JP3723543B2 - 遮光・保温シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮光用の積層フイルムを裁断して得た細帯状テープを経糸又は緯糸にして編織成した遮光・保温シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、農業や園芸等の分野に使用される遮光ネットとして、延伸されたポリエチレンフイルム上にアルミニュウム蒸着層及び無延伸ポリエチレンフイルムを順次積層してなり、前記延伸されたポリエチレンフイルムの延伸方向を長さ方向とした積層体テープを用いて織成された遮光ネットが提案されている。(特許文献1参照)。
【0003】
また、防湿性透明フイルム上に金属蒸着層を形成し、この蒸着層に、ポリイソシアネートと分子量が15000以上のポリエステルポリオールとの反応硬化物からなる接着層と、カーボンブラック粉末を混練したポリオレフィンからなる保護フイルムを順次積層してなるテープを、少なくとも一部に用いて織成された遮光ネットが提案されている。(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平5−33339号公報
【特許文献2】
特公平7−73896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記する特許文献1に開示された遮光ネットの場合は、延伸されたポリエチレンフイルムと無延伸ポリエチレンフイルムとの間にアルミニュウム蒸着層があるために、無延伸ポリエチレンフイルムネット側、すなわち、ネット裏側でもアルミニュウム蒸着層面で光の反射が生じるので、これが遮光性を低下させる。また、延伸されたポリエチレンフイルムと無延伸ポリエチレンフイルムは、強度的に差があるために、アルミニュウム蒸着層に積層される無延伸ポリエチレンフイルムの存在はネット自体の強度を低下させる原因になる。
【0006】
また、前記する特許文献2に開示された遮光ネットの場合は、防湿性透明フイルムに形成した金属蒸着層に対し、ポリエステルポリオールとの反応硬化物からなる接着層を介してカーボンブラック粉末(顔料)を混練したポリオレフィンからなる保護フイルムを積層するので、顔料が錬り込まれた色付きの保護フイルムによってネット裏側での光の反射を少なくする作用は期待できるが、保護フイルムの成膜上から顔料の錬込み量に限界があるため、これが保護フイルムの光吸収率を低下させる。また、顔料の錬り込みによって保護フイルムの強度低下は避けられず、これがネット自体の強度を低下させる原因になっている。
【0007】
そこで、本発明は、顔料の錬り込み量等に左右されることがなく、色が濃くて光吸収率が高く、遮光及び保温性に優れ、しかも、強度的にも優れた遮光・保温シートを提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明に係る遮光・保温シートは、高密度ポリエチレンフイルムの片面にアルミニュウム蒸着層を形成し、また、ポリエチレンフイルムの片面に黒インクによる印刷によって黒色印刷層を形成し、前記アルミニュウム蒸着層と黒色印刷層を上下両面から前記高密度ポリエチレンフィルムおよびポリエチレンフィルムで挟装状に包み込んで保護して外気との接触による機能低下を防止すべく貼り合わせてなる積層フイルムを、細帯状テープに裁断し、該細帯状テープを経糸又は緯糸にして編織成したことを特徴とする。
【0009】
ここで、積層フイルムを構成する高密度ポリエチレンフイルムの片面には、周知の手法によってアルミニュウムが蒸着される。この際のアルミニュウム蒸着層は、ポリエチレンフイルムとの接合面側が鏡面となるので、この鏡面を外向きに使用し、ポリエチレンフイルム層を透かして光線及び熱線等に対する反射率を高める。また、アルミニュウム蒸着層が形成される高密度ポリエチレンフイルムと、黒色印刷層が形成されるポリエチレンフイルムは、ともに延伸加工されたフイルムが使用され、実用面からは両者とも二軸延伸処理された強度的に優れた透明なフイルムを使用する。
【0010】
従って、本発明の遮光・保温シートによれば、積層フイルムを構成する高密度ポリエチレンフイルムとポリエチレンフイルムが、ともに延伸加工された強度的に優れたフイルムであるので、これを裁断して編織成された遮光・保温シートは、実用面から充分な物理的強度が得られ、長期間に亘って安定した形態を維持して遮光及び保温性に優れたものである。
【0011】
また、ポリエチレンフイルムに形成する黒色印刷層は、黒色インクを使用して印刷したものであるので、この黒色印刷層における光吸収率は、カーボンブラック粉末等の顔料をフイルムに混練した色付きの保護フイルム等に比べると格段に高く、遮光性に優れたものである。
【0012】
また、本発明において、アルミニュウム蒸着層と黒色印刷層の貼り合わせには、防蝕接着剤を用いるのが好ましい。
