JP3180261B2 - ラインフィルタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、日字形フェライトコア
と分割型円筒巻枠を用いたコモンモードチョークコイル
を基板装着型にしたラインフィルタの構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】閉磁路コアの棒状磁脚に円筒巻枠を装着
し、巻枠を回転させて巻線を自動巻回することができる
日字形コアの中央磁脚に、２個の巻回区画をもつ分割型
円筒巻枠を装着して２個の巻線を行ったコモンモードチ
ョークコイルがラインフィルタとして使われている。円
筒巻枠に巻線を行ったままで、ラインフィルタとしてコ
アを寝かせておく横置きの場合も、コアを縦に、かつ中
央磁脚を水平にしておく縦置きの場合も、基板等に固定
することは難しく、又巻線の端部の処置が厄介である。
そのために、従来はコアに円筒巻枠を装着したものを、
コア・巻線間用絶縁板を一体に形成し、ピン端子を垂設
した絶縁台と組み合わせて巻線を行い、巻線の端部をピ
ン端子にからげた後に、コアを絶縁台に接着剤で固着
し、からげ部に半田付を行って基板装着型のラインフィ
ルタにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の絶縁台は、絶縁
板を巻枠の外周とコアとの隙間に挿通する構造となって
いるので、コア・巻枠一体品を保持して巻線を行うこと
はできるが、絶縁台上でコアががたつくので、巻線の後
でコアを接着剤で絶縁台に固定する必要があり、接着作
業に時間がかかり、又接着剤の塗布が難しく、ラインフ
ィルタの見ばえがわるくなる欠点があった。又、従来は
横置き、縦置きの二種類の絶縁台を調達していて、絶縁
台の単価が高いので、調達費用が多額であるという問題
があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、中央磁
脚に円筒巻枠を装着してなる日字形コアをピン端子付絶
縁台に固着し、前記円筒巻枠に２個の巻線を施してなる
ラインフィルタにおいて、前記ピン端子付絶縁台は、夫
々に前記ピン端子の設けられた縦置き用端子台又は横置
き用端子台から選択された端子台と、前記日字形コアを
保持するためのコア保持枠であって前記縦置き用端子台
及び前記横置き用端子台に共用可能なコア保持枠との組
合わせからなり、前記コア保持枠は、前記日字形コアの
外形に実質的に対応した方形枠であり、該方形枠の一方
の面側に前記中央磁脚と平行な対向辺縁に沿って一体に
突設した絶縁板を有すると共にその絶縁板の先端部に膨
大部を有し、前記方形枠の前記絶縁板と平行な１外側面
の長手方向両端近傍には第１及び第２の嵌合凹部が、そ
れぞれ、設けられており、前記方形枠の他方の面上の四
隅近傍には第３乃至第６の嵌合凹部が設けられており、
該コア保持枠には、前記中央磁脚に円筒巻枠を装着して
なる日字形コアが、該コアと巻枠との間に前記絶縁板を
挿入して両者を絶縁するとともに前記膨大部で該コアの
該保持枠からのはずれを阻止して、組み付けられてお
り、前記縦置き用端子台は、略長方形状の厚板であり、
前記コアの中央磁脚の長さ方向の外寸法とほぼ同じ長さ
と、前記巻枠の外形とほぼ同じ幅を有し、該厚板の底面
には前記ピン端子が設けられると共に、該厚板の上面上
であってその長さ方向両端近傍には前記コア保持枠の第
１及び第２の嵌合凹部に対応する第１及び第２の嵌合凸
部が形成されており、前記横置き用端子台は、前記コア
保持枠としての方形枠のうち前記絶縁板を有する対向辺
のうちの一方の辺と残りの２辺とに対応した３辺を有す
る厚板からなり、該厚板の下面には前記ピン端子が設け
られると共に、該厚板の上面上であって前記コア保持枠
である方形枠の前記他方の面と対向させた際に前記第３
乃至第６の嵌合凹部に対応する位置には第３乃至第６の
嵌合凸部が形成されており、前記選択された端子台と前
記コア保持枠とは、該選択された端子台の有する前記嵌
合凸部を対応する前記コア保持枠の前記嵌合凹部に嵌合
させることで位置決め組みつけられるとともに、前記巻
線の端部を該ピン端子にからげることにより互いに固定
保持される、ことを特徴とするラインフィルタが得られ
る。

【０００５】

【作用】コア保持枠は、絶縁板がコア・巻枠一体品の巻
枠の外周とコアの隙間に押圧挿通してコア・巻枠一体品
を保持し、横置き、又は縦置きの端子台と突片及び凹部
により組み付けて、所要のピン端子付絶縁台になる。コ
ア保持枠の絶縁板は、コアと巻線を絶縁し、膨大部がコ
アと係合してコアを保持枠に固定する。

