JP3164456B2 - ラクトン重合体の製造方法 - Google Patents

ラクトン重合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定の複合触媒を用いる
ラクトン重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、
有機金属とルイス塩基より成る複合触媒を用いることに
より、ラクトン重合体を短時間で速やかに得るための製
造方法に関する。
【0002】ラクトン重合体は、その平均分子量や官能
基等の違いにより産業上の多くの分野で広く用いられて
いる。例えば、グリコールを開始剤とした分子量が 500
〜5000のラクトン重合体は、ポリウレタン・塗料等の原
料として非常に有用であり、ラジカル重合性二重結合を
有するラクトン重合体は自動車、家電製品等の分野でア
クリル系コーティング材料として利用されている。分子
量が10,000を超えるラクトン重合体は実用的な機械的強
度をもち、プラスチック成形品・フィルム・ホットメル
ト接着剤等に用いられている。
【0003】
【従来の技術】ラクトン重合体を得るために用いられる
触媒は、数多く知られているが、代表的なものとして
は、アルカリ金属系化合物(特公昭 40-26557 、U.S. P
atent 3,021,314 )、アルカリ土類金属化合物(U.S. P
atent 3,021,310; 3,021,311)、アルミニウム系化合物
(特公昭 43-2473)、無機酸(特公昭 35-497 )、テト
ラブチルチタネートなどのチタン系化合物およびスズ系
化合物(特公昭 41-19559;特公昭 64-1491)等が挙げら
れる。これらの中で、アルカリ金属系化合物、アルカリ
土類金属化合物およびアルミニウム系化合物等は、いず
れも酸素や水分に接触すると直ちに発火したり分解した
りするなど安定性、取扱上の安全性に問題がある。ま
た、ラクトン重合体を得るために用いられる触媒量が比
較的多くしばしば色相や熱安定性に悪い影響を与える。
【0004】無機酸においては、ラクトン重合速度が遅
く、更に高分子のラクトン重合体が得られない問題があ
る。これに対して、テトラブチルチタネート等のチタン
系化合物やジブチルスズラウレート、ジブチルスズオキ
シド、オクチル酸第1スズ等のスズ化合物およびクロム
モリブデン、タングステン、アンチモン、ジルコニウム
およびランタノイド等の金属化合物は取扱い易く、ラク
トン単量体に対して十分の溶解性を有しており、毒性も
問題にならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の金属化合物のみを触媒とした場合、ラクトンの重合速
度が比較的遅くさらに得られたラクトン重合体の色相や
熱安定性が十分に満足できない事や、分子量分布が広す
ぎるため産業的用途に適用できないこと等がたびたび見
られた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、ラクトン重合体を
製造する際、特定の金属化合物と配位子より成る複合触
媒を用いると、重合速度において極めて速やかにかつ色
相や熱安定性に優れたラクトン重合体が安定して得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明はスズ化合物等の金属化合物
と配位子より成る複合触媒を用いることを特徴とするラ
クトン重合体の製造方法を提供するものである。
【0008】本発明における金属化合物としては、有機
金属化合物、金属ハロゲン化物、金属酸化物および金属
水酸化物等が例示できる。
【0009】金属元素としては、特に限定されないが、
周期表でのIIIA 、IVA 、VIA 、およびIV 族に属す金属
元素が好ましく、その中でスズ、チタン、モリブデン、
タングステンおよびランタノイド等が最も好ましく、特
にスズにおいては、数多くの化合物が例示できる。
【0010】本発明におけるスズ化合物を式[1]、
[2]および[3] ンから任意に選択され、Rは水素、アルキル基およびア
リール基から任意に選択される》で示す。
【0011】式[1]〜[3]のY1 〜Y4 は同一の置
換基でも、すべて異なる置換基でもよく、式[1]〜
[3]のスズ化合物は単独または2種以上の混合物で用
いられる。式[1]〜[3]中のR−としては、水素、
炭素数 1〜20のアルキル基および炭素数 6〜30のアリー
ル基から任意に選択される。
【0012】具体的には水素、メチル基、エチル基、 n
−プロピル基、 iso−プロピル基、n −ブチル基、 iso
−ブチル基、 sec−ブチル基、tert−ブチル基、 n−ペ
ンチル基、ネオペンチル基、 n−ヘキシル基、 n−ペプ
チル基、 n−オクチル基、 n−ノニル基、 n−デニル
基、 n−ドデニル基、 n−ウンデニル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル
メチル基、、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エ
トキシエチル基、ブトキシメチル基、フェニル基、ビフ
ェニル基、アルキル基置換フェニル基およびコハク酸、
マレイン酸、フタル酸等の二塩基酸から導入される分子
内にエステル基又はカルボキシル基を有したアルケニル
基、アルキレン基、フェニル基が挙げられる。
【0013】式[1]〜[3]中のハロゲンとしては、
塩素、臭素、フッ素およびヨウ素が挙げられるが、塩素
が最も一般的である。
【0014】式[1]に属すスズ化合物の具体的として
は、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズオキシド、モ
ノブチルスズオキシドヒドロキシド、モノメチルスズオ
キシドヒドロキシド、モノブチルスズオキシドクロリ
ド、モノブチルスズオキシドメトキシド、ジオクチル酸
スズオキシド、モノオクチルスズオキシドヒドロキシ
ド、モノブチルモノオクチル酸スズオキシド、モノブチ
ルモノ酢酸スズオキシドおよびモノブチルモノヘプタン
酸スズオキシド等が挙げられる。
【0015】式[2]に属すスズ化合物の具体的として
は、ジブチルスズジクロリド、ジメチルスズシクロリ
ド、塩化第2スズ、ジブチルジ(モノブチルマレイン
酸)スズ、ジブチルジ(モノメチルマレイン酸)スズ、
ジメチルジ(モノブチルマレイン酸)スズ、ジブチルジ
(モノブチルコハク酸)スズ、ジブチルジオクチル酸ス
ズ、モノブチルトリブチル酸スズ、モノブチルトリ酢酸
スズ、トリブチルスズクロリド、ジブチルジメタクリル
酸スズ、ジ(モノブチルマレイン酸)ジクロリド、ジオ
クチル酸スズジクロリドおよびトリオクチル酸クロリド
等が挙げられる。
【0016】式[3]に属すスズ化合物の具体的として
は、ジオクチル酸スズ、ジラウリル酸スズ、塩化第1ス
ズ、臭化第1スズ、ヨウ化第1スズおよびモノブチルス
ズクロリド等が挙げられる。本発明のスズ化合物におい
て、式[1]〜[3]は単量体スズ化合物の構造を示し
ているが、別に2量体スズ化合物または多量体スズ化合
物が含有されていても問題ない。
【0017】本発明におけるスズ以外の金属化合物の具
体的としてはテトラn −ブチルチタネート、テトラn −
プロピルチタネート、テトラエタノールチタネート、ジ
シュウ酸ジアンモニウムチタンオキシド、ヘキサフッ化
チタンジカリウム、ヘキサフッ化チタンジアンモニウ
ム、ジ酢酸モリブデンジオキシド、モリブデンアセチル
アセトナート、リンタングステン酸、ジ酢酸ジルコニウ
ムオキシドおよびジ酢酸ランタンオキシド等、数多く挙
げられる。
【0018】本発明における配位子とは、金属化合物に
電子対(ローンペアー)を供与し配位結合による複合触
媒を形成し得る化合物である。特に限定を受けないが、
周期表での VB 、VIB に属す元素から構成される化合
物が一般的である。
【0019】以下具体例を挙げる。チッ素系配位子とし
ては、アンモニア、エチレンジアミン、ピリジン、トリ
エチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、アゾビスイ
ソブチロニトリル、トリエチレンジアミン、2,2´−
ビピリジン、N,N,N',N' −テトラメチルエチレンジアミ
ン、リン系配位子としては、トリメチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメ
トキシホスフィン、トリフェノキシホスフィン、トリフ
ェニルホスフィンオキシド、トリメチルホスフィンオキ
シド、トリ(ジメチルアミノ)ホスフィン、ヘキサメチ
ルホスホリックトリアミド、BINAP 、DIOP、CHIRAPHOS
等と略される不斉リン配位子、酸素系配位子としては、
一酸化炭素、アセトン、アセチルアセトン、ベンゾキノ
ン、クラウンエーテル、その他、シクロペンタジエニ
ル、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタメチルシク
ロペンタジエニル、トリフェニルヒ素、トリフェニルヒ
素オキシド、トリブチルヒ素、トリフェニルアンチモ
ン、トリフェニルアンチモンオキシド、ジフェニルスル
フィド、ジフェニルスルオキシド、ジフェニルセレン、
ジフェニルジセレニド等が挙げられる。
【0020】金属化合物に対する配位子の配位数、また
金属化合物に配位子を配位し複合触媒を製造する方法
は、特に限定されない。金属化合物と配位子のモル比に
おいては通常1:0.1 〜1:8の範囲が好ましく、一番
活性が強いモル比に設定し用いることが好ましい。
【0021】複合触媒を製造する方法においては、金属
化合物の配位子の性質から種々の温度、圧力、気体雰囲
気、添加方法、添加順序等の製造条件を選択することが
可能である。例えば、モノブチルスズオキシドヒドロキ
シドとトリフェニルホスフィンオキシドを用いる場合、
