JP2004169230A - 縫糸およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度と可縫性に優れた縫糸を提供する。
【解決手段】(1)毛羽、ループまたはたるみを有する鞘糸と、毛羽、ループまたはたるみのいずれをも実質的に有しない芯糸から成る複合マルチフィラメント糸条に下撚が施され、さらに当該複合マルチフィラメント糸条が複数糸条引き揃えて上撚が施されてなる、縫糸。
(2)鞘糸となるマルチフィラメント糸条に交絡処理を施し、次いで毛羽、ループまたはたるみを付与し、芯糸となる毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しないマルチフィラメント糸条と引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とし、さらに下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上引き揃えて、上撚を施す工程を含む、縫糸の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】(1)毛羽、ループまたはたるみを有する鞘糸と、毛羽、ループまたはたるみのいずれをも実質的に有しない芯糸から成る複合マルチフィラメント糸条に下撚が施され、さらに当該複合マルチフィラメント糸条が複数糸条引き揃えて上撚が施されてなる、縫糸。
(2)鞘糸となるマルチフィラメント糸条に交絡処理を施し、次いで毛羽、ループまたはたるみを付与し、芯糸となる毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しないマルチフィラメント糸条と引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とし、さらに下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上引き揃えて、上撚を施す工程を含む、縫糸の製造方法。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維の縫糸として、フィラメントとドラフトされたステープルファイバーを同時に精紡機で撚糸したコアヤーン縫糸が知られており、紡績糸のみの縫糸に比べて高強力になることから、耐久性が必要とされるジーンズや、美しい縫目の仕上がりが要求される薄地衣料あるいは高級品のスーツなどの縫製に用いられてきている。
【0003】
近年、ミシン機の高速化や自動化などにより縫製技術が向上したのに伴い、可縫性は従来レベルを維持しながらも、より細く、あるいはより高強力な縫糸が要求されて来ている。しかしながら、従来のコアーヤーン縫糸はかかる要求に応えるにも限度があった。
【0004】
一方、下記特許文献1には、毛羽、たるみが全て鞘糸から構成されている複合毛羽糸が開示されている。しかし、「張り」や「腰」などに優れたスパンライク風合いを狙いとした衣料用布帛そのものを意図したものであり、縫糸として用いるという発想は全くなかった。
【0005】
このように従来技術では、細い繊度で高強力特性を満足しさらに可縫性にも優れた縫糸の技術は開発されていないのである。
【0006】
【特許文献1】
特許第3248300号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、強度と可縫性に優れた縫糸を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、毛羽、ループまたはたるみを有する鞘糸と、毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しない芯糸から成る複合マルチフィラメント糸条に下撚が施され、さらに当該複合マルチフィラメント糸条が複数糸条引き揃えて上撚が施されてなる、縫糸である。
【0009】
また本発明は、鞘糸となるマルチフィラメント糸条に交絡処理を施し、次いで毛羽、ループまたはたるみを付与し、芯糸となる毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しないマルチフィラメント糸条とを引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とし、さらに下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上引き揃えて、上撚を施す工程を含む、縫糸の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明の縫糸を構成する複合フィラメント糸条の鞘糸は、毛羽、ループまたはたるみ(以下、これらを毛羽等とも総称する。)を有することが重要である。
毛羽等の存在により、摩擦の軽減や随伴気流による発熱抑制などの効果があり、可縫性が向上する。毛羽等の好ましい数は縫糸のそれとして後述する。
【0012】
鞘糸の素材としては、ポリエステルやポリアミドなどの合成繊維フィラメント、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維、アラミドなどの高機能繊維を用いることができる。染色性の点からは、布帛を構成する繊維と同種のものを採用することも好ましい。
【0013】
鞘糸の単繊維フィラメントの繊度としては、可縫性の点から0.1〜3.5dtexの範囲が好ましい。
