JP3163171B2 - IgA産生促進剤 - Google Patents

IgA産生促進剤

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JP3163171B2 JP18819392A JP18819392A JP3163171B2 JP 3163171 B2 JP3163171 B2 JP 3163171B2 JP 18819392 A JP18819392 A JP 18819392A JP 18819392 A JP18819392 A JP 18819392A JP 3163171 B2 JP3163171 B2 JP 3163171B2
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【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、IgA産生促進剤に
関するものである。さらに詳しくは、この発明は、特定
のペプチド類、またはこのペプチド類とビフィドバクテ
リウム属に属する微生物(以下ビフィズス菌と記載する
ことがある)の生菌とからなり、人および哺乳動物の感
染症の防御、並びにアレルギー発症の予防に有効な新し
いIgA産生促進剤に関するものである。
【従来の技術】IgAは血清中に存在する免疫グロブリ
ン(immunoglobulin)の一種であり、微生物または異種
の蛋白質等が気管支や小腸等の粘膜から体の中に侵入す
るのを防御する作用を有する。特に、新生児の腸管に存
在するIgAは感染防御または異種蛋白質によるアレル
ギー発症の予防等に寄与することが知られている。乳児
においてIgAは母乳からの摂取、および自らが生産・
分泌することにより供給されるが、IgAの人乳汁中含
量は高く、母乳の特長の一つとされている。このため、
母乳を摂取することのできない人工栄養児においては、
腸管内でのIgAが不足するため、IgAの分泌を促進
する物質が広く検索されてきた。たとえば、ラルフ等
[ジャーナル・オブ・イミュノロジー(Journal of Imm
unology) 第132巻、第1858ページ、1984年。以下文献1
と記載する]は、フィトヘマグルチニンとともに培養し
て得られたヒト末梢血リンパ球培養上清から、また、メ
イヤー等[ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メ
デイシン(Journal of Experimental Medicine) 第156
巻、第1860ページ、1982年。以下文献2と記載する]
は、人乳から得られたTリンパ球およびマクロファージ
混合物の培養液から分離したBリンパ球刺激因子(BA
F)によるIgAの分泌促進を報告している。さらに、
新本等(特開昭64−20083号公報。以下文献3と
記載する)は、ヒトラクトフェリンによりヒトBリンパ
球をIgA分泌細胞へ分化、誘導させる方法を開示して
いる。一方、保井等(日本農芸化学会誌、第65巻、第62
3ページ、1991年。以下文献4と記載する)は、ヒト糞
便由来のビフィズス菌をマウスに投与し、マウス腸管に
おけるIgA誘導性の高い特定の菌株をスクリーニング
したことを報告している。また、この発明の発明者等は
先に牛ラクトフェリンとビフィズス菌および/または乳
酸菌とからなる有用細菌の腸内定着を促進する組成物を
発明し、特許出願した(特開平1−221319号公
報)。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記文
献1、2および3に開示された方法は、いずれも試験管
内で得られた結果であり、実際に生体内でIgA産生を
誘導することを証明したものではない。また、前記文献
4に開示された方法は、特定のビフィズス菌菌株にIg
A誘導性の活性があることを示しているにすぎず、あら
ゆるビフィズス菌に普遍的にIgAを誘導し得るもので
はない。以上のように、生体内でIgA産生を確実、か
つ普遍的に誘導する薬剤は従来知られておらず、感染防
御またはアレルギー発症の予防の観点からそのような薬
剤の開発が強く要請されていた。この発明は、以上のと
おりの事情に鑑みてなされたものであり、副作用がな
く、人および哺乳動物の生体内でIgAを効率的、かつ
普遍的に産生する薬剤を提供することを目的としてい
る。
【課題を解決するための手段】この発明の発明者等は上
記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ペプ
チド類単独、またはビフィズス菌とペプチド類とからな
