JP3163103B2 - 流動性改善剤、その製造方法及びその使用 - Google Patents

流動性改善剤、その製造方法及びその使用

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明はセメントを含有する水性組成物のワーカビ
リティ時間も長くする流動性改善剤、そのような改善剤
の製造方法及びその使用法に関するものである。
流動性改善剤は、セメント、石灰及び/または石膏を
含有する組成物に対する添加剤として長い間知られてい
る。グラウト、モルタル、コンクリート、パテ及び自動
的に平らになるフロアスクリードがセメントをベースに
した混合物の例である。通常、これらの混合物は、セメ
ントの硬化あるいは結合反応に必要な最少量よりも余分
に水を含むようにされている。
硬化に丁度必要な量の水を使おうとすると、混合物
は、セメント粒子間の強い吸引力のために、コンシステ
ンシ及びワーカビリティ(加工性)が満足できないもの
となろう。
一方、上述の混合物中の水の含有量が多すぎると、硬
化した混合物の強度が激減する。しかし、この点は、あ
る程度は、混合物の調整の際に、セメント量を増すこと
により補償できる。しかし、単位体積当たりのセメント
量が多すぎると、硬化反応時に放出される熱のためにひ
び割れが生じるという不所要な結果やその他の望ましく
ない結果が生じてしまう。さらには、必要以上にセメン
トの含有量を高くすることは、経済的にも望ましくな
い。
最近では、セメントをベースにした混合物が、色々な
建設作業現場で用いるために、圧力をかけられて、パイ
プラインを通してポンプで送られることがしばしばあ
る。従って、そのような混合物はポンプで送れるような
コンシステンシを持ち、しかも、水含有率が高過ぎない
ようにすることが重要である。
コンクリート混合物の水含有率を低くすると同時に良
好な流動性を得ることができるように、ある種のコンク
リート添加剤を用いることは以前から知られている。こ
のような添加剤の中で最もよく知られているのは、スル
ホン化ナフタレン・フォルムアルデヒド樹脂、スルホン
化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂、スルホン化メラ
ミン・ユリア・フォルムアルデヒド樹脂及びリグニンス
ルホン酸のナトリウム塩とカルシウム塩である。
このような公知の添加剤は上述した点に関しては、あ
る程度の効果がある。
ワーカビリティ時間という概念は、この技術分野にお
いては、上述したタイプの流動性改善剤をコンクリート
混合物に加えた後、どのような流動性改善剤も加えない
同等のコンクリート混合物よりも良好な流動性を呈する
時間を意味するものとして用いられる。
ワーカビリティ時間を求めるためには種々の方法を用
いることができる。この発明によれば、コンシステンシ
の測定のために、規格化されたスエーデン式の方法SS13
7121が用いられる。金属製円錐にコンクリート混合物を
満たし、円錐を引き上げて取り去る。すると、コンクリ
ートの円錐が低下する(下がる)。
コンクリートの円錐と金属円錐の高さの差、いわゆる
スランプがコンクリートのコンシステンシの目安として
用いられる。流動性改善剤を混合する前と後のコンクリ
ート混合物のスランプが測定される。その後、流動性改
善剤を含むコンクリートの混合物のスランプが改善剤を
加える前のコンクリート混合物のスランプと同じ値にな
るまで、等間隔の時間でサンプルを取り出す。測定され
た時間がワーカビリティ時間となる。
今日、コンクリート製造業者やビル建設業者はコンク
リートのワーカビリティ時間があまりにも短かすぎるこ
とによる非常に大きな問題にしばしば直面する。即ち、
コンクリート中の流動性改善剤の効力はあまりにも早く
減少してしまうのである。例えば、時には、コンクリー
ト工場から建設現場までの運送に時間がかかりすぎて、
コンクリートをその流動性がなくなるまでに型枠等に入
れることができない場合がある。さらに、建設現場にお
