JP5799500B2 - リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>炭素性物質Aを含有する第一の粒子及び、珪素原子を含有する第二の粒子を、前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bで複合化させた複合粒子を含む負極材と、助剤として、平均面間隔(d002)の値が0.335nm〜0.347nmであり、体積平均粒子径が1μm〜20μmである黒鉛粒子と、を含み、前記第一の粒子が、扁平状の粒子を複数、配向面が非平行となるように集合または結合させてなる、細孔を有する黒鉛粒子であり、前記第二の粒子が、前記複合粒子の内部よりもその表面付近に多く存在しているリチウムイオン二次電池用負極。
<2>前記炭素性物質Bが、有機物の炭素化物である<1>に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
<3><1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを備えてなるリチウムイオン二次電池。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本発明における負極材は、炭素性物質Aを含有する第一の粒子、及び、珪素原子を含有する第二の粒子を、前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bで複合化させた複合粒子を含んでいる。
前記複合粒子は、第一の粒子と第二の粒子とが炭素性物質Bで複合化されている。
本発明において「複合化」とは、互いに異なる複数の要素が一体化していること意味する。一体化される複数の要素は、複合化されて得られた物の構成要素に相当し、複合化されて得られた物によって異なる。
前記複合粒子における複合化の具体的態様としては、第一の粒子と第二の粒子との間に炭素性物質Bが存在して第一の粒子の表面に第二の粒子が付着して一体化している態様、及び、第一の粒子と第二の粒子とが直接接触し、炭素性物質Bが第一の粒子及び第二の粒子の両方に接触することで第一の粒子の表面に第二の粒子が付着して一体化している態様が挙げられる。すなわち前記炭素性物質Bは、第一の粒子と第二の粒子とを互いに連結して一体化する機能を有している。
前記第一の粒子は炭素性物質Aを含んで構成される。負極材中に第一の粒子は、少なくとも1種含まれていればよく、互いに異なる2種以上の第一の粒子を含んでいてもよい。
前記炭素性物質Aは後述する炭素性物質Bよりも結晶性が高いことが好ましい。また前記炭素性物質Aは、学振法に基づいて測定して得られる平均面間隔(d002)の値が0.335nm〜0.347nmであることが好ましい。これを満たす炭素性物質としては例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、低結晶性炭素、メソフェーズカーボンなどが挙げられる。
また第一の粒子に含まれる炭素性物質Aの含有率は特に制限されないが70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
尚、第一の粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、通常の条件で測定される。
なかでも造粒粒子の中心部分にまで、第二の粒子が入り込まないような空隙率が小さい多孔質粒子であることが好ましい。このような造粒粒子であることで、複合粒子を形成した際に高いタップ密度を達成でき、また形成される電極の電極密度が向上するために高い体積容量を達成することができる。
本発明における第一の粒子としては、円形度が0.60〜1.00の黒鉛の粒子(以下、「球状黒鉛粒子」と称する場合がある)であることが好ましい。
このような形態の第一の粒子とすることによって、電極形成時における加圧の際に、負極材を構成するそれぞれの複合粒子が面方向に配向してしまうことを抑制できる。これにより、複合粒子におけるLiイオンの授受がし易くなりレート特性に優れた電池を構成することができる。
前記円形度としては、粒子配向制御の観点から、0.60〜1.00が挙げられ、0.60〜0.95が好ましく、0.65〜0.90がより好ましく、0.70〜0.9が更に好ましい。円形度が0.60以上であれば、電極形成時のプレスにおいて複合粒子が面方向に配向することはなく、レート特性の低下を抑制できる。なお、1.00は、真円で上限にあたる。
円形度=(相当円の周囲長)/(粒子断面像の周囲長)
具体的に円形度は、走査型電子顕微鏡で倍率1000倍に拡大した画像を観察し、任意に10個の球状黒鉛粒子を選択し、上記方法にて個々の第一の粒子の円形度を測定し、その算術平均値として算出される平均円形度である。なお、円形度並びに相当円の周囲長及び粒子の投影像の周囲長は、市販されている画像解析ソフトによって求めることが可能である。
また円形度が0.6未満である鱗片状などの黒鉛を、通常用いられる黒鉛の球状化処理方法を用いて球状化処理して、円形度を0.6〜1.0とすることができる。さらに黒鉛粒子を通常用いられる造粒方法を用いて、円形度が0.6〜1.0となるように造粒処理して複数粒子からなる第一の粒子を調製してもよい。
前記球状化処理としては、例えば、メカノケミカル法などの処理方法を挙げることができる。また前記造粒方法としては、流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法、撹拌造粒法などの処理方法を挙げることができる。