る組成物が、人および哺乳動物のIgA産生を効率的、
かつ普遍的に誘導することを見出し、この発明を完成し
た。すなわち、この発明は、ウシラクトフェリンを蛋白
質分解酵素または酸により加水分解したペプチド混合物
から単離した配列番号1のペプチド、化学的に合成した
配列番号1のペプチド、そのペプチドの薬理学的に許容
される塩類、およびこれらの混合物からなる群より選択
されたペプチド類からなるIgA産生促進剤を提供す
る。さらにこの発明は、ウシラクトフェリンを蛋白質分
解酵素または酸により加水分解したペプチド混合物から
単離した配列番号1のペプチド、化学的に合成した配列
番号1のペプチド、そのペプチドの薬理学的に許容され
る塩類、およびこれらの混合物からなる群より選択され
たペプチド類と、ビフィドバクテリウムに属する微生物
の生菌とからなり、微生物の生菌数に対するペプチド類
の割合が特定の範囲であるIgA産生促進剤を提供す
る。次にこの発明について詳しく説明する。この発明の
出発物質として使用するラクトフェリン類は、ウシの乳
汁から公知の方法で分離したままのラクトフェリン、こ
のラクトフェリンを公知の方法により化学的に処理した
ラクトフェリン亜鉛、ラクトフェリン鉄、ラクトフェリ
ン銅、ラクトフェリン・マンガン、アポラクトフェリ
ン、またはこれらの混合物であり、市販品または公知の
方法により調製することができる。すなわち、ラクトフ
ェリンは市販品、または公知の方法(例えば特開昭63
−152400号等)により、アポラクトフェリンは、
例えば特開昭62−249931号記載の方法等によ
り、ラクトフェリン亜鉛、ラクトフェリン銅、およびラ
クトフェリン・マンガンは、例えば特開平2−1912
05号記載の方法等により、それぞれ調製することもで
きる。ペプチド類は、ウシラクトフェリンを公知の方法
(例えばヨーロッパ特許出願公開第438750号)に
より蛋白分解酵素または酸により加水分解して得られる
ペプチド混合物から公知の方法(例えば高速液体クロマ
トグラフ等)により単離した配列番号1のペプチド、公
知の方法[例えばペプチド自動合成装置(例えば、ファ
ルマシアLKBバイオテクノロジー社製。LKB Bioly
nk 4170等)を用いた固相ペプチド合成法(ジャーナル
・オブ・ケミカル・ソサイエティー・パーキンI(Jour
nal of Chemical Society Perkin I)、第538ページ、
1981年)等]により化学的に合成した配列番号1のペプ
チド、これらの薬理学的に許容される塩類、またはこれ
らの混合物である。なお、配列番号1のペプチドは、本
発明者等が既に特許出願(特願平2−128364号、
および特願平3−48196号)しているものである。
この発明の製剤においては、配列番号1のペプチドを単
独で使用することもできる。ペプチド類は粉末状である
ことが望ましい。この発明に使用するビフィズス菌は、
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium;以下B.と略
記することがある)属に属し、例えばATCC等から容易に
入手できる公知の微生物であり、ビフィドバクテリウム
・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビ
フィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium long
um)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacter
ium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンテ
ィス(Bifidobacterium adolescentis)およびビフィド
バクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidu
m)等に属する菌株を例示することができる。これらの
ビフィズス菌を公知の方法(例えば特開平1−2213
19号等)により培養し、凍結乾燥または真空乾燥し、
乾燥ビフィズス菌生菌が得られる。この発明に使用する
ビフィズス菌生菌の形態としては、一定の生菌を含有し
ている凍結乾燥粉末であることが望ましい。この発明の
製剤は、ペプチド類単独、またはペプチド類とビフィズ
ス菌生菌とを特定の割合で含有する。ペプチド類とビフ
ィズス菌生菌とを併用する場合は、後記する試験例から
明らかなように、ビフィズス菌の生菌数に対する各ペプ
チド類の割合を次のとおりとする。 [ペプチド(mg)/ビフィズス菌生菌数]×109=0.
