JP4428025B2 - スパン縫糸およびその製造方法 - Google Patents

スパン縫糸およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、糸外観の起毛状態が良好で、糸筋の均一なスパン縫糸およびその製造方法に関するものである。
従来、スパン縫糸は、その毛羽が縫製時の針熱を放射する効果を有するため、高速可縫性に優れている。
しかしながら、フィラメント縫糸に比べて糸の均一性が低いため、強力のバラツキが大きく、縫製中の糸切れの発生や縫製後の縫目強力が低下する。また、縫製後の縫目において毛羽や糸筋の不均一さが目立ち品位を低下させている。
上記の問題に対して、ドラフトされた2本の繊維束が無撚りの状態で巻きついた構造の紡績糸を複数本引き揃えて合撚することにより、毛羽が少なく可縫性に優れたスパン縫糸を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この提案によるスパン縫糸は、双糸調の紡績糸を合撚するため、断面形状が異形になりやすく、また縫製時に糸道や針との接触面積が大きくなるため、摩擦が大きくなり縫製中糸切れや目飛びが多くなってしまう欠点や、繊維束が2本必要になるため、設備の改良が必要なこと、細い繊維束を製造するのが困難であるという欠点がある。
また、ドラフトされた2本の繊維束が合撚されてなる紡績糸を複数本引き揃えて紡績糸よりも高い撚り数で合撚することにより、毛羽が少なく縫目外観に優れたスパン縫糸を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この提案によるスパン縫糸は、双糸調の紡績糸を合撚するため、断面形状が異形になりやすく、また縫製時に糸道や針との接触面積が大きくなるため、摩擦が大きくなり縫製中糸切れや目とびが多くなってしまう欠点や、上撚り数が高いため、強力が低下し、縫製中や縫目の糸切れの原因となる欠点がある。
また、紡績糸もしくはコアヤーンと撚糸されたフィラメントを引き揃えて合撚することにより、毛羽が少なく強度の高い縫糸を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この提案による縫糸は、フィラメントが表面に出ているので紡績糸との光沢差により縫目外観に劣り、高速縫製時に針熱によってフィラメントが切れて、縫目強力が低下したり、またフィラメントを使用するのでスパン縫糸に比べて価格が高くなるという欠点がある。
特許第3035895号公報 特開平08−100342号公報 特開平08−027641号公報
本発明の目的は、前述した従来のスパン縫糸の可縫性、強力のバラツキそして縫目の品位の低さといった問題点を解決し、可縫性に優れ、縫目外観の優れたスパン縫糸およびその製造方法を提供することにある。
上記した課題を解決するために本発明では、ドラフトされた1本の繊維束を吸込み空気によって集束させた後に撚糸することにより、毛羽の発生を抑えて糸質の均一な紡績糸を製造し、該紡績糸を複数本引き揃えて撚糸してスパン縫糸を得る技術によって解決するものである。
すなわち、本発明のスパン縫糸は、紡績糸が複数本合わさり、該紡績糸の撚糸方向とは反対方向に撚糸されてなるスパン縫糸において、糸表面に突出している毛羽のうち、起毛しているものの割合が80〜95%であることを特徴とするものである。
また、本発明のスパン縫糸は、紡績糸が複数本該紡績糸の撚り方向とは反対方向に撚糸されてなり、平均引張破断強度が3.7〜4.5cN/dtexであり、かつ引張破断強力の最低値が平均値の85〜95%であることが好ましいものである。
また、本発明のスパン縫糸は、1mm以上3mm未満の毛羽が100〜250個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽が3〜20個/10m、5mm以上の毛羽が1〜5個/10mの範囲にあることが好ましいものである。
また、本発明のスパン縫糸は、引張破断強度が5.0〜8.0cN/dtex、繊度が0.1〜0.9dtex、乾熱収縮率が1.0〜3.0%のステープルから構成されていることが好ましいものである。
