JP3188853B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP3188853B2
JP3188853B2 JP08315497A JP8315497A JP3188853B2 JP 3188853 B2 JP3188853 B2 JP 3188853B2 JP 08315497 A JP08315497 A JP 08315497A JP 8315497 A JP8315497 A JP 8315497A JP 3188853 B2 JP3188853 B2 JP 3188853B2
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aqueous electrolyte
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secondary battery
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恒昭 玉地
仁士 吉田
次夫 酒井
謙介 田原
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セイコーインスツルメンツ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオンを
吸蔵放出可能な物質を電極活物質とし、リチウムイオン
導電性の非水溶液を用いる非水電解液二次電池に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、携帯型CD、携帯
電話、PDAやノートパソコンの等の携帯用電子機器の
小型化、軽量化、高性能化が進んでいる。これらの携帯
用電子機器の電源には、高容量かつ重負荷特性の優れた
安全性の高い二次電池が必要とされている。このような
目的に合致した二次電池としてシール鉛蓄電池やニッケ
ル・カドミウム蓄電池が使用されてきたが、よりエネル
ギー密度の高い電池としてニッケル水素蓄電池や非水電
解質二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化に
至っている。
【0003】非水電解質二次電池は電解質として非水溶
媒にリチウム塩を溶解したものを用い、かつ正極活物質
としてリチウムイオンを吸蔵放出可能な一次元鎖状構
造、二次元層状構造、三次元骨格構造、アモルファス構
造等を有する酸化物やカルコゲン化物あるいは導電性ポ
リマー等が公知である。これらの非水電解質二次電池の
負極活物質として金属リチウムや金属リチウムとAl,
Sn,Pb等の他の金属との合金を用いたリチウム二次
電池や負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱挿入でき
る炭素質材料を用いたリチウムイオン二次電池等が提案
されてきた。これらの非水電解質二次電池では電解液に
水を用いないために水の電気分解電圧以上の高電圧の充
放電が可能な電池を設計でき、容易にエネルギー密度を
上げられるという利点がある。
【0004】しかしながら、負極に金属リチウムを用い
た場合は、充放電効率が低く、しかも充放電回数(サイ
クル)寿命が短い欠点がある。この原因は、負極である
リチウムと電解液との反応によるリチウムの劣化による
ところが大きいと考えられている。即ち、放電時にリチ
ウムイオンとして電解液中に溶解したリチウムは充電時
に析出する際に溶媒と反応し、その表面が一部不活性化
される。又、充放電を繰り返していくと、デンドライト
状(樹枝状)のリチウムが発生したり、小球状に析出し
たりリチウムが集電体より脱離するなどの現象が生じ
る。特にデンドライト状に成長したリチウム金属結晶は
セパレーターを突き破り、正負極間の短絡の原因とな
り、安全性の面で実用化の障害になっている。その対策
として、リチウム合金(Al、Al−Mn(US 4,
820,599)、Al−Mg)(特開昭57−989
77)、Al−Sn(特開昭63−6,742)、Al
−In、Al−Cd(特開平1−144,573))を
用いる方法が提案されているが、金属リチウムに比較し
エネルギー密度が小さく、リチウム金属を用いているの
で本質的な解決になっていない。これに対し、二酸化モ
リブデン、二酸化タングステン(ジャーナル・オブ・エ
レクトロケミカル・ソサイアティ、134巻、638
頁、1987年)、二硫化チタン(米国特許4,98
3,476号)などのリチウムイオンをインターカレー
トする物質を負極活物質として使用することが示され
た。これらは、金属リチウムを用いないため安全性は改
善が見込まれたが、充放電サイクルによる性能劣化の大
きいものであった。
【0005】本発明者らはリチウムイオンを吸蔵放出可
能なケイ素、スズや遷移金属等の各種酸化物等を負極活
物質とし、正極活物質として組成がLiabcdで示
される複合酸化物をもちいた非水電解質二次電池を試作
し、高容量の電池を提供しうることを見いだした。(T
はCo、Ni、Mn、Fe、V、W、Nb、およびTi
等の中から選ばれた1種類以上の遷移金属、 Lは周期
律表の3B族および4B族の金属および類金属、アルカ
リ土類金属、Ti、Mn、Cu及びZn等の金属等々か
らの中から選ばれた少なくとも一種以上の元素、a,
b,cはそれぞれ0<a≦1.15、0.8≦b+c≦
1.3、1.7≦d≦2.5である複合酸化物)(特願
平3−253921、同5−162958、同7−15
6547参照) 電池内で電気化学反応に関与する活物質として用いる金
属酸化物は一般的に電子伝導性に乏しいものが多いた
め、電極の集電体と電池活物質粒子の間の電子伝導性を
付与する目的で導電助剤を添加しており、充放電特性の
向上を図っている。電極活物質中に導電助剤の混合比を
高くすると、電子導電性を高めることで電池の内部抵抗
は低減できるが、電池容器内の制限された電極体積中で
は電極活物質の充填量が減少してしまい、電池の放電容
量は低下する。一方、導電助剤の混合比を少なくする
と、電極活物質の充填量を多くできるが電池の内部抵抗
が増大すると同時に充放電に際し電極活物質の利用率が
低減する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電池反応によりリチウ
ムイオンを吸蔵放出する電極を用いるこの種の電池にお
いては、電極活物質がリチウムイオンのインターカレー
ションおよびデインターカレーション又は吸蔵および放
出に伴い、該活物質粒子は膨潤と収縮による体積変化を
繰り返す。この様な体積変化が生じた場合でも電極活物
質と集電材との間に電子伝導性を確保する必要がある。
特に、リチウムイオンを吸蔵放出可能なケイ素、スズや
遷移金属等の各種酸化物等を負極活物質とする場合、従
来リチウム電池の活物質として用いられてきた二酸化マ
ンガン等の材料に比較してリチウムイオンの吸蔵放出に
伴う電極活物質の体積変化が大きいものが多い。この様
な物質を電極活物質に用いた場合において、導電性を確
保し、活物質の利用率を高めることが、高エネルギー密
度で且つサイクル特性に優れた非水二次電池を提供する
ために重要な課題となっている。
【0007】また、結晶性の高い黒鉛や黒鉛質炭素を非
水系電解質の溶媒として一般的に知られる高誘電率を有
するγ−ブチルラクトンやスルホラン、プロピレンカー
ボネートおよびブチレンカーボネートなどの単独溶媒中
で用いた場合、それらの電解質のポテンシャルウインド
ー内で電極の電位を操作していても、1V(vs.Li/L
i + )以下において炭素質材料表面で電解質が分解し、炭
酸ガスや炭化水素類等のガスを発生すると同時に炭素質
材料表面に炭化水素等の被膜が生成するといった問題が
生じる。これらのガス発生等の副反応は組み上げられた
電池の保存時及び使用時に発生し、これらの副反応の軽
減が必要である。
【0008】上記目的を達成するために本発明に係る非
水電解質二次電池は、電極活物質と共に電子導電性を付
与する目的で炭素質材料を備え、前記炭素質材料が結晶
化度が高く異方性の高い炭素質粒子からなり、前記炭素
質材料の比表面積(BET法)が5〜50m 2 /gで、その平
均粒径が1〜50μmの範囲で、X線回折における面間
隔d(002)が0.333〜0.340nmで、結晶子の大きさはc軸
方向(Lc)で40〜500nm、a軸方向(La)で40〜500n
mである天然鱗片状黒鉛または膨張化黒鉛を用いること
である。
【0009】
【発明の実施の形態】炭素質材料としてはその由来が天
然黒鉛または人造黒鉛のいずれも用いることができる。
