JP3178220B2 - ボ−ルペンチップ - Google Patents

ボ−ルペンチップ

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JP3178220B2
JP3178220B2 JP02607794A JP2607794A JP3178220B2 JP 3178220 B2 JP3178220 B2 JP 3178220B2 JP 02607794 A JP02607794 A JP 02607794A JP 2607794 A JP2607794 A JP 2607794A JP 3178220 B2 JP3178220 B2 JP 3178220B2
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浩之 斎藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】先端部にボ−ル径よりも小径の開
口部を形成することにより筆記部材としてのボ−ルを前
記開口部より一部突出して抱持するボ−ル抱持室のボ−
ル受け座部に、このボ−ル受け座部の中心近傍より径方
向外側に向かって放射状に形成したインキ通路を開口し
てなるボ−ルペンチップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ボ−ルペンチップのインキ通路に
は大きく分けて2種類のものが知られている。その一つ
は、比較的毛管力の低い中心孔と、この中心孔と連通す
る比較的毛管力の高い放射状溝とからなっているもので
ある。また他の一つは、複数の独立した扇形のインキ通
路が点対象に形成されているものである。
【0003】前述した中心孔とこれに連通する放射状溝
とからなるインキ通路のものとしては、特公昭54−1
3811号の図面に開示されているようなものがある。
また、独立した複数のインキ通路のものとしては、実開
昭57−136778号の図面に開示されているような
ものがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】ボ−ル受け座の中心近傍部分のインキ通路
は、ボ−ル抱持室に抱持されるボ−ルによって見かけ上
塞がれような状態となっており、直接的にボ−ル抱持室
の開口部に供給されるインキは、ボ−ル抱持室の最外側
であるボ−ルとボ−ル抱持室の側壁とによって形成され
る隙間部分を通過するインキである。
【0005】この直接的にボ−ルとボ−ル抱持室の側壁
とによって形成される隙間部分に供給されるインキ量
は、ボ−ルによって塞がれないインキ通路開口部の開口
面積に影響される。
【0006】ここで、筆記に際してボ−ルが回転する
と、このボ−ルと接触するボ−ル受け座を次第に摩耗さ
せることになる。これが所謂ボ−ル沈み現象である。ボ
−ル沈み現象が起こるとボ−ルによって塞がれるインキ
通路開口部の面積は次第に増大し、前述のインキ通路開
口部の開口面積は次第に減少することとなる。よって、
ボ−ル沈みが進むほどインキ吐出量が減少する。従来の
インキ通路では、このインキ通路開口部の開口面積の減
少はボ−ル受け座部の摩耗に対して比例して進む傾向に
あり、ボ−ル沈み現象が進むにつれて筆記途中において
筆跡のかすれ現象が発生するものであった。
【0007】また、ボ−ルが回転することにより、イン
キ通路開口部の縁部分、中でも特に角部分に応力の集中
が起こり易く、この部分の材料がインキ通路の一部を塞
ぐ方向に変形し、使用と共に経時的なインキ吐出量の減
少を促進し、かすれ現象が早期に発生しやすくなるとい
う問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上
述のようなボ−ルペンの経時的なかすれ現象の発生につ
いて鋭意研究の結果、かすれ現象の発生にはインキ通路
の形状が大きく寄与していることを見出したものであ
る。即ち、本発明は、先端部にボ−ル径よりも小径の開
口部を形成することにより筆記部材としてのボ−ルを前
記開口部より一部突出して抱持するボ−ル抱持室のボ−
ル受け座部に、このボ−ル受け座部の中心近傍より径方
向外側に向かって放射状に形成したインキ通路を開口し
てなるボ−ルペンチップにおいて、前記インキ通路のボ
−ル受け座部への開口部が、その最小幅部分を前記ボ−
ルの径に対して12%乃至35%の幅長さを有すると共
に、この最小幅部分よりボ−ル受け座部の径方向外側に
向かって20°乃至60°の角度で拡開していることを
特徴としたボ−ルペンチップを要旨とするものである。
【0009】
【作用】インキ通路の開口部における縁部分はボ−ルの
回転により応力集中を受け変形し易いものであるが、変
形した材料は力の関係よりインキ通路を塞ぐ方向に成長
する。つまりインキ通路の開口部における縁部分の中で
も角部に相当する部分では、互いに成長した材料の変形
部分によってインキ通路の一部を塞ぎやすくなる。よっ