【0014】
一方、本発明の縫糸を構成する複合フィラメント糸条の芯糸は、毛羽等を実質的に有しないことが重要である。そうすることで、縫糸としての高い強力を得ることができる。また、糸筋の均一性も向上し、縫目の仕上がりも美しく見栄えに優れた縫製品を製造することができる。毛羽等を実質的に有しない程度としては、好ましくは2000m当たり10個以下である。
【0015】
芯糸の素材としては、鞘糸と同様のものを用いることができる。
【0016】
また、アラミド繊維などの高機能繊維は高強力であるので、10〜30cN/dtexといった特に高い強力が要求される用途に対しても好ましく用いることができる。
【0017】
芯糸の繊度・フィラメント数・強度としては、30〜100dtex、複合マルチフィラメント1糸条あたり12〜80本、6.0cN/dtex以上が好ましい。
【0018】
次に、鞘糸と芯糸は、好ましくは交絡部を有して複合マルチフィラメント糸条を形成している。交絡部を有することは、芯糸と鞘糸との収束性を高め糸筋を滑らかにする効果や、複合マルチフィラメント糸条、ひいては縫糸としての強力を向上さる効果や、芯糸と鞘糸との染色後の色差や光沢差を緩和させる効果などを有する。
【0019】
複合マルチフィラメント1糸条の総繊度は、50〜150dtexとするのが好ましい。下記する、縫糸としての好ましい繊度によるものである。
【0020】
複合マルチフィラメント糸条には下撚が施される。撚数としては例えば、複合マルチフィラメント糸条が84dtexであれば、下撚は950〜1200t/mの範囲が好ましい。
【0021】
下撚が施された複合マルチフィラメント糸条はさらに複数糸条(好ましくは2,3糸条)引き揃えて上撚が施されて縫糸となる。
【0022】
縫糸の好ましい繊度範囲は、2子撚の場合は150〜300dtex、3子撚の場合は150〜450dtexである。250dtex以下とすることで、縫製品中における縫糸の摩擦耐久性を維持し、また縫目の美しさも保つことができる。
【0023】
切断強度は一般的に、高い方が耐久性や可縫性が好ましく、厚地やジーンズの用途では5.0cN/dtex以上が好ましい。また、通常の衣料用生地に用いる縫糸としては、6.0cN/dtexもあれば充分である。一方、高機能繊維から成る生地に用いる場合は、6.0cN/dtex以上でもその高強度を活かせる。
【0024】
縫糸の毛羽等の数としては、1m当たり10〜100個が好ましい。10個以上とすることで可縫性が向上し、100個以下とすることで毛羽等が目立ち過ぎるのを抑え、縫目の品位を保つことができる。
【0025】
次に、本発明の縫糸の製造方法について説明する。
【0026】
まず、本発明の縫糸の製造方法は、鞘糸となるマルチフィラメント糸条(以下、鞘糸供給糸とも呼ぶ。)に交絡処理(以下、この段階での交絡処理を前交絡処理とも呼ぶ。)を施す。毛羽等は、局所的な糸長差により発生させることができるが、前交絡処理により局所的な糸長差を固定することができ、ネップの発生を抑え良好な毛羽質とし、糸条の強度を維持することができる。また、空気圧等、前交絡処理の条件を調節することにより、毛羽糸の長さを調節することもできる。
【0027】
例えば図2(本発明の縫糸の製造方法のうち、複合マルチフィラメント糸条を製造する工程の一例を示す工程概略図)においては、鞘糸供給糸1をガイド2に通して解舒しながらフィードローラ3に供給し、弛緩ローラ5との間の前交絡ノズル4に通し交絡処理を施す。
【0028】
鞘糸供給糸の好ましい素材は前述したが、毛羽の付与し易さの点から特に、ポリエステルのように弾性率が高く、高い糸−糸摩擦を有するものが好ましい。
【0029】
鞘糸供給糸の繊度・フィラメント数としては、毛羽の付与のし易さの点から、複合マルチフィラメント1糸条あたり50〜150dtex、20〜150本が好ましい。また鞘糸供給糸の単繊維フィラメントの繊度としては、毛羽糸の付与のし易さの点からも、0.1〜3.5dtexが好ましい。
【0030】
また、鞘糸供給糸は、生糸、仮ヨリ糸、エアー加工糸などのいずれでもよいが、製造コスト面からは生糸を用いるのが合理的である。
【0031】
次いで、鞘糸供給糸に毛羽等を付与する。例えば図2においては、前交絡処理が施された鞘糸供給糸1を、糸−糸擦過ローラ装置6にかけて、捻りと扱きの交錯処理を与えて毛羽等を付与し、デリベリーローラ7から引き出す。
【0032】
図3は糸−糸擦過ローラ装置6に糸条をかけた図であり、ガイド13,14の間にあるガイド15にマルチフィラメント糸16に、ネジリと扱きを与え糸走行させる。糸−糸同士を擦過させるこの装置態様によれば、装置自体の擦過点の摩耗による劣化がないので、長時間の製造においても糸質がその中で経時的に変化するということがない。
この糸−糸同士の交錯処理は、緊張下で行うことになる。この緊張下における交錯処理によってマルチフィラメント糸条にネジレと扱きとを与えることにより、毛羽等を形成することができる。この緊張の張力としては、往路側において0.2〜1.0cN/dtexの範囲にあることが好ましい。
【0033】