いても、種々の理由により、注入が中断されることがあ
り、注入が再び始まった時には、コンクリートはそのワ
ーカビリティをかなり失ってしまっている。この点は流
動性コンクリートをポンプで送る時に特に大きな問題を
生じさせる。ポンプの導管が詰まってしまうと、非常に
大きな経済的な影響が出る。
ワーカビリティ時間が短かすぎることに関係する問題
は、特に、夏のコンクリートの温度が高い時、及び、冬
に温かいコンクリートを注入する時に大きく現れる。
前述した流動性改善剤の中で、特に、スルホル化メラ
ミン・フォルムアルデヒド樹脂とスルホン化ナフタレン
・フォルムアルデヒド樹脂は流動性コンクリート用とし
て用いられる。そこで、上述した問題が発生する コンクリートのワーカビリティ時間が短かすぎること
による問題の解決のために、世界の多くの所で非常に大
きな研究努力がなされた。あるいくつかの場合は、ワー
カビリティ時間を長くすることが部分的には可能となっ
た。しかし、同時に別の問題、例えば、コンクリート
の、短時間強度の低下、空気含有率の上昇、偽硬化の危
険性、あるいは、初期硬化が非常に長くなってしまう等
の問題がでてくる。これらの問題はそれ自体重大な問題
であるので、ワーカビリティ時間が短いことに関係する
問題が満足な形で解決できているとは言えない。
この発明によれば、上述した他の問題を生じさせるこ
となく、短いワーカビリティ時間に伴う上述の問題を解
決することができる。
即ち、この発明は、セメント含有水性組成物のワーカ
ビリティ時間を長くする作用も持つ流動性改善剤に関す
るものである。この流動性改善剤は、乾燥材料で計算し
た次のA及びC、必要に応じD、の組合わせからなる。
A.スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂、スル
ホン化メラミン・ユリア・フォルムアルデヒド樹脂、ま
たは、スルホン化ナフタレン・フォルムアルデヒド樹脂
60〜99重量%。
C.硼素を含有するポリヒドロキシカルボン酸、またはそ
の水溶性アルカリ塩または水溶性アクリル土金属塩0.5
〜40重量%であって、上記ポリヒドロキシカルボン酸は
但し、R1は、 またnは3〜8、好ましくは4〜6、を有するもの。
D.0.5〜30重量%の次の一般式で表わした化合物、 ArO−(R1nR2 但し、Arは、ベンゼン部分、置換ベンゼン部分、ナフタ
レン部分、または、置換ナフタレン部分、R1がオキシエ
チレン基、−CH2CH2O−、または、オキシプロピレン基 または、15までのオキシエチレン基またはオキシプロピ
レン基を持ったオキシエチレン鎖またはオキシプロピレ
ン鎖、あるいは、オキシエチレン基とオキシプロピレン
基をこれらの基の合計が最大で15となるように組合わせ
た鎖であり、nの平均値nが1〜15、また、R2が水素、
または、式 を持つホスホネート基であって、M1及びM2が水素イオン
またはアルカリ金属イオン、あるいはR2は式 を持つ基であって、M2は前記と同様、Myが −(R1−OAr であって、R1、n及びArは上記と同じ。
流動性改善剤の化合物Aは多くの方法で作ることがで
きる。1つの適当な方法がスエーデン特許第7414830−
5号に示されている。この特許はスルホン化メラミン・
フォルムアルデヒド樹脂を開示している。この発明によ
れば、化合物Aとしては、ペルストルプ・アーベー(Pe
rs−torp AB)より販売されている製品PERAMIN F(登
録商標)、PERAMIN FP(登録商標)と同様に、セメン
タ流動添加剤V33の商品名でセメンタ(Cementa)からス
エーデンにおいて販売されている商品メルメント(Melm
ent)L−10を用いることができる。
日本国特許公開昭57−100959号は、同じく、スルホン
化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂の製造に関するも
のである。その製造方法も上記の化合物Aの製造に用い
ることができる。
さらに、米国特許第2,730,516号、オーストリア特許
