JP3184070B2 - 樹脂玉を有する細線およびその製造方法 - Google Patents

樹脂玉を有する細線およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細線単独で、また
は他の細線と結束し易いところに特徴のある樹脂玉を有
する細線に関するものであり、用途は特に限定されない
が、例えば釣り糸等に有用である。
【0002】
【従来の技術】直径数mm以下の金属細線、合成樹脂製
細線または天然繊維等の細線を、他の部材に巻き付けて
結んだり、細線を他の細線と結び付ける方法としては、
丸結び、電車結び、八の字結び等の種々の方法がある。
しかし、細線が金属細線、特に鋼線等の様に剛性が大き
い場合、結び目部分が屈曲して結束強度が低下してしま
うという問題があった。さらに、直径数mm程度の剛直
な金属線やロープに対して、より細い細線を結びつける
場合は、金属線やロープを屈曲させることができないの
で、相手方細線の方を複雑に巻き付けなければならない
が、結局抜け落ちてしまうことが多く、接着剤を併用す
るなどの他の結合手段が必要であった。さらに直径数十
μm以下の非常に細い細線では、細線が見えにくく結束
作業が困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、細線を結んだときの結束
強度が大きく、また他の細線と結ぶ場合に他の細線が抜
け落ちにくく、しかも視認性に優れた細線を提供するこ
とを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の樹脂玉を有する細線は、光硬化性樹脂
を硬化させて得られる樹脂玉が1個もしくは離間して複
数個固着されているものであるところに要旨を有する。
樹脂玉は、細線の軸心周りに固着されていることが好ま
しく、その形状は、球、楕円体、卵形のいずれかである
ことが好ましい実施態様である。樹脂玉が、その長手方
向中心軸と前記細線の軸心が同一方向となる様に固着さ
れていること、樹脂玉の幅方向最大径が、前記細線の直
径に対し1.4〜30倍であること、樹脂玉の長手方向
最大径が、前記樹脂玉の幅方向最大径に対し1〜5倍で
あることは、いずれも樹脂玉と細線の固着状態を良好に
するために推奨される要件である。なお樹脂玉が真球の
場合は、球の直径と幅方向最大径を同義とみる。光硬化
性樹脂は、硬化性に優れたエポキシアクリレートを含有
するものであることが推奨される。
【0005】本発明の細線は、直径0.02〜5mm以
下の金属細線、特に鋼線である場合に、本発明の効果が
顕著に示される。また本発明の細線は、該細線同士を、
または該細線と他の細線を、もしくは該細線を他の部材
に結び付けるために使用されるものである。
【0006】本発明の細線は、細線に、光硬化性樹脂組
成物の液滴を付着させ、活性光線を照射することによっ
て製造されるが、このときの樹脂組成物は、25℃にお
ける粘度が500〜5000cpsであると、均一な形
状および付着状態の樹脂の液滴を付着させることができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、光硬化性樹脂を硬化さ
せて得られる樹脂玉が1個以上設けられた細線を提供す
るものである。本発明では、樹脂玉は光硬化性樹脂によ
って形成されなければならない。これは、熱硬化性樹脂
では加熱硬化に時間がかかり、樹脂玉の形状安定性が望
めないためである。すなわち熱硬化性樹脂は、速硬化型
であっても数分の加熱を要し、この加熱工程の初期は樹
脂の粘度がかなり低下するため、樹脂玉が細線から脱落
してしまうのである。しかし、光硬化性樹脂では、硬化
が秒単位の短時間で完了するため、硬化前の樹脂組成物
を、所望の樹脂玉の大きさに適合した粘度に調整してお
けば、脱落させることなく均一な形状の樹脂玉を細線上
に効率的に形成することができる。
【0008】本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物の
主たる成分は、(A)光重合性希釈剤および(B)光重
合性オリゴマーからなる光重合性成分と、(C)光重合
開始剤である。光重合性希釈剤とは、高粘度成分である
(B)の光重合性オリゴマーを希釈し、樹脂組成物を樹
脂玉を形成するのに好ましい粘度にするために使用され
る低粘度成分の光重合性化合物である。従って、光重合
性オリゴマーであっても、粘度が比較的小さいものが
(A)として使用される場合もある。
【0009】(A)の光重合性希釈剤としては、脂肪族
または芳香族アルコール、アルキレンまたはポリアルキ
レングリコール、あるいはコハク酸等の多塩基酸のアル
キレンまたはポリアルキレングリコール付加物等のヒド
ロキシル基含有化合物と(メタ)アクリル酸とのエステ
ルである光重合性の(メタ)アクリロイル基を含有する
化合物が用いられる。活性光線に対する反応性はアクリ
レート系化合物の方がメタクリレート系化合物に比べて