05〜5 この発明の製剤は、ペプチド類、またはペプチド類とビ
フィズス菌生菌とを公知の方法により前記の割合で均一
に混合し、粉剤、カプセル剤に加工することができ、必
要に応じて賦形剤、その他の薬剤も混合することもでき
る。また、この発明の製剤を乳幼児用の各種用途の粉乳
等の食品に添加することもできる。この発明の製剤の投
与量は、後記する試験例から明らかなように、ペプチド
は0.025mg/kg/day以上であって、ビフィ
ズス菌は生菌として5×107個/kg/day以上で
ある。次に試験例を示してこの発明を詳述する。 (試験例1) この試験は、人ラクトフェリン由来のペプチド混合物と
ビフィズス菌生菌数の適正な割合および投与量を調べる
ために実施した。3週令のマウス125匹を各群5匹ず
つ25群に分け、ペプチド混合物(実施例3と同一の方
法により調製した)とビフィドバクテリウム・ロンガム
(B.longum ATCC15707)の凍結乾燥粉末(実施例1と同
一の方法により調製した。1g当り1010個の生菌を含
む標品)とを表1に示した割合で精製水1mlに溶解
し、これらの溶液を、1ml/kgの投与量でそれぞれ
の群に1日1回、3週間連続して投与した。3週間後、
糞便中のIgA含量を酵素抗体法(ELISA)により
測定した。この試験の結果は表1に示したとおりであ
り、ペプチド混合物単独の場合は1.5mg/kg/d
ay以上、ペプチド混合物とビフィズス菌の併用の場合
はペプチド混合物を0.5mg/kg/day以上およ
びビフィドバクテリウム・ロンガム凍結乾燥粉末5mg
/kg/day以上投与したとき、糞便中のIgA含量
が顕著に増加することが認められた。また、各試験動物
において副作用は全く認められなかった。この試験に使
用したビフィドバクテリウム・ロンガム凍結乾燥粉末5
mg中には、生菌が5×107個含まれていた。なお、
ペプチド混合物およびビフィズス菌の種類を変更して試
験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【表1】 (試験例2) この試験は、牛ラクトフェリン由来のペプチド混合物と
ビフィズス菌生菌数の適正な割合および投与量を調べる
ために実施した。3週令のマウス125匹を各群5匹ず
つ25群に分け、ペプチド混合物(実施例1と同一の方
法により調製)とビフィドバクテリウム・ロンガム(B.
longum ATCC15707)の凍結乾燥粉末(実施例1と同一の
方法により調製した。1g当り1×1010個の生菌を含
む標品)とを表2に示した割合で精製水1mlに溶解
し、これらの溶液を、1ml/kgの投与量でそれぞれ
の群に1日1回、3週間連続して投与した。3週間後、
糞便中のIgA含量をELISAにより測定した。この
試験の結果は表2に示したとおりであり、ペプチド混合
物単独の場合は1.5mg/kg/day以上、ペプチ
ド混合物とビフィズス菌の併用の場合はペプチド混合物
を5mg/kg/day以上およびビフィドバクテリウ
ム・ロンガムの菌体を5mg/kg/day投与した場
合に、糞便中のIgA含量が顕著に増加することが認め
られた。また、各試験動物において副作用は全く認めら
れなかった。この試験に使用したビフィドバクテリウム
・ロンガムの凍結乾燥粉末5mg中には、生菌が5×1
7個含まれていた。なお、ペプチド混合物およびビフ
ィズス菌の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果
が得られた。
【表2】 (試験例3) この試験は、合成したペプチドとビフィズス菌生菌数の
適正な割合および投与量を調べるために実施した。3週
令のマウス125匹を各群5匹ずつ25群に分け、配列
番号1のペプチド(実施例4と同一の方法により調製し
た)とビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum ATC
C15707)の凍結乾燥粉末(実施例1と同一の方法により
調製した。1g当り1010個の生菌を含む標品)とを表
3に示した割合で精製水1mlに溶解し、これらの溶液
を、1ml/kgの投与量でそれぞれの群に1日1回、
3週間連続して投与した。3週間後、糞便中のIgA含
量をELISAにより測定した。この試験の結果は表3
に示したとおりであり、このペプチド単独の場合は0.