第263,607号及びヨーロッパ特許第59,353号を挙げるこ
とができる。これらの特許も、スルホン化メラミン・フ
ォルムアルデヒド樹脂の製造に関するものである。
スルホン化ナフタレン・フォルムアルデヒド樹脂も、
例えば、フランスの会社、コンパニ・フランセーズ・ド
・プロデュイ・アンデュストリエル(Compagnie Fran−
caise De Produits Industriels)から市販されてい
る。
この発明の1つの推奨実施例では、化合物Dにおける
R1はオキシエチレン基で、nは1〜6である。
この発明の別の推奨実施例では、化合物DにおけるR1
はオキシプロピレン基で、nは3〜8である。
化合物DにおけるArは、好ましくは、ベンゼン部分
で、R2は式 但し、M1とM2は水素イオンまたはアルカリ金属イオン、
を持つホスホネート基である。
化合物Aとして、スルホン化メラミン・フォルムアル
デヒド樹脂あるいはスルホン化メラミン・ユリア・フォ
ルムアルデヒド樹脂を用いることが非常に適している。
化合物DのArをアルキル基で置換した場合は、このア
ルキル基としては、好ましくは、短い鎖、例えば、C
H3、C2H5あるいはC3H7からなるものを用いる。
上述した化合物AとDの組合わせからなる流動性改善
剤は既にスエーデン特許第8800295−1号に開示されて
いる。この特許による改善剤は、例えば、コンクリート
に対して非常に良好な流動性改善効果を持っている。し
かしながら、この流動性改善剤を含んだコンクリート混
合物のワーカビリティ時間は、ある種の適用例では満足
できるものではない。従って、依然として上述の問題が
残る。
この技術分野においては、通常、初期硬化の時間とい
うのは、コンクリートを混合した後、例えば、そのコン
クリートを平坦にさせることが出来る程度までコンクリ
ートが硬化できるに要する時間と定義される。勿論、通
常は、コンクリート混合物の初期硬化の時間が長いこと
は望ましくない。なぜなら、コンクリートの硬化を持つ
間、長時間、作業を中断せねばならないからである。こ
の初期硬化時間は、いろいろな方法で測ることができ
る。
この特許出願においては、初期硬化時間は、スエーデ
ン規格SS137126によって測定される。スタンプを用い
て、異なる時間にコンクリートに押し込む。そして、ス
タンプの侵入に対する抵抗が測定される。この規格によ
る初期硬化の時間の終了の限界は、侵入に対する抵抗が
3.5MPaに達した時点である。
コンクリートの短時間強度が高いということが種々の
観点から重要である。このことは、特に、出来るだけ早
くコンクリート型枠を取り外すことを可能とするために
重要である。後述する実施例においては、短時間強度を
24時間圧縮強度として規定した。
イギリス特許第1,389,407号によれば、この発明の化
合物Cの1つを作ることは以前から知られている。この
イギリス特許には、その公知の化合物の使用に関しては
言及がない。
米国特許第3,856,541号においては、この発明の成分
Cを含むコンクリート混合物が開示されている。しか
し、この出願に示す他の成分との組合わせは、高温(20
0゜F≒93℃)でコンクリートがあまり急速に硬化しない
ように、コンクリートの初期硬化の時間を長くすること
に関する上記米国特許には示されていない。この米国特
許には、ワーカビリティ時間に関する問題は全く論じら
れていない。
従って、化合物Cは、従来、コンクリート混合物等の
ワーカビリティ時間を長くするために使用されたことは
なかった。
化合物Aのみを含有するコンクリート混合物はこの発
明による長いワーカビリティ時間を与えることはない。
上述した化合物AとDの組合わせに関しても同様であ
る。
この発明は、上述した種々の特許が解決しようとした
問題と全く異なる問題を解決する。
この発明によれば、成分AとC、場合によっては、こ
れらとDとの組合わせを用いることにより、セメント含
有水性組成物のワーカビリティ時間を長くできるだけで
なく、流動性改善効果も良好な流動性改善剤が得られる
ことは驚くべきことである。成分Cはワーカビリティ時