それぞれの等モル混合物を室温でラクトン単量体に溶解
することだけで、本発明を達成できる。
【0022】本発明における金属化合物と配位子よりな
る複合触媒において、安定性、ラクトン単量体に対する
溶解性および低毒性等の点にいずれも問題なく、複合触
媒の活性を考慮し、単独または2種以上の混合物として
用いることができる。
【0023】本発明におけるラクトン重合体とは、ラク
トン単量体の1分子以上が開環付加反応することにより
生成する化合物の集合またはこれらの化合物を50重量%
以上含有する混合物である。具体的には、多価アルコー
ルや分子内に水酸基を含有するポリマー等を開始剤とし
てラクトン単量体を開環付加重合させた粘調液体、ろう
状固体、プラスチック等のオリゴマーやポリマーおよび
ヒドロキシエチルメタクリレートとラクトン単量体との
開環付加反応により生成するラジカル重合性二重結合を
有するモノマー等が挙げられる。
【0024】ここでのラクトン単量体としては、δ−バ
レロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクトン
(7−ヒドロキシヘプタン酸ラクトン)、8−ヒドロキ
シオクタン酸ラクトン、12−ヒドロキシドデカン酸ラ
クトン、13−ヒドロキシトリデカン酸ラクトン、14
−ヒドロキシテトラデカン酸ラクトン、15−ヒドロキ
シペンタデカン酸ラクトンおよびこれらラクトンのアル
キル誘導体ならびにアルコキシ誘導体である。さらに3
−エチル−2−ケト−1,4−ジオキサン、1,4−ジ
オキサン−2−オン、3−プロピル−2−ケト−1、4
−ジオキサン等のジオキサン類も適用される。これらの
ラクトン単量体は単独または2種以上の混合物として用
いられる。
【0025】これらのラクトン単量体の中で実用的価値
の最も大きいε−カプロラクトンやメチル化ε−カプロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、3−エチル−2−ケト
−1,4−ジオキサン等が好ましく用いられる。
【0026】活性水素を有する開始剤とは、水酸基、ア
ミノ基、チオール基およびカルボキシル基等を分子内に
有する化合物やポリマーであり、水、グリコール、トリ
オール、テトラオール等の多価アルコール、ラジカル重
合性二重結合等の官能基を有するアルコール、アミン類
および分子内に水酸基を含有するポリマー等が挙げら
れ、具体的には水、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメ
チレンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、
メトキシエタノール、モノアセチルエチレングリコー
ル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、2−アミノエタノール、6−
ヒドロキシヘキサン酸、アリルアルコール、4−ヒドロ
キシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニ
ルエ−テル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオ
キシド、ポリテトラメチレングリコール、水酸基を含有
するエポキシ樹脂、水酸基を含有するポリブタジエンお
よび2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合また
はグラフト化したポリマー等が挙げられる。
【0027】本発明におけるラクトン重合体の製造方法
としては特に限定されないが、活性水素を有する開始剤
の存在下、一般的には 80 〜 230℃、好ましくは100 〜
180℃の温度で、金属化合物と配位子よりなる複合触媒
を0.1 〜 1000 ppm 、好ましくは1 〜 100 ppm添加し、
ラクトン単量体を開環重合(付加)反応する方法が望ま
しい。
【0028】反応温度が 80 ℃を下回る場合は反応速度
が遅く、230 ℃を上回る場合は酸化反応による着色や生
じた重合体の分解反応等が発生し好ましくない。複合触
媒量が 0.1 ppm を下回る場合にも反応速度が遅く、10
00 ppmを超えると生じた重合体の色相、熱安定性等が悪
化するため好ましくない。
【0029】また本発明のラクトン重合体を製造する方
法では、塊重合、溶液重合および懸濁重合等のいかなる
重合方法も問題なく用いられる。溶液重合に使用できる
有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素類が、反応に不活性で比較的沸点が高いため好ま
しい。溶媒は実質的に無水のものが望ましい。
【0030】本発明のラクトン重合体を製造する方法に
おける製造装置の形式は、特に制限を受けない。たとえ
ば、バッチ式、半連続式および連続式の通常の撹拌型反
応器、ニーダー型反応器が問題なく使用できる。また、
反応系中の圧力、気体雰囲気も特に制限を受けない。0.