次いで、この鞘糸供給糸と、芯糸となるマルチフィラメント糸条(以下、芯糸供給糸とも呼ぶ。)とを引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理(以下、この段階での交絡処理を後空気交絡処理とも呼ぶ。)を施して複合マルチフィラメント糸条とする。芯糸供給糸は実質的に毛羽等を有しない。鞘糸供給糸が芯糸供給糸を包み込むように配列させるには、芯糸供給糸よりも鞘糸供給糸の供給量を多く設定する。例えば、鞘糸供給糸の供給量を100m/minとすれば、芯糸供給糸の供給量は97m/minなど、同等もしくは少なく設定することが好ましい。後交絡処理はまた、前述の毛羽等の固定にも資する。
【0034】
図2においては、毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸11の芯糸とを引き揃え、後交絡ノズル8に通過させ交絡処理を施し、巻き取りローラによって、チーズ10に巻き上げる。
【0035】
このようにして得られた複合マルチフィラメント糸条に下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上(好ましくは2本または3本)引き揃えて、下撚方向とは逆方向に上撚を施し、縫糸とする。
【0036】
さらに、この縫糸を染色加工に供する前に、乾熱処理を施すことにより、収縮率を3%以下としておくことも、好ましい。
【0037】
さらに前記乾熱処理された縫糸にソフトチーズ巻きを施し、チーズ染色すると良い。通常のポリエステルフィラメント使いでは110〜135℃で染色すると良い。
【0038】
その後さらに、制電処理や平滑性処理などの仕上げ処理を施しても良い。
【0039】
【実施例】
[測定方法]
(1)繊度(見掛け繊度)、強力・強度・伸度、沸水収縮率
JIS L 1090に準じて測定した。
【0040】
(2)毛羽数(個/m)
光電式の毛羽カウンターとして、東レエンジニアリング株式会社製 hairness−counter DT−104型を使用し、糸表面より0.35mm浮き上がった部分を毛羽等として計測し、1回当たり300mとして測定回数n=5の平均値を算出した。
【0041】
(3)高速可縫性
綿ブロード布♯4000(日清紡社製)10枚重ねに対して、片道2mで前進縫いとバック縫いが自動縫製機(JUKI社製 DDL−5571N型、針番号:DB1−#11)により可能な針の最高回転数を、100(針/分)の区切りでテストした。
【0042】
(4)自動機対応性
綿ブロード#4000(日清紡社製)4枚重ねに対して、自動縫製機(JUKI社製 DDL−5571N型、針番号:DB1−#11)により1500(針/分)で2m縫製可能な張力範囲を調べ、次のような基準で評価した。
×:縫製不可。
△:縫製可能だが、張力設定が困難。
○:100〜200g
◎:50〜300g 。
【0043】
(5)縫い目品位
目視により、次のような基準で評価した。
△:毛羽を確認できる。
○:ほとんど目立たない。
◎:毛羽なし。
【0044】
[実施例1]
図2に概略を示すような装置により、複合マルチフィラメント糸条を作製した。
【0045】
鞘糸供給糸1として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、55dtex、48フィラメント、強度が6.4cN/dtexのものを用いた。
【0046】
また、芯糸供給糸11として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、35dtex、18フィラメント、強度が6.1cN/dtexのものを用いた。
【0047】
鞘糸供給糸1を、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズル4に導入し、空気圧力4kg/cm2の前交絡処理を施した。
【0048】
次いで走行速度400m/min、往路側の張力21g、復路側の張力56gでガイドローラに巻き掛け、1回転のネジレと扱きを与えて往路側の糸条と復路側の糸条とを互いに交錯させることにより、毛羽等を付与した。
【0049】
当該毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸との2糸条を引き揃え、それぞれオーバーフィード率+2%で交絡ノズル8に導入し、空気圧力4kg/cm2の後交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とした。
【0050】
当該複合マルチフィラメント糸条(92dtex、66フィラメント)に対して、ダブルツイスターにてS方向に850t/mの下撚を加えた。
【0051】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に750t/mの上撚を加えることにより、繊度190dtex、132フィラメントの2子撚糸とした。
【0052】
該2子撚糸に対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下(実測による確認値:2.1%)とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にて分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、本発明の縫糸を得た。
【0053】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
後述する比較例1に比べて、強度は高く耐久性が向上し、さらに縫い目が美しくなっている。
また比較例2に比べて、自動機対応が優れている。
【0054】
[実施例2]
図2に概略を示すような装置により、複合マルチフィラメント糸条を作製した。
