JP3189431B2 - 極細線巻き取り方法 - Google Patents

極細線巻き取り方法

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JP3189431B2
JP3189431B2 JP31110492A JP31110492A JP3189431B2 JP 3189431 B2 JP3189431 B2 JP 3189431B2 JP 31110492 A JP31110492 A JP 31110492A JP 31110492 A JP31110492 A JP 31110492A JP 3189431 B2 JP3189431 B2 JP 3189431B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ICやトランジスタの
回路接続に使用される金,銅,アルミニウム等の極細線
を繰出しスプールから巻取りスプールに巻き替えする極
細線巻き取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に極細線を用いてICやトランジス
タのボンディングを行う場合、極細線の作業中の断線を
検出してボンディングマシンを停止させるために極細線
の一端を接地させることが多い。
【0003】このため、図3に示すように、ボンディン
グ用の巻き取りスプール1に巻き替えされる極細線は、
検出のための接地用のリード巻き部分2と、ボンディン
グ用の本巻き部分3と、さらに巻き取り終了部分である
巻き部分4(テール巻き部分という)とに区別される。
なお符号5及び6は、それぞれ、極細線の巻き始め部分
を巻き取りスプール1に止める巻き始め止めテープと、
極細線の巻き終わり部分を巻き取りスプール1に止める
巻き終わり止めテープを示す。
【0004】また、巻き替えされる極細線に要求される
張力は、ボンディング作業中に最も支障の少ない張力が
線径毎に実験的に決定されているが、微弱であるために
全ての巻数をボンディングに最適な張力で巻き替えする
と、輸送時の振動によって巻きくずれが発生し、支障を
きたすことがある。
【0005】特にリード巻き部分2は、図3に示すよう
に本巻き部分3から離して巻かれるために、線径によっ
て許容されるできるだけ強い張力で巻く必要がある。ま
た、本巻き部分3の巻き終わり部分であるテール巻き部
分4は、輸送時の巻きくずれを防止する目的で巻き終わ
り付近の外層で下層との間で傷が発生しない程度の強い
一様な張力によって巻き締めを行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら基材への
添加物の種類、量により極細線の伸び、強度といった特
性の変化とICの多ピン化に伴う線径の小径化のために
このように張力付与方法、特に最後のテール巻き部分を
1段階で張力を上げる方法では断線が発生しやすく、テ
ール巻き部分での十分な張力付与が不可能であった。そ
のため巻きくずれが発生しやすかった。
【0007】したがって、本発明の目的は、極細線のテ
ール巻き部分に断線を生じさせることなく最適な張力を
効果的に与える極細線巻き取り方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明は、極細線の巻かれた繰り出しスプールか
ら極細線を繰り出して巻き取りスプールに巻き取る極細
線巻き取り方法において、巻き始めのリード巻き部分を
所定の第1張力で巻き、本巻き部分を第1張力より低い
所定の第2張力で巻き、かつ巻き終わりのテール巻き部
分を第2張力から第2張力より高い所定の第3張力まで
複数回段階的に張力を変化させて巻くことを特徴とし、
また、特に前記テール巻き部分をまず所定の第2張力と
所定の第3張力の差の1/4から3/4の張力を第2張
力に加えただけ増大させ、その後第3張力まで複数回段
階的に増大させて巻くことを特徴とする極細線巻き取り
方法を採用するものである。
【0009】
【作用】上記した本発明の極細線巻き取り方法を実施す
れば、テール巻き部分で1段の張力増大ならば断線する
ような大きな張力を段階的に付与することが可能であ
り、結果的に大きな張力で巻き締めることができる。そ
のため、輸送時の振動による巻きくずれを防止できる。
【0010】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は巻き取りスプールの回転数(極細線の巻数)に対
して与える張力を示すグラフの例であり、図2は図1に
記載されているグラフのうち本巻き部分からテール巻き
部分にかけての張力変化の様子を詳しく示したグラフの
例であり、図4は本発明の極細線巻き取り方法を実施す
るために使用する極細線巻き取り装置の全体の構成を概
略的に示す図であり、図5は極細線巻き取り装置で用い
られる制御装置のうち、張力を制御する部分を示す回路
図である。
【0011】最初に、本発明の実施例で使用する極細線
巻き取り装置の全体の構成を示す図である図4を参照す
ると、繰り出しスプール11は繰り出しスプール用モー
タ12によって駆動されて回転させられる。この繰り出
しスプール用モータ12は、詳細には後述する制御装置
17からの回転速度信号により制御され、一方、繰り出
しスプール用モータ12の回転速度は回転速度検出用タ
コゼネレータ13によって検出され、その信号は制御装
置17に送られる。
【0012】繰り出しスプール11から繰り出された極
細線は張力検出器14を経由して巻き取りスプール1に
巻き取られる。張力検出器14によって検出されて発生
された極細線にかかる張力を表す張力信号は、極細線に
所定の張力を与えるように、繰り出しスプール用モータ
12を所定の回転速度で駆動するために制御装置17に
送られて用いられる。
【0013】巻き取りスプール1は巻き取りスプール用
モータ15によって所定の一定の回転速度で回転させら
れる。この巻き取りスプール1の回転数はスプール回転
数検出センサ16によって検出されて、その検出信号は
制御装置17に送られる。
【0014】制御装置17には、その他、リード数設定
器18、巻き締め数設定器19、総巻き数設定器20が
接続されており、これらの設定器によって、それぞれ、
極細線のリード巻き数N1 ,巻き締め数n,総巻き数N
が設定される。
【0015】次に図1,図2,図5を参照して、本発明
