JP3166481B2 - 高強力毛羽糸からなるミシン糸およびその製造方法 - Google Patents

高強力毛羽糸からなるミシン糸およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に1mm以下の短
い毛羽を多数有するマルチフィラメント糸条の高強力毛
羽糸からなるミシン糸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紡績糸が有する嵩高性や毛羽感を
マルチフィラメント毛羽糸によって達成しようとする試
みが多数提案されている。本発明者らは先に、このよう
な提案の一つとして、下ヨリと上ヨリを与えたマルチフ
ィラメント糸条をガイドに巻き掛け、その往路側の糸条
と復路側の糸条とを交差させて捩りと扱きを与えること
により、そのマルチフィラメント糸条に毛羽を発生させ
るようにした方法とそれから得られた毛羽糸とを提案し
た(特開平3−64546号公報等参照)。
【0003】このようにして得たマルチフィラメント毛
羽糸は、従来の他の提案のものに比べて糸長手方向にお
ける糸強度や太さムラの変化が極めて少なく、かつ毛羽
長を比較的短く、クリンプやピリングを発生しない高品
質のものにすることができるという優れた点を有してい
た。また、上記方法によって得たマルチフィラメント毛
羽糸は、毛羽数を増加させるほど、衣料用としては手触
りがピーチスキンタッチの高級風合いになり、またミシ
ン糸にした場合には、コーンからの解舒性や針や布帛と
の平滑性を増大させて、可縫性を向上できるという特性
を有するものであった。
【0004】しかし、このマルチフィラメント毛羽糸
は、毛羽数が多くなるほど糸強力が低下してしまうとい
う逆相関関係を有しているため、高強力にしながら毛羽
数の増加に伴う上述した特長を得るということが出来な
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高強
力を有しながら表面に1mm以下の短い毛羽を多数有す
るようにした高強力毛羽糸からなるミシン糸を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、このような
シン糸を得るための製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
のミシン糸は、糸強力の小さい繊度0.1〜1.5デ
ニールの熱可塑性合成重合体からなる単糸フィラメント
と糸強力の大きい繊度3.5〜10デニールの熱可塑性
合成重合体からなる単糸フィラメントとが混在して下ヨ
リと上ヨリとが互いに反対方向に施されたマルチフィラ
メント糸条であり、主として前記糸強力の大きい単糸フ
ィラメントが連続繊維状である一方、前記糸強力の小さ
い単糸フィラメントが短繊維状に切断され、その切断端
部が前記マルチフィラメント糸条の表面から毛羽として
多数突出し、これら毛羽のうち長さ1mm以下の毛羽の
数が830個/m以上であると共に、毛羽総数の90%
以上を占め、かつ該マルチフィラメント糸条の糸強度が
4.5g/d以上である高強力毛羽糸からなることを特
徴とするものである。
【0007】マルチフィラメント毛羽糸は、前述したよ
うに毛羽数が多くなるほど糸強力が低下する逆相関関係
にあるが、上記のようにマルチフィラメント糸条を糸強
力の小さい単糸フィラメントと糸強力の大きい単糸フィ
ラメントとの少なくとも2種類から構成し、その糸強力
の大きい単糸フィラメントを糸強力成分として連続繊維
状に保持する一方、糸強力の小さい単糸フィラメントを
毛羽成分として短繊維化したことにより、糸強度を4.
