JP3184569B2 - 繊維状黒色導電性物質及びその製造方法 - Google Patents
繊維状黒色導電性物質及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維状黒色導電性物質
及びその製造方法に関するものである。
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックス、塗料等に配合して導電
性を付与するための粉末材料として、チタン酸アルカリ
を使用しこれを処理加工して導電性粉末となすことは従
来より種々提案されている。例えば、チタン酸アルカリ
自体を炭素物質と混合し、不活性ガスの高温下(500
〜1300℃)で焼成する方法(特公昭62−3767
号公報、特公昭62−40291号公報等)が知られて
いる。この方法は炭素物質を物理的に混合して行うた
め、この際の外力によりチタン酸アルカリの繊維形状が
破壊ないし粒状化され易い欠点があり、最終的には高度
の導電性値≒粉末体積電気比抵抗値は期待し難い。ま
た、チタン酸アルカリ自体を水素ガスの高温下(500
℃〜1100℃)で還元して白色導電性のチタン酸アル
カリの部分還元物とする方法(特開昭60−11261
7号公報)も提案されているが、水素ガスの取扱いは安
全作業上の対策を必要とし、また設備的にも安全性の対
応が特に必要となる。また、この方法での水素還元にお
いては、チタン酸アルカリ粉末中への水素ガスの滲透に
は高温下で長時間を要し生産効率上も好ましくない。ま
た、炭化水素溶液に繊維物質を分散して乾燥したものを
不活性又は還元性雰囲気下で導電性繊維物質を得る方法
(特開昭63−12758号公報)も知られており、繊
維物質としてチタン酸アルカリ繊維を用いる点が開示さ
れているが、この場合もチタン酸アルカリ繊維に対して
は上記のものと同様の問題点がある。
性を付与するための粉末材料として、チタン酸アルカリ
を使用しこれを処理加工して導電性粉末となすことは従
来より種々提案されている。例えば、チタン酸アルカリ
自体を炭素物質と混合し、不活性ガスの高温下(500
〜1300℃)で焼成する方法(特公昭62−3767
号公報、特公昭62−40291号公報等)が知られて
いる。この方法は炭素物質を物理的に混合して行うた
め、この際の外力によりチタン酸アルカリの繊維形状が
破壊ないし粒状化され易い欠点があり、最終的には高度
の導電性値≒粉末体積電気比抵抗値は期待し難い。ま
た、チタン酸アルカリ自体を水素ガスの高温下(500
℃〜1100℃)で還元して白色導電性のチタン酸アル
カリの部分還元物とする方法(特開昭60−11261
7号公報)も提案されているが、水素ガスの取扱いは安
全作業上の対策を必要とし、また設備的にも安全性の対
応が特に必要となる。また、この方法での水素還元にお
いては、チタン酸アルカリ粉末中への水素ガスの滲透に
は高温下で長時間を要し生産効率上も好ましくない。ま
た、炭化水素溶液に繊維物質を分散して乾燥したものを
不活性又は還元性雰囲気下で導電性繊維物質を得る方法
(特開昭63−12758号公報)も知られており、繊
維物質としてチタン酸アルカリ繊維を用いる点が開示さ
れているが、この場合もチタン酸アルカリ繊維に対して
は上記のものと同様の問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記のよ
うな従来技術の問題点を解決すべく、鋭意研究の結果、
繊維状酸化チタン又は繊維状チタン酸アルカリ粒子個々
の表面を、酸化錫の部分還元体(SnO2-x )もしくは
これと炭素との混合物よりなる皮膜、又は酸化チタンの
部分還元体(TiO2-x )もしくはこれと炭素との混合
物よりなる皮膜、のいずれか一方又はそれらの複合皮膜
(2層構成)で被覆したものがすぐれた導電性を有すと
の知見を得、本発明を完成した。本発明の目的は、この
ような導電性物質及びこれを効率よく製造する方法を提
供するにある。
うな従来技術の問題点を解決すべく、鋭意研究の結果、
繊維状酸化チタン又は繊維状チタン酸アルカリ粒子個々