【0055】
鞘糸供給糸1としては、実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
【0056】
また、芯糸供給糸11として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、44dtex、18フィラメント、強度が6.1cN/dtexのものを用いた。
【0057】
鞘糸供給糸1を、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズル4に導入し、空気圧力4kg/cm2の交絡処理を施した。
【0058】
次いで走行速度400m/min、往路側の張力22g、復路側の張力55gでガイドローラに巻き掛け、1回転のネジレと扱きを与えて往路側の糸条と復路側の糸条とを互いに交錯させることにより、毛羽等を付与した。
【0059】
当該毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸との2糸条を引き揃え、それぞれオーバーフィード率+2%で交絡ノズル8に導入し、空気圧力4kg/cm2の後交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とした。
【0060】
当該複合マルチフィラメント糸条(99dtex、66フィラメント)に対して、ダブルツイスターにてS方向に800t/mの下撚を加えた。
【0061】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に700t/mの上撚を加えることにより、繊度200dtex、132フィラメントの2子撚糸とした。
【0062】
該2子撚糸に対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にての分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、本発明の縫糸を得た。
【0063】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
後述する比較例1に比べて、強度は高く耐久性が向上し、さらに縫い目が美しくなっている。
また比較例2に比べて、自動機対応が優れている。
【0064】
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、55dtex、48フィラメント、強度が6.5cN/dtexのものを2糸条用いた。
【0065】
該2糸条を引き揃えて、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズルに導入し、空気圧力4kg/cm2の交絡処理を施し、総繊度110dtex、96フィラメントの交絡糸を得た。
【0066】
該交絡糸に対して、ダブルツイスターにてS方向に800t/mの下撚を加えた。
【0067】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に700t/mの上撚を加えることにより、繊度220dtex、192フィラメントの2子撚糸とした。
【0068】
該2子撚糸をに対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にて分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、縫糸を製造した。
【0069】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
本発明の縫糸に比べて強度が低く耐久性が劣り、縫い目の仕上がりもやや劣る。
【0070】
[比較例2]
55dtex48フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント2糸条に対して交絡処理を施さずにそのまま引き揃えて下撚を加えた以外は、比較例1を繰り返して、縫糸を製造した。
【0071】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
本発明の縫糸に比べて強度は高く縫い目の仕上がりも美しいが、高速可縫性や自動機対応性が劣る。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】
また、コアーヤーンの糸構造は芯/鞘型を形成するので、引き揃えた合撚ではなく鞘糸が芯糸を包むように交絡が入り、その上に下ヨリが入り、さらにその上に上ヨリが入る
ので、生糸と毛羽糸との染色差や光沢差はより緩和され、コアーヤーン縫糸の品位が高くなるのである。
【0074】
本発明により、強度と可縫性に優れた縫糸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)本発明の縫糸を構成する複合マルチフィラメント糸条の一例のモデル図である。
(2)本発明の縫糸の一例(2子撚糸)のモデル図である。
【図2】本発明の縫糸の製造方法のうち、複合マルチフィラメント糸条を製造する工程の一例を示す工程図である。
【図3】糸−糸擦過ローラ装置に糸条をかけた図である。
【符号の説明】
イ 芯糸部分
ロ 鞘糸部分
ハ 毛羽
ニ たるみ
ホ ループ
1 鞘糸供給糸
2 ガイド
3 フィードローラ
4 前交絡処理用の交絡ノズル
5 前交絡ローラ
6 毛羽加工ガイド
7 デリベリーローラ