間を延ばすことはしない。また、成分Aはワーカビリテ
ィ時間を長くすることはなく、ただ良好な流動性改善効
果を持つのみである。
乾燥製品で計算して、この発明の流動性改善剤は、70
〜99重量%、好ましくは80〜99重量%の化合物A、0.5
〜30重量%、好ましくは、0.5〜20重量%の成分C、必
要に応じて、0.5〜20重量%の化合物Dから成ることが
適当である。
この発明の1つの推奨実施例では、流動性改善剤は、
乾燥製品で計算して、70〜99重量%の化合物A、0.5〜2
0重量%の化合物C、及び、0.5〜20重量%の化合物Dか
らなる。
別のさらに推奨できる実施例では、流動性改善剤は、
乾燥製品で計算して、70〜99重量%の化合物Aと、0.5
〜30重量%の化合物Cからなる。
化合物Cの式において、nは好ましくは5である。
化合物Cにおける硼素は、しばしば、錯体として存在
する。この発明に含まれるそのような錯体の幾つかの式
が前述したイギリス特許第1,389,407号に示されてい
る。
この発明の一実施例によれば、成分C1とC2が改善剤の
他の成分と混合される。成分C1は、硼酸または硼酸の水
溶性塩であり、成分C2は、式 で、R1が、 nが3〜8、好ましくは、4〜6、で表わされるポリヒ
ドロキシカルボン酸、または、その水溶性アルカリ塩ま
たはアルカリ土金属塩である。
この発明による流動性改善剤の好ましい製造方法の1
つでは、上記の化合物C1が、Aのスルホン化メラミン・
ホルムアルデヒド樹脂またはスルホン化メラミン・ユリ
ア・ホルムアルデヒド樹脂の製造に際して添加される。
通常は、このような樹脂の製造には酸性反応ステップ
が含まれている。そこでは、低pH値は、例えば、硫酸の
ような無機酸、有機酸あるいはその他の酸性化合物など
からなる酸触媒によって与えられる。
化合物C1は、それが硼酸からなる場合は特に、上記ス
テップで添加できるという利点がある。硼酸は酸触媒と
して働くことができ、従って、上述の触媒の全てまたは
一部に代えることができ、従って、通常はそのようにさ
れる。
しかし、成分C1及びC2は樹脂Aの製造の別の段階で添
加してもよい。
また、成分C1及びC2の添加を2段階以上で行ってもよ
い。また、成分C1及びC2を完成した樹脂Aに加えること
もできる。
また、成分Dも上記の過程で混合することが出来る。
当然のことながら、この発明による流動性改善剤はこ
の発明の範囲内で別の方法によって作ることもできる。
成分A及びC、また、場合によってはDを、任意の順序
で混合することが可能である。流動性改善剤のそれぞれ
異なる部分成分も、セメント含有組成物に別々に添加
し、その後、その組成物と慎重に混合するようにしても
よい。
この流動性改善剤は水溶液として、あるいは、乾燥製
品とすることができる。好ましくは、乾燥製品は対応水
溶液を噴霧乾燥して製造する。
好ましくは、セメントを含んだ水性組成物は、コンク
リート、自動平坦化フロアスクリード、グラウト及びモ
ルタルを含む。
この発明による流動性改善剤は、コンクリート混合物
の水分を減じるためと同時に、良好な流動性及び長いワ
ーカビリティ時間を与えるために用いることができる。
この発明を以下の実施例との関連においてさらに詳細
に説明するが、例2、7、8及び9はこの発明による流
動性改善剤の使用を示し、例1、3、4、5及び6は比
較テストに関するもので、この発明の範囲外である。
例 1 セメント290kg/m3(スライド(Slite)標準ポルトラ
ンド) 乾燥砂利(0〜8mm)1063kg/m3 粗い砂利(8〜16mm)730kg/m3 水228kg/m3 を2分間混合してコンクリート組成物を作った。
製造直後に前述した方法で測定すると、コンクリート
混合物のスランプは80mmであった。
その後、ペルストルプ・アーベーから販売されている
スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂PERAMIN
F(登録商標)(成分A)を3.8kg/m3(セメントの1.