本発明における第一の粒子としては、扁平状の粒子を複数、配向面が非平行となるように集合または結合させてなる、細孔を有する黒鉛粒子(以下、「塊状黒鉛粒子」と称する場合がある)であることが好ましい。
1つの塊状黒鉛粒子において、扁平状の粒子が集合又は結合する数としては特に制限されないが、3個以上であることが好ましく、5〜20個であることがより好ましく、5〜15個であることが更に好ましい。
さらに扁平状の粒子の体積平均粒子径は、電池容量とサイクル特性の観点から、塊状黒鉛粒子の体積平均粒子径の2/3以下であることが好ましく、1/20〜2/3であることがより好ましい。
アスペクト比が1.2以上であることで、粒子間の接触面積が増加して、導電性がより向上する傾向にある。一方、アスペクト比が5.0以下であることで、急速充放電特性が向上する傾向がある。
なおアスペクト比は、塊状黒鉛粒子の長軸方向の長さをA、短軸方向の長さをBとしたときにA/Bで表される。前記アスペクト比は、顕微鏡で第一の粒子を拡大し、任意に100個の第一の粒子を選択して、それぞれのA/Bを測定し、それらの測定値の算術平均値をとったものである。
ここで長軸方向の長さA及び短軸方向の長さBは以下のようにして測定される。すなわち、顕微鏡を用いて観察される第一の粒子の投影像において、第一の粒子の外周に外接する平行な2本の接線であって、その距離が最大となる接線a1及び接線a2を選択して、この接線a1及び接線a2の間の距離を長軸方向の長さAとする。また第一の粒子の外周に外接する平行な2本の接線であって、その距離が最小となる接線b1及び接線b2を選択して、この接線b1及び接線b2の間の距離を短軸方向の長さBとする。
塊状黒鉛粒子の構造は、その中心部分にまで、第二の粒子が入り込まないような空隙率が小さい多孔質粒子であることが好ましい。このような粒子であることで、複合粒子を形成した際に高いタップ密度を達成でき、また形成される電極の電極密度が向上するために高い体積容量を達成することができる。
前記塊状黒鉛粒子の製造方法としては、所定の構造が形成される限り特に制限はない。例えば、黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と、黒鉛化可能なバインダ(有機結着剤)とに黒鉛化触媒を全量に対して1質量%〜50質量%添加して混合し、焼成した後、粉砕することにより得ることができる。これにより、黒鉛化触媒の抜けた後に細孔が生成され、塊状黒鉛粒子として良好な特性が付与される。また、塊状黒鉛粒子は、黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と黒鉛化可能なバインダとの混合方法、黒鉛化可能なバインダ量などの混合割合の調整、焼成後の粉砕条件などを適宜選択することにより、所望の構成に調整することもできる。
前記黒鉛としては、例えば天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末などが使用できるが粉末状であれば特に制限はない。黒鉛化可能な骨材又は黒鉛の体積平均粒子径は、塊状黒鉛粒子の体積平均粒子径より小さいことが好ましく、塊状黒鉛粒子の体積平均粒子径の2/3以下であることがより好ましく、1/20〜2/3であることがより好ましい。
また、黒鉛化可能な骨材又は黒鉛は、扁平状の粒子であることが好ましい。
黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と、黒鉛化可能なバインダとの混合方法は、特に制限はなく、ニーダーなどを用いて行われるが、バインダの軟化点以上の温度で混合することが好ましい。具体的にはバインダがピッチ、タールなどの際には、50℃〜300℃が好ましく、熱硬化性樹脂の場合には、20℃〜100℃が好ましい。
黒鉛化の温度が2000℃以上であることで、黒鉛の結晶の発達が良好になり、放電容量が向上する傾向がある。また添加した黒鉛化触媒が、製造される第一の粒子に残存することを抑制できる。黒鉛化触媒が塊状黒鉛粒子中に残存すると、放電容量が低下する場合があるため、残存が抑制されることが好ましい。一方、黒鉛化の温度が3200℃以下であれば、黒鉛が昇華することを抑制できる。
上記に示す製造方法を経ることにより、扁平状の粒子を複数、配向面が非平行となるように集合又は結合させてなる、細孔を有する黒鉛粒子、即ち、塊状黒鉛粒子を得ることができる。
さらに上記製造方法の詳細は、例えば、特許第328550号公報や特許第3325021号公報などを参照することもできる。
第二の粒子は、珪素原子を含有する粒子である。第二の粒子は、負極材中に少なくとも1種含まれていればよく、互いに異なる2種以上の第二の粒子を含んでいてもよい。
第二の粒子は珪素原子を含むものであれば特に制限されない。例えば、珪素を含む粒子、珪素酸化物などの珪素化合物を含む粒子などを挙げることができる。電池容量の観点から、珪素又は珪素酸化物を含む粒子であることが好ましく、実質的に珪素からなる粒子又は実質的に珪素酸化物からなる粒子であることがより好ましい。
ここで「実質的」とは不可避的に混入する不純物を許容することを意味し、不純物の含有率は10質量%以下であることが好ましい。
