JP3186309B2 - 10ーtーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー3ーオン類およびその製造方法 - Google Patents

10ーtーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー3ーオン類およびその製造方法

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JP3186309B2
JP3186309B2 JP04942593A JP4942593A JP3186309B2 JP 3186309 B2 JP3186309 B2 JP 3186309B2 JP 04942593 A JP04942593 A JP 04942593A JP 4942593 A JP4942593 A JP 4942593A JP 3186309 B2 JP3186309 B2 JP 3186309B2
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  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、10ーtーブチルジオ
キシー1,4ーエストラジエンー3ーオン類およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式 化1 (式中、Xは水素原子またはアルキル基を示し、Yは水
酸基、アルキル基、アシロキシ基またはアルコキシル基
を示す;あるいはXとYとが一緒になって=Oを示
す。)で示される10ーtーブチルジオキシー1,4ー
エストラジエンー3ーオン類は文献未記載の新規化合物
であり、ステロイド系医薬品等の中間体として有用であ
る。
【0003】従来、フェノール類とtーブチルヒドロペ
ルオキシドをピリジニウムジクロマート(PDC)の存在下
に反応させたり〔Tetrahedron Lett. Vol.29 (1988年)
3907〜3910〕、 PDCや酸化クロム(CrO3)を触媒として用
いて〔J.Chem.Res. (S) 1990年96頁〕4ーtーブチルジ
オキシー2,5ーシクロヘキサジエンー1ーオン類を製
造する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の方法で
は毒性の強いクロム化合物を多量使用するため環境汚染
の問題があり、また、後者の方法ではクロム化合物の使
用において同一の問題が発生するのみならず、目的化合
物の収率が30%程度と非常に低く、これらの方法を前
記一般式 化1で示される10ーtーブチルジオキシー
1,4ーエストラジエンー3ーオン類を得る目的で、ス
テロイド類とtーブチルヒドロペルオキシドとの反応に
適用しても、工業的に有利な方法とはいえなかった。
【0005】このようなことから、本発明者らはクロム
化合物のような毒性の高い触媒を用いることなく、ステ
ロイド類とtーブチルヒドロペルオキシドとを反応させ
て、新規化合物である一般式 化1で示される10ーt
ーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー3ーオン
類を製造すべく鋭意検討の結果、ルテニウム触媒を使用
することにより、好収率で目的とする新規化合物が得ら
れることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は前記
一般式 化1で示される10ーtーブチルジオキシー
1,4ーエストラジエンー3ーオン類を提供するととも
に、一般式 化2 (式中、XおよびYは前記と同じ意味を有する)で示さ
れるステロイド類を、ルテニウム触媒の存在下にtーブ
チルヒドロペルオキシドと反応させることを特徴とする
前記一般式 化1で示される10ーtーブチルジオキシ
ー1,4ーエストラジエンー3ーオン類の製造法を提供
するものである。
【0007】本発明において、原料として使用される上
記一般式 化2で示されるステロイド類としては、例え
ば17−エストラジオール、17−エストラジオール
17−アセタート、17−エストラジオール 17−メ
チルエーテル、エストロンなどが挙げられる。
【0008】この反応において触媒の選択は極めて重要
であり、本発明においてはRu3(CO)12、RuCl
2(PPh3)3 、RuCl2(bpy)2、RuCl3 ・nH
2 O、Ru(OAc)3 、Ru(acac)3 などのル
テニウム触媒が使用される。かかるルテニウム触媒はこ
れらを混合して用いてもよく、また、これらの触媒をヘ
テロポリ酸、シリカゲル、カーボン粉末や高分子物質等
に担持させて使用してもよい。
【0009】前記ステロイド類とt−ブチルヒドロペル
オキシドとの反応において、t−ブチルヒドロペルオキ
シドの使用量は、ステロイド類に対して通常1〜10モ
ル倍、好ましくは2〜6モル倍の範囲である。また、ル
テニウム触媒の使用量は、ステロイド類に対して通常
0.01〜50モル%、好ましくは0.1〜10モル%
の範囲である。
【0010】反応は通常溶媒中で行われ、溶媒としては
ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリドな
どのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル
類、アセトニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トル
エン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類が例示され、その使用量は特に制限
されないが通常ステロイド類に対して1〜20重量倍で
ある。
【0011】反応温度は通常0℃から反応系の還流温度
の範囲であるが、好ましくは10〜50℃の範囲であ
る。反応時間は特に制限なく、反応混合物をLC等で分
析して、目的とする10ーtーブチルジオキシー1,4
ーエストラジエンー3ーオン類の生成率が増加しなくな
った時点を反応終点とすればよい。反応終了後、反応混
合物を例えばフロリジルカラムクロマトグラフィーなど
で精製し、濃縮することにより目的とする10ーtーブ
チルジオキシー1,4ーエストラジエンー3ーオン類を
得ることができる。
【0012】かくして製造される10ーtーブチルジオ
キシー1,4ーエストラジエンー3ーオン類としては、
10ーtーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー
17ーオールー3ーオン、17ーアセトキシー10ーt
ーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー3ーオ
ン、10ーtーブチルジオキシー1,4ーエストラジエ
ンー17ーメトキシー3ーオン、10ーtーブチルジオ
キシー1,4ーエストラジエンー3,17ージオンなど
が例示される。
【0013】
【発明の効果】本発明の方法によれば、毒性問題が生じ
ることもなく、好収率で10ーtーブチルジオキシー
1,4ーエストラジエンー3ーオン類を製造することが
できる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明がこれによって限定されるものでないことはいうま
でもない。
【0015】実施例1 エストロン0.275g、RuCl2(PPh3)3 0.0
57gおよび無水ベンゼン2mlの混合物に、アルゴン
雰囲気下、室温で2.8モル濃度のtーブチルヒドロペ
ルオキシドのベンゼン溶液1.6mlを1時間をかけて
滴下し、さらに同温度で12時間攪拌した。反応終了
後、フロリジルカラムクロマトグラフィー、続いて調製
的薄層クロマトグラフィーにて精製し、10αーtーブ
チルジオキシー1,4ーエストラジエンー3,17ージ
オン0.116g(収率 30%)および10βーtー
ブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー3,17ー
ジオン0.132g(収率 34%)を得た。合計収率
64%
【0016】10αーtーブチルジオキシー1,4ーエ
ストラジエンー3,17ージオン 融点 161.8〜164.0℃ IR(KBr) 3424、2984、2862、1736(C=O)、
1670(C=O)、1635、1363、1194
(C−O)、890(O−0)cm-1 13 C−NMR(C−DCl3 、125MHz ) δ 13.6、22.0、22.7、26.6、31.
3、31.8、32.7、35.3、35.6、47.
7、50.4、55.8、77.3、78.7、12
4.7、130.0、150.5、164.4、18
5.8、219.810βーtーブチルジオキシー1,
4ーエストラジエンー3,17ージオン 融点 138.5〜139.8℃ IR(KBr) 3451、2941、1740、(C=O)、1669
(C=O)、1630、1363、1288、1199
(C−O)、899(O−0)cm-1 13 C−NMR(C−DCl3 、125MHz ) δ 14.0、21.6、24.5、25.5、26.
5、28.5、31.6、35.5、36.4、48.
0、50.5、53.2、79,6、80.8、12
7.0、129.0、149.7、162.7、18
6.1、219.5

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 化1 (式中、Xは水素原子またはアルキル基を示し、Yは水
    酸基、アルキル基、アシロキシ基またはアルコキシル基
    を示す;あるいはXとYとが一緒になって=Oを示
    す。)で示される10ーtーブチルジオキシー1,4ー
    エストラジエンー3ーオン類。
  2. 【請求項2】一般式 化2 (式中、Xは水素原子またはアルキル基を示し、Yは水
    酸基、アルキル基、アシロキシ基またはアルコキシル基
    を示す;あるいはXとYとが一緒になって=Oを示
    す。)で示されるステロイド類を、ルテニウム触媒の存
    在下にtーブチルヒドロペルオキシドと反応させること
    を特徴とする請求項1に記載の一般式 化1で示される
    10ーtーブチルジオキシー1,4ーエストラジエンー
    3ーオン類の製造方法。
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