5g/d以上もの高強力にしながら、毛羽数を830個
/m以上にも多数にすることが可能になる。
【0008】このような高強力毛羽糸からなるミシン糸
製造方法は、糸強力の小さい繊度0.1〜1.5デニ
ールの熱可塑性合成重合体からなる単糸フィラメントと
糸強力の大きい繊度3.5〜10デニールの熱可塑性合
成重合体からなる単糸フィラメントとが混在して下ヨリ
と上ヨリとが互いに反対方向に施されたマルチフィラメ
ント糸条を、走行速度50m/分以下で走行させながら
ガイドに巻き掛け、該ガイドに向かう往路側の糸条と該
ガイドから戻る復路側の糸条とを互いに交錯させて捩り
と扱きとを与えることにより、主として前記糸強力の小
さい単糸フィラメントを短繊維状に切断して該糸条の表
面に毛羽を発生させることを特徴とするものである。
【0009】このように出発原料としてのマルチフィラ
メント糸条を糸強力の小さい単糸フィラメントと糸強力
の大きい単糸フィラメントとの少なくとも2種類から構
成し、これをガイドに巻き掛けて糸−糸摩擦による捩り
と扱きとを与えるときの走行速度を50m/分以下にし
たため、瞬間摩擦熱を抑制することができ、糸強力の低
下をほとんど生じないようにすることができる。また、
糸の全面が均一に擦過を受けるようになるので染め差を
生じなくなり、かつ擦過時の白粉の発生量も少なくする
ことができる。
【0010】以下、図を参照しながら具体的に説明す
る。図1は、本発明による高強力毛羽糸の一例を示すも
のである。高強力毛羽糸50は、熱可塑性合成重合体か
らなるマルチフィラメント糸条51をベースとし、その
表面に多数の毛羽52を突出させるようにしている。こ
のマルチフィラメント糸条50は2本以上の下ヨリ糸を
引き揃え、それに上ヨリを施して構成されている。ま
た、マルチフィラメント糸条50は糸強力の小さい単糸
フィラメント(または細繊度単糸フィラメント)と糸強
力の大きい単糸フィラメント(または太繊度単糸フィラ
メント)とが混在して構成され、そのうち主として糸強
力の大きい単糸フィラメントは連続繊維状に維持されて
いるが、糸強力の小さい単糸フィラメントは短繊維状に
切断され、その切断端部が下ヨリや上ヨリに拘束されて
毛羽52として突出している。
【0011】このような構成において、毛羽糸50の糸
強度は4.5g/d以上、好ましくは4.5〜5.5g
/dの高強力であり、かつ毛羽52は、長さ1mm以下
の短いものが毛羽総数の90%以上を占め、しかもその
短い毛羽が830個/m以上、好ましくは830〜10
00個/mも備えたものとなっている。このように構成
された毛羽糸は、毛羽長が1mm以下の極めて短い毛羽
を830個/m以上の多数有し、かつ糸強度が4.
5g/d以上と高強力であるため、ミシン糸にした場合
には、コーンからの優れた解舒性、針や布帛に対する優
れた平滑性をそれぞれ発揮して、可縫性を向上すること
ができる。
【0012】また、この毛羽糸は、糸強力の小さな細繊
度の単糸フィラメントから毛羽が形成される一方、糸強
力の大きな太繊度の単糸フィラメントから芯部が形成さ
れているため、ミシン糸にしたときは高強度の縫い糸と
して縫目強力を向上し、破れにくくする。
【0013】本発明の高強力毛羽糸において、その素材
は合成重合体からなるが、なかでもポリエステル、ナイ
ロンなどの熱可塑性合成重合体は好ましい材料である。
本発明において、毛羽糸を構成するマルチフィラメント
糸条1糸条当たりの繊度は10〜500デニールの範囲
にするのがよい。特に、ポリエステルマルチフィラメン
ト糸条では30〜100デニールの範囲が好ましい。マ
ルチフィラメント糸条を構成する単糸フィラメントは、
断面形状が円形であっても、或いは三角形、Y形、五角
形、中空形、扁平形などの異形であってもよい。また、
高光沢糸や低光沢糸などの特殊品種を使用することもで
きる。
【0014】本発明において、毛羽糸は糸強力の小さい
単糸フィラメントと糸強力の大きい単糸フィラメントと
の少なくとも2種類から構成されるが、その糸強力差
は、一般には同一素材フィラメントのデニール差によっ
て構成するのがよい。もちろん、2種類のフィラメント
が糸強力差を有する限り、同じデニール構成であっても
よい。
【0015】デニール差として構成する場合、細い(糸
強力の小さい)単糸フィラメントの繊度は0.1〜1.