天然黒鉛は炭素粒子の形状により鱗片状黒鉛、鱗状黒
鉛、土状黒鉛に分類することができ、本発明の炭素質材
料はその中でも鱗片状黒鉛を用いることがより好まし
い。天然黒鉛はまた産地によって若干の物性の違いを生
じるが、それに限定されるものではない。例えば鱗片状
黒鉛の場合は中国、マダガスカル、北朝鮮、ブラジル、
インド、ソ連、ジンバブエ、インド等が挙げられる。こ
れらの産地の材料を浮遊選考や分級等の物理処理、酸あ
るいは塩基による化学処理等の管理がなされることで、
産地に特定されることなく使用することができる。
【0010】炭素質材料として人造黒鉛を用いる場合は
その出発原料として石油コークス、ピッチコークス、メ
タン、プロパン、ベンゼン、アセチレンなどの炭化水
素、セルロース、ポリアクリロトリル(PAN)、ピッ
チ系繊維などを用い、それらを1200℃〜3000℃で熱分解
することで得られたものがよく、より好ましくは2500℃
〜3000℃の黒鉛化温度で処理することが好ましい。人造
黒鉛の中でリチウムイオン電池の負極でリチウムインタ
ーカレーションを目的として用いられるセルロースカー
ボン(cellulose carbon)、ポリマーカーボン(polym
er Carbon)、グラッシーカーボン(gulassy carbo
n)、ビトロカーボン(vitro carbon)などのガラス状
硬質炭素、ピッチ類の液相炭化過程において生成したメ
ソフューズ微小球体を黒鉛化したもの、メソフェーズ系
炭素繊維やその粉末はその炭素質材料を膨張化処理でき
ない限り、本発明に使用することは適さない。ここで膨
張化処理とは、強酸を用いてCIC(カーボン層間化合
物)を反応中間体とし、急激な熱衝撃を加えることによ
って、このCICの結晶層間または粒界を劈開すること
を意味する。CICの作製には2M/L程度の濃硫酸を
用いることが好ましく、熱衝撃の加熱温度は600〜1200
℃が好ましく、より好ましくは800〜1000℃が好まし
い。
【0011】この炭素質材料の平均粒径(D50%)は
1〜50μmのものを使用することが好ましい。その粒
度分布が、D10%=2.0〜5.0μm、D50%=4.5〜1
5μm、D90%=10〜40μmの範囲のもの使用するこ
とがより好ましい。ここで、粒度分布は体積による積算
分布で示す。例えば、D10%=1〜10μmとは炭素
質材料の粒子の粒度分布が積算体積が全体の10%とな
る粒径が1μm〜10μmの範囲にあることを示す。粒
度分布は原料となる炭素質材料の粉砕と分級の条件によ
って規定される。原料の種類が異なる炭素質材料を複数
組み合わせることで、上記の粒度分布を有する炭素質材
料を作製しても良い。また、粒度分布の形状は一山の正
規分布していることが電極を作製する際に電極を構成す
る物質の分散性を高め均一作製できることからより好
ましいが、分布の形状および山の数についてはそれに限
定するものではない。一般に知られている平均粒径はこ
こで言うD50%のことであり、D50%が1μm以下
のものは粒径が小さなものが多く含まれており、電極成
型時の成形性が悪く、充填性が低くなり、単位体積当り
のエネルギー密度が低くなり、好ましくない。また、D
50%が50μm以上のものは粒径が大きなものが多く
含まれており、電極活物質と接触性が低下し、好ましく
ない。粒度分布はレーザー光散乱方式またはレーザー光
回折方式を単機能または組み合わせた粒径分布測定装置
などを使用することができる。
【0012】本発明における炭素質材料は活物質に電子
伝導性を付与することが目的である。炭素質材料は一般
に六角形に配列した炭素原子が層内では強固な共有結合
をし、層間では弱いファン・デル・ワールス結合によっ
て重なり合った層格子構造(六角網面構造)を形成して
いる。炭素質材料の電子伝導性はファン・デル・ワール
ス結合を形成するπ電子に基づくとされ、六角網面の層
間距離は炭素質材料の物性を示すファクターの1つであ
る。ここで、本発明で選ばれる炭素質材料はケイ素、ス
ズや遷移金属等の各種酸化物等や組成がLiabcd
で示される複合酸化物等へのリチウムイオンの吸蔵およ
び放出またはリチウムインターカレーションまたはデイ
ンターカレーションが優先して進行でき、それらの反応
を妨げるものであってはならない。例えば、炭素質材料
にリチウムイオンをインターカレーションを行おうとす
る場合、炭素材料にインターカレーションする電位がケ
イ素、スズや遷移金属等の各種酸化物等へのリチウムイ
オンの吸蔵またはインターカレーションを生じる電位よ
りも貴な方向に存在することは好ましくない。そのた
め、リチウムイオンのイオン半径よりも炭素質材料のX
線回折における面間隔d(002)が狭い必要があり、面間
隔d(002)は0.333〜0.365nmしている範囲に分布してお
り、より好ましくは0.333〜0.340nmの範囲に分布してい
るものがよい。
【0013】炭素質材料は幾層もの六角網面が積み重な
った結晶構造をしており、その六角網面の積層方向をc
軸、六角網面の広がり方向をa軸とした場合、結晶子の
大きさはそれぞれLc、Laと呼ばれる。炭素質材料の
結晶子が発達するに従いその結晶子径(Lc,La)の
値は大きくなる反面、電子伝導などの物性は異方性が顕
著なものとなる。
【0014】そのため、本発明でもちいる炭素質材料の
c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が40〜500nmの範囲であ
ることが好ましく、より好ましくは50〜200nmに分布
しているものがよい。また、a軸方向の結晶子の大きさ
(La)が40〜500nmの範囲であることが好ましく、より
好ましくは45〜200nmに分布しているものがよい。一
般に炭素質材料材料の比表面積は黒鉛化の程度や製法材
料により異なり、BET法による比表面積は0.1〜約1500m
2/gである。特に、ファーネスブラック、チャンネル
ブラック、サーマルブラック、ランプブラックで分類さ
れる カ−ボンブラック類は特異な粒子形状により比表面積が
大きい。比表面積は用いる炭素質材料の種類によっても
異なるが、同一炭素質材料であっても粉砕工程を経た後
の粒径の分布の度合いによっても異なる。本発明でもち
いる炭素質材料は比表面積(BET法)が5〜50m2/gに
分布していることが好ましく、より好ましくは10〜3
5m2/gに分布しているものがよい。比表面積が5m2
/gより小さい粒子を用いる場合は電極活物質との接触
が乏しくなるためと推定されるが、電極の抵抗が大きく
電流を取り出しにくいため好ましくない。また、比表面
積が50m2/gより大きい粒子を用いる場合電極成型
時の成形性が悪く、充填性が低くなり、単位体積辺りの
エネルギー密度が低くなり、好ましくない。ここで、比
表面積は液体窒素により冷却した試料表面に吸着する窒
素分子量から算出する方法(BET法)により測定した。
【0015】炭素質材料は結晶粒界における脂肪族鎖や
層面周辺に位置する共有状態にない未組成炭素あるいは
異種原子との結合が存在する場合もある。それらの未組
成炭素や異種原子は電解液との副反応を引き起こす一因
と考えられる。それらを除去するため、本発明でもちい
る炭素質材料は酸・塩基または加熱処理したものを用い
ることが望ましい。それらの処理は単独あるいは併用す
ることができ、膨張化処理も含まれる。本発明の炭素質
材料は天然黒鉛または人造黒鉛であっても熱膨張化処理
することがより好ましい。
【0016】本発明に用いられる正極活物質の具体例と
しては、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物や遷移金属
カルコゲン(硫化鉄、二硫化チタン、二硫化モリブデ
ン、三硫化ニオブなど)などの無機化合物、ポリアセチ
レン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、
ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの共
役系高分子、ジスルフィド結合を有する架橋高分子、塩
化チオニル、およびグラファイト層間化合物など、通常
の二次電池において用いられる正極を挙げることができ
る。これらの中で、リチウム含有遷移金属酸化物が好ま
しい。本発明で用いられる好ましいリチウム含有遷移金
属酸化物は組成式Liabc2で表すことができ、L
i量aは加熱合成においては定比組成a=1が標準であ
るが、±15%程度の不定比組成も可能であり、又、電
気化学的なインターカレーション、デインターカレーシ
ョン等により0<a≦1.15が可能である。遷移金属