良いが、硬化後の物性はメタクリレート系化合物の方が
良い場合もあり、用途に応じて選択・併用すれば良い。
【0010】具体的には、イソデシル(メタ)アクリレ
ート、イソオクチル(メタ)アクリレート、アミル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレ
ート類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチ
ル(メタ)アクリレート、フェニルブチル(メタ)アク
リレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フ
ェノキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルエチ
ル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アク
リレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の芳
香族(メタ)アクリレート類;ヘキサメチレンジ(メ
タ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレンジ(メタ)アクリレート等のアルキレ
ングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート類;
トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコ
ールのモノまたはジ(メタ)アクリレート類;コハク
酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸等の多塩基酸にアル
キレングリコールまたはポリアルキレングリコールが付
加したポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、これ
らを単独でもしくは2種以上を混合して使用することが
できる。なおこれらの(メタ)アクリレート類は、本発
明の特徴を損なわない程度に、分子中にエーテル結合、
他のエステル結合、ウレタン結合が導入されたものであ
っても良い。
【0011】(B)の光重合性オリゴマー(高粘度光重
合性成分)は、硬化後の樹脂玉の強度、硬度および細線
に対する接着性等に影響を及ぼす。本発明では硬化性に
優れたビスフェノールA系のエポキシ(メタ)アクリレ
ートオリゴマーが好ましく用いられる。具体例として
は、ブチルアルコール、アミルアルコール、アリルアル
コール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類を
ビスフェノールA系ジグリシジルエーテルに付加させ、
(メタ)アクリル酸と反応させたモノまたはジ(メタ)
アクリレート;トリエチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリプロピレングリコール等のポリアルキレ
ングリコール類をビスフェノールA系ジグリシジルエー
テルと付加させたモノ、ジ、トリ(メタ)アクリレート
等が好ましいものとして例示される。またビスフェノー
ルA系化合物と、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物と
の反応物の(メタ)アクリレートも好ましく使用でき
る。これらを単独でもしくは2種以上を混合して使用す
ることができる。なおこれらのエポキシ(メタ)アクリ
レート類は、本発明の特徴を損なわない程度に、分子中
にエーテル結合、他のエステル結合、ウレタン結合が導
入されたものであっても良い。
【0012】上記した(A)光重合性希釈剤と(B)光
重合性オリゴマーの配合比率は特に限定されないが、両
者の混合後の樹脂組成物の25℃での粘度が500〜5
000cpsとなる様に混合することが推奨される(樹
脂組成物中には(C)の光重合開始剤も必須成分として
含まれるが、粘度には影響を及ぼさない)。樹脂組成物
の粘度は、細線に対する樹脂玉の付着性や樹脂玉の形状
に影響を及ぼす。500cpsより粘度が低いと、表面
張力が低すぎて細線上に液滴形状を保持できずに脱落し
てしまうことが多く、逆に5000cpsより高粘度に
なると作業性が悪くなると共に、細線に対する濡れ性に
劣るため均一な形状の液滴を細線上に形成させることが
難しくなり、線対称の樹脂玉が得られない。また(A)
の光重合性希釈剤と(B)の光重合性オリゴマーは、相
溶性の良いものを選択することが好ましい。相溶性が悪
いと、硬化が部分的に進行したり、不充分となることが
ある。
【0013】(C)の光重合開始剤は、活性光線によっ
てラジカルを発生し、上記(A)および(B)からなる
光重合性成分の重合を開始させることができれば、特に
限定されず公知の開始剤が使用できる。具体的には、ベ
ンゾインメチルエーテル等のベンゾイン系化合物、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−
2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系化合
物、ベンジルジメチルケタール等のケタール類や、2−
ヒドロキシ−2−エチル−1−フェニルプロパン−1−
オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
チオモルフォリノプロパン、アシルフォスフィンオキシ
ド等が挙げられ、1種または2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0014】上記(C)光重合開始剤は、前記(A)と
(B)からなる光重合性成分100重量部に対して、
0.1〜5重量部の使用が適している。0.1重量部よ
り少ないと、硬化に長時間かかり、硬化不足となる恐れ
がある。5重量部を超えて加えても硬化速度が速まる訳
ではないので、不経済である。
【0015】光硬化性樹脂組成物は、(A)光重合性希
釈剤、(B)光重合性オリゴマーおよび(C)光重合性
開始剤を必須成分とするものであるが、必要に応じて、
酸化防止剤、熱可塑性エラストマー、非反応性充填剤、
染料、顔料等の公知の添加剤を加えても良い。しかし、
粘度が過度に上昇したり、あるいは活性光線の透過を疎
外して硬化不足を引き起こさない程度に添加する必要が
ある。また液状の添加物では、光硬化性樹脂組成物との
相溶性にも注意を払わなければならない。
【0016】光硬化性樹脂組成物を細線上に粘稠な液滴
状態で付着した後、活性光線を照射すれば樹脂玉が形成
される。活性光線としては、水銀ランプやメタルハライ
ドランプなどから発生する紫外線が一般的に使用され、
その他電子線や可視光線、太陽光線を利用しても良い。
【0017】形成される樹脂玉の形状は、液状の上記樹
脂組成物の粘度と付着量および硬化するまでの時間によ
って決定されるが、通常、図1に示した、球状、(長)
楕円体、卵形のいずれかになる。高粘度の樹脂組成物で
は、付着させた形状をそのまま保持して硬化するが、低
粘度のもので硬化完了まで手間取ると、重力の影響で液
滴が垂れ下がりながら硬化するので卵形になる。本発明
の細線の樹脂玉は、結び易くするために設けられるた
め、その形状は特に限定されない。また樹脂玉は、その
長手方向中心軸と細線の軸心が同一になって樹脂玉と細
線の付着部分が最も長くなり接着力が大きくなると共
に、線対称に固着されている場合が結束時に樹脂玉に力
が平均的にかかるため好ましいが、樹脂玉が細線に付着
していれば、線対称でなくても本発明の目的は達成され
る。
【0018】樹脂玉の大きさは、固着される細線の直径
に応じて適宜設定される。細線の直径をd、幅方向最大
径をDとした時、Dは1.4d〜30dとすることが好
ましい。また樹脂玉の長手方向最大径Lは、樹脂玉の幅
方向最大径Dに対して1〜5倍程度が好ましい。樹脂玉
が小さ過ぎると、細線のままと変わらず、樹脂玉を設け
る効果が発揮されず、大き過ぎると細線から脱落し易い
ためである。なお樹脂玉が真球の場合は、球の直径と幅
方向最大径を同義とみる。
【0019】細線の直径dは用途に応じて変更可能であ
り特に限定されないが、0.02〜5mmが本発明の適
用に好ましい範囲である。あまり細いと樹脂玉との接触
面積が小さ過ぎて、樹脂玉が硬化前に脱落し易く、また
硬化完了後であっても剥離してしまうことがある。また
dが5mmを超えると、固着させるべき樹脂玉の大きさ
が必然的に大きくなって、細線との界面近傍の樹脂組成
物の光硬化反応が完了するまで時間がかかり、しかも樹
脂玉の自重が大きくなるので、やはり脱落し易くなる。
【0020】細線の直径に応じた最適の樹脂玉の大きさ
をさらに詳しく述べると、以下の様になる。 d:0.02〜0.1mm …… D:1.4d〜30d d:0.1超〜0.5mm …… D:1.4d〜10d d:0.5超〜1.0mm …… D:1.4d〜5d d:1.0超〜5.0mm …… D:1.4d〜3d 細線の素材は、特に限定されず、鉄、アルミニウム、
銅、チタン、各種合金、鋼等の金属や、セラミックス、
ガラス、ボロン、アルミナ等の無機系のもの、炭素繊
維、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、アクリ
ル、アラミド等の合成樹脂製細線、綿、麻、絹等の天然
繊維等が用いられる。活性光線を反射する金属等では、
細線表面で光が反射するので、細線と樹脂組成物の界面
付近の実効光量が増加する効果も得られる。紫外線吸収
性を有する合成樹脂である場合には、光量を多くしてや
ればよい。また本発明でいう細線は、単線(モノフィラ
メント)に限定されず、長繊維を引き揃えたストランド
や撚りをかけた撚糸、あるいは短繊維を紡いだ紡績糸等
も含まれる。
【0021】本発明の樹脂玉を有する細線を製造する方
法としては特に限定されないが、例えば光重合性希釈剤
と光重合性オリゴマー、光重合開始剤を混合して所定の
粘度の光硬化性樹脂組成物を調製して、ノズルを有する
シリンジ等の容器中に封入し、垂直方向または水平方向
(斜め方向であっても構わない)に張力下に保持されて
いる細線に対し適当量付着させ、活性光線を照射すれば
よい。活性光線の波長は用いる光重合開始剤の種類に応
じて選択できる。もちろん連続生産も可能である。
【0022】本発明は、細線単独で、または他の細線と
結束し易いところに特徴のある樹脂玉を有する細線であ
り、樹脂玉を有する細線同士を、または該細線と他の細
線を、もしくは該細線と他の部材を結び付けるために利
用することができる。細線と他の部材を結び付けるとい
うのは、他の部材がリング状あるいはフック状であって
そこに結び付ける場合や、ある形状を有する部材を単数
もしくは複数まとめて結束する場合がある。いずれの場
合においても、樹脂玉の存在によって結び目の強度(結
束強度)が著しく向上すると共に、結束作業が容易にな
る。また細線が非常に細くて見えにくくても、樹脂玉の
存在によって細線を視認し易くなるという効果も有す
る。このため、頻繁に細線との結束作業が行われる釣り
糸用途に最適である。
【0023】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0024】実施例1 (A)の光重合性希釈剤として、フェノキシエチルアク
リレート[#192;大阪有機化学(株)製]40重量
部、(B)の光重合性オリゴマーとして、ビスフェノー
ルA系エポキシジアクリレート[CN120;Sart
omer社製]60重量部と、(C)の光重合開始剤と
して、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン[Darocur1173;Ciba
Geigy社製]1重量部を均一に混合し、液状の光硬
化性樹脂組成物1を調製した。粘度計[スパイラル粘度
計PM−1;マルコム(株)製]を用いて25℃で樹脂
組成物1の粘度を測定したところ740cpsであっ
た。
【0025】樹脂組成物1をツベルクリン用注射器に入
れ、外径0.4mm、内径0.2mm、針先角度20°
の針から、張力をかけて垂直に保持した直径0.07m
mの鋼線[メタセンサータフ0.125号;ダイワ精工
(株)製]に向けて約1.8μl押し出して、直径1.
5mmのほぼ球状の液滴を細線に対してほぼ線対称にな
る様に付着させ、700mW/cm2 の紫外線を5秒間
照射し、樹脂玉を有する鋼線を得た。
【0026】得られた樹脂玉を有する鋼線と、ナイロン
線[スペクトロン0.4号;ダイワ精工(株)製]を、
図2に示した様に8の字チチワ結びで結束し、細線同士
を軸心方向に引張り、細線が破断する時の荷重を結束破
断強力値として求め、表1に示した。
【0027】実施例2 樹脂玉の直径を0.9mmに変更した以外は実施例1と
同様にして、樹脂玉を有する鋼線を作製した。粘度およ
び結束破断強力値の結果を表1に併記した。
【0028】実施例3 実施例1における、(A)成分を、フェノキシジエチレ
ングリコールアクリレート[AMP−20G;新中村化
学(株)製]に変更して光硬化性樹脂組成物2を作製し
た以外は実施例1と同様にして樹脂玉を有する鋼線を作
製した。粘度および結束破断強力値の結果を表1に併記
した。
【0029】実施例4 実施例1における、(A)成分を、トリプロピレングリ
コールジアクリレート[SR306;Sartomer
社製]に変更して光硬化性樹脂組成物3を作製した以外
は実施例1と同様にして、樹脂玉を有する鋼線を作製し
た。粘度および結束破断強力値の結果を表1に併記し
た。
【0030】実施例5(耐水性試験) 実施例2で作製した樹脂玉を有する鋼線を、25℃の水
中に12日間浸漬させた後の結束破断強力値を測定し、
結果を表1に併記した。
【0031】比較例1 従来の結束方法と比較するため、上記実施例で使用した
鋼線を2本用意し、樹脂玉を固着させずに、丸結びで結
んだ。結束破断強力値の結果を表1に示した。
【0032】比較例2 実施例1において(C)成分を配合しない以外は同様に
して光硬化性樹脂組成物8を調製したが、20秒を超え
て照射しても硬化しなかった。
【0033】
【表1】
【0034】実施例6 (A)成分としてフェノキシエチルアクリレート[AP
G−10G;新中村化学(株)製]30重量部と、
(B)成分としてビスフェノールA系エポキシジアクリ
レート[EA1020;新中村化学(株)製]70重量
部を混合したものに、(C)成分として実施例1と同じ
Darocur1173を1重量部加えて均一に混合
し、液状の光硬化性樹脂組成物4を調製した。この樹脂
組成物の粘度は3500cpsであった。実施例1と同
様にして樹脂玉を付着させ、光硬化させたところ、鋼線
に対する付着性に優れた直径1.5mmのほぼ球状の樹
脂玉を形成させることができた。
【0035】実施例7 実施例6において、(A)成分の量を40重量部、
(B)成分を60重量部に変更して粘度800cpsの
光硬化性樹脂組成物5を作製した。実施例6と同様にし
て樹脂玉を付着させる際に、楕円体形状(長手方向最大
径1.2mm、幅方向最大径0.9mm)の樹脂玉を有
する鋼線を作製した。得られた樹脂玉は鋼線に対する付
着性に優れたものであった。
【0036】実施例8 (A)成分としてトリプロピレングリコールジアクリレ
ート[SR306;Sartomer社製]30重量部
と、(B)成分としてビスフェノールA系エポキシジア
クリレート[EA1020;新中村化学(株)製]70
重量部を混合したものに、(C)成分として2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン[KB−1;S
artomer社製]を2重量部を均一に混合し、液状
の光硬化性樹脂組成物6を調製した。この樹脂組成物6
の粘度は2800cpsであった。実施例7と同様にし
て樹脂玉を有する鋼線を作製した。その結果、鋼線に対
する付着性に優れた直径1.5mmのほぼ球状の樹脂玉
を形成させることができた。
【0037】実施例9 実施例6において用いた細線を、直径1.6mmのステ
ンレスロッドに変更し、樹脂玉の大きさを直径4.4m
mに変更した以外は実施例6と同様にして樹脂玉を有す
る細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉の付着性に
優れたものであった。
【0038】実施例10 実施例9において用いた細線を、直径1.6mmの銅線
に変更した以外は実施例9と同様にして樹脂玉を有する
細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉の付着性に優
れたものであった。
【0039】実施例11 実施例6において用いた細線を、直径3.5mmのガラ
ス繊維強化樹脂製細線に変更し、樹脂玉の大きさを直径
7.0mmに変更した以外は実施例6と同様にして樹脂
玉を有する細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉の
付着性に優れたものであった。
【0040】実施例12 実施例1において用いた細線を、直径1.4mmのたこ
糸(綿製の撚り紐)に変更し、樹脂玉の大きさを直径
4.4mmに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂
玉を有する細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉の
付着性に優れたものであった。
【0041】実施例13 実施例1において用いた細線を、直径0.15mmの絹
糸(裁縫用)に変更し、樹脂玉の大きさを直径1.4m
mに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂玉を有す
る細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉の付着性に
優れたものであった。
【0042】実施例14 実施例1において用いた細線を、直径2.0mmの麻紐
に変更し、樹脂玉の大きさを直径5.0mmに変更した
以外は実施例1と同様にして樹脂玉を有する細線を作製
した。得られた細線は、樹脂玉の付着性に優れたもので
あった。
【0043】実施例15 実施例1において用いた細線を、直径0.15mmのポ
リエステル糸(裁縫用)に変更し、樹脂玉の大きさを直
径1.3mmに変更した以外は実施例1と同様にして樹
脂玉を有する細線を作製した。得られた細線は、樹脂玉
の付着性に優れたものであった。
【0044】参考例1 実施例1において、対称性が極端に悪い樹脂玉を有する
細線を10本作製した。10本それぞれについて実施例
1と同様にしてナイロン線[スペクトロン0.4号;ダ
イワ精工(株)製]を結び合わせたところ、3本は良好
な付着性を示したが、7本は樹脂玉が細線から剥離して
しまった。
【0045】参考例2 (A)成分としてフェノキシジエチレングリコールアク
リレート[AMP−20G;新中村化学(株)製]40
重量部と、(B)成分としてポリエステル系ウレタンア
クリレート[UA−122P;新中村化学(株)製]6
0重量部を混合したものに、(C)成分として実施例1
と同じDarocur1173を1重量部加えて均一に
混合し、液状の光硬化性樹脂組成物7を調製した。この
樹脂組成物7の粘度は2000cpsであった。以下実
施例1と同様にして樹脂玉を有する鋼線を作製したが、
参考例1のときと同じ様に、10本中5本は樹脂玉が剥
離してしまった。
【0046】参考例3 実施例1において、(A)成分の配合量を5重量部に、
(B)成分を95重量部に変更した以外は、実施例1と
同様にして光硬化性樹脂組成物8を調製した。この樹脂
組成物8の粘度は10000cpsであった。実施例1
と同様にして樹脂玉を細線に付着させようとしたが、粘
度が高過ぎてうまく付着させることができなかった。
【0047】参考例4 (A)成分としてフェノキシエチルアクリレート[AP
G−10G;新中村化学(株)製]50重量部と、
(B)成分としてポリエトキシ系ビスフェノールAジア
クリレート[#700;大阪有機化学(株)製]50重
量部を混合したものに、(C)成分として実施例1と同
じDarocur1173を5重量部加えて均一に混合
し、液状の光硬化性樹脂組成物9を調製した。この樹脂
組成物9の粘度は50cpsであった。実施例1と同様
にして樹脂玉を有する鋼線を作製しようとしたが、粘度
が低過ぎて、紫外線照射中に樹脂玉が落下してしまっ
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の樹脂玉を有する細線は、細線に
対する付着性に優れた樹脂玉が固着されているので、本
発明の細線単独で結び目を作ったり、他の細線を巻付け
て結束するときに、樹脂玉が結束箇所の目の強度を向上
させるという効果を有する。また、樹脂玉の存在によっ
て細線の視認性が向上するため、非常に細い細線であっ
ても結束作業が行い易いという効果も発現した。本発明
の細線は、樹脂玉を有する細線同士を、または該細線と
他の細線を、もしくは該細線と他の部材を結び付けるた
めに利用することができ、例えば、何度も結束作業が必
要な釣り糸等に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細線に固着される樹脂玉の形状を説明
する図である。
【図2】本発明の細線と他の細線を結束し、結束破断強
度を測定する方法を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 進 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式 会社神戸製鋼所神戸製鉄所内 (72)発明者 正崎 保 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式 会社神戸製鋼所神戸製鉄所内 (72)発明者 荻野 吉英 東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−93545(JP,A) 特開 平5−295642(JP,A) 特開 平6−88210(JP,A) 特開 平5−196037(JP,A) 特開 昭62−268858(JP,A) 特開 平3−19643(JP,A) 特開 平7−279018(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04D 1/00 - 11/00 D06Q 1/00 - 1/14 A01K 91/00 - 91/06 D07B 1/00 - 9/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光硬化性樹脂を硬化させて得られる樹脂
    玉が1個もしくは離間して複数個固着されていることを
    特徴とする樹脂玉を有する細線。
  2. 【請求項2】 前記樹脂玉が、前記細線の軸心周りに固
    着されている請求項1に記載の細線。
  3. 【請求項3】 前記樹脂玉は、球、楕円体、卵形のいず
    れかである請求項1または2に記載の細線。
  4. 【請求項4】 前記樹脂玉の長手方向中心軸と前記細線
    の軸心が同一方向である請求項1〜3のいずれかに記載
    の細線。
  5. 【請求項5】 前記樹脂玉の幅方向最大径が、前記細線
    の直径に対し1.4〜30倍である請求項1〜4のいず
    れかに記載の細線。
  6. 【請求項6】 前記樹脂玉の長手方向最大径が、前記樹
    脂玉の幅方向最大径に対し1〜5倍である請求項1〜5
    のいずれかに記載の細線。
  7. 【請求項7】 前記光硬化性樹脂が、エポキシ(メタ)
    アクリレートオリゴマーと光重合性希釈剤と光重合開始
    剤を含むものである請求項1〜6のいずれかに記載の細
    線。
  8. 【請求項8】 前記細線が直径5mm以下の金属細線で
    ある請求項1〜7のいずれかに記載の細線。
  9. 【請求項9】 前記金属細線が鋼線である請求項8に記
    載の細線。
  10. 【請求項10】 前記細線が、前記細線同士を、または
    該細線と他の細線を、もしくは該細線を他の部材に結び
    付けるために使用されるものである請求項1〜9のいず
    れかに記載の細線。
  11. 【請求項11】 釣り糸として使用するものである請求
    項1〜10のいずれかに記載の細線。
  12. 【請求項12】 細線に、25℃における粘度が500
    〜5000cpsである光硬化性樹脂組成物の液滴を付
    着させ、活性光線を照射することを特徴とする請求項1
    〜11のいずれかに記載された細線の製造方法。
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