8 後交絡処理用の交絡ノズル
9 後交絡ローラ
10 巻き取りチーズ
11 芯糸供給糸
12 後交絡ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維の縫糸として、フィラメントとドラフトされたステープルファイバーを同時に精紡機で撚糸したコアヤーン縫糸が知られており、紡績糸のみの縫糸に比べて高強力になることから、耐久性が必要とされるジーンズや、美しい縫目の仕上がりが要求される薄地衣料あるいは高級品のスーツなどの縫製に用いられてきている。
【0003】
近年、ミシン機の高速化や自動化などにより縫製技術が向上したのに伴い、可縫性は従来レベルを維持しながらも、より細く、あるいはより高強力な縫糸が要求されて来ている。しかしながら、従来のコアーヤーン縫糸はかかる要求に応えるにも限度があった。
【0004】
一方、下記特許文献1には、毛羽、たるみが全て鞘糸から構成されている複合毛羽糸が開示されている。しかし、「張り」や「腰」などに優れたスパンライク風合いを狙いとした衣料用布帛そのものを意図したものであり、縫糸として用いるという発想は全くなかった。
【0005】
このように従来技術では、細い繊度で高強力特性を満足しさらに可縫性にも優れた縫糸の技術は開発されていないのである。
【0006】
【特許文献1】
特許第3248300号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、強度と可縫性に優れた縫糸を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、毛羽、ループまたはたるみを有する鞘糸と、毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しない芯糸から成る複合マルチフィラメント糸条に下撚が施され、さらに当該複合マルチフィラメント糸条が複数糸条引き揃えて上撚が施されてなる、縫糸である。
【0009】
また本発明は、鞘糸となるマルチフィラメント糸条に交絡処理を施し、次いで毛羽、ループまたはたるみを付与し、芯糸となる毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しないマルチフィラメント糸条とを引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とし、さらに下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上引き揃えて、上撚を施す工程を含む、縫糸の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明の縫糸を構成する複合フィラメント糸条の鞘糸は、毛羽、ループまたはたるみ(以下、これらを毛羽等とも総称する。)を有することが重要である。
毛羽等の存在により、摩擦の軽減や随伴気流による発熱抑制などの効果があり、可縫性が向上する。毛羽等の好ましい数は縫糸のそれとして後述する。
【0012】
鞘糸の素材としては、ポリエステルやポリアミドなどの合成繊維フィラメント、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維、アラミドなどの高機能繊維を用いることができる。染色性の点からは、布帛を構成する繊維と同種のものを採用することも好ましい。
【0013】
鞘糸の単繊維フィラメントの繊度としては、可縫性の点から0.1〜3.5dtexの範囲が好ましい。
【0014】
一方、本発明の縫糸を構成する複合フィラメント糸条の芯糸は、毛羽等を実質的に有しないことが重要である。そうすることで、縫糸としての高い強力を得ることができる。また、糸筋の均一性も向上し、縫目の仕上がりも美しく見栄えに優れた縫製品を製造することができる。毛羽等を実質的に有しない程度としては、好ましくは2000m当たり10個以下である。
【0015】
芯糸の素材としては、鞘糸と同様のものを用いることができる。
【0016】
また、アラミド繊維などの高機能繊維は高強力であるので、10〜30cN/dtexといった特に高い強力が要求される用途に対しても好ましく用いることができる。
【0017】
芯糸の繊度・フィラメント数・強度としては、30〜100dtex、複合マルチフィラメント1糸条あたり12〜80本、6.0cN/dtex以上が好ましい。
【0018】
次に、鞘糸と芯糸は、好ましくは交絡部を有して複合マルチフィラメント糸条を形成している。交絡部を有することは、芯糸と鞘糸との収束性を高め糸筋を滑らかにする効果や、複合マルチフィラメント糸条、ひいては縫糸としての強力を向上さる効果や、芯糸と鞘糸との染色後の色差や光沢差を緩和させる効果などを有する。
【0019】
複合マルチフィラメント1糸条の総繊度は、50〜150dtexとするのが好ましい。下記する、縫糸としての好ましい繊度によるものである。
【0020】
複合マルチフィラメント糸条には下撚が施される。撚数としては例えば、複合マルチフィラメント糸条が84dtexであれば、下撚は950〜1200t/mの範囲が好ましい。
【0021】
下撚が施された複合マルチフィラメント糸条はさらに複数糸条(好ましくは2,3糸条)引き揃えて上撚が施されて縫糸となる。
【0022】
縫糸の好ましい繊度範囲は、2子撚の場合は150〜300dtex、3子撚の場合は150〜450dtexである。250dtex以下とすることで、縫製品中における縫糸の摩擦耐久性を維持し、また縫目の美しさも保つことができる。