TとしてはCo,Ni,Fe,Mn,Cr,V等が好ま
しく、特にCo,Niが充放電特性が優れており好まし
い。ホウ素及び/又はケイ素の量c及び遷移金属Tの量
bとしては、0<cかつ0.85≦b+c≦1.3にお
いて充放電時の分極(内部抵抗)の低減、サイクル特性
向上等への効果が顕著であり好ましい。一方、各サイク
ル毎の充放電容量は、ホウ素及び/又はケイ素の量cが
多過ぎると逆に低下し、0<c≦0.5において最大と
なるため、この範囲が特に好ましい。
【0017】本発明で用いられる複合酸化物Liab
c2は次のようにして合成することが出来る。即ち、リ
チウムLi、遷移金属T及び元素Lの各単体または各々
の酸化物、水酸化物あるいは炭酸塩、硝酸塩などの塩を
所定比で混合し、空気中または酸素を有する雰囲気中6
00゜C以上の温度、好ましくは700〜900゜Cの
温度で加熱焼成することに依って得られる。Li、T及
びL等の供給源としてそれらの酸化物、または、酸素を
有する化合物を用いる場合には、不活性雰囲気中で加熱
合成することも可能である。加熱時間は、通常4〜50
時間で十分であるが、合成反応を促進し、均一性を高め
るため、焼成、冷却、粉砕混合のプロセスを数回繰り返
すことが有効である。
【0018】本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイ
ズは、500μm以下が好ましく、より好ましくは10
0μm以下、特に50〜0.1μmが良い。活物質の形
態は、平均粒径0.1ミクロン以上2.5ミクロン以下
の一次粒子が集合して成る平均粒径1ミクロン以上20
ミクロン以下の一次粒子集合体からなることが好まし
く、特に好ましくは、平均粒径0.1ミクロン以上2.
5ミクロン以下の一次粒子が集合して成る平均粒径3.
5ミクロン以上9.5ミクロン以下の一次粒子集合体か
らなることが好ましい。更に、上記一次粒子集合体にお
いて全体積の80%以上が粒径1ミクロン以上15ミク
ロン以下であることが好ましく、更に好ましくは全体積
の85%以上であり、更に好ましく全体積の90%以上
である。比表面積は0.05〜100m2/gが好まし
く、より好ましくは0.1〜50m2/g、特に0.1
〜30m2/gが良い。
【0019】また、本発明の正極活物質は2種類以上を
混合して用いることもできる。使用する電圧範囲を変え
たり、容量の残量を電圧により検出する場合に応用でき
る。この種の電池の負極活物質としてはリチウムイオン
を吸蔵放出可能な周期律表の」B、、Bおよび遷移金属か
ら選ばれる一種以上の元素の合金または酸化物が好まし
く、特にケイ素の酸化物が好ましい。ケイ素の酸化物は
組成式LixSiOyで表され、リチウム含有量xと酸素
量yがそれぞれ1.5≦x≦4、0<y<2であるリチ
ウム含有ケイ素酸化物から成るリチウムイオン吸蔵放出
可能物質を用いることができる。即ち、その結晶構造中
または非晶質構造内にリチウムを含有し、非水電解質中
で電気化学反応によりリチウムイオンを吸蔵及び放出可
能なケイ素の酸化物であって、ケイ素原子数に対するリ
チウム原子数の比であるxが1.5以上且つ4.0以下
であり、且つケイ素原子数に対する酸素原子数の比であ
るyが0より大きく且つ2より小さい組成を有する複合
酸化物を用いる。この複合酸化物中でのリチウムの状態
は主としてイオンであることが好ましいが必ずしも限定
はされない。
【0020】本発明電池の負極活物質として用いられる
該リチウム含有ケイ素酸化物LixSiOy(但し、1.
5≦x≦4、0<y<2)の好ましい製造方法として
は、下記の2種類の方法が上げられるが、これらに限定
はされない。第一の方法は、ケイ素とリチウムの各々の
単体又はそれらの化合物を所定のモル比で混合し又は混
合しながら、不活性雰囲気中や真空中等の非酸化性雰囲
気中又はケイ素とリチウムが所定の酸化数と成るように
酸素量を制御した雰囲気中で熱処理してケイ素とリチウ
ムの複合酸化物とする方法である。出発原料となるケイ
素及びリチウムのそれぞれの化合物としては、各々の酸
化物、水酸化物、あるいは炭酸塩、硝酸塩等の塩あるい
は有機化合物等々の様な、各々を非酸化性雰囲気中で熱
処理することにより各々の酸化物を生成する化合物が好
ましい。これらの出発原料の混合方法としては、各原料
の粉末を直接乾式混合する方法の他、これらの原料を
水、アルコールやその他の溶媒に溶解もしくは分散し、
溶液中で均一に混合又は反応させた後、乾燥する方法、
これらの原料を加熱や電磁波、光等によりアトマイズ又
はイオン化し、同時にもしくは交互に蒸着又は析出させ
る方法等々の種々の方法が可能である。この様にして原
料を混合した後、又は混合しながら行う熱処理の温度
は、出発原料や熱処理雰囲気によっても異なるが、40
0゜C以上で合成が可能であり、好ましくは600゜C
以上の温度がよい。一方、不活性雰囲気中や真空中等で
は800゜C以上の温度でケイ素と4価のケイ素酸化物
に不均化反応する場合があるため、そのような場合には
600〜800゜Cの温度が好ましい。
【0021】これらの出発原料の組合せの中で、リチウ
ムの供給原料として酸化リチウムLi2O、水酸化リチ
ウムLiOH、Li2CO3又はLiNO3等の塩やそれ
らの水和物等々の様な熱処理により酸化リチウムを生成
するリチウム化合物を用い、ケイ素の供給源としてケイ
素単体もしくはケイ素の低級酸化物SiOy’(但し、
0<y’<2)を用いる場合には、それらの混合物を不
活性雰囲気中または真空中等の様な酸素を断った雰囲気
中で熱処理することによって合成することが出来、熱処
理雰囲気中の酸素量もしくは酸素分圧等の制御がし易く
製造が容易であり特に好ましい。
【0022】又、出発原料にケイ素の化合物として水素
を有する各種のケイ酸を用いた場合やリチウム化合物と
して水酸化リチウム等を用いた場合には、加熱処理によ
り水素が完全には脱離せず、熱処理後の生成物中に一部
残り、リチウムと水素が共存することも可能であり、本
発明に含まれる。更に、リチウムもしくはその化合物及
びケイ素もしくはその化合物と共に、ナトリウム、カリ
ウム、ルビジウム等の他のアルカリ金属、マグネシウ
ム、カルシウム等のアルカリ土類金属及び/又は鉄、ニ
ッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、ニ
オブ、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、スズ、
鉛、アルミニウム、インジウム、ビスマス、ガリウム、
ゲルマニウム、炭素、ホウ素、窒素、リン等々のその他
の金属または非金属元素の単体もしくはそれらの化合物
等をも加えて混合し加熱処理することにより、これらの
リチウム以外の金属もしくは非金属をリチウム及びケイ
素と共存させることもでき、これらの場合も本発明に含
まれる。
【0023】この様にして得られたリチウム含有ケイ素
酸化物は、これをそのままもしくは必要により粉砕整粒
や造粒等の加工を施した後に負極活物質として用いるこ
とが出来る。又、下記の第二の方法と同様に、このリチ
ウム含有ケイ素酸化物とリチウムもしくはリチウムを含
有する物質との電気化学的反応に依り、このリチウム含
有ケイ素酸化物に更にリチウムイオンを吸蔵させるか、
又は逆にこの複合酸化物からリチウムイオンを放出させ
ることにより、リチウム含有量を増加又は減少させたも
のを負極活物質として用いても良い。
【0024】第二の方法は、予め、リチウムを含有しな
いケイ素の低級酸化物SiOy(但し、2>y>0)を
合成し、得られたケイ素の低級酸化物SiOyとリチウ
ムもしくはリチウムを含有する物質との電気化学的反応
に依り、該ケイ素の低級酸化物SiOyにリチウムイオ
ンを吸蔵させて、リチウムを含有するケイ素の低級酸化
物LixSiOyを得る方法である。この様なケイ素の低
級酸化物SiOyとしては、SiO1.5(Si23)、S
iO1.33(Si34)、SiO及びSiO0.5(Si
2O)等々の化学量論組成のものの他、yが0より大き
く2未満の任意の組成のものでよい。又、これらのケイ
素の低級酸化物SiOyは、下記のような種々の公知の
方法に依り製造することが出来る。即ち、(1)二酸化
ケイ素SiO2とケイ素Siとを所定のモル比で混合し
非酸化性雰囲気中又は真空中で加熱する方法、(2)二
酸化ケイ素SiO2を水素H2等の還元性ガス中で加熱し
て所定量還元する方法、(3)二酸化ケイ素SiO2
所定量の炭素Cや金属等と混合し、加熱して所定量還元
する方法、(4)ケイ素Siを酸素ガス又は酸化物と加
熱して所定量酸化する方法、(5)シランSiH4等の