075mg/kg/day以上、ペプチドとビフィズス
菌の併用の場合はこのペプチドを0.025mg/kg
/day以上およびビフィドバクテリウム・ロンガムの
凍結乾燥粉末を5mg/kg/day投与した場合に、
糞便中のIgA含量が顕著に増加することが認められ
た。また、各試験動物において副作用は全く認められな
かった。この試験に使用したビフィドバクテリウム・ロ
ンガムの凍結乾燥粉末5mg中には、生菌が5×107
個含まれていた。なお、ペプチドおよびビフィズス菌の
種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【表3】 (試験例4) この試験は各種ビフィズス菌のIgA産生に及ぼす影響
を調べるために実施した。3週令のマウス100匹を各
群5匹ずつ20群に分け、0.5mg/kg/dayの
ペプチド混合物(実施例1と同一の方法で調製した)と
表4に示す各種ビフィズス菌の凍結乾燥粉末(菌株を変
更した以外は実施例1と同一の方法で調製した)とを種
々の量で精製水に溶解し、これらの溶液を、それぞれの
群に1日1回、3週間連続して投与した。3週間後、糞
便中のIgA含量をELISAにより測定した。結果は
表4に示したとおりであり、ペプチド混合物を0.5m
g/kg/day投与した場合、ビフィズス菌の各凍結
乾燥粉末を5mg/kg/day以上、生菌として5×
107個/kg/day投与した場合に、糞便中のIg
A含量が顕著に増加することが認められた。また、各試
験動物において副作用は全く認められなかった。この試
験に使用したビフィズス菌の各凍結乾燥粉末5mg中に
は、生菌が5×107個含まれていた。なお、他のペプ
チド混合物を用いて試験したが、ほぼ同様の結果が得ら
れた。
【表4】 (試験例5) この試験は、ペプチド混合物およびペプチドの混合物
と、ビフィズス菌との併用について効果を比較するため
に行った。3週令のマウス85匹を各群5匹ずつ17群
に分け、ペプチド混合物(実施例2と同様の方法で調整
した)および/または配列番号1のペプチド(実施例4
と同一の方法で調製した)と、ビフィドバクテリウム・
ロンガム(B.longum ATCC15707)の凍結乾燥粉末(実施
例1と同一の方法で調製した。1g当り1010個の生菌
を含む標品)とを表5に示した割合で精製水1mlに溶
解し、これらの溶液を、1ml/kgの投与量でそれぞ
れの群に1日1回、3週間連続して投与した。3週間
後、糞便中のIgA含量をELISAにより測定した。
この試験の結果は表5に示したとおりである。ビフィド
バクテリウム・ロンガムを5mg/kg/day投与し
た場合、ペプチド混合物またはペプチドから一種類を選
んで投与すると、ペプチド混合物は0.5mg/kg/
day、ペプチドは0.025mg/kg/dayの投
与でIgAの産生を促進した。また、ペプチド混合物と
ペプチドとを併用した試験結果から次のことが明らかに
なった。試験番号3と試験番号5の結果とを比較すれ
ば、ペプチド混合物を0.5mgから0.3mgに減少
させたとき、ペプチドを0.005mg添加したので
は、十分なIgA産生が得られない。これに対して試験
番号3と試験番号6および8の結果とを比較すれば、ペ
プチド混合物を0.5mgから0.3mgおよび0.1
mgに減少させたとき、ペプチドを0.01mgおよび
0.02mg添加した場合に十分なIgA産生が得られ
る。従って、ペプチド混合物0.1部はペプチド0.0
05部とほぼ同等の効果を有しており、ペプチド混合物
をこの割合でペプチドと代替し得る。なお、ペプチド類
およびビフィズス菌の種類を変更して試験したが、ほぼ
同様の結果が得られた。
【0030】
【表5】
【実施例】次に実施例を示してこの発明を更に詳述する
が、この発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 牛乳から分離したままの市販のラクトフェリン(ベルギ
ーのオレオフィナ社製)50gを精製水950gに溶解
し、得られた溶液に1規定の塩酸を添加してpHを2に
調整し、120℃で15分間加熱し、次いで冷却し、ペ
プチド混合物を含有する溶液(ペプチド混合物濃度:5
%)約1000gを得た。このペプチド混合物の分解度
は9%であった。この溶液に1規定の苛性ソーダを添加
してpHを6.0に調整し、生じた沈殿を濾過により除
去し、凍結乾燥し、粉末のペプチド混合物約42gを得