【0023】
切断強度は一般的に、高い方が耐久性や可縫性が好ましく、厚地やジーンズの用途では5.0cN/dtex以上が好ましい。また、通常の衣料用生地に用いる縫糸としては、6.0cN/dtexもあれば充分である。一方、高機能繊維から成る生地に用いる場合は、6.0cN/dtex以上でもその高強度を活かせる。
【0024】
縫糸の毛羽等の数としては、1m当たり10〜100個が好ましい。10個以上とすることで可縫性が向上し、100個以下とすることで毛羽等が目立ち過ぎるのを抑え、縫目の品位を保つことができる。
【0025】
次に、本発明の縫糸の製造方法について説明する。
【0026】
まず、本発明の縫糸の製造方法は、鞘糸となるマルチフィラメント糸条(以下、鞘糸供給糸とも呼ぶ。)に交絡処理(以下、この段階での交絡処理を前交絡処理とも呼ぶ。)を施す。毛羽等は、局所的な糸長差により発生させることができるが、前交絡処理により局所的な糸長差を固定することができ、ネップの発生を抑え良好な毛羽質とし、糸条の強度を維持することができる。また、空気圧等、前交絡処理の条件を調節することにより、毛羽糸の長さを調節することもできる。
【0027】
例えば図2(本発明の縫糸の製造方法のうち、複合マルチフィラメント糸条を製造する工程の一例を示す工程概略図)においては、鞘糸供給糸1をガイド2に通して解舒しながらフィードローラ3に供給し、弛緩ローラ5との間の前交絡ノズル4に通し交絡処理を施す。
【0028】
鞘糸供給糸の好ましい素材は前述したが、毛羽の付与し易さの点から特に、ポリエステルのように弾性率が高く、高い糸−糸摩擦を有するものが好ましい。
【0029】
鞘糸供給糸の繊度・フィラメント数としては、毛羽の付与のし易さの点から、複合マルチフィラメント1糸条あたり50〜150dtex、20〜150本が好ましい。また鞘糸供給糸の単繊維フィラメントの繊度としては、毛羽糸の付与のし易さの点からも、0.1〜3.5dtexが好ましい。
【0030】
また、鞘糸供給糸は、生糸、仮ヨリ糸、エアー加工糸などのいずれでもよいが、製造コスト面からは生糸を用いるのが合理的である。
【0031】
次いで、鞘糸供給糸に毛羽等を付与する。例えば図2においては、前交絡処理が施された鞘糸供給糸1を、糸−糸擦過ローラ装置6にかけて、捻りと扱きの交錯処理を与えて毛羽等を付与し、デリベリーローラ7から引き出す。
【0032】
図3は糸−糸擦過ローラ装置6に糸条をかけた図であり、ガイド13,14の間にあるガイド15にマルチフィラメント糸16に、ネジリと扱きを与え糸走行させる。糸−糸同士を擦過させるこの装置態様によれば、装置自体の擦過点の摩耗による劣化がないので、長時間の製造においても糸質がその中で経時的に変化するということがない。
この糸−糸同士の交錯処理は、緊張下で行うことになる。この緊張下における交錯処理によってマルチフィラメント糸条にネジレと扱きとを与えることにより、毛羽等を形成することができる。この緊張の張力としては、往路側において0.2〜1.0cN/dtexの範囲にあることが好ましい。
【0033】
次いで、この鞘糸供給糸と、芯糸となるマルチフィラメント糸条(以下、芯糸供給糸とも呼ぶ。)とを引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理(以下、この段階での交絡処理を後空気交絡処理とも呼ぶ。)を施して複合マルチフィラメント糸条とする。芯糸供給糸は実質的に毛羽等を有しない。鞘糸供給糸が芯糸供給糸を包み込むように配列させるには、芯糸供給糸よりも鞘糸供給糸の供給量を多く設定する。例えば、鞘糸供給糸の供給量を100m/minとすれば、芯糸供給糸の供給量は97m/minなど、同等もしくは少なく設定することが好ましい。後交絡処理はまた、前述の毛羽等の固定にも資する。
【0034】
図2においては、毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸11の芯糸とを引き揃え、後交絡ノズル8に通過させ交絡処理を施し、巻き取りローラによって、チーズ10に巻き上げる。
【0035】
このようにして得られた複合マルチフィラメント糸条に下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上(好ましくは2本または3本)引き揃えて、下撚方向とは逆方向に上撚を施し、縫糸とする。
【0036】
さらに、この縫糸を染色加工に供する前に、乾熱処理を施すことにより、収縮率を3%以下としておくことも、好ましい。
【0037】
さらに前記乾熱処理された縫糸にソフトチーズ巻きを施し、チーズ染色すると良い。通常のポリエステルフィラメント使いでは110〜135℃で染色すると良い。
【0038】
その後さらに、制電処理や平滑性処理などの仕上げ処理を施しても良い。
【0039】
【実施例】
[測定方法]
(1)繊度(見掛け繊度)、強力・強度・伸度、沸水収縮率
JIS L 1090に準じて測定した。
【0040】
(2)毛羽数(個/m)
光電式の毛羽カウンターとして、東レエンジニアリング株式会社製 hairness−counter DT−104型を使用し、糸表面より0.35mm浮き上がった部分を毛羽等として計測し、1回当たり300mとして測定回数n=5の平均値を算出した。
【0041】
(3)高速可縫性