の表面を、酸化錫の部分還元体(SnO2-x )もしくは
これと炭素との混合物よりなる皮膜、又は酸化チタンの
部分還元体(TiO2-x )もしくはこれと炭素との混合
物よりなる皮膜、のいずれか一方又はそれらの複合皮膜
(2層構成)で被覆したものがすぐれた導電性を有すと
の知見を得、本発明を完成した。本発明の目的は、この
ような導電性物質及びこれを効率よく製造する方法を提
供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維状黒色導電
性物質は、上記の目的を達成するため、繊維状酸化チタ
ン微粒子又は繊維状チタン酸アルカリ微粒子の表面に、
酸化錫と炭素の混合物よりなる皮膜、又は酸化チタンと
炭素の混合物よりなる皮膜、のいずれか単独皮膜又はそ
れらの複合皮膜層を形成したことを特徴とする。また、
繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタン酸アルカリ微
粒子の表面に、酸化錫の部分還元体よりなる皮膜、又は
酸化チタンの部分還元体よりなる皮膜、のいずれか単独
皮膜又はそれらの複合皮膜層を形成して、繊維状黒色導
電性物質となし、かつ、繊維状黒色導電性物質の体積電
気比抵抗の値は9×10 -1 Ωcm以下であることを特徴
とする繊維状黒色導電性物質である。また、このような
導電性物質を製造する方法は、繊維状酸化チタン微粒子
又は繊維状チタン酸アルカリの表面を、有機多塩基酸の
錫塩もしくはチタン酸塩の皮膜層又はそれら2層よりな
る皮膜層で被覆した後、これを不活性ガスの雰囲気下3
00〜1000℃で仮焼することを特徴とするものであ
る。好ましくは、前記有機多塩基酸は酒石酸、コハク
酸、リンゴ酸又はクエン酸である。
性物質は、上記の目的を達成するため、繊維状酸化チタ
ン微粒子又は繊維状チタン酸アルカリ微粒子の表面に、
酸化錫と炭素の混合物よりなる皮膜、又は酸化チタンと
炭素の混合物よりなる皮膜、のいずれか単独皮膜又はそ
れらの複合皮膜層を形成したことを特徴とする。また、
繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタン酸アルカリ微
粒子の表面に、酸化錫の部分還元体よりなる皮膜、又は
酸化チタンの部分還元体よりなる皮膜、のいずれか単独
皮膜又はそれらの複合皮膜層を形成して、繊維状黒色導
電性物質となし、かつ、繊維状黒色導電性物質の体積電
気比抵抗の値は9×10 -1 Ωcm以下であることを特徴
とする繊維状黒色導電性物質である。また、このような
導電性物質を製造する方法は、繊維状酸化チタン微粒子
又は繊維状チタン酸アルカリの表面を、有機多塩基酸の
錫塩もしくはチタン酸塩の皮膜層又はそれら2層よりな
る皮膜層で被覆した後、これを不活性ガスの雰囲気下3
00〜1000℃で仮焼することを特徴とするものであ
る。好ましくは、前記有機多塩基酸は酒石酸、コハク
酸、リンゴ酸又はクエン酸である。
【0005】本発明に用いられる繊維状酸化チタン又は
チタン酸アルカリ(以下、基体という)は、通常、平均
長さ約40μm、アスペクト比約80である。このよう
な粒子個々の表面に、先ず有機多塩基酸例えば酒石酸、
コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等の錫又はチタン塩で被
覆するには、(SnCl4 +有機多塩基酸)又は(Ti
Cl4 +有機多塩基酸)の水溶液中に、基体粒子が凝集
を起こさないように個々に分散させ、この分散溶液を徐
々に加温して前記SnCl4 又はTiCl4 を加水分解
せしめ、析出する有機多塩基酸のSn塩又はTi塩の超
微粒子を、基体粒子個々の分散を支持しつつ、該基体粒
子表面に皮膜状に沈着被覆せしめる。この際の基体の分
散濃度は通常0.5〜5%が好ましい。SnCl4 又は
TiCl4 の使用量(重量比)は、SnCl4 又はTi
Cl4 /基体=0.01〜4が好ましい。有機多塩基酸
の使用量(モル比)は有機多塩基酸/SnCl4 又はT
iCl4 =0.2〜5が好ましい。また、上記加水分解