5デニールの範囲にすると共に、太い(糸強力の大き
い)単糸フィラメントの繊度は3.5〜10デニールの
範囲にし、相互の繊度差が少なくとも2デニール以上で
あるようにする。これら2種類の単糸フィラメントは、
毛羽糸内において、太い(糸強力の大きい)単糸フィラ
メントは連続繊維状に維持されるが、細い(糸強力の小
さい)単糸フィラメントは切断されて短繊維化される。
短繊維化された繊維長としては、特に限定されないが、
好ましくは25〜280mmの範囲にすることが望まし
い。短繊維化された繊維長は、特定の長さのものだけに
偏たることなく、ランダムな分布になっていることが望
ましい。
【0016】また、毛羽糸を構成するマルチフィラメン
ト糸条1糸条当たりの構成本数は20本以上、好ましく
は20〜150本にする。構成本数が20本未満では、
毛羽数を本発明で必要とする830個/m以上のレベル
にすることが難しくなる。連続繊維状に維持する太繊度
の単糸フィラメントと短繊維化する細繊度の単糸フィラ
メントとの本数の割合は、前者の本数を5〜50%にす
るのに対し、後者の本数を50〜95%にするのがよ
い。このような構成において構成本数を多くするほど、
またそのなかの細繊度の単糸フィラメントの本数割合を
多くするほど、毛羽数を多くすることができる。
【0017】本発明の毛羽糸に与えられるヨリは、下ヨ
リ数と上ヨリ数とがトルクバランスを保つようにヨリ方
向とヨリ数を適宜設定するとよい。好ましくは、下ヨリ
方向と上ヨリ方向とを互いに反対方向にし、かつ上ヨリ
数が下ヨリ数の6〜9割の範囲になるようにすることが
望ましい。上述した本発明の高強力毛羽糸の製造方法と
しては、糸強力の小さい単糸フィラメントと糸強力の大
きい単糸フィラメントとが混在して下ヨリと上ヨリとが
施されたマルチフィラメント糸条を、走行速度50m/
分以下で走行させながらガイドに巻き掛け、該ガイドに
向かう往路側の糸条と該ガイドから戻る復路側の糸条と
を互いに交錯させて捩りと扱きとを与えるとよい。上記
ガイドを介して捩りと扱きとを与える工程は、下ヨリ
後、引き揃え後、上ヨリ後、染色前後のリワインド中な
ど、いずれで行ってもよい。
【0018】図2および図3は、本発明の製造方法を上
ヨリ後の工程で実施する場合を例示するものである。図
2は、アップツイスタ或いはカバーリング機、イタリ式
撚糸機、ダブルツイスタ等と呼ばれる撚糸機に適用され
るもので、1はZ方向に下ヨリを施したフィラメント糸
条を複数本引き揃えて巻いたボビンである。ここで下ヨ
リを施した各フィラメント糸条は、糸強力の小さい単糸
フィラメントと糸強力の大きい単糸フィラメントとから
構成されている。
【0019】下ヨリ糸の引き揃え本数は2本以上であれ
ば何本でもよいが、好ましくは3本、7本などの奇数本
にすくと、糸条としてバランスさせることができる。こ
の場合、下ヨリ糸として異種の糸条を引き揃え、無ヨリ
糸を引き揃え、或いは下ヨリ方向が異なる糸条の引き揃
え等の特殊な組合せにすることもできる。この複数本の
下ヨリ糸を引き揃えた糸条Yを巻いたボビン1はスピン
ドル2に支持され、ベルト3の摩擦力により回転駆動さ
れるようになっている。このようにボビン1を回転させ
ながら糸条Yをボビン1の軸方向に供給ローラ4に引き
出すと、その糸条YにS方向(又はZ方向)の上ヨリが
与えられる。
【0020】上ヨリが挿入された糸条Yは、供給ローラ
4と引取ローラ6との間を緊張状態で走行しながらガイ
ド5に巻き掛けられる。しかも、この巻き掛けに当たっ
て、図3に詳細を示すように、ガイド5に向かう往路側
の糸条Yaとガイド5から戻る復路側の糸条Ybとが点
Pにおいて交差させられ、両糸条Ya,Ybに強い捩り
と扱きとを与えて糸−糸擦過を施すのである。
【0021】上記交錯処理において往路側の糸条Yaは
復路側の糸条Ybと交錯することにより90°の捩りが
与えられ、また復路側の糸条Ybにも往路側の糸条Ya
と交錯することにより90°の捩りが与えられる。した
がって、マルチフィラメント糸条Yが交錯点Pを往復し
て通過すると、合計して約180°の捩りが与えられ
る。マルチフィラメント糸条Yは、このように交錯点P
で捩られながら表面を扱かれることにより、主として細
繊度の単糸フィラメントの方が切断され毛羽化され、表
面に多数の毛羽を形成する。
【0022】このような交錯処理において、捩り方向は
Sヨリ、Zヨリいずれの方向でもよいが、交錯点Pでの
捩りと扱き作用を安定化させるためには、交錯点Pの内
側にピン10またはローラを配置するとよい。さらに好
ましくは、交錯点Pの供給側に案内用のローラ9または
ピンを配置すると共に、出側にも案内用のローラ11ま
たはピンを配置し、後者を矢印方向に移動させることに
より糸の入り側と出側とのなす入出角θを変更調整する
こともできる。
【0023】本発明において、交錯処理で与える張力と
しては、復路側および往路側とも0.2g/d以上にす
