JP3179066B2 - 熱反射フイルムと該フイルムを使用した遮熱スクリーン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、表裏両面が共に鏡
面による光線及び熱線等に対する反射率を高めた熱反射
フイルムと該フイルムを使用した遮熱スクリーンに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、透明フイルムの片面にアルミ
蒸着したフイルムが各方面で使用されている。この種の
アルミ蒸着フイルムとして、例えば、農業や園芸等の分
野に使用されるものは、主に、ポリエチレンフイルム又
はポリエステルフイルムを基材にしてその片面にアルミ
蒸着し、このアルミ蒸着層表面に、黒又は透明ポリエチ
レンフイルムをコーティング或いはラミネートしたもの
が使用されている。また、アルミ箔も、耐候性に優れた
熱反射フイルムとして厚さ６〜７ミクロン程度のものが
使用されている。

【０００３】また、上記するようなアルミ蒸着フイルム
やアルミ箔を細幅帯状に裁断し、これを経糸又は緯糸に
して織成した遮熱スクリーン等も使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記するよ
うな従来のアルミ蒸着フイルムやアルミ箔では、経時的
にアルミ面が酸化して水酸化アルミになり、鏡面が消失
して透明になり、熱反射フイルムとして用を足さなくな
る。

【０００５】また、アルミ箔は、製造工程上、その片面
のみが鏡面で反対側は艶消し面になるので、この艶消し
面側の反射率及び遮熱性能が鏡面側に比べて劣る面もあ
る。また、アルミ箔を細幅帯状に裁断して表裏を交互に
経糸方向に並べた構成の遮熱スクリーンは、アルミ箔の
表裏がランダムに現れて外観上も見苦しくする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記するような課題を解
決するために、本発明の熱反射フイルムは、アルミ箔の
艶消し面側（裏面）に、アルミ蒸着ポリエチレンのアル
ミ蒸着層表面をラミネートし、アルミ箔の鏡面側（表
面）に、ポリエチレンフイルムをラミネートしたことを
特徴とする。

【０００７】前記アルミ蒸着ポリエチレンの基材とされ
るポリエチレンフイルムは、実用面から二軸延伸処理さ
れた透明な高密度ポリエチレンフイルムが使用され、そ
の片面に周知の手法によってアルミは蒸着される。この
際のアルミ蒸着層は、ポリエチレンフイルムとの接合面
側が鏡面となる。従って、アルミ箔とアルミ蒸着ポリエ
チレンのアルミ蒸着層表面とのラミネートは、アルミ面
同士が接合されて強度的に長期に亘って安定性に優れた
ものとなる。また、アルミ箔の鏡面側にラミネートされ
るポリエチレンフイルムは、アルミ蒸着ポリエチレンの
基材と同質の高密度ポリエチレンを使用するのが好まし
い。

【０００８】こうして、本発明の熱反射フイルムでは、
その上下両面のポリエチレンフイルム層を透かしてアル
ミ蒸着層の鏡面とアルミ箔の鏡面が外向きになるので、
表裏両面が共に鏡面による光線及び熱線等に対する反射
率を高めることができる。

【０００９】また、アルミ蒸着層とアルミ箔は、上下両
面のポリエチレンフイルム層によりサンドイッチ状に包
み込まれて保護されるので、耐候性に優れ、安定性も高
い。

【００１０】本発明の熱反射フイルムは、生産工場から
所定幅のロール巻フイルムとして出荷され、適宜の大き
さに裁断して使用される他に、ロール巻フイルムの状態
から適宜の細帯状に裁断してこれを経糸又は緯糸に用い
て遮熱スクリーンを織成することができる。こうして織
成された遮熱スクリーンを、例えば、ハウス栽培の内張
りカーテンとして使用すると、耐久性があり、表裏どち
らも遮熱性があって、真夏には太陽熱から農作物を守
り、真冬には地熱の放散を防ぐので保温効果が得られ
る。また、外観的には表裏が同じであり、夏冬兼用で室
内を明るくするカーテン機能を発揮する。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。