に当たっては通常50〜100℃の範囲で1〜10時間
の範囲で行われる。
チタン酸アルカリ(以下、基体という)は、通常、平均
長さ約40μm、アスペクト比約80である。このよう
な粒子個々の表面に、先ず有機多塩基酸例えば酒石酸、
コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等の錫又はチタン塩で被
覆するには、(SnCl4 +有機多塩基酸)又は(Ti
Cl4 +有機多塩基酸)の水溶液中に、基体粒子が凝集
を起こさないように個々に分散させ、この分散溶液を徐
々に加温して前記SnCl4 又はTiCl4 を加水分解
せしめ、析出する有機多塩基酸のSn塩又はTi塩の超
微粒子を、基体粒子個々の分散を支持しつつ、該基体粒
子表面に皮膜状に沈着被覆せしめる。この際の基体の分
散濃度は通常0.5〜5%が好ましい。SnCl4 又は
TiCl4 の使用量(重量比)は、SnCl4 又はTi
Cl4 /基体=0.01〜4が好ましい。有機多塩基酸
の使用量(モル比)は有機多塩基酸/SnCl4 又はT
iCl4 =0.2〜5が好ましい。また、上記加水分解
に当たっては通常50〜100℃の範囲で1〜10時間
の範囲で行われる。
【0006】このようにして有機多塩基酸の錫又はチタ
ン塩皮膜で被覆された基体は常法で濾過、水洗され、8
0〜120℃下で熱風乾燥することで、外力的粉砕工程
の必要のない程の良好な白色粉末状態となる。得られた
粉末を仮焼するには、通常、管状電気炉で、不活性ガス
例えばN2 ガスを通しながら300〜600℃で仮焼す
ると、粒子表面の多塩基酸の錫塩皮膜又はチタン塩皮膜
又はこれらの2層皮膜は熱分解して炭素(C)を含有す
る「SnO2 +炭素」皮膜又は「TiO2 +炭素」皮膜
又はこれらの2層皮膜となるも、更に仮焼温度を700
〜1000℃域に昇温することで、皮膜中の炭素(C)
が下記のようにSnO2 又はTiO2 の酸素(O2 )に
脱酸素的に部分還元作用して、 SnO2 (又はTiO2 )+C→SnO2-x (又はTiO2-x )+CO2 黒色導電性のSnO2-x 皮膜又はTiO2-x 皮膜が形成
され、導電性の極めて良好な繊維状酸化チタン又はチタ
ン酸アルカリを基体とした繊維状黒色導電性物質が得ら
れる。
ン塩皮膜で被覆された基体は常法で濾過、水洗され、8
0〜120℃下で熱風乾燥することで、外力的粉砕工程
の必要のない程の良好な白色粉末状態となる。得られた
粉末を仮焼するには、通常、管状電気炉で、不活性ガス
例えばN2 ガスを通しながら300〜600℃で仮焼す
ると、粒子表面の多塩基酸の錫塩皮膜又はチタン塩皮膜
又はこれらの2層皮膜は熱分解して炭素(C)を含有す
る「SnO2 +炭素」皮膜又は「TiO2 +炭素」皮膜
又はこれらの2層皮膜となるも、更に仮焼温度を700
〜1000℃域に昇温することで、皮膜中の炭素(C)
が下記のようにSnO2 又はTiO2 の酸素(O2 )に
脱酸素的に部分還元作用して、 SnO2 (又はTiO2 )+C→SnO2-x (又はTiO2-x )+CO2 黒色導電性のSnO2-x 皮膜又はTiO2-x 皮膜が形成
され、導電性の極めて良好な繊維状酸化チタン又はチタ
ン酸アルカリを基体とした繊維状黒色導電性物質が得ら
れる。
【0007】得られた製品の導電性数値を粉末体積電気
比抵抗でみると、(導電性皮膜量≒SnO2-x 又はTi
O2-x 又はこれらの混合量)と(繊維状酸化チタン又は
繊維状チタン酸アルカリ量)の比が増加するに応じて、
1010Ωcm→10-1Ωと導電性が向上するが、好まし
い「導電性皮膜量」の「繊維状酸化チタン又は繊維状チ
タン酸アルカリ量」に対する量比は0.05〜2.0で
ある。
比抵抗でみると、(導電性皮膜量≒SnO2-x 又はTi
O2-x 又はこれらの混合量)と(繊維状酸化チタン又は
繊維状チタン酸アルカリ量)の比が増加するに応じて、
1010Ωcm→10-1Ωと導電性が向上するが、好まし
い「導電性皮膜量」の「繊維状酸化チタン又は繊維状チ