た。ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum ATCC1
5708)をブリックス・リバー・ブロスにおいて10代継
代培養し、グルコース、酵母エキス、ペプトンおよびリ
ン酸塩からなる滅菌した合成培地50lに接種し、37
℃で14時間培養した。培養液を遠心分離し、菌体を集
め、得られた菌液1lに市販のグルタミン酸100g、
およびしょ糖50gを含む分散媒500mlを添加し、
凍結乾燥した。得られた粉末275gに市販の乳糖2k
gおよび乾燥コーンスターチ2.5kgを加え、均一に
混合して倍散し、粉末1g当り1×1010個のビフィズ
ス菌生菌を含む標品約4.7kgを得た。前記の粉末の
ペプチド混合物10gに、前記のビフィズス菌生菌を含
む標品100gを均一に混合し、IgA産生促進剤を調
製した。 実施例2 牛乳から分離したままの市販のラクトフェリン(ベルギ
ーのオレオフィナ社製)1kgを精製水9kgに溶解
し、2モル濃度のクエン酸を添加してpHを2.5に調
整し、市販の豚ペプシン(1:10,000。和光純薬
工業社製)30gを添加して均一に混合し、37℃に1
80分間保持し、1規定の苛性ソーダを添加してpHを
6.0に調整し、85℃で10分間加熱して酵素を失活
させ、次いで冷却し、ペプチド混合物を含有する溶液
(ペプチド混合物濃度:10%)約10kgを得た。こ
のペプチド混合物の分解度は11.3%であった。この
ペプチド混合物含有溶液を減圧濃縮し、凍結乾燥し、粉
末のペプチド混合物約960gを得た。この粉末のペプ
チド混合物100gに、実施例1と同一の方法で調製し
た生菌数が1×1010個/gのビフィドバクテリウム・
ロンガム(B.longum ATCC15708)の生菌を含む標品30
00gを均一混合し、IgA産生促進剤を調製した。実
施例3 人乳から分離したままの市販のラクトフェリン(米国シ
グマ社製)3gを精製水100gに溶解し、2モル濃度
のクエン酸を添加してpHを2.5に調整し、市販の豚
ペプシン(1:10,000。和光純薬工業社製)10
0mgを添加して均一に混合し、37℃に180分間保
持し、1モルの苛性ソーダでpHを7.0に調整し、8
5℃で10分間加熱して酵素を失活させ、次いで冷却
し、ペプチド混合物を含有する溶液(ペプチド混合物濃
度:10%)約100gを得た。このペプチド混合物の
分解度は11.3%であった。このペプチド混合物含有
溶液を減圧濃縮し、凍結乾燥し、粉末のペプチド混合物
約3gを得た。この粉末のペプチド混合物3gに、実施
例1と同一の方法で調製した生菌数が1×1010個/g
のビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum ATCC157
08)の生菌を含む標品30gを均一混合し、IgA産生
促進剤を調製した。 実施例4 市販の牛ラクトフェリン(シグマ社製)50mgを精製
水0.9mlに溶解し、0.1規定の塩酸でpHを2.
5に調整し、のち市販の豚ペプシン(シグマ社製)1m
gを添加し、37℃で6時間加水分解した。次いで0.
1規定の水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、8
0℃で10分間加熱して酵素を失活させ、室温に冷却
し、15,000rpmで30分間遠心分離し、透明な
上清を得た。この上清100μlをTSKゲルODS−
120T(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラ
フィーにかけ、0.8ml/分の流速で試料注入後10
分間0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)を含む20
%アセトニトリルで溶出し、次いで30分間0.05%
TFAを含む20〜60%のアセトニトリルのグラジエ
ントで溶出し、24〜25分の間に溶出する画分を集
め、真空乾燥した。この乾燥物を2%(W/V)の濃度
で精製水に溶解し、再度TSKゲルODS−120T
(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラフィーに
かけ、0.8ml/分の流速で試料注入後10分間0.
05%TFAを含む24%アセトニトリルで溶出し、の
ち30分間0.05%TFAを含む24〜32%のアセ
トニトリルのグラジエントで溶出し、33.5〜35.