第二の粒子の体積平均粒子径が0.01μm以上であることで、良好な生産性で第二の粒子を得ることができ、取り扱い性に優れ、前記第一の粒子表面への複合化を効率的に行うことができる。一方、体積平均粒子径が5μm以下であることで、第一の粒子表面上への複合化を効率的に行うことができ、充電時における第二の粒子の膨張が局在化することを抑制でき、サイクル特性がより向上する傾向がある。
また前記複合粒子の断面の観察において、複合粒子の長軸の長さに対する第二の粒子の長軸の長さの比(第二の粒子の長軸の長さ/複合粒子の長軸の長さ、以下、「長軸長さ比」ともいう)は、サイクル特性と電池容量の観点から、0.0003〜0.2であることが好ましく、0.001〜0.1であることがより好ましい。さらに複合粒子10個について断面の観察をした場合に、5個以上の複合粒子がこの条件を満たすことが好ましく、全部の粒子がこの条件を満たすことが特に好ましい。
尚、第二の粒子の長軸の長さは、複合粒子の長軸の長さと同様にして求められる。また複数の第二の粒子が存在する場合には、任意に選択される3個の第二の粒子の長軸の長さの算術平均値とする。
さらに複合粒子における第一の粒子の含有量に対する第二の粒子の含有量の比(第二の粒子の含有量/第一の粒子の含有量)は、目的に応じて適宜選択できるが、サイクル特性と電池容量の観点から、質量基準で0.005〜0.3であることが好ましく、0.01〜0.25であることがより好ましい。
本発明における複合粒子は、前記第一の粒子と第二の粒子とが、前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bの少なくとも1種で複合化されてなる。炭素性物質は、少なくとも1種用いられていればよく、互いに異なる2種以上の炭素性物質を用いてもよい。
前記炭素性物質Bは、有機物を前駆体とし、熱処理などによって炭素化されてなるものであれば、前駆体となる有機物の種類、熱処理の履歴、炭素性物質Bの構造などに特に制限はない。
前記有機物としてはフェノール樹脂、スチレン樹脂、多糖類などの高分子化合物、ピッチなどの炭化可能な固体物などが挙げられ、好ましくはコールタールピッチや、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらは、溶解物もしくは固形の状態で複合化時のバインダとして用いることができる。
炭素性物質Bの量が10質量%以下であることで、非晶質炭素の含有量を抑制でき、初回充放電効率が低下することを抑制できる。また複合粒子を製造する工程において、複合粒子同士の結着を抑制し、粒子径が増加することを抑制できる。一方、1%以上であることでサイクル特性が向上する傾向がある。これは例えば第二の粒子が第一の粒子表面に効率的に複合化されやすくなるためと考えることができる。
また前記複合粒子では、珪素原子を含有する第二の粒子が、複合粒子の内部よりもその表面付近に多く存在している場合が好ましい。
このような形態を有する複合粒子は、複合粒子の断面を観察したときに、前記複合粒子の最大長さである長軸の中点を中心とし、前記長軸の中点で直交する短軸の長さの1/8の長さを半径とする円の内部領域に含まれる珪素原子の含有量に対する、前記複合粒子の外周から内側に前記短軸の長さの1/8の長さの深さまでの内側領域に含まれる珪素原子の含有量の比率が2以上であることが好ましい。すなわち、前記複合粒子においては、珪素原子を含有する第二の粒子が、複合粒子の内部よりもその表面付近に多く存在していることが好ましい。
本発明においては、さらに前記複合粒子の断面に含まれる珪素原子の総含有量に対する前記円の内部領域に含まれる珪素原子の含有量の比率が0.2以下であることがより好ましい。
(a)粒子径
複合粒子の粒子径が概ねレーザー回折式粒度分布測定装置で測定される体積平均粒子径(50%D)と同等のものとする。具体的には、前記体積平均粒子径に対する複合粒子の断面観察における長軸の長さの比が1.0〜1.2である複合粒子を対象粒子とする。
(b)粒子状態
割れている複合粒子、裂けている複合粒子は、複合状態の判断対象に適さないため除外する。すなわち、複合粒子の断面観察における長軸及び短軸と、複合粒子の外周との交点の数が共に2である複合粒子を対象粒子とする。
複合粒子の外周に外接する平行な2本の接線であって、その距離が最大となる接線m1及び接線m2を選択する。この接線m1及び接線m2の間の距離を複合粒子の最大長さ、すなわち長軸の長さとする。
ただし、複合粒子の断面における長軸の長さは、複合粒子の全体像を走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察して求められる複合粒子の最大長さに対して、70%以上となるように選択されることが好ましい。すなわち、複合粒子の断面は、3次元的に全体をとらえた複合粒子自体の長軸の長さ又はそれに近い長さの軸を含むように選択されることが好ましい。
尚、複合粒子自体の長軸の長さは、複合粒子に外接する平行な2つの平面であって、その距離が最大となる2つの平面の間の距離として与えられる。
接線n1に平行な直線であって、接線n1までの距離と接線n2までの距離が等しい直線を複合粒子の長軸とする。長軸と接線m1及び接線m2との交点をそれぞれ交点P1及び交点P2とし、交点P1と交点P2とを結ぶ線分の中点を長軸の中点とする。この長軸の中点を通り、長軸と直交する直線を短軸とする。短軸と複合粒子の外周との2つの交点Q1及び交点Q2の間の距離を短軸の長さとする。
一方、複合粒子の断面上で、その外周から内側に長さRの深さまでの内側領域を、複合粒子における表面部分とする。