タン酸アルカリ量」に対する量比は0.05〜2.0で
ある。
【0008】
【作用】繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタン酸ア
ルカリ微粒子の表面に対する導電性皮膜の形成は、先ず
有機多塩基酸の錫塩、又はチタン塩の皮膜を形成し、し
かる後これを仮焼することにより仮焼初期に熱分解で膜
内に炭素を生成させ、次いでこの生成した炭素により膜
内のSnO2 又はTiO2の脱酸素的部分還元を行わせ
るものであるため、極めて効果的に還元が遂行される。
またこれによる導電性数値も粉末体積電気比抵抗にして
10-1Ω前後の非常に良好なものとなる。したがって、
例えばプラスチックス、紙、塗料等の導電性フイラーと
して好適であり、かつ配合量も低減できる。
ルカリ微粒子の表面に対する導電性皮膜の形成は、先ず
有機多塩基酸の錫塩、又はチタン塩の皮膜を形成し、し
かる後これを仮焼することにより仮焼初期に熱分解で膜
内に炭素を生成させ、次いでこの生成した炭素により膜
内のSnO2 又はTiO2の脱酸素的部分還元を行わせ
るものであるため、極めて効果的に還元が遂行される。
またこれによる導電性数値も粉末体積電気比抵抗にして
10-1Ω前後の非常に良好なものとなる。したがって、
例えばプラスチックス、紙、塗料等の導電性フイラーと
して好適であり、かつ配合量も低減できる。
【0009】
【実施例1】 塩化錫(SnCl4 ) 8.65g リンゴ酸 4.45g 35%HCl 20ml 脱イオン水 1000ml よりなる溶液(A)の攪拌下に、 平均長さ40μm、アスペクト比約80なる繊維状酸化チタン 50g 35%HCl 10ml 脱イオン水 3500ml よりなる懸濁液(B)を徐々に注加して全量を約450
0mlにした。後、この攪拌下の分散懸濁液を徐々に加
熱加温して、60℃になった時点で、 塩化チタン(TiCl4 ) 106.9g リンゴ酸 75.6g 35%HCl 25ml 脱イオン水 500ml よりなる溶液(C)を徐々に注加しつつ、同時に溶液系
の温度も徐々に昇温して、SnCl4 及びTiCl4 を
加水分解せしめて析出する「リンゴ酸のSn塩及びTi
塩の超微粒子」を、この溶液系内で効果的に分散してい
る繊維状酸化チタン粒子の表面に皮膜的に被覆せしめ
る。この溶液系の温度が95℃に達した時点で加熱を中
止し、これを常法にて濾過、水洗して得られる水湿ケー
キを100℃の熱風で乾燥すると外力的粉砕を必要とし
ないほどの非常に良好な白色粉末となる。これをアルミ
ナ製磁器ボートに採り、不活性ガス(N2 )置換の管状
式電気炉内に静置してN2 を通じつつ炉内温度を徐々に
昇温しつつ800℃×1hr仮焼することで、黒色の導
電性還元皮膜SnO2-x 及びTiO2-x よりなる2層皮
膜で被覆された繊維状酸化チタンを得た。なお、このも
のの粉末状態は非常に良好なもので且つ粉末の体積電気
比抵抗は、 7×10-1Ωcm であった。なお、粉末の体積電気比抵抗は、下記要領で
測定した。導電性粉末を100kg/cm2 の圧力下で
直径20mm、厚さ4mmの円柱状圧粉体を成形し、こ
れの体積電気比抵抗を測定した。
0mlにした。後、この攪拌下の分散懸濁液を徐々に加
熱加温して、60℃になった時点で、 塩化チタン(TiCl4 ) 106.9g リンゴ酸 75.6g 35%HCl 25ml 脱イオン水 500ml よりなる溶液(C)を徐々に注加しつつ、同時に溶液系
の温度も徐々に昇温して、SnCl4 及びTiCl4 を
加水分解せしめて析出する「リンゴ酸のSn塩及びTi
塩の超微粒子」を、この溶液系内で効果的に分散してい
る繊維状酸化チタン粒子の表面に皮膜的に被覆せしめ
る。この溶液系の温度が95℃に達した時点で加熱を中
止し、これを常法にて濾過、水洗して得られる水湿ケー
キを100℃の熱風で乾燥すると外力的粉砕を必要とし
ないほどの非常に良好な白色粉末となる。これをアルミ
ナ製磁器ボートに採り、不活性ガス(N2 )置換の管状
式電気炉内に静置してN2 を通じつつ炉内温度を徐々に
昇温しつつ800℃×1hr仮焼することで、黒色の導