の実施例として使用する極細線巻き取り装置の制御装置
17のうちの張力制御装置17aについて説明し、併せ
て本発明の複数回テール巻き部分を張力を上げる方法に
ついて説明する。なお図5は、極細線巻き取り装置の中
から張力制御装置17aに関連する構成を示すものであ
る。
【0016】図1における、極細線のリード巻き張力T
1 は初期張力設定器32によって設定され、張力検出器
14で検出された張力がT1 になるように、演算増幅器
33で比較増幅されて繰り出しモータ制御器34に与え
られて繰り出しスプール用モータ12の回転速度を制御
する。なお、回転速度信号は、タコゼネレータ13によ
って繰り出しモータ制御器34に戻される信号によって
設定した回転速度になるようにフィードバック制御され
る。
【0017】次いで極細線の本巻きに移行して極細線の
本巻き部分と本発明の極細線巻き取り方法の特徴である
テール巻き部分に対する張力を設定するために、張力ス
ケジューラ31が設けられている。この張力スケジュー
ラ31には図2に示すような張力制御を行うための、本
巻き部分の張力T2 、最終的なテール巻き張力T3 、テ
ール巻き部分の張力の段階的変化数K、テール巻き部分
における段階的なそれぞれの張力変化T2 i (i=1
〜K)、T2 i において変化させた張力を維持するそ
れぞれの巻数mi (i=1〜K)があらかじめ設定され
ている。
【0018】張力スケジューラ31で、例えば、本巻き
部分の張力T2 を設定する場合には、リード巻数N1
なされたとき、T1 −T2 の値に相当する信号を発生し
て演算増幅器33の反転入力端子に加え、非反転入力端
子に加えられたT1 から減算してT2 の値の信号を出力
して、繰り出しモータ制御器34にその信号を与えて極
細線の張力をT2 の値に保つように繰り出しスプール用
モータ12を駆動する。
【0019】さらに、テール巻数をnとしてN−nの巻
数に達したときは、張力スケジューラ31で図2に示す
ように、まずT1 −(T2 +T2 1 )の信号を与え
て、極細線のテール巻き部分の最初の設定張力T2 +T
2 1 に保つように制御し、同様にN−n+m1 の巻き
数に達したときは張力がT2 +T2 1 +T2 2 にな
るように制御する。以下同様に
【0020】
【数1】 (j=1〜K−1)の巻き数に達したときは、
【0021】
【数2】 の張力になるように制御し、最終的に張力がT3 になる
まで複数回段階的に張力を変化させる。
【0022】なお、テール巻き部分では巻き締めをより
効率よく行うためにも、できるだけ早く、張力をT2
らT3 に変化させることが望ましい。そのため本巻き部
分の張力T2 からテール巻き部分に移った直後は、極細
線の切断などの支障が起きない程度の張力変化T2 1
を与える。T2 1 の大きさは巻き替えされる極細線の
種類により、本巻き部分の張力T2 とテール巻き部分の
最終張力T3 の張力差|T2 −T3 |の1/4〜3/4
の大きさが適当であり、|T2 −T3 |の1/4未満の
大きさでは巻き締めの効果が少なく、また、|T2 −T
3 |の3/4より大きい大きさでは断線が起こりやすい
ことが実験的に得られている。
【0023】例えば、本発明の極細線巻き取り方法を用
いた実験例を説明すると、20φμmの焼鈍済み金線を
用い、リード巻きを3回、リード巻き張力を3.0g、
本巻き張力を平均2g、巻き締め回数を4回、巻き締め
張力をまず2.9gで1/2回転、以後巻き締め張力を
3.5gまで1/2回転ごとに0.2gずつ3回段階的
に変化させてクロス巻きを行い、トラック輸送による試
験を行ったところ、巻きくずれを発生しなかった。
【0024】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よると、極細線の各部分、特にテール巻き部分に最適の
張力を与えることができ、断線や巻きくずれを防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻き取りスプールの回転数(極細線の巻き数)
に対して与える張力を示すグラフである。
【図2】図1のグラフのうち、特に本巻き部分からテー
ル巻き部分にかけて詳しく示したグラフである。
【図3】極細線の巻き形を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例で使用される極細線巻き取り装
置の全体の構成を概略的に示す図である。
【図5】本発明の実施例で使用される極細線巻き取り装
置の制御装置のうち、張力を制御する部分を示す回路図
である。
【符号の説明】
1 巻き取りスプール 11 繰り出しスプール 12 繰り出しスプール用モータ 13 繰り出しスプール用モータのタコゼネレータ 14 張力検出器 15 巻取りスプール用モータ 16 スプール回転数検出センサ 17 制御装置 18 リード巻数設定器 19 巻き締め数設定器 20 総巻き数設定器 31 張力スケジューラ 32 初期張力設定器 33 演算増幅器 34 繰り出しモータ制御器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 59/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細線の巻かれた繰り出しスプールから極
    細線を繰り出して巻き取りスプールに巻き取る極細線巻
    き取り方法において、巻き始めのリード巻き部分を所定
    の第1張力で巻き、本巻き部分を第1張力より低い所定
    の第2張力で巻き、かつ巻き終わりのテール巻き部分を
    第2張力から第2張力より高い所定の第3張力まで複数
    回段階的に張力を変化させて巻くことを特徴とする極細
    線巻き取り方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の極細線巻き取り方法にお
    いて、前記テール巻き部分をまず所定の第2張力と所定
    の第3張力の差の1/4〜3/4の張力を第2張力に加
    えただけ増大させ、その後第3張力まで複数回段階的に
    張力を増大させて巻くことを特徴とする極細線巻き取り
    方法。
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