JP3165767B2 - 移植機における植付部の支持構造 - Google Patents

移植機における植付部の支持構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機体の後部に植付部を
昇降およびローリング自在に支持した移植機における植
付部の支持構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に乗用型田植機等の移植機において
は、機体の後部中心位置に、昇降リンクを介して植付部
のローリング支軸を支持することにより、植付部を昇降
およびローリング自在としたものが知られている。この
種の移植機では、機体側からのPTO軸を植付部の動力
伝達軸に連結して植付部に動力を伝達しているが、従来
は、図5に示すように、植付部を構成するドライブケー
スaの左右中央にローリング支軸bを設け、その一側方
に、ドライブケースaに内装されたドライブ軸cと噛合す
る動力伝達軸dを設けて、この動力伝達軸dにPTO軸を
ユニバーサルジョイント連結していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に植付部のローリング支軸から偏心した動力伝達軸にP
TO軸を連結すると、PTO軸の回転が滑らかにならな
いうえ、回転駆動するPTO軸の起動力により、植付部
に大きなローリング荷重が発生するため、PTO軸の駆
動時と非駆動時における植付部のローリングバランス調
整が容易でないという問題があった。本発明は、上記の
ような問題点を解消すべく創作されたものであって、昇
降およびローリング自在の植付部にPTO軸から動力を
伝達するものであっても、動力伝達軸に連結されるPT
O軸の回転を滑らかにすることができると共に、PTO
軸の起動力により植付部に発生するローリング荷重を可
及的に小さくして植付部のローリングバランス調整を容
易に行うことができる移植機における植付部の支持構造
を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明が講じた技術的手段は、機体の後部中心位置
に昇降リンクを介して植付部を昇降およびローリング自
在に支持した移植機において、上記植付部の動力伝達軸
とローリング支軸とを同一軸芯に配設し、該動力伝達軸
に連結されるPTO軸を平面視で機体中心線上に配置す
ると共に、昇降リンクを昇降させる油圧シリンダを機体
中心下部に配設し、該油圧シリンダをアッパーリンクの
前端下方側に、昇降リンク受部を介して油圧シリンダが
縮小した時に昇降リンクが下動すべく連結し、かつ、上
昇降リンク受部には、油圧シリンダを連結した昇降リ
ンク受部の連結点とアッパーリンクとの間にPTO軸を
配置するための空間部を形成したことを特徴とするもの
である。
【0005】
【作用】したがって本発明によれば、移植作業を行うに
当り、PTO軸からの動力が植付部の動力伝達軸に伝達
されるが、平面視で機体中心線上に配置されたPTO軸
が、機体の後部中心位置に支持されたローリング支軸と
同一軸芯の動力伝達軸に連結されるので、従来のように
動力伝達軸がローリング支軸から偏心したものに比べて
PTO軸が滑らかに回転する。そして回転駆動するPT
O軸の起動力が、ローリング支軸と同一軸芯の動力伝達
軸に作用するので、植付部に発生するローリング荷重は
極めて小さなものとなる。また平面視で機体中心線上に
配置されたPTO軸は、油圧シリンダの昇降リンク受部
に形成された空間部に配置されるので、PTO軸と油圧
シリンダが当接することはない。
【0006】
【実施例】次に本発明の一実施例を添付した図面に基い
て詳細に説明する。1は移植機として例示した乗用型田
植機の走行機体であって、前輪2、後輪3を備えた機体
フレーム4に、ボンネット5で覆われたエンジン部6が
搭載され、その後方には運転席7が配設されている。8
は操向ハンドル、9はミッションケースであって、該ミ
ッションケース9からPTO軸10が後方に向けて延設
されている。そして走行機体1の後部には苗載台11、
ドライブケース12、プランタケース13、植付杆14
等によって構成された植付部15が、昇降リンク16を
介して昇降およびローリング自在に支持されている。1