電性還元皮膜SnO2-x 及びTiO2-x よりなる2層皮
膜で被覆された繊維状酸化チタンを得た。なお、このも
のの粉末状態は非常に良好なもので且つ粉末の体積電気
比抵抗は、 7×10-1Ωcm であった。なお、粉末の体積電気比抵抗は、下記要領で
測定した。導電性粉末を100kg/cm2 の圧力下で
直径20mm、厚さ4mmの円柱状圧粉体を成形し、こ
れの体積電気比抵抗を測定した。
【0010】
【比較例1】実施例1において、リンゴ酸及び35%H
Clを使用しない他は、全く同様な操作要領で、SnC
l4 及びTiCl4 の加水分解を行ったが、この系内で
の繊維状酸化チタン粒子は個々に分散せずして、相互に
凝集した攪拌系であった。また、加水分解終了後の濾過
操作においては濾過性が非常に悪く、また100℃下の
熱風で乾燥したものは白色せんべい状の固形物となり、
とても粉末状態と言えるものではなかった。これを更に
実施例1と同様アルミナ製磁器ボートに採り、不活性ガ
ス(N2 )置換の管状式電気炉内に静置し、N2 ガスを
通じつつ炉内温度を徐々に昇温して800℃×1hr仮
焼したが、得られたものはやはり白色のせんべい状固形
物で導電性もまた1010Ω以上で測定不可能なものであ
った。
Clを使用しない他は、全く同様な操作要領で、SnC
l4 及びTiCl4 の加水分解を行ったが、この系内で
の繊維状酸化チタン粒子は個々に分散せずして、相互に
凝集した攪拌系であった。また、加水分解終了後の濾過
操作においては濾過性が非常に悪く、また100℃下の
熱風で乾燥したものは白色せんべい状の固形物となり、
とても粉末状態と言えるものではなかった。これを更に
実施例1と同様アルミナ製磁器ボートに採り、不活性ガ
ス(N2 )置換の管状式電気炉内に静置し、N2 ガスを
通じつつ炉内温度を徐々に昇温して800℃×1hr仮
焼したが、得られたものはやはり白色のせんべい状固形
物で導電性もまた1010Ω以上で測定不可能なものであ
った。
【0011】
【実施例2】実施例1における繊維状酸化チタンの代わ
りに平均長さ40μm、アスペクト比約80のチタン酸
カリウム「K2 O(TiO2 )6」及び実施例1における
有機多塩基酸としてリンゴ酸の代わりに酒石酸を同一モ
ル量で使用した他は同様に実施した。得られた繊維状黒
色導電性物質は良好な粉末状態であり、且つ粉末体積電
気比抵抗は1×10-1Ωであった。
りに平均長さ40μm、アスペクト比約80のチタン酸
カリウム「K2 O(TiO2 )6」及び実施例1における
有機多塩基酸としてリンゴ酸の代わりに酒石酸を同一モ
ル量で使用した他は同様に実施した。得られた繊維状黒
色導電性物質は良好な粉末状態であり、且つ粉末体積電
気比抵抗は1×10-1Ωであった。
【0012】
【実施例3】実施例2における有機多塩基酸としての酒
石酸の代わりに、クエン酸の同一モル量を使用した他
は、全く同様に操作して得られた繊維状黒色導電性物質
は、良好な粉末状態であり、且つ粉末体積電気比抵抗は
4×10-1Ωであった。
石酸の代わりに、クエン酸の同一モル量を使用した他
は、全く同様に操作して得られた繊維状黒色導電性物質
は、良好な粉末状態であり、且つ粉末体積電気比抵抗は
4×10-1Ωであった。
【0013】
【実施例4】 塩化チタン(TiCl4 ) 11.9g クエン酸 12.0g 35%HCl 20ml 脱イオン水 1000ml よりなる溶液(D)の攪拌下に、 平均長さ40μm、アスペクト比約80なる繊維状酸化チタン 100g 35%HCl 20ml 脱イオン水 3500ml よりなる懸濁液(E)を徐々に注加して全量を約450
0mlにした。後、この攪拌下の懸濁分散液を徐々に加
熱加温して、70℃になった時点で、 塩化チタン(TiCl4 ) 106.9g クエン酸 107.7g 35%HCl 25ml 脱イオン水 500ml よりなる溶液(F)を徐々に注加しつつ、同時に加水分
解系の温度も徐々に昇温して、TiCl4 を加水分解せ
しめて析出する「クエン酸のTi塩の超微粒子」を、こ