ここで中心部分と表面部分とに重複部分が発生する場合には、複合状態判断の対象粒子から除外する。
尚、前記X線分光装置としては、被観察領域に含有される元素を定量可能であれば特に制限されず、例えば、エネルギー分散型(EDX)及び波長分散型(WDX)を用いることができる。
前記複合粒子の表面部分に含まれる珪素原子の含有量の、中心部分に含まれる珪素原子の含有量に対する比率(表面部分/中心部分)が2以上である場合が好ましい。なお、この場合には、複合粒子の表面に珪素原子を含む第二の粒子が偏在していることを意味する。
前記比率は、中心部分における炭素原子、酸素原子及び珪素原子の総含有量に対する珪素原子の含有量の比率(Si/(C+O+Si))と、表面部分における炭素原子、酸素原子及び珪素原子の総含有量に対する珪素原子の含有量の比率とをそれぞれ求め、これらの比として算出される。
具体的には例えば、EDXで定量分析を行った際、炭素原子、酸素原子及び珪素原子のみについて定量分析を行えば、中心部分と表面部分の珪素原子の質量濃度を単に比較することで、前記比率を得ることができる。
本発明において前記比率は2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。前記比率が2以上であることで、複合粒子の膨張を抑制することができ、また良好なサイクル特性が得られる。
複合粒子の断面に含まれる珪素原子の総含有量、及び、中心部分に含まれる珪素原子の含有量は上記と同様にして得ることができる。
(複合粒子の体積平均粒子径)
本発明における複合粒子の体積平均粒子径(50%D)は特に制限されない。例えば5μm〜40μmであることが好ましく、5μm〜35μmであることがより好ましく、7μm〜30μmであることが更に好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
複合粒子の体積平均粒子径が5μm以上であることで、比表面積の増大を抑制でき、初回の充放電効率が向上する。また電極密度を上昇させやすく、リチウムイオン二次電池の高容量化が可能になる。一方、体積平均粒子径が40μm以下であることで、レート特性などの電極特性が向上する傾向がある。
また後述する複合粒子の製造方法において、解砕条件を適宜選択することで制御することができる。
本発明における複合粒子のタップ密度は特に制限されない。例えば0.6g/cm3〜1.2g/cm3であることが好ましく、0.7g/cm3〜1.2g/cm3がより好ましく、0.8g/cm3〜1.15g/cm3が更に好ましく、0.9g/cm3〜1.1g/cm3であることが特に好ましい。
0.7g/cm3以上であることで、サイクル特性が向上する。またリチウムイオン二次電池用負極を形成する際のプレス時における圧縮性が向上し、高い電極密度が達成され、より高容量の電池を得ることができる。一方、1.2g/cm3以下であることで電池特性の低下を抑制できる。これは例えば、複合粒子の体積平均粒子径や複合粒子自体の密度が、Liイオンの授受、拡散に影響を及ぼすためと考えることができる。
尚、複合粒子のタップ密度は、JIS規格R1628に準じて測定される。
前記負極材の製造方法は、前記複合粒子を含む負極材を製造可能であれば特に制限されない。例えば、前記複合粒子を得る工程と、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。
本発明において前記複合粒子を得る工程は、電池のサイクル特性と負極材の膨張率の観点から、炭素性物質Aを含有する第一の粒子と、珪素原子を含有する第二の粒子とを、前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bを用いて複合化し、体積平均粒子径が前記第一の粒子の体積平均粒子径に対して1.0倍以上1.3倍以下である複合粒子を得る工程を含むことが好ましい。
かかる工程で複合粒子を製造することにより、複合粒子の表面部分における珪素原子の含有量を中心部分の2倍以上とすることができる。さらに複合粒子の中心部分に実質的に珪素原子が存在しない状態とすることができる。
複合化工程では、炭素性物質Aを含有する第一の粒子と、珪素原子を含有する第二の粒子と、前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bの炭素性物質前駆体と、を複合化する。
分散物とする場合に用いられる分散媒体としては、有機溶剤を用いることが好ましい。これにより例えば、第二の粒子の酸化を抑制できる。また、炭素性物質前駆体が固形物の場合、前記有機溶剤に溶解した状態が好ましい。用いられる有機溶剤としては特に制限はないが、例えば、炭素性物質Bにピッチ等を用いる場合、これに可溶性を有するトルエンやメチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤が好適である。
なお、分散物を得る際に、第一の粒子を同時に混合してもよい。その場合の分散方法は、第一の粒子が分散の際に粉砕されない限り特に制限されない。例えば、攪拌式のホモジナイザーやビーズミル、ボールミルなどを用いて分散を実施するこができる
これらの複合化方法では、第一の粒子と前記分散物とが均一に混合されるよう、ペースト状、あるいはスラリー状などの状態で混合することが好ましい。