また、本発明のスパン縫糸の製造方法は、精紡工程において、ステープルからなる繊維束を吸込み空気によって収束させた後、下撚りをかけた紡績糸を複数本引き揃えて上撚りをかけ、チーズ染色し、仕上げ油剤を付与することを特徴とするものである。
本発明において、毛羽とは糸の長手方向にループやたるみ、あるいは繊維端を有するものであり、糸表面から突出した繊維のことをいう。
また、本発明において起毛している毛羽とは上記毛羽のうち繊維端のいずれかが糸表面から突出した状態の毛羽のことをいう。
本発明の製造方法において、精紡工程とは繊維を束状にしたものをドラフトして細くし、撚りによって繊維同士を結束させながら巻き取るものをいう。
本発明の請求項1に係るスパン縫糸は、起毛している毛羽の割合が多いので高強力であり、縫製後の縫目の品位が高く、縫目が摩擦しても毛羽が固まらずピリングが発生しない。また、撚りトルクのバランスに優れており、撚りビリが発生しない。さらに、仕上げ油剤をオイリングローラーで付与する場合、糸の締りが良いので油剤が内部まで入り込むことがなく、縫製時の油染みによってミシンや生地を汚すことがない。
また、本発明の請求項2に係るスパン縫糸は、強度が高いので厚物など様々な範囲の縫製に適しており、必要な縫目強力が得られる。また、強力が極端に低い部分がないので長い時間縫製していても縫糸が切れることが殆どなく、縫目強力にバラツキが生じない。
また、本発明の請求項3に係るスパン縫糸は、長い毛羽が殆どなく、すなわち縫糸を構成するステープルの本数が多いので、全体的に強力が高く、また、縫製後縫目の品位を損なうことがなく、かつ糸の耐熱性も十分に備えている。さらに仕上げ油剤をオイリングローラーで付与する場合、必要量以上の余分な油剤が毛羽から付着することがなく、縫製時の油染みによって生地やミシンを汚すことがない。
また、本発明の請求項4に係るスパン縫糸は、構成するステープルの強度が高く細いので、従来にない細番手でかつ高強度な縫糸が得られ、しかも低収縮であるため、染色による糸形態の変化が小さく、縫目にアイロンを当ててもパッカリングを生じない。
また、本発明の請求項5に係るスパン縫糸の製造方法は、繊維束表面のステープルを集束させてから撚り込むため、毛羽が少なく、強力の高い紡績糸が得られる。また、トルクのバランスに優れ糸質が均一で可縫性の高いスパン縫糸を得ることができる。また、チーズ巻きする際に糸質が良いので安定した硬さに巻くことができる。また仕上げ油剤をオイリングローラーで付与する場合、必要量以上の余分な油剤が毛羽から付着することがなく、仕上げ巻き機の糸道を汚すことがない。
以下、本発明の最良の実施形態の例を図を用いて説明する。
図1は本発明にかかるスパン縫糸の一例を示す形態図である。図1において、スパン縫糸は紡績糸1が複数本合わさった状態で撚糸されてなり、糸表面には起毛している毛羽2とループを形成している毛羽3とを有する。
まず、本発明のスパン縫糸における紡績糸1としては、空気もしくは窒素によって吸引する力を利用して紡績糸表面に発生する毛羽の向きを一定に揃えさせることにより通常糸表面に発生する毛羽を紡績糸の内部へと撚り込むものを対象とするものであることが好ましく、汎用性とコストの面から空気を用いることがより好ましい。
また、本発明のスパン縫糸は一端が外方に突出して起毛している毛羽2の割合が80〜95%であることが好ましく、さらに好ましくは85〜90%である。起毛している毛羽2の割合が80%未満であるとループ状の毛羽3が多くなり縫目品位が低く、縫目の摩擦によって毛羽が固まりピリングとなるため好ましくない。逆に起毛している毛羽2の割合が95%より多くなると、糸の耐熱性が低くなり、高速縫製時に縫糸切れが発生するため好ましくない。
また、本発明における紡績糸1を構成するステープルはポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維などで構成され、特に限定されるものではないがコストや汎用性の面からポリエステル系繊維が好ましく、さらにはポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維を用いることが最も好ましい。