01 Torr 〜 10 気圧、チッ素等不活性ガス、空気等雰囲
気の条件下で任意に反応を行うことが可能である。
【0031】本発明のラクトン重合体を製造する方法に
おいて、金属化合物、配位子、ラクトン単量体、開始剤
および各種安定剤等の添加方法、添加順序も特に制限を
受けなく任意の方法、順序で反応を行うことが可能であ
る。
【0032】以下実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0033】[実施例] 実施例1 撹拌機、チッ素導入管、温度計およびコンデンサーを備
えた1リットルフラスコにε−カプロラクトン(水分
0.005%) 500g、金属化合物としてモノブチルトリ酢
酸スズ 0.02 g、配位子としてヘキサメチルホスホリッ
クトリアミド 0.01 gおよび開始剤としてジエチレング
リコール 0.5gを仕込み、チッ素をふき込みながら 160
℃で撹拌した。
【0034】4時間後、白色剛性の結晶性ポリエステル
が得られた。このもののゲルパーミエーションクロマト
グラフィー測定によるポリスチレン換算数平均分子量、
分子量分布値(重量平均分子量/数平均分子量)、重合
(反応)率が 99 %を上回るまでに要する時間および色
相(固形分 30 %キシレン溶液の APHA 値:JIS K 155
7)を表1にまとめて記載した。
【0035】実施例2 実施例1の装置と同様の装置に、ε−カプロラクトン
(水分 0.005%)400 g、δ−バレロラクトン(水分
0.010%)100 g、金属化合物として塩化第1スズ0.03
g、配位子としてジアザビシクロウンデセン 0.024gお
よび開始剤としてエチレングリコール 0.3gを仕込み、
チッ素をふき込みながら 160℃で撹拌した。 6時間後
透明で極めて粘調なポリエステルが得られた。
【0036】実施例3 実施例1の装置と同様の装置にε−カプロラクトン(水
分 0.005%) 500g、金属化合物としてテトラブチルチ
タネート 0.03 g、配位子としてトリフェニルホスフィ
ン 0.023gおよび開始剤としてエチレングリコール 16
gを仕込み、チッ素をふき込みながら 140℃で撹拌し
た。
【0037】7時間後白色ろう状のポリエステルが得ら
れた。
【0038】実施例4 実施例1の装置と同様の装置に、ε−カプロラクトン
(水分 0.005%) 500g、金属化合物としてジブチルス
ズオキシド 0.02 g、配位子としてトリフェニルホスフ
ィンオキシド 0.022gおよび開始剤としてジエチレング
リコール 58 gを仕込み、チッ素をふき込みながら 140
℃で撹拌した。8時間後白色ワックス状のポリエステル
が得られた。実施例2、3および4で得られたものの物
性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1にまとめ
て記載した。
【0039】比較例1〜4 実施例1〜4の装置と同様な装置に、それぞれ実施例1
〜4で用いた配位子を添加することなく、それ以外はそ
れぞれ実施例1〜4と同様な配合割合で、ラクトン単量
体、金属化合物および開始剤を仕込み、まったく同様な
条件下で重合した。重合率が 99 %を上回るまでに要す
る時間および得られたものの物性を実施例1〜4と同様
に測定し、その結果を併せて表1に記載した。また実施
例1および比較例1における、反応時間と重合率の関係
を図1に示した。
【0040】なお、実施例1〜4において、金属化合物
を使用しないで、配位子のみで反応を行ったところ、重
合はほとんど進行しなかった。
【0041】実施例5 実施例1の装置と同様の装置にε−カプロラクトン(水
分 0.005%) 300g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート 342g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチ
ルエーテル3g、金属化合物としてモノブチルスズヒド
ロキシドオキシド 0.03 gおよび配位子としてトリフェ
ニルホスフィンオキシド 0.04 gを仕込み、空気をふき
込みながら 100℃で撹拌した。
【0042】ε−カプロラクトンの重合率をガスクロマ
トグラフィーで測定していったところ8時間で重合率が