【０００６】

【実施例】本発明に係わる縦置きのラインフィルタの実
施例を図１に分解斜視図で示している。

【０００７】図１（ａ）において、円筒巻枠（以下、巻
枠と略称する）１は円筒巻心（以下、巻心と略称する）
２の外周に５個の円形鍔を一体に設け、これらの円形鍔
は巻心２の軸と平行に等分割して配置されており、中央
の円形鍔に歯車３を形成し、日字形コア（以下、コアと
略称する）４の中央磁脚５に装着して、コア４・巻枠１
一体品になる。

【０００８】コア保持枠（以下、保持枠と略称する）６
は、コア４の外形に対応する方形枠である。保持枠６の
片面に中央磁脚５と平行な対向辺の内側辺縁に沿って絶
縁板７を一体に突設し、絶縁板の先端部に膨大部８を設
けてあり、保持枠６の他面には保持枠６の内側から外側
に通じる複数個の溝９を設けてあり、四隅に嵌合凹部
（図では嵌合孔）１０を設けてある。保持枠６の絶縁板
７と平行な両外側面（図では片方を図示）の両端に嵌合
凹部１１を設けてある。保持枠６に突設された絶縁板７
の突出高さ（長さ）は、コア４の高さＨよりも若干大き
く、膨大部８の下部の平坦部の幅はコア４の高さＨとほ
ぼ同じである。

【０００９】端子台１２は方形厚板で、縦置き用であ
り、コア４の中央磁脚５の長さ方向の外寸と同じ辺長
と、巻枠１の円形鍔の直径と同じ辺長をもち、底面に４
個（２個を図示）のピン端子１３を垂設し、上面に嵌合
凹部１１に対応する２個の突片１４を一体に設け、保持
枠６の溝９に対応する溝１５を両側面に設けてある。

【００１０】保持枠６とコア４・巻枠１一体品は、絶縁
板７の膨大部８を巻枠１の円形鍔の外周とコア４の隙間
に、図では左手前から右奥側へと強制的に通して一体に
できる。膨大部８が保持枠６からのコア４の外れを阻止
する。

【００１１】コア４・巻枠１及び保持枠６の三者一体品
を保持枠６の嵌合凹部１１［図１（ａ）では図示しない
下方の外側面］に端子台１２の突片１４を嵌合して、端
子台１２と一体にできる。

【００１２】コア４・巻枠１・保持枠６及び端子台１２の
四者一体品を巻線装置に装着して巻線を行い、巻線の端
部を連通した溝９と溝１５に通してピン端子１３にから
げて、縦置きのラインフィルタを作ることができる。

【００１３】図１（ｂ）は、横置きのラインフィルタ用
の端子台１６の一実施例の外観を、図１（ａ）に示した
コア保持枠６とともに示している。

【００１４】端子台１６は、保持枠６の絶縁板７のある
一辺と絶縁板７のない二辺とに対応するコ字形の厚板で
ある。端子台１６の底面に４個のピン端子１３が垂設さ
れ、上面に両隅と両端とに突片１７が設けられている。
突片１７は保持枠６の嵌合凹部１０［図１（ａ）参照］
に対応する配列である。

【００１５】コア４・巻枠１・保持枠６及び端子台１６の
四者一体品に上述の縦置きの場合と同様に巻線を行い、
横置きのラインフィルタを作ることができる。横置きの
場合、巻線の端部は保持枠６の溝９を通さないで、巻枠
１からピン端子１３に直接導いて、からげられる。