また、本発明における紡績糸1の形態は、ステープル100%でも、フィラメントを芯にしたコアヤーンでもよいが、空気による繊維束の集束の効果が最も高いステープル100%が好ましい。
このとき、繊維束を構成する紡績糸1のステープルの本数は特に限定するものではないが、均一性を良くするために150〜1100本であることが好ましい。
また、本発明におけるスパン縫糸の上がり番手は特に限定されるものではないが、強力や縫目の品位の面から綿番手で15〜40sが好ましい。
また、紡績糸1は2〜3本合わされて撚糸されることが好ましい。紡績糸1の本数が2本未満であると縫糸として必要な強度が得られず、縫製中や縫目の縫糸切れの原因となるため好ましくない。逆に本数が4本以上であると撚糸が困難になり、糸の均一性が損なわれ可縫性が低下するため好ましくない。
また、本発明における紡績糸1の撚り数は例えば綿番手で15〜40sにおいて500〜1800T/mの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1000〜1600T/mである。撚り数が1000T/m未満であると糸の締りが悪く毛羽が多くなり、縫糸の品位、強力を低下させるため好ましくない。また、撚り数が1800T/mより多くなるると繊維同士の摩擦によって強力の低下が起こり縫製中の糸切れや縫目切れの原因となるため好ましくない。
また、上撚り数は紡績糸1の撚り数の60〜90%が好ましく、さらに好ましくは65〜80%である。上撚り数が紡績糸の撚り数の60%未満であると紡績糸同士の空隙が大きくなり、縫製中ミシン針がそこを通過して紡績糸切れを起こす原因となるため好ましくない。また、撚り数が紡績糸の撚り数の90%より多くなるとトルクのバランスが悪く、縫製中の目飛びの原因となるため好ましくない。
また、本発明におけるスパン縫糸の平均引張破断強度は3.7〜4.5cN/dtexが好ましく、さらに好ましくは3.8〜4.3cN/dtexである。平均引張破断強度が3.7cN/dtex未満であると、縫製中張力によって糸切れが発生したり、縫目強力が低くなるため好ましくない。逆に平均引張破断強度が4.5cN/dtexより高くなると、縫製品に大きな負荷がかかったとき縫糸が強すぎて縫目付近の生地を痛めてしまうため好ましくない。
また、本発明におけるスパン縫糸の引張破断強力の最低値は、該スパン縫糸の引張破断強力の平均値の85〜95%が好ましく、さらに好ましくは87〜95%である。引張破断強力の最低値が平均値の85%未満であると、平均値より大幅に小さい荷重で糸が切れてしまうため、縫糸としての役割を達成できず好ましくない。
また、本発明におけるスパン縫糸の毛羽は、1mm以上3mm未満の毛羽が100〜250個/10mであることが好ましく、さらに好ましくは120〜200個/10mである。1mm以上3mm未満の毛羽が100個/10m未満であると、縫製時に針熱を放熱する効果が低く、縫糸切れの原因となるため好ましくない。逆に1mm以上3mm未満の毛羽が250個/10mより多くなると、摩擦によりピリングを発生し縫製品の品位を著しく損なうので好ましくない。
また、3mm以上5mm未満の毛羽が3〜20個/10mであることが好ましく、さらに好ましくは5〜14個/10mである。3mm以上5mm未満の毛羽が3個/10m未満であると縫製時に針熱を放熱する効果が低く、縫糸切れの原因となるため好ましくない。逆に3mm以上5mm未満の毛羽が20個/10mより多くなると強力のバラツキが大きくなり、縫製中や縫目の縫糸切れの原因となるため好ましくない。
また、5mm以上の毛羽が1〜5個/10mであることが好ましく、さらに好ましくは1〜3個/10mである。5mm以上の毛羽が5個/10mより多くなると強力のバラツキが大きくなり、縫製中や縫目の糸切れの原因となるため好ましくない。
本発明にて使用するステープルの平均引張破断強度は5.0〜8.0cN/dtexが好ましく、さらに好ましくは5.1〜7.0cN/dtexである。ステープルの平均引張破断強度が5.0cN/dtex未満であると、十分な強度が得られず縫製時や縫目の縫糸切れの原因となるため好ましくない。逆に原綿の平均引張破断強度が8.0cN/dtexを超えると、縫目の摩擦によって毛羽がピリングになったとき、ステープルが強すぎてピリングが脱落しにくくなるため好ましくない。