て、この角部分が鋭角状であれば、インキ通路の一部は
より塞がれやすく、インキ通路の最小幅部でもある程度
の幅を有していることが必要である。
【0010】また、インキ通路がその最小幅部分より外
側に向かってある程度の大きい角度で拡開していること
によって、ボ−ル沈み現象が進みにつれてボ−ルにより
塞がれていくインキ通路開口部の開口面積の減少率は低
くなる。つまり、少々ボ−ルによるインキ通路の閉塞部
分が発生してもインキ通路の最外側部分では、ある程度
大量のインキ吐出を保証するので、ボ−ル沈み現象の進
み具合に対してインキ吐出の減少率は低く、早期におけ
る筆跡のかすれ現象も発生しにくくなるものである。
【0011】
【実施例】図1に示すものは本発明のボ−ルペンチップ
Aの要部断面図であり、ボ−ル抱持室1の先端部2をか
しめることによりボ−ル3の径よりも小径の開口部4を
形成し、筆記部材としてのボ−ル3を前記開口部4より
一部突出して抱持している。
【0012】ボ−ル抱持室1の有するボ−ル受け座部5
は、ボ−ル抱持室1にボ−ル3を設置して先端部2をか
しめた後、ボ−ル3をボ−ル受け座部5方向(図面では
下方向)に押圧し、ボ−ル3の表面形状をボ−ル受け座
部5の中心部近傍に転写している。つまり、ボ−ル3と
ボ−ル受け座部5とを面接触に近い状態とすることによ
り、潤滑効果を有するようなインキを使用した場合。滑
らかな書き味が得られるものである。
【0013】また、図1のもののI−I線断面図である
図2(説明の都合上ボ−ル3は除いてある)に示すよう
に、ボ−ルペンチップAのボ−ル受け座部5には、ボ−
ル抱持室1にインキを供給するインキ通路6を開口して
いる。このインキ通路6は、比較的毛管力の弱い中心孔
6aと、この中心孔6aと連通し、比較的毛管力の強い
放射状溝6bとよりなっている。
【0014】ここで、前記インキ通路6は、ボ−ル受け
座部5へ開口する開口部分の形成する最小幅部分6cの
幅長さxを前記ボ−ル3の径に対して12%乃至35%
の長さに形成し、更に、放射状溝6bは、前記最小幅部
分6cよりボ−ル受け座部5の径方向外側に向かって2
0°乃至60°の角度で拡開している。尚、この拡開角
度を以下yとする。
【0015】図3及び図3のII−II線断面図である
図4(説明の都合上ボ−ル3は除いてある)に他の一例
について示す。図1のものと基本的に同じものを示す部
位には図1と同じ参照符号を付す。ボ−ル抱持室1の先
端部2をボ−ル2の径より小径な部分として形成してい
ることにより、筆記部材としてのボ−ル3を抱持して、
前記開口部4より一部突出している点は、図1に示した
ものと同様である。
【0016】本例が図1及び図2にて示した一例と異な
る点は、図1の物では、インキ通路6は複数の放射状溝
6bが中心孔6aと連通し、全体で一つのインキ通路6
を形成するものであったのに対し、図4に示すように、
本例のインキ通路は、ボ−ル受け座部5の中心部分に中
心孔を形成せずに、複数のインキ通路がボ−ル受け座部
の中心を対象点とした点対象の位置に形成してある点で
ある。
【0017】このインキ通路6は、幅長さxの最小幅部
分6cをボ−ル受け座部5の中心に最も近い位置に形成
し、更に、ボ−ル受け座部5の中心から外側に向かって
拡開角度yにて拡開して扇形状に形成されている。ボ−
ル受け座部5の中心部分は、略円形の島部5aを有して
いる。ボ−ル受け座部5のボ−ル3と接触する部分を前
杵島部5a内に形成せずに、島部5aよりも外側に形成
すると共に、島部5aにボ−ル3と接触しない凹部5b
を形成してある。このようにすることにより、インキ通
路6のボ−ル3によって見かけ上塞がれるボ−ル受け座
部5の中心近傍部分でも前記凹部5bにインキ供給をな
すことができる。つまり、インキ通路6の一部が見かけ
上塞がれていても、ボ−ル3周辺における充分なインキ
供給を確保し、筆跡のかすれ現象をより抑制するもので
ある。
【0018】このような形状のインキ通路を形成したも
のは、ボ−ル受け座部5においてボ−ル3と接触する面
積が多く、ボ−ル受け座部5のボ−ル3との接触部分が
摩耗しても摩耗量に対してのボ−ル沈みの量は少ない。
従って、ボ−ル沈み現象によって起こるインキ通路がを
ボ−ル3により塞がれていく現象が比較的起きにくいも
のである。よって、本例のものは成形上の観点や耐摩耗
性に対して有利であることからも合成樹脂製のボ−ルペ
ンチップとして使用した場合に好適なものと言える。
【0019】以上の他にも本発明の要旨を逸脱しないか
ぎりで種々なせるものである。ボ−ルペンチップの材質
については、ステンレス、洋白、真鍮、アルミニウム等
の金属の他にポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフ
タレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリエチレンテレフタレ
−ト、ポリエ−テルエ−テルケトンなどの耐摩耗性に優
れた合成樹脂の射出成形品が挙げられる。特に、上述の
図3に示したようなインキ通路を形成してなるものにつ
いては、合成樹脂では複雑な構造のものも容易に製造で
きるものである。また、図1及び図2に示した例では、
放射状溝6bが3本形成されているものを、また、図3
及び図4に示した例では、独立したインキ通路6を3個
示したが、その数は、これに限定されることはない。更
に使用するインキについても材料との反応性を考慮すれ
ば種々使用でき、インキ粘度にも制限されないものであ
るが、特に図1及び図2に示した例のものは、粘度が1
500センチポイズ以上と言うような高粘度のインキに
も大量のインキ吐出を保証でき有利である。
【0020】
【発明の効果】図1に示したボ−ルペンチップについ
て、前記幅長さxと最小幅部分6cよりボ−ル受け座部
5の径方向外側に向かって拡開する拡開角度yとを具体
的な値としてフェライト径ステンレス材料にてボ−ル径
0.8mmのボ−ルペンチップを作成し、インキ(金属
微粒子を着色材とした水性インキ、粘度20000セン
チポイズ)を充填したパイプを接続し、それぞれのかす
れ発生率とインキ吐出減少率とを筆記試験より測定し
た。結果を表1、表2及び表3に示す。尚、かすれ発生
率は秒速7cmで直径30mmの丸を100gの筆記荷
重、70度の筆記角度にて螺旋状に筆記する螺旋筆記試
験機((有)精機工業研究所製、WEITING TE
STER MODEL TS−4C−10)にて800
m筆記し、筆跡中のかすれ距離(筆跡線が極端に薄いか
又は筆跡線がとぎれている部分の距離)測定し、800
mで除して100倍した値である。また、インキ吐出の
減少率は、式;(600m〜800m筆記のインキ吐出
量/0m〜200m筆記のインキ吐出量)×100にて
計算した値である。ここで、x=0.30mmのy=
0°〜50°まではインキ通路を形成するための切削刃
にかかる加工に必要な荷重が多きすぎて加工不可である
ものであり、y=70°のx=0.05mm〜0.1
0mmまでは、前記切削刃の耐久性の問題で加工不可で
あり、更に、x=0.30mmのy≧60°以上及び
y=70°のx≧0.15mmは、上記及びの両方
の理由により加工不能なものである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】以上より、本発明は、先端部にボ−ル径よ
りも小径の開口部を形成することにより筆記部材として
のボ−ルを前記開口部より一部突出して抱持するボ−ル
抱持室のボ−ル受け座部に、このボ−ル受け座部の中心
近傍より径方向外側に向かって放射状に形成したインキ
通路を開口してなるボ−ルペンチップにおいて、前記イ
ンキ通路のボ−ル受け座部への開口部が、その最小幅部
分を前記ボ−ルの径に対して12%乃至35%の幅長さ
を有すると共に、この最小幅部分よりボ−ル受け座部の
径方向外側に向かって20°乃至60°の角度で拡開し
ているようなしたので、ボ−ル沈み現象の進み具合に対
してインキ吐出の減少率は低く、早期における筆跡かす
れ現象を極力抑制するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す要部断面図。
【図2】図1の例の上面図。
【図3】他の一例を示す要部断面図。
【図4】図3の例の上面図。
【符号の説明】
A ボ−ルペンチップ 1 ボ−ル抱持室 2 先端部 3 ボ−ル 4 開口部 5 ボ−ル受け座部 5a 島部 5b 凹部 6 インキ通路 6a 中心孔 6b 放射状溝 6c 最小幅部分 x 幅長さ y 拡開角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B43K 1/08 B43K 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部にボ−ル径よりも小径の開口部を
    形成することにより筆記部材としてのボ−ルを前記開口
    部より一部突出して抱持するボ−ル抱持室のボ−ル受け
    座部に、このボ−ル受け座部の中心近傍より径方向外側
    に向かって放射状に形成したインキ通路を開口してなる
    ボ−ルペンチップにおいて、前記インキ通路のボ−ル受
    け座部への開口部が、その最小幅部分を前記ボ−ルの径
    に対して12%乃至35%の幅長さを有すると共に、こ
    の最小幅部分よりボ−ル受け座部の径方向外側に向かっ
    て20°乃至60°の角度で拡開していることを特徴と
    したボ−ルペンチップ。
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JP5319099B2 (ja) * 2007-10-30 2013-10-16 株式会社サクラクレパス ボールペン
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