焼成工程では、複合化工程によって得られた複合化物を焼成する。この焼成処理により、炭素性物質前駆体は炭素化物になって、第一の粒子と第二の粒子とが一体化する。また第二の粒子に珪素酸化物が含まれる場合、例えば、珪素酸化物は不均化され、珪素酸化物内に珪素の微結晶が分散した構造体になる。焼成処理により、複合化物が焼成されて塊状物が得られる。ここで、塊状物は、第一の粒子と、第二の粒子と、炭素性物質Bの炭素化物を有する複合粒子が集合して一体化したものである。
焼成温度については800〜1200℃が好ましく、850〜1200℃がより好ましく、900〜1200℃がさらに好ましい。焼成温度を800℃以上とすることで、炭素性物質前駆体の炭素化が十分に進行し、初回充放電効率が向上する傾向がある。一方、焼成温度を1200℃以下とすることで、珪素においては炭化珪素化を抑制でき、電池容量の低下を抑制できる傾向がある。また、珪素酸化物中の二酸化珪素部分の成長を抑制でき、珪素酸化物内におけるリチウムイオンの拡散阻害とレート特性の低下とを抑制できる。
剪断力付与工程では、焼成工程で得られた塊状物に剪断力を付与して、前記第一の粒子の体積平均粒子径に対して1.0倍以上1.3倍以下の体積平均粒子径を有すると共に前記第一の粒子及び前記第二の粒子が前記炭素性物質Bで複合化された複合粒子を得る。
焼成工程によって得られた塊状物は、炭素性物質Bの炭素化によって互いに結着した複合粒子により形成されている。この塊状物に対して剪断力が付与されると、互いに結着した複合粒子に対して適度な剪断力が付与され、所定の体積平均粒子径を有する個々の複合粒子に分離する。このようにして得られた複合粒子は、その表面に第二の粒子が多く存在する形態を有するものである。
また、複合粒子の体積平均粒子径が所望の範囲内となる剪断力の付与の条件としては、用いられる装置によって異なるが、例えば、WARING社製のワーリングミキサー(7012S)を用いた場合には、3000min −1 〜13000min −1 の回転数で、30秒から3分に時間にわたり剪断する条件を採用すればよい。
また剪断力の付与は、塊状物を、塊状物を形成している個々の複合粒子の状態にすると共に複合粒子を破壊しない処理であれば、粉砕処理又は解砕処理などの当業界で一般的に用いられる処理のいずれであってもよい。
負極材の製造方法は、上述した複合化工程、焼成工程及び剪断力付与工程の他に、必要に応じて他の工程を有するものであってもよい。
例えば、剪断力付与工程の後に、整粒を目的として分級工程を含むことが好ましい。これにより、均一な体積平均粒子径を有する複合粒子を得ることができる。分級には、例えば、目開き40μmの篩を用いることが好ましい。また、分級処理において、1μm以下の微粉をできるだけ除去することが好ましい。
分級処理の方法については特に限定されないが、例えば、気流式分級機によって除去することが可能である。
また、負極材の製造方法は、分級工程の後に、分級処理して得られた複合粒子を、不活性雰囲気下でさらに熱処理を行う熱処理工程を含んでもよい。熱処理条件については、上記の焼成条件と同様である。この処理を施すことにより、粉砕で乱れた粒子表面の構造を平滑化でき、初回の充放電効率をより向上することができる。
炭素被覆の方法として、湿式混合法、化学蒸着法、メカノケミカル法などが挙げられる。均一かつ反応系の制御が容易で、複合粒子の形状が維持できるといった点から、化学蒸着法及び湿式混合法が好ましい。
また、湿式混合法及びメカノケミカル法では、フェノール樹脂、スチレン樹脂などの高分子化合物、ピッチなどの炭化可能な固体物などを、固形のまま、または溶解物などにして処理を行うことができる。
処理温度は、前記記載の焼成処理条件と同様の条件で行うことが好ましい。
本発明においては、助剤として、平均面間隔(d002)の値が0.335nm〜0.347nmであり、体積平均粒子径が1μm〜20μmである黒鉛粒子を使用する。
本発明における助剤としてリチウムイオン二次電池用負極に含まれる黒鉛粒子は、学振法に基づいて測定して得られる平均面間隔(d002)の値が0.335nm〜0.347nmであることを特徴とする。これを満たすものであれば特に限定はされないが、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、高結晶性炭素、カーボンナノチューブなどが挙げられる。平均面間隔(d002)については電池容量の観点から、0.335nm〜0.345nmが好ましく、0.335nm〜0.340nmがより好ましく、0.335nm〜0.337nmが更に好ましい。0.347nmを超えるものは結晶性が低く、容量、充放電効率ともに著しく低下する。一方、黒鉛結晶の理論値は0.335nmであり、この値に近い方が電池容量及び充放電効率がともに向上する傾向があるため、好ましい。
本発明における助剤としてリチウムイオン二次電池用負極に含まれる黒鉛粒子は、体積平均粒子径(50%D)が、1μm〜20μmであることを特徴とするが、その値は2μm〜18μmであることが好ましく、4μm〜16μmであることがより好ましく、7μm〜15μmであることが更に好ましい。黒鉛粒子の体積平均粒子径が1μm未満であると、比表面積が大きくなり初回の充放電効率が低下する。一方、体積平均粒子径が20μmを超えると、レート特性などの電極特性が低下する場合がある。