ケイ素化合物ガスと酸素O2の混合ガスを加熱反応又は
プラズマ分解反応させるCVD法又はプラズマCVD法
等々である。
【0025】又、該ケイ素の低級酸化物SiOyには、
ケイ素と共に、水素やナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のア
ルカリ土類金属及び/又は鉄、ニッケル、コバルト、マ
ンガン、バナジウム、チタン、ニオブ、タングステン、
モリブデン、銅、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、イン
ジウム、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、炭素、ホ
ウ素、窒素、リン等々のその他の金属または非金属元素
を含有させることもでき、これらの場合も本発明に含ま
れる。
【0026】このケイ素の低級酸化物SiOyへの電気
化学的反応に依るリチウムイオンの吸蔵は、電池組立後
電池内で、又は電池製造工程の途上において電池内もし
くは電池外で行うことが出来、具体的には次の様にして
行うことが出来る。即ち、(1)該ケイ素の低級酸化物
又はそれらと導電剤及び結着剤等との混合合剤を所定形
状に成形したものを一方の電極(作用極)とし、金属リ
チウム又はリチウムを含有する物質をもう一方の電極
(対極)としてリチウムイオン導電性の非水電解質に接
して両電極を対向させて電気化学セルを構成し、作用極
がカソード反応をする方向に適当な電流で通電し電気化
学的にリチウムイオンを該ケイ素の低級酸化物に吸蔵さ
せる。得られた該作用極をそのまま負極として又は負極
を構成する負極活物質として用いて非水電解質二次電池
を構成する。(2)該ケイ素の低級酸化物又はそれらと
導電剤及び結着剤等との混合合剤を所定形状に成形し、
これにリチウムもしくはリチウムの合金等を圧着しても
しくは接触させて積層電極としたものを負極として非水
電解質二次電池に組み込む。電池内でこの積層電極が電
解質に触れることにより一種の局部電池を形成し、自己
放電し電気化学的にリチウムが該ケイ素の低級酸化物に
吸蔵される方法。(3)該ケイ素の低級酸化物を負極活
物質とし、リチウムを含有しリチウムイオンを吸蔵放出
可能な物質を正極活物質として用いた非水電解質二次電
池を構成する。電池として使用時に充電を行うことによ
り正極から放出されたリチウムイオンが該ケイ素の低級
酸化物に吸蔵される方法。
【0027】本発明における電極構成要素の配合比は各
電極の総重量にたいして電極活物質として30〜95重量
%、導電助剤として用いる炭素質材料はとして1〜70
重量%とする。混合比は活物質のリチウムイオンの吸蔵
放出の体積変化、電気伝導度、電極形状等により異な
る。電極活物質の組成がLiaTbLcdで示される複
合酸化物や二酸化マンガン等の遷移金属酸化物とした場
合は電極活物質として75〜95重量%、炭素質材料と
して2〜15重量%の範囲で用いることがより好まし
い。また、ケイ素、スズや遷移金属等の各種酸化物等を
電極活物質とした場合、電極活物質は30〜70重量
%、炭素質材料は70〜30重量%がより好ましい。結
着剤は、電解液に不溶のものが好ましいが特に限定され
るもではなく、多糖類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
ゴム弾性を有するポリマーなどを1種またはこれらの混
合物や共重合体として用いることができる。
【0028】例えばデンプン系のデンプン、化工デンプ
ン、デキストリン、セルロース系のメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロー
ス、ジアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス(CMC)、天然物でゴム系のアラビアゴム、トラガ
ントゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、グアー
ゴム等があげられる。合成樹脂系のポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルア
ミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリド
ン、酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ポリマー、エチレ
ン−プロピレン−ジエン−三元共重合体(EPDM)、
スルフォン化EPDM、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオ
キシド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等
を用いることができる。また、テフロン系ポリマーとし
てポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフ
ルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオ
ロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフ
ルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポ
リビニルフルオライド(PVF)、ポリビニリデンフル
オライド(PVdF)のようなフッ素樹脂のディスパー
ジョンや樹脂の溶液を用いることが出来る。フッ素樹脂
は電解液に対して安定であり、耐熱性も優れていて好ま
しい。フッ素樹脂の中でも唯一溶液にすることが可能な
PVdFは、合剤スラリーを集電体上に塗布するような
電極の製造工程において、塗布性が良好であるため好ま
しい。また、水溶性の結着剤はその取り扱いが簡便であ
ることから好ましく、アクリル酸ポリマー、架橋型アク
リル酸ポリマーやCMC等を用いることが好ましい。特
に架橋型アクリル酸ポリマー中のカルボキシル基含量が
50〜70%であることが好ましい。
【0029】結着剤の添加量は、特に限定されないが、
1〜50重量%が好ましい。特に、リチウムの吸蔵量が
大きい活物質に用いる場合は充放電により構造変化や体
積変化を伴うため多めの5〜40重量%が好ましい。本
発明の電極合剤の中に以下に示す方法で電極成形する場
合、電極成形後の強度を保持する目的で補強剤を混合ま
たは分散して用いることができる。補強剤としては構成
された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料
であれば何でも用いることができる。繊維状材料は電子
導電性が高い方が好ましいが、特に限定するものではな
い。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフ
ィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維を用いること
が有効である。繊維の大きさとしては、長さが0.1〜
4mm、太さが0.1〜50デニールが好ましい。特
に、1〜3mm、1〜6デニールが好ましい。補強剤の
添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好まし
い。
【0030】電極形状は、目的とする電池により、板
状、フィルム状、円柱状、あるいは、金属箔上に成形す
るなど、種々の形状をとることが出来る。電池の形状が
コインやボタンのときは、正極活物質や負極活物質の合
剤はペレットの形状に圧縮されて主に用いられる。ま
た、薄型のコインやボタンのときは、シート状に成形し
た電極を打ち抜いて用いてもよい。そのペレットの厚み
や直径は電池の大きさにより決められる。また、電池の
形状がシート、シリンダー、角のとき、正極や負極の電
極活物質と導電助剤と結着剤を混合し、水または非水溶
剤を加え分散させてスラリー状にした電極極合剤を集電
体上に何らかの方法で塗布して、乾燥、圧縮して、主に
用いることが有効である。電極の製法は、乾燥させ、圧
縮し、所定の大きさに成形することで電極を作製するこ
とができる。集電体上に電極合剤を塗布する方法はスピ
ンコート法、ドクターブレード法、リバースロール法、
ダイレクトロール法、ディップ法、スクイーズ法、エク
ストルージョン法、カーテン法、バー法、ナイフ法等々
の方法を例としてあげられるが、それらに限定するもの
ではない。そのコート厚み、長さや巾は、電池の大きさ
により決められるが、コートの厚みは、乾燥後の圧縮さ
れた状態で、1〜2000μmが特に好ましい。