綿ブロード布♯4000(日清紡社製)10枚重ねに対して、片道2mで前進縫いとバック縫いが自動縫製機(JUKI社製 DDL−5571N型、針番号:DB1−#11)により可能な針の最高回転数を、100(針/分)の区切りでテストした。
【0042】
(4)自動機対応性
綿ブロード#4000(日清紡社製)4枚重ねに対して、自動縫製機(JUKI社製 DDL−5571N型、針番号:DB1−#11)により1500(針/分)で2m縫製可能な張力範囲を調べ、次のような基準で評価した。
×:縫製不可。
△:縫製可能だが、張力設定が困難。
○:100〜200g
◎:50〜300g 。
【0043】
(5)縫い目品位
目視により、次のような基準で評価した。
△:毛羽を確認できる。
○:ほとんど目立たない。
◎:毛羽なし。
【0044】
[実施例1]
図2に概略を示すような装置により、複合マルチフィラメント糸条を作製した。
【0045】
鞘糸供給糸1として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、55dtex、48フィラメント、強度が6.4cN/dtexのものを用いた。
【0046】
また、芯糸供給糸11として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、35dtex、18フィラメント、強度が6.1cN/dtexのものを用いた。
【0047】
鞘糸供給糸1を、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズル4に導入し、空気圧力4kg/cm2の前交絡処理を施した。
【0048】
次いで走行速度400m/min、往路側の張力21g、復路側の張力56gでガイドローラに巻き掛け、1回転のネジレと扱きを与えて往路側の糸条と復路側の糸条とを互いに交錯させることにより、毛羽等を付与した。
【0049】
当該毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸との2糸条を引き揃え、それぞれオーバーフィード率+2%で交絡ノズル8に導入し、空気圧力4kg/cm2の後交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とした。
【0050】
当該複合マルチフィラメント糸条(92dtex、66フィラメント)に対して、ダブルツイスターにてS方向に850t/mの下撚を加えた。
【0051】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に750t/mの上撚を加えることにより、繊度190dtex、132フィラメントの2子撚糸とした。
【0052】
該2子撚糸に対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下(実測による確認値:2.1%)とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にて分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、本発明の縫糸を得た。
【0053】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
後述する比較例1に比べて、強度は高く耐久性が向上し、さらに縫い目が美しくなっている。
また比較例2に比べて、自動機対応が優れている。
【0054】
[実施例2]
図2に概略を示すような装置により、複合マルチフィラメント糸条を作製した。
【0055】
鞘糸供給糸1としては、実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
【0056】
また、芯糸供給糸11として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、44dtex、18フィラメント、強度が6.1cN/dtexのものを用いた。
【0057】
鞘糸供給糸1を、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズル4に導入し、空気圧力4kg/cm2の交絡処理を施した。
【0058】
次いで走行速度400m/min、往路側の張力22g、復路側の張力55gでガイドローラに巻き掛け、1回転のネジレと扱きを与えて往路側の糸条と復路側の糸条とを互いに交錯させることにより、毛羽等を付与した。
【0059】
当該毛羽等を付与した鞘糸供給糸1と、毛羽等を有しない芯糸供給糸との2糸条を引き揃え、それぞれオーバーフィード率+2%で交絡ノズル8に導入し、空気圧力4kg/cm2の後交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とした。
【0060】
当該複合マルチフィラメント糸条(99dtex、66フィラメント)に対して、ダブルツイスターにてS方向に800t/mの下撚を加えた。
【0061】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に700t/mの上撚を加えることにより、繊度200dtex、132フィラメントの2子撚糸とした。
【0062】
該2子撚糸に対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にての分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、本発明の縫糸を得た。