本発明における助剤としてリチウムイオン二次電池用負極に含まれる黒鉛粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000J(島津製作所製)などにより、測定することができる。本発明における助剤としてリチウムイオン二次電池用負極に含まれる黒鉛粒子を、界面活性剤と共に精製水中に分散させた分散液を試料水槽に入れ、超音波をかけながらポンプで循環させながら測定する。また、得られた粒度分布の累積50%粒径(50%D)を体積平均粒子径として算出する。
本発明における助剤としてリチウムイオン二次電池用負極に含まれる黒鉛粒子の添加量は、本発明における負極材に対して、1質量%〜20質量%が好ましい。5質量%〜15質量%であることがより好ましく、10質量%程度であることが更に好ましい。添加量が1%以上であれば、サイクル特性が向上し、添加量が20質量%以下であれば、容量が高くなる。
<導電性を有する物質>
本発明の負極材は、前記複合粒子や前記助剤の他に、導電性を有する物質を含有することも可能である。
導電性を有する物質としては、カーボンブラック、コークス、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどを挙げることができる。
また導電性を有する物質の種類、形状は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどは少量で複合粒子間の導電性を確保できるため好ましい。
前記負極の製造方法は、例えば、既述の本発明の負極材及び有機結着剤を溶剤とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダなどの分散装置により混練して、負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して負極層を形成する。又は、ペースト状の負極材スラリーをシート状、ペレット状などの形状に成形し、これを集電体と一体化することで得ることができる。
有機結着剤の含有比率が1質量%以上であることで密着性が良好で、充放電時の膨張・収縮によって負極が破壊されることが抑制される。一方、30質量%以下であることで、電極抵抗が大きくなることを抑制できる。
また、シート状、ペレット状などの形状に成形された負極材スラリーと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせなど、公知の方法により行うことができる。
この熱処理により溶媒の除去、有機結着剤の硬化による高強度化が進み、粒子間及び粒子と集電体間の密着性が向上できる。尚、これらの熱処理は、処理中の集電体の酸化を防ぐため、ヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性雰囲気、又は真空雰囲気で行うことが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、既述の本発明の負極と、正極と、電解質とを含むことを特徴とする。例えば、上記本発明の負極と正極とを、必要に応じてセパレータを介して対向させて配置し、電解質を含む電解液を注入することにより構成することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池などとして使用される。
上述した本発明の負極材は、リチウムイオン二次電池用と記載したが、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、ハイブリッドキャパシタなどにも適用することが可能である。
(複合粒子の作製)
まず、体積平均粒子径30μmの珪素酸化物(SiO)粉末を、メチルナフタレン、分散剤(花王(株)製:L−1820)とともに、ビーズミル(アシザワファインテック製:LMZ)で体積平均粒子径0.5μmまで粉砕して珪素スラリーを作製した。
この珪素酸化物スラリー500g(固形分30%)と、コールタールピッチ(炭素化率50%、炭素性物質の前駆体)300gと、メチルナフタレン2000gをSUS製容器に入れて攪拌し、さらに通液型の超音波ホモジナイザー(ギンセン製:GSD600HAT)で循環しながら30分間、超音波分散処理して分散物を得た。
リガク社製広角X線回折測定装置で行い、学振法に基づき、複合粒子の平均面間隔(d002)を算出した。
JIS規格R1628に基づく方法により、タップ密度を測定した。
窒素吸着測定装置ASAP−2010(島津製作所製)を使用し、相対圧0.04〜0.20の範囲において5点、窒素吸着を測定し、BET法を適用してBET比表面積を算出した。
レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000J(島津製作所製)を使用し、得られた複合粒子を界面活性剤と共に精製水中に分散させた分散液を試料水槽に入れ、超音波をかけながらポンプで循環させながら測定した。得られた粒度分布の累積50%粒径(50%D)を体積平均粒子径とした。
得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛粒子(体積平均粒子径(50%D)=4μm、平均面間隔(d002)=0.335)を4.75部添加し、バインダ(有機結着剤)として、ポリアクリロニトリルを主骨格とする樹脂(日立化成工業製、LSR7)を5部添加し、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を適量入れて固練した後、さらにNMPを添加し固形分40%のスラリーを作製した。