7は田面を滑走するフロートである。
【0007】18は上記昇降リンク16を形成するアッ
パーリンク、19はロアリンクであって、該アッパーリ
ンク18とロアリンク19の前端部が機体側に設けた縦
フレーム20に枢着され、その後端部を上下方向の連結
フレーム21に枢支連結することにより平行リンクが形
成されている。また上記アッパーリンク18の前端下方
と、機体の下方中心部に配設された油圧シリンダ22
とがブラケット23で形成された昇降リンク受部24を
介して連結されていて、油圧シリンダ22の伸縮作動に
より、昇降リンク16が上下動するようになっている。
【0008】そして連結フレーム21の下端部に前記植
付部15がローリング自在に支持されている。すなわ
ち、連結フレーム21の下端部には取付ブラケット25
が固定されており、該取付ブラケット25に植付部15
を支持する支持パイプ26が後方に向けて下降する傾斜
状に配設固定されている。一方、植付部15のドライブ
ケース12には図2に示すように左右方向の中央部に上
記支持パイプ26に支持されるローリング支軸27が取
付けられている。上記ローリング支軸27は、ドライブ
ケース12に形成された取付孔28にベアリング29を
介して支持されていて、該ローリング支軸27を上記支
持パイプ26に挿入することにより植付部15がローリ
ング自在となっている。上記ローリング支軸27は筒状
に形成されており、その中空部に動力伝達軸30が挿通
されていて、動力伝達軸30とローリング支軸27とが
同一軸芯状になっており、動力伝達軸30の後端部に形
成したべべルギヤ31が、ドライブケース12に内装さ
れたドライブ軸32のべべルギヤ33と噛合している。
そして動力伝達軸30の前端を前記PTO軸10に連結
することにより、ドライブ軸32に伝達された動力で植
付杆14を植付作動させると共に、苗載台11を左右往
復動させるようになっている。34はドライブケース1
2に設けたストッパボルトであって、該ストッパボルト
34が、支持パイプ26の外周に固定されたストッパプ
レート35の長孔36に挿通されていて、長孔36の範
囲内で植付部15のローリングを規制し、また図示しな
いローリングスプリングにより、植付部のバランスをと
っている。
【0009】また上記PTO軸10は図1に示すよう
に、機体の後端からユニバーサルジョイントを介して動
力伝達軸30に連結されているが、上記PTO軸10と
動力伝達軸30とは平面視で機体の中心線上に配置され
ている。そして前記ブラケット23で形成された昇降リ
ンク受部24には、図3で示されたように、油圧シリン
ダ22を連結した連結点とアッパーリンク18との間に
PTO軸10が配置される空間部Aが形成されていて、
PTO軸10が平面視で機体の中心線上に配置されてい
ても、PTO軸10と油圧シリンダ22とが当接しない
ようになっている。さらに上記油圧シリンダ22は、図
4に示すように、油圧シリンダ22が機体側に向けて縮
小したときに昇降リンク16が下動するようになってい
て、PTO軸10と油圧シリンダ22とを接近させてコ
ンパクトに配置できるようになっている。37は緩衝用
のスプリングである。また38は植付部15に設けた施
肥ノズルであって、該施肥ノズル38は運転席7の側方
に設けた肥料タンク39にホース40を介して連結され
ている。41は肥料ポンプ、42はインジケータであ
る。
【0010】上記の如き構成において、植付作業を行う
に当り、走行機体1から植付部15を下降させれば、機
体の走行に伴ってフロート17が田面を滑走し、左右往
復動する苗載台11から植付作動する植付杆14が苗を
掻取って田面に植付けてゆく。そして植付部15の動力
は、動力伝達軸30にユニバーサルジョイント連結され
たPTO軸10から伝達されるが、上記PTO軸10は
平面視で機体中心線上に配置されており、しかもPTO
軸10に連結される動力伝達軸30が、ドライブケース
12の左右中心に設けたローリング支軸27と同一軸芯
に配設されているので、従来のように動力伝達軸が偏心
しているものに比べてPTO軸10が滑らかに回転す
る。そして回転駆動するPTO軸10の起動力が動力伝
達軸30に作用しても、動力伝達軸30がローリング支
軸27と同一軸芯となっているので、植付部15に発生