【0031】ペレットやシートのプレス法は、一般に採
用されている方法を用いることができるが、特に金型プ
レス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、
特に限定されないが、0.2〜3t/cm2が好ましい。
カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/
分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好まし
い。
【0032】電極を乾燥させる場合の乾燥法は温風を用
いることが好ましいが、遠赤外領域もふくむ赤外線や低
湿度風、遠心力や真空を単独又は組み合わせて利用して
もよい。かつそれに限定されるものでない また、電極活物質の表面を改質することができる。例え
ば、金属酸化物の表面をエステル化剤により処理(特開
昭55−163,779)したり、キレ−ト化剤で処理
(特開昭55−163,780)、導電性高分子(特開
昭58−163,188、同59−14,274)、ポ
リエチレンオキサイドなど(特開昭60−97,56
1)により処理することが挙げられる。また、負極活物
質の表面を改質することもできる。例えば、イオン導電
性ポリマ−やポリアセチレン層を設ける(特開昭58−
111,276)、あるいはLiCl(特開昭58−1
42,771)などにより処理することが挙げられる。
【0033】正極と負極を隔離するものとして各電極の
間にはセパレーターを用いる。該セパレーターは、電解
液或は電極活物質等に対し、耐久性のある微孔を有する
電子伝導性のない多孔体であり、ポリエチレン或はポリ
プロピレン等の材料を単独に用いるかまたは混織する
か、またはどちらか一方の材料上に他の材料をコートし
た状態で用いた布、不織布或は多孔体を用いることが有
効である。セパレーターの孔径は、一般に電池用として
用いられる範囲が有効である。例えば、0.01〜10
μmを用いることが有効である。セパレターの厚みは、
一般に電池用の範囲で用いられる例えば、5〜300μ
mを用いることが有効である。セパレータは電池ケース
内に実用上問題が生じないように固定される。また、安
全対策とし温度によりイオン透過性を変化させるセパレ
ーターを用いることも有効である。
【0034】また、後述する高分子固体電解質や無機固
体電解質等がセパレーターの機能を兼ねる場合も含まれ
る。高分子固体電解質は室温で必ずしも固体状態である
ことに限定されず、ゴム状やゲル状であっても良い。上
述のポリマー材料と高分子固体電解質や無機固体電解質
を併せて用いても良い。電解液溶媒には複素環式化合物
類や鎖状エーテル類、グリコールエーテル類、鎖状カー
ボネート類に代表される非プロトン性の極性溶媒やその
他の有機溶媒を単独または複数種を同時に混合してを用
いることが有効である。特に、高誘電率を有する環状炭
酸エステルを選択する場合は単独の使用は避け、数種類
の溶媒を組み合わせて用いることがよい。
【0035】ここで、複素環式化合物類とはテトラヒド
ロフラン(THF)、アルキルテトラヒドロフラン、ジ
アルキルアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテト
ラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、2
−メチルテトラヒドロフラン、2−メチルヒドロフラ
ン、1、3ジオキソラン、アルキル‐1,3‐ジオキソ
ラン、1,4‐ジオキソラン、γ-ブチロラクトン(G
BL)、2メチル‐γ‐ブチロラクトン、アセチル‐γ
‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、エチレンカー
ボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、
ブチレンカーボネート(BC)、スルホラン、ビニレン
カーボネート、3−メチルスルホラン、N−メチルピロ
リドン、チオフェン等が上げられる。鎖状エーテル類と
は、1、2−ジメトキシエタン(DME)、1、2−エ
トキシメトキシエタン、メチルジグライム、メチルトリ
グライム、メチルテトラグライム、エチルグライム、エ
チルジグライム、ブチルジグライム等が上げられる。グ
リコールエーテル類とは、エチルセロソルブ、エチルカ
ルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等
が上げられる。鎖状カーボネート類としてジメチルカー
ボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DE
C)、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネ
ート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカー
ボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルブ
チルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチ
ルプロピルカーボネート等が上げられる。その他、ジメ
チルサルファイト、メチルフォーメイト、ヘキサメチル
リン酸トリアミド、アセトニトリル、ジメチルホルムア
ミド、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等
極性の有無、強弱にとらわれず有機溶媒を用いることが
できる。
【0036】溶媒の還元分解反応を抑える観点から、炭
酸ガス(CO2)を溶解した電解液を用いると、容量と
サイクル寿命の向上に効果的である。前記溶媒(非水溶
媒)中に存在する主な不純物としては、水分と、有機過
酸化物(例えばグリコール類、アルコール類、カルボン
酸類)などが挙げられる。前記各不純物は、黒鉛化物の
表面に絶縁性の被膜を形成し、電極の界面抵抗を増大さ
せるものと考えられる。したがって、サイクル寿命や容
量の低下に影響を与える恐れがある。また高温(60℃
以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐れがある。このよ
うなことから、非水溶媒を含む電解液においては前記不
純物はできるだけ低減されることが好ましい。具体的に
は、水分は50ppm以下、有機過酸化物は1000p
pm以下であることが好ましい支持塩としては過塩素酸
リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム
(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六
フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメ
タスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフ
ルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF
3SO22 ]、チオシアン塩、アルミニウムフッ化塩
などのリチウム塩(電解質)などの1種以上の塩を用い
ることができる。非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜
3.0モル/Lとすることが望ましい。
【0037】また、電解液の他に次の様な固体電解質も
用いることができる。固体電解質としては、無機固体電
解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質に
は、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく
知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5
2 、Li3 N−LiI−LiOH、LiSiO4 、L
iSiO4 −LiI−LiOH(特開昭49−81,8
99)、xLi3PO4−(1−x)Li4 SiO4 (特
開昭59−60,866)、Li2 SiS3 (特開昭6
0−501,731)、硫化リン化合物(特開昭62−
82,665)、や電解液に含まれる電解質としては、
アルカリ金属、特にリチウムのハロゲン化物、過塩素酸
塩、チオシアン塩、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素
フッ化塩、アルミニウムフッ化塩、トリフルオロメチル