【0063】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
後述する比較例1に比べて、強度は高く耐久性が向上し、さらに縫い目が美しくなっている。
また比較例2に比べて、自動機対応が優れている。
【0064】
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントで、55dtex、48フィラメント、強度が6.5cN/dtexのものを2糸条用いた。
【0065】
該2糸条を引き揃えて、オーバーフィード率+2%にて交絡ノズルに導入し、空気圧力4kg/cm2の交絡処理を施し、総繊度110dtex、96フィラメントの交絡糸を得た。
【0066】
該交絡糸に対して、ダブルツイスターにてS方向に800t/mの下撚を加えた。
【0067】
この様な下撚を加えた複合マルチフィラメント糸条を2本引き揃えて、さらにZ方向に700t/mの上撚を加えることにより、繊度220dtex、192フィラメントの2子撚糸とした。
【0068】
該2子撚糸をに対して180℃にて乾熱セットを施し、沸騰水収縮率を3%以下とし、その後、ソフト巻きのチーズに巻き直し130℃にて分散染料による染色加工を施し黒色に染め上げた。チーズから縫糸用のコーンに巻き返して、縫糸を製造した。
【0069】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
本発明の縫糸に比べて強度が低く耐久性が劣り、縫い目の仕上がりもやや劣る。
【0070】
[比較例2]
55dtex48フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント2糸条に対して交絡処理を施さずにそのまま引き揃えて下撚を加えた以外は、比較例1を繰り返して、縫糸を製造した。
【0071】
縫糸の特性および縫製評価の結果を表1に示す。
本発明の縫糸に比べて強度は高く縫い目の仕上がりも美しいが、高速可縫性や自動機対応性が劣る。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】
また、コアーヤーンの糸構造は芯/鞘型を形成するので、引き揃えた合撚ではなく鞘糸が芯糸を包むように交絡が入り、その上に下ヨリが入り、さらにその上に上ヨリが入る
ので、生糸と毛羽糸との染色差や光沢差はより緩和され、コアーヤーン縫糸の品位が高くなるのである。
【0074】
本発明により、強度と可縫性に優れた縫糸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)本発明の縫糸を構成する複合マルチフィラメント糸条の一例のモデル図である。
(2)本発明の縫糸の一例(2子撚糸)のモデル図である。
【図2】本発明の縫糸の製造方法のうち、複合マルチフィラメント糸条を製造する工程の一例を示す工程図である。
【図3】糸−糸擦過ローラ装置に糸条をかけた図である。
【符号の説明】
イ 芯糸部分
ロ 鞘糸部分
ハ 毛羽
ニ たるみ
ホ ループ
1 鞘糸供給糸
2 ガイド
3 フィードローラ
4 前交絡処理用の交絡ノズル
5 前交絡ローラ
6 毛羽加工ガイド
7 デリベリーローラ
8 後交絡処理用の交絡ノズル
9 後交絡ローラ
10 巻き取りチーズ
11 芯糸供給糸
12 後交絡ローラ
Claims (4)
- 毛羽、ループまたはたるみを有する鞘糸と、毛羽、ループまたはたるみのいずれをも実質的に有しない芯糸から成る複合マルチフィラメント糸条に下撚が施され、さらに当該複合マルチフィラメント糸条が複数糸条引き揃えて上撚が施されてなる、縫糸。
- 複合マルチフィラメント糸条が交絡部を有する、請求項1記載の縫糸。
- 繊度が150〜250dtex、切断糸強度が5.0〜6.0cN/dtex、毛羽数が10〜100個/mである、請求項1または2記載の縫糸。
- 鞘糸となるマルチフィラメント糸条に交絡処理を施し、次いで毛羽、ループまたはたるみを付与し、芯糸となる毛羽、ループまたはたるみのいずれをも有しないマルチフィラメント糸条と引き揃え、当該引き揃えた糸条に交絡処理を施して複合マルチフィラメント糸条とし、さらに下撚を施し、当該下撚を施した糸条を2本以上引き揃えて、上撚を施す工程を含む、縫糸の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002337906A JP2004169230A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 縫糸およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015036459A (ja) * | 2013-08-13 | 2015-02-23 | 帝人株式会社 | 羽毛製品用縫製糸および羽毛製品 |
JP6340128B1 (ja) * | 2017-10-06 | 2018-06-06 | 東洋紡Stc株式会社 | 複合糸及びこれを含む織編物 |
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- 2002-11-21 JP JP2002337906A patent/JP2004169230A/ja active Pending
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