するローリング荷重を可及的に小さくすることができ、
このため植付部15のローリングバランス調整をローリ
ングスプリング等によって容易に行うことができる。ま
油圧シリンダ22がアッパーリンク18の前端下方側
に、昇降リンク受部24を介して連結され、上記PTO
軸10は昇降リンク受部24に形成した空間部Aに配置
されており、しかも、油圧シリンダ22が機体側に縮小
したときに昇降リンク16が下動するので、PTO軸1
0と油圧シリンダ22とを接近させてコンパクトに配置
しても互に当接することはない。
【0011】
【発明の効果】これを要するに本発明は、機体の後部中
心位置に昇降リンクを介して植付部を昇降およびローリ
ング自在に支持した移植機において、上記植付部の動力
伝達軸とローリング支軸とを同一軸芯に配設し、該動力
伝達軸に連結されるPTO軸を平面視で機体中心線上に
配置すると共に、昇降リンクを昇降させる油圧シリンダ
を機体中心下部に配設し、該油圧シリンダをアッパーリ
ンクの前端下方側に、昇降リンク受部を介して油圧シリ
ンダが縮小した時に昇降リンクが下動すべく連結し、か
つ、上記昇降リンク受部には、油圧シリンダを連結した
昇降リンク受部の連結点とアッパーリンクとの間にPT
O軸を配置するための空間部を形成したから、昇降およ
びローリング自在の植付部に、機体側のPTO軸から動
力を伝達するものでありながら、PTO軸が平面視で機
体中心線上に配置されており、しかもPTO軸を連結す
るする動力伝達軸が、機体の後部中心に位置するローリ
ング支軸と同一軸芯に配設されているので、動力伝達軸
が偏心した従来のものに比べ、PTO軸を滑らかに回転
させることができる。そして回転駆動するPTO軸の起
動力が動力伝達軸に作用しても、動力伝達軸がローリン
グ支軸と同一軸芯に配設されているので、植付部に発生
するローリング荷重は極めて小さいものとなり、このた
め植付部のローリングバランスを容易に調整することが
できる。また油圧シリンダがアッパーリンクの前端下方
側に、昇降リンク受部を介して連結され、PTO軸は昇
降リンク受部に形成した空間部に配置されており、しか
も、油圧シリンダが機体側に縮小したときに昇降リンク
が下動するので、PTO軸と油圧シリンダとを機体中心
線上に配置しても、PTO軸と油圧シリンダとが当接す
ることはなく、植付部の支持構造を機体の中心位置にコ
ンパクトにまとめることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業機の全体側面図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】昇降リンク受部の断面図である。
【図4】油圧シリンダの作用説明図である。
【図5】従来例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
10 PTO軸 15 植付部 16 昇降リンク 22 油圧シリンダ 24 昇降リンク受部 27 ローリング支軸 30 動力伝達軸
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 11/02 A01B 63/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機体の後部中心位置に昇降リンクを介して
    植付部を昇降およびローリング自在に支持した移植機に
    おいて、上記植付部の動力伝達軸とローリング支軸とを
    同一軸芯に配設し、該動力伝達軸に連結されるPTO軸
    を平面視で機体中心線上に配置すると共に、昇降リンク
    を昇降させる油圧シリンダを機体中心下部に配設し、該
    油圧シリンダをアッパーリンクの前端下方側に、昇降リ
    ンク受部を介して油圧シリンダが縮小した時に昇降リン
    クが下動すべく連結し、かつ、上記昇降リンク受部に
    は、油圧シリンダを連結した昇降リンク受部の連結点と
    アッパーリンクとの間にPTO軸を配置するための空間
    部を形成したことを特徴とする移植機における植付部の
    支持構造。
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