の系内で効果的に分散している繊維状酸化チタン粒子の
表面に皮膜的に被覆せしめる。この溶液系の温度が95
℃に達した時点で加熱を中止し、これを常法にて濾過、
水洗して得られる水湿ケーキを80℃の熱風で乾燥する
と外力的粉砕を必要としないほどの非常に良好な白色粉
末となる。これを前記実施例1と同一要領の仮焼条件で
熱分解〜脱酸素還元を行って、黒色の導電性還元皮膜T
iO2-x よりなる皮膜で被覆された繊維状酸化チタンを
得た。なお、このものの粉末状態は非常に良好なもので
且つ粉末の体積電気比抵抗は、9×10-1Ωcmで、粉
末の収量組成は、 繊維状酸化チタン 100g 脱酸素還元(TiO2-x ) 40g であった。
0mlにした。後、この攪拌下の懸濁分散液を徐々に加
熱加温して、70℃になった時点で、 塩化チタン(TiCl4 ) 106.9g クエン酸 107.7g 35%HCl 25ml 脱イオン水 500ml よりなる溶液(F)を徐々に注加しつつ、同時に加水分
解系の温度も徐々に昇温して、TiCl4 を加水分解せ
しめて析出する「クエン酸のTi塩の超微粒子」を、こ
の系内で効果的に分散している繊維状酸化チタン粒子の
表面に皮膜的に被覆せしめる。この溶液系の温度が95
℃に達した時点で加熱を中止し、これを常法にて濾過、
水洗して得られる水湿ケーキを80℃の熱風で乾燥する
と外力的粉砕を必要としないほどの非常に良好な白色粉
末となる。これを前記実施例1と同一要領の仮焼条件で
熱分解〜脱酸素還元を行って、黒色の導電性還元皮膜T
iO2-x よりなる皮膜で被覆された繊維状酸化チタンを
得た。なお、このものの粉末状態は非常に良好なもので
且つ粉末の体積電気比抵抗は、9×10-1Ωcmで、粉
末の収量組成は、 繊維状酸化チタン 100g 脱酸素還元(TiO2-x ) 40g であった。
【0014】
【比較例2】実施例4における有機多塩基酸としてのク
エン酸の代わりに、有機一塩基酸の酢酸(CH3 COO
H)の同一モル量を使用した他は、全く同様の操作にて
TiCl4 の加水分解を行ったが、この系内での繊維状
酸化チタンの粒子は個々に分散せずして相互に凝集した
攪拌系であった。また、加水分解終了後の濾過操作にお
いては濾過性が非常に悪く、また80℃下の熱風で乾燥
したものは白色せんべい状の固形物となり、とても粉末
状態と言えるものではなかった。また、このものを実施
例4と同様の仮焼条件で仮焼したが、やはり白色のせん
べい状固形物で、且つ導電性も1010Ω以上で測定不可
能であった。
エン酸の代わりに、有機一塩基酸の酢酸(CH3 COO
H)の同一モル量を使用した他は、全く同様の操作にて
TiCl4 の加水分解を行ったが、この系内での繊維状
酸化チタンの粒子は個々に分散せずして相互に凝集した
攪拌系であった。また、加水分解終了後の濾過操作にお
いては濾過性が非常に悪く、また80℃下の熱風で乾燥
したものは白色せんべい状の固形物となり、とても粉末
状態と言えるものではなかった。また、このものを実施
例4と同様の仮焼条件で仮焼したが、やはり白色のせん
べい状固形物で、且つ導電性も1010Ω以上で測定不可
能であった。
【0015】
【実施例5】実施例4における仮焼温度を表1に示す温
度で行った以外は実施例4と同様に操作して得られた各
繊維状黒色物質の粉末の色相、炭素混在の有無、粉末体
積電気比抵抗はそれぞれ表1に示すとおりであった。
度で行った以外は実施例4と同様に操作して得られた各
繊維状黒色物質の粉末の色相、炭素混在の有無、粉末体
積電気比抵抗はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】本発明の繊維状黒色導電性物質は、繊維
状酸化チタン又は繊維状チタン酸アルカリの粒子表面
を、酸化錫の部分還元体(SnO2-x )もしくはこれと
炭素との混合物よりなる皮膜又は酸化チタンの部分還元
体(TiO2-x )よりなる皮膜もしくはこれと炭素の混
合物よりなる皮膜あるいはこれらの2層皮膜で被覆した
ことにより、粉末体積電気比抵抗はすぐれた導電性を有