ることが好ましい。また、交錯処理により付与する捩り
としては、180°以上、さらに好ましくは360°以
上にするとよい。このように180°以上の捩りを与え
ることによって、糸条外周の半周以上を相手側の糸条と
摩擦接触させることができるため、それによって細繊度
側の単糸フィラメントの切断を糸長手方向および単糸間
でランダム化させることができる。また、この切断のラ
ンダム化によって糸スジなくし、一層均一化することが
できる。
【0024】本発明の製造方法において重要なことは、
交錯処理するときの糸条Yの走行速度を50m/分以下
にすることである。糸−糸擦過処理では擦過により瞬間
摩擦熱が発生し、それによってフィラメントが脆化した
り、削られたりするため、フィラメントが有する糸強力
が低下する。また、高速走行のためフィラメントの特定
側面だけが擦過されることがあり、染色した場合に擦過
部が淡色になり、糸品位を低下させる原因になる。
【0025】本発明では、走行速度を50m/分以下に
抑制するため、瞬間摩擦熱が抑制され、糸強力の低下が
ほとんど起こらないようにする。また、マルチフィラメ
ント糸条が自然に捩れたり反転したりするので糸全面が
均一に擦過を受け、染差を生ずることがなくなる。さら
に、糸が擦過されたときに発生する白粉は擦過速度が遅
いことによって発生量が少なくなり、後工程に対するト
ラブルをなくすことができる。
【0026】
【実施例】以下の実施例および比較例において、毛羽
数、糸強力、短繊維の繊維長は、それぞれ下記のように
して測定した。 〈毛羽数〉毛羽測定器「HAIRINESS COUNTER MODEL DT-1
0 」(東レエンジニアリング株式会社製)を使用して、
1mm以下の毛羽数を糸速50m/分で1分間測定し、
1m当たりに換算したうちの最大毛羽数を採用した。
【0027】〈糸強力〉JIS L−1073に規定さ
れた方法により測定した。 〈短繊維の繊維長〉三子ヨリ糸の上ヨリと下ヨリを解撚
し、それぞれ短繊維に分解したときの各短繊維の繊維長
を測定した。
【0028】実施例1 70デニール,42フィラメントのポリエステルマルチ
フィラメント(6デニールが6本、1デニールが36本
の構成)に、S方向900T/mを施した下ヨリ糸を3
糸条引き揃え、これにZ方向600T/mの上ヨリを施
して三子ヨリ糸にした。
【0029】この三子ヨリ糸を、図2に示すアップツイ
スタ製造工程によって、走行速度10m/分、往路側張
力200g、復路側張力480gの高張力下に図3のよ
うにガイドローラに巻き掛けて、往路側糸条と復路側糸
条とを交差させ、約360°の捩りと扱きを与えて毛羽
糸を製造した。得られた毛羽糸の特性は、次の通りであ
った。
【0030】毛羽長 0.1〜1.0mm(100%全
数の毛羽が1mm以下であった) 短繊維の繊維長 平均126mm(最大300mm、
最小25mm) 強力(強度) 1050g(5.0g/d) 強力変動率(CV) 3.5% 毛羽数 840個/m 得られた毛羽糸を分解したところ、6デニールの単糸フ
ィラメントは6本とも短繊維化されていなかったが、1
デニールの単糸フィラメントは36本全部が短繊維化さ
れていた。また、短繊維化された異なる長さの各繊維長
は図4のような分布であり、各繊維長の本数が比較的揃
っていた。
【0031】また、得られた毛羽糸を染色仕上げ加工し
た後、ミシン糸として評価したところ、可縫性が極めて
良好であり、かつ縫い上がりの見栄えが良好であった。 実施例2 糸強度が4.5g/dと5.5g/dの毛羽糸を得るた
め、実施例1における往路側張力と復路側張力の条件
を、往路側張力250g/復路側張力550g、往路側
張力150g/復路側張力450gの2水準について変
えた毛羽糸を製造した。この実施例で得た2水準の毛羽
糸と実施例1で得た毛羽糸との糸強度と毛羽数の関係を
図5にプロットすると、本発明例のような結果になっ
た。
【0032】一方、比較のため、従来法に従って、70
デニール,42フィラメントのポリエステルマルチフィ
ラメント(42本全数が1.7デニールの構成)に、S
方向900T/mを施した下ヨリ糸を3糸条引き揃え、
これにZ方向600T/mの上ヨリを施して三子ヨリ糸
にした。この三子ヨリ糸から、図2、図3の製造工程に
より、糸強度4.5g/d、5.0g/d、5.5g/
dの毛羽糸を得るため、往路側張力と復路側張力の条件
を、往路側張力230g/復路側張力530g、往路側
張力180g/復路側張力450g、往路側張力130
g/復路側張力430gの3水準の条件設定を行って毛
羽糸を製造した。
【0033】得られた3種類の毛羽糸の糸強度と毛羽数
との関係を図5にプロットすると、従来例として示す通
りの結果になった。すなわち、糸強度を高くすると十分
な毛羽数が得られないことがわかる。 比較例 実施例1において、糸走行速度だけをそれぞれ60m/
分、100m/分、200m/分に変更して毛羽糸を製