硫酸塩などが有効である。
【0038】有機固体電解質では、ポリエチレンオキサ
イド誘導体が該誘導体を含むポリマ−(特開昭63−1
35,447)、ポリプロピレンオキサイド誘導体か該
誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー
(特開昭62−254,302、同62−254,30
3、同63−193,954)、イオン解離基を含むポ
リマーと上記非プロトン性電解液の混合物(米国特許
4,792,504、同4,830,939、特開昭6
2−22,375、同62−22,376、同63−2
2,375、同63−22,776、特開平1−95,
117)、リン酸エステルポリマー(特開昭61−25
6,573)、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分
子マトリックス材料(米国特許4,822,701、同
4,830,939、特開昭63−239,779、特
願平2−30,318、同2−78,531)が有効で
ある。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加す
る方法もある(特開昭62−278,774)。また、
無機と有機固体電解質を併用する方法(特開昭60−
1,768)も知られている。
【0039】また、放電や充電特性を改良する目的で、
添加物を加えてもよい。活物質に直接添加してもよい
が、電解液に添加する方法がもっとも一般的である。例
えば、トルエン、ピリジン(特開昭49−108,52
5)、トリエチルフォスファイト(特開昭47−4,3
76)、トリエタノールアミン(特開昭52−72,4
25)、環状エーテル(特開昭57−152,68
4)、エチレンジアミン(特開昭58−87,77
7)、n−グライム(特開昭58−87,778)、ヘ
キサリン酸トリアミド(特開昭58−87,779)、
ニトロベンゼン誘導体(特開昭58−214,28
1)、硫黄(特開昭59−8,280)、キノンイミン
染料(特開昭59−68,184)、N−置換オキサゾ
リジノンとN,N’−置換イミダゾリジノン(特開昭5
9−154,778)、エチレングリコールジアルキル
エーテル(特開昭59−205,167)、四級アンモ
ニウム塩(特開昭60−30,065)、ポリエチレン
グリコール(特開昭60−41,773)、ピロール
(特開昭60−79,677)、2−メトキシエタノー
ル(特開昭60−89,075)、AlCl 3 (特開昭
61−88,466)、導電性ポリマー電極活物質のモ
ノマー(特開昭61−161,673)、トリエチレン
ホスホルアミド(特開昭61−208,758)、トリ
アルキルホスフィン(特開昭62−80,976)、モ
ルフォリン(特開昭62−80,977)、カルボニル
基を持つアリール化合物(特開昭62−86,67
3)、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アル
キルモルフォリン(特開昭62−217,575)、二
環性の三級アミン(特開昭62−217,578)、オ
イル(特開昭62−287,580)、四級ホスホニウ
ム塩(特開昭63−121,268)、三級スルホニウ
ム塩(特開昭63−121,269)などを利用するこ
とができる。
【0040】また、電解液を不燃性にするために含ハロ
ゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを
電解液に含ませることができる(特開昭48−36,6
32)。また、高温保存に適性をもたせるために電解液
に炭酸ガスを含ませることができる。(特開昭59−1
34,567)また、正極や負極の合剤には電解液ある
いは電解質を含ませることができる。例えば、前記イオ
ン導電性ポリマ−やニトロメタン(特開昭48−36,
633)、電解液(特開昭57−124,870)を含
ませる方法が知られている。
【0041】電解質は上記に示す各種支持塩を少なくと
も1種以上含有し、各種溶媒または固体電解質の単体又
は混合したもので構成されることが好ましいが、特に限
定さるものではない。電解液の溶媒としては高誘電率を
有する環状炭酸エステルを含有していることが好まし
く、炭酸エステルは1種以上組み合わせて用いることが
より好ましい。炭酸エステルを用いる場合、その成分は
全溶媒中の35〜65体積%であることがより好まし
い。電解液溶媒として環状の炭酸エステルと鎖状エーテ
ルを同時に含有することがさらに好ましい。この場合
に、低温時においても充放電特性が優れ、サイクル寿命
の長く、大電流の取り出しやすい電池が得られるので、
更に好ましい。
【0042】電解液の注入は、全量を一回で行ってもよ
いが、2回以上の複数に分けて行うことが好ましい。ま
た、2回以上に分けて電解液を注入する場合それぞれの
電解液の組成を替えても良いが、同一の電解液を用いる
ことが好ましい。電極活物質の集電体としては、電気抵
抗の小さい金属板または金属箔を用いることが好まし
い。例えば、正極には、通常のステンレス鋼、ニッケ
ル、アルミニウム、金、白金、焼成炭素などの他に、多
孔質の発泡金属(特開昭59−18,578)、チタン
(特開昭59−68,189)、エキスパンドメタル
(特開昭61−264,686)、パンチドメタル、ア
ルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケ
ル、チタンあるいは銀を処理させたものを用いることが
できる。ステンレス鋼は二相ステンレスが腐食に対して
有効である。コイン、ボタン電池の場合は電池の外部に
なる方にニッケルめっきすることが有効である。処理の
方法としては、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PV
D、圧着によるクラッド化、塗布等がある。負極には、
通常のステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニ
ウム、タングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、
多孔質ニッケル(特開昭58−18,883)、多孔質
アルミニウム(特開昭58−38,466)、アルミニ
ウム焼結体(特開昭59−130,074)、アルミニ
ウム繊維群の成形体(特開昭59−148,277)、
銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケルあるいは
チタンを処理させたもの、ステンレス鋼の表面を銀メッ
キ(特開昭60−41,761)、フェノール樹脂焼成
体などの焼成炭素質材料(特開昭60−112,25
4)、Al−Cd合金(特開昭60−211,77
9)、多孔質の発泡金属(特開昭61−74,268)
などを用いることが有効である。処理の方法としては、
湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着による
クラッド化、塗布等がある。
【0043】これらの材料の表面を酸化することもある
が、防錆処理としてベンゾトリアゾール、トリアジンチ
オール、アルキルチオール、フッ素系発水剤、シリコン
系発水剤等を用いることが有効である。形状として、フ
ォイルの他、コインボタン電池の缶、フィルム、シー
ト、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発
泡体、繊維群の成形体などを用いることができる。厚み
は、特に限定されない。コインボタン電池の缶の場合、
基板に実装するため端子を抵抗溶接、レーザー溶接等に
より取り付けることも行われる。端子の材料としてはス
テンレス鋼、ステンレス・ニッケルクラッド材、ステン
レス鋼にニッケルや金のめっきを施したもの等があり、
金属であれば特に限定されるものではない。
【0044】電極の作製工程において、集電体と電極材
の密着性を向上させるために、あらかじめ集電体の表面
の全面または一部をサンドブラスト等や表面を粗くする
ために特別に加工したプレスによるプレス加工による処
理、電子ビームやイオンビームやそれ以外の光子等を用
いたスパッタリングやイオンの打ち込み加工や処理、ま
たは、酸や塩基等の化学薬品を用いた化学処理を施して
あっても良く、特に集電体を圧延で作製する場合は特に
上記のような表面を得る様に製造されることが好まし
い。
【0045】ペレット状の電極の場合は、集電体と電極
ペレットの間に塗布し電極を固定することも可能であ
る。この場合の導電性の接着剤としては、溶剤に溶かし