また、本発明にて使用するステープルの繊度は0.1〜0.9dtexが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.8dtexである。繊度が0.1dtex未満であると細かい毛羽が増えて縫目品位が低くなるため好ましくない。逆に繊度が0.9dtexを超えると糸の構成本数が少なく強力のバラツキが大きくなるため好ましくない。
また、本発明にて使用するステープルの乾熱収縮率は1.0〜3.0%が好ましい。乾熱収縮率が1.0%未満であると染色で伸度がほとんど変わらないため、初期伸度が小さく縫目飛びの原因となるため好ましくない。逆に乾熱収縮率が3.0%を超えると染色後の初期伸度が大きくなりすぎて、縫製後のパッカリングに悪影響を及ぼすので好ましくない。
また、本発明におけるステープルの繊維長は特に限定されるものではなく、公知のものなどから任意に選択できる。
また、本発明におけるステープルの断面形状は、特に限定されるものではなく、丸型、三角型、中空型、バイメタル型等公知のものなどから任意に選択できる。
以下、本発明縫糸の製造方法を図を用いてさらに詳細に説明する。
図2は本発明における縫糸の製造工程の一例を示す概略図である。また、図3は図2における繊維束を吸込み空気によって集束する箇所の詳細図である。図2において、繊維束4はバックローラー5とミドルローラー6によるドラフトを経て、さらにミドルローラー6とフロントローラー7によってドラフトされながら供給され、繊維集束装置8のメッシュベルト9上で集束される。なお、ニップローラー10は繊維集束装置8の繊維束を収束する度合いを調整するものである。集束された繊維束はその後スネルガイド11を経て、巻取りスピンドル12とリングレール13内のトラベラー14の回転によって撚糸されながら紡績糸1としてボビン15に巻き取られる。
また、図3において、縦長のスリット16を持つ繊維集束装置8は該繊維集束装置8内にある回転軸と接触して回転するメッシュベルト9が掛けられており、スリット16から空気17が吸引されて繊維束4を集束する。縦長のスリット16は繊維集束装置8に設けられたものであり、そのままであると繊維がすべてスリットから吸い込まれるので、スリットの上にメッシュベルトが掛けられている。
本発明の製造方法において、吸込み空気による繊維束の集束は精紡工程で行うことが好ましく、さらにはフロントローラー7とスネルガイド11の間で行うことがより好ましい。繊維束の収束が精紡工程より前であると撚りがかかっていないため収束された繊維が再び毛羽となって表面に出てしまうので好ましくない。また、精紡工程の後であると既に撚りがかかっているので空気による収束の効果が得られないため好ましくない。
また、吸い込み空気によって集束された繊維束に下撚りをかける方法は、リング方式であることが好ましい。リング方式以外の方法では、撚り数が少なくなり集束した繊維束を内部に撚り込むことができないので好ましくない。
本発明は、上記の下撚りをかけた紡績糸を複数本引き揃えて上撚りをかけ、チーズ染色し、仕上げ油剤を付与するものである。
本発明の製造方法における引き揃えた紡績糸に上撚りをかける方法は、特に限定されるものではなく、ダブルツイスター、ダウンツイスターなどの方法から任意に選択できる。
本発明の製造方法におけるチーズ巻きの固さ(硬度)の標準偏差Cは0〜9.0%が好ましく、さらに好ましくは0〜7.0%である。標準偏差Cが9.0%を超えると染色による収縮応力が大きく、染めムラや糸の強力低下が発生するため好ましくない。
本発明の製造方法におけるチーズ染色の方法は、特に限定されるものではなく、分散染色やカチオン染色などの方法から任意に選択できる。
本発明の製造方法における仕上げ油剤の付与方法は特に限定されるものではないが、毛羽が少なく糸締りが良いため余分な油剤を吸い上げる心配がないオイリングローラーによる油剤の付与方法がより好ましい。また、油剤の付着量は1.0〜8.0%o.w.fが好ましい。油剤の付着量が1.0%o.w.f未満であると縫糸の平滑性が十分でなく、縫製中の糸切れや毛羽立ち、縫目強力の低下の原因となるため好ましくない。逆に油剤の付着量が8.0%o.w.fを超えると、縫製中に油剤が糸より染み出してしまいミシンや生地を汚してしまうため好ましくない。