造した。
【0034】糸強力レベルは1050〜1100g
(5.0〜5.2g/d)であったが、いずれも長さ1
mm以下の毛羽数は750個/m以下であった。また、
白粉や削れの発生が大きく、染色後の染差も糸走行速度
の大きいものほど大きくなっていた。
【0035】
【発明の効果】本発明による毛羽糸は、糸強力の小さい
単糸フィラメントと糸強力の大きい単糸フィラメントと
の少なくとも2種類から構成され、その糸強力の大きい
単糸フィラメントを糸強力成分として連続繊維状にする
一方、糸強力の小さい単糸フィラメントを毛羽成分とし
て短繊維化しているので、高強力にしながら毛羽数を極
めて多くすることができる。
【0036】したがって、ミシン糸にした場合には、コ
ーンからの優れた解舒性、針や布帛に対する優れた平滑
性を発揮し、可縫性を向上することができ、さらに高強
度の縫い糸として縫目強力を向上することができる。
【0037】また、本発明による製造方法は、糸強力の
小さい単糸フィラメントと糸強力の大きい単糸フィラメ
ントとの少なくとも2種類から構成したマルチフィラメ
ント糸条をガイドに巻き掛けて糸−糸摩擦による捩りと
扱きとを与えるとき、その走行速度を50m/分以下に
したため瞬間摩擦熱を抑制することができ、糸強力の低
下をほとんど生じないで毛羽数を多くすることができ
る。また、糸の全面が均一に擦過を受けるようになるの
で染め差を生ずることがなく、かつ擦過時の白粉の発生
量も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強力毛羽糸の一例を示す概念図であ
る。
【図2】本発明の高強力毛羽糸の製造工程を示す概略図
である。
【図3】図2の製造工程の糸−糸交錯部を拡大して示す
説明図である。
【図4】本発明により得られた毛羽糸に含まれる短繊維
の繊維長と繊維本数との関係図である。
【図5】本発明例によって得られる毛羽糸と従来例によ
って得られる毛羽糸とを対比して示す糸強度と毛羽数と
の関係図である。
【符号の説明】
50 毛羽糸 51 マルチフ
ィラメント糸条 52 毛羽 Y マルチフ
ィラメント糸条 4 供給ローラ 5 ガイド 6 引取ローラ P 交錯点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−64546(JP,A) 特公 昭51−34019(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/42 D02G 3/04 D02G 3/22 D02G 3/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸強力の小さい繊度0.1〜1.5デニ
    ールの熱可塑性合成重合体からなる単糸フィラメントと
    糸強力の大きい繊度3.5〜10デニールの熱可塑性合
    成重合体からなる単糸フィラメントとが混在して下ヨリ
    と上ヨリとが互いに反対方向に施されたマルチフィラメ
    ント糸条であり、主として前記糸強力の大きい単糸フィ
    ラメントが連続繊維状である一方、前記糸強力の小さい
    単糸フィラメントが短繊維状に切断され、その切断端部
    が前記マルチフィラメント糸条の表面から毛羽として多
    数突出し、これら毛羽のうち長さ1mm以下の毛羽の数
    が830個/m以上であると共に、毛羽総数の90%以
    上を占め、かつ該マルチフィラメント糸条の糸強度が
    4.5g/d以上である高強力毛羽糸からなるミシン
  2. 【請求項2】 前記マルチフィラメント糸条のフィラメ
    ント本数が20本以上である請求項1に記載の高強力毛
    羽糸からなるミシン糸
  3. 【請求項3】 糸強力の小さい繊度0.1〜1.5デニ
    ールの熱可塑性合成重合体からなる単糸フィラメントと
    糸強力の大きい繊度3.5〜10デニールの熱可塑性合
    成重合体からなる単糸フィラメントとが混在して下ヨリ
    と上ヨリとが互いに反対方向に施されたマルチフィラメ
    ント糸条を、走行速度50m/分以下で走行させながら
    ガイドに巻き掛け、該ガイドに向かう往路側の糸条と該
    ガイドから戻る復路側の糸条とを互いに交錯させて捩り
    と扱きとを与えることにより、主として前記糸強力の小
    さい単糸フィラメントを短繊維状に切断して該糸条の表
    面に毛羽を発生させる高強力毛羽糸からなるミシン糸
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記マルチフィラメント糸条のフィラメ
    ント本数が20本以上である請求項に記載の高強力毛
    羽糸からなるミシン糸の製造方法。
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