3重量%)加えて2分間混合した。
スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂を混合
した直後のコンクリート混合物のスランプは220mmであ
った。その後、スランプを20分間隔で測定した。次の値
が得られた。
スランプmm 20分後 195 30分後 130 60分後 100 80分後 80 即ち、樹脂の混合の80分後には、コンクリート混合物
のスランプは220から、樹脂の添加前の値80まで低下し
た。従って、前述した定義により測定したワーカビリテ
ィ時間は80分であった。
このコンクリート混合物で作ったテストサンプルは、
24時間後の圧縮強度が7.3MPaであった。
前述したスエーデン規格SS137126に従って初期硬化の
時間が測定された。6.7±0.5時間という値が得られた。
例 2 例1のプロセスを繰返した。但し、PERAMINFを単独で
加える代わりに、PERAMIN F(成分A)3.61kg/m3とボ
ロヘプトン酸ナトリウム(sodium boroheptonate)(成
分C)0.19kg/m3の混合物を調製して添加した。
スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂とボロ
ヘプトン酸ナトリウムの混合物をコンクリートに混合し
た時、コンクリートのスランプは、220mmであった。こ
の後、時間の経過に伴うスランプの変化を測定して次の
値を得た。
スランプmm 20分後 210 40分後 190 60分後 170 80分後 130 100分後 120 120分後 100 140分後 70 上述の化合物AとCの混合物の添加前は、コンクリー
トは、その成分及び条件は同じであるから、当然のこと
ながら、例1と同様、80mmのスランプを持っていた。
このケースにおいては、約130分のワーカビリティ時
間が得られたが、これは例1における場合よりも約50分
長い。従って、成分AとCの混合物からなるこの発明の
流動性改善剤は、成分Aからなる公知の流動性改善剤よ
りも相当長いワーカビリティ時間を与えた。
流動性改善剤をコンクリートに混合する前と後のスラ
ンプ値の差も、この流動性改善剤の流動性改善効果の良
い目安となる。両方の例において、同じ差140(220−8
0)が得られたが、これは流動性改善剤として良好な値
である。
例2に従うコンクリート混合物から作ったサンプルは
24時間後の圧縮強度が7.2MPaで、これは例1による結果
に匹敵する。
初期硬化の時間は6.9±0.5時間と測定された。従っ
て、例1と例2のコンクリート混合物の初期硬化の時間
の差はそれほどではなく、この発明の実用に際して全く
重要ではない。
例 3 例2によるプロセスを繰返した。但し、ボロヘプトン
酸ナトリウム(成分C)0.19kg/m3のみを用い、スルホ
ン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂は用いなかっ
た。
ボロヘプトン酸ナトリウム添加前のコンクリートのス
ランプは80mmであり、添加後のスランプは95mmであっ
た。このことは、ボロヘプトン酸ナトリウムが大きな流
動性改善効果を持っていないことを意味する。
時間の経過に伴うその後のスランプの変化の測定によ
り次の値が得られた。
スランプmm 20分後 85 40分後 65 従って、ボロヘプトン酸ナトリウムは、約25分のワー
カビリティ時間しか支えなかった。
このコンクリート混合物から作ったサンプルは24時間
後、7.5MPaの圧縮強度を持っていた。
初期硬化の時間は7.1±0.5時間と規定された。
例 4 例3のプロセスを繰返した。但し、ボロヘプトン酸ナ
トリウム(成分C)3.8kg/m3のみを用い、スルホン化メ
ラミン・フォルムアルデヒド樹脂は用いなった。
ボロヘプトン酸ナトリウムの添加前のコンクリートは
80mmのスランプを有し、添加後は220mmのスランプを有
していた。即ち、流動性改善効果は例1と2と同程度に
良好であった。
時間の経過に伴うスランプの変化をその後測定して、
次の値が得られた。
スランプmm 20分後 215 40分後 215 60分後 210 80分後 200 100分後 190 120分後 185 140分後 170 160分後 170 上記の実験によれば、ボロヘプトン酸ナトリウムは非
常に長いワーカビリティ時間を付与した。
7日間テストの後、このコンクリート混合物で作った
サンプルは未硬化で、圧縮強度0MPaであった。
例3と4で得られた結果を比較すると、ボロヘプトン
酸ナトリウムの含有量が比較的低い場合には、流動性改
善効果及びワーカビリティ時間は大したものではない
が、1日後の圧縮強度は良いことがわかる。
しかし、ボロヘプトン酸ナトリウムの含有量を高くす
ると、良好な流動性改善効果とワーカビリティ時間が得
られた。一方、初期硬化の時間は長くなり過ぎ(数
日)、7日後の圧縮強度は存在しなかった。従って、ボ
ロヘプトン酸ナトリウムそのものは、この発明によって
得られる効果は与えなかった。
例 5 例3のプロセスを繰返した。但し、ヘプトン酸ナトリ
ウム(従って、硼素は含まれていない)0.19kg/m3のみ
を用い、スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂
は用いなった。
ヘプトン酸ナトリウムの添加前、コンクリートは80mm
のスランプを有し、添加後は95mmのスランプを持ってい
た。このことは、ヘプトン酸ナトリウムがあまり良好な
流動性改善効果を持っていないことを示す。
その後の時間に伴うスランプの変化の測定により、次
の値が得られた。
スランプmm 20分後 80 40分後 60 このように、ヘプトン酸ナトリウムは20分のワーカビ
リティ時間しか与えなかった。
このコンクリート混合物から作ったテストサンプルの
1日後の圧縮強度は7.7MPaで、初期硬化の時間は7.0±
0.5時間になった。
例 6 化合物Aとして、ペルストルプ・アーベーのPERAMIN
F(登録商標)970gと、化合物Dとして、次の一般式
を持つもの30gを、35℃の温度で均質混合物が得られる
まで攪拌しながら混合した。
ArO−(R1−R2 但し、Arはフェノール、R1は−CH2CH2O−、nは4、R
2である。次に、水酸化ナトリウムを添加してpHを11.0に
調整した。流動性改善剤における成分AとDの上記組合
わせは、スエーデン特許第88.00295−1号に開示されて
いる。
下記のものを2分間混合してコンクリート混合物を作
った。
セメント(スライド標準ポルトランド) 420kg/m3 乾燥砂利(0〜8mm) 880kg/m3 粗い砂利(8〜16mm) 980kg/m3 水 206kg/m3 製造直後のコンクリート混合物を前記方法によって測
定したスランプは60mmであった。
その後、前述したようにして調製した成分AとDの混
合物を5.5kg/m3(セメントの1.3重量%)を加えて2分
間混合した。
成分AとDで作った混合物を混合した直後では、コン
クリート混合物のスランプは220mmであった。その後、2
0分間隔でスランプを測定して、次の値が得られた。
スランプmm 20分後 180 40分後 120 60分後 110 80分後 80 100分後 40 このように、ワーカビリティ時間は約90分となった。
このコンクリート混合物で作ったテストサンプルの1
日後の圧縮強度は23.5MPaであった。
このコンクリート混合物の初期硬化の時間を測定した
ところ、6.7±0.5時間であった。
例 7 例6によるプロセスを繰返した。但し、例6で作った
化合物AとDの混合物5.3kg/m3を成分Cであるボロヘプ
トン酸ナトリウム0.2kg/m3と混合し、化合物A、C及び
Dの混合物をコンクリートに混合した。
化合物A、C及びDの混合物を混合した直後のコンク
リート混合物のスランプは230mmであった。その後、20
分間隔でスランプを測定した。次の値が得られた。
スランプmm 20分後 220 40分後 215 60分後 200 80分後 190 100分後 150 120分後 130 140分後 60 従って、ワーカビリティ時間は、添加前のコンクリー
トのスランプが60mmであったから、140分となった。
このコンクリート混合物で作ったテストサンプルの1
日後の圧縮強度は24.0MPaであった。
このコンクリート混合物の初期硬化の時間を測定する
と、7.0±0.5時間であった。
上記した例6と7から得られた結果を見ると、この発
明(例7)によれば、例6における220mmに比していく
らか良好な流動性改善効果、230mmが得られたことがわ
かる。しかし、それにもまして、例7においては、例6
における90分に比較してワーカビリティ時間が140分と
大幅に伸びた。初期硬化の時間と共に1日後の圧縮強度
も2つのサンプルにおいてほぼ同様となっている。
例 8 水800gと37%フォルムアルデヒド700gをガラス製の反
応バルブに入れた。メラミン350gとメタ重亜硫酸ナトリ
ウム285gを攪拌しながら加えた。反応混合物を攪拌しな
がら75℃に加熱した。メラミンとメタ重亜硫酸ナトリウ
ムが完全に溶け、反応混合物が透明になった時、46%水
酸化ナトリウム18gを加えて、10.5〜11.2のpHを得た。
反応混合物を、フリーの亜硫酸塩が検出されなくなるま
で(0.5〜2時間)、75℃に保持した。
次に、反応混合物50℃まで冷却した。その後、硼酸か
らなる化合物C1を7.0gと硫酸(96%)を18.0g加え、5.8
〜6.1のpHを得た。170cp(エミリア(Emilia)を粘度測
定機による)の粘度が得られるまで約4時間、縮合反応
を継続させた。次に、反応混合物を35℃まで冷却し、縮
合生成物に充分な保存安定性を与えるために、46%水酸
化ナトリウム25.0gでpHを11.4に調整した。その後、ヘ
プトン酸ナトリウムからなる化合物C2104gと水300gを混
合して、固形分を約35重量%に調整した。
例2によるプロセスを繰返した。但し、上述のように
して作った化合物A、C1及びC2の混合物3.8kg/m3を用い
た。この混合物をコンクリートに混合した時、コンクリ
ートのスランプは215mmであった。その後、時間の経過
に伴うスランプの変化を測定して、次の値を得た。
スランプmm 20分後 210 40分後 200 60分後 175 80分後 140 100分後 110 120分後 90 140分後 60 例2の場合と同様、約130分のワーカビリティ時間が
得られた。
このコンクリート混合物で作ったテストサンプルの1
日後の圧縮強度は7.8MPaであった。
このコンクリート混合物の初期硬化の時間を測定した
ところ、7.0±0.5時間であった。
例 9 例2によるプロセスを繰返した。但し、PERAMIN F
(登録商標)3.6kg/m3とボロヘプトン酸ナトリウム0.19
kg/m3を互いに混合せずに、別々にコンクリートに添加
した。結果は例2と同様であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−222055(JP,A) 特開 昭61−186255(JP,A) 特開 昭61−83660(JP,A) 特開 昭58−26061(JP,A) 米国特許3788868(US,A) 欧州特許出願公開326125(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 24/00 - 24/42

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾燥製品で計算して、 A.スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂、スル
    ホン化メラミン・ユリア・フォルムアルデヒド樹脂また
    はスルホン化ナフタレン・フォルムアルデヒド樹脂60〜
    99重量%と、 C.式 を有し、R1nが3〜8、好ましくは4〜6、である硼素含有ポリヒ
    ドロキシカルボン酸またはその水溶性アルカリ塩または
    アルカリ土金属塩0.5〜40重量%と、必要に応じて、 D.一般式 ArO−(R1−R2 を有し、Arがベンゼン部分、置換ベンゼン部分、ナフタ
    レン部分、または、置換ナフタレン部分、R1がオキシエ
    チレン基 −CH2CH2O− または、オキシプロピレン基 または、15個までのオキシエチレン基またはオキシプロ
    ピレン基を持つオキシエチレン鎖またはオキシプロピレ
    ン鎖、または、オキシエチレン基とオキシプロピレン基
    を組合わせて、これらの基の和が15までとした鎖、nの
    平均値nが1〜15、R2が水素または式 を有し、M1とM2が水素イオンまたはアルカリ金属イオン
    であるホスホネート基、または、R2を有し、M2が上記と同じで、M3が −(R1−OAr でR1、n、Arが上記の通りである基である、化合物0.5
    〜30重量%、 の組合わせからなる、セメント含有水性組成物のワーカ
    ビリティ時間も同時に長くする流動性改善剤。
  2. 【請求項2】乾燥製品で計算して、化合物Aを70〜99重
    量%、好ましくは、80〜99重量%と、化合物Cを0.5〜3
    0重量%、好ましくは、0.5〜20重量%と、場合に応じ
    て、化合物Dを0.5〜20重量%含んでなる請求項1に記
    載の流動性改善剤。
  3. 【請求項3】乾燥製品で計算して、化合物Aを70〜99重
    量%と、化合物Cを0.5〜20重量%と、化合物Dを0.5〜
    20重量%含んでなる請求項1または2に記載の流動性改
    善剤。
  4. 【請求項4】乾燥製品で計算して、化合物Aを70〜99重
    量%と化合物Cを0.5〜30重量%含んでなる請求項1に
    記載の流動性改善剤。
  5. 【請求項5】化合物Cの式におけるnが5である、請求
    項1〜4の何れか1つに記載の流動性改善剤。
  6. 【請求項6】硼素が化合物Cに錯体として存在する、請
    求項1〜5の何れか1つに記載の流動性改善剤。
  7. 【請求項7】化合物Cが2つの部分成分C1とC2で形成さ
    れており、部分成分C1が硼酸または硼酸の水溶性塩であ
    り、部分成分C2が式が であって、R1であり、nが3〜8、好ましくは4〜6であるポリヒド
    ロキシカルボン酸、またはその水溶性アルカリ塩または
    アルカリ土金属塩である、請求の範囲1〜6の何れか1
    つに記載の流動性改善剤。
  8. 【請求項8】スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド
    樹脂またはスルホン化メラミン・ユリア・フォルムアル
    デヒド樹脂からなる化合物Aの製造時に、硼酸または硼
    酸の水溶性塩からなる化合物C1を添加し、完成した化合
    物Aを、式が であって、R1nが5〜8のポリヒドロキシカルボン酸またはその水溶
    性アルカリ塩またはアルカリ土金属塩からなるものであ
    るC2と、必要に応じて、一般式がArO−(R1−R2
    あって、Arがベンゼン部分、置換ベンゼン部分、ナフタ
    レン部分、または、置換ナフタレン部分、R1がオキシエ
    チレン基−CH2CH2O−、オキシプロピレン基 15個までのオキシエチレン基またはオキシプロピレン基
    を持つオキシエチレン鎖またはオキシプロピレン鎖、ま
    たは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とを組合
    わせて、これらの基の合計が15以下とした鎖であり、n
    の平均値nが1〜15、R2が水素または、M1とM2を水素イ
    オンまたはアルカリ金属イオンとして式が であるホスホネート基、または、R2が式が で、M2が上記と同じ、M3が−(R1−OArで、R1、n
    及びArが上記と同じである基である化合物Dと混合す
    る、セメントを含有する水性組成物のワーカビリティ時
    間も長くする流動性改善剤の製造方法。
  9. 【請求項9】コンクリート、グラウト、モルタル及び自
    動的に平坦になるフロアスクリードを含む水性のセメン
    ト含有組成物のワーカビリティ時間も長くするために流
    動性改善剤の使用であって、上記流動性改善剤が、 乾燥製品で計算して、 A.スルホン化メラミン・フォルムアルデヒド樹脂、スル
    ホン化メラミン・ユリア・フォルムアルデヒド樹脂また
    はスルホン化ナフタレン・フォルムアルデヒド樹脂60〜
    99重量%と、 C.式 を有し、R1nが3〜8、好ましくは4〜6である硼素含有ポリヒド
    ロキシカルボン酸またはその水溶性アルカリ塩またはア
    ルカリ土金属塩0.5〜40重量%と、 必要に応じて、 D.一般式 ArO−(R1−R2を有し、Arがベンゼン部
    分、置換ベンゼン部分、ナフタレン部分、または置換ナ
    フタレン部分、R1がオキシエチレン基−CH2CH2O−、ま
    たは、オキシプロピレン基 または、15個までのオキシエチレン基またはオキシプロ
    ピレン基を持つオキシエチレン鎖またはオキシプロピレ
    ン鎖、または、オキシエチレン基とオキシプロピレン基
    を組合わせて、これらの基の和が15までとした鎖、nの
    平均値nが1〜15、R2が水素または式 を有し、M1とM2が水素イオンまたはアルカリ金属イオン
    であるホスホネート基、または、R2を有し、M2が上記と同じで、M3が−(R1−OArで、 R1、n、Arが上記の通りである基である、化合物0.5〜3
    0重量%からなるものである、流動性改善剤の使用。
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