また、本発明の製造方法における仕上げ油剤は特に限定されるものではなく、公知の仕上げ油剤から任意に選択できるが、平滑性の良さや低コストの面からシリコンを主体とした仕上げ油剤を用いることがより好ましい。
以下に本発明の実施例、および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例中の測定方法、評価方法は以下の方法を用いた。
(1)起毛毛羽の割合K(%)
電子走査顕微鏡(日立製 S−3500N)にて縫糸の20倍の側面写真を5箇所撮影し、糸直径より1mm以上外周方向に突出している毛羽のうち、起毛している毛羽k1とループ状の毛羽k2を目視にて測定し、起毛毛羽の割合K(%)を下記式1より算出した。
K(%)=[k1/(k1+k2)]×100 ・・・(1)
(2)ステープルの平均引張破断強度(cN/dtex)
JIS L1015に準拠して1水準につき30回測定しその平均値を算出した。
(3)ステープル正量繊度(dtex)
JIS L1015に準拠して測定した。
(4)乾熱収縮率(%)
JIS L1015に準拠して180℃での収縮を測定した。
(5)チーズ巻き固さの標準偏差C
ASKER製 RUBBER TESTER Type Cにてチーズ巻きの縦方向に異なる場所の固さcを5箇所測定し、平均値chから下記式2より標準偏差Cを算出した。
Figure 0004428025
(6)見かけ繊度(dtex)
JIS L1013に準拠して1水準につき20回測定しその平均値を算出した。
(7)平均引張破断強力(cN)、平均引張破断強度(cN/dtex)
計測器工業(株)製STATIMAT MEによりつかみ長200mm、引張速度100%/min、1水準につき20回の測定を行い、平均引張破断強力F1と最低引張破断強力F2を求めた。また、見かけ繊度より平均引張破断強度を算出した。
(8)強力ムラF(%)
上記引張破断強力の最低値F2と平均値F1を用い、強力ムラF(%)を下記式3より算出した
F(%)=(F2/F1)×100 ・・・(3)
(9)毛羽数(個/10m)
糸を30m/minで走行させながら静電式コンデンサ(敷島テクノ製 F−INDEX TESTER)を使用して、縫糸の直径に対して1mm、3mmそして5mm以上はみ出ている表面毛羽数を1水準つき10回測定し、平均値を10m当たりの本数に換算した。
(10)糸切れ数(回)
綿ブロード10枚重ねの生地を、1本針本縫いミシンにて上糸張力1cN/dtex、速度4000spmで50m縫製するときに発生した糸切れの回数から評価した。
(11)縫目外観評価
綿ブロード4枚重ねの生地に眠り目ボタンホールミシンにて長さ2cm、幅3.5mmのボタンホールを10個縫製して縫目外観を目視評価し、下記の通り判定した。
◎:毛羽が目立たず見栄えが良い
○:若干毛羽が見えるが気にならない程度
×:毛羽が目立ち見栄えが良くない
(12)油剤の染み出し
上記外観評価の縫目のうち、仕上げ油剤の生地への染み出しの有無を肉眼で判定した。
[実施例1]
引張破断強力7.5cN/dtex、繊度0.8dtex、乾熱収縮率1.2%、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート系ポリエステルステープルを使用して繊維束を製造し、(株)豊田自動織機製RX240NEW−ESTによる精紡工程において、30倍にドラフトした繊維束を0.9倍でアンダーフィードしながら吸込み空気によって収束させた後、スピンドル回転数12,500rpmでS方向に1180T/mで撚糸して糸速25m/minで紡出した綿番手で63sの紡績糸を、3本引き揃えて村田機械(株)製ダブルツイスターにてスピンドル回転数7400rpm、糸速8.9m/minでZ方向に830T/mで合撚し、蒸気セッターにて90℃×20分で撚り止めセットし、チーズに巻き返し分散染料にて130℃×40分で染色し、高松油脂(株)製仕上げ油剤GS−100SHをオイリングにて5.0%o.w.f付与して縫糸を得た。
[実施例2]
