JP3181722B2 - 2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールの精製方法 - Google Patents

2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールの精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、利尿剤、降圧剤医薬品
の原料として有用な2−アルキル−4−ハロゲノ−5−
ホルミルイミダゾールの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホル
ミルイミダゾールは上記の如く有用な用途を有し、近年
注目されている化学品であるがその製造法に関する公知
文献はあまりなく例えば、2−アミノ−3,3−ジクロ
ロアクリロニトリルとアルデヒドからシフ塩基を経由し
て製造する方法(特開昭54−148788号公報)が
開示されているにすぎない。しかしながらこの公知技術
においては、原料である2−アミノ−3,3−ジクロロ
アクリロニトリルが入手困難であり、工業的規模での実
施において非常に不利となり、満足し得る方法とは言い
難い。故に、工業的に入手容易な原料より高収率で製造
できる2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミ
ダゾールの新たな製造方法の開発が当業者間で強く望ま
れていた。そこで本発明者等は2−アルキル−5−ホル
ミルイミダゾールをN−ハロゲノサクシンイミドを用い
てハロゲン化する方法(特願平3−187117号参
照)を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等の検討の結果上記方法では、ハロゲン化時において
2−アルキル−4,5−ジハロイミダゾールが副生して
生成物の純度が低下するため精製工程が必要とされ、更
なる改良が必要であることが判明した。ところが通常行
われる溶媒再結法、pH分別晶析法、活性炭処理法等の
精製操作では該副生成物が除去できない。故に工業的規
模での実施において容易かつ廉価で新規な精製方法の開
発が強く望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかるに本発明者等はか
かる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2−アル
キル−5−ホルミルイミダゾールをN−ハロゲノサクシ
ンイミドでハロゲン化をして得られる2−アルキル−4
−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールをスルホン化剤
によりスルホン酸化合物として副生成物と分離した場合
にかかる目的に合致することを見出し本発明を完成する
に至った。以下、本発明について詳述する。
【0005】本発明の目的物である2−アルキル−4−
ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールは上記の如く2−
アルキル−5−ホルミルイミダゾールをN−ハロゲノサ
クシンイミドを用いてハロゲン化することにより得られ
る。上記における2−アルキル−5−ホルミルイミダゾ
ールのアルキル基は炭素数2〜6のアルキル基であり、
N−ハロゲノサクシンイミドのハロゲノ基としてはクロ
ル基及びブロム基であり、それぞれに対応して目的とす
る2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾ
ールの製造が可能である。上記においては、溶剤に原料
2−アルキル−5−ホルミルイミダゾールと原料1モル
に対して0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.
15モルのN−ハロゲノサクシンイミドを仕込み無触
媒、あるいは触媒の存在下で反応を行う。
【0006】上記における溶剤としては各種有機溶剤が
使用でき、例えば塩化メチル、塩化メチレン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、1−クロルエタン、1,2−ジクロ
ルエタン等のハロゲン化炭化水素、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン等の飽和炭化水素、ベンゼン等
の芳香炭化水素、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエ
ステル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ジオキサ
ン等のエーテル等が単独、又は二種以上併用して使用さ
れる。該溶剤の使用量は、原則的には各溶媒に対する原
料2−アルキル−5−ホルミルイミダゾールの溶解度ま
で使用可能であるが実用的には原料2−アルキル−5−
ホルミルイミダゾールに対して5〜20重量倍程度まで
の範囲で使用される。
【0007】反応温度は0〜150℃、好ましくは30
100℃が適当であり、又反応時間は0.5〜7.0
時間、好ましくは1.0〜3.0時間が有利である。反
応終了後、反応終了液を減圧濃縮し、缶残物に水及び不
純物を取り除く目的で塩酸等の鉱酸水溶液を加え処理
、更に目的物の収率を上げる目的で塩化ナトリウム等
の塩類を加えた後、晶析した目的物を濾取または抽出し
粗2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダ
ゾールを得る。上記により得られた粗2−アルキル−4
−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールは続いて精製工
程に付される。
【0008】本発明における精製方法とは粗2−アルキ
ル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールをスルホ
ン化剤により水溶性のスルホン酸化合物とし、水に難溶
である副生成物の2−アルキル−4,5−ジハロイミダ
ゾールと分離して目的物の純度を上げるものである。本
発明におけるスルホン化剤としては亜硫酸水素ナトリウ
ム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カ
リウム、二酸化イオウ等が挙げられる。かかるスルホン
化剤の使用量は2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホル
ミルイミダゾール1モルに対して0.8〜5モル、好ま
しくは1.0〜2.5モルが適当である。
【0009】本発明において精製を実施するにあたり具
体的にはまず粗2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホル
ミルイミダゾールをスルホン化剤の水溶液に添加し、水
溶性のスルホン酸化合物として溶液中に溶解させ、不溶
分である副生成物を濾過又は抽出操作により除去する。
かかる場合脱色及び副生物、不純物の更なる低減の目的
で活性炭を添加することが好ましい。かかる操作の温度
条件は室温〜沸点、好ましくは50〜80℃が良好であ
り、pHは1〜7、好ましくは2〜5の範囲内に調整さ
れる。又スルホン酸化合物の溶液中への溶解時間は上記
条件により多少異なるが10分〜5時間程度である。上
記においてpHを調整する際のpH調整剤としては特に
制限はなく例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸又は酢
酸、プロピオン酸、乳酸、蓚酸等の有機酸等が挙げら
れ、又状況に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等の金属水酸化物、アンモニア、アミン類及びリン酸二
水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等
のアルカリを用いることも可能である。上記において抽
出操作を行う際の抽剤としてはベンゼン、トルエン、
1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、酢酸エチル、
酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等が用いられる。
【0010】次に濾液又は抽出残渣の水層にアルカリを
加えて2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミ
ダゾールを晶析させ、かかる析出物を濾過又は抽出操作
により単離して目的物を得る。かかる操作において溶液
に可溶である塩化ナトリウム等の塩類を加えると塩析効
果により目的物の析出量が増加するので好ましい。上記
においてアルカリとは水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、アンモニア、
アミン類及びリン酸−水素ナトリウム、リン酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム等の塩類等が挙げられる。かかるア
ルカリの使用量としてはpH調整剤として加えた酸に対
して当量以上であり、通常はpHを7.0〜10、好ま
しくは8.0〜9.5に調整することが適当である。上
記において抽出操作を行う際の抽出液としてはベンゼ
ン、トルエン、1.2−ジクロロ−エタン、クロロホル
ム、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等が用いられる。かくして得ら
れた目的物は非常に純度の高い2−アルキル−4−ハロ
ゲノ−5−ホルミルイミダゾールである。
【0011】
【作用】本発明は2−アルキル−5−ホルミルイミダゾ
ールをN−ハロゲノサクシンイミドでハロゲン化して得
られる2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミ
ダゾールの精製方法において工業的規模で容易に実施で
きかつ廉価な方法を提供することにある。
【0012】
【実施例】以下、本発明について実例を挙げ更に詳述す
る。 (2−ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾール
の製造)ジオキサン15.2kg中に2−ブチル−5−
ホルミルイミダゾール800g、(5.26モル)、N
−クロロサクシンイミド562g(4.21モル)を仕
込み温度を70℃に保ちつつ1.0時間撹拌反応を行っ
た。反応終了後0.5時間熟成した後、かかる液を減圧
濃縮し、1440gの褐色濃縮物を得た。これに10%
の塩酸960gを加え50℃で2時間撹拌した後室温ま
で冷却し、水920gと10%の食塩水3080gを加
え、次いで7.1lの酢酸エチルで抽出を行った。分液
後水層に4.5lの酢酸エチルを加え再度抽出を行っ
た。かかる酢酸エチル層を合わせ、1.0lの水で水洗
した後、減圧下で酢酸エチルを留去して596gの褐色
液を得た。該褐色液は放冷により結晶化した。得られた
結晶を室温下で一夜真空乾燥を行い396gの褐色結晶
を得た。かかる結晶を高速液体クロマトグラフィーによ
り定量分析したところ372gの2−ブチル−4−クロ
ロ−5−ホルミルイミダゾールと15gの2−ブチル−
4,5−ジクロロイミダゾールを含んでおり、目的物の
純度は94%であった。
【0013】実施例1 上記で得られた褐色結晶20.00g(2−ブチル−4
−クロロ−5−ホルミルイミダゾール18.8g、2−
ブチル−4,5−ジクロロイミダゾール0.76g含
有)に6.0%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液418g
を加え酢酸6.4gでpH3.4に調整したのち60℃
で2時間撹拌した。次いで30℃まで冷却し、不溶分を
濾過し、濾液に50%の含水活性炭を2.0g加えて3
0分間撹拌した。活性炭を濾別し、濾液に48.8%の
水酸化ナトリウム水溶液28.4gを加え、pH9.0
に調整し、食塩60gを加えて30分間撹拌後、析出晶
を濾別した。かかる結晶を十分に水洗して乾燥したとこ
ろ、淡黄色結晶17.10gが得られた。かかる結晶を
高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ2−
ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾール17.
02g、2−ブチル−4,5−ジクロロイミダゾール
0.02gを含んでおり、目的物の純度は99.5%で
あった。
【0014】実施例2 上記で得られた褐色結晶5.00g(2−ブチル−4−
クロロ−5−ホルミルイミダゾール4.70g、2−ブ
チル−4,5−ジクロロイミダゾール0.19g含有)
に4.9%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液260gを加
え、50℃で20分間撹拌した。次いで1,2−ジクロ
ロエタン100mlを加え、5分間撹拌後、1,2−ジ
クロロエタン層(下層)を分液した。分液後水層に炭酸
水素ナトリウムを加えpHを8.5に調整し、1,2−
ジクロロエタン各100mlで3回抽出を行った。かか
る1,2−ジクロロエタン層を合わせて水200mlで
水洗後減圧濃縮を行い、更に乾燥を行ったところ、黄色
の結晶3.06gを得た。かかる結晶を高速液体クロマ
トグラフィーにより分析したところ2−ブチル−4−ク
ロロ−5−ホルミルイミダゾール3.03g、2−ブチ
ル−4,5−ジクロロイミダゾール0.02gを含んで
おり、目的物の純度は99.3%であった。
【0015】実施例3 上記で得られた褐色結晶21.00g(2−ブチル−4
−クロロ−5−ホルミルイミダゾール18.93g、2
−ブチル−4,5−ジクロロイミダゾール1.92g含
有)に5%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液418gを加
え、リン酸二水素ナトリウム・2水和物16.73g及
び85%のリン酸2.77gでpH3.0に調整したの
ち50%の含水活性炭2.3gを添加し60℃で3時間
撹拌した。30℃に冷却後、不溶分は濾別し濾液に40
%の水酸化カリウム水溶液35.21gを加えpHを
9.0に調整し晶析を行った。かかるスラリー液に食塩
60gを加え30分間撹拌後、析出晶を濾別した。かか
る結晶を十分に水洗いして乾燥したところ、白色結晶1
7.42gを得た。高速液体クロマトグラフィーにより
分析したところ2−ブチル−4−クロロ−5−ホルミル
イミダゾール17.33g、2−ブチル−4,5−ジク
ロロイミダゾール0.03gを含んでおり、目的物の純
度は99.5%であった。
【0016】実施例4 実施例1において6.0%の亜硫酸水素ナトリウム水溶
液に代えて6%の亜硫酸ナトリウム水溶液420gを加
えた以外は同例に準じて実験を行ったところ淡黄色結晶
14.55gが得られた。かかる結晶を高速液体クロマ
トグラフィーにより分析したところ2−ブチル−4−ク
ロロ−5−ホルミルイミダゾール14.51g、2−ブ
チル−4,5−ジクロロイミダゾール0.02gを含ん
でおり、目的物の純度は99.7%であった。
【0017】実施例5 実施例1において6.0%の亜硫酸水素ナトリウム水溶
液に代えて3%亜硫酸水溶液425gを加え、40%の
水酸化ナトリウム水溶液でpH3.5に調整してスルホ
ン酸化合物を製造した以外は同例に準じて実験を行った
ところ淡黄色結晶17.10gが得られた。かかる結晶
を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ2
−ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾール1
7.02g、2−ブチル−4,5−ジクロロイミダゾー
ル0.02gを含んでおり、目的物の純度は99.5%
であった。(2−プロピル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾー
ルの製造) ジオキサン13.8kg中に2−プロピル−5−ホルミ
ルイミダゾール69.1g、(0.50モル)、N−ク
ロロサクシンイミド53.4g(0.40モル)を仕込
み、以下、2−ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミ
ダゾールの製造と同様に実験を行ったところ、35.6
gの淡黄色粉体を得た。高速液体クロマトグラフィーに
よる分析の結果、2−プロピル−4−クロロ−5−ホル
ミルイミダゾール32.1gと2−プロピル−4,5−
ジクロロイミダゾール3.3gを含んでいた。 実施例6 上記淡黄色粉体20.0g(2−プロピル−5−ホルミ
ルイミダゾール18.0g、2−プロピル−4,5−ジ
クロロイミダゾール1.9g含有)に5%亜硫酸水素ナ
トリウム水溶液380g、50%の硫酸1.8gを加え
pH3.0に調整し60℃で30分間撹拌した。この時
のスラリー液のpHは4.2であった。再度50%硫酸
でpH3.0に調整し、更に60℃で2時間撹拌した。
不溶分を濾過後、濾液に50%含水活性炭2.0gを加
え、撹拌しつつ40分間で室温まで冷却し、活性炭を濾
過した。濾液に40%水酸化ナトリウム水溶液23.0
gを加えpH9.1に調整し、食塩34gを加えて30
分間撹拌した後、10℃まで冷却し、析出晶を濾別し
た。濾塊を冷水30mlで洗浄後乾燥し、微黄色結晶1
6.64gを得た。かかる結晶を高速液体クロマトグラ
フィーにより分析したところ2−プロピル−4−クロロ
−5−ホルミルイミダゾール16.60g、2 −プロピ
ル−4,5−ジクロロイミダゾール0.02gを含んで
おり、目的物の純度は99.7%であった。
【0018】
【発明の効果】本発明は2−アルキル−5−ホルミルイ
ミダゾールをN−ハロゲノサクシンイミドを用いてハロ
ゲン化を行って得られる2−アルキル−4−ハロゲノ−
5−ホルミルイミダゾールを精製するにあたり該イミダ
ゾールを水溶性のスルホン酸化合物とすることによって
工業的規模での実施において容易かつ廉価に精製が可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 233/68 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−アルキル−5−ホルミルイミダゾー
    ルをN−ハロゲノサクシンイミドでハロゲン化して得ら
    れる2−アルキル−4−ハロゲノ−5−ホルミルイミダ
    ゾールをスルホン化剤によりスルホン酸化合物として副
    生成物と分離することを特徴とする2−アルキル−4−
    ハロゲノ−5−ホルミルイミダゾールの精製方法
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