【0013】
このように、防蝕接着剤を介してアルミニュウム蒸着層と黒色印刷層を貼り合わせて両層の直接的な接触がないようにすると、経時的にアルミニュウム蒸着層が黒色インク成分によって侵されることがなくなり、アルミニュウム蒸着層の劣化防止に優れたものとなる。しかも、貼り合わさったアルミニュウム蒸着層と黒色印刷層は、その上下両面がポリエチレンフイルムにより挟装状に包み込まれて保護されるので、耐候性に優れ、安定性も高いものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る遮光・保温シートの基材とされる積層フイルムの断面図である。
【0016】
積層フイルム1は、高密度ポリエチレンフイルム2の片面に、アルミニュウム蒸着層3を形成し、また、ポリエチレンフイルム4の片面に、黒色インクを使用して印刷によって黒色印刷層5を形成し、前記アルミニュウム蒸着層3と黒色印刷層5を防蝕接着剤6を使用して貼り合わせている。
【0017】
前記高密度ポリエチレンフイルム2は、実用面から二軸延伸処理された厚さ20〜30μm程度の透明なフイルムを使用し、これにアルミニュウム蒸着層3を公知の手法によって蒸着したもので、アルミニュウム蒸着層3の厚みは500Å程度のものである。また、アルミニュウム蒸着層3は、高密度ポリエチレンフイルム2を透かして見られる側が鏡面3aとされるので、この鏡面3aを外に向けて光線及び熱線等に対する反射率を高めるように使用する。
【0018】
前記ポリエチレンフイルム4は、実用面から高密度ポリエチレンフイルム2と同様に、二軸延伸処理された厚さ10〜20μm程度の透明なフイルムを使用する。また、黒色印刷層5は、光吸収率の高い黒色インクを使用して公知の手法で印刷して形成する。
【0019】
アルミニュウム蒸着層3と印刷層5を貼り合わす防蝕接着剤6は、両層の相互接触をなくして一体化が図られるもので、経時的に黒色インク成分によりアルミニュウム蒸着層3が侵されることがなく、また、防蝕接着剤6で貼り合わさったアルミニュウム蒸着層3と黒色印刷層5は、上下両面からポリエチレンフイルム2,4で挟装状に包み込まれて保護されるので、両層とも外気との接触による機能低下がなく安定した性能を発揮し、屋外に使用して耐候性に優れたものである。
【0020】
上記構成からなる積層フイルム1は、生産工場から所定幅のロール巻フイルムとして出荷される。本発明においては、このロール巻の積層フイルム1を、幅4〜8mm程度の細帯状に裁断(スリット加工)した細帯状テープ7を用い、図2(a),(b),(c)に示すような遮光・保温シートに編織成したものである。
【0021】
すなわち、図(a)の遮光・保温シートAは、細帯状テープ7を経糸にして織機に掛けて透明な糸8を横入れして織られたものであり、また、図2(b)の遮光・保温シートBは、細帯状テープ7を緯糸にして織られたものである。また、図2(c)の遮光・保温シートcは、細帯状テープ7を経糸にして編まれたものである。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の遮光・保温シートによれば、ハウス栽培の内張りカーテン等に好適し、耐久性があり、夏期の昼間は太陽熱を反射して遮光性に優れ、夜間や冬季は地熱の放散を防ぎ、保温効果を高めるので、夏冬兼用で農作物の育成を助ける効果があり、実用性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る遮光・保温シートの基材とされる積層フイルムの断面図である。
【図2】図2(a),(b),(c)は積層フイルムをスリット加工して編織成した本発明に係る遮光・保温シートの一部正面図である。
【符号の説明】
1 積層フイルム
2 高密度ポリエチレンフイルム
3 アルミニュウム蒸着層
3a 鏡面
4 ポリエチレンフイルム
5 黒色印刷層
6 防蝕接着剤
7 細帯状テープ
8 透明な糸
Claims (3)
- 高密度ポリエチレンフイルムの片面にアルミニュウム蒸着層を形成し、また、ポリエチレンフイルムの片面に黒インクによる印刷によって黒色印刷層を形成し、前記アルミニュウム蒸着層と黒色印刷層を上下両面から前記高密度ポリエチレンフィルムおよびポリエチレンフィルムで挟装状に包み込んで保護して外気との接触による機能低下を防止すべく貼り合わせてなる積層フイルムを、細帯状テープに裁断し、該細帯状テープを経糸又は緯糸にして編織成したことを特徴とする遮光・保温シート。
- 高密度ポリエチレンフイルムとポリエチレンフイルムがともに延伸加工されたフイルムからなることを特徴とする請求項1記載の遮光・保温シート。
- アルミニュウム蒸着層と黒色印刷層の貼り合わせに、防蝕接着剤を用いたことを特徴とする請求項1記載の遮光・保温シート。
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