評価用セルは、CR2016型コインセルに上記負極と金属リチウムを20μmのポリプロピレン製セパレータを介して対向させ、電解液を注入することにより作製した。電解液はエチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを体積比3対7の混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解させ、これに1.5質量%のビニルカーボネートを添加した後、さらにフルオロエチレンカーボネートを20体積%添加したものを使用した。
評価用セルは25℃の恒温槽内に入れ、サイクル試験した。充電は、2mAの定電流で0Vまで充電後、0Vの定電圧で電流値が0.2mAになるまで行った。また放電は、2mAの定電流で1.5Vの電圧値まで行った。放電容量と充放電効率は、初回充放電試験の結果とした。
また、膨張率は上記条件で5サイクル充放電を繰り返した後、充電した状態で評価用セルを解体し、そのときの厚みと電極作製時の厚みの比率を膨張率とした。
また、サイクル特性は、前記充放電条件にて50回充放電試験した後の放電容量を初回の放電容量を比較し、その容量維持率として評価した。
参考例1において、珪素酸化物粉末の代わりに、体積平均粒子径が25μmの珪素(Si)粉末(純度99.9%)を用い、ビーズミルで体積平均粒子径を0.2μmとなるように粉砕して、珪素スラリーを調整した。この珪素スラリー800gを300gのコールタールピッチと超音波分散処理し、ニードルコークス2.61kgと複合化した以外は、参考例1と同様にして複合粒子を作製した。得られた複合粒子を用いて負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例1の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例1と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例2の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例2と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例1の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダ5部を添加した以外は、参考例1と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例2の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダ5部を添加した以外は、参考例2と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
(複合粒子の作製)
まず、体積平均粒子径30μmの珪素酸化物(SiO)粉末を、メチルナフタレン、分散剤(花王(株)製:L−1820)とともに、ビーズミル(アシザワファインテック製:LMZ)で体積平均粒子径0.5μmまで粉砕して珪素酸化物スラリーを作製した。
次いで、体積平均粒子径20μmの球形化天然黒鉛を加圧式ニーダに2700g投入し、ここに前記分散物を投入し、200℃でメチルナフタレンを蒸発させて、珪素酸化物粒子が炭素性物質の前駆体で複合化された球形化天然黒鉛の複合化物を得た。
参考例3において、珪素酸化物粉末の代わりに、体積平均粒子径が25μmの珪素(Si)粉末(純度99.9%)を用い、ビーズミルで体積平均粒子径を0.2μmとなるように粉砕して、珪素スラリーを調整した。得られた珪素スラリー200gを180gのコールタールピッチと超音波分散処理した以外は、参考例3と同様にして複合粒子を作製した。得られた複合粒子を用いて負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例3の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例3と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例4の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例4と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例3の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダを5部添加した以外は、参考例1と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例4の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダを5部添加した以外は、参考例1と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
(複合粒子の作製)
まず、体積平均粒子径30μmの珪素酸化物(SiO)粉末を、メチルナフタレン、分散剤(花王(株)製:L−1820)とともに、ビーズミル(アシザワファインテック製:LMZ)で体積平均粒子径0.5μmまで粉砕して珪素酸化物スラリーを作製した。
上記製造方法によって得られた複合粒子を含む負極材は、参考例1と同様に、円形度、平均面間隔、タップ密度、BET比表面積、体積平均粒子径(50%D)、珪素および珪素酸化物含有率を評価した。