【００１２】図１は本発明の実施の形態を示す熱反射フ
イルムの断面図である。

【００１３】図において、１は熱反射フイルムを示す。
この熱反射フイルム１は、アルミ箔２の艶消し面側２ａ
に、アルミ蒸着ポリエチレン３のアルミ蒸着層４の表面
４ａをラミネートし、アルミ箔２の鏡面側２ｂに、ポリ
エチレンフイルム５をラミネートして積層体構成とした
もので、ラミネートの手法は公知のドライラミネートに
よる。

【００１４】アルミ箔２は、実用面から厚さ６〜７μｍ
程度のものが使用される。

【００１５】アルミ蒸着ポリエチレン３は、実用面から
二軸延伸処理された厚さ２０〜３０μｍ程度の透明な高
密度ポリエチレンフイルムを基材に使用し、これにアル
ミ蒸着層４を公知の手法によって蒸着したもので、アル
ミ蒸着層４の厚みは５００Å程度のものである。

【００１６】また、アルミ箔２の鏡面側２ｂにラミネー
トされるポリエチレンフイルム５は、実用面から厚さ２
０〜３０μｍ程度の透明なポリエチレンフイルムを使用
するが、望ましくは、アルミ蒸着ポリエチレン３の基材
と同様の高密度ポリエチレンフイルムとするのが好まし
い。

【００１７】本発明の熱反射フイルム１は、生産工場か
ら所定幅のロール巻フイルムとして出荷され、用途に応
じて適宜の大きさに裁断して使用される。また、このロ
ール巻フイルムから、図２（ａ），（ｂ）に示すよう
な、例えば、平織の遮熱スクリーン６を織成することが
できる。図（ａ）は、熱反射フイルム１を幅４〜８mm程
度の細帯状に裁断（スリット加工）して平テープ状に
し、これを経糸７にして織機に掛けて透明な糸８を横入
れして織られたスクリーン素材を示す。また、図２
（ｂ）は緯糸９にして織られたスクリーン素材を示す。
このようにして織られた長尺のスクリーン素材は、実用
面から９０〜２８０cm幅にカットしてロール巻スクリー
ンにして工場出荷される。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱反射フ
イルムによれば、上下両面のポリエチレンフイルム層を
透かしてアルミ蒸着層の鏡面とアルミ箔の鏡面が外向き
になるので、表裏両面が共に鏡面による光線及び熱線等
に対する反射率を高めることができる。また、アルミ蒸
着層とアルミ箔は上下両面からポリエチレンフイルム層
で保護されて外気に触れることがないので、屋外に使用
して耐候性に優れ、長期に亘り安定した性能を発揮す
る。また、本発明の熱反射フイルムをスリット加工して
織成された遮熱スクリーンは、ハウス栽培の内張りカー
テン等に好適し、耐久性があり、表裏どちらも遮熱性が
あり、外観的にも優れており、夏期の昼間は太陽熱を反
射し、冬の夜間は地熱の放散を防ぎ、保温効果を高める
もので、夏冬兼用で農作物の育成を助ける効果があり、
実用性が高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す熱反射フイルムの断
面図である。

【図２】図２（ａ），（ｂ）は熱反射フイルムをスリッ
ト加工して織成した遮熱スクリーンの一部正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 熱反射フイルム ２ アルミ箔 ２ａ アルミ箔の艶消し面側 ２ｂ アルミ箔の鏡面側 ３ アルミ蒸着ポリエチレン ４ アルミ蒸着層 ４ａ アルミ蒸着層の表面 ５ ポリエチレンフイルム ６ 遮熱スクリーン ７ 経糸 ８ 透明な糸 ９ 緯糸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中道 和邦 大阪府大阪市北区東天満２丁目９番４号 千代田ビル東館 三共商事株式会社内 (56)参考文献 特開 平８−308402（ＪＰ，Ａ) 実公 平５−33339（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B32B 1/00 - 35/00 A01G 9/14 A01G 13/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アルミ箔の艶消し面側に、アルミ蒸着ポリ
   エチレンのアルミ蒸着層表面をラミネートし、アルミ箔
   の鏡面側に、ポリエチレンフイルムをラミネートしたこ
   とを特徴とする熱反射フイルム。
2. 【請求項２】 請求項１記載の熱反射フイルムを細帯状
   に裁断し、これを経糸又は緯糸にして織成したことを特
   徴とする遮熱スクリーン。