5分の間に溶出する画分を集めた。上記の操作を25回
反復し、真空乾燥し、ペプチド約1.5mgを得た。こ
のペプチドを6N塩酸で加水分解し、アミノ酸分析計を
用いて常法によりアミノ酸組成を分析した。同一の試料
を気相シークェンサー(アプライド・バイオシステムズ
社製)を用いて25回のエドマン分解を行ない、25個
のアミノ酸残基の配列を決定した。またDTNB(5,
5−ジチオ−ビス(2−ニトロベンゾイック・アシ
ド))を用いたジスルフィド結合分析法[アナリティカ
ル・バイオケミストリー(Analytical Biochemistr
y)、第67巻、第493頁、1975年]によりジスルフィド結
合が存在することを確認した。その結果、このペプチド
は、25個のアミノ酸残基からなり、3番目と20番目
のシステイン残基がジスルフィド結合し、3番目のシス
テイン残基からN−末端側に2個のアミノ酸残基が、2
0番目のシステイン残基からC−末端側に5個のアミノ
酸残基が、それぞれ結合した、配列番号1のアミノ酸配
列を有していることが確認された。このペプチド粉末1
0mgに、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B.bifi
dum ATCC15696)を用いたことを除き、実施例1と同一
の方法で調製した生菌数が1×1010個/gのビフィド
バクテリウム・ビフィダムの生菌を含む標品20gを均
一混合し、IgA産生促進剤を調製した。 実施例5 実施例2と同一の方法で調製したペプチド混合物300
mg、実施例4と同一の方法で調製したペプチド10m
g、およびビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve
ATCC15799)を用いたことを除き実施例1と同一の方法
で調製した生菌数が1×1010個/gのビフィドバクテ
リウム・ブレーベの生菌を含む標品2gを均一混合し、
IgA産生促進剤を調製した。 実施例6 実施例1と同一の方法で調製した1×1010個/gのビ
フィドバクテリウム・ロンガム(B.longum ATCC15707)
の生菌を含む標品、実施例2と同一の方法で調製した粉
末のペプチド混合物、市販の乳糖、乾燥コーンスター
チ、および脱脂粉乳を次の配合比率でV型混合機を用い
て均一に混合し、IgA産生促進剤を調製した。 ビフィドバクテリウム・ロンガムの標品 10(g) 粉末のペプチド混合物 1 乳糖 40 乾燥コーンスターチ 19 脱脂粉乳 30
【発明の効果】この発明によって奏せられる効果は、次
のとおりである。 (1)人および哺乳動物の生体内で確実にIgAの産生を
促進することができる。(2)Bifidobacterium属に属する
如何なる微生物を使用しても生体内で確実にIgA抗体
の産生を促進することができる。 (3)この発明の製剤投与による副作用は全く認められな
い。
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:25 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴:このペプチド、およびこのペプチドをフラグメントとして含む ペプチド。 下記配列において、3番のCysと20番のCysがジスルフィド 結合している。 配列: Phe Lys Cys Arg Arg Trp Gln Trp Arg Met Lys Lys Leu Gly Ala 1 5 10 15 Pro Ser Ile Thr Cys Val Arg Arg Ala Phe 20 25
フロントページの続き (72)発明者 山内 恒治 神奈川県鎌倉市玉縄4−2−2 ガーデ ンハイツ鎌倉玉縄405 (56)参考文献 特開 昭64−20083(JP,A) 特開 平2−280059(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 - 38/58 A61K 35/74 CA(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウシラクトフェリンを蛋白質分解酵素ま
    たは酸により加水分解したペプチド混合物から単離した
    配列番号1のペプチド、化学的に合成した配列番号1の
    ペプチド、そのペプチドの薬理学的に許容される塩類、
    およびこれらの混合物からなる群より選択されたペプチ
    ド類からなるIgA産生促進剤。
  2. 【請求項2】 ウシラクトフェリンを蛋白質分解酵素ま
    たは酸により加水分解したペプチド混合物から単離した
    配列番号1のペプチド、化学的に合成した配列番号1の
    ペプチド、そのペプチドの薬理学的に許容される塩類、
    およびこれらの混合物からなる群より選択されたペプチ
    ド類と、ビフィドバクテリウムに属する微生物の生菌と
    からなり、微生物の生菌数に対するペプチド類の割合
    が、 [ペプチド(mg)/ビフィドバクテリウム属に属する微
    生物の生菌数] ×109=0.05〜5 であり、有効投与量がペプチド0.025mg/kg/
    day以上、およびビフィドバクテリウム属に属する微
    生物の生菌5×107個/kg/day以上であるIg
    A産生促進剤。
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