参考例5において、珪素酸化物粉末の代わりに、体積平均粒子径が25μmの珪素(Si)粉末(純度99.9%)を用い、ビーズミルで体積平均粒子径を0.2μmとなるように粉砕した。この珪素スラリー500g(固形分30%)と、体積平均粒子径が8μmの鱗片状黒鉛980gとカルボキシメチルセルロース20g(第一工業製薬:WS−C)を精製水3000gとともに攪拌混合した以外は、参考例5と同様にして複合粒子を作製した。得られた複合粒子を用いて負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例5の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例5と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例6の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(体積平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、参考例6と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例5の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダ5部を添加した以外は、参考例5と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
参考例6の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダ5部を添加した以外は、参考例6と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
(複合粒子の作製)
まず、塊状黒鉛粒子を以下のように作製した。平均粒径が10μmのコークス粉末2000g、コールタールピッチ800g、炭化珪素400g及びコールタール800g部を加圧ニーダで100℃、1時間混練した。得られた塊状物は、窒素雰囲気中900℃で2時間焼成後、同雰囲気下で2800℃、2時間で黒鉛化した。黒鉛化した塊状物はジェットミルで粉砕し、体積平均粒子径が23μmの塊状黒鉛粒子を作製した。
次いで体積平均粒子径30μmの珪素酸化物(SiO)粉末を、メチルナフタレン、分散剤(花王(株)製:L−1820)とともに、ビーズミル(アシザワファインテック製:LMZ)で体積平均粒子径0.5μmまで粉砕して珪素酸化物スラリーを作製した。
得られた複合化物を、窒素雰囲気の焼成炉で900℃、2時間焼成した。焼成した塊状物をワーリングミキサー(WARING製:7012S)を用いて回転数3100min −1 、1分間の条件で解砕し、次いで目開き40μmの振動ふるいで分級し、体積平均粒子径20μmの複合粒子を得た。
実施例7において、珪素酸化物粉末の代わりに、体積平均粒子径が25μmの珪素(Si)粉末(純度99.9%)を用い、ビーズミルで体積平均粒子径を0.2μmとなるように粉砕した。この珪素スラリー200gを180gのコールタールピッチと超音波分散処理した以外は、実施例7と同様にして複合粒子を作製した。得られた複合粒子を用いて負極を作製し、同様の評価を行った。
実施例7の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、実施例7と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
実施例8の負極の作製において、得られた複合粒子の90.25部に対して、人造黒鉛の代わりに、アセチレンブラック(平均粒子径(50%D)=48nm、平均面間隔(d002)=0.367)を4.75部添加した以外は、実施例8と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
実施例7の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダを5部添加した以外は、実施例7と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
実施例8の負極の作製において、人造黒鉛やアセチレンブラックを添加せずに、得られた複合粒子の95部に対して、バインダを5部添加した以外は、実施例8と同様にして負極を作製し、同様の評価を行った。
Claims (3)
- 炭素性物質Aを含有する第一の粒子及び、
珪素原子を含有する第二の粒子を、
前記炭素性物質Aとは異なる炭素性物質Bで複合化させた複合粒子を含む負極材と、
助剤として、平均面間隔(d002)の値が0.335nm〜0.347nmであり、体積平均粒子径が1μm〜20μmである黒鉛粒子と、
を含み、
前記第一の粒子が、扁平状の粒子を複数、配向面が非平行となるように集合または結合させてなる、細孔を有する黒鉛粒子であり、
前記第二の粒子が、前記複合粒子の内部よりもその表面付近に多く存在しているリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記炭素性物質Bが、有機物の炭素化物である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを備えてなるリチウムイオン二次電池。
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