引張破断強力5.1cN/dtex、繊度0.3dtex、乾熱収縮率2.8%、繊維長35mmのポリエチレンテレフタレート系ポリエステルステープルを使用して繊維束を製造し、実施例1と同様の方法で繊維束を収束させた後、スピンドル回転数12,500rpmでS方向に1640T/mで撚糸して糸速20m/minで紡出した綿番手で120番の紡績糸を、3本引き揃えて村田機械(株)製ダブルツイスターにてスピンドル回転数7400rpm、糸速6.4m/minでZ方向に1150T/mで合撚し、蒸気セッターにて90℃×20分蒸気で撚り止めセットし、チーズに巻き返し分散染料にて130℃×40分で染色し、高松油脂(株)製仕上げ油剤GS−100SHをオイリングにて5.0%o.w.f付与して縫糸を得た。
[比較例1]
精紡工程で繊維束を延伸するときに繊維束を収束する加工をしない以外は実施例1と同様の方法で縫糸とした。
[比較例2]
精紡工程で繊維束を延伸するときに繊維束を収束する加工をしない以外は実施例2と同様の方法で縫糸とした。
以上の実施例および比較例によって得られる縫糸の測定結果、評価結果を表1に示す。
Figure 0004428025
表1に示すとおり、実施例1および実施例2のスパン縫糸は、チーズ巻きの固さが安定しており、染色による糸質のムラを生じない。また、毛羽が少なくかつ起毛しているため縫製後の縫目の品位が良かった。また、高強度でかつ強力が糸のどの部分でも安定しているため、長い距離を縫製しても糸切れを起こさず効率よく作業できた。これに対して、比較例1ではチーズ巻きの固さの差が大きく、染色による糸質のバラツキが大きくなる。また、強度はあるがループ状の毛羽が多く外観が劣り、全体としての毛羽数も多いので太さのムラが大きくなるため、強度が平均に対し極端に低い部分が存在し、縫製中その部分で糸切れを起こしてしまい作業が中断してしまった。また毛羽が多く、縫目の品位を重視する部分には不適である。さらに糸の締りが悪いため仕上げ油剤が糸内部まで浸透しており、それが縫製中に染み出してくるためミシンや生地を汚してしまう。比較例2は強度、最低強力共に低く、縫製中の糸切れや縫目強力の低下といった問題が生じ、また縫目の品位も良くない。
本発明におけるスパン縫糸の一例を示す形態図である。 本発明におけるスパン縫糸の製造装置の一例を示す概略図である。 図2における繊維集束部の詳細図である。
符号の説明
1:紡績糸
2:起毛している毛羽
3:ループ状の毛羽
4:繊維束
5:バックローラー
6:ミドルローラー
7:フロントローラー
8:繊維集束装置
9:メッシュベルト
10:ニップローラー
11:スネルガイド
12:スピンドル
13:リングレール
14:トラベラー
15:ボビン
16:スリット
17:吸込み空気

Claims (3)

  1. 1本の繊維束からなる紡績糸が複数本合わさり該紡績糸の撚り方向とは反対方向に撚糸されてなるスパン縫糸において、表面に突出している毛羽のうち、1mm以上3mm未満の毛羽が100〜201.0個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽が3〜20個/10m、5mm以上の毛羽が0〜3個/10mの範囲にあり、かつ下記方法によって測定される起毛しているものの割合が91.8〜95%であることを特徴とするスパン縫糸。

    電子走査顕微鏡にて縫糸の20倍の側面写真を5箇所撮影し、糸直径より1mm以上外周方向に突出している毛羽のうち、起毛している毛羽k1とループ状の毛羽k2を目視にて測定し、起毛毛羽の割合K(%)を下記式より算出

    K(%)=[k1/(k1+k2)]×100 ・・・(1)
  2. 平均引張破断強度が3.7〜4.5cN/dtexであり、かつ引張破断強力の最低値が平均引張破断強力の85〜95%であることを特徴とする請求項1に記載のスパン縫糸。
  3. 平均引張破断強度が5.0〜8.0cN/dtex、繊度が0.1〜0.9dtex、JIS L1015に準拠した180℃における乾熱収縮率が1.0〜3.0%のステープルからなることを特徴とする請求項1または2に記載のスパン縫糸。
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