旋状部分よりも曲率が増大したワイヤ引出位置を有し、
前記ワイヤ引出位置から引き出された前記ワイヤは前記コイルばね構造の前記両端部を後方に向けて横断して前記一対の操作部に接続され、
前記一対の操作軸は前記コイルばね構造の前記両端部の前記ワイヤ引出位置上を通過し、前記一対の操作部の操作時には前記当接点が前記ワイヤ引出位置に当接することを特徴とする請求項4に記載のワイヤピンチ。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3190394U true JP3190394U (ja) | 2014-05-08 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6449421B1 (ja) * | 2017-11-22 | 2019-01-09 | 株式会社大木製作所 | 金属製ピンチ及びこれを用いた物干し具 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP6449421B1 (ja) * | 2017-11-22 | 2019-01-09 | 株式会社大木製作所 | 金属製ピンチ及びこれを用いた物干し具 |
JP2019092854A (ja) * | 2017-11-22 | 2019-06-20 | 株式会社大木製作所 | 金属製ピンチ及びこれを用いた物干し具 |
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