99 %を上回った。このラクトン変性2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートは APHA 値(JIS K 1557)10と色相
が良く、これに他のモノマーを共重合させたところ良好
なるアクリルポリオール樹脂が得られた。
【0043】比較例5 実施例1の装置と同様の装置に、実施例5で用いたトリ
フェニルホスフィンオキシドを添加することなく、それ
以外は実施例5と同様な配合割合で、ε−カプロラクト
ン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ハイドロキ
ノンモノメチルエーテルおよびモノブチルスズヒドロキ
シドオキシドを仕込み、まったく同様の条件下で撹拌し
た。このものは、ε−カプロラクトンの反応率が 99 %
を上回るまで15時間を要した。このものの APHA 値(JI
S K 1557)は50と若干着色がみられた。実施例5および
比較例5における、反応時間と反応率の関係を図2に示
した。なお比較例5における、モノブチルスズヒドロキ
シドオキシドを使用しないでトリフェニルホスフィンオ
キシドのみで反応を行ったところ、反応はほとんど進行
しなかった。
【0044】
【発明の効果】表1、図1および図2において示される
ように、スズ化合物等にトリフェニルホスフィンオキシ
ド等の配位子を配合することによって、ラクトン単量体
の重合(開環付加)速度を著しく速める効果があること
が明確になった。
【0045】さらに配位子を添加することで、得られた
ポリエステルの色相やその他の物性が向上した。(以下
余白) 表1 実施例・比較例・重合時間・物性一覧表 金属 反応 重合率 数平均 分子量 色相* 化合物 温度 99%時間 分子量 分布 (APHA ) * (℃) 実施例1 A 160 4 116000 1.50 10 実施例2 B 160 6 102000 1.68 10 実施例3 C 140 7 2000 1.60 10 実施例4 D 140 8 1000 1.54 10 比較例1 A 160 8 111000 1.55 30 比較例2 B 160 10 98000 1.72 30 比較例3 C 140 13 2000 1.75 50 比較例4 D 140 25 1000 1.60 50 注(1)色相:NV30% キシレンド−プ (2)使用触媒の略号は下記の物質を示す。
【0046】(3) 重合率99%時間というのは合率が99%を
上回るのに要する時間を示す。
【0047】 A: CH3(CH23Sn(OCOCH33 B: SnCl2 C: Ti[O(CH23 CH34 (4):実施例1〜4においては下記構造の配位子を使用
した。
【0048】実施例1: 実施例2:下記化学式1
【化1】 実施例3:PPh3 実施例4:O=PPh3 (以下余白)
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1および比較例1における重合率
の経時変化を示すグラフ。
【図2】図2は実施例5および比較例5における反応率
の経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
なし (以下余白)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属化合物と配位子より成る複合触媒を
    用いることを特徴とするラクトン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属化合物がスズ化合物である請求項1
    記載のラクトン重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 開始剤として多価アルコールを用いる請
    求項1記載のラクトン重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 開始剤として分子内に水酸基を有するポ
    リマーを用いる請求項1記載のラクトン重合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 分子内に二重結合を有するアルコールを
    開始剤として用いる請求項1記載のラクトン重合体の製
    造方法。
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