しており、プラスチックス、紙、塗料等の導電性付与用
フイラーとして好適である。また安全に効率よく製造て
きるのでその効果は極めて大きい。
状酸化チタン又は繊維状チタン酸アルカリの粒子表面
を、酸化錫の部分還元体(SnO2-x )もしくはこれと
炭素との混合物よりなる皮膜又は酸化チタンの部分還元
体(TiO2-x )よりなる皮膜もしくはこれと炭素の混
合物よりなる皮膜あるいはこれらの2層皮膜で被覆した
ことにより、粉末体積電気比抵抗はすぐれた導電性を有
しており、プラスチックス、紙、塗料等の導電性付与用
フイラーとして好適である。また安全に効率よく製造て
きるのでその効果は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/00 CA(STN)
Claims (4)
- 【請求項1】 繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタ
ン酸アルカリ微粒子の表面に、酸化錫と炭素の混合物よ
りなる皮膜、又は酸化チタンと炭素の混合物よりなる皮
膜、のいずれか単独皮膜又はそれらの複合皮膜層を形成
したことを特徴とする繊維状黒色導電性物質。 - 【請求項2】 繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタ
ン酸アルカリ微粒子の表面に、酸化錫の部分還元体より
なる皮膜、又は酸化チタンの部分還元体よりなる皮膜、
のいずれか単独皮膜又はそれらの複合皮膜層を形成し
て、繊維状黒色導電性物質となし、 かつ、繊維状黒色導電性物質の体積電気比抵抗の値は9
×10 -1 Ωcm以下である ことを特徴とする繊維状黒色
導電性物質。 - 【請求項3】 繊維状酸化チタン微粒子又は繊維状チタ
ン酸アルカリの表面を、有機多塩基酸の錫塩もしくはチ
タン酸塩の皮膜層又はそれら2層よりなる皮膜層で被覆
した後、これを不活性ガスの雰囲気下300〜1000
℃で仮焼することを特徴とする繊維状黒色導電性物質の
製造方法。 - 【請求項4】 有機多塩基酸は酒石酸、コハク酸、リン
ゴ酸又はクエン酸である請求項3記載の繊維状黒色導電
性物質の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19356891A JP3184569B2 (ja) | 1991-07-09 | 1991-07-09 | 繊維状黒色導電性物質及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19356891A JP3184569B2 (ja) | 1991-07-09 | 1991-07-09 | 繊維状黒色導電性物質及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0517148A JPH0517148A (ja) | 1993-01-26 |
JP3184569B2 true JP3184569B2 (ja) | 2001-07-09 |
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ID=16310186
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3184569B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0753217A (ja) * | 1993-08-12 | 1995-02-28 | Otsuka Chem Co Ltd | 導電性酸化チタン繊維、その製造方法及び導電性樹脂組成物 |
-
1991
- 1991-07-09 JP JP19356891A patent/JP3184569B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0517148A (ja) | 1993-01-26 |
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