た樹脂に炭素や金属の粉末や繊維を添加したものや導電
性高分子を溶解したもの等を用いることが有効である。
ペレット状の電極の場合に限らずシート状の場合におい
ても、集電体と電極を物理的に接着するというよりは、
電気的に接続する目的で用いることもできる。
【0046】本発明をコイン、ボタン電池として用いる
場合は、ガスケットとして、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリアミド樹脂、各種エンジニアリングプラスチ
ックを用いることが有効である。通常は、ポリプロピレ
ン製が一般的であるが、電池を基板に実装する際のリフ
ロー温度に対応するためパーフルオロアルコキシレジン
(PFA)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)
などの耐熱温度の高いエンジニアリングプラスチック等
の材料を用いることができる。ガスケット表面にLP剤
を塗布する場合に、LP剤との密着性を強化する目的で
ガスケット表面を強酸、強アルカリ、各種有機系のプラ
イマー、紫外線や電子線等によりあらかじめ処理するこ
とができる。また、コイン、ボタン電池の場合ガスケッ
トと正・負極缶の間にアスファルトピッチ、スチレン−
ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、
ポリクロロプレン、ビニルピリジンゴム、ブチルゴム、
ポリサルファイドゴム、フッ素系オイル、クロロスルホ
ン化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ポリアクリレート系
共重合体、シリコーン樹脂等の1種または混合物のシー
ル剤を用いることが有効である。シール剤が透明の場合
はシール剤を着色することにより、塗布の有無を明確に
することもできる。シール剤の塗布法としては、ガスケ
ットへのシール剤の注入、正・負極缶への塗布、ガスケ
ットのシール剤溶液へのディッピング等を利用できる。
【0047】外装ケース、電池封口蓋、電極、リード、
電極端子の溶接法は直流または交流を用いた電気抵抗溶
接、レーザー溶接、超音波溶接等を用いることができ
る。また、パッキンを介して外装ケース及び電池封口蓋
を機械的カシメやネジ止めによる封口や樹脂製封止材を
用いた封口も可能である。とくに、樹脂製封止材として
はマレイン酸変成ポリエチレン樹脂/高密度ポリエチレ
ン樹脂/マレイン酸変成ポリエチレン樹脂の二種三層ラ
ミネートフィルムを用いることが好ましい。外装ケース
および/又は電池封口蓋にフランジ等設けて封口するこ
とも可能である。
【0048】電池作製の雰囲気は金属リチウムに対して
不活性なアルゴンガスや炭酸ガス等が好ましいが、除湿
雰囲気中でも可能である。雰囲気の乾燥の度合いは露点
でマイナス20度以下が好ましいが、特にマイナス40
度以下の低湿度で行うことが電池の信頼性を高める上で
効果があるのでより好ましい。また、製造工程の全部が
同一の雰囲気である必要はなく、電解液注入などの特定
の工程でのみ、好ましい雰囲気を作り出してあっても良
い。
【0049】また、組み立てる部品も事前に乾燥すると
こが好ましい。ペレットやシートおよびその他の部品の
乾燥又は脱水方法としては、一般に採用されている方法
を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、
遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせ
て用いることが好ましい。温度は60〜350℃の範囲
が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。
含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、
正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ50ppm以
下にすることがサイクル性の点で好ましい。 電池の形
状はコイン型、ボタン型、シ−ト状、円筒形、矩形、シ
リンダ−型、角型、フィルム状などいずれにも適用でき
る。
【0050】本発明の非水二次電池の用途には、特に限
定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラ
ーノートパソコン、白黒ノートパソコン、ペン入力パソ
コン、ポケット(パームトップ)パソコン、ノート型ワ
ープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤー、携
帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディ
ーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリ
ンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶
テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニ
ディスク、電気シェーバー、電子翻訳機、自動車電話、
トランシーバー、電動工具、電子手帳、電卓、メモリー
カード、テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電
源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用と
して、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、
ゲーム機器、ロードコンディショナー、アイロン、発電
機能を有する腕時計やその他の時計、ストロボ、カメ
ラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機な
ど)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用とし
て用いることができる。また、太陽電池と組み合わせる
こともできる。
【0051】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明する。
【0052】
【実施例】図1は、本発明による非水二次電池の一例を
示すコイン型電池の断面図である。図において1は負極
端子を兼ねる負極ケースであり、内側および外側の両面
をニッケルメッキしたステンレス鋼製の板を絞り加工し
たものである。3は、後述の本発明による導電助剤と負
極活物質を用いて構成された負極であり、炭素粉末を導
電性フィラーとする導電性接着剤からなる負極集電体2
により負極ケース1に接着されている。7は外側片面を
ニッケルメッキしたステンレス鋼製の正極ケースであ
り、正極端子を兼ねている。5は後述の本発明による正
極活物質を用いて構成された正極であり、炭素粉末をフ
ィラーとする導電性樹脂接着剤からなる正極集電体6に
より正極ケース7に接着されている。4はセパレーター
であり、電解液が含浸されている。8はポリプロピレン
を主体とするガスケットであり、負極ケース1と正極ケ
ース7の間に介在し、負極と正極との間の電気絶縁性を
保つと同時に、正極ケース開口縁が内側に折り曲げられ
カシメられることに依って、電池内容物を密封、封止し
ている。非水電解質は表1中のE5を溶媒とし、支持塩
としてはLiClO41M/L溶解した電解液を用いた。電
池の大きさは、外径6.8mm、高さ2.1mmであっ
た。
【0053】
【表1】 負極3は次の様にして作製した。市販の純度99.9%
の一酸化ケイ素SiOを自動乳鉢により粒径44μm以
下に粉砕整粒したものを活物質とし、これに導電助剤と
して表2中のA1〜A15の炭素質材料と、結着剤とし
て架橋型アクリル酸樹脂を重量比で45:40:15の
割合で混合して負極合剤とし、次にこの負極合剤を2t
on/cm2で直径4.0〜4.1mm、厚さ0.28
〜0.3mmのペレットに加圧成形した。この負極ペレ
ットを炭素を導電フィラーとする導電性樹脂接着剤(導
電ペースト)から成る負極集電体2により負極ケース1
に接着し、150℃で8時間減圧乾燥した後、この負極
ペレット上に厚み0.3mmのリチウムフォイルを直径
4mmに打ち抜いたものを圧着した。この様にして得ら
れたリチウム−負極ペレット積層電極を負極とした。
【0054】
【表2】 正極5は次の様にして作製した。正極活物質は電解二酸
化マンガンと水酸化リチウムをMn:Liのモル比が1:0.3
となる様に混合し、大気中400℃で6時間熱処理して得ら
れたリチウム含有酸化マンガンを自動乳鉢により粒径1
00μm以下に粉砕整粒したものを用いた。この活物質
に導電助剤として表1中のA8の炭素質材料と、結着剤
として架橋型アクリル酸樹脂を重量比で90:8:2の
割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2t
on/cm2で直径4.0〜4.1mm、厚さ0.80
〜1.0mmのペレットに加圧成形した。この負極ペレ
ットを炭素を導電フィラーとする導電性樹脂接着剤(導
電ペースト)から成る正極集電体6により正極ケース7
に接着し、150℃で8時間減圧乾燥したものを用い
た。
【0055】本実施例では負極に添加したそれぞれ炭素
質材料A1〜A15を用いたB1〜B15をそれぞれ作
製した。作製した電池は室温で1週間放置エージング
後、下記の充放電試験を実施した。このエージングによ
って、負極のリチウム−負極ペレット積層電極は電池内
で非水電解液に触れることにより一種の局所電池を形成
し、積層されたリチウムフォイルは自己放電し、負極の
SiO中に吸蔵されたリチウムを含有するケイ素の酸化
Li x SiOを生成した。
【表2】
【0056】これらの電池を0.2mA/cm2の定電流
で、充電の終止電圧3.3Vもしくは充電終止時間36時
間、放電の終止電圧2.0Vの条件で充電サイクルを行
った。このとき2サイクル目の放電容量を表3に示し
た。なお、充放電サイクルは放電からスタートした。
【表3】 表3から明らかなように、用いた炭素質材料の単位面積
当たりの表面積が大きいほど放電容量が大きい傾向があ
る。これは用いた電極活物質と導電助剤の接触の機会が
その比表面積により増大し、活物質の利用率が向上する
ためと思われる。また、熱膨張化していない人造黒鉛、
熱膨張化していない天然の鱗片状黒鉛、熱膨張化黒鉛の
それぞれにおいて粒径が小さい方がより放電容量が多く
なる傾向がある。また、これは単に粒径が小さくなった
ことにより比表面積があがったためのみではなく、炭素
質材料の粒子径が小さくなることで電子伝導に関与する
炭素質材料の結晶子のa軸やb軸との界面の表れる率が
高まったことによると考えられる。炭素質材料のd002
面のX線回折ピークはブロードになる傾向が強いが、そ
の誤差範囲内においてd002面の面間隔は0.333〜0.340
nmに分布することが黒鉛の理論面間隔に近く電子伝導
性に優れるものと考えられる。また、結晶のC軸方向は
電子伝導性には寄与しにくいと考えられるが、結晶子
(Lc)の大きさは結晶そのものの安定性に寄与するも
のと考えられ、Lcは40〜500nmの範囲であればよい
ことが解る。また、電子伝導に関与する炭素質材料の結
晶子のa軸やb軸方向に粒界などの電子伝導の連続性を
阻害する因子が存在することは好ましくないため、La
はより大きい方が好ましく、本実験からLaは40〜500
nmの範囲であることが好ましい。
【0057】(実施例2)本実施例は実施例1の負極3
中の導電助剤として表2中のA8を用い、正極5中の導
電助剤として表2中のA3を用い、電解質の溶媒として
は表1中のE1からE5を用いた。その他は実施例1と
同様にして電池を作製した。電解質溶媒として表1中の
E1を用いた電池をC1およびC2、表1中のE2を用
いた電池をC3およびC4、表1中のE3を用いた電池
をC5およびC6、表1中のE4を用いた電池をC7お
よびC8、表1中のE5を用いた電池をC9およびC1
0とする。実施例1と同様にそれぞれの電池を室温中で
エージングし、さらにC2、C4、C6、C8、C10
の電池はさらに60℃の恒温条件下で20間保管した。
C1〜C10の電池を実施例1と同様な条件で充放電サイ
クルし、このときの2サイクル目の放電容量を表4に示
した。
【0058】
【表4】 これより、本発明の炭素材料と適当な電解液を組み合わ
せることにおいて、高容量の放電容量を得ることができ
る。特に、環状炭酸エステルと鎖状カーボネートを同時
に用いることで、電極上で電池反応以外の副反応を抑制
し、信頼性の向上した電池を作製することができた。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような少なくと
も正極、負極およびリチウムイオン導電性の非水電解質
を具備する非水電解質二次電池において、正極または負
極の少なくともいづれか一方の電極は電極活物質と共に
炭素質材料を含有し、該炭素質材料として比表面積(BE
T法)が5〜50m2/g、平均粒径が1〜50μmの範
囲、X線回折における面間隔d(002)が0.333〜0.340n
m、結晶子の大きさがc軸方向(Lc)で40〜500nm、a軸
方向(La)で40〜500nmである天然鱗片状黒鉛また
は膨張化黒鉛を用いたことにより放電容量の優れ、さら
に適当な電解質と組み合わせることによって電極上で電
池反応以外の副反応を抑制し、信頼性の向上した二次電
池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池の断面図を示す図である。
【符号の説明】
1 負極ケース 2 負極集電体 3 負極 4 セパレーター 5 正極 6 正極集電体 7 正極ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 田原 謙介 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコー電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−188993(JP,A) 特開 平7−192718(JP,A) 特開 平6−295725(JP,A) 特開 平6−325765(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/36 - 4/62 H01M 4/02 - 4/04 H01M 10/36 - 10/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極およびリチウムイオン導電性
    の非水電解質を具備する非水電解質二次電池において、 正極または負極のいずれか一方が電極活物質と、BET
    法による比表面積が5から50m2/g、平均粒径が1
    から50μm、X線回折による面間隔d(002)が
    0.333から0.340nmであり、結晶子の大きさ
    がc軸方向(Lc)が40から500nm、a軸方向
    (La)が40から500nmの天然鱗片状黒鉛または
    膨張化黒鉛を有する非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 前記非水電解質の溶媒として環状炭酸エ
    ステル類と鎖状エーテル類を含む請求項1記載の非水電
    解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記正極の電極活物質は、リチウムイオ
    ンを収蔵および放出可能な周期律表のIIIB族、IVB族
    および遷移金属の中から選ばれる少なくとも一種以上の
    元素を含む酸化物である請求項1記載の非水電解質。
  4. 【請求項4】 前記負極の電極活物質は、LixSi
    y、ただし1.5≦x<4、0<y<2の組成式で表
    されることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次
    電池。
  5. 【請求項5】 前記酸化物は、組成式Liabcd
    だだしLは周期律表のIIIB族およびIVB族の金属元素
    および類金属、アルカリ土類金属、Ti、Mn、Cuお
    よびZnの金属の中から選ばれる一種以上の元素、Tは
    一種以上の遷移金属元素、0<a≦1.15、0.85
    ≦b+c≦1.3、0<c、1.7≦d≦2.5で示さ
    れる複合酸化物である請求項3記載の非水電解質二次電
    池。
  6. 【請求項6】 前記酸化物は、組成式Liabc2
    だだしLは周期律表のIIIB族およびIVB族の金属元素
    および類金属、アルカリ土類金属、Ti、Mn、Cuお
    よびZnの金属の中から選ばれる一種以上の元素、Tは
    一種以上の遷移金属元素、0<a≦1.15、0.85
    ≦b+c≦1.3、0<cで示される複合酸化物である
    請求項3記載の非水電解質二次電池。
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