【００１６】縦置きの場合も、横置きの場合も、保持枠
６と端子台１２、又は端子台１６との組付けが巻線の端
部のからげにより、強固になるので、保持枠６と端子台
１２、又は端子台１６とを接着する必要はない。特に、
上述した実施例によるラインフィルタの場合、重心位置
が日の字形コアの部分にあり、縦形と横形の場合、その
安定性が異なる。横形の場合、図１（ｂ）に示されるよ
うに、コア保持枠の延長上にピン端子を設けた構造であ
り、仮にコア保持枠自体にピン端子を設けた構造であっ
ても安定する。しかし、縦形の場合、コア保持枠にピン
端子を設けた構造では安定性が悪い。換言すると、コア
保持枠の上に日の字形コアを搭載してなるものは、その
ままの時（横形）は安定するが、それを９０度回転させ
て横倒し（縦形）にすると不安定となる。それ故、縦形
の場合には、安定性を確保すべく、図１（ａ）に示され
るように側方に張り出した端子台１２を設けて、その端
子台にピン端子を設けることとしている。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、接着剤を省いてライン
フィルタを組立てできるので、組立時間を従来より短縮
できる効果があり、ラインフィルタの外観良好である効
果が得られ、更に保持枠を縦置き、横置き兼用にして単
価の低い端子台を専用としたので、資材調達費用を大幅
に削減でき、資材費の低減に寄与する効果がある。しか
も、縦置き用端子台又は横置き用端子台と保持枠とを組
み合わせてなる縦置き用又は横置き用のピン端子付絶縁
台が、夫々、ラインフィルタ実装時における安定性を担
保しつつ又は薄型化の要求を満たしつつ実装面の省スペ
ース性を実現し得るように、縦置き用端子台又は横置き
用端子台の形状を互いに独立に設計することができるこ
とから、従来の縦置き用のピン端子付き絶縁台を単に横
置き用のピン端子付き絶縁台として用いる場合やその逆
の場合に比して、ラインフィルタ自体の構造的・形状的
特性に関して明らかに有利な点を有する。 また、本発明
によれば、共用可能なコア保持枠（すなわち形状が一
定）に円筒巻枠を装着してなる日の字形コアに巻線を行
うことができることから、縦形の場合と横形の場合とで
巻線装置を共用することも容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す分解外観斜視図であ
り、図１（ａ）は縦置きの場合を示す外観図であり、図
１（ｂ）は横置きの場合の端子台を図１（ａ）に示した
コア保持枠とともに示す外観図である。

【符号の説明】

１ 円筒巻枠 ２ 円筒巻心 ３ 歯車 ４ 日字形コア ５ 中央磁脚 ６ コア保持枠 ７ 絶縁板 ８ 膨大部 ９，１５ 溝 １０，１１ 嵌合凹部（嵌合孔） １２ 端子台（縦置き用） １３ ピン端子 １４，１７ 突片 １６ 端子台（横置き用） Ｈ 日字形コアの高さ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中央磁脚に円筒巻枠を装着してなる日字
   形コアをピン端子付絶縁台に固着し、前記円筒巻枠に２
   個の巻線を施してなるラインフィルタにおいて、 前記ピン端子付絶縁台は、夫々に前記ピン端子の設けら
   れた縦置き用端子台又は横置き用端子台から選択された
   端子台と、前記日字形コアを保持するためのコア保持枠
   であって前記縦置き用端子台及び前記横置き用端子台に
   共用可能なコア保持枠との組合わせからなり、 前記コア保持枠は、前記日字形コアの外形に実質的に対
   応した方形枠であり、該方形枠の一方の面側に前記中央
   磁脚と平行な対向辺縁に沿って一体に突設した絶縁板を
   有すると共にその絶縁板の先端部に膨大部を有し、前記
   方形枠の前記絶縁板と平行な１外側面の長手方向両端近
   傍には第１及び第２の嵌合凹部が、それぞれ、設けられ
   ており、前記方形枠の他方の面上の四隅近傍には第３乃
   至第６の嵌合凹部が設けられており、該コア保持枠に
   は、前記中央磁脚に円筒巻枠を装着してなる日字形コア
   が、該コアと巻枠との間に前記絶縁板を挿入して両者を
   絶縁するとともに前記膨大部で該コアの該保持枠からの
   はずれを阻止して、組み付けられており、 前記縦置き用端子台は、略長方形状の厚板であり、前記
   コアの中央磁脚の長さ方向の外寸法とほぼ同じ長さと、
   前記巻枠の外形とほぼ同じ幅を有し、該厚板の底面には
   前記ピン端子が設けられると共に、該厚板の上面上であ
   ってその長さ方向両端近傍には前記コア保持枠の第１及
   び第２の嵌合凹部に対応する第１及び第２の嵌合凸部が
   形成されており、 前記横置き用端子台は、前記コア保持枠としての方形枠
   のうち前記絶縁板を有する対向辺のうちの一方の辺と残
   りの２辺とに対応した３辺を有する厚板からなり、該厚
   板の下面には前記ピン端子が設けられると共に、該厚板
   の上面上であって前記コア保持枠である方形枠の前記他
   方の面と対向させた際に前記第３乃至第６の嵌合凹部に
   対応する位置には第３乃至第６の嵌合凸部が形成されて
   おり、 前記選択された端子台と前記コア保持枠とは、該選択さ
   れた端子台の有する前記嵌合凸部を対応する前記コア保
   持枠の前記嵌合凹部に嵌合させることで位置決め組みつ
   けられるとともに、前記巻線の端部を該ピン端子にから
   げることにより互いに固定保持される、 